(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222610
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】多機能シャワーヘッド
(51)【国際特許分類】
A47K 3/28 20060101AFI20171023BHJP
B05B 1/18 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
A47K3/22
B05B1/18 101
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-20295(P2016-20295)
(22)【出願日】2016年2月4日
(65)【公開番号】特開2016-140767(P2016-140767A)
(43)【公開日】2016年8月8日
【審査請求日】2016年2月5日
(31)【優先権主張番号】201510057834.0
(32)【優先日】2015年2月4日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516038346
【氏名又は名称】シャメン ソレックス ハイ−テク インダストリーズ カンパニー, リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】516038357
【氏名又は名称】ズウ,ファスゥン
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】リン,フォンデ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ミンフ
(72)【発明者】
【氏名】シュ,ウォンツゥン
【審査官】
七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0305116(US,A1)
【文献】
登録実用新案第3183630(JP,U)
【文献】
特開2003−056028(JP,A)
【文献】
特開2007−307200(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 3/02−4/00
B05B 1/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定座、駆動機構、固定座の下に位置する分水盤、および、分水盤の下に位置する分水体を含み、前記分水体にはシャワーヘッドの散水機能に対応して連通している複数の分水孔が設置され、前記分水盤には吐水孔が設置され、前記駆動機構が分水盤を連動して分水体に対して回転させ、吐水孔と選択的に連通している一部の分水孔がシャワーヘッド吐水機能の切り替えを実現する多機能シャワーヘッドであって、
前記分水盤と固定座の間には密封リングが挟持され、前記密封リングで分水盤の上表面に一つの防水区を囲み、前記各分水孔に対応して密封リングが設置され、前記分水盤の下表面を前記密封リングの上に押し付け、うち、吐水孔と連通していない分水孔に対応する密封リングで分水盤の下表面に非排水区を囲み、前記防水区と前記非排水区の面積はほぼ同じであることを特徴とする多機能シャワーヘッド。
【請求項2】
さらに一つの弾性部品を設置して分水盤を密封リングの上にしっかりと押し付け、前記分水盤にはさらに分水盤の上下表面を連通している通路が設置されることを特徴とする請求項1に記載の多機能シャワーヘッド。
【請求項3】
前記分水孔の数は6個で、リングの行列で配列し、隣接する二つの分水孔の間隔は60度であり、前記吐水孔の数は4個で、リングの行列で配列し、隣接する二つの吐水孔の間隔は90度であり、前記駆動機構は押圧式の駆動機構であり、前記駆動機構が毎回分水盤を駆動して30度回転させることを特徴とする請求項2に記載の多機能シャワーヘッド。
【請求項4】
6個の分水孔は三組に分け、三組の分水孔はそれぞれ三つの水路と繋がり、三つの水路の中の一つの水路の流量は他の二つの水路の流量より遥かに小さいことを特徴とする請求項3に記載の多機能シャワーヘッド。
【請求項5】
前記固定座は本体及び金属嵌め子を含み、前記金属嵌め子は前記本体の下表面に固定され、前記本体には一つの進水路が設置され、前記進水路は本体に一体成形されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の多機能シャワーヘッド。
【請求項6】
前記駆動機構はボタン、前記固定座にピン接合している揺れ部品と歯止め、滑り部品、歯車、歯止めのリセットを駆動するリセット部品、分水盤と歯車を連結する伝動部品を含み、ボタンを押して揺れ部品が滑り部品を押して滑り、滑り部品は歯止めを駆動して、歯車の回転を押し進めることを特徴とする請求項1に記載の多機能シャワーヘッド。
