特許第6222593号(P6222593)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6222593
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】水道メータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/06 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   G01F1/06 B
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-113950(P2017-113950)
(22)【出願日】2017年6月9日
【審査請求日】2017年6月16日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】511178681
【氏名又は名称】株式会社 Toshin
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(74)【代理人】
【識別番号】100128071
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 正樹
(72)【発明者】
【氏名】乙黒 孝一
(72)【発明者】
【氏名】土谷 敦利
【審査官】 森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−99297(JP,A)
【文献】 実公昭35−12375(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入管及び流出管を有するアウターケースと、
アウターケース内に収容され計量部材を備えるインナーケースと、を備え、
インナーケースの外周面に装着されたシール部材を介してアウターケースの内周面に圧接される水道メータであって、
アウターケースの内周面は、第1内周面と第2内周面とを、備え、第1内周面はアウターケースの内周面のうち、流出管の流出口の下端部を下辺位置とする内周面であり、第2内周面はアウターケースの内周面のうち、流出管の流出口の下端部を上辺位置とする内周面であり、
第2内周面が第1内周面よりアウターケース内側に突出していると共に第1内周面の下端と第2内周面の上端との間には段差部が形成され、
第1内周面の内径はインナーケースの外周面に装着されたシール部材の外径より大きく形成される一方、第2内周面の内径はインナーケースの外周面に装着されたシール部材の外径より小さく形成され、
インナーケースをアウターケース内に収容する際には、インナーケースの外周面に装着されたシール部材とアウターケースの第1内周面との間には隙間が形成されることでインナーケースが挿入され、インナーケースの外周面に装着されたシール部材が第1内周面から段差部を介して第2内周面にガイドされることで第2内周面に圧接される水道メータ。
【請求項2】
前記第1内周面は、アウターケースの内周面のうち、流入管の流入口の上端部及び流出管の流出口の下端部を下辺位置とする内周全面であり、
前記第2内周面は、アウターケースの内周面のうち、流入管の流入口の上端部及び流出管の流出口の下端部を上辺位置とする内周全面である請求項1に記載の水道メータ。
【請求項3】
前記段差部は、前記第1内周面の下端から第2内周面の上端に向かう傾斜面を有する請求項に記載の水道メータ。
【請求項4】
前記段差部は、前記第1内周面の下端から第2内周面の上端に向かうR面を有する請求項に記載の水道メータ。
【請求項5】
前記第2内周面は、前記アウターケースの流入口の上側部分の一部を塞ぐ上部壁及び流出口の下側部分の一部を塞ぐ下部壁の各壁面を備える請求項1乃至のいずれかに記載の水道メータ。
【請求項6】
前記シール部材は、インナーケースの外周面に沿って一体に設けられた凹溝に嵌め込み固定されるOリングからなる請求項1に記載の水道メータ。
【請求項7】
前記流入管はアウターケースに設けられた流入口に向かう下向きの傾斜部を有し、流出管はアウターケースに設けられた流出口に向かう上向きの傾斜部を有している請求項1に記載の水道メータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道管に連結されるアウターケースと、アウターケースの計量室内に羽根車などの計量部材を備えたインナーケースと、を備えた水道メータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に使用されている水道メータは、水道管に連結される流入管と流出管との間に有底円筒状の計量室を有するアウターケースと、羽根車などの計量部材を有して前記計量室内に収容されるインナーケースと、を備えた構成のものが多い(特許文献1,2)。前記インナーケースは、シール部を介してアウターケースの内周面に水密に装着されることによって、アウターケース内が上流側流路と下流側流路とに分けられる。そして、上流側流路を流れる水が羽根車を回転させ、下流側流路から流出することで流量が計測される。このとき、流入管から流入した水が、羽根車を回転させることなく流出管から流出してしまうことがないように、インナーケースと計量室との間のシールを確実に行う必要がある。
