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特許6222602複合式ブレードモジュール及びそれを用いる裁断機構
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222602
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】複合式ブレードモジュール及びそれを用いる裁断機構
(51)【国際特許分類】
   B26D 1/00 20060101AFI20171023BHJP
   B26D 1/40 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B26D1/00
   B26D1/40 501B
   B26D1/40 501C
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-270944(P2013-270944)
(22)【出願日】2013年12月27日
(65)【公開番号】特開2015-85506(P2015-85506A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2013年12月27日
【審判番号】不服2016-3326(P2016-3326/J1)
【審判請求日】2016年3月3日
(31)【優先権主張番号】102139353
(32)【優先日】2013年10月30日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】506069527
【氏名又は名称】全利機械股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】蔡 東義
【合議体】
【審判長】 栗田 雅弘
【審判官】 長清 吉範
【審判官】 渡邊 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭47−7996(JP,A)
【文献】 実開昭62−150092(JP,U)
【文献】 米国特許第4131047(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0078275(US,A1)
【文献】 特開平11−171583(JP,A)
【文献】 特開昭50−69680(JP,A)
【文献】 米国特許第5125302(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 1/25 - 1/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エッジ面および背面を有する1つのブレードと、
粘着剤と
前記粘着剤を介して前記ブレードのエッジ面の一部に粘着する第1の弾性層(122)と、及び
前記粘着剤を介して前記ブレードの背面の全面に粘着する第2の複数弾性層(121、123)と、から構成され、
前記ブレードを挟持するブレード冶具(24)によってネジ止めされて、1つの裁断機構に設置される複合式ブレードモジュールであって、
前記裁断機構は、外部に露出する前記ブレードのエッジ面を利用して、1つの被裁断物に対して裁断を行うことを特徴とする複合式ブレードモジュール。
【請求項2】
前記ブレードのエッジ面の一部、及び前記背面の全面に一層或いは複数層の弾性層が粘着することを特徴とする請求項1に記載の複合式ブレードモジュール。
【請求項3】
一定の間隔毎に1つの下ローラブレード設置され1つの下ローラと、
1つの上ローラブレード、前記上ローラブレードのエッジ面の一部背面の全面に粘着剤を介して粘着する、それぞれ第1の弾性層と第2の複数弾性層を含む1つの複合式ブレードモジュール、及び上ローラの一側面に固定されて、複合式ブレードモジュールを挟持するブレード治具(24)を含み、前記下ローラ上方に設置され1つの上ローラと、及び
前記上ローラと前記下ローラとの間に送込まれる1つの被裁断物と、
からなる裁断機構であって、
前記下ローラは既定の方向に回転を行うことで、前記下ローラのエッジ面と前記上ローラの外部に露出するエッジ面とが1つの傾斜角度において互いにすり合って被裁断物を裁断することを特徴とする裁断機構。
【請求項4】
