【文献】
Ye-Kui Wang, et al.,Dependency and loop filtering control over tile boundaries,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 7th M,2011年11月23日,JCTVC-G317
【文献】
Chia-Yang Tsai, et al.,AHG4: Non-cross-tiles loop filtering for independent tiles,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 7th M,2011年11月26日,JCTVC-G194
【文献】
Hisao Sasai, et al.,Constrained Tile for parallel decoding,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 8th M,2012年 1月20日,JCTVC-H0345,URL,http://phenix.it-sudparis.eu/jct/doc_end_user/documents/8_San%20Jose/wg11/JCTVC-H0345-v1.zip
【文献】
Kazuo Sugimoto, et al.,Paralell processing of ALF and SAO for tiles,Joint Collaborative Team on Video Coding (JCT-VC) of ITU-T SG16 WP3 and ISO/IEC JTC1/SC29/WG11 7th M,2011年11月26日,JCTVC-G454,URL,http://phenix.it-sudparis.eu/jct/doc_end_user/documents/7_Geneva/wg11/JCTVC-G454-v4.zip
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本発明の基礎となった知見)
本発明者は、従来の技術に関し、以下の問題が生じることを見出した。
【0012】
H.26xと称されるITU−T規格又はMPEG−xと称されるISO/IEC規格においては、1枚の画像信号は、
図1に示すラスタスキャン順で処理される。また、1枚の画像信号は、スライスと呼ばれる複数の単位に分割される。各スライスは、上記のラスタスキャン順で連続する信号を含む。そして、スライス単位で符号化が行われる。
【0013】
また、HEVC方式においては、タイル方式も考えられている。このタイル方式では、1枚の画像信号は、矩形の複数の単位(タイル)に分割される。そして、その分割された矩形ごとに、当該矩形に含まれる信号がラスタスキャン順に処理される(
図2参照)。このタイル方式は、垂直方向に画面を分割することが可能となるため、ラインメモリを削減することができる。
【0014】
例えば、
図3に示す例では、実線で囲われた部分がタイルを示し、点線で囲われた部分が、タイルが分割されることにより得られるスライスを示す。なお、
図3は、タイル境界がスライス境界を跨がない例であるが、
図4に示すように、スライスの内部をタイル境界が跨ぐこともある。
【0015】
しかしながら、上記方式では、タイルに分割された領域をそれぞれ並列処理する場合に、並列処理対象の領域の先頭であるタイルの先頭部分を見つけることが難しいという課題があることを本発明者は見出した。
【0016】
より詳しく説明すると、画像復号装置が復号対象のビットストリームを並列処理(並列復号)可能かどうかを判断するために事前処理が必要である。この事前処理により処理時間が増加することで、高速処理の実現が困難である。または、この事前処理を高速に行うためには回路規模を増大させることが必要という課題がある。
【0017】
本実施の形態では、並列復号処理が可能は画像復号装置であって、復号対象のビットストリームが並列復号処理可能なストリームかどうか、また、並列復号処理可能である場合には、どの点から別々に並列復号処理が可能となるかを高速に判定することができる画像復号装置について説明する。
【0018】
本実施の形態の一態様に係る画像符号化方法は、ピクチャが分割された複数のタイルに対する処理に制限があるか否かを示すタイル制限情報を生成し、当該タイル制限情報を符号化する制限情報生成ステップと、前記タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合、複数のタイル境界のうち一つのタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示すフィルタ情報に基づき、前記複数のタイル境界に対してフィルタ処理を実行するか否かを決定する決定ステップとを含む。
【0019】
これによれば、タイル境界毎に、フィルタ処理を実行する/しないが切り替わることを抑制できる。これにより、当該画像符号化方法は、並列処理を容易に実現できる。
【0020】
例えば、前記制限情報生成ステップでは、ピクチャ毎に前記タイル制限情報を生成し、ピクチャ毎の前記タイル制限情報を符号化してもよい。
【0021】
例えば、前記画像符号化方法は、さらに、前記タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合、一つのタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示すフィルタ情報を符号化し、前記複数のタイル境界のうち前記一つのタイル境界以外のタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示す情報の符号化をスキップする符号化ステップを含んでもよい。
【0022】
例えば、前記画像符号化方法は、さらに、前記タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合、同一の内容を示す前記フィルタ情報を、前記複数のタイル境界の各々に対応付けて符号化する符号化ステップを含んでもよい。
【0023】
また、本実施の形態の一態様に係る画像復号方法は、ピクチャが分割された複数のタイルに対する処理に制限があるか否かを示すタイル制限情報を復号する制限情報復号ステップと、前記タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合、複数のタイル境界のうち一つのタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示すフィルタ情報に基づき、前記複数のタイル境界に対してフィルタ処理を実行するか否かを決定する決定ステップとを含む。
【0024】
これによれば、タイル境界毎に、フィルタ処理を実行する/しないが切り替わることを抑制できる。これにより、当該画像復号方法は、並列処理を容易に実現できる。
【0025】
例えば、前記制限情報復号ステップでは、ピクチャ毎に設けられている前記タイル制限情報を復号してもよい。
【0026】
例えば、前記画像復号方法は、さらに、前記タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合、一つのタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示すフィルタ情報を復号し、前記複数のタイル境界のうち前記一つのタイル境界以外のタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示す情報の復号をスキップする復号ステップを含んでもよい。
【0027】
例えば、前記画像復号方法は、さらに、前記タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合、前記複数のタイル境界の各々に対応付けられている同一の内容を示す複数の前記フィルタ情報を復号する復号ステップを含んでもよい。
【0028】
また、本実施の形態の一態様に係る画像符号化装置は、ピクチャが分割された複数のタイルに対する処理に制限があるか否かを示すタイル制限情報を生成し、当該タイル制限情報を符号化する符号化部と、前記タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合、複数のタイル境界のうち一つのタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示すフィルタ情報に基づき、前記複数のタイル境界に対してフィルタ処理を実行するか否かを決定する決定部とを備える。
【0029】
この構成によれば、タイル境界毎に、フィルタ処理を実行する/しないが切り替わることを抑制できる。これにより、当該画像符号化装置は、並列処理を容易に実現できる。
【0030】
また、本実施の形態の一態様に係る画像復号装置は、ピクチャが分割された複数のタイルに対する処理に制限があるか否かを示すタイル制限情報を復号する復号部と、前記タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合、複数のタイル境界のうち一つのタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示すフィルタ情報に基づき、前記複数のタイル境界に対してフィルタ処理を実行するか否かを決定する決定部とを備える。
【0031】
この構成によれば、タイル境界毎に、フィルタ処理を実行する/しないが切り替わることを抑制できる。これにより、当該画像復号装置は、並列処理を容易に実現できる。
【0032】
また、本実施の形態の一態様に係る画像符号化復号装置は、前記画像符号化装置と、前記画像復号装置とを備える。
【0033】
なお、これらの包括的または具体的な態様は、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD−ROMなどの記録媒体で実現されてもよく、システム、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0034】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0036】
(実施の形態1)
本実施の形態では、並列復号処理可能な画像復号装置における並列復号処理について説明する。本実施の形態では、ビットストリームは、画像復号装置が容易に並列処理を可能となる情報を含む。
【0037】
まず、
図3に示す、タイルの先頭に必ずスライスヘッダが配置されている場合の復号処理について説明する。
【0038】
タイル方式では画面を均等に矩形状(行列状)に分割することができるため、分割後の領域の横方向の幅を小さくできる。これにより、タイル方式は、横方向の幅が大きい画像(例えば、4K又は8Kと呼ばれる解像度の画像)に対して、必要なメモリサイズを少なくできるという利点がある。また、タイル領域内の画素データを均等に分割しやすいため、並列処理を行いやすくなる。このため、タイルの先頭から並列復号を開始することが、効率的に並列復号処理を行うために重要である。
【0039】
なお、予めエントロピー復号部がスライスヘッダのみを探索し、ヘッダ情報を取得できるように、スライスヘッダの先頭位置を、エントロピー復号部が容易に把握できる構成になっている。このため、この構造に限定することにより、タイルの先頭位置には必ずスライスヘッダが存在する。よって、画像復号装置は、このスライスヘッダを用いて、タイルの開始点、すなわち並列復号処理の開始地点を容易に特定できる。さらに、復号処理に必要な情報がこのスライスヘッダに含まれるため、復号時に予めスライスヘッダの情報をバッファリングする必要もない。
【0040】
なお、この構成を容易に実現する方法については、実施の形態3で説明する。
【0041】
図5は、この構成の場合の並列復号処理の流れを示すフローチャートである。まず、画像復号装置は、スライスヘッダを復号する(S101)。次に、画像復号装置は、このスライスがタイルの先頭に位置するか否かを判定する(S102)。例えば、
図3に示すスライスヘッダXの場合、このスライスはタイルの先頭に位置しないので(S102でNo)、画像復号装置は、次のスライスヘッダの復号を行う(S101)。一方、