【請求項7】
前記駆動機構はさらに、前記歯車に対応して設置している位置止め爪を含み、前記位置止め爪は前記固定座に連結していることを特徴とする請求項6に記載の多機能シャワーヘッド。
【請求項8】
前記リセット部品は前記歯止めの端部に連接している弾性アームであり、前記リセット部品に対して前記固定座にシャッターが設置されていることを特徴とする請求項6に記載の多機能シャワーヘッド。
【請求項9】
前記リセット部品は前記固定座に設置しているスプリングであり、前記歯止めには前記スプリングを押し出す当接アームが設置されていることを特徴とする請求項6に記載の多機能シャワーヘッド。
【請求項10】
前記リセット部品は前記固定座に設置しているスプリングであり、前記スプリングは前記滑り部品と前記固定座の間に連結し、前記歯止めと前記滑り部品が締め付けていることを特徴とする請求項6に記載の多機能シャワーヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はシャワーヘッドに関し、特に水路切り替え機能を有する多機能シャワーヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
水路の切り替えができるシャワーヘッドは、通常一つの分水盤と分水盤を伴って水路の切り替えを実現する駆動機構を含む。動作方式の違いにより、駆動機構は、ボタンにより切り替える駆動機構、表面蓋回転して切り替える駆動機構、揺らして切り替える駆動機構に分けられる。しかし、いずれの駆動機構であっても、分水盤は回すときに、高水圧の作用力を克服しなければならないため、操作の手触りが悪い。特に、ボタンにより切り替える駆動機構の方式では、押す力が大きいだけでなく、分水盤が回る時に、密封シールが連れられて移動しやすいため、シャワーヘッドの密封性能が破壊され、シャワーヘッドの密封効果に影響する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は多機能シャワーヘッドを提供し、切り替えの手触りが良く、背景技術に存在している不足を克服した。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明が技術問題を解決するために採用した技術案は、多機能シャワーヘッドであって、固定座、駆動機構、固定座に回して連接している分水盤と分水盤の下に位置する分水体を含み、前記分水体にはシャワーヘッドの散水機能に対応して連通している複数の分水孔が設置され、前記分水盤には吐水孔が設置され、前記駆動機構が分水盤を伴って分水体に対して回転し、吐水孔と選択的に連通している一部の分水孔がシャワーヘッドの吐水機能の切り替えを実現し、前記分水盤と固定座の間には密封リングが挟持され、前記密封リングで分水盤の上表面に一つの防水区を囲み、前記各分水孔に対応して密封リングが設置され、前記分水盤の下表面を前記密封リングの上に押し付け、うち、吐水孔と連通していない分水孔に対応する密封リングで分水盤の下表面を一つの非排水区を囲み、前記防水区と前記非排水区の面積はほぼ同じである。
【0005】
好ましい実施形態において、さらに一つの弾性部品を設置して分水盤を密封リングの上にしっかりと押し付け、前記分水盤にはさらに分水盤の上下表面を連通している通路が設置される。
【0006】
好ましい実施形態において、前記分水孔の数は6個で、リングの行列で配列し、隣接する2つの分水孔の間隔は60度であり、前記吐水孔の数は4個で、リングの行列で配列し、隣接する2つの吐水孔の間隔は90度であり、前記駆動機構は押圧式の駆動機構で、前記駆動機構が毎回分水盤を駆動して30度を回転させる。
【0007】
好ましい実施形態において、6個の分水孔は平均で3組に分けられ、3組の分水孔はそれぞれ三つの水路と繋がり、三つの水路のうち一つの水路の流量は他の二つの水路の流量より遥かに小さい。
【0008】
好ましい実施形態において、前記固定座は本体及び金属嵌め子を含み、前記金属嵌め子は前記本体の下表面に固定され、前記本体には一つの進水路が設置され、前記進水路は本体に一体成形されている。
【0009】
好ましい実施形態において、前記駆動機構はボタン、前記固定座にピン接合している揺れ部品と歯止め、滑り部品、歯車、歯止めのリセットを駆動するリセット部品、分水盤と歯車を連結する伝動部品を含み、ボタンを押すと揺れ部品が滑り部品を押して滑り、滑り部品は歯止めを駆動して歯車の回転を押し進める。
【0010】
好ましい実施形態において、前記駆動機構はさらに、前記歯車に対応して設置している位置止め爪を含み、前記位置止め爪は前記固定座に連結している。
【0011】
好ましい実施形態において、前記リセット部品は前記歯止め端部に連接している弾性アームであり、前記リセット部品に対して前記固定座にシャッターが設置されている。