前記上ローラを回転させることによって前記上ローラブレードと前記下ローラブレードとがすり合う際の傾斜角度を調整することを特徴とする請求項に記載の裁断機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に裁断機構において被裁断物に対して裁断を行う複合式ブレードモジュール及びそれを用いる裁断機構に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、裁断ブレードモジュールは互いに相対する二組のスチール製のブレードをそれぞれ各金属ローラ体構成に固定し、ブレード同士をすり合わせることで、例えば製紙、繊維或いはプラスチックの原料等の一薄型被裁断物に対して裁断を行っている。そのうち、ブレードの厚さが厚い場合、たとえ硬度の要求を達したとしても、弾性又は靭性が不足していると、ブレード同士をすり合わせる際、接触の衝撃力が大きいため、ブレードの刃部或いはその構成の損傷を招き易く、また金属ブレード間の強力な衝撃は極めて大きい金属衝撃音が生じ、もしその衝撃力がさらに大きいと、裁断機構の振動を引き起こす恐れもある。一方、ブレードの厚さが薄い場合、確かに望ましい弾性を有しているが、剛性が不足しているため、裁断の結果、しばしば好ましいものができないでいる。
【0003】
また、ブレードは裁断を行っている最中に磨損或いは断裂し易く、しばしば稼働を止めブレードの交換を行わなければないため、生産能力が低減し、生産効率に影響を及ぼしている。さらにはブレードが断裂した際、その破片が機構中に巻き込まれ、その他の部分に損傷をもたらし、多大な影響を及ぼすこともある。
【0004】
また、裁断機構が稼働している際に発生する熱エネルギーは金属ローラ体よりブレードに伝導し、ブレードの熱膨張又は冷収縮により変形が発生し、裁断工程においてポジショニング偏移が発生するという問題が起こり、裁断の精確性に影響を及ぼしている。
【0005】
これ等を鑑み、本発明はブレード表面に少なくとも一弾性層を粘着し、ブレードの運用寿命を延長するだけでなく、断裂したブレードが飛び散ったりしないようにすることができ、且つ裁断工程における裁断の精確性の強化及び金属衝撃音の低下を図り、安全性を強化することができる複合式ブレードモジュールを提供することが目的である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、一ブレードと、ブレードのエッジ面及び/或いは背面のどちらかに粘着する少なくとも一弾性層を包括する複合式ブレードモジュール及びそれを用いる裁断機構を提供するものであって、裁断機構が複合式ブレードモジュールを使用して一被裁断物を裁断する際、弾性層は衝撃を緩衝する一緩衝体としてブレード同士の衝撃力を吸収し、ブレードの断裂を低減することで、ブレードの運用寿命を延長している。
【0007】
本発明のもう一つの目的は、粘着性を有する弾性層をブレード表面に粘着し、たとえブレードが裁断工程中に断裂したとしても、断裂したブレードは弾性層に付着し、断裂したブレードが裁断機構中に巻き込まれて損傷したり飛び散ったりして発生する人員の危険を回避できるため、裁断時の安全を確保できる複合式ブレードモジュール及びそれを用いる裁断機構を提供するものである。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、裁断機構が複合しくブレードを使用して裁断を行う場合、ブレード上に作用する衝撃力は弾性層に緩衝して吸収されることで、裁断工程中に発生する金属衝撃音を低減する複合式ブレードモジュール及びそれを用いる裁断機構を提供するものである。
【0009】
本発明のもう一つの目的は、ブレード表面に少なくとも適切な材質、適切な厚さを選出して一弾性層を粘着することで、裁断機構に対する剛性或いは靭性の需要を適合する複合式ブレードモジュールを得る複合式ブレードモジュール及びそれを用いる裁断機構を提供するものである。
【0010】
本発明のもう一つの目的は、裁断機構を稼働する場合、弾性体は裁断機構の稼働時に発生する熱エネルギーがブレードに伝導することを遮断し、ブレードの熱膨張又は冷収縮によるポジショニング偏移が発生するという問題が起こり、裁断の精確性に影響を及ぼすことを未然に防ぐ複合式ブレードモジュール及びそれを用いる裁断機構を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するため、本発明は、一ブレードと、ブレードのエッジ面及び/或いは背面のどちらかに粘着する少なくとも一弾性層とを包括して一裁断機構に設置する複合式ブレードモジュールであって、裁断機構は外部に露出するブレードのエッジ面を利用して一被裁断物に対して裁断を行っている。
【0012】
本発明の一実施例において、ブレードのエッジ面及び/或いは背面の一部に一層或いは多層の弾性層が粘着している。
【0013】
本発明の一実施例において、各弾性層は裁断機構の複合式ブレードに対する剛性或いは靭性の需要に基づき、厚さの調整及び材質の選出を行っている。