【0003】
特許文献2,3には、アウターケースの計量室の内周面とインナーケースの外周面とをOリングによってシールし、前記上流側流路と下流側流路とに分離した構造の水道メータが開示されている。
【0004】
水道メータは地中に埋設されるため、凍結による影響を受けないように、特にアウターケースにあっては、水道管と同様、強度が高く、さびに強い真鍮などの鋳造体によって形成されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−244062号公報
【特許文献2】特開2016−099297号公報
【特許文献3】特開2017−049032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の水道メータの多くは、アウターケースが鋳物で作られている。そのため、インナーケースを支持する棚部を、計量室内に形成することが比較的容易である。しかしながら、アウターケースがプラスチックで作られる場合は、計量室内にインナーケースを支持するための棚部を射出成形によって形成することは容易ではない。また、射出成形で作る場合には製造コストも掛かる。そのため、一般的には計量室の内周面にインナーケースの外周面を圧接することによってインナーケースを支持することになり、インナーケースの装着を安定して行うことが容易ではなかった。
【0007】
また、前記インナーケースによって、アウターケース内を上流側流路と下流側流路とに水密に分離するために、Oリング等のシール部材が必要となる。しかし、Oリングをインナーケースに装着した状態で計量室の開放口からインナーケースを挿入する際に、Oリングが計量室の内周面に引っ掛かってねじれて損傷や破損が生じる場合があり、これによって、アウターケース内の上流側流路と下流側流路との水密分離が不十分となるおそれがあった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、アウターケースの計量室内にインナーケースを支持するための棚部を形成することなく、インナーケースがアウターケースの所定位置で確実に圧接支持されると共に、前記アウターケース内を上流側流路と下流側流路とに水密に分離することのできる水道メータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の水道メータは、流入管及び流出管を有するアウターケースと、アウターケース内に収容され計量部材を備えるインナーケースと、を備え、インナーケースの外周面に装着されたシール部材を介してアウターケースの内周面に圧接される水道メータであって、アウターケースの内周面は、第1内周面と第2内周面とを、備え、第1内周面はアウターケースの内周面のうち、流出管の流出口の下端部を下辺位置とする内周面であり、第2内周面はアウターケースの内周面のうち、流出管の流出口の下端部を上辺位置とする内周面であり、第2内周面が第1内周面よりアウターケース内側に突出していると共に第1内周面の下端と第2内周面の上端との間には段差部が形成され、第1内周面の内径はインナーケースの外周面に装着されたシール部材の外径より大きく形成される一方、第2内周面の内径はインナーケースの外周面に装着されたシール部材の外径より小さく形成され、インナーケースをアウターケース内に収容する際には、インナーケースの外周面に装着されたシール部材とアウターケースの第1内周面との間には隙間が形成されることでインナーケースが挿入され、インナーケースの外周面に装着されたシール部材が第1内周面から段差部を介して第2内周面にガイドされることで第2内周面に圧接される。
【0010】
また、本発明に係る水道メータの一実施形態では、前記第1内周面の下端と第2内周面の上端との間に段差部が形成されている。この段差部は、第1内周面の下端から第2内周面の上端に向かう傾斜面又はR面を有している。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る水道メータによれば、インナーケースをアウターケース内に収容する際、シール部材が第1内周面に接触することなく、第1内周面よりアウターケース内側に突出する第2内周面に圧接させることができる。これによって、前記シール部材が流出口を塞いだり、損傷や破損等したりすることなく、アウターケース内にインナーケースを水密に装着することができる。
【0012】