【0012】
前記リセット部品は前記固定座に設置しているスプリングであり、前記歯止めには前記スプリングを押し出す当接アームが設置される。
【0013】
好ましい実施形態において、前記リセット部品は前記固定座に設置しているスプリングであり、前記スプリングは前記滑り部品と前記固定座の間に連結し、前記歯止めと前記滑り部品を締め付けている。
【0014】
背景技術と比較して、本技術案には以下の有益な効果がある。
【0015】
1、前記密封リングで分水盤の上表面に一つの防水区を囲み、吐水孔と連通していない分水孔に対応する密封リングで分水盤の下表面を一つの非排水区を囲み、前記防水区と前記非排水区の面積がほぼ同じであることで、分水盤上表面が水圧を受ける面積は分水盤下表面が水圧を受ける面積と同じであり、分水盤上表面と下表面が受ける水圧の作用力が大体同じになる、つまり、分水盤の上表面と下表面には圧力の差がほとんど存在していないので、分水盤の回転力が軽く、切り替えの手触りがよい、同時に、ボタン切り替え機構で水路を切り替える時に、通水状態で各水路を切り替える過程で、ボタンの切り替え力が軽く且つ切り替え力が変わらない。
【0016】
2、分水盤が回して切り替える過程中、あくまで密封リングを押すので、密封リングの移動が発生しない、そのため分水孔の密封がしっかりしている。
【0017】
3、前記分水孔の数は6個で、リングの行列で配列し、前記吐水孔の数は4個で、リングの行列で配列しているため、分水盤を30度回転させる度に、二つの吐水孔と二つの分水孔が揃うようになり、構造が簡単且つ巧妙である。
【0018】
4、三つの水路のうちの一つの水路の流量は他の二つの水路の流量より遥かに小さいため、この水路を切り替える時に、入浴者はボディーソープ或はシャンプーを簡単に塗ることができ、塗り終わった後も、入浴者はボタンを再び押すと、シャワー状態に切り替えることができ、全過程中、スイッチの切り替えに伴う水温調整が要らなくなることや、水を節約することができるなどの点で便利である。
【0019】
5、前記固定座は本体と金属嵌め子を含み、前記金属嵌め子は前記本体の下表面に固定され、金属嵌め子の圧力抵抗能力が強いので、水圧による固定座の変形を有効に防止することができる。同時に、最小流量に切り替え、固定座が耐える水圧がもっとも高いときでも、進水路は本体の一側に一体成形しているので、固定座が最大水圧を耐えられるので、水漏れの現象が発生しない。
【0020】
6、リセット部品はスプリング構造を採用し、ボタン切り替えの寿命を延長することができる。
【0021】
以下では図と実施例を結合しながら本発明の更なる説明をする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は本発明の多機能シャワーヘッドの立体分解図である。
【
図2】
図2は
図1に示すシャワーヘッドの分水盤の立体分解図である。
【
図3】
図3は
図1に示すシャワーヘッドの分水盤と分水体を示す。
【
図4】
図4は
図1に示すシャワーヘッドの局部の断面図である。
【
図6】
図6は
図1に示すシャワーヘッドの駆動機構の立体図である。
【
図7】
図7は
図1に示すシャワーヘッドの駆動機構の第一の切り替え方式を示す。
【
図8】
図8は
図1に示すシャワーヘッドの駆動機構の第二の切り替え方式を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1を参照すると、本発明の多機能シャワーヘッドはその切り替えの操作の手触りが軽い。前記シャワーヘッドは分水盤20、分水盤20の上に位置する固定座40、分水盤20の下に位置する分水体60と分水盤20の回転を連れる駆動機構80を含む。
【0024】
前記固定座40は一つの本体42及び一つの金属嵌め子44を含み、前記金属嵌め子44は前記本体42の下表面に連接する。
図4と
図5に示すように、分水盤20と固定座40の間で一つの流水の集まりキャビティ10を囲む。前記本体42には一つの進水路が設置され、前記進水路が本体42に一体成型されている、前記進水路は前記流水の集まりキャビティ10と連通している。前記分水盤20の中部には一つの密封リング30が嵌めこみ、密封リング30が分水盤20と前記固定座40の間で夾持されている。前記密封リング30で分水盤20の上表面に一つの防水区を囲み、つまり、水源が流水の集まりキャビティ10に入り、密封リング30の存在で、水は分水盤20が密封リング30に囲まれたエリア(防水区)と接触できなくなり、これにより、このエリアは水圧の作用を受けない。
【0025】
図1、
図2と
