【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
1.リチウムランタンチタン酸化物焼結体の評価方法
(組成式のx、aの決定方法)
リチウムランタンチタン酸化物焼結体とNa
2O
2とNaOHをジルコニウム坩堝に入れて、加熱して溶融する。その後放冷し、水とHClを加えて溶解する。溶解した液分を分取し、Tiについてはアルミニウム還元−硫酸アンモニウム鉄(III)滴定法により、その他の元素についてはICP発光分光法により定量を行い、一般式(1−a)La
xLi
2−3xTiO
3―aSrTiO
3、(1−a)La
xLi
2−3xTiO
3―aLa
0.5K
0.5TiO
3、La
xLi
2−3xTi
1−aM
aO
3−a、
またはSr
x−1.5aLa
aLi
1.5−2xTi
0.5Ta
0.5O
3(0.55≦x≦0.59、
0.05≦a≦0.2、M=Fe、Gaのいずれか一つまたは二つ以上を含む)のx、aの値を決定した。
【0046】
(Al
2O
3、SiO
2の定量方法)
得られた板状のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を分析用セルに直接入れ、その試料表面を波長分散型蛍光X線装置 型式名:LIX3000(株式会社リガク製)を用いて定性・定量分析を行い、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度を算出した。
【0047】
(リチウムイオン伝導度測定方法)
板状(15mm×15mm×2.5mm)のリチウムランタンチタン酸化物焼結体の試料表面を#150のダイヤモンド砥石で研磨を行い、仕上げに#600のダイヤモンド砥石で研磨を行った。10mm×10mmの大きさに切り取った2枚のろ紙に、1Mの塩化リチウム水溶液を染み込ませ、板状のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を挟むように貼り付けた。インピーダンスアナライザー 型式名:4192A(ヒューレットパッカード社製)を用いて測定周波数5Hz〜13MHz、測定温度27℃でコール・コールプロットを測定し、測定データから粒内、粒界の抵抗値を読み取り、リチウムイオン伝導度を以下の計算式より求めた。
リチウムイオン伝導度(Scm
−1)=1/(R
b+R
gb)×(L/S)
R
b:粒内の抵抗値(Ω)
R
gb:粒界の抵抗値(Ω)
L:板状のリチウムランタンチタン酸化物の厚み(cm)
S:電極の面積(cm
2)
【0048】
(粒径測定方法)
得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の表面を、イオンスパッター(株式会社日立サイエンスシステムズ製)により白金を蒸着後、走査型電子顕微鏡 型式名:S−4700(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により一視野に粒子数が1200個程度となるように撮影を行った。
【0049】
画像解析式粒度分布測定ソフトウェア 型式名:Mac−View Ver.4(株式会社マウンテック製)により結晶粒子を最小の長方形で囲み、直交する二つの軸のうち長い方を粒径として1000個以上の粒径を測定し、その平均を粒子の平均粒径とした。
【0050】
(単相化率の測定方法)
得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体をアルミナ製の乳鉢で粉砕して測定試料とし、X線回折装置(X線源:CuKα線) 型式名:X’Part−ProMPD(パナリティカル社製)を用いて測定した。得られたX線回折パターンより、リチウムランタンチタン酸化物焼結体と不純物のメインピークの高さから、単相化率を以下の計算式により求めた。
単相化率(%)=I/(I+S)×100
I:リチウムランタンチタン酸化物の2θ=0〜50°における最強ピークの高さ
S:全ての不純物のメインピークの高さの和
【0051】
[実施例1]
1.原料
原料として炭酸リチウム(Sociedad Quimica y Minera de Chile S.A.製、純度99.2%以上)、酸化ランタン(宣興新威利成稀土有限公司製、純度99.99%以上)、酸化チタン(東邦チタニウム株式会社製、純度99.99%以上)を使用した。ぞれぞれの原料の重量を表1に示し、炭酸リチウムの過剰添加量は7.5重量%とした。
【0052】
2.一次粉砕
ウレタンライニングボールミル(容量200L)に、秤量した原料、アルミナメディア(径3mm)200kg、イオン交換水35L及びエタノール35L投入し、粉砕・混合30分行った後、15時間ボールミル内で放置し再度30分粉砕を行い、一次粉砕粉を得た。
【0053】
3.一次乾燥
一次粉砕粉をスプレードライヤーにより乾燥を行い、一次乾燥粉を得た。スプレードライヤーの条件は以下である。
原料供給量:10〜30L/h
熱風入口温度:200〜250℃
排風温度:90〜120℃
【0054】
4.仮焼