【0014】
本発明の一実施例において、弾性層は一軟性金属材質或いは一コロイド材質である。
【0015】
本発明の一実施例において、各弾性層はブレードが受ける力の方向に基づき、ブレードのエッジ面及び/或いは背面の一部にどちらかに設けている。
【0016】
本発明は、一定の間隔毎に一下ローラブレードを設置する一下ローラと、一上ローラブレード及び上ローラブレードのエッジ面及び/或いは背面のどちらかに粘着する少なくとも一弾性層を含む一複合式ブレードモジュール、及び上ローラの一側面に固定し、複合式ブレードモジュールを挟持するブレード治具を含み、下ローラ上方に設置する一上ローラと、上ローラと下ローラとの間に送込まれる一被裁断物とを包括する裁断機構をさらに提供するものであって、下ローラは既定の一方向に回転を行うことで、下ローラのエッジ面と上ローラの外部に露出するエッジ面とが一傾斜角度において互いにすり合って被裁断物を裁断している。
【0017】
本発明の一実施例において、上ローラを転動することによって上ローラブレードと下ローラブレードとがすり合う際の傾斜角度を調整している。
【0018】
本発明は、ローラ面の一定の間隔毎にそれぞれ一回転ローラブレード及び回転ローラブレードのエッジ面の一部に粘着する少なくとも一第一弾性層を含む一第一複合式ブレードモジュールを配置し、そのうち、各第一弾性層はそれぞれ一第一固定板を設置し、各第一固定板を利用して各第一複合式ブレードモジュールを回転ローラのローラ面に固定する一回転ローラと、回転ローラの傍に設置し、ローラ面に一固定ローラ一ブレード及び固定ローラブレードのエッジ面の一部に粘着する少なくとも一第二弾性層を包括する一第二複合式ブレードモジュールを配置し、そのうち、第二弾性層は一第二固定板を設置し、第二固定板を利用して第二複合式ブレードモジュールを固定ローラのローラ面に固定する一固定ローラと、回転ローラと固定ローラとの間に送込まれる一被裁断物とを包括する裁断機構をさらにまた提供するものであって、回転ローラは既定の一方向に回転を行うことで、回転ローラの外部に露出するエッジ面と固定ローラの外部に露出するエッジ面とが水平角度において互いにすり合って被裁断物を裁断している。
【0019】
本発明に係る一実施例において、第二複合式ブレードモジュールはさらに固定ローラブレードの背面と固定ローラのローラ面との間に粘着する少なくとも一第三弾性層を包括している。
【0020】
本発明に係る一実施例において、固定ローラブレード或いは回転ローラブレードのうちのどれかを一直線状ブレード或いは一鋸歯状ブレードとしている。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係る複合式ブレードモジュールの一実施例を表す構造模式図である。
図2】本発明に係る複合式ブレードモジュールのその他の一実施例を表す構造模式図である。
図3】本発明に係る複合式ブレードモジュールのその他の一実施例を表す構造模式図である。
図4】本発明に係る複合式ブレードモジュールを用いる裁断機構の一応用実施例を表す構造模式図である。
図5】本発明に係る図4において図示された複合式ブレードモジュールの部分拡大図である。
図6】本発明に係る複合式ブレードモジュールを用いる裁断機構のその他の一応用実施例を表す構造模式図である。
図7】本発明に係る第一複合式ブレードモジュールを設置する回転ローラを表す立体構造分解図である。
図8】本発明に係る第一複合式ブレードモジュールを設置する回転ローラを表す部分構造組立図である。
図9】本発明に係る第二複合式ブレードモジュールを設置する固定ローラを表す立体構造分解図である。
図10】本発明に係る第二複合式ブレードモジュールを設置する固定ローラを表す部分構造組立図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
まず、図1乃至図3を参照すると、それぞれが本発明に係る複合式ブレードモジュールの各実施例を表す構造模式図である。本発明に係る複合式ブレードモジュール100は、一裁断機構に設置し、そのうち一ブレード11は少なくとも一同じ或いは異なる材質の弾性層121、122、123から構成している。本発明はブレード11が受ける力の方向及び構造変化の基づき、一層或いは一層以上の弾性層121、122及び/或いは123をブレード11の適切な表面、例えばエッジ面111及び/或いは背面112のどちらかに粘着している。また、本発明の実施例において、各弾性層121、122、123は一粘着性物質、例えば粘着剤によってブレード11の表面に粘着している。
