特許第6222606号(P6222606)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6222606リチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法、前記酸化物を含む固体電解質の製造方法、及び前記固体電解質を備えたリチウム空気電池及び全固体リチウム電池の製造方法
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  • 特許6222606-リチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法、前記酸化物を含む固体電解質の製造方法、及び前記固体電解質を備えたリチウム空気電池及び全固体リチウム電池の製造方法 図000004
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222606
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】リチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法、前記酸化物を含む固体電解質の製造方法、及び前記固体電解質を備えたリチウム空気電池及び全固体リチウム電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C04B 35/46 20060101AFI20171023BHJP
   H01M 12/06 20060101ALI20171023BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20171023BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20171023BHJP
   H01B 1/06 20060101ALI20171023BHJP
   H01M 12/08 20060101ALI20171023BHJP
   H01M 4/86 20060101ALN20171023BHJP
   H01M 4/90 20060101ALN20171023BHJP
【FI】
   C04B35/46
   H01M12/06 G
   H01M10/0562
   H01M10/052
   H01B1/06 A
   H01M12/08 K
   !H01M4/86 M
   !H01M4/90 X
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-512559(P2014-512559)
(86)(22)【出願日】2013年4月22日
(86)【国際出願番号】JP2013061795
(87)【国際公開番号】WO2013161765
(87)【国際公開日】20131031
【審査請求日】2016年4月14日
(31)【優先権主張番号】特願2012-99456(P2012-99456)
(32)【優先日】2012年4月25日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2012-167432(P2012-167432)
(32)【優先日】2012年7月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390007227
【氏名又は名称】東邦チタニウム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】595151958
【氏名又は名称】中島産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501086714
【氏名又は名称】学校法人 学習院
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】中島 護
(72)【発明者】
【氏名】稲熊 宜之
(72)【発明者】
【氏名】中島 幹夫
【審査官】 小野 久子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−112661(JP,A)
【文献】 特開平07−169456(JP,A)
【文献】 INAGUMA,Yoshiyuki et al.,A rechargeable lithium-air battery using a lithium ion-conducting lanthanum lithium titanate ceramic,Journal of Power Sources,NL,Elsevier;Amsterdam,2012年11月29日,Vol.228, pp.250-255,Available online 29 November 2012
【文献】 稲熊宜之,ペロブスカイト型リチウムイオン伝導性酸化物,セラミックス,日本,日本セラミックス協会,2008年,Vol.43, No.7, pp.540-546
【文献】 MEI,Ao et al.,Enhanced ionic transport in lithium lanthanum titanium oxide solid state electrolyte by introducing,Solid State Ionics,NL,Elsevier;Amsterdam,2008年,Vol.179, pp.2255-2259
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C04B 35/46
H01B 1/06
H01M 10/052
H01M 10/0562
H01M 12/06
H01M 12/08
H01M 4/86
H01M 4/90
CAplus/REGISTRY(STN)
