(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液滴操作間隙内の前記液滴を加熱する工程をさらに含み、好ましくは、少なくとも沸点の60パーセント、摂氏75度の最低温度及び沸点から摂氏20度の範囲内のうちいずれかである、請求項1に記載の方法。
オーバーラップ配置、櫛型配置及び三角形配置のうちのいずれかで前記液滴操作電極を提供する工程であって、前記液滴操作電極を用いて、前記液滴操作間隙内の前記液滴に前記多様な液滴操作を行なう間、前記電気的アースとの接触の喪失を妨げる、工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
前記側壁は第1レールを含み、前記対向する側壁は第2レールを含み、前記第1レールおよび第2レールは、互いに平行して配置された細長3次元(3D)構造である、請求項11に記載の方法。
液滴アクチュエーターにおいて液滴に液滴操作を行なうためのシステムであって、該システムは、コードを実行するためのプロセッサーおよび該プロセッサーと通信するメモリーを含み、前記液滴アクチュエーターは、離間して液滴操作間隙を形成する頂部基板および底部基板を含み、前記液滴アクチュエーターは、その上で液滴操作を行なうために配置された液滴操作電極の配置をさらに含み、前記システムは前記メモリーに格納されたコードを含み、該コードにより、前記プロセッサーが少なくとも、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法を実行するシステム。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1A】液滴アクチュエーターの一部分の側面図であり、液滴が頂部基板のアースまたは参照電極と接触を喪失する液滴操作過程の推移を示す。
【
図1B】液滴アクチュエーターの一部分の側面図であり、液滴が頂部基板のアースまたは参照電極と接触を喪失する液滴操作過程の推移を示す。
【
図1C】液滴アクチュエーターの一部分の側面図であり、液滴が頂部基板のアースまたは参照電極と接触を喪失する液滴操作過程の推移を示す。
【
図1D】液滴アクチュエーターの一部分の側面図であり、液滴が頂部基板のアースまたは参照電極と接触を喪失する液滴操作過程の推移を示す。
【
図2】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴が頂部基板と接触を喪失し、泡を形成する液滴操作過程の瞬間を示す。
【
図3A】液滴アクチュエーターの例の側面図であり、液滴操作間隙の高さが低減され、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる領域を含む。
【
図3B】液滴アクチュエーターの例の側面図であり、液滴操作間隙の高さが低減され、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる領域を含む。
【
図4A】液滴アクチュエーターの例の側面図であり、頂部基板の表面がテクスチャ加工され、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる領域を含む。
【
図4B】液滴アクチュエーターの例の側面図であり、頂部基板の表面がテクスチャ加工され、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる領域を含む。
【
図5A】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる、1セットの調整可能なアースプローブを含む。
【
図5B】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる1セットの調整可能なアースプローブを含む。
【
図6A】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる、液滴操作電極に対して同平面のアースまたは参照を含む。
【
図6B】液滴アクチュエーターの上面図であり、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる、液滴操作電極に対して同平面のアースまたは参照を含む。
【
図7A】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴アクチュエーターの液滴操作間隙の高さが調整可能である。液滴操作間隙の高さは液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなるように必要に応じて低減可能である。
【