図3に示すスライスヘッダYの場合、このスライスはタイルの先頭に位置するので(S102でYes)、画像復号装置は、この位置から並列復号処理を開始する(S103)。なお、この一連の処理は、1画面に対する処理が終了するまで繰り返し実行される。また、画像復号装置が有する並列復号部の機能が全て使用されている場合には並列復号部が使用可能となるまで、画像復号装置は待機する。それ以外の場合には、スライス内部の復号処理と並行し、次のスライスヘッダの取得が実行される。このように、スライスヘッダの取得により、並列復号処理の開始が設定される。
【0042】
次に、スライスヘッダがタイルの先頭に位置するか否かを判定する方法について説明する。
【0043】
まず、
図6を用いて本実施の形態の比較例における判定方法を説明する。この判定方法では、まず、画像復号装置は、スライスヘッダに含まれるスライス位置を示す位置情報を取得する(S201)。また、画像復号装置は、どのようにタイルが分割されているかを示すタイル分割情報を予め取得し、メモリに格納している。そして、画像復号装置は、タイル分割情報を用いて次のタイルの先頭位置を取得する(S202)。最後に、画像復号装置は、処理対象のスライス位置(スライスの先頭位置)と、タイルの先頭位置とを比較し、二つの位置が同じである場合には、スライスヘッダがタイル先頭であると判別する。一方、二つの位置が異なる場合には、スライスヘッダがタイル先頭にないと判定する(S203)。
【0044】
このように、本比較例に係る判定方法では、常に処理中の位置を把握する処理、メモリにアクセスする処理、及び、二つの位置を比較する処理など、並列復号を開始するために多くのステップが必要である。これにより、当該判定方法では、処理時間のロスが発生する。
【0045】
次に、
図7を用いて本実施の形態に係る判定方法を説明する。本実施の形態では、スライスヘッダにこのスライスがタイルの先頭に位置するか否かを示す1ビットのフラグを含む。
図7に示すように、画像復号装置は、このフラグを取得し(S111)、このフラグの値の確認する(S112)ことで、スライスがタイルの先頭に位置するか否かを判定できる。このように、本実施の形態に係る画像復号方法は、スライスがタイルの先頭位置に位置するか否かを少ない処理量で判定できる。
【0046】
図8はスライスヘッダのシンタックスを示す図である。上記の1ビットフラグは、例えば、
図8に示すstart_tile_in_slice_flagである。start_tile_in_slice_flagが「1」の場合、そのスライスは、タイルの左上隅の位置(タイルの先頭)から開始される。それ以外の場合(start_tile_in_slice_flagが「0」の場合)、そのスライスは、タイルの左上隅の位置から開始されない。なお、ここでは、このフラグがスライスヘッダの先頭に配置される例を示すが、このフラグの位置はこれに限らない。ただし、このフラグの位置がスライスヘッダの先頭に近ければ近いほど、並列復号処理を高速に開始することができる。
【0047】
図9は、この場合のストリームの構成例を示す図である。
図10は、このフラグを用いない場合のストリームの構成例を示す図である。スライスの位置を示す位置情報(又はタイル分割情報)はスライスヘッダの中段に配置される。よって、画像復号装置が、この位置情報を取得するためには、当該画像復号装置は、スライスがタイルの先頭でない場合(スライスの先頭から並列復号処理を行わない場合)には不要な情報を取得してしまう。よって、上記フラグを用いない場合には、冗長な処理が発生する。一方、
図9に示すようにスライスヘッダの先頭、又は先頭に近い部分に1ビットのフラグが配置されることで、画像復号装置は、すぐに並列復号処理を開始することができる。
【0048】
次に、
図4に示すようにタイルの先頭にスライスヘッダが位置しない場合について説明する。タイル方式では、画面を均等に矩形状に分割することができるため、前述のように、タイルの先頭から並列復号処理を開始することが、効率的に並列復号処理を行うために重要となる。
【0049】
この構成では、タイルの先頭に必ずしもスライスの先頭があるわけではないため、タイルの先頭位置と、タイルの復号処理を開始するために必要なスライスヘッダの情報とを取得する必要がある。このため、
図3の場合と同様にスライスヘッダをスキャンしていく必要がある。
【0050】
この処理の流れを、
図11を用いて説明する。まず、画像復号装置は、スライスヘッダを復号する(S121)。ここで、例えば
図4に示すスライスヘッダAの場合、スライスヘッダの先頭位置とタイルの先頭位置とが一致するため(S122でYes)、画像復号装置は、このタイルに対する並列復号処理を開始する(S123)。
【0051】
一方、
図4に示すスライスヘッダBの場合、スライスヘッダの先頭位置とタイルの先頭位置とが一致しないため(S122でNo)、処理はステップS124に進む。
【0052】
次に、画像復号装置は、タイルまでの位置情報が含まれているかどうかを確認する(S124)。この位置情報は、1つのスライスに複数のタイルが含まれる場合における、当該タイルから次のタイルまでの距離を示す。位置情報がある場合(S124でYes)、画像復号装置は、その位置情報を復号し(S125)、復号して得られる位置情報に従い、次のタイルまでファイルシーク(探索)を行い、並列復号処理を行う(S126)。一方、位置情報がない場合(S124でNo)、画像復号装置は、次のスライスのヘッダを復号する(S121)。なお、この一連の処理は、1画面に対する処理が終了するまで繰り返し実行される。また、画像復号装置が有する並列復号部の機能が全て使用されている場合には並列復号部が使用可能となるまで、画像復号装置は待機する。
【0053】
このように、必ずしもタイルの先頭にスライスヘッダが位置しない場合には、必ずタイルの先頭にスライスヘッダが位置する場合に比べて、複雑な処理が必要である。この場合であっても、前述した
図8に示すstart_tile_in_slice_flagをスライスの先頭に配置することで、この複雑な処理の処理量を低減できる。これにより、より高速な復号処理を実現することができる。
【0054】
なお、本実施の形態に係る並列復号処理は、圧縮符号化された符号化画像データを復号する画像復号装置によって行われる。
図12は、本実施の形態に係る画像復号装置400の構成の一例を示すブロック図である。なお、
図5、
図7又は
図11に示す並列復号処理は、エントロピー復号部410によって行われる。
【0055】
画像復号装置400は、圧縮符号化された符号化画像データ(入力信号)を復号することで復号信号を生成する。例えば、画像復号装置400には、符号化画像データがブロック毎に入力信号として入力される。画像復号装置400は、入力信号に、可変長復号、逆量子化及び逆変換を行うことで、画像データを復元する。
【0056】
図12に示すように、画像復号装置400は、エントロピー復号部410と、逆量子化・逆変換部420と、加算器425と、デブロッキングフィルタ430と、メモリ440と、イントラ予測部450と、動き補償部460と、イントラ/インター切換スイッチ470とを備える。
【0057】
エントロピー復号部410は、入力信号(入力ストリーム)を可変長復号することで、量子化係数を復元する。なお、ここで、入力信号(入力ストリーム)は、復号対象信号であり、符号化画像データのブロック毎のデータに相当する。また、エントロピー復号部410は、入力信号から動きデータを取得し、取得した動きデータを動き補償部460に出力する。
【0058】
逆量子化・逆変換部420は、エントロピー復号部410によって復元された量子化係数を逆量子化することで、変換係数を復元する。そして、逆量子化・逆変換部420は、復元した変換係数を逆変換することで、予測誤差を復元する。
【0059】
加算器425は、復元された予測誤差と予測信号とを加算することで、復号画像を生成する。
【0060】
デブロッキングフィルタ430は、生成された復号画像にデブロッキングフィルタ処理を行う。デブロッキングフィルタ処理された復号画像は、復号信号として出力される。
【0061】
メモリ440は、動き補償に用いられる参照画像を格納するためのメモリである。具体的には、メモリ440は、デブロッキングフィルタ処理が施された復号画像を格納する。
【0062】
イントラ予測部450は、イントラ予測を行うことで、予測信号(イントラ予測信号)を生成する。具体的には、イントラ予測部450は、加算器425によって生成された復号画像における、復号対象ブロック(入力信号)の周囲の画像を参照してイントラ予測を行うことで、イントラ予測信号を生成する。
【0063】
動き補償部460は、エントロピー復号部410から出力された動きデータに基づいて動き補償を行うことで、予測信号(インター予測信号)を生成する。
【0064】
イントラ/インター切換スイッチ470は、イントラ予測信号及びインター予測信号のいずれかを選択し、選択した信号を予測信号として加算器425に出力する。
【0065】
以上の構成により、本実施の形態に係る画像復号装置400は、圧縮符号化された符号化画像データを復号する。
【0066】
以上のように、本実施の形態に係る画像復号装置及び画像復号方法は、画像復号装置の構成に応じたビットストリームの処理開始点を容易に判定できる。すなわち、当該画像復号装置及び画像復号方法は、スライスヘッダでパース(解析)した位置がタイルの先頭かどうかを容易に判定できる。これにより、画像復号装置の高速化を実現できる。
【0067】
また、これらの構成により、処理時間の推定を容易にすることができる。これにより、例えば高解像度の映像のリアルタイム再生処理などに用いられる高速演算回路によって画像復号装置を実現することができる。
【0068】
(実施の形態2)
本実施の形態では、並列復号を容易に実行可能とする符号列を符号化により生成して伝送する画像符号化方法及び画像符号化装置について説明する。当該画像符号化装置は、スライスヘッダの位置がタイルの先頭かどうかを示す情報を画像復号装置に伝送する。これにより、と該画像符号化装置は、復号処理の並列度を上げることができるビットストリームを生成できる。
【0069】
本実施の形態に係る画像符号化装置は、スライスヘッダを符号化する際に、スライスヘッダの位置がタイルの先頭位置かどうかを判定する。スライスヘッダの位置がタイルの先頭の場合、例えば、
図8に示すstart_tile_in_slice_flagをスライスヘッダに記載する。
【0070】
このようにすることで、当該画像符号化装置は、実施の形態1で示した並列復号可能な画像復号装置で、容易に並列復号を開始できる符号列を生成できる。
【0071】
図13は、本実施の形態に係る画像符号化装置の構成例を示すブロック図である。
図13に示す画像符号化装置200は、減算器205と、変換・量子化部210と、エントロピー符号化部220と、逆量子化・逆変換部230と、加算器235と、デブロッキングフィルタ240と、メモリ250と、イントラ予測部260と、動き検出部270と、動き補償部280と、イントラ/インター切換スイッチ290とを備える。
【0072】
減算器205は、入力信号と予測信号との差分、すなわち、予測誤差を算出する。
【0073】
変換・量子化部210は、空間領域の予測誤差を変換することで、周波数領域の変換係数を生成する。例えば、変換・量子化部210は、予測誤差にDCT(Discrete Cosine Transform)変換を行うことで、変換係数を生成する。さらに、変換・量子化部210は、変換係数を量子化することで、量子化係数を生成する。
【0074】
エントロピー符号化部220は、量子化係数を可変長符号化することで、符号化信号を生成する。また、エントロピー符号化部220は、動き検出部270によって検出された動きデータ(例えば、動きベクトル)を符号化し、符号化信号に含めて出力する。
【0075】
逆量子化・逆変換部230は、量子化係数を逆量子化することで、変換係数を復元する。さらに、逆量子化・逆変換部230は、復元した変換係数を逆変換することで、予測誤差を復元する。なお、復元された予測誤差は、量子化により情報が失われているので、減算器205が生成する予測誤差とは一致しない。すなわち、復元された予測誤差は、量子化誤差を含んでいる。
【0076】
加算器235は、復元された予測誤差と予測信号とを加算することで、ローカル復号画像を生成する。
【0077】
デブロッキングフィルタ240は、生成されたローカル復号画像にデブロッキングフィルタ処理を行う。
【0078】
メモリ250は、動き補償に用いられる参照画像を格納するためのメモリである。具体的には、メモリ250は、デブロッキングフィルタ処理が施されたローカル復号画像を格納する。
【0079】