また、第1内周面の下端から第2内周面の上端に向かう傾斜面又はR面等の段差部を有することによって、シール部材の第2内周面への圧接が抵抗なくスムーズになされる。そのため、前記シール部材の圧接時における損傷を効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明に係る水道メータの内部構造を示す斜視断面図である。
図2】水道メータの側面断面図である。
図3】アウターケース及びインナーケースの組立斜視図である。
図4】インナーケースの斜視断面図である。
図5】アウターケースの流入口側を示す斜視図である。
図6】アウターケースの流出口側を示す斜視図である。
図7】インナーケースの斜視図である。
図8】インナーケースの組み付け手段を示す説明図である。
図9】第1内周面の下端と第2内周面の上端とに間に形成される段差部の形状を示す要部断面図である。
図10】第2内周面を流出口の下端の位置に限定して設けたアウターケースの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る水道メータの一実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1及び図2は水道メータ11の断面図、図3はアウターケース12とインナーケース13の組み付け前の斜視図を示したものである。
【0015】
水道メータ11は、図1乃至図3に示したように、水道管(図示せず)に連結されるアウターケース12と、前記アウターケース12に組み込まれるインナーケース13とを備える。前記インナーケース13内には羽根車21等の計量部材が配置されている。前記アウターケース12は、図3に示したように、有底円筒状の計量室16を内部に有し、この計量室16から突出する流入管14及び流出管15を備えている。流入管14は水道管(図示せず)の上流側に、流出管15は水道管の下流側に連結される。インナーケース13は、図3及び図4に示したように、前記計量室16の底部17に位置決めされる円形状の底面18と、前記計量室16の内周面19に沿って配置される円筒状の外周面20とを有している。前記底面18の中心部には、羽根車21を回転可能に軸支持するシャフト22が設けられている。アウターケース12は、低廉且つ軽量化を図るため、エンジニアリングプラスチックによって所定形状に成形される。また、インナーケース13は、汎用プラスチックによって形成される。
【0016】
前記計量室16は、その周囲にアウターケース12の内周面19を有する。この内周面19は、開口部23と略同一の内径を有する第1内周面34と、この第1内周面34の下方にあって、計量室16の内側に突出する第2内周面35とを備える。第2内周面35は、第1内周面34よりアウターケース12の内側に突出しており、第2内周面35の内径が第1内周面34の内径より小さい。前記第1内周面34は、計量室16の内周面19のうち、流出管15の流出口26の下端部を下辺位置とする内周面である。また、前記第2内周面35は、計量室16の内周面19のうち、流出管15の流出口26の下端部を上辺位置とする内周面である。特に、この実施形態では、前記第1内周面34は、計量室16の内周面19のうち、図5に示すように、流入管14の流入口25の上端部及び図6に示すように、流出管15の流出口26の下端部を下辺位置とする内周全面である。また、前記第2内周面35は、計量室16の内周面19のうち、流入管14の流入口25の上端部及び流出管15の流出口26の下端部を上辺位置とする内周全面である。また、前記第1内周面34の下端と第2内周面35の上端との間には段差部50が形成されている。この段差部50は、前記計量室16の内周面19の全周面に設けられる。この実施形態では、段差部50は、流入管14の流入口25の上端部と流出管15の流出口26の下端部とをつなぐ連続した斜めの楕円形状を内周面16に形成している。
【0017】
図2に示したように、前記流入管14の連結口31a及び流出管15の連結口31bは、水道管との取付位置との関係で、それぞれの中心が水平軸O上に設定されている。これに対して、計量室16に設けられる流入口25は、流入管14の連結口31aから底部17側に向けて下方に傾斜した傾斜部14aを有して計量室16に連通している。一方、流出口26は、流出管15の連結口31bから開口部23側に向けて上方に傾斜した傾斜部15aを有して計量室16に連通している。前記第2内周面35は、流出口26の周縁部に位置する第1内周面34よりアウターケース12の計量室16内側に突出している。また、図3に示したように、前記流入口25には上側部分の一部を塞ぐ上部壁32、流出口26には下側部分の一部を塞ぐ下部壁33が設けられている。なお、前記段差部50は、上部壁32の壁面及び下部壁33の壁面にも形成される。
【0018】