図3を参照すると、前記分水盤20に4個の吐水孔22が設置され、4個の吐水孔はリングの行列で配列し、隣接する二つの分水孔22の間隔は90度である。そのため、分水盤20の上表面は流水の集まりキャビティ10内からの水圧の作用面積S1は:分水盤20の上表面の面積から密封リング30で囲む面積(つまり防水区の面積)を引き、さらに、4個の吐水孔22の面積を引いたものである。
【0026】
前記分水体60には6個の分水孔62が設置され、6個の分水孔62はリングの行列で配列し、隣接する二つの分水孔の間隔は60度である。前記分水孔62には密封リング64が設置され、六個の密封リング64が連結している。
図4と
図5の示しと結合し、前記分水盤20と前記分水体60で一つの減圧水キャビティ50を囲む。一つの弾性部品70は分水盤20をしっかりと密封リング64の上に押しつける。使用状態では、二つの分水孔62を使って二つの吐水孔22と連通し、うち、吐水孔22と連通していない4個の分水孔62に対応する密封リング64で分水盤20の下表面に一つの非排水区を囲む。そのため、分水盤20の下表面の減圧水キャビティ50からの水圧の作用面積S2は:分水盤20の下表面の面積から4個の吐水孔と連通していない分水孔に対応する密封リング64の面積(つまり非排水区の面積)を引き、さらに、4個の吐水孔22の面積を引いたものである。前記分水盤20にはさらに分水盤20の上下表面を連通する4個の通路24がある。
【0027】
分水盤20の上表面と下表面の面積が同じであるので、本発明の前記防水区と前記非排水区の面積はほぼ同じ、つまり、S1≒S2としてもよい。そこで、水圧の分水盤20の上下表面への作用力がお互いに相殺し、分水盤20の回転が簡単になる。
【0028】
水路の切り替え原理を簡単に説明するため、4個の吐水孔22を二つの第一吐水孔22aと二つの第二吐水孔22bに分け、6個の分水孔62を二つの甲分水孔62a、二つの乙分水孔62b、二つの丙分水孔62cに分ける。二つの甲分水孔62a、二つの乙分水孔62b、二つの分水孔62cはそれぞれ三つの水路を通る。
【0029】
二つの第一吐水孔22aが二つの甲分水孔62aに向いている時、水流は甲分水孔62に沿って第一水路に流れる。この時シャワーヘッドからの散水量が小さく、シャワーヘッドは水止まりの状態である。分水盤20を30度回転させ、二つの第二吐水孔22bを二つの乙分水孔62bに向けると、水流は乙分水孔62bに沿って第二水路に流れる。この時のシャワーヘッドの散水量は大きく、シャワーヘッドは第一機能で散水する;分水盤20を継続して30度を回転させ、二つの第一吐水孔22aを二つの丙分水孔62cに向けると、水流は丙分水孔62cに沿って第三水路に流れる。この時のシャワーヘッドの散水量は大きく、シャワーヘッドは第二機能で散水する;順次循環する。
【0030】
図1と
図6を参照し、以下は駆動機構80が分水盤20を連動して回転させることを説明する。
【0031】
前記駆動機構80は一つのボタン81、固定座40にピン接合している揺れ部品82と歯止め83、固定座40に連接している滑り部品84、一つの歯車85、歯止め83のリセットを駆動するリセット部品86、分水盤20と歯車85を連結する伝動部品87、歯車85が逆方向に回転するのを防止する止め爪88を含む。前記リセット部品86は前記歯止め83端部と連接している弾性アームであり、リセット部品86と歯止め83の連接部は固定座40とピン接合し、前記固定座40の上には、前記リセット部品86に対応してシャッター46が設置されている。止め爪88は固定座80に連接している。
【0032】
ボタン81を押すと、揺れ部品82を連動して揺れさせ、且つ、揺れ部品82が滑り部品84を押して滑らせ、滑り部品84は歯止め83を駆動して歯車85を30度回転させ、伝動部品87の作用により、分水盤20は歯車85と同時に30度を回転し、同時に、リセット部品86はエネルギーを貯めて歯止め83のリセットを駆動する。
【0033】
図7を参照すると、前記リセット部品は前記固定座に設置しているスプリング86aでもよい。前記歯止め83には前記スプリング86aを押し出す当接アーム832が設置され、これにより、前記スプリング86aは当接アーム832を推し進め歯止め83はリセットされる。
【0034】
図8を参照すると、或は、前記リセット部品は前記固定座の内部に設置しているスプリング86bでもよい、前記スプリング86bは前記滑り部品84と前記固定座40の間に連結され、前記歯止め83と前記滑り部品84が締め付けているので、これにより、スプリング86bは滑り部品84を推し進んで歯止め83をリセットさせる。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上は本発明の具体的な実施例を開示したが,本発明のデザインアイデアはこれに限定されるものではなく,本発明のアイデアの範囲に基づいて非実性的に変形させることは可能であり,それらは本発明の請求項の保護範囲から排除するものではない。