イントラ予測部260は、イントラ予測を行うことで、予測信号(イントラ予測信号)を生成する。具体的には、イントラ予測部260は、加算器235によって生成されたローカル復号画像における、符号化対象ブロック(入力信号)の周囲の画像を参照してイントラ予測を行うことで、イントラ予測信号を生成する。
【0080】
動き検出部270は、入力信号と、メモリ250に格納された参照画像との間の動きデータ(例えば、動きベクトル)を検出する。
【0081】
動き補償部280は、検出された動きデータに基づいて動き補償を行うことで、予測信号(インター予測信号)を生成する。
【0082】
イントラ/インター切換スイッチ290は、イントラ予測信号及びインター予測信号のいずれかを選択し、選択した信号を予測信号として減算器205及び加算器235に出力する。
【0083】
以上の構成により、本実施の形態に係る画像符号化装置200は、画像データを圧縮符号化する。
【0084】
なお、スライスヘッダがタイルの先頭かどうかを判別する処理、及び上記フラグの符号化処理は、エントロピー符号化部220で行われる。
【0085】
以上のように、本実施の形態に係る画像符号化装置及び画像符号化方法は、復号処理順に関連する情報を画像復号装置に伝送する。これにより、当該画像符号化装置及び画像符号化方法は、画像復号装置において高速に処理することが可能となる符号化信号(ビットストリーム)を生成することができる。
【0086】
(実施の形態3)
本実施の形態では、前述の
図3に示すように、タイルの先頭は必ずスライスヘッダである場合において並列処理を容易にすることを可能とする符号列の構成について説明する。
【0087】
まず、本実施の形態の比較例の処理を、
図14を用いて説明する。まず、画像復号装置は、SPS(シーケンスパラメータセット)を取得する(S231)。次に、画像復号装置は、SPSに含まれる並列処理を容易にするためのフラグAを復号する(S232)。次に、画像復号装置は、PPS(ピクチャパラメータセット)に含まれる並列処理を容易にするためのフラグBを復号する(S233)。また、画像復号装置は、PPSに含まれる並列処理を容易にするためのフラグCを復号する(S234)。
【0088】
これらのフラグA〜Cは、全て並列処理を容易にするためのパラメータである。次に画像復号装置は、これらのパラメータが、当該画像復号装置が有する並列処理要件に合致しているか(constraint_tileセットとも呼ぶ)を判定する(S235)。言い換えると、画像復号装置は、処理対象のストリームを並列復号処理する機能を、当該画像復号装置が有しているかを、これらのパラメータを用いて判定する。これらのパラメータが、当該画像復号装置が有する並列処理要件に合致している場合(S235でYes)、画像復号装置は、処理対象のストリームが並列復号可能であると判断し、当該ストリームを並列復号処理する(S236)。ここで、並列復号処理とは、具体的には実施の形態1で示した処理である。
【0089】
一方、これらのパラメータが、当該画像復号装置が有する並列処理要件に合致していない場合(S235でNo)、画像符号化装置は、並列復号処理ではなく、通常の復号処理を行う(S237)。
【0090】
しかし、これでは、並列復号可能かどうかを判定するために必要なフラグが多い。また、対応する並列復号可能なパラメータ関係を管理することは困難である。そこで、本実施の形態では、constraint_tile_flagという並列復号に必要な要件を示すフラグをSPSに加える。
【0091】
図15は、本実施の形態に係る画像復号処理のフローチャートである。
【0092】
図15に示すように、画像復号装置は、SPSを取得し、SPSに含まれる上記フラグを復号する(S131)。このフラグが並列復号可能を示す場合(S132でYes)、画像復号装置は、予め決められた並列復号処理を容易にするパラメータセットをセットし(S133)、並列復号処理を実行する(S134)。
【0093】
一方、上記フラグが並列復号不可を示す場合(S132でNo)、画像復号装置は、
図14と同様にパラメータ(フラグA〜C)を取得し(S135〜S137)、取得したパラメータを用いて判定を行う(S138)。なお、この判定において、ストリームが画像復号装置に適合する場合にのみ並列復号可能と判断される。そして、
図14と同様に、判定結果に応じて、並列復号処理(S134)又は通常復号処理(S139)が実行される。
【0094】
なお、並列復号可能を示すフラグの代わりに、0、1、2、3といった形で並列度合いのレベルを示すインデックスを用いてもよい。この場合、ステップS132では、当該インデックスで示される値が、画像復号装置に対応する並列度合いと一致しないことを表す場合にステップS133に進み、そうでない場合にステップS135に進む。
【0095】
フラグA、B及びCの具体例を、
図16、
図17及び
図18に示す。なお、特に説明をしない場合のパラメータの意味は非特許文献2に記載の通りである。
【0096】
ここで、loop_filter_across_tile_flag、loop_filter_across_slice_flag、及びtile_boundary_independence_flagは、タイル又はスライス境界にフィルタをかけるか、かけないかを示す。フィルタをかける場合には、前の復号画像をメモリに蓄えておく必要があり、高速な並列処理には不向きである。また、タイルの境界毎にフィルタを実行するか否かを同じピクチャ内で切り替えるとなると、さらに並列処理は困難になる。
【0097】
また、タイル同士の依存関係をもたせないことで、さらに並列処理を容易にする。なお、タイルの先頭にスライスヘッダを置くことで、算術符号化処理の状態もリセットすることができるので、本構成により、高速な並列復号を実現できる。
【0098】
この場合の処理例を、
図19Aに示す。SPSにconstraint_tile_flagがある場合(S141でYes)、画像復号装置(又は画像符号化装置)は、tile_boundary_independence_flag、loop_filter_across_tile_flag、loop_filter_across_slice_flagの復号処理(又は符号化処理)をスキップする(S142)。一方、SPSにconstraint_tile_flagがない場合(S141でNo)、画像復号装置(又は画像符号化装置)は、tile_boundary_independence_flag、loop_filter_across_tile_flag、loop_filter_across_slice_flagのパラメータの復号処理(又は符号化処理)を行う(S143)。
【0099】
ここで、tile_boundary_independence_flagは、タイル境界を越えた情報の参照を禁止するか否かを示す情報である。loop_filter_across_tile_flagは、タイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示す情報である。loop_filter_across_slice_flagは、スライス境界にフィルタ処理を実行するか否かを示す情報である。
【0100】
これにより、不要な符号を符号化、又は復号する必要がなくなるため、符号量を削減することができる。
【0101】
以上のように、本実施の形態に係る画像符号化装置は、ピクチャが分割された複数のタイルに対する符号化処理又は復号処理に制限があるか否かを示すタイル制限情報(constraint_tile_flag)を生成し、当該タイル制限情報を符号化する。また、当該画像符号化装置は、タイル制限情報が符号化処理又は復号処理に制限があることを示す場合、複数のタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示すフィルタ情報(loop_filter_across_tile_flag)の符号化処理又は復号処理をスキップする。
【0102】
ここで、フィルタ情報の符号化処理又は復号処理がスキップされた場合、画像符号化装置及び画像復号装置において、複数のタイル境界の各々に対してフィルタ処理を実行する/しないが切り替えられない。つまり、複数のタイル境界において同一の処理(フィルタ処理を実行する/しない)が用いられる。このように、タイル境界毎の処理の切り替えを禁止することにより、処理量を低減できる。
【0103】
この場合の画像符号化装置又は画像復号装置の動作を
図19Bに示す。
図19Bに示すように、本実施の形態に係る画像符号化装置は、ピクチャが分割された複数のタイルに対する処理に制限があるか否かを示すタイル制限情報を生成し、当該タイル制限情報を符号化する(S140A)。タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合(S141AでYes)、画像符号化装置は、複数のタイル境界に同一の処理(フィルタ処理を実行する/しない)を行う(S142A)。一方、タイル制限情報が処理に制限がないことを示す場合(S141AでNo)、画像符号化装置は、複数のタイル境界に同一又は異なる処理(フィルタ処理を実行する/しない)を行う(S143A)。
【0104】
また、画像復号装置は、ピクチャが分割された複数のタイルに対する処理に制限があるか否かを示すタイル制限情報を復号する(S140A)。タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合(S141AでYes)、画像復号装置は、複数のタイル境界に同一の処理(フィルタ処理を実行する/しない)を行う(S142A)。一方、タイル制限情報が処理に制限がないことを示す場合(S141AでNo)、画像復号装置は、複数のタイル境界に同一又は異なる処理(フィルタ処理を実行する/しない)を行う(S143A)。
【0105】
なお、このように複数のタイル境界に対して同一の処理を行うために、画像符号化装置又は、画像復号装置は、複数のタイル境界に対する複数のフィルタ情報の全ての符号化処理又は復号処理をスキップするのではなく、ある一つのタイル境界に対する一つのフィルタ情報のみを符号化又は復号してもよい。つまり、この場合、画像符号化装置又は画像復号装置は、この一つのフィルタ情報に基づき、複数のタイル境界にフィルタ処理を実行するか否かを決定する。具体的には、画像符号化装置又は画像復号装置は、この一つのフィルタ情報がタイル境界にフィルタ処理が実行されることを示す場合、複数のタイル境界の全てにフィルタ処理を実行する。一方、画像符号化装置又は画像復号装置は、この一つのフィルタ情報がタイル境界にフィルタ処理が実行されないことを示す場合、複数のタイル境界の全てにフィルタ処理を実行しない。
【0106】
この場合の画像符号化装置又は画像復号装置の動作を
図19Cに示す。
図19Cに示すように、タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合(S141AでYes)、画像符号化装置又は画像復号装置は、複数のタイル境界のうち一つのタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示すフィルタ情報に基づき、複数のタイル境界に対してフィルタ処理を実行するか否かを決定する(S142B)。また、タイル制限情報が処理に制限がないことを示す場合(S141AでNo)、画像符号化装置又は画像復号装置は、複数のタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示す複数のフィルタ情報に基づき、複数のタイル境界に対してフィルタ処理を実行するか否かを決定する(S143B)。
【0107】
つまり、画像符号化装置は、タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合、一つのタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示すフィルタ情報を符号化し、複数のタイル境界のうち上記一つのタイル境界以外のタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示す情報の符号化をスキップする。また、画像復号装置は、タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合、一つのタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示すフィルタ情報を復号し、複数のタイル境界のうち上記一つのタイル境界以外のタイル境界にフィルタ処理が実行されるか否かを示す情報の復号をスキップする。