図7B】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴アクチュエーターの液滴操作間隙の高さが調整可能である。液滴操作間隙の高さは液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなるように必要に応じて低減可能である。
【
図8A】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴アクチュエーターは充填流体中の導電性を利用し、液滴が液滴に対して放電する助けとなる。
【
図8B】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴アクチュエーターは充填流体中の導電性を利用し、液滴が液滴に対して放電する助けとなる。
【
図9】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴操作間隙内にアース線を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図10】液滴アクチュエーターの側面図であり、2倍の大きさ、またはより大きい液滴を利用し、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図11】電極配置の例の上面図であり、櫛形の液滴操作電極を利用し、1つの櫛型電極から隣接する電極への液滴の移送を円滑にする。
【
図12A】電極配置の例の上面図であり、櫛形の液滴操作電極を利用し、1つの櫛型電極から隣接する電極への液滴の移送を円滑にする。
【
図12B】電極配置の例の上面図であり、櫛形の液滴操作電極を利用し、1つの櫛型電極から隣接する電極への液滴の移送を円滑にする。
【
図12C】電極配置の例の上面図であり、櫛形の液滴操作電極を利用し、1つの櫛型電極から隣接する電極への液滴の移送を円滑にする。
【
図12D】電極配置の例の上面図であり、櫛形の液滴操作電極を利用し、1つの櫛型電極から隣接する電極への液滴の移送を円滑にする。
【
図13A】電極配置の例の上面図であり、三角形の液滴操作電極を利用し、1つの三角形電極から隣接する三角形電極への液滴の移送を円滑にする。
【
図13B】電極配置の例の上面図であり、三角形の液滴操作電極を利用し、1つの三角形電極から隣接する三角形電極への液滴の移送を円滑にする。
【
図14A】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴操作電極は、液滴操作の速度を増加するよう適合されている。
【
図14B】液滴アクチュエーターの上面図であり、液滴操作電極は、液滴操作の速度を増加するよう適合されている。
【
図15】液滴操作経路を含む液滴アクチュエーターを示す図である。液滴操作経路の側壁は電極配置を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図16】流通経路を含む液滴アクチュエーターを示す図である。液滴操作経路の側壁は電極配置を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図17】液滴操作経路を含む液滴アクチュエーターを示す図である。液滴操作経路の側壁は電極配置を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図18】液滴操作経路を含む液滴アクチュエーターを示す図である。液滴操作経路の側壁は電極配置を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図19】液滴操作経路を含む液滴アクチュエーターを示す図である。液滴操作経路の側壁は電極配置を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図20】液滴操作経路を含む液滴アクチュエーターを示す図である。液滴操作経路の側壁は電極配置を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図21】液滴操作経路を含む液滴アクチュエーターを示す図である。液滴操作経路の側壁は電極配置を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図22A】液滴操作経路を含む液滴アクチュエーターを示す図である。液滴操作経路の側壁は電極配置を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図22B】液滴操作経路を含む液滴アクチュエーターを示す図である。液滴操作経路の側壁は電極配置を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。