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(1−a)LaLi2−3xTiO―aSrTiO、(1−a)LaLi2−3xTiO―aLa0.50.5TiO、LaLi2−3xTi1−a3−a、またはSrx−1.5aLaLi1.5−2xTi0.5Ta0.5(0.55≦x≦0.59、0.05≦a≦0.2、M=Fe、Gaから選択される少なくとも一種)で表され、Alの含有量がAlとして0.35重量%以下、かつSiの含有量がSiOとして0.1重量%以下であり、かつ平均粒子径が18μm以上であるリチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法であって、
前記リチウムランタンチタン酸化物焼結体は、インピーダンスアナライザーを用いて、測定周波数5〜13MHz、測定温度27℃で測定した粒内の抵抗値R(Ω)、粒界の抵抗値Rgb(Ω)を用い、さらに、上記リチウムランタンチタン酸化物焼結体の厚みL(cm)および電極の面積S(cm)より、下式により求めたリチウムイオン伝導度(Scm−1)が3.0×10−4Scm−1以上であり、ここで、リチウムイオン伝導度=1/(R+Rgb)×(L/S)であり、
前記製造方法は、
リチウム化合物、チタン化合物、酸化ランタン、ストロンチウム化合物、カリウム化合物、鉄化合物、ガリウム化合物およびタンタル化合物中から選択された必要原料を水およびアルコールを含有する混合分散媒中で混合および粉砕し、10〜20時間放置した後再度粉砕を行う一次粉砕工程と、
前記一次粉砕粉を乾燥する一次乾燥工程と、
前記一次乾燥粉の仮焼を行う仮焼工程と、
前記仮焼粉を分散媒中で粉砕する二次粉砕工程と、
前記二次粉砕粉を乾燥する二次乾燥工程と、
前記二次乾燥粉を成形する成形工程と、
前記成形粉を焼結する焼結工程と
を備えたことを特徴とするリチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法。
【請求項2】
x=0.57であることを特徴とする請求項1に記載のリチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2のいずれかに記載のリチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法によってリチウムランタンチタン酸化物焼結体を製造し、
前記リチウムランタンチタン酸化物焼結体を使用することを特徴とする固体電解質の製造方法
【請求項4】
請求項3に記載の固体電解質の製造方法によって固体電解質を製造し、
前記固体電解質を使用することを特徴とするリチウム空気電池の製造方法
【請求項5】
前記リチウム空気電池は、負極活物質層、前記固体電解質、正極活物質層を有し、前記負極活物質層と前記固体電解質の間、前記正極活物質層と前記固体電解質の間に電解液を備えることを特徴とする請求項4に記載のリチウム空気電池の製造方法
【請求項6】
請求項3に記載の固体電解質の製造方法によって固体電解質を製造し、
前記固体電解質を使用することを特徴とする全固体リチウムイオン電池の製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム一次電池、リチウム二次電池の固体電解質、例えば全固体リチウムイオン電池の固体電解質やリチウム空気電池の固体電解質として利用できるリチウムランタンチタン酸化物焼結体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の情報機器や通信装置の急速な普及に伴い、その電源として利用される電池の開発が重要視されている。また、自動車業界においても、電気自動車やハイブリッド自動車の高出力かつ高容量の電池の開発が進められている。これらに利用される各種電池の中で、エネルギー密度と出力が高いことから、リチウムイオン二次電池が注目されている。一般的なリチウムイオン二次電池は、正極活物質層、負極活物質層と、これら正極活物質層と負極活物質の間の電解質から構成される。
【0003】
一方、空気電池は、高容量二次電池として着目されている。特許文献1には空気極側に水溶性電解液を用いたリチウム空気電池が提案されている。このリチウム空気電池は、負極、負極用の有機電解液、固体電解質からなるセパレータ、空気極用の水溶性電解液及び空気極の順に設けられたリチウム空気電池である。固体電解質には、水分、溶存ガス、プロトン(H)、水酸化イオン(OH)などを通さない物質が必要となる。
【0004】
また、全固体リチウムイオン電池は、電解質として固体電解質を用いたリチウムイオン電池である。全固体リチウムイオン電池は、電解液の漏液やガス発生の心配がないため、現在市販されている電解質に有機電解液を用いたリチウムイオン二次電池に代わる電池として注目されている。
【0005】
前記空気電池や全固体リチウムイオン電池の固体電解質には、リチウムイオン伝導度の高い材料が必要である。このような材料として、リチウムイオン伝導度が高い材料として、リチウムランタンチタン酸化物が注目されている(例えば、特許文献2および3参照)。
【0006】
非特許文献1には、リチウムランタンチタン酸化物が7×10−5Scm−1と高いリチウムイオン伝導度を示すことが報告されている。また、非特許文献2では、リチウムランタンチタン酸化物にSiを添加して、SiO濃度を0.58〜2.89重量%にすることによりリチウムイオン伝導度が、最大で8.9×10−5Scm−1(SiO濃度2.31重量%、測定温度30℃)に向上すると報告されている。また、特許文献4では、リチウムランタンチタン酸化物にAlを添加して、Al濃度を重量11.1%にすることによりリチウムイオン伝導度が粒内で伝導度9.33×10−4Scm−1、粒界で伝導度2.38×10−5Scm−1(測定温度30℃)に向上すると報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2011−134628号公報
【特許文献2】特開2010−262876号公報
【特許文献3】特開2011−222415号公報
【特許文献4】アメリカ公開2011/0318650号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Y.Inaguma,et al.,Solid State Comunications 689−693(1993) 86.