【0108】
または、複数のフィルタ情報の全てが同一の値に設定されてもよい。つまり、画像符号化装置は、タイル制限情報が処理の制限があることを示す場合、同一の内容(フィルタ処理が行われる/行われない)を示すフィルタ情報を、複数のフィルタ境界の各々に対応付けて符号化してもよい。
【0109】
この場合の画像符号化装置又は画像復号装置の動作を
図19Dに示す。
図19Dに示すように、タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合(S141AでYes)、画像符号化装置は、同一の内容を示すフィルタ情報を、複数のタイル境界の各々に対応付けて符号化する(S142C)。一方、タイル制限情報が処理に制限がないことを示す場合(S141AでNo)、画像符号化装置は、同一又は異なる内容を示すフィルタ情報を、複数のタイル境界の各々に対応付けて符号化する(S143C)。
【0110】
また、画像復号装置は、タイル制限情報が処理に制限があることを示す場合(S141AでYes)、複数のタイル境界の各々に対応付けられている同一の内容を示す複数のフィルタ情報を復号する(S142C)。一方、タイル制限情報が処理に制限がないことを示す場合(S141AでNo)、画像復号装置は、複数のタイル境界の各々に対応付けられている同一又は異なる内容を示す複数のフィルタ情報を復号する(S143C)。
【0111】
なお、タイル制限情報は、ピクチャ毎に設けられてもよい。つまり、画像符号化装置は、ピクチャ毎にタイル制限情報を生成し、ピクチャ毎のタイル制限情報を符号化する。また、画像復号装置は、ピクチャ毎に設けられているタイル制限情報を復号する。
【0112】
また、上記処理は、画像符号化装置が備える符号化部及び決定部、又は画像復号装置が備える復号部及び決定部により行われる。例えば、この符号化部及び決定部は、
図13に示すエントロピー符号化部220に含まれる。また、復号部及び決定部は、
図12に示すエントロピー復号部410に含まれる。
【0113】
(実施の形態4)
本実施の形態では、start_tile_in_slice_flagをスライスヘッダに記載する場合に情報量を削減する構成についてさらに詳しく説明する。
【0114】
図20Aは、本実施の形態の比較例におけるスライスヘッダの構成例を示す図である。これに対して、
図20Bは、本実施の形態におけるスライスヘッダの構成例を示す図である。また、
図21は、本実施の形態に係る動作の流れを示すフローチャートである。
【0115】
まず、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、処理対象のスライスが最初のスライスであるかどうかを示すフラグ(
図20Bのfirst_slice_in_pic_flag)を符号化(又は復号)する(S151)。次に、このフラグが0ではない場合(first_slice_in_pic_flag!=0)、すなわち、処理対象のスライスが最初のスライスである場合(S152でYes)、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、以降のスライスの位置情報又はタイルの初期位置情報などの符号化処理(又は復号処理)をスキップする(S153)。
【0116】
一方、このフラグが0の場合(first_slice_in_pic_flag=0)すなわち、処理対象のスライスが最初のスライスではない場合(S152でNo)、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、処理対象のスライスがタイルの先頭であるかどうかを示す情報(start_tile_in_slice_flag)を符号化(又は復号)する(S154)。
【0117】
次に、このフラグが1の場合(start_tile_in_slice_flag=1)、すなわち、処理対象スライスがタイルの先頭である場合(S155でYes)、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、処理対象のタイルが何番目のタイルかを示す情報(tile_idx_minus1)を符号化(又は復号)する(S156)。
【0118】
一方、このフラグが0の場合(start_tile_in_slice_flag=0)、すなわち、処理対象のスライスがタイルの先頭ではない場合(S155でNo)、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、このスライスの位置がわからないため、スライスの位置情報(slice_address)を符号化(又は復号)する(S157)。このようにすることにより、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、冗長な情報を伝送することなく、効率的な符号化処理(又は復号処理)を行うことができるので、並列度を挙げつつ圧縮率を上げることができる。また、画像復号装置は、このストリームを正しく復号することができる。
【0119】
なお、タイルの分割に関する情報は、例えばストリーム全体の情報を管理するシーケンスパラメータセットと呼ばれる部分に配置される。また、この情報は、例えば、フレームを分割する垂直方向の数及び水平方向の数を示してもよい。または、この情報は、フレームをいくつの処理単位に分割するかを示してもよい。ただし、分割された各タイルは、予め決められたスキャン順(例えばラスタ順)によって処理されることを符号化及び復号側で決めておく。このため、処理対象のスライスがタイルの先頭である場合、処理対象のタイルが何番目のタイルかを知ることにより、処理対象のスライスのフレーム内での空間的な位置情報を知ることができる。これにより、スライスのアドレス情報を削減することができる。
【0120】
また、処理対象スライスがピクチャの先頭である場合には、必ずタイルの番号は1番であり、スライスのアドレスも(0、0)であるため、これらの情報は符号化しなくてよい。このようにすることにより、情報量を削減することができる。
【0121】
(実施の形態5)
本実施の形態では、タイルの順番の情報(tile_idx_minus1)を保持するタイルヘッダをタイルの開始を示す情報として用いる。
【0122】
図22は、本実施の形態におけるデータ構造を示す概念図である。
図22に示すようにタイルの開始を示す情報であるタイルヘッダが常にスライスヘッダの直前に配置される。
図23はこの場合の画像符号化装置(又は画像復号装置)の動作の流れを示すフローチャートである。
【0123】
まず、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、タイルヘッダ(tile_header())を符号化(又は復号)する(S161)。これにより、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、タイルの先頭位置の情報を、前述のシーケンスパラメータセットから取得し、フレーム内でのタイルの位置を確定する。
【0124】
次に、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、このタイルに関連するスライスヘッダ(slice_header())を符号化又は復号する(S162)。これにより、タイルの復号に必要な情報がスライスヘッダに含まれるため、画像復号装置はどのように本タイルの復号をすればよいかを即座に判断することができる。よって、画像復号装置は、高速に並列処理を実施できる。なお、このようにtile_header()がslice_header()の直前に配置される場合には、例えば、スライスヘッダのスタートコードを省略することができる。
【0125】
一般には、tile_header()とslice_header()とは異なるヘッダのため、異なるスタートコードが割り当てられている。一方、本実施の形態のように、タイルヘッダの直後に常にスライスヘッダが配置される場合には、スライスヘッダのスタートコードを省略することができる。一般にスタートコードは固定長の特殊なコードが用いられるため、このスタートコードを省略することにより大幅に冗長な符号を削減することができる。また、ヘッダのロードにスタートコードをサーチする場合であっても、この余分なサーチが必要なくなる。よって、処理を高速化することができる。
【0126】
(実施の形態6)
本実施の形態では、さらにprofile_idcにより、パラメータの符号化及び復号を変更する場合を説明する。profile_idcは、ストリームを符号化又は復号する場合の構成を示すプロファイル情報である。
【0127】
図24はこの場合の動作の流れを示すフローチャートである。例えば、このプロファイル情報が制限タイルを用いることを示す場合(S171でYes)、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、処理対象のタイルが制限タイルの場合に用いる制限に関する情報(関連パラメータ)の符号化(又は復号)をスキップし、当該制限を行うようにパラメータをセットする(S172)。ここで、制限とは、境界でのフィルタ処理を行わない、及びタイル内の符号化(又は復号)には、別タイルの情報は参照しない等である。
【0128】
プロファイル情報が制限タイルを用いることを示さない場合(S171でNo)、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、どの情報を制限するかを示す情報(関連パラメータ)を符号化(又は復号)する(S173)。
【0129】
なお、画像符号化装置(又は画像復号装置)は、例えば、あるプロファイル情報で、タイルを用いないことが示される場合には、全てのシーケンスパラメータセット、ピクチャパラメータセット、及びスライスヘッダ等のヘッダにおける、タイルに関連する情報の符号化処理(又は復号処理)をスキップする。これにより、冗長な情報の符号化処理又は復号処理を削減することができるので、高速な処理と高い圧縮性能とを実現することができる。
【0130】
以上、実施の形態に係る画像符号化装置に及び画像復号装置ついて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。
【0131】
また、上記実施の形態に係る画像符号化装置及び画像復号装置に含まれる各処理部は典型的には集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0132】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0133】
上記各実施の形態において、各構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPUまたはプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスクまたは半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0134】
さらに、本発明は上記ソフトウェアプログラムであってもよいし、上記プログラムが記録された非一時的なコンピュータ読み取り可能な記録媒体であってもよい。また、上記プログラムは、インターネット等の伝送媒体を介して流通させることができるのは言うまでもない。
【0135】
また、上記で用いた数字は、全て本発明を具体的に説明するために例示するものであり、本発明は例示された数字に制限されない。
【0136】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0137】
また、上記の画像符号化方法又は画像復号方法に含まれるステップが実行される順序は、本発明を具体的に説明するために例示するためのものであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0138】
以上、本発明の一つまたは複数の態様に係る画像符号化装置及び画像復号装置について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の一つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0139】