【0023】
図1の実施例で図示しているように、弾性層121はブレード11の背面112に粘着することができる。また、図2の実施例で図示しているように、弾性層122はブレード11のエッジ面111に粘着することもでき、弾性層121、122はブレード11の両面を被覆している。或いはまた、図3の実施例で図示しているように、ブレード11の背面112に一弾性層121を粘着するだけでなく、さらに一弾性層123を粘着することもでき、これによってブレード11の背面112に弾性層121、123を多層に重ねることができる。また、本発明の一実施例において、ブレード11のエッジ面111に弾性層122を多層に重ねることもできる。従って、裁断機構は複合式部ブレードモジュール100のブレード11の外部に露出するエッジ面111を利用することによって、送り込む一薄型被裁断物、例えば製紙、繊維或いはプラスチックの原料に対して裁断を行っている。
【0024】
本発明は、裁断機構は複合式ブレードモジュール100の剛性或いは靭性に対する需要に応じて、適切な材質、厚さを選出した弾性層121、122及び/或いは123をブレード11の表面に粘着することができる。もし裁断機構が剛性の強い複合式ブレードモジュール100を必要とする場合、又はブレード11の厚さが薄く、裁断機構が必要とする剛性に達していない場合、ブレード11の表面に少なくとも適切な厚さの一軟性金属材質、例えばアルミ或いはステンレスである弾性層121、122及び/或いは123を粘着することで、複合式ブレードモジュール100の剛性を強化し、被裁断物を裁断する際の効果を改善することができる。或いはまた、裁断機構が靭性の強い複合式ブレードモジュール100を必要とする場合、又はブレード11の厚さが厚く、強い硬度を有する場合、ブレード11の表面に少なくとも適切な厚さのコロイド材質、例えば発泡体テープ、両面テープ、スポンジである弾性層121、122及び/或いは123を粘着することで、複合式ブレードモジュール100は強い靭性変化を有し、裁断工程におけるブレード11の断裂を低減することができる。これによって、適切な材質、厚さを選出した弾性層121、122及び/或いは123をブレード11の表面に粘着することにより、裁断機構は剛性或いは靭性に対する需要に応じた複合式ブレードモジュール100を得ることができる。
【0025】
裁断機構が複合式ブレードモジュール100を使用して一被裁断物を裁断する際、弾性層121、122及び/或いは123は衝撃を緩衝する一緩衝体としてブレード11の衝撃力を吸収し、ブレード11の断裂を低減し、ブレード11の運用寿命を延長している。たとえブレード11が裁断工程において巨大な衝撃力を断裂したとしても、断裂したブレード11は粘着性を有する弾性層121、122及び/或いは123に付着することで、断裂したブレード11が裁断機構中に巻き込まれて損傷したり飛び散ったりして発生する人員の危険を回避できるため、裁断時の安全を確保できる。また、弾性層121、122及び/或いは123はブレード11に作用する衝撃力を吸収することができるため、有効的に裁断工程中に発生する金属衝撃音を低減することができる。
【0026】
次に、図4及び図5を参照すると、それぞれが本発明に係る複合式ブレードモジュールを用いる裁断機構の一応用実施例を表す構造模式図と図4において図示された複合式ブレードモジュールの部分拡大図である。本実施例に係る複合式ブレードモジュール300は、一折込機の裁断機構200に用いることができる。
【0027】
裁断機構200は、一下ローラ21及び下ローラ21の上方に設置する一上ローラ23を包括している。下ローラ21のローラ面は、一定の間隔毎に一下ローラブレード22を設置するしている。上ローラ23は、一複合式ブレードモジュール300と、一ブレード治具24とを包括している。ブレード治具24は上ローラ23の一側面に固定し、複合式ブレードモジュール300を挟持している。複合式ブレードモジュール300は、一上ローラブレード31及び少なくとも一弾性層33、34を含み、そのうち一弾性層33は上ローラブレード31の背面312、一弾性層34は上ローラブレード31のエッジ面311に設置している。また、ブレード治具24は、一第一固定素子251によって上ローラ23の一側面に固定し、上ローラブレード31は一第二固定素子253によってブレード治具24に固定している。
【0028】