【非特許文献2】A.Mei,et al.,Solid State Ionics 2255−2259(2008)179.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
電池の高出力化の観点から、よりリチウムイオン伝導度が高い固体電解質材料が求められている。本発明は、測定温度27℃でリチウムイオン伝導度が3.0×10−4Scm−1以上のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を固体電解質材料として提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、製造工程における不可避的不純物であるAlとSiOを特定量以下にすることで測定温度27℃でリチウムイオン伝導度が3.0×10−4Scm−1以上のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を得ることに成功した。
【0011】
すなわち、本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法は、一般式(1−a)LaLi2−3xTiO―aSrTiO、(1−a)LaLi2−3xTiO―aLa0.50.5TiO、LaLi2−3xTi1−a3−aまたはSrx−1.5aLaLi1.5−2xTi0.5Ta0.5(0.55≦x≦0.59、0.05≦a≦0.2、M=Fe、Gaから選択される少なくとも一種)で表され、Alの含有量がAlとして0.35重量%以下、かつSiの含有量がSiOとして0.1重量%以下であり、かつ平均粒子径が18μm以上であるリチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法であって、このリチウムランタンチタン酸化物焼結体は、インピーダンスアナライザーを用いて、測定周波数5〜13MHz、測定温度27℃で測定した粒内の抵抗値R(Ω)、粒界の抵抗値Rgb(Ω)を用い、さらに、上記リチウムランタンチタン酸化物焼結体の厚みL(cm)および電極の面積S(cm)より、下式により求めたリチウムイオン伝導度(Scm−1)が3.0×10−4Scm−1以上であり、ここで、リチウムイオン伝導度=1/(R+Rgb)×(L/S)であり、本発明の製造方法は、リチウム化合物、チタン化合物、酸化ランタン、ストロンチウム化合物、カリウム化合物、鉄化合物、ガリウム化合物およびタンタル化合物中から選択された必要原料を水およびアルコールを含有する混合分散媒中で混合および粉砕し、10〜20時間放置した後再度粉砕を行う一次粉砕工程と、一次粉砕粉を乾燥する一次乾燥工程と、一次乾燥粉の仮焼を行う仮焼工程と、仮焼粉を分散媒中で粉砕する二次粉砕工程と、二次粉砕粉を乾燥する二次乾燥工程と、二次乾燥粉を成形する成形工程と、成形粉を焼結する焼結工程とを備えることを特徴とする。なお、ここでいう平均粒径とは、原料粉の粒径ではなく、焼結体を構成する、粒界で隔てられる1セクションの結晶粒子サイズを意味する。本発明によれば、リチウムイオン伝導度が3.0×10−4Scm−1以上のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を得ることができ、リチウムランタンチタン酸化物焼結体を固体電解質材料として用いることができる。よって、リチウム空気電池、全固体リチウム電池の固体電解質として用いることができる。
【0012】
また、本発明の固体電解質の製造方法は、前記リチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法によってリチウムランタンチタン酸化物焼結体を製造し、このリチウムランタンチタン酸化物焼結体を使用することを特徴とする。
更に、本発明のリチウム空気電池の製造方法は、前記固体電解質の製造方法によって固体電解質を製造し、この固体電解質を使用することを特徴とする。
また、本発明の全固体リチウムイオン電池の製造方法は、前記固体電解質の製造方法によって固体電解質を製造し、この固体電解質を使用することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、空気電池や全固体リチウムイオン電池用の固体電解質材料として適したリチウムイオン伝導度が3.0×10−4Scm−1以上のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例に使用した空気電池の概略図である。
図2】本発明の実施例の空気電池の放電測定の結果である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体は、一般式(1−a)LaLi2−3xTiO―aSrTiO、(1−a)LaLi2−3xTiO―aLa0.50.5TiO、LaLi2−3xTi1−a3−aまたはSrx−1.5aLaLi1.5−2xTi0.5Ta0.5(0.55≦x≦0.59、0.05≦a≦0.2、M=Fe、Gaのいずれか一つまたは二つ以上を含む)で表され、Al含有量としては0.35重量%以下、かつSiO含有量としては0.1重量%以下であり、かつ平均粒子径が18μm以上である固体電解質材料である。前記の範囲とすることにより、測定温度27℃でリチウムイオン伝導度が3.0×10−4Scm−1以上のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を得ることができる。
【0016】
より好ましくは、上記組成式においてx=0.57で表されるリチウムランタンチタン酸化物焼結体である。前記の範囲とすることにより、測定温度27℃でリチウムイオン伝導度が4.0×10−4Scm−1以上のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を得ることができる。
【0017】
さらに好ましくは上記組成式においてx=0.57で表され、平均粒径が21μm以上のリチウムランタンチタン酸化物焼結体である。前記の範囲とすることにより、測定温度27℃でリチウムイオン伝導度が5.0×10−4Scm−1以上のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を得ることができる。