【
図23】液滴アクチュエーターの側面図であり、液滴が頂部基板と接触を喪失し、テイラーコーンが形成された液滴操作過程の瞬間を示す。
【
図24】液滴アクチュエーターを含む微小流体システムの例の、機能ブロック図である。
【0024】
定義
以下の用語は、本明細書では以下に示された意味を有する。
【0025】
1つ以上の電極に対して「活性化する」とは、1つ以上の電極の電気的状態の変化に影響を及ぼすことを意味し、液滴の存在下では、これにより液滴操作が行なわれる。電極の活性化は、交流電流または直流電流により達成され得る。適したいずれの電圧を用いてもよい。例えば、約150Vより大きい、または約200Vより大きい、または約250Vより大きい、または約275V〜約1000Vの、または約300Vの電圧を用いて電極を活性化してもよい。交流電流を用いる場合、いずれの適した周波数を用いてもよい。例えば、約1Hz〜約10MHz、または約10Hz〜約60Hz、または約20Hz〜約40Hz,または約30Hzの周波数を有する交流電流を用いて電極を活性化してもよい。
【0026】
「泡」は液滴アクチュエーターの充填流体中の気泡を意味する。いくつかの場合では、泡は意図的に液滴アクチュエーター内に含まれてよく、このようなケースは、2010年7月29日に公開された題名「Bubble Techniques for a Droplet Actuator」の米国特許出願公開第20100190263号明細書で開示されており、その全開示内容が参照により本明細書に援用される。本発明は、液滴アクチュエーター内の蒸発、液滴の加水分解といった、液滴アクチュエーター内部の様々な過程の副作用として形成される、不所望な泡に関する。泡は、少なくとも部分的に充填流体と境界をつけてもよい。例えば、泡は充填流体に完全に包囲されてよく、または充填流体および液滴アクチュエーターの1つ以上の表面と境界をつけてもよい。別の例として、泡は、充填流体、液滴アクチュエーターの1つ以上の表面、および/または液滴アクチュエーター内の1つ以上の液滴と境界をつけてもよい。
【0027】
「液滴」は、液滴アクチュエーターにおけるある容量の液体を意味する。通常、液滴は充填流体により少なくとも部分的に境界をつけられる。液滴は、例えば、水性もしくは非水性であってもよいし、または水性成分および非水性成分を含む混合物またはエマルションであってもよい。液滴は、多種多様な形状を取ってもよい;液滴の形状の例はこれらに限定されないが、以下の形状を含む:略ディスク形、スラグ形、平頭球形、楕円体、球形、一部偏平な球、半球、卵形、円筒形、斯かる形状の組み合わせ、および混合もしくは分割等の液滴操作の間に形成される様々な形状、または斯かる形状が液滴アクチュエーターの1つ以上の表面と接触する結果形成される様々な形状。本発明の方法を用いた液滴操作を施してもよい液滴流体の例については、2006年12月11日に出願された題名「Droplet-Based Biochemistry」の国際特許出願第PCT/US06/47486号を参照されたい。様々な実施形態で、液滴は、全血、リンパ液、血清、血漿、汗、涙、唾液、痰、脳脊髄液、羊水、精液、膣排泄物、漿液、滑液、心膜液、腹水、胸膜液、濾出液、滲出液、嚢胞液、胆液、尿、胃液、腸液、糞資料、単細胞または多細胞を含む液体、細胞小器官を含む液体、流動組織、流動有機体、多細胞生物を含む液体、生化学的スワブ、および生物学的洗浄剤等の生物学的サンプルを含んでいてもよい。さらに、液滴は、水、脱イオン水、食塩水、酸性溶液、塩基性溶液、洗浄液、および/またはバッファー等の試薬を含んでいてもよい。液滴内容物の他の例は、生化学的な手順用の試薬等、核酸増幅手順、親和性に基づく測定手順、酵素測定手順、配列決定手順、および/または生物学的流体の分析手順等の試薬を含む。液滴は、1つ以上のビーズを含んでいてもよい。
【0028】
「液滴アクチュエーター」は、液滴を操作するための装置を意味する。液滴アクチュエーターの例は、以下を参照されたい:2005年6月28日に発行されたPamulaらによる題名「Apparatus for Manipulating Droplets by Electrowetting-Based Techniques」の米国特許第6,911,132号明細書;2006年1月30日に出願されたPamulaらによる題名「Apparatuses and Methods for Manipulating Droplets on a Printed Circuit Board」の米国特許出願第11/343,284号明細書;2006年12月11日に出願されたPollackらによる題名「Droplet-Based