特許第6222661号(P6222661)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222661
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】玩具構築セット用の構築エレメント
(51)【国際特許分類】
   A63H 33/08 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   A63H33/08 A
【請求項の数】3
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2014-208627(P2014-208627)
(22)【出願日】2014年10月10日
(65)【公開番号】特開2016-77332(P2016-77332A)
(43)【公開日】2016年5月16日
【審査請求日】2016年6月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】514082424
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】510250973
【氏名又は名称】有限会社 FLOW DESIGN STUDIO
(74)【代理人】
【識別番号】100129632
【弁理士】
【氏名又は名称】仲 晃一
(72)【発明者】
【氏名】松田 英成
(72)【発明者】
【氏名】大宮 篤士
【審査官】 鈴木 崇雅
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2014/0220854(US,A1)
【文献】 実開昭62−180498(JP,U)
【文献】 実開昭52−071799(JP,U)
【文献】 特開2010−172568(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 33/04−14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の構築エレメントで構成される玩具構築セット用の構築エレメントであって、
前記構築エレメントは、上側表面と、前記上側表面に略平行な裏側表面と、前記上側表面から前記裏側表面に延在する複数の側面と、を有する金属製のブロック体で構成され、
前記ブロック体の前記上側表面には、略等間隔に並ぶ複数の略多角柱形状の結合スタッドが上側に配置され、
前記ブロック体の前記裏側表面には、略等間隔に並ぶ4つの略円柱形状の中空部が連通してなる開口部が設けられており、
一の構築エレメントが他の構築エレメントに相互連結されると、前記一の構築エレメントの結合スタッドが他の構築エレメントの開口部の中空部に係合する構成を有していること、
を特徴とする構築エレメント。
【請求項2】
前記構築エレメントが少なくとも4個の結合スタッドを含み、前記結合スタッドは正方パターンで位置付けられていること、
を特徴とする請求項1に記載の構築エレメント。
【請求項3】
前記結合スタッドの上面が平面であって、前記構築エレメントの前記上側表面及び前記裏側表面に略平行であること、
を特徴とする請求項1又は2に記載の構築エレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の玩具構築エレメントから構成される玩具構築セット用の構築エレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、子供用の玩具として、ブロックとも呼ばれる構築エレメントが広く普及している。この構築エレメント複数個が組み合わされて玩具構築セットとして販売されている。
【0003】
このようなブロックとしては、例えば特許文献1(特表平10−506310号公報)においては、「上側に一様な相互モジュール間隔の複数の結合ノブを有し、かつ結合ノブと結合される下向きの相補結合手段を備えた本体部を有する複数の積み重ねブロックから成る積み重ねブロック装置」が提案されている。
【0004】
また、例えば特許文献2(特表2002−534240号公報)においては、「複数の玩具構築ブロックから構成される玩具構築セット用の構築ブロック」で「前記複数の構築ブロックは、上側と裏側とを有する該表面と表面の裏側から下向きに延びる複数の側面とを有する箱形部分を含み、複数の結合フランジが側面の間に配置され、前記結合フランジは、該側面が表面から延在する距離より小さな距離だけ表面から下向きに延在し、複数の結合スタッドが該表面の上側に配置され」たものが提案されている。
【0005】
このような構築セットでは、構築セットのすべての構築エレメントが、構築エレメントの本体部分に固定されモジュール化された高さ、幅及び長さ等の、構築セットを特徴づける固有のモジュール寸法を有していることが重要であり、このことは、構築セットがさまざまなモデルを容易な方式で構築できるようにするために必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平10−506310号公報
【特許文献2】特表2002−534240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、上記の特許文献1及び2においては特に触れられていないが、従来の構築エレメントは主として子供用の玩具として具現化されているものがほとんどであり、したがって安心・安全の観点からプラスチック製のものが主流である。
【0008】
他方、大人にとっては、誰もが経験するように、子供時代を思い出して構築エレメントを使用してロボットや家等を作製したくなることがあるところ、プラスチック製の構築エレメントは質感に劣り、安っぽく、いかにも子供用の玩具として世間に認知されていることから、若干気が引けることもある。
【0009】
これに対し、本発明者らは、金属製の構築エレメント(ブロック)を作製することができれば、質感も良く、高級感があり、大人がこれを使用して遊べば、お洒落でカッコいい印象を抱かせるのではないかと考えたのであるが、従来の構築エレメントの構造では金属製のものは作製しにくく、作製したとしてもうまく係合乃至は嵌合しなかったりするという問題に直面した。
【0010】