また、計量室16の底部17にはインナーケース13の底面18を位置決めする載置部24が設けられている。第2内周面35には流入管14と連通する流入口25が設けられている。第1内周面34には流出管15と連通する流出口26が設けられている。図1及び図2に示すように、前記開口部23は、インナーケース13がアウターケース12に挿入された後、このインナーケース13上にレジスタケース27aを載置することによって水密に封止される。レジスタケース27a内には、インナーケース13に収容されている羽根車21の回転数をカウントして流量を表示するレジスタ部27が組み込まれている。
【0019】
前記載置部24は、計量室16内でのインナーケース13の位置を規制するものである。また、その中心部にインナーケース13の底面18から位置決め突起部28が下方に突出している。この位置決め突起部28は、載置部24に形成された位置決め凹部29に嵌合される。この位置決め凹部29は所定の高さの壁部30を有し、この壁部30の高さによって計量室16内におけるインナーケース13の高さ位置が規制される。
【0020】
前記インナーケース13は、図4に示したように、外周面20の下方側に流入ノズル38を有し、上方側に流出ノズル39を有する。流入ノズル38及び流出ノズル39は、それぞれ計量室16の流入口25及び流出口26と向かい合う位置に設定されている。前記流入管14から流入口25を通して流れる水は、前記流入ノズル38を介してインナーケース13内に導かれて羽根車21を回転させる。前記流出ノズル39は、羽根車21を回転させた水を流出口26から流出管15に導く。また、前記外周面20には、下方側と上方側との境界面に沿ってシール部40が設けられる。このシール部40は、前記計量室16の内周面19に圧接される。このシール部40の内周面19への圧接によって、計量室16内を流入管14と連通する上流側流路と、流出管15と連通する下流側流路とが水密に分離される。
【0021】
前記シール部40は、インナーケース13の外周面20に沿って突出するフランジ部41と、このフランジ部41内に装着されるシール部材としてのOリング42とを有する。フランジ部41は、インナーケース13と一体に設けられている。図7に示すように、シール部40は、インナーケース13の外周面20に楕円形状に形成されている。この楕円形状は、計量室16の内周面19に形成された段差部50の楕円形状に対応している。前記フランジ部41には、外側に向けて開口した凹溝43が設けられ、この凹溝43内に一部が外側にはみ出すようにしてOリング42が嵌め込まれている。このように、シール部40は、凹溝43を有しているので、Oリング42を容易に装着させることができる。また、凹溝43にOリング42を装着した状態で計量室16の内周面19に沿ってインナーケース13を挿入する際にも、Oリング42が凹溝43から簡単に脱落することがない。さらに、前記Oリング42が前記計量室16内の第2内周面35に圧接して凹溝43内でつぶれるように撓むことで、フランジ部41の外周面を計量室16の内周面に密接した状態で固定することができる。
【0022】
本実施形態では、計量室16の内周面19とインナーケース13の外周面20との間に一定のスペースを設けている。そして、インナーケース13の外周面20から突出するフランジ部41を設け、このフランジ部41に設けた凹溝43にOリング42を嵌め込み固定している。このようなスペースを要しない場合は、フランジ部41を設けずに、インナーケース13の外周面20に凹溝を設け、この凹溝にOリングを嵌め込み固定してもよい。また、Oリング以外のシール部材であっても構わない。
【0023】
次に、前記インナーケース13をアウターケース12の計量室16内に組み付ける場合を説明する。先ず、図3及び図8に示すように、前記計量室16内の段差部50とインナーケース13のシール部40との楕円軌道が一致するような向きで、インナーケース13を開口部23から挿入する。その際、インナーケース13は、内径の広い第1内周面34を通るため、シール部40が第1内周面34に接触することなくスムーズに挿入される。次に、流出口26側に面したシール部40が流出口26を超えたところで、第2内周面35の段差部50にシール部40のOリング42が当接する。そして、インナーケース13をさらに下方に押圧することによって、シール部40が段差部50を介して、Oリング42がつぶれるように撓んで第2内周面35に圧接される。この実施形態において、前記段差部50は、前記第1内周面34の下端から第2内周面35の上端に向かう傾斜面50aを有している。
【0024】