Biochemistry」の国際特許出願第PCT/US2006/047486号;Shenderovによる2004年8月10日に発行された題名「Electrostatic Actuators for Microfluidics and Methods for Using Same」の米国特許第6,773,566号明細書、および2000年1月24日に発行された題名「Actuators for Microfluidics Without Moving Parts」の米国特許第6,565,727号明細書;Kimおよび/Shahらによる,2003年1月27日に出願された題名「Electrowetting-driven Micropumping」の米国特許出願第10/343,261号明細書、2006年1月23日に出願された題名「Method and Apparatus for Promoting the Complete Transfer of Liquid Drops from a Nozzle」の米国特許出願第11/275,668、2006年1月23日に出願された題名「Small Object Moving on Printed Circuit Board」の米国特許出願第11/460,188号明細書、2009年5月14日に出願された題名「Method for Using Magnetic Particles in Droplet Microfluidics」の米国特許出願第12/465,935号明細書、および2009年4月30日に出願された題名「Method and Apparatus for Real-time Feedback Control of Electrical Manipulation of Droplets on Chip」の米国特許出願第12/513,157号明細書;2009年6月16日に発行されたVelevによる題名「Droplet Transportation Devices and Methods Having a Fluid Surface」の米国特許第7,547,380号明細書;2007年1月16日に発行されたSterlingらによる題名「Method, Apparatus and Article for Microfluidic Control via Electrowetting, for Chemical, Biochemical and Biological Assays and the Like」の米国特許第7,163,612号明細書;BeckerおよびGascoyneらによる2010年1月5日に発行された題名「Method and Apparatus for Programmable fluidic Processing」の米国特許第7,641,779号明細書、および2005年12月20日に発行された題名「Method and Apparatus for Programmable fluidic Processing」の米国特許第6,977,033号明細書;Decreらによる2008年2月12日に発行された題名「System for Manipulation of a Body of Fluid」の米国特許第7,328,979号明細書;Yamakawaらによる2006年2月23日に公開された題名「Chemical Analysis Apparatus」の米国特許出願公開第20060039823号明細書;Wuによる2008年12月31日に公開された題名「Digital Microfluidics Based Apparatus for Heat-exchanging Chemical Processes」の国際特許公開第WO/2009/003184号明細書;Fouilletらによる2009年7月30日に公開された題名「Electrode Addressing Method」の米国特許出願公開第20090192044号明細書;Fouilletらによる2006年5月30日に発行された題名「Device for Displacement of Small Liquid Volumes Along a Micro-catenary Line by Electrostatic Forces」の米国特許第7,052,244号明細書、Marchandらによる2008年5月29日に公開された題名「Droplet Microreactorの米国特許出願公開第20080124252号;Adachiらによる2009年12月31日に公開された「Liquid Transfer Device」の米国特許出願公開第20090321262号明細書;Rouxらによる2005年8月18日に公開された「Device for Controlling the Displacement of a Drop Between two or Several Solid Substrates」の米国特許出願公開第20050179746号明細書;Dhindsaらによる題名「Virtual Electrowetting Channels: Electronic Liquid Transport with Continuous Channel Functionality」のLab Chip、10号、第832〜836頁、2010年;これらの優先権文献と共に、これらの内容を参照して、その開示内容全体が本明細書に援用される。