(実施の形態7)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)または動画像復号化方法(画像復号方法)の構成を実現するためのプログラムを記憶メディアに記録することにより、上記各実施の形態で示した処理を独立したコンピュータシステムにおいて簡単に実施することが可能となる。記憶メディアは、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、ICカード、半導体メモリ等、プログラムを記録できるものであればよい。
【0140】
さらにここで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法(画像符号化方法)や動画像復号化方法(画像復号方法)の応用例とそれを用いたシステムを説明する。当該システムは、画像符号化方法を用いた画像符号化装置、及び画像復号方法を用いた画像復号装置からなる画像符号化復号装置を有することを特徴とする。システムにおける他の構成について、場合に応じて適切に変更することができる。
【0141】
図25は、コンテンツ配信サービスを実現するコンテンツ供給システムex100の全体構成を示す図である。通信サービスの提供エリアを所望の大きさに分割し、各セル内にそれぞれ固定無線局である基地局ex106、ex107、ex108、ex109、ex110が設置されている。
【0142】
このコンテンツ供給システムex100は、インターネットex101にインターネットサービスプロバイダex102および電話網ex104、および基地局ex106からex110を介して、コンピュータex111、PDA(Personal Digital Assistant)ex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115などの各機器が接続される。
【0143】
しかし、コンテンツ供給システムex100は
図25のような構成に限定されず、いずれかの要素を組合せて接続するようにしてもよい。また、固定無線局である基地局ex106からex110を介さずに、各機器が電話網ex104に直接接続されてもよい。また、各機器が近距離無線等を介して直接相互に接続されていてもよい。
【0144】
カメラex113はデジタルビデオカメラ等の動画撮影が可能な機器であり、カメラex116はデジタルカメラ等の静止画撮影、動画撮影が可能な機器である。また、携帯電話ex114は、GSM(登録商標)(Global System for Mobile Communications)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式、W−CDMA(Wideband-Code Division Multiple Access)方式、若しくはLTE(Long Term Evolution)方式、HSPA(High Speed Packet Access)の携帯電話機、またはPHS(Personal Handyphone System)等であり、いずれでも構わない。
【0145】
コンテンツ供給システムex100では、カメラex113等が基地局ex109、電話網ex104を通じてストリーミングサーバex103に接続されることで、ライブ配信等が可能になる。ライブ配信では、ユーザがカメラex113を用いて撮影するコンテンツ(例えば、音楽ライブの映像等)に対して上記各実施の形態で説明したように符号化処理を行い(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、ストリーミングサーバex103に送信する。一方、ストリーミングサーバex103は要求のあったクライアントに対して送信されたコンテンツデータをストリーム配信する。クライアントとしては、上記符号化処理されたデータを復号化することが可能な、コンピュータex111、PDAex112、カメラex113、携帯電話ex114、ゲーム機ex115等がある。配信されたデータを受信した各機器では、受信したデータを復号化処理して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
【0146】
なお、撮影したデータの符号化処理はカメラex113で行っても、データの送信処理をするストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。同様に配信されたデータの復号化処理はクライアントで行っても、ストリーミングサーバex103で行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。また、カメラex113に限らず、カメラex116で撮影した静止画像および/または動画像データを、コンピュータex111を介してストリーミングサーバex103に送信してもよい。この場合の符号化処理はカメラex116、コンピュータex111、ストリーミングサーバex103のいずれで行ってもよいし、互いに分担して行ってもよい。
【0147】
また、これら符号化・復号化処理は、一般的にコンピュータex111や各機器が有するLSIex500において処理する。LSIex500は、ワンチップであっても複数チップからなる構成であってもよい。なお、動画像符号化・復号化用のソフトウェアをコンピュータex111等で読み取り可能な何らかの記録メディア(CD−ROM、フレキシブルディスク、ハードディスクなど)に組み込み、そのソフトウェアを用いて符号化・復号化処理を行ってもよい。さらに、携帯電話ex114がカメラ付きである場合には、そのカメラで取得した動画データを送信してもよい。このときの動画データは携帯電話ex114が有するLSIex500で符号化処理されたデータである。
【0148】
また、ストリーミングサーバex103は複数のサーバや複数のコンピュータであって、データを分散して処理したり記録したり配信するものであってもよい。
【0149】
以上のようにして、コンテンツ供給システムex100では、符号化されたデータをクライアントが受信して再生することができる。このようにコンテンツ供給システムex100では、ユーザが送信した情報をリアルタイムでクライアントが受信して復号化し、再生することができ、特別な権利や設備を有さないユーザでも個人放送を実現できる。
【0150】
なお、コンテンツ供給システムex100の例に限らず、
図26に示すように、デジタル放送用システムex200にも、上記各実施の形態の少なくとも動画像符号化装置(画像符号化装置)または動画像復号化装置(画像復号装置)のいずれかを組み込むことができる。具体的には、放送局ex201では映像データに音楽データなどが多重化された多重化データが電波を介して通信または衛星ex202に伝送される。この映像データは上記各実施の形態で説明した動画像符号化方法により符号化されたデータである(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置によって符号化されたデータである)。これを受けた放送衛星ex202は、放送用の電波を発信し、この電波を衛星放送の受信が可能な家庭のアンテナex204が受信する。受信した多重化データを、テレビ(受信機)ex300またはセットトップボックス(STB)ex217等の装置が復号化して再生する(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)。
【0151】
また、DVD、BD等の記録メディアex215に記録した多重化データを読み取り復号化する、または記録メディアex215に映像信号を符号化し、さらに場合によっては音楽信号と多重化して書き込むリーダ/レコーダex218にも上記各実施の形態で示した動画像復号化装置または動画像符号化装置を実装することが可能である。この場合、再生された映像信号はモニタex219に表示され、多重化データが記録された記録メディアex215により他の装置やシステムにおいて映像信号を再生することができる。また、ケーブルテレビ用のケーブルex203または衛星/地上波放送のアンテナex204に接続されたセットトップボックスex217内に動画像復号化装置を実装し、これをテレビのモニタex219で表示してもよい。このときセットトップボックスではなく、テレビ内に動画像復号化装置を組み込んでもよい。
【0152】
図27は、上記各実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いたテレビ(受信機)ex300を示す図である。テレビex300は、上記放送を受信するアンテナex204またはケーブルex203等を介して映像データに音声データが多重化された多重化データを取得、または出力するチューナex301と、受信した多重化データを復調する、または外部に送信する多重化データに変調する変調/復調部ex302と、復調した多重化データを映像データと、音声データとに分離する、または信号処理部ex306で符号化された映像データ、音声データを多重化する多重/分離部ex303を備える。
【0153】
また、テレビex300は、音声データ、映像データそれぞれを復号化する、またはそれぞれの情報を符号化する音声信号処理部ex304、映像信号処理部ex305(本発明の一態様に係る画像符号化装置または画像復号装置として機能する)を有する信号処理部ex306と、復号化した音声信号を出力するスピーカex307、復号化した映像信号を表示するディスプレイ等の表示部ex308を有する出力部ex309とを有する。さらに、テレビex300は、ユーザ操作の入力を受け付ける操作入力部ex312等を有するインタフェース部ex317を有する。さらに、テレビex300は、各部を統括的に制御する制御部ex310、各部に電力を供給する電源回路部ex311を有する。インタフェース部ex317は、操作入力部ex312以外に、リーダ/レコーダex218等の外部機器と接続されるブリッジex313、SDカード等の記録メディアex216を装着可能とするためのスロット部ex314、ハードディスク等の外部記録メディアと接続するためのドライバex315、電話網と接続するモデムex316等を有していてもよい。なお記録メディアex216は、格納する不揮発性/揮発性の半導体メモリ素子により電気的に情報の記録を可能としたものである。テレビex300の各部は同期バスを介して互いに接続されている。
【0154】
まず、テレビex300がアンテナex204等により外部から取得した多重化データを復号化し、再生する構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、CPU等を有する制御部ex310の制御に基づいて、変調/復調部ex302で復調した多重化データを多重/分離部ex303で分離する。さらにテレビex300は、分離した音声データを音声信号処理部ex304で復号化し、分離した映像データを映像信号処理部ex305で上記各実施の形態で説明した復号化方法を用いて復号化する。復号化した音声信号、映像信号は、それぞれ出力部ex309から外部に向けて出力される。出力する際には、音声信号と映像信号が同期して再生するよう、バッファex318、ex319等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。また、テレビex300は、放送等からではなく、磁気/光ディスク、SDカード等の記録メディアex215、ex216から多重化データを読み出してもよい。次に、テレビex300が音声信号や映像信号を符号化し、外部に送信または記録メディア等に書き込む構成について説明する。テレビex300は、リモートコントローラex220等からのユーザ操作を受け、制御部ex310の制御に基づいて、音声信号処理部ex304で音声信号を符号化し、映像信号処理部ex305で映像信号を上記各実施の形態で説明した符号化方法を用いて符号化する。符号化した音声信号、映像信号は多重/分離部ex303で多重化され外部に出力される。多重化する際には、音声信号と映像信号が同期するように、バッファex320、ex321等に一旦これらの信号を蓄積するとよい。なお、バッファex318、ex319、ex320、ex321は図示しているように複数備えていてもよいし、1つ以上のバッファを共有する構成であってもよい。さらに、図示している以外に、例えば変調/復調部ex302や多重/分離部ex303の間等でもシステムのオーバフロー、アンダーフローを避ける緩衝材としてバッファにデータを蓄積することとしてもよい。
【0155】
また、テレビex300は、放送等や記録メディア等から音声データ、映像データを取得する以外に、マイクやカメラのAV入力を受け付ける構成を備え、それらから取得したデータに対して符号化処理を行ってもよい。なお、ここではテレビex300は上記の符号化処理、多重化、および外部出力ができる構成として説明したが、これらの処理を行うことはできず、上記受信、復号化処理、外部出力のみが可能な構成であってもよい。