【0018】
本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体のAl濃度、SiO濃度は、波長分散型蛍光X線装置を用い求める。
【0019】
本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体の組成(x、a)は以下の方法により決定する。リチウムランタンチタン酸化物とNaとNaOHをジルコニウム坩堝に入れて、加熱して溶融する。その後放冷し、水とHClを加えて溶解する。溶解した液分を分取し、Tiについてはアルミニウム還元−硫酸アンモニウム鉄(III)滴定法により、その他の元素についてはICP発光分光法により定量を行った。
【0020】
本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体のリチウムイオン伝導度は、以下の方法により求める。板状(15mm×15mm×2.5mm)のリチウムランタンチタン酸化物焼結体の試料表面を#150のダイヤモンド砥石で研磨を行い、仕上げに#600のダイヤモンド砥石で研磨を行う。10mm×10mmの大きさに切り取った2枚のろ紙に、1Mの塩化リチウム水溶液を染み込ませ、板状のリチウムランタンチタン酸化物を挟むように貼り付ける。インピーダンスアナライザーを用いて測定周波数5〜13MHz、測定温度27℃でコール・コールプロットを測定し、測定データから粒内、粒界の抵抗値を読み取る。リチウムイオン伝導度は、以下の計算式より求めた。
リチウムイオン伝導度(Scm−1)=1/(R+Rgb)×(L/S)
:粒内の抵抗値(Ω)
gb:粒界の抵抗値(Ω)
L:板状のリチウムランタンチタン酸化物の厚み(cm)
S:電極の面積(cm
【0021】
また、本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体は単相化率90%以上のリチウムランタンチタン酸化物の焼結体である。なお、単相化率は、以下の方法により定義されるものである。リチウムランタンチタン酸化物焼結体をアルミナ製の乳鉢で粉砕して測定試料とし、粉末X線回折装置(X線源:CuKα線)を用いて測定する。得られた回折パターンのリチウムランタンチタン酸化物と不純物のメインピークの高さから、単相化率を以下の計算式により求める。
単相化率(%)=I/(I+S)×100
I:リチウムランタンチタン酸化物の2θ=0〜50°における最強ピークの高さ
S:全ての不純物のメインピークの高さの和
なお、不純物としては、TiO、La、LiTi、LaTiなどがある。
【0022】
本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体の平均粒径(焼結体を構成する、粒界で隔てられる1セクションの寸法)は以下の方法により求めたものである。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の表面に白金を蒸着後、走査型電子顕微鏡により一視野に粒子数が1200個程度となるような倍率で撮影を行う。得られた画像を基に、画像解析式粒度分布測定ソフトウェアを用いて、各結晶粒子を最小の長方形で囲み、直交する二つの軸のうち長い方を粒径として1000個以上の結晶粒子の粒径を測定し、その平均を粒子の平均粒径とした。
【0023】
本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法について、以下に一例として述べる。本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体の製造方法は、組成及びSiO、Alの含有量が本発明の範囲内となる製造方法であれば良い。
【0024】
本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体は、例えば、リチウム原料として、水酸化リチウム及び炭酸リチウム等のリチウム化合物、チタン原料として酸化チタン、メタチタン酸、オルトチタン酸等のチタン化合物、あるいはこれらの混合物、ランタン原料として酸化ランタンを用いる。その他の元素(Sr、K、Fe、Ga、Ta)原料も、酸化物、水酸化物、塩化物、炭酸塩等を用いる。これらの混合粉を、特定の条件で粉砕を行った後、焼成することにより得ることができる。
【0025】
各原料を所望のモル比にて計量する。なお、リチウム原料は、仮焼と焼結の際のリチウム化合物の揮発を考慮して、リチウム原料に対して0〜15重量%のリチウム原料を過剰添加する。計量した各原料は、ボールミルに投入し、混合・粉砕を行ない(一次粉砕)、一次粉砕原料を得る。分散媒として純水とアルコール(例えばエタノール)の混合溶媒、必要に応じて界面活性剤等の分散媒を加え、粉砕を行なう。粉砕時間は、粉砕を20〜50分行った後に10〜20時間ボールミルを放置後、再度20〜50分粉砕を行う。10〜20時間放置することにより、原料のリチウム化合物、ランタン化合物の一部が溶出し粒径が小さくなり、粉砕時間を短縮することができる。また、純水とアルコールの混合溶媒を用いることにより、原料が凝集せず均一に分散し、水のみの粉砕に比べ粉砕時間を短縮することができる。粉砕時間の短縮により、Al及びSiO成分の混入が抑制できる。なお、粉砕装置は、ウレタンライニングボールミル、ナイロン製ボールミル、天然ゴムライニングボールミル、粉砕メディアはジルコニアメディア、アルミナメディアを用いることができる。前記ボールミルを使用することにより、アルミナライニングボールミル(ライニング材の成分はAl94%、SiO4%)に比べてAl及びSiO成分の混入が抑制できる。
【0026】
続いて一次粉砕原料を乾燥し、一次乾燥粉を得る。乾燥方法には特に制限は無く、例えば、スプレードライヤー乾燥機、或いは流動層乾燥機、或いは転動造粒乾燥機、或いは凍結乾燥機、或いは熱風乾燥機による乾燥を用いることができる。スプレードライヤー乾燥での乾燥条件は、熱風入口温度が200〜250℃、排風温度が90〜120℃である。
【0027】