所定の液滴アクチュエーターは、基板間に液滴操作間隙を有するよう配置された1つ以上の基板と、1つ以上の基板に結合し(例えば重ね、取り付け、かつ/埋め込まれ)、1つ以上の液滴操作を行なうよう配置された電極とを含む。例えば、所定の液滴アクチュエーターは、基部(または底部)基板、前記基板に結合した液滴操作電極、前記基板および/または電極の頂部の1つ以上の誘電層、ならびに任意に前記基板、誘電層および/または液滴操作表面を形成する電極の頂部の1つ以上の疎水性層を含む。一般に液滴操作間隙と称される間隙により液滴操作面から分離した頂部基板を設けてもよい。頂部基板および/または底部基板上における電極の様々な配列が、上記参考特許および出願において検討されており、本明細書の記述では特定の新規な電極配列が説明されている。液滴操作の間、液滴、アースまたは参照電極と連続的または頻繁な接触を保つことが好適である。アースまたは参照電極は、間隙に面した頂部基板、間隙に面した底部基板および/または間隙内部と結合してもよい。両方の基板上に電極を設ける場合、電極を制御またはモニターするための液滴アクチュエーター機器に電極を結合するための電気的な接触は、1つまたは両方の基板に結合してもよい。場合によっては、一方の基板上の電極を、他の基板に電気的に結合することにより、一方の基板のみを液滴アクチュエーターに接続させる。一実施形態では、導電性材料(例えば、エポキシ、NJ、HackensackのMaster Bond社から入手可能なMASTERBOND(商標)Polymer System EP79等)が、一方の基板上の電極と、他方の基板上の電気路との間の電気的接続をもたらす;例えば頂部基板上のアース電極は、斯かる導電性材料により底部基板上の電気路に結合してよい。複数の基板を用いる場合、スペーサーを基板間に設けることにより基板間の間隙の高さを決定し、分配リザーバを規定してもよい。スペーサーの高さは、例えば、約5μmから約600μm、または約100μmから約400μm、または約200μmから約350μm、または約250μmから約300μm、または約275μmであってもよい。スベーサーは、例えば、頂部基板または底部基板を形成する突出層、および/または頂部基板と底部基板の間に挿入された材料として形成してもよい。液体が通って液滴操作間隙に供給され得る流体経路を形成するために、1つ以上の開口部を1つ以上の基板に設けてもよい。1つ以上の開口部は、場合によっては、1つ以上の電極との相互作用のために配列してもよく、例えば、開口部を通った液体が1つ以上の液滴操作電極と十分近接し、液体を用いた液滴操作電極により液滴操作が行なわれるように配列してもよい。場合によっては、基部(または底部)基板および頂部基板を、1つの一体化した部材として形成してもよい。1つ以上の参照電極を、基板(または底部)基板上および/または頂部基板上および/または間隙内に設けてもよい。参照電極配列の例が、上記参考特許および参考特許出願に開示される。様々な実施形態では、液滴アクチュエーターによる液滴の操作は、例えばエレクトロウエッティング媒介、または誘電泳動媒介、またはクローン力媒介等の電極媒介であってもよい。本発明の液滴アクチュエーターで用いてもよい、液滴操作を制御するための他の技術の例は、機械的原理(例えば外部シリンジポンプ、空気圧膜ポンプ、振動膜ポンプ、真空装置、遠心力、圧電ポンプ/超音波ポンプおよび音響力);電気的原理または磁気的原理(例えば、電気浸透流、動電学的ポンプ、強磁性流体プラグ、電気流体力学ポンプ、磁力を利用した引力または斥力、および電磁流体力学的ポンプ);熱力学的原理(例えば気泡発生/相転移体積膨張);他の種類の表面湿潤原理((例えば、エレクトロウエッティング、および光電濡れと同様に化学的な、熱的な、構造的な、および放射性の誘起表面張力勾配);重力;表面張力(例えば、毛細管現象);静電力(例えば、電気浸透流);遠心力(コンパクトディスク上に配置され、回転された基板);磁力(例えば、振動イオンが流れを引き起こす);電磁流体力学的な力;および真空差または圧力差等に基づき動作するもの等の、流体力学的な流体圧を誘起する装置、の使用を含む。