【0156】
また、リーダ/レコーダex218で記録メディアから多重化データを読み出す、または書き込む場合には、上記復号化処理または符号化処理はテレビex300、リーダ/レコーダex218のいずれで行ってもよいし、テレビex300とリーダ/レコーダex218が互いに分担して行ってもよい。
【0157】
一例として、光ディスクからデータの読み込みまたは書き込みをする場合の情報再生/記録部ex400の構成を
図28に示す。情報再生/記録部ex400は、以下に説明する要素ex401、ex402、ex403、ex404、ex405、ex406、ex407を備える。光ヘッドex401は、光ディスクである記録メディアex215の記録面にレーザスポットを照射して情報を書き込み、記録メディアex215の記録面からの反射光を検出して情報を読み込む。変調記録部ex402は、光ヘッドex401に内蔵された半導体レーザを電気的に駆動し記録データに応じてレーザ光の変調を行う。再生復調部ex403は、光ヘッドex401に内蔵されたフォトディテクタにより記録面からの反射光を電気的に検出した再生信号を増幅し、記録メディアex215に記録された信号成分を分離して復調し、必要な情報を再生する。バッファex404は、記録メディアex215に記録するための情報および記録メディアex215から再生した情報を一時的に保持する。ディスクモータex405は記録メディアex215を回転させる。サーボ制御部ex406は、ディスクモータex405の回転駆動を制御しながら光ヘッドex401を所定の情報トラックに移動させ、レーザスポットの追従処理を行う。システム制御部ex407は、情報再生/記録部ex400全体の制御を行う。上記の読み出しや書き込みの処理はシステム制御部ex407が、バッファex404に保持された各種情報を利用し、また必要に応じて新たな情報の生成・追加を行うと共に、変調記録部ex402、再生復調部ex403、サーボ制御部ex406を協調動作させながら、光ヘッドex401を通して、情報の記録再生を行うことにより実現される。システム制御部ex407は例えばマイクロプロセッサで構成され、読み出し書き込みのプログラムを実行することでそれらの処理を実行する。
【0158】
以上では、光ヘッドex401はレーザスポットを照射するとして説明したが、近接場光を用いてより高密度な記録を行う構成であってもよい。
【0159】
図29に光ディスクである記録メディアex215の模式図を示す。記録メディアex215の記録面には案内溝(グルーブ)がスパイラル状に形成され、情報トラックex230には、予めグルーブの形状の変化によってディスク上の絶対位置を示す番地情報が記録されている。この番地情報はデータを記録する単位である記録ブロックex231の位置を特定するための情報を含み、記録や再生を行う装置において情報トラックex230を再生し番地情報を読み取ることで記録ブロックを特定することができる。また、記録メディアex215は、データ記録領域ex233、内周領域ex232、外周領域ex234を含んでいる。ユーザデータを記録するために用いる領域がデータ記録領域ex233であり、データ記録領域ex233より内周または外周に配置されている内周領域ex232と外周領域ex234は、ユーザデータの記録以外の特定用途に用いられる。情報再生/記録部ex400は、このような記録メディアex215のデータ記録領域ex233に対して、符号化された音声データ、映像データまたはそれらのデータを多重化した多重化データの読み書きを行う。
【0160】
以上では、1層のDVD、BD等の光ディスクを例に挙げ説明したが、これらに限ったものではなく、多層構造であって表面以外にも記録可能な光ディスクであってもよい。また、ディスクの同じ場所にさまざまな異なる波長の色の光を用いて情報を記録したり、さまざまな角度から異なる情報の層を記録したりなど、多次元的な記録/再生を行う構造の光ディスクであってもよい。
【0161】
また、デジタル放送用システムex200において、アンテナex205を有する車ex210で衛星ex202等からデータを受信し、車ex210が有するカーナビゲーションex211等の表示装置に動画を再生することも可能である。なお、カーナビゲーションex211の構成は例えば
図27に示す構成のうち、GPS受信部を加えた構成が考えられ、同様なことがコンピュータex111や携帯電話ex114等でも考えられる。
【0162】
図30Aは、上記実施の形態で説明した動画像復号化方法および動画像符号化方法を用いた携帯電話ex114を示す図である。携帯電話ex114は、基地局ex110との間で電波を送受信するためのアンテナex350、映像、静止画を撮ることが可能なカメラ部ex365、カメラ部ex365で撮像した映像、アンテナex350で受信した映像等が復号化されたデータを表示する液晶ディスプレイ等の表示部ex358を備える。携帯電話ex114は、さらに、操作キー部ex366を有する本体部、音声を出力するためのスピーカ等である音声出力部ex357、音声を入力するためのマイク等である音声入力部ex356、撮影した映像、静止画、録音した音声、または受信した映像、静止画、メール等の符号化されたデータもしくは復号化されたデータを保存するメモリ部ex367、又は同様にデータを保存する記録メディアとのインタフェース部であるスロット部ex364を備える。
【0163】
さらに、携帯電話ex114の構成例について、
図30Bを用いて説明する。携帯電話ex114は、表示部ex358及び操作キー部ex366を備えた本体部の各部を統括的に制御する主制御部ex360に対して、電源回路部ex361、操作入力制御部ex362、映像信号処理部ex355、カメラインタフェース部ex363、LCD(Liquid Crystal Display)制御部ex359、変調/復調部ex352、多重/分離部ex353、音声信号処理部ex354、スロット部ex364、メモリ部ex367がバスex370を介して互いに接続されている。
【0164】
電源回路部ex361は、ユーザの操作により終話及び電源キーがオン状態にされると、バッテリパックから各部に対して電力を供給することにより携帯電話ex114を動作可能な状態に起動する。
【0165】
携帯電話ex114は、CPU、ROM、RAM等を有する主制御部ex360の制御に基づいて、音声通話モード時に音声入力部ex356で収音した音声信号を音声信号処理部ex354でデジタル音声信号に変換し、これを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理し、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。また携帯電話ex114は、音声通話モード時にアンテナex350を介して受信した受信データを増幅して周波数変換処理およびアナログデジタル変換処理を施し、変調/復調部ex352でスペクトラム逆拡散処理し、音声信号処理部ex354でアナログ音声信号に変換した後、これを音声出力部ex357から出力する。
【0166】
さらにデータ通信モード時に電子メールを送信する場合、本体部の操作キー部ex366等の操作によって入力された電子メールのテキストデータは操作入力制御部ex362を介して主制御部ex360に送出される。主制御部ex360は、テキストデータを変調/復調部ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理および周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して基地局ex110へ送信する。電子メールを受信する場合は、受信したデータに対してこのほぼ逆の処理が行われ、表示部ex358に出力される。
【0167】
データ通信モード時に映像、静止画、または映像と音声を送信する場合、映像信号処理部ex355は、カメラ部ex365から供給された映像信号を上記各実施の形態で示した動画像符号化方法によって圧縮符号化し(即ち、本発明の一態様に係る画像符号化装置として機能する)、符号化された映像データを多重/分離部ex353に送出する。また、音声信号処理部ex354は、映像、静止画等をカメラ部ex365で撮像中に音声入力部ex356で収音した音声信号を符号化し、符号化された音声データを多重/分離部ex353に送出する。
【0168】
多重/分離部ex353は、映像信号処理部ex355から供給された符号化された映像データと音声信号処理部ex354から供給された符号化された音声データを所定の方式で多重化し、その結果得られる多重化データを変調/復調部(変調/復調回路部)ex352でスペクトラム拡散処理をし、送信/受信部ex351でデジタルアナログ変換処理及び周波数変換処理を施した後にアンテナex350を介して送信する。
【0169】
データ通信モード時にホームページ等にリンクされた動画像ファイルのデータを受信する場合、または映像およびもしくは音声が添付された電子メールを受信する場合、アンテナex350を介して受信された多重化データを復号化するために、多重/分離部ex353は、多重化データを分離することにより映像データのビットストリームと音声データのビットストリームとに分け、同期バスex370を介して符号化された映像データを映像信号処理部ex355に供給するとともに、符号化された音声データを音声信号処理部ex354に供給する。映像信号処理部ex355は、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法に対応した動画像復号化方法によって復号化することにより映像信号を復号し(即ち、本発明の一態様に係る画像復号装置として機能する)、LCD制御部ex359を介して表示部ex358から、例えばホームページにリンクされた動画像ファイルに含まれる映像、静止画が表示される。また音声信号処理部ex354は、音声信号を復号し、音声出力部ex357から音声が出力される。
【0170】
また、上記携帯電話ex114等の端末は、テレビex300と同様に、符号化器・復号化器を両方持つ送受信型端末の他に、符号化器のみの送信端末、復号化器のみの受信端末という3通りの実装形式が考えられる。さらに、デジタル放送用システムex200において、映像データに音楽データなどが多重化された多重化データを受信、送信するとして説明したが、音声データ以外に映像に関連する文字データなどが多重化されたデータであってもよいし、多重化データではなく映像データ自体であってもよい。
【0171】
このように、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法あるいは動画像復号化方法を上述したいずれの機器・システムに用いることは可能であり、そうすることで、上記各実施の形態で説明した効果を得ることができる。
【0172】
また、本発明はかかる上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形または修正が可能である。
【0173】
(実施の形態8)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置と、MPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1など異なる規格に準拠した動画像符号化方法または装置とを、必要に応じて適宜切替えることにより、映像データを生成することも可能である。
【0174】
ここで、それぞれ異なる規格に準拠する複数の映像データを生成した場合、復号する際に、それぞれの規格に対応した復号方法を選択する必要がある。しかしながら、復号する映像データが、どの規格に準拠するものであるか識別できないため、適切な復号方法を選択することができないという課題を生じる。
【0175】
この課題を解決するために、映像データに音声データなどを多重化した多重化データは、映像データがどの規格に準拠するものであるかを示す識別情報を含む構成とする。上記各実施の形態で示す動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを含む多重化データの具体的な構成を以下説明する。多重化データは、MPEG−2トランスポートストリーム形式のデジタルストリームである。
【0176】
図31は、多重化データの構成を示す図である。