次いで一次乾燥粉の仮焼を行ない、仮焼粉を得る。仮焼条件としては、酸素雰囲気中、大気中、或いは不活性雰囲気中(窒素雰囲気中や不活性ガス雰囲気中)で1000〜1200℃、1〜12時間にて仮焼を行う。
【0028】
得られた仮焼粉は、ボールミルに投入し二次粉砕を行ない、二次粉砕原料を得る。分散媒として純水とアルコール(例えばエタノール)の混合溶媒、必要に応じて界面活性剤等の分散媒を加え、粉砕を行なう。粉砕時間は1〜6時間である。粉砕装置は、ウレタンライニングボールミル、ナイロン製ボールミル、或いは天然ゴムライニングボールミルを用いる。前記ボールミルを使用することにより、Al及びSiO成分の混入が抑制できる。
【0029】
続いて二次粉砕材料は一次粉砕原料と同様に乾燥し、二次乾燥粉を得る。乾燥方法は特に制限は無い。例えば、スプレードライヤー乾燥、或いは熱風乾燥機による乾燥を行うことができる。
【0030】
得られた二次乾燥粉は、例えば、CIP成形、金型成形、キャスティング成形、押し出し成形、グリーンシートキャスティング成形等の成形方法を用い、所望形状に成形を行ない、成形体を得る。金型成形の際の成形条件としては、例えば、成形圧力400〜1500kg/cmである。
【0031】
得られた成形体を焼結し、本発明のリチウムランタンチタン酸化物を得る。1000〜1200℃、1〜4時間で一次焼結を行った後、1200〜1500℃、4〜10時間にて二次焼結を行う。前記二次焼結条件を変えることにより結晶粒子の粒径を制御することができる。一次焼結、二次焼結の焼結雰囲気は、酸素雰囲気中、大気中、或いは不活性雰囲気中(窒素雰囲気中や不活性ガス雰囲気中)である。また、本発明では、固相法によってリチウムランタンチタン酸化物を製造する。このため、結晶粒子を溶媒中で成長させて溶媒を除去する液相法と比較した場合、平均粒径が18μm以上の大きな結晶粒子を有する焼結体を安価に製造することができる。
【0032】
本発明においては、リチウムイオン伝導度を向上させるために、平均粒径が18μ以上であることが必要であり、好ましくは、21μm以上である。また、上限は、100μmである。
【0033】
本発明においては、リチウムイオン伝導度が向上する理由は、定かではないが、以下のように考えられる。リチウムランタンチタン酸化物焼結体に含まれるSi化合物、Al化合物は粒界に蓄積し、リチウムイオン伝導性を阻害すると考えられる。Al含有量を0.35重量%以下、かつSiO含有量を0.1重量%以下とし、粒界に蓄積するSi化合物、Al化合物を減少させる。また、リチウムランタンチタン酸化物焼結体の粒界の体積を減少させることにより、リチウムイオン伝導度を向上させることができる。1200℃以上で焼結を行うことにより、リチウムランタンチタン酸化物焼結体の平均粒子径が18μm以上となり、粒界の体積が減少する。さらに、1200℃以上での焼結は、粒界に蓄積されたSi化合物、Al化合物が界面から排出される効果を有する。その結果、リチウムイオン伝導度が3.0×10−4Scm−1以上のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を得ることができると考えられる。
【0034】
全固体リチウムイオン電池
本発明に係る全固体リチウムイオン電池は、正極活物質を含有する正極活物質層と、負極活物質を含有する負極活物質層と、前記正極活物質層及び前記負極活物質層の間に備えられた本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体からなる固体電解質層からなる。
【0035】
(正極活物質層)
正極活物質層は、例えば、LiCoO、LiMnO、LiNiMn、LiVO、LiCrO、LiFePO、LiCoPO、LiNiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3等の正極活物質、必要に応じて、導電材、結着材から構成される。導電材としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンファイバー等を挙げることができる。結着材としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素含有結着材を挙げることができる。
【0036】
(負極活物質層)
負極活物質層は金属、カーボン、セラミックス等の負極活物質、導電材、結着材より構成される。例えば、金属活物質としては、リチウム、及びリチウム金属を含む合金を挙げることができる。カーボン活物質としては、例えば、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、高配向性グラファイト(HOPG)、ハードカーボン、ソフトカーボン等を挙げることができる。またセラミックス活物質としてはLiTi12を挙げることができる。導電材、固体電解質材料及び結着材は、前述の正極活物質層と同様である。
【0037】
(その他の構成)
本発明に係る全固体リチウムイオン電池は、正極活物質層の集電を行う正極集電体、及び、負極活物質層の集電を行う負極集電体を備えていてもよい。正極集電体の材料は、使用環境に耐えうる材料であれば特に限定されるものではない。例えば、正極集電体の材料としては、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、鉄、チタン等、及び前記金属を含む合金、或いは、カーボン等を挙げることができる。負極集電体の材料としては、ステンレス、銅、ニッケル及び前記金属を含む合金、或いは、カーボン等を挙げることができる。
【0038】
空気電池
本発明に係る空気電池は、負極活物質層、本発明のリチウムランタンチタン酸化物焼結体からなる固体電解質、正極活物質層を有し、負極活物質層と固体電解質の間及び正極活物質層と固体電解質の間に電解液を備えることを特徴とする。
【0039】
(正極活物質層)