一次乾燥粉をコウジライトムライト材質の匣鉢にいれ、電気炉にて仮焼を行い、仮焼粉を得た。仮焼条件は、大気中、仮焼温度1150℃、仮焼時間2時間にて行った。
【0055】
5.二次粉砕
ウレタンライニングボールミル(容量200L)に、仮焼粉70kg、ジルコニアメディア(径3mm)200kg、イオン交換水60L、分散剤(ポリアクリル酸アンモニウム塩)700gを投入し、粉砕を6時間行った。その後、アクリル樹脂系バインダー4.5kgを投入し、15分間混合を行い、二次粉砕粉を得た。
【0056】
6.二次乾燥
二次粉砕粉をスプレードライヤーにより乾燥し、二次乾燥粉を得た。スプレードライヤーの条件は以下である。
原料供給量:10〜30L/h
熱風入口温度:200〜250℃
排風温度:90〜120℃
【0057】
7.成形
二次乾燥粉15gを、金型成形(成形圧力・1000kg/cm
2)により40mm×40mm×厚み3mmの平板状に成形し、成形体を得た。
【0058】
8.焼結
成形体を電気炉にて、大気中で1100℃、2時間で一次焼結を行った後、1460℃、6時間にて二次焼結を行い、リチウムランタンチタン酸化物焼結体を得た。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0059】
[実施例2]
実施例1の「2.一次粉砕」のアルミナメディア(径3mm)をジルコニアメディア(径3mm)に変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0060】
[実施例3]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0061】
[実施例4]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0062】
[実施例5]
実施例1の「8.焼結」の焼結温度を1460℃から1430℃へ変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0063】
[実施例6]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにSrCO
3を3.666kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0064】
[実施例7]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにSrCO
3を11.00kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0065】
[実施例8]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにFe
2O
3を1.884kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0066】
[実施例9]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにFe
2O
3を5.651kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0067】
[実施例10]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにSrCO
3を36.29kg、Ta
2O
5を54.86kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0068】
[実施例11]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにSrCO
3を25.30kg、Ta
2O
5を54.86kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0069】
[実施例12]
実施例1の「7.成形」を「二次乾燥粉110gを、CIP成形(成形圧力・1000kg/cm
2)により外径23mm、内径17mm、長さ180mm、底の厚み5mmの有底円筒状に成形し、成形体を得た。」に変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。
【0070】
作製したリチウムランタンチタン酸化物焼結体を固体電解質として用い、
図1に示すような、空気電池1を作製した。具体的には、負極活物質支持体2aの内側面上に負極活物質層3、負極活物質層3と固体電解質5の間に第1の電解液4、正極活物質層7と固体電解質5の間に第2の電解液6、蓋2bを負極活物質支持体2aの上に配置した。空気電池1に用いた負極活物質支持体2a、固体電解質5、正極活物質層7は有底円筒状である。空気電池1を作製した後、正極活物質層7の内側に酸素を流通させて放電、充放電測定を行った。
【0071】
負極活物質支持体2a、負極活物質層3、正極活物質層7、負極活物質層3と固体電解質5の間の電解液4、正極活物質層7と固体電解質5の間の電解液6、蓋2bの材料は以下の通りである。