ある実施形態では、上記技術の2つ以上の組み合わせを用いて、本発明の液滴アクチュエーターでの液滴操作を行なってもよい。同様に、上述したものの1つ以上を用いて、例えば、他の装置のリザーバから、または、液滴アクチュエーターの外部リザーバ(例えば、液滴アクチュエーター基板に結合したリザーバおよび当該リザーバから液滴操作間隙への流体経路)から、液体を液滴操作間隙に供給してもよい。本発明の特定の液滴アクチュエーターの液滴操作面は、疎水性材料でできていてもよく、または、液滴操作面を疎水性とするために被覆または処理されていてもよい。例えば、いくつかの場合、液滴操作表面の一部または全部を、溶液中のポリもしくはパーフルオロ化合物、または、重合性単量体の化合物を使用した、堆積または原位置合成等により、低界面エネルギー材料または化学的性質により誘導体化させてもよい。例としてTEFLON(登録商標)AF(DE、Wilmington、DuPont社から入手可能)、材料のサイトップファミリーの一部、疎水性のFLULROPEL(登録商標)ファミリーにおけるコーティングおよび超疎水性のコーティング(MD、Beltsville、Cytonix社から入手可能)、シランコーティング、フルオロシランコーティング、疎水性ホスホン酸誘導体(例えば、Aculon社から販売されている商品)、およびNOVEC(商標)電気コーティング(MN、St.Paul、3M Company社から入手可能)、およびプラズマ化学気相成長法(PECVD)用の他のフッ素化された単量体、およびPECVD用の有機シロキサン(例えば、SiOC)が挙げられる。いくつかの場合、液滴操作表面は、約10nm〜1,000nmの厚みを有する疎水性コーティングを含んでいてもよい。さらに、いくつかの実施形態では、液滴アクチュエーターの頂部基板は、導電性有機ポリマーを含み、頂部基板は、次いで、疎水性コーディングで被覆され、または、液滴操作表面を疎水性にするために他の処理をされる。例えば、プラスチック基板上に堆積される導電性有機ポリマーは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート)(PEDOT:PSS)であってもよい。導電性有機ポリマー層および代替の導電層の他の例は、Pollackらによる題名「Droplet Actuator Devices and Methods」の国際特許出願第PCT/US2010/040705号明細書に記載されており、その開示全体が参照により本明細書に援用される。1つまたは両方の基板を、基板としてプリント回路基板(PCB)、ガラス、インジウムスズ酸化物(ITO)被覆ガラス、および/または半導体材料を用いて作成してもよい。基板がITO被覆ガラスの場合、ITOコーティングは、約20nm〜約200nmの範囲が好ましく、約50nm〜約150nmの範囲、または約75nm〜約125nm、または約100nmの厚みが好ましい。いくつかの場合、頂部基板および/または底部基板は、ポリイミド誘電体等の誘電体で被覆されたPCB基板を含み、PCB基板は、いくつかの場合、被覆または他の処理がなされて、液滴操作表面を疎水性にしてもよい。基板がPCBを含む場合、以下の材料が好適な材料の例である:MITSUI(商標)BN-300(CA、San Jose、MITSUI Chemical America社から入手可能);ARLON(商標)11N(CA、Santa Ana、Arlon社から入手可能);NELCO(登録商標)N4000-6およびN5000-30/32(NY、Melville、Park Electrochemical社から入手可能);ISOLA(商標)FR406(AZ、Chandler、Isola Group社から入手可能)、特にIS620;フルオロポリマーファミリー(低バックグラウンド蛍光を有するため蛍光検出に適している);
ポリイミドファミリー;ポリエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン;液晶ポリマー;シクロオレフィンコポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP);アラミド;THERMOUNT(登録商標)不織布アラミド補強材(DE、Wilmington、DuPont社から入手可能);NONEX(登録商標)ブランド繊維(DE、Wilmington、DuPont社から入手可能);および紙。種々の材料についても、基板の誘電体部材としての使用に適している。