そこで、本発明の目的は、質感が良く、高級感があり、大人がこれを使用して遊べば、お洒落でカッコいい印象を抱かせることができ、作製し易くかつ確実に係合乃至は嵌合させて遊ぶことのできる金属製の構築エレメント(ブロック)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決すべく、本発明は、複数の構築エレメントで構成される玩具構築セット用の構築エレメントであって、前記構築エレメントは、上側表面と、前記上側表面に略平行な裏側表面と、前記上側表面から前記裏側表面に延在する複数の側面と、を有する金属製のブロック体で構成され、前記ブロック体の前記上側表面には、略等間隔に並ぶ複数の略多角柱形状の結合スタッドが上側に配置され、前記ブロック体の前記裏側表面には、略等間隔に並ぶ4つの略円柱形状の中空部が連通してなる開口部が設けられており、一の構築エレメントが他の構築エレメントに相互連結されると、前記一の構築エレメントの結合スタッドが他の構築エレメントの開口部の中空部に係合する構成を有していること、を特徴とする構築エレメントを提供する。
【0012】
このような本発明の構築エレメントにおいては、少なくとも4個の結合スタッドを含み、前記結合スタッドは正方パターンで位置付けられていること、が好ましい。
【0013】
また、上記の本発明の構築エレメントにおいては、前記結合スタッドの上面が平面であって、前記構築エレメントの前記上側表面及び前記裏側表面に略平行であること、が好ましい。
【発明の効果】
【0014】
上記のような構成を有する本発明の構築エレメントによれば、質感も良く、高級感があり、大人がこれを使用して遊べば、お洒落でカッコいい印象を抱かせることができ、作製し易くかつ確実に係合乃至は嵌合させて遊ぶことのできる金属製の構築エレメント(ブロック)を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る構築エレメント1の概略斜視図である。
図2図1に示す構築エレメント1の5面図(正面図、右側面図、左側面図、平面図及び底面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
続いて、本発明の一実施形態に係る構築エレメント1について図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明は当該実施形態に限定されるものではなく、また、図面における各部材や部分の形状や寸法は、誇張して表している場合もあり、また、本発明の作用効果を奏するための実際の形状や寸法を必ずしも正確に表していない場合もある。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る構築エレメント1の概略斜視図であり、図2は、図1に示す構築エレメント1の5面図(正面図、右側面図、左側面図、平面図及び底面図)である。これらの図に示すように、本実施形態の構築エレメント1は、金属製のブロック体1aで構成されている。
【0018】
構築エレメント1を構成するこの金属製のブロック体1aは、上側表面2aと、上側表面2aに略平行な裏側表面2bと、上側表面2aから裏側表面2bに延在する複数の側面3a、3b、4a、4bと、を有している。本実施形態のブロック体1aは略直方体形状である。
【0019】
ここで、金属製のブロック体1aを構成する金属材料としては、構築エレメント1の作用効果を奏する形状を実現できる金属材料であれば特に制限されることはなく、種々の金属材料を使用することができる。例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銀、金等が挙げられる。
【0020】
そして、本実施形態の構築エレメント1においては、ブロック体1aの上側表面2aに、略等間隔に並ぶ8個の略正六角柱形状の凸部で構成されている結合スタッド5が上側に配置されており、また、ブロック体1aの裏側表面2bには、略等間隔に並ぶ4つの略円柱形状の中空部7a、7b、7c、7dが連通してなる開口部7が2個並列して設けられている。
【0021】
開口部7において、略円柱形状の中空部7a、7b、7c、7dは、それぞれ深さ方向(図1における矢印Xの方向)に略垂直な面方向において、互いに繋がっている。
【0022】
本実施形態における結合スタッド5は、ブロック体1aと連続しており、したがってブロック体1aと同じ材料で構成されている。
【0023】
そして、凸状の結合スタッド5を鉛直方向(図1における矢印Xの方向)からみた場合に、正六角形の6箇所の頂点部分が、開口部7を構成する略円柱形状の中空部7a、7b、7c、7dの内周面に接触して適度な摩擦により係合乃至は嵌合するように、結合スタッド5は形成されている。
【0024】
また、本実施形態では、ブロック体1aの裏側表面2bに設けられている開口部7は、その深さDが、結合スタッド5の高さHよりも長く、関係式:D>H(但し単位は同じ。)を満たしている。
【0025】
このような構造を有することにより、金属製であっても、一の構築エレメント1が他の構築エレメント1に相互連結されると、一の構築エレメント1の結合スタッド5が他の構築エレメント1の開口部7の中空部7a、7b、7c、7dにより確実に係合乃至は嵌合することができる。
【0026】
以上のような構造を有する本実施形態の構築エレメント1は、種々の方法で作製することができ、金属材料の種類によってその方法を選択すればよい。例えば、切削、鍛造、冷間圧造等の方法を採用することができる。
【0027】
なお、上記実施形態は本発明の一例に過ぎず、種々の設計変更が可能である。例えば、上記実施形態においては、略正六角柱形状の結合スタッド5が上側に配置されている態様について説明したが、略三角柱形状、略四角柱形状、略五角柱形状、略七角柱形状、略八角柱形状、略九角柱形状、略十角柱形状等の略多角柱形状であってもよい。
【0028】
また、図2においては、2個の開口部7がそれぞれ独立して並置されているが、2個の開口部7が繋がっていてもよい。その場合、一の構築エレメント1と他の構築エレメント1とを連結させた際に、略円柱形状の中空部7a、7b、7c、7dの内周面において結合スタッド5と接触する部分が減らないようにするのが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る構築エレメントは、金属製であるにも関わらず、作製し易くかつ確実に係合乃至は嵌合させて遊べるため、質感も良く、高級感があり、大人がこれを使用して遊べば、お洒落でカッコいい印象を抱かせることができることから、例えば、大人用の玩具、オブジェ、インテリア用品等として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0030】
1・・・構築エレメント、
1a・・・ブロック体、
2a・・・上側表面、
2b・・・裏側表面、
3a、3b、4a、4b・・・側面、
5・・・結合スタッド、
7・・・開口部、
7a、7b、7c、7d・・・中空部。
図1
図2