図31に示すように多重化データは、ビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム(PG)、インタラクティブグラフィックスストリームのうち、1つ以上を多重化することで得られる。ビデオストリームは映画の主映像および副映像を、オーディオストリーム(IG)は映画の主音声部分とその主音声とミキシングする副音声を、プレゼンテーショングラフィックスストリームは、映画の字幕をそれぞれ示している。ここで主映像とは画面に表示される通常の映像を示し、副映像とは主映像の中に小さな画面で表示する映像のことである。また、インタラクティブグラフィックスストリームは、画面上にGUI部品を配置することにより作成される対話画面を示している。ビデオストリームは、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠した動画像符号化方法または装置によって符号化されている。オーディオストリームは、ドルビーAC−3、Dolby Digital Plus、MLP、DTS、DTS−HD、または、リニアPCMのなどの方式で符号化されている。
【0177】
多重化データに含まれる各ストリームはPIDによって識別される。例えば、映画の映像に利用するビデオストリームには0x1011が、オーディオストリームには0x1100から0x111Fまでが、プレゼンテーショングラフィックスには0x1200から0x121Fまでが、インタラクティブグラフィックスストリームには0x1400から0x141Fまでが、映画の副映像に利用するビデオストリームには0x1B00から0x1B1Fまで、主音声とミキシングする副音声に利用するオーディオストリームには0x1A00から0x1A1Fが、それぞれ割り当てられている。
【0178】
図32は、多重化データがどのように多重化されるかを模式的に示す図である。まず、複数のビデオフレームからなるビデオストリームex235、複数のオーディオフレームからなるオーディオストリームex238を、それぞれPESパケット列ex236およびex239に変換し、TSパケットex237およびex240に変換する。同じくプレゼンテーショングラフィックスストリームex241およびインタラクティブグラフィックスex244のデータをそれぞれPESパケット列ex242およびex245に変換し、さらにTSパケットex243およびex246に変換する。多重化データex247はこれらのTSパケットを1本のストリームに多重化することで構成される。
【0179】
図33は、PESパケット列に、ビデオストリームがどのように格納されるかをさらに詳しく示している。
図33における第1段目はビデオストリームのビデオフレーム列を示す。第2段目は、PESパケット列を示す。
図33の矢印yy1,yy2,yy3,yy4に示すように、ビデオストリームにおける複数のVideo Presentation UnitであるIピクチャ、Bピクチャ、Pピクチャは、ピクチャ毎に分割され、PESパケットのペイロードに格納される。各PESパケットはPESヘッダを持ち、PESヘッダには、ピクチャの表示時刻であるPTS(Presentation Time−Stamp)やピクチャの復号時刻であるDTS(Decoding Time−Stamp)が格納される。
【0180】
図34は、多重化データに最終的に書き込まれるTSパケットの形式を示している。TSパケットは、ストリームを識別するPIDなどの情報を持つ4ByteのTSヘッダとデータを格納する184ByteのTSペイロードから構成される188Byte固定長のパケットであり、上記PESパケットは分割されTSペイロードに格納される。BD−ROMの場合、TSパケットには、4ByteのTP_Extra_Headerが付与され、192Byteのソースパケットを構成し、多重化データに書き込まれる。TP_Extra_HeaderにはATS(Arrival_Time_Stamp)などの情報が記載される。ATSは当該TSパケットのデコーダのPIDフィルタへの転送開始時刻を示す。多重化データには
図34下段に示すようにソースパケットが並ぶこととなり、多重化データの先頭からインクリメントする番号はSPN(ソースパケットナンバー)と呼ばれる。
【0181】
また、多重化データに含まれるTSパケットには、映像・音声・字幕などの各ストリーム以外にもPAT(Program Association Table)、PMT(Program Map Table)、PCR(Program Clock Reference)などがある。PATは多重化データ中に利用されるPMTのPIDが何であるかを示し、PAT自身のPIDは0で登録される。PMTは、多重化データ中に含まれる映像・音声・字幕などの各ストリームのPIDと各PIDに対応するストリームの属性情報を持ち、また多重化データに関する各種ディスクリプタを持つ。ディスクリプタには多重化データのコピーを許可・不許可を指示するコピーコントロール情報などがある。PCRは、ATSの時間軸であるATC(Arrival Time Clock)とPTS・DTSの時間軸であるSTC(System Time Clock)の同期を取るために、そのPCRパケットがデコーダに転送されるATSに対応するSTC時間の情報を持つ。
【0182】
図35はPMTのデータ構造を詳しく説明する図である。PMTの先頭には、そのPMTに含まれるデータの長さなどを記したPMTヘッダが配置される。その後ろには、多重化データに関するディスクリプタが複数配置される。上記コピーコントロール情報などが、ディスクリプタとして記載される。ディスクリプタの後には、多重化データに含まれる各ストリームに関するストリーム情報が複数配置される。ストリーム情報は、ストリームの圧縮コーデックなどを識別するためストリームタイプ、ストリームのPID、ストリームの属性情報(フレームレート、アスペクト比など)が記載されたストリームディスクリプタから構成される。ストリームディスクリプタは多重化データに存在するストリームの数だけ存在する。
【0183】
記録媒体などに記録する場合には、上記多重化データは、多重化データ情報ファイルと共に記録される。
【0184】
多重化データ情報ファイルは、
図36に示すように多重化データの管理情報であり、多重化データと1対1に対応し、多重化データ情報、ストリーム属性情報とエントリマップから構成される。
【0185】
多重化データ情報は
図36に示すようにシステムレート、再生開始時刻、再生終了時刻から構成されている。システムレートは多重化データの、後述するシステムターゲットデコーダのPIDフィルタへの最大転送レートを示す。多重化データ中に含まれるATSの間隔はシステムレート以下になるように設定されている。再生開始時刻は多重化データの先頭のビデオフレームのPTSであり、再生終了時刻は多重化データの終端のビデオフレームのPTSに1フレーム分の再生間隔を足したものが設定される。
【0186】
ストリーム属性情報は
図37に示すように、多重化データに含まれる各ストリームについての属性情報が、PID毎に登録される。属性情報はビデオストリーム、オーディオストリーム、プレゼンテーショングラフィックスストリーム、インタラクティブグラフィックスストリーム毎に異なる情報を持つ。ビデオストリーム属性情報は、そのビデオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、ビデオストリームを構成する個々のピクチャデータの解像度がどれだけであるか、アスペクト比はどれだけであるか、フレームレートはどれだけであるかなどの情報を持つ。オーディオストリーム属性情報は、そのオーディオストリームがどのような圧縮コーデックで圧縮されたか、そのオーディオストリームに含まれるチャンネル数は何であるか、何の言語に対応するか、サンプリング周波数がどれだけであるかなどの情報を持つ。これらの情報は、プレーヤが再生する前のデコーダの初期化などに利用される。
【0187】
本実施の形態においては、上記多重化データのうち、PMTに含まれるストリームタイプを利用する。また、記録媒体に多重化データが記録されている場合には、多重化データ情報に含まれる、ビデオストリーム属性情報を利用する。具体的には、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置において、PMTに含まれるストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に対し、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示す固有の情報を設定するステップまたは手段を設ける。この構成により、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成した映像データと、他の規格に準拠する映像データとを識別することが可能になる。
【0188】
また、本実施の形態における動画像復号化方法のステップを
図38に示す。ステップexS100において、多重化データからPMTに含まれるストリームタイプ、または、多重化データ情報に含まれるビデオストリーム属性情報を取得する。次に、ステップexS101において、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された多重化データであることを示しているか否かを判断する。そして、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものであると判断された場合には、ステップexS102において、上記各実施の形態で示した動画像復号方法により復号を行う。また、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報が、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠するものであることを示している場合には、ステップexS103において、従来の規格に準拠した動画像復号方法により復号を行う。
【0189】
このように、ストリームタイプ、または、ビデオストリーム属性情報に新たな固有値を設定することにより、復号する際に、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法または装置で復号可能であるかを判断することができる。従って、異なる規格に準拠する多重化データが入力された場合であっても、適切な復号化方法または装置を選択することができるため、エラーを生じることなく復号することが可能となる。また、本実施の形態で示した動画像符号化方法または装置、または、動画像復号方法または装置を、上述したいずれの機器・システムに用いることも可能である。
【0190】
(実施の形態9)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法および装置、動画像復号化方法および装置は、典型的には集積回路であるLSIで実現される。一例として、
図39に1チップ化されたLSIex500の構成を示す。LSIex500は、以下に説明する要素ex501、ex502、ex503、ex504、ex505、ex506、ex507、ex508、ex509を備え、各要素はバスex510を介して接続している。電源回路部ex505は電源がオン状態の場合に各部に対して電力を供給することで動作可能な状態に起動する。
【0191】
例えば符号化処理を行う場合には、LSIex500は、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有する制御部ex501の制御に基づいて、AV I/Oex509によりマイクex117やカメラex113等からAV信号を入力する。入力されたAV信号は、一旦SDRAM等の外部のメモリex511に蓄積される。制御部ex501の制御に基づいて、蓄積したデータは処理量や処理速度に応じて適宜複数回に分けるなどされ信号処理部ex507に送られ、信号処理部ex507において音声信号の符号化および/または映像信号の符号化が行われる。ここで映像信号の符号化処理は上記各実施の形態で説明した符号化処理である。信号処理部ex507ではさらに、場合により符号化された音声データと符号化された映像データを多重化するなどの処理を行い、ストリームI/Oex506から外部に出力する。この出力された多重化データは、基地局ex107に向けて送信されたり、または記録メディアex215に書き込まれたりする。なお、多重化する際には同期するよう、一旦バッファex508にデータを蓄積するとよい。
【0192】