例としては以下のものを含む:PARYLENE(商標)C(特にガラス上)、PARYLENE(商標)NおよびPARYLENE(商標)HT(〜300°Cの高温用)(TX、Katy、Parylene Coating Services社から入手可能)等の蒸着した誘電体;TEFLON(登録商標)AFコーティング;サイトップ;TAIYO(商標)PSR4000シリーズ、TAIYO(商標)PSRおよびAUSシリーズのような(例えばPCB上で)液体画像形成可能なソルダーマスク(NV、Carson City、Taiyo America社から入手可能)(熱制御を含む用途に良好な熱特性)、およびPROBIMER(商標)8165(熱制御を含む用途に良好な熱特性)(CA、LosAngels、Huntsman Advanced Materials Americas社から入手可能)等のソルダーマスク;VACREL(登録商標)乾燥フィルムソルダーマスク系(DE、Wilmington、DuPont社から入手可能)等の乾燥フィルムソルダーマスク;ポリイミドフィルム(例えば、KAPTON(登録商標)ポリイミドフィルム、DE、Wilmington、DuPont社から入手可能)等のフィルム誘電体、ポリエチレン、およびフルオロポリマー(例えば、FEP)、ポリテトラフルオロエチレン;ポリエステル;ポリエチレンナフタレート;シクロオレフィンコポリマー(COC);上記で列挙した他のPCB基板材料のいずれか;ブラックマトリックス樹脂;およびポリプロピレン。液滴移送の電圧と周波数は、個別の測定手順で用いられる試薬の性能によって選択してもよい。設計パラメーターは異なっていてもよく、例えば、アクチュエーターのリザーバの数と配置、独立した電極接続の数、異なるリザーバの大きさ(体積)、磁石/ビーズ洗浄ゾーンの配置、電極サイズ、電極間の間隔、および間隙高さ(頂部基板と底部基板の間)は、個別の試薬、手順、液滴体積等の使用のために異なっていてもよい。いくつかの場合、本発明の基板は、溶液中のポリもしくはパーフルオロ化合物または重合性単量体等の化合物を使用した、堆積または原位置合成等により、低活面エネルギー材料または化学的性質により誘導体化させてもよい。例としては、浸漬またはスプレーコーティング用のTEFLON(登録商標)AFコーティングおよびFLUOROPEL(登録商標)コーティング、ならびにプラズマ化学気相成長法(PECVD)用の他のフッ素化された単量体およびPECVD用の有機シロキサン(例えば、SiOC)が挙げられる。加えて、いくつかの場合、液滴操作表面の一部または全部は、PCB基板からのバックグラウンド蛍光発光等のバックグラウンドのノイズを低減する物質で被覆されていてもよい。例えば、ノイズ低減コーティングは、日本の東レ株式会社から入手可能なブラックマトリックス樹脂等のブラックマトリックス樹脂を含んでもよい。液滴アクチュエーターの電極は、通常、コントローラーまたはプロセッサーにより制御され、コントローラーまたはプロセッサーは、それ自体、システムの一部として設けられ、処理機能と同様に、データおよびソフトウェアストレージならびに入力および出力機能を含んでいてもよい。試薬は、液滴アクチュエーター上であって、液滴操作間隙内、または、液滴操作間隙に流体的に結合したリザーバ内に供給されてもよい。試薬は、液滴等の液体形態でもよく、また試薬は、液滴操作間隙内または液滴操作間隙に流体的に結合したリザーバ内で再構成可能な形態で供給されてもよい。再構成可能な試薬は、通常、再構成のために液体と組み合わせることができる。本発明での使用に好適な再構成可能な試薬の例として、Meathrelらによる2010年6月1日に特許された題名「Disintegratable films for diagnostic devices」の米国特許第7,727,466号明細書に記載された試薬が挙げられる。
【0029】
「液滴操作」は、液滴アクチュエーター上での液滴の何らかの操作を意味する。液滴操作は、例えば、以下を含む:液滴アクチュエーターへの液滴の装填;液滴源からの1または複数の液滴の分配;一の液滴を2以上の液滴とする分割(splitting)、分離(separating)または分割(dividing);一の位置からいずれかの方向の他の位置への液滴の移送;2以上の液滴を単一の液滴にする混成(merging)または結合(combining);液滴の希釈;液滴の混合(mixing);液滴の攪拌;液滴の変形;適所での液滴の保存;液滴の保温;液滴の加熱;液滴の気化;液滴の冷却;液滴の廃棄;液滴の液滴アクチュエーター外への移送;本明細書中に記載の他の液滴操作;および/または上記の組み合わせ。用語「混成する」、「混成」、「結合する」、「結合」等は、2以上の液滴から1の液滴を生成することを記載するために用いる。2以上の液滴に関して斯かる用語を使用するときは、2以上の液滴の結合により1の液滴とするのに十分な何らかの液滴操作の組み合わせを用いてもよいことを理解されたい。