負極活物質支持体2a: SUS316L
負極活物質層3:金属リチウム
正極活物質層7:多孔質カーボン
第1の電解液4:1.0M LiClO
4溶液(溶媒はエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート)
第2の電解液6:0.5M LiOH水溶液
蓋2b:SUS316L
【0072】
正極活物質層7へ酸素(99.5%以上)100mL/minを流通させながら、定電流(1mA)、温度27℃にて放電測定を行なった。結果を
図2に示す。放電電圧約2.9Vで47時間安定して放電でき、高い放電特性を有していることがわかる。
【0073】
[比較例1]
実施例1の「2.一次粉砕」の粉砕・混合条件を30分行った後に15時間ボールミル内で放置して再度30分粉砕から、連続20時間粉砕に、「5.二次粉砕」のジルコニアメディア(径3mm)をアルミナメディア(径3mm)、粉砕時間を6時間から10時間に変更した。これらの変更以外は実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0074】
[比較例2]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0075】
[比較例3]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0076】
[比較例4]
実施例1の「5.二次粉砕」の粉砕を行う際に、Al
2O
3を0.8527kg添加した以外は実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0077】
[比較例5]
実施例1の「5.二次粉砕」の粉砕を行う際に、SiO
2を0.8527kg添加した以外は実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0078】
[比較例6]
実施例1の「8.焼結」の焼結温度を1460℃から1410℃へ変更した以外は実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0079】
[比較例7]
実施例1の「2.一次粉砕」を「瑪瑙乳鉢に、秤量した原料、エタノール0.035Lを投入し、粉砕・混合を30分行った」に変更した。また、「3.一次乾燥」を「一次粉砕粉をバットに投入し、120℃で乾燥した」に変更した。また、「4.仮焼」の仮焼温度1150℃を800℃に変更し、仮焼時間2時間を4時間に変更した。また、「5.二次粉砕」を「瑪瑙乳鉢に仮焼粉0.07kgを投入し、粉砕を30分行った」に変更した。また、「6.二次乾燥」を「一次粉砕粉をバットに投入し、120℃で乾燥した」に変更した。また、「8.焼結」を「成形体を電気炉にて、1150℃、6時間にて二次焼結を行い、リチウムランタンチタン酸化物焼結体を得た」に変更した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0080】
[比較例8]
実施例1の「2.一次粉砕」の粉砕・混合条件を30分行った後に15時間ボールミル内で放置して再度30分粉砕から、連続20時間粉砕に、「5.二次粉砕」のジルコニアメディア(径3mm)をアルミナメディア(径3mm)、粉砕時間を6時間から10時間に変更した。これらの変更以外は実施例6と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0081】
[比較例9]
実施例1の「2.一次粉砕」の粉砕・混合条件を30分行った後に15時間ボールミル内で放置して再度30分粉砕から、連続20時間粉砕に、「5.二次粉砕」のジルコニアメディア(径3mm)をアルミナメディア(径3mm)、粉砕時間を6時間から10時間に変更した。これらの変更以外は実施例8と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0082】
[比較例10]
実施例1の「2.一次粉砕」の粉砕・混合条件を30分行った後に15時間ボールミル内で放置して再度30分粉砕から、連続20時間粉砕に、「5.二次粉砕」のジルコニアメディア(径3mm)をアルミナメディア(径3mm)、粉砕時間を6時間から10時間に変更した。これらの変更以外は実施例10と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al
2O
3濃度、SiO
2濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
Al
2O
3濃度、SiO
2濃度および平均粒径のうちいずれか1項目以上が本発明で規定される範囲外である各比較例は、いずれもリチウムイオン伝導度が3.0×10
−4Scm
−1未満であった。一方、いずれの数値も本発明の範囲内である各実施例は、リチウムイオン伝導度が3.0×10
−4Scm
−1以上であった。特に、実施例1,2、5、8および10は、伝導度が特に良好であった。