正極活物質層としては、空気電池の正極として機能可能であれば、その形態は特に限定されるものではなく、公知の形態とすることができる。例えば、炭素を含まない多孔質、気体通過性を有し、導電性を有する複合酸化物、例えば、ランタンストロンチウムマンガン系複合酸化物或いはランタンストロンチウムコバルト系複合酸化物、ランタンストロンチウム銅系複合酸化物、ランタンカルシウムマンガン系複合酸化物、ランタンカルシウムコバルト系複合酸化物、ランタンカルシウム銅系複合酸化物、ランタンバリウムマンガン系複合酸化物、ランタンバリウムコバルト系複合酸化物、ランタンバリウム銅系複合酸化物等を挙げることができる。
【0040】
(負極活物質層)
負極活物質層は、リチウムイオンを放出可能、好ましくは、リチウムイオンを吸蔵及び放出可能活物質である負極活物質が含有されている。負極活物質としては、金属活物質、例えば、リチウム、及びリチウムを含む合金等、及びLiTi12を挙げることができる。
【0041】
(負極活物質層と固体電解質間の電解液)
電解液は、電解質と溶媒より構成される。電解質は、溶媒中でリチウムイオンを形成するものであれば特に限定されない。例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiAlCl、LiCFSO、LiSbF 等が挙げられる。これら電解質は単独でもよいが組み合わせて使用してもよい。また、溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン、2−メチルテトラヒドロフラン、スルホラン、ジエチルカーボネート、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、エチレンカーボネート等が挙げられる。これら溶媒は、単独でもよいが、組み合わせて使用してもよい。
【0042】
(正極活物質層と固体電解質間の電解液)
正極活物質層と固体電解質間の電解液は、通常の空気電池に用いられる水系電解液や有機電解液を用いることができる。例えば、LiOH水溶液が挙げられる。
【0043】
(その他の構成)
本発明に係る空気電池は、通常、正極活物質層の集電を行う正極集電体、及び、負極活物質層の集電を行う負極集電体を備える。前記集電体の材料は、空気電池の使用時における環境に耐えうる材料であれば特に限定されるものではない。正極集電体の材料としては、例えば、マンガン、コバルト、ニッケル、ルテニウム、ロジウム、銀、イリジウム、白金、金、ステンレス、アルミニウム、鉄、チタン等の金属、及び前記金属を含む合金、及び、カーボン等を挙げることができる。一方、負極集電体の材料としては、例えば、白金、金、ステンレス、銅、ニッケル等の金属、及び前記金属を含む合金、或いは、カーボン等を挙げることができる。
【0044】
前記の全固体リチウムイオン電池、空気電池は、移動体装置、設備システム装置、バックアップ電源装置に用いることができる。移動体装置としては、例えば自動車、ホークリフト、建設機械、バイク、自転車、ロボット、航空機、船舶、列車、人工衛星等である。設置システム装置としては、例えば水力発電システム、火力発電システム、原子力発電システム、太陽光発電システム、風力発電システム、地熱発電システム、潮流(海流、波力)発電システム等である。バックアップ電源システム装置としては、例えば、構造物(公共施設、商業施設、工場、病院、住宅等)の緊急電源システム装置等である。
【実施例】
【0045】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
1.リチウムランタンチタン酸化物焼結体の評価方法
(組成式のx、aの決定方法)
リチウムランタンチタン酸化物焼結体とNaとNaOHをジルコニウム坩堝に入れて、加熱して溶融する。その後放冷し、水とHClを加えて溶解する。溶解した液分を分取し、Tiについてはアルミニウム還元−硫酸アンモニウム鉄(III)滴定法により、その他の元素についてはICP発光分光法により定量を行い、一般式(1−a)LaLi2−3xTiO―aSrTiO、(1−a)LaLi2−3xTiO―aLa0.50.5TiO、LaLi2−3xTi1−a3−aまたはSrx−1.5aLaLi1.5−2xTi0.5Ta0.5(0.55≦x≦0.59、0.05≦a≦0.2、M=Fe、Gaのいずれか一つまたは二つ以上を含む)のx、aの値を決定した。
【0046】
(Al、SiOの定量方法)
得られた板状のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を分析用セルに直接入れ、その試料表面を波長分散型蛍光X線装置 型式名:LIX3000(株式会社リガク製)を用いて定性・定量分析を行い、Al濃度、SiO濃度を算出した。
【0047】
(リチウムイオン伝導度測定方法)
板状(15mm×15mm×2.5mm)のリチウムランタンチタン酸化物焼結体の試料表面を#150のダイヤモンド砥石で研磨を行い、仕上げに#600のダイヤモンド砥石で研磨を行った。10mm×10mmの大きさに切り取った2枚のろ紙に、1Mの塩化リチウム水溶液を染み込ませ、板状のリチウムランタンチタン酸化物焼結体を挟むように貼り付けた。インピーダンスアナライザー 型式名:4192A(ヒューレットパッカード社製)を用いて測定周波数5Hz〜13MHz、測定温度27℃でコール・コールプロットを測定し、測定データから粒内、粒界の抵抗値を読み取り、リチウムイオン伝導度を以下の計算式より求めた。
リチウムイオン伝導度(Scm−1)=1/(R+Rgb)×(L/S)
:粒内の抵抗値(Ω)
gb:粒界の抵抗値(Ω)
L:板状のリチウムランタンチタン酸化物の厚み(cm)
S:電極の面積(cm
【0048】
(粒径測定方法)
得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の表面を、イオンスパッター(株式会社日立サイエンスシステムズ製)により白金を蒸着後、走査型電子顕微鏡 型式名:S−4700(株式会社日立ハイテクノロジーズ製)により一視野に粒子数が1200個程度となるように撮影を行った。
【0049】
画像解析式粒度分布測定ソフトウェア 型式名:Mac−View Ver.4(株式会社マウンテック製)により結晶粒子を最小の長方形で囲み、直交する二つの軸のうち長い方を粒径として1000個以上の粒径を測定し、その平均を粒子の平均粒径とした。
【0050】
(単相化率の測定方法)
