【実施例】
【0053】
まず本発明のプログラムがインストールされるコンピュータの例示的ハードウエアを
図2に示す。本発明のプログラムおよびデジタル音声情報はネットワーク20から通信インターフェース14を介して、バス15を通じてメモリ13にロードされる。メモリ13はアプリケーション・プログラムを収納する部分のRAM−Pと再生制御情報を含む音声情報を収納するRAM−Sの二つの領域がある。RAMは不揮発性の半導体メモリが一般的である。CPU11がROM12と連係してメモリ13の中のRAM−Pにダウンロードされたアプリケーション・プログラムを実行する。同プログラムが実行されることにより表示インターフェース16を介して、表示部17に操作に必要な情報とボタン(アイコン)が表示される。また、音響インターフェース+アンプ18を介してスピーカまたはイヤホン19から音が発せられる。
【0054】
図3は、本デジタル音声情報再生制御用プログラムの構造と、本発明の方式に基づく音声情報の構造の両方を示す概念図である。本プログラムが実行されることにより実現するプレーヤには、普通の音楽用プレーヤのように、必要な情報と操作に必要なボタン類が表示される。それが表示画面17であり、
図2の17と同じものを意味している。その上に本発明に必須のチャンクの再生スタートを指示する第1の操作ボタン34とセンテンスの再生を指示する第2の操作ボタン33、および前記センテンス再生モードの自動再生モードと非自動再生モードを切り替える為の第3の操作ボタン35が表示される。
【0055】
実際のプレーヤにはその外に再生停止ボタンやリピート・ボタン等の複数のボタンが表示されるが、それらは本発明と本質的な関係がないので省略する。
【0056】
そして、
図3の中の21は、外部からダウンロードされて
図2のメモリ13の中のRAM−S部に収納された再生制御情報を含む音声情報を示している。そして、この中にはヘッダー22、第1の領域23、第2の領域24で構成されている。第1の領域23に収納された音声情報は、センテンスと各センテンスを構成するチャンクで構成されている。ヘッダーには、音声情報のタイトルや著作権者の名称等が収納されているが、ヘッダー22は本発明と直接関係ないので、無くても良い。
【0057】
第2の領域24の中には、各チャンクの始点および終点の位置情報、それと当該チャンクが属するセンテンスの始点および終点の位置情報がチャンク毎に示された制御情報25が収納されている。尚、
図3にある制御情報25は二次元の表形式で描かれているが、必ずしも表形式でなくても良く、それぞれの対応関係が規定されたものであれば良い。
【0058】
チャンクおよびセンテンスの位置情報は、本発明と別に開発された専用のオーサリング・システム(図示せず)で、もとの音声情報から検出される。また、各センテンスの最後のチャンクに対応した制御情報にはそれが最後のチャンクであることを示す属性が二値の情報、例えば1が最後のチャンクであり、0が最後のチャンクでないことを示している。
図1の音声情報のイメージ図の中の属性10にも0と1で示されている。属性も前もって前記のオーサリング・システムで予め検出され収納されている。属性の示し方はこの方法に限らず、プログラムの実行時に各センテンスの最後のチャンクであることが判別できれば別の方法でもよい。
【0059】
前記デジタル処理部26の中には、音声情報を再生する処理手順を制御する処理手順制御部28が備わっている。前記処理手順制御部28は、その内部に再生するチャンクの順番を決める再生順序設定兼保持手段29を有し、また前記チャンクを再生した後に次のチャンクを再生する前に再生を一時停止している時間を設定する再生一時停止時間設定記憶手段30を有している。
【0060】
更に、前記処理手順制御部28は、操作ボタン類制御手段32を有している。そして、操作ボタン類制御手段32は、表示インターフェース16を介して前記使用者がチャンクの再生指令を出す第1の操作ボタン34と前記センテンスを再生する為の指示を出す第2の操作ボタン33、およびセンテンスの前記の再生モードを選択する第3の操作ボタン35の少なくとも3つの操作ボタンに繋がっていて、それぞれの指令が前記表示インターフェース16と前記操作ボタン類制御手段32を介して前記処理手順制御部28に入力される。
【0061】
図3の25には制御情報の中の一例の中の一部が示されている。その中に1から7の7個のチャンクが見えている。1番から3番のチャンクが1番目のセンテンスに属し、また4番から7番のチャンクが2番目のセンテンスに含まれていることが分かる。これは