前記第1内周面34の内径は、フランジ部41にOリング42が装着されたインナーケース13の外径より僅かに大きい。一方、第2内周面35の内径は、前記インナーケース13のOリング42の外径より僅かに小さい。このため、図8に示したように、インナーケース13をアウターケース12の開口部23から挿入する際には、Oリング42の外周面と計量室16の内周面19との間に隙間Gが形成される。そして、この隙間Gによって、フランジ部41にOリング42が装着されたインナーケース13を計量室16の開口部23から前記第2内周面35に向けて抵抗なく挿入することができる。さらに挿入することで、第2内周面35の上端に形成されている段差部50にOリング42が当接し、そのまま押し込むことで、Oリング42がつぶれようにして段差部50の傾斜面50aを介して第2内周面35に圧接される。そして、図3に示したように、インナーケース13の底面18に設けられている位置決め突起部28が、計量室16の底部17に設けられている位置決め凹部29に嵌合することで、インナーケース13の位置が定まる。
【0025】
また、流出口26側の下部壁33は、流入口側の上部壁32よりも下方に位置している。そのため、計量室16内にインナーケース13を挿入する際、流出口26側に面したフランジ部41が流出口26を超えた時点で下部壁33の壁面に圧接される。このように、Oリング42が流出口26の周縁に引っ掛かることがないので、流出口26の開口を確保した状態で流入口25からの漏水を確実に防止することができる。
【0026】
図9は前記段差部50の各種の断面形状を示したものである。(a)に示したように、段差部50は、第1内周面34の下端から第2内周面35の上端に向かう傾斜面50aを有している。また、(b)に示したように、段差部50は、第1内周面34の下端から第2内周面35の上端に向かうR面50bを有している。このR面50bは段差部50の上端角部に設けられる。このように、前記段差部50を流出口26の下端部に位置する第1内周面34の下端から第2内周面35の上端に向けて下向きの傾斜面50aあるいはR面50bとすることで、Oリング42を損傷することなく、シール部40のOリング42を第2内周面35にガイドして圧接させることができる。なお、第1内周面34と第2内周面35との段差が小さい場合には、段差部50は上記のような傾斜面50aやR面50bを有することなく、上端角部にエッジを有していてもよい。なお、図9に示した符号AはOリング42の線径幅を示す。符号BはOリング42のフランジ部41からのはみ出し幅を示す。符号Cはフランジ部41と第1内周面34との隙間を示す。符号Dは第2内周面35の第1内周面34からの突出幅を示す。符号Eはインナーケース13をアウターケース12内に装着した際のフランジ部41と第2内周面35との最小隙間を示す。前記A〜Eの寸法は、Oリング42のつぶし率等に応じて適宜設定される。
【0027】
上記実施形態では、アウターケース12の内周面19の内、上方側の全周面が第1内周面34、下方側の全周面が第2内周面35となっている。しかし、図10に示すように、アウターケース12の内周面であり、流出口26の下端の位置に限定して、アウターケース12の内側に突出する第2内周面35’を設けてもよい。この場合であっても、シール部40が流出口26を塞いだり、引っ掛かったりすることなく、インナーケース13をアウターケース12の計量室16内に挿入することができる。その結果、所定の挿入位置で確実に第2内周面35’にインナーケース13のシール部材を圧接させることができる。
【符号の説明】
【0028】
11 水道メータ
12 アウターケース
13 インナーケース
14 流入管
14a 傾斜部
15 流出管
15a 傾斜部
16 計量室
17 底部
18 底面
19 内周面
20 外周面
21 羽根車
22 シャフト
23 開口部
24 載置部
25 流入口
26 流出口
27 レジスタ部
27a レジスタケース
28 位置決め突起部
29 位置決め凹部
30 壁部
31a 連結口
31b 連結口
32 上部壁
33 下部壁
34 第1内周面
35 第2内周面
35´ 第2内周面
38 流入ノズル
39 流出ノズル
40 シール部
41 フランジ部
42 Oリング(シール部材)
43 凹溝
50 段差部
50a 傾斜面
50b R面
【要約】
【課題】 アウターケースの計量室内にインナーケースを支持するための突起部を形成することなく、インナーケースが所定位置で確実に支持されると共に、前記アウターケース内を上流側流路と下流側流路とに水密に分離することのできる水道メータを提供することである。
【解決手段】 アウターケース12の内周面は、第1内周面34と第2内周面35とを備え、第1内周面34はアウターケース12の内周面のうち、流出管15の流出口26の下端部を下辺位置とする内周面であり、第2内周面35はアウターケース12の内周面のうち、流出管15の流出口26の下端部を上辺位置とする内周面であり、第2内周面35が第1内周面34よりアウターケース12内側に突出していると共に、第2内周面35にインナーケース13の外周面がシール部材42を介して圧接される水道メータ11。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10