得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体をアルミナ製の乳鉢で粉砕して測定試料とし、X線回折装置(X線源:CuKα線) 型式名:X’Part−ProMPD(パナリティカル社製)を用いて測定した。得られたX線回折パターンより、リチウムランタンチタン酸化物焼結体と不純物のメインピークの高さから、単相化率を以下の計算式により求めた。
単相化率(%)=I/(I+S)×100
I:リチウムランタンチタン酸化物の2θ=0〜50°における最強ピークの高さ
S:全ての不純物のメインピークの高さの和
【0051】
[実施例1]
1.原料
原料として炭酸リチウム(Sociedad Quimica y Minera de Chile S.A.製、純度99.2%以上)、酸化ランタン(宣興新威利成稀土有限公司製、純度99.99%以上)、酸化チタン(東邦チタニウム株式会社製、純度99.99%以上)を使用した。ぞれぞれの原料の重量を表1に示し、炭酸リチウムの過剰添加量は7.5重量%とした。
【0052】
2.一次粉砕
ウレタンライニングボールミル(容量200L)に、秤量した原料、アルミナメディア(径3mm)200kg、イオン交換水35L及びエタノール35L投入し、粉砕・混合30分行った後、15時間ボールミル内で放置し再度30分粉砕を行い、一次粉砕粉を得た。
【0053】
3.一次乾燥
一次粉砕粉をスプレードライヤーにより乾燥を行い、一次乾燥粉を得た。スプレードライヤーの条件は以下である。
原料供給量:10〜30L/h
熱風入口温度:200〜250℃
排風温度:90〜120℃
【0054】
4.仮焼
一次乾燥粉をコウジライトムライト材質の匣鉢にいれ、電気炉にて仮焼を行い、仮焼粉を得た。仮焼条件は、大気中、仮焼温度1150℃、仮焼時間2時間にて行った。
【0055】
5.二次粉砕
ウレタンライニングボールミル(容量200L)に、仮焼粉70kg、ジルコニアメディア(径3mm)200kg、イオン交換水60L、分散剤(ポリアクリル酸アンモニウム塩)700gを投入し、粉砕を6時間行った。その後、アクリル樹脂系バインダー4.5kgを投入し、15分間混合を行い、二次粉砕粉を得た。
【0056】
6.二次乾燥
二次粉砕粉をスプレードライヤーにより乾燥し、二次乾燥粉を得た。スプレードライヤーの条件は以下である。
原料供給量:10〜30L/h
熱風入口温度:200〜250℃
排風温度:90〜120℃
【0057】
7.成形
二次乾燥粉15gを、金型成形(成形圧力・1000kg/cm)により40mm×40mm×厚み3mmの平板状に成形し、成形体を得た。
【0058】
8.焼結
成形体を電気炉にて、大気中で1100℃、2時間で一次焼結を行った後、1460℃、6時間にて二次焼結を行い、リチウムランタンチタン酸化物焼結体を得た。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0059】
[実施例2]
実施例1の「2.一次粉砕」のアルミナメディア(径3mm)をジルコニアメディア(径3mm)に変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0060】
[実施例3]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0061】
[実施例4]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0062】
[実施例5]
実施例1の「8.焼結」の焼結温度を1460℃から1430℃へ変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0063】
[実施例6]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにSrCOを3.666kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0064】
[実施例7]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにSrCOを11.00kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0065】
[実施例8]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにFeを1.884kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0066】
[実施例9]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにFeを5.651kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0067】
[実施例10]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにSrCOを36.29kg、Taを54.86kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0068】
[実施例11]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更し、さらにSrCOを25.30kg、Taを54.86kg添加した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0069】
[実施例12]
実施例1の「7.成形」を「二次乾燥粉110gを、CIP成形(成形圧力・1000kg/cm)により外径23mm、内径17mm、長さ180mm、底の厚み5mmの有底円筒状に成形し、成形体を得た。」に変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。
【0070】