図1のセンテンスとチャンクの関係に合せたものである。由って、1番目のセンテンスの始点の位置情報はチャンクの1番目の始点の位置情報A1と同じで、そのセンテンスの終点の位置情報は最後のチャンクの終点の位置情報と同じB3になる。2番目のセンテンスの始点の位置情報はチャンクの始点の位置情報A4になり、そのセンテンスの終点の位置情報は当該センテンスの4番目のチャンクの終点の位置情報B7となっている。
【0062】
次に、前記処理手順制御部28が処理を指示する第2の処理手順を
図3と
図5を使って説明する。各処理手順の中は複数のステップで出来ている。図の中ではステップの番号を(Smn)のように表記する。mは処理手順の番号で、nは処理手順の中のステップの通し番号である。
【0063】
図4に示す第1の処理手順は、
図3の前記再生一時停止時間設定記憶手段30に前記使用者が1つのチャ
ンク再生後に一時再生を停止して欲しい希望時間を入力する処理手順である。この処理手順は、プログラマバブル端末やパーソナル・コンピュータに標準的に備わっている数値入力機能を使用できる。その画面に切り替えるのが(S11)である。設定画面に切り替わったら、まず、(S12)でメニューより再生一時停止時間入力を選択し、(S13)で現れた入力窓に望みの時間数を入力して、(S14)でEnterアイコンをタップすることで、前記再生一時停止時間設定記憶手段30に当該希望時間が入力される。
【0064】
図5の(S21)で、
図3の前記第1の操作ボタン34によりチャンクの再生指令が前記表示インターフェース16と前記操作ボタン類制御手段32を介して前記処理手順制御部28に入力される。(S22)で当該処理手順制御部28は前記再生順序設定兼保持手段29に保持されている順番を取り出す。(S23)でその順番のチャンクに対応する制御情報領域25内のチャンクの始点の位置情報を取り出す。(S24)で当該位置情報を
図3の指示路36を介して再生制御手段27に渡す。(S25)で
図3の再生制御手段27が再生を始める。(S26)で(S23)において取り込んだ位置情報の中のチャンクの終点の位置情報に達したかを調べ、未だ達していないNOの場合はそこで待つ。達したら(S27)に進み、そこで前記再生制御手段27に再生を停止させ、(S28)で第3の処理手順に移行する。
【0065】
尚、前記の再生させるという動作は、
図3の処理手順制御部28から指示路36を介して再生制御手段27に再生指令を送り、再生制御手段27はインタフェース37を介し、第2の領域24の中の制御情報25から再生させるチャンクの始点の位置情報を取り出し、その始点の位置情報から第1の領域23に収納された音声情報をインターフェース37を介し取り出し、音響インターフェース18(1)を介して音響インターフェース18(2)に伝達し、スピーカまたはイヤフォン19から音として出力する。この機能は通常のプレーヤとほとんど同じなので、以後の説明では省略する。尚、音響インターフェース18(1)(2)およびスピーカまたはイヤフォン19は
図2の18と19と同じものを意味している。
【0066】
第3の処理手順を
図6を使って説明する。
図6の(S31)で、第2の処理手順から移ってきたところから始まる。まず(S32)で
図3の再生一時停止時間設定記憶手段30に設定されている時間をカウンター(図示せず)にセットする。次に(S33)でカウンターがカウントを開始する。(S34)でセットした時間に達したかを調べ、達していなかったら、待つ。達していたら(S35)に進み、再生モードをチェックする。もし、非自動センテンス再生モードの場合、(S38)に進み、前記再生順序設定兼記憶手段29の中の内容に1を足し、新しいチャンクの番号に更新する。それから、(S39)から
図5の第2の処理手順の先頭(S29)に移行する。
【0067】
もし、(S35)で自動センテンス再生モードと判定された場合は、(S36)に進み、当該チャンクの制御情報の中の属性をチェックする。前記属性が0の場合、上記と同じように(S38)および(S39)により
図5の第2の処理手順の先頭(S29)に移行する。前記属性が1の場合は、(S37)に進み、
図7の第4の処理手順の先頭(S41)に移行する。
【0068】
第4の処理手順を
図7を使って説明する。この処理手順は、自動センテンス再生モードの時のものである。即ち、
図7の(S42)で再生が停止されたチャンクが属しているセンテンスの先頭の始点位置の情報と終点位置の情報を前記制御情報25から取り出し、始点位置から再生を始める。(S43)で再生点が当該センテンスの終点位置に達したかをチェックし、達していなければ待ち、達していたら、(S44)に進み、再生を停止して、前記再生順序設定兼記憶手段29の中の内容に1を足し、新しいチャンクの番号に更新する。それから、(S45)から
図5の第2の処理手順の先頭(S29)に移行する。
【0069】