また、裁断機構200は一被裁断物201をさらに包括し、被裁断物201は下ローラ21のローラ面に付着し、下ローラ21と上ローラ23との間に送込まれている。下ローラ21及び上ローラ23は、各自のブレード22、31を利用してすり合わせるように下ローラ21に付着した被裁断物201を裁断している。裁断機構200の実際の稼働時は、下ローラ21は既定の一方向、例えば反時計回りに回転し、上ローラ23は固定している。その後、そのうちの一下ローラブレード22が複合式ブレードモジュール300である上ローラブレード31の傍まで回転することで、下ローラブレード22のエッジ面と上ローラブレード31の外部に露出するエッジ面311とが一傾斜角度Θにおいて互いにすり合って被裁断物201を裁断している。
【0029】
なお、裁断機構200は上ローラ23を転動することによって上ローラブレード31と下ローラブレード22とがすり合う際の傾斜角度Θを調整している。一傾斜角度Θを大きく調整した場合、二ブレード31、22は円滑に被裁断物を裁断するが、上ローラブレード31は大きな衝撃力を受けるため、損傷し易く、さらには断裂し易くなる。逆に、衝撃力を低減するため一傾斜角度Θを小さく調整した場合、被裁断物201は二ブレード31、22で裁断し易くなくなるという好ましくない裁断効果となる。
【0030】
二ブレード31、22を大きな一傾斜角度Θで互いにすり合うと、上ローラブレード31が損傷、断裂し易くなるという問題を解決するため、本発明は上ローラブレード31のエッジ面311及び背面312の一部にそれぞれ弾性層33、34を粘着している。これ等弾性層33、34は衝撃を緩衝する一緩衝体として下ローラブレード22が上ローラブレード31に作用する衝撃力を吸収し、上ローラブレード31の断裂を低減し、上ローラブレード31の運用寿命を延長している。なお、上ローラブレード31が下ローラブレード22の衝撃で断裂したとしても、断裂した上ローラブレード31は粘着性を有する弾性層33、34に付着することで、断裂した上ローラブレード31が飛び散って発生する人員の危険を回避できる。
【0031】
次に、図6を参照すると、本発明に係る複合式ブレードモジュールを用いる裁断機構のその他の一応用実施例を表す構造模式図である。さらに図7及び図8を参照すると、本発明に係る第一複合式ブレードモジュールを設置する回転ローラを表す立体構造分解図及び部分構造組立図である。さらにまた図9及び図10を参照すると、本発明に係る第二複合式ブレードモジュールを設置する固定ローラを表す立体構造分解図及び部分構造組立図である。本実施例に係る複合式ブレードモジュール500、600は、一ローリング式加工機の裁断機構400に用いることができる。裁断機構400は一回転ローラ41及び回転ローラ41の傍に設置する一固定ローラ43を包括している。
【0032】
そのうち、回転ローラ41のローラ面は、一定の間隔毎に一第一複合式ブレードモジュール500を配置している。第一複合式ブレードモジュール500は一回転ローラブレード51及び回転ローラブレード51のエッジ面の一部に粘着する少なくとも一第一弾性層53を包括している。また、各第一弾性層53はそれぞれ一固定板42を設置し、各第一固定板42を利用することで、各第一複合式ブレードモジュール500を回転ローラ41のローラ面に固定している。なお、各第一固定板42はそれぞれに対応する少なくとも一第一固定素子421によって、回転ローラ41のローラ面に固定している。
【0033】
また、固定ローラ43のローラ面は、一第二複合式ブレードモジュール600を配置している。第二複合式ブレードモジュール600は、一固定ローラブレード61及び固定ローラブレード61のエッジ面の一部に粘着する少なくとも一第二弾性層63を包括している。また、第二弾性層63に一第二固定板44を設置し、第二固定板44を利用することで、第二複合式ブレードモジュール600を固定ローラ43のローラ面に固定している。なお、第二固定板44は少なくとも一第二固定素子441によって、固定ローラ43のローラ面に固定している。
【0034】
裁断機構400は一被裁断物401をさらに包括し、被裁断物401は回転ローラ41と固定ローラ43との間に送込まれている。裁断機構400の実際の稼働時は、回転ローラ41は既定の一方向、例えば反時計回りに回転し、固定ローラ43は固定している。その後、そのうちの一第一複合式ブレードモジュール500である回転ローラブレード51が第二複合式ブレードモジュール600である固定ローラブレード61の傍まで回転することで、回転ローラブレード51の外部に露出するエッジ面と固定ローラブレード61の外部に露出するエッジ面とが一水平角度において互いにすり合って被裁断物401を裁断している。
【0035】