作製したリチウムランタンチタン酸化物焼結体を固体電解質として用い、図1に示すような、空気電池1を作製した。具体的には、負極活物質支持体2aの内側面上に負極活物質層3、負極活物質層3と固体電解質5の間に第1の電解液4、正極活物質層7と固体電解質5の間に第2の電解液6、蓋2bを負極活物質支持体2aの上に配置した。空気電池1に用いた負極活物質支持体2a、固体電解質5、正極活物質層7は有底円筒状である。空気電池1を作製した後、正極活物質層7の内側に酸素を流通させて放電、充放電測定を行った。
【0071】
負極活物質支持体2a、負極活物質層3、正極活物質層7、負極活物質層3と固体電解質5の間の電解液4、正極活物質層7と固体電解質5の間の電解液6、蓋2bの材料は以下の通りである。
負極活物質支持体2a: SUS316L
負極活物質層3:金属リチウム
正極活物質層7:多孔質カーボン
第1の電解液4:1.0M LiClO溶液(溶媒はエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート)
第2の電解液6:0.5M LiOH水溶液
蓋2b:SUS316L
【0072】
正極活物質層7へ酸素(99.5%以上)100mL/minを流通させながら、定電流(1mA)、温度27℃にて放電測定を行なった。結果を図2に示す。放電電圧約2.9Vで47時間安定して放電でき、高い放電特性を有していることがわかる。
【0073】
[比較例1]
実施例1の「2.一次粉砕」の粉砕・混合条件を30分行った後に15時間ボールミル内で放置して再度30分粉砕から、連続20時間粉砕に、「5.二次粉砕」のジルコニアメディア(径3mm)をアルミナメディア(径3mm)、粉砕時間を6時間から10時間に変更した。これらの変更以外は実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0074】
[比較例2]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0075】
[比較例3]
実施例1のそれぞれの原料の重量を表1に示したとおりに変更した以外は、実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0076】
[比較例4]
実施例1の「5.二次粉砕」の粉砕を行う際に、Alを0.8527kg添加した以外は実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0077】
[比較例5]
実施例1の「5.二次粉砕」の粉砕を行う際に、SiOを0.8527kg添加した以外は実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0078】
[比較例6]
実施例1の「8.焼結」の焼結温度を1460℃から1410℃へ変更した以外は実施例1と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0079】
[比較例7]
実施例1の「2.一次粉砕」を「瑪瑙乳鉢に、秤量した原料、エタノール0.035Lを投入し、粉砕・混合を30分行った」に変更した。また、「3.一次乾燥」を「一次粉砕粉をバットに投入し、120℃で乾燥した」に変更した。また、「4.仮焼」の仮焼温度1150℃を800℃に変更し、仮焼時間2時間を4時間に変更した。また、「5.二次粉砕」を「瑪瑙乳鉢に仮焼粉0.07kgを投入し、粉砕を30分行った」に変更した。また、「6.二次乾燥」を「一次粉砕粉をバットに投入し、120℃で乾燥した」に変更した。また、「8.焼結」を「成形体を電気炉にて、1150℃、6時間にて二次焼結を行い、リチウムランタンチタン酸化物焼結体を得た」に変更した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度、平均粒径を表2に示す。
【0080】
[比較例8]
実施例1の「2.一次粉砕」の粉砕・混合条件を30分行った後に15時間ボールミル内で放置して再度30分粉砕から、連続20時間粉砕に、「5.二次粉砕」のジルコニアメディア(径3mm)をアルミナメディア(径3mm)、粉砕時間を6時間から10時間に変更した。これらの変更以外は実施例6と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0081】
[比較例9]
実施例1の「2.一次粉砕」の粉砕・混合条件を30分行った後に15時間ボールミル内で放置して再度30分粉砕から、連続20時間粉砕に、「5.二次粉砕」のジルコニアメディア(径3mm)をアルミナメディア(径3mm)、粉砕時間を6時間から10時間に変更した。これらの変更以外は実施例8と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0082】
[比較例10]
実施例1の「2.一次粉砕」の粉砕・混合条件を30分行った後に15時間ボールミル内で放置して再度30分粉砕から、連続20時間粉砕に、「5.二次粉砕」のジルコニアメディア(径3mm)をアルミナメディア(径3mm)、粉砕時間を6時間から10時間に変更した。これらの変更以外は実施例10と同じ方法でリチウムランタンチタン酸化物焼結体を作製した。得られたリチウムランタンチタン酸化物焼結体の単相化率、Al濃度、SiO濃度、リチウムイオン伝導度を表2に示す。
【0083】
【表1】
【0084】
【表2】
【0085】
Al濃度、SiO濃度および平均粒径のうちいずれか1項目以上が本発明で規定される範囲外である各比較例は、いずれもリチウムイオン伝導度が3.0×10−4Scm−1未満であった。一方、いずれの数値も本発明の範囲内である各実施例は、リチウムイオン伝導度が3.0×10−4Scm−1以上であった。特に、実施例1,2、5、8および10は、伝導度が特に良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、リチウム一次電池、リチウム二次電池の固体電解質、例えば全固体リチウムイオン電池の固体電解質やリチウム空気電池の固体電解質として利用できるリチウムランタンチタン酸化物焼結体を提供でき、有望である。
【符号の説明】
【0087】
1…空気電池
2a…負極活物質支持体
2b…蓋
3…負極活物質層
4…第1の電解液
5…固体電解質
6…第2の電解液
7…正極活物質層
図1
図2