第5の処理手順を
図8を使って説明する。この処理手順は自動センテンス再生モードと非自動センテンス再生モードに共通の処理手順である。
図3の前記処理手順制御部28と再生制御手段27の下でチャンクを再生している最中に、前記第2の操作ボタン33によりセンテンスの再生指令が前記表示インターフェース18および作ボタン類制御手段32を介して前記処理手順制御部28に入力された時、
図7の(S51)から処理手順が始まる。
【0070】
そのあと
図8の(S52)で前記処理手順制御部28は前記再生順序設定兼保持手段29で設定されている再生中のチャンクの順番に基づき、(S53)で再生していたチャンクの再生を停止する。(S54)で当該再生中のチャンクに属する前記制御情報25の中のセンテンスの位置情報をインタフェース37を介して
図3の再生制御手段27に取り込む。(S55)で当該位置情報の中のセンテンスの始点位置から当該センテンスの再生を開始する。(S56)で再生位置が前記制御情報の中の終点位置に達したかを調べ、達していなかった場合は待つ。達していたら、(S57)に進み、当該センテンスの終点情報が示す位置で再生を停止させ、第2の処理手順の先頭(S29)に移行する。
【0071】
第6の処理手順を図
9を使って説明する。これも自動センテンス再生モードと非自動センテンス再生モードに共通の処理手順である。チャンクの再生が停止している間に前記第2の操作ボタン33によりセンテンスの再生指令を前記表示インターフェース16および前記操作ボタン類制御手段32を介して前記処理手順制御部28に入力された場合の流図である。この場合は、図
9の(S61)から処理が始まる。
【0072】
次に(S62)で前記処理手順制御部28は前記再生順序設定兼保持手段29から再生を停止する直前に再生していたチャンクの順番情報を指示路36を介し前記再生制御手段27に渡す。そして次の(S63)で当該順番情報から前記制御情報25の中のセンテンスの位置情報を前記再生制御手段27に取り込む。(S64)で当該位置情報の中の始点位置から当該センテンスの再生を開始する。(S65)で再生位置が前記制御情報25内に有るセンテンスの終点位置に達したかを調べ、達していなかった場合は待つ。達していたら、(S66)に進み、当該センテンスの終点位置で再生を停止させ、
図5の第3の処理手順の先頭(S31)に移行する。
【0073】
本発明のプログラムがプレーヤとして働くようにコンピュータに実行させる処理手順は少なくとも前記の6種の処理手順が必須である。その外にも、音声情報を再生するプレーヤとして動作させる為には、通常のプレーヤと同様の周知の機能を付加することになるが、それらは本発明の範囲と直接関係ないことと、周知のことなので省略する。
【0074】
図10の100に、本発明のプログラムをプログラマブル端末、例えばスマート・フォンにインストールして実行させた時の表示部の例を示す。最上部に3つの再生モード101が並ぶ。3つのうちどれかをタップするとそこが選ばれて、選ばれたことを示すために色が変る。
【0075】
101として示す行の中央のAutoPauseが本発明に当るチャンク単位に再生一時停止時間を挿入しながら再生するモードである。AutoPauseモードにはIとIIの二種類がある。1回目のタップでAutoPauseIになり、2回目のタップでIIになり、更にタップするとIに戻る。Iは前記の非自動センテンス再生モードで、IIが前記の自動センテンス再生モードである。仮に自動センテンス再生モードが選択されていても、操作アイコン部104の行の中のセンテンス再生ボタン(S)がタップされるとその場からその時再生中のチャンクが属するセンテンスの先頭に飛びそこから当該センテンスの終点まで再生し、先ほどのチャンクに戻り又そこからチャンク単位に再生する。
【0076】
表示された画面の上から2行目102には、教材を選ぶコンテンツNo.と、その右側に再生中か停止中かの再生状態を示すアイコンが表示される。
図10の例では再生中のRUNが表示されている。また、その右側に再生中のチャンクの番号を示す窓がある。
【0077】
その下側の103には、再生中の英語のセンテンスが文字で表示される。そして、この例では、再生中のチャンクに対応する文字部にアンダーラインが表示される。アンダーラインの代わりに文字の色が変る方法や、文字の背景にハイライトを付ける方法もある。
【0078】
その下側の104には、操作用の6種のボタンが並ぶ。左から、チャンクを1つ戻す左向きの矢印、その右がチャンクを1つ進める右向きの矢印、その右側に再生停止ボタン、再生開始ボタン、センテンス再生ボタン、リピートボタンと続く。その下側が日本語表示部105であり、再生中のセンテンスの日本語訳の文字が表示される。