なお、上記では、メモリex511がLSIex500の外部の構成として説明したが、LSIex500の内部に含まれる構成であってもよい。バッファex508も1つに限ったものではなく、複数のバッファを備えていてもよい。また、LSIex500は1チップ化されてもよいし、複数チップ化されてもよい。
【0193】
また、上記では、制御部ex501が、CPUex502、メモリコントローラex503、ストリームコントローラex504、駆動周波数制御部ex512等を有するとしているが、制御部ex501の構成は、この構成に限らない。例えば、信号処理部ex507がさらにCPUを備える構成であってもよい。信号処理部ex507の内部にもCPUを設けることにより、処理速度をより向上させることが可能になる。また、他の例として、CPUex502が信号処理部ex507、または信号処理部ex507の一部である例えば音声信号処理部を備える構成であってもよい。このような場合には、制御部ex501は、信号処理部ex507、またはその一部を有するCPUex502を備える構成となる。
【0194】
なお、ここでは、LSIとしたが、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0195】
また、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路または汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)や、LSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。このようなプログラマブル・ロジック・デバイスは、典型的には、ソフトウェア又はファームウェアを構成するプログラムを、ロードする又はメモリ等から読み込むことで、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法、又は動画像復号化方法を実行することができる。
【0196】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適応等が可能性としてありえる。
【0197】
(実施の形態10)
上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データを復号する場合、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データを復号する場合に比べ、処理量が増加することが考えられる。そのため、LSIex500において、従来の規格に準拠する映像データを復号する際のCPUex502の駆動周波数よりも高い駆動周波数に設定する必要がある。しかし、駆動周波数を高くすると、消費電力が高くなるという課題が生じる。
【0198】
この課題を解決するために、テレビex300、LSIex500などの動画像復号化装置は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別し、規格に応じて駆動周波数を切替える構成とする。
図40は、本実施の形態における構成ex800を示している。駆動周波数切替え部ex803は、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、駆動周波数を高く設定する。そして、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801に対し、映像データを復号するよう指示する。一方、映像データが、従来の規格に準拠する映像データである場合には、映像データが、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、駆動周波数を低く設定する。そして、従来の規格に準拠する復号処理部ex802に対し、映像データを復号するよう指示する。
【0199】
より具体的には、駆動周波数切替え部ex803は、
図39のCPUex502と駆動周波数制御部ex512から構成される。また、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行する復号処理部ex801、および、従来の規格に準拠する復号処理部ex802は、
図39の信号処理部ex507に該当する。CPUex502は、映像データがどの規格に準拠するものであるかを識別する。そして、CPUex502からの信号に基づいて、駆動周波数制御部ex512は、駆動周波数を設定する。また、CPUex502からの信号に基づいて、信号処理部ex507は、映像データの復号を行う。ここで、映像データの識別には、例えば、実施の形態8で記載した識別情報を利用することが考えられる。識別情報に関しては、実施の形態8で記載したものに限られず、映像データがどの規格に準拠するか識別できる情報であればよい。例えば、映像データがテレビに利用されるものであるか、ディスクに利用されるものであるかなどを識別する外部信号に基づいて、映像データがどの規格に準拠するものであるか識別可能である場合には、このような外部信号に基づいて識別してもよい。また、CPUex502における駆動周波数の選択は、例えば、
図42のような映像データの規格と、駆動周波数とを対応付けたルックアップテーブルに基づいて行うことが考えられる。ルックアップテーブルを、バッファex508や、LSIの内部メモリに格納しておき、CPUex502がこのルックアップテーブルを参照することにより、駆動周波数を選択することが可能である。
【0200】
図41は、本実施の形態の方法を実施するステップを示している。まず、ステップexS200では、信号処理部ex507において、多重化データから識別情報を取得する。次に、ステップexS201では、CPUex502において、識別情報に基づいて映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものであるか否かを識別する。映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合には、ステップexS202において、駆動周波数を高く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、高い駆動周波数に設定される。一方、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、ステップexS203において、駆動周波数を低く設定する信号を、CPUex502が駆動周波数制御部ex512に送る。そして、駆動周波数制御部ex512において、映像データが上記各実施の形態で示した符号化方法または装置によって生成されたものである場合に比べ、低い駆動周波数に設定される。
【0201】
さらに、駆動周波数の切替えに連動して、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を変更することにより、省電力効果をより高めることが可能である。例えば、駆動周波数を低く設定する場合には、これに伴い、駆動周波数を高く設定している場合に比べ、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することが考えられる。
【0202】
また、駆動周波数の設定方法は、復号する際の処理量が大きい場合に、駆動周波数を高く設定し、復号する際の処理量が小さい場合に、駆動周波数を低く設定すればよく、上述した設定方法に限らない。例えば、MPEG4−AVC規格に準拠する映像データを復号する処理量の方が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置により生成された映像データを復号する処理量よりも大きい場合には、駆動周波数の設定を上述した場合の逆にすることが考えられる。
【0203】
さらに、駆動周波数の設定方法は、駆動周波数を低くする構成に限らない。例えば、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を高く設定し、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、LSIex500またはLSIex500を含む装置に与える電圧を低く設定することも考えられる。また、他の例としては、識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合には、CPUex502の駆動を停止させることなく、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合には、処理に余裕があるため、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。識別情報が、上記各実施の形態で示した動画像符号化方法または装置によって生成された映像データであることを示している場合であっても、処理に余裕があれば、CPUex502の駆動を一時停止させることも考えられる。この場合は、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する映像データであることを示している場合に比べて、停止時間を短く設定することが考えられる。
【0204】
このように、映像データが準拠する規格に応じて、駆動周波数を切替えることにより、省電力化を図ることが可能になる。また、電池を用いてLSIex500またはLSIex500を含む装置を駆動している場合には、省電力化に伴い、電池の寿命を長くすることが可能である。
【0205】
(実施の形態11)
テレビや、携帯電話など、上述した機器・システムには、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力される場合がある。このように、異なる規格に準拠する複数の映像データが入力された場合にも復号できるようにするために、LSIex500の信号処理部ex507が複数の規格に対応している必要がある。しかし、それぞれの規格に対応する信号処理部ex507を個別に用いると、LSIex500の回路規模が大きくなり、また、コストが増加するという課題が生じる。
【0206】
この課題を解決するために、上記各実施の形態で示した動画像復号方法を実行するための復号処理部と、従来のMPEG−2、MPEG4−AVC、VC−1などの規格に準拠する復号処理部とを一部共有化する構成とする。この構成例を
図43Aのex900に示す。例えば、上記各実施の形態で示した動画像復号方法と、MPEG4−AVC規格に準拠する動画像復号方法とは、エントロピー符号化、逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償などの処理において処理内容が一部共通する。共通する処理内容については、MPEG4−AVC規格に対応する復号処理部ex902を共有し、MPEG4−AVC規格に対応しない、本発明の一態様に特有の他の処理内容については、専用の復号処理部ex901を用いるという構成が考えられる。特に、本発明の一態様は、エントロピー復号に特徴を有していることから、例えば、エントロピー復号については専用の復号処理部ex901を用い、それ以外の逆量子化、デブロッキング・フィルタ、動き補償のいずれか、または、全ての処理については、復号処理部を共有することが考えられる。復号処理部の共有化に関しては、共通する処理内容については、上記各実施の形態で示した動画像復号化方法を実行するための復号処理部を共有し、MPEG4−AVC規格に特有の処理内容については、専用の復号処理部を用いる構成であってもよい。
【0207】
また、処理を一部共有化する他の例を
図43Bのex1000に示す。この例では、本発明の一態様に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1001と、他の従来規格に特有の処理内容に対応した専用の復号処理部ex1002と、本発明の一態様に係る動画像復号方法と他の従来規格の動画像復号方法とに共通する処理内容に対応した共用の復号処理部ex1003とを用いる構成としている。ここで、専用の復号処理部ex1001、ex1002は、必ずしも本発明の一態様、または、他の従来規格に特有の処理内容に特化したものではなく、他の汎用処理を実行できるものであってもよい。また、本実施の形態の構成を、LSIex500で実装することも可能である。
【0208】
このように、本発明の一態様に係る動画像復号方法と、従来の規格の動画像復号方法とで共通する処理内容について、復号処理部を共有することにより、LSIの回路規模を小さくし、かつ、コストを低減することが可能である。