回転ローラブレード51は、回転ローラ41のローラ面より比較的長い長さで突出している。回転ローラブレード51と固定ローラブレード61とが互いにすり合う際、この比較的長い長さで突出するブレード構成により回転ローラブレード51本体は大きな変形量を有し、大きな衝撃力を吸収することで、回転ローラブレード51が裁断工程において断裂が発生し難い状況とすることができる。また、回転ローラブレード51と固定ローラブレード61とが互いにすり合う際、回転ローラブレード51の後端は、前端に作用する力で発生する梃子の原理によって第一固定板42と押出す力が生じるが、回転ローラブレード51と第一固定板42との間にある第一弾性層53が一緩衝体として押出す力を吸収している。さらに回転ローラブレード51と固定ローラブレード61とが互いにすり合った後、回転ローラブレード51上に発生する一反発力は回転ローラブレード51の前端から後端まで伝導するが、同じように第一弾性層53に緩衝して吸収される。このことから、第一弾性層53によって衝撃力が緩衝して吸収させることで、第一固定板42が受ける押出す力或いは反発力の衝撃で起こるパーツの緩み或いは損傷を防ぐことができる。
【0036】
また、回転ローラブレード51に対して、固定ローラブレード61は固定ローラ43のローラ面より比較的短い長さで突出している。回転ローラブレード51と固定ローラブレード61とが互いにすり合う際、この比較的短い長さで突出するブレード構成により固定ローラブレード61の前端が裁断工程において、直接固定ローラ43のローラ面と押し合うため固定ローラ43のローラ面の損傷或いは固定ローラブレード61の前端の断裂が起こり易くなっている。このため、本発明の一実施例において、固定ローラブレード61の背面と固定ローラ43のローラ面との間に緩衝体として一第三弾性層64をさらに粘着することで、裁断工程において、固定ローラブレード61が直接固定ローラ43のローラ面と押し合うことを防ぐことができる。なお、上述した第一弾性層53と同じく、回転ローラブレード51と固定ローラブレード61とが互いにすり合う或いは互いにすり合った後、固定ローラブレード61と第二固定板44との間にある第二弾性層63も衝撃力が緩衝して吸収させることで、第二固定板44が受ける押出す力或いは反発力の衝撃で起こるパーツの緩み或いは損傷を防ぐことができる。
【0037】
同様に、回転ローラブレード51或いは固定ローラブレード61が裁断工程において衝撃によって断裂したとしても、断裂した回転ローラブレード51或いは固定ローラブレード61は弾性層53、63及び/或いは64に付着することで、裁断機構400の稼働時の安全性を確保できる。また、弾性層53、63、64は裁断機構400の稼働時に発生する熱エネルギーがブレードに伝導することを遮断することで、回転ローラブレード51或いは固定ローラブレード61の熱膨張又は冷収縮によるポジショニング偏移が発生するという問題が起こり、裁断の精確性に影響を及ぼすことを防いでいる。
【0038】
本発明の一実施例において、裁断機構400は異なる形状のエッジのブレード51、61に交換することで被裁断物401に対して異なる裁断効果に達することもできる。直線状エッジのブレード51、61を使用して被裁断物401の裁断を行うと、被裁断物401は一直線状の切り口となって切断される。一方、鋸歯状エッジのブレード51、61を使用して被裁断物401の裁断を行うと、被裁断物401は、例えばトイレットペーパにある引きちぎるための一破線状の切り口となって切り取られる。
【0039】
なお、上述したものは、本発明の一部の実施例に過ぎず、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明に係る特許請求の範囲で述べている形状、構造、特徴、方法及びその精神による変化及び修正は、本発明に係る特許請求の範囲に属するものである。
【符号の説明】
【0040】
100 複合式ブレードモジュール
11 ブレード
111 エッジ面
112 背面
121 弾性層
122 弾性層
123 弾性層
200 裁断機構
201 被裁断物
21 下ローラ
22 下ローラブレード
23 上ローラ
24 ブレード治具
251 第一固定素子
252 第二固定素子
300 複合式ブレードモジュール
31 上ローラブレード
311 エッジ面
312 背面
33 弾性層
34 弾性層
400 裁断機構
401 被裁断物
41 回転ローラ
42 第一固定板
421 第一固定素子
43 固定ローラ
44 第二固定板
441 第二固定素子
500 第一複合式ブレードモジュール
51 回転ローラブレード
53 第一弾性層
600 第二複合式ブレードモジュール
61 固定ローラブレード
63 第二弾性層
64 第三弾性層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10