例えば、「液滴Aと液滴Bの混成」は、液滴Aを静止した液滴Bと接触するよう移送すること、液滴Bを静止した液滴Aと接触するよう移送すること、または液滴AおよびBを互いに接触するよう移送することにより達成される。用語「分割」、「分離」および「分割」は、生成する液滴の体積(すなわち、生成する液滴の体積は同じかまたは異なり得る)または生成する液滴の数(生成する液滴の数が2、3、4、5またはそれ以上であってもよい)に関して何ら特定の結果を意味することを意図したものではない。用語「混合(mixing)」は、液滴中で1つ以上の構成要素をより均一に分布させる液滴操作をいう。液滴操作の「装填」の例として、微小透析装填、圧力補助装填、ロボット装填、受動装填、およびピペット装填が挙げられる。液滴操作は、電極媒介されてもよい。いくつかの場合、液滴操作は、表面上の親水性領域および/または疎水性領域の使用により、および/または物理的障害により、さらに促進される。液滴操作の例については、「液滴アクチュエーター」という定義の下で、引用された上記特許および特許出願文献を参照されたい。インピーダンスまたは静電気容量検知または画像化技術を、液滴操作の結果を決定または確認するために用いることがあってもよい。斯かる技術の例は、Sturmerらによる2008年8月21日に公開された題名「Capacitance Detection in a Droplet Actuator」の国際特許公開第WO/2008/101194号明細書に記載されており、その開示全体が参照により本明細書に援用される。一般的に言えば、検知または画像化技術は、特定の電極に液滴が存在するか否かを確認するのに用いることが可能である。例えば、ある液滴分配操作後の、目的電極における分配された液滴の存在により、その液滴分配操作が効果的であったことが確認される。同様に、測定手順の適当な工程の検出場所に液滴が存在することにより、前の一連の液滴操作が検出用液滴を良好に生成したことを確認することができる。液滴移送時間は、かなり早くてもよい。例えば、様々な実施形態において、一の電極から隣の電極までの液滴の移送は、約1秒、または約0.1秒、または約0.01秒、または約0.001秒を超えてもよい。一実施形態では、電極は交流モードで作動するが、画像化のために直流モードに切り替えられる。エレクトロウエッティング領域に類似する液滴の専有領域について液滴操作を行なうことが有用である。換言すると、1倍、2倍、3倍の液滴が、それぞれ、1、2、および3個の電極を用いて効果的に制御されて操作される。仮に、液滴の専有領域が所定時間に液滴操作を行なうために利用可能な電極の数よりも大きい場合、液滴の大きさと電極の数との差は、通常1以下であるべきであり、換言すると、2倍の液滴が1個の電極を用いて効果的に制御され、3倍の液滴が2個の電極を用いて効果的に制御される。液滴がビーズを含む場合、液滴の大きさが、液滴を輸送する等、液滴を制御する電極の数と等しいと有益である。
【0030】
「充填流体」は、液滴アクチュエーターの液滴操作基板に関連する流体を意味し、ここで流体は十分に液滴相に対し非混和性であるため液滴相が電極媒介の液滴操作に供される。例えば、液滴アクチュエーターの液滴操作間隙は、通常、充填流体で充填される。充填流体は、例えばシリコーンオイルまたはヘキサデカン充填流体等の低粘性オイルであってもよい。充填流体は、液滴アクチュエーターの間隙全体を充填していてもよいし、または液滴アクチュエーターの1つ以上の表面を被覆していてもよい。充填流体は、導電性または非導電性であってもよい。充填流体は、例えば、界面活性剤または他の添加剤が添加されていてもよい。例えば、添加剤を選択して、液滴作業を改良してもよいし、および/または、液滴からの試薬もしくは目標物質の損失、微小液滴の形成、液滴間の相互汚染、液滴アクチュエーターの表面の汚染、液滴アクチュエーター材料の劣化等を低減してもよい。界面活性剤の添加を含む充填流体の組成は、個別の測定手順で用いられる試薬の性能、および、液滴アクチュエーターの材料との効果的な相互作用または非相互作用、により選択してもよい。本発明での使用に適した充填流体および充填流体の配合の例は、Srinivasanらによる2010年3月11日に公開された題名「Droplet Actuators, Modified Fluids and Methods」の国際特許公開第WO/2010/027894号明細書および2009年2月12日に公開された題名「Use of Additives for Enhancing Droplet Operations」の国際特許公開第WO/2009/021173号明細書;Sistaらによる2008年8月14日に公開された題名「Droplet Actuator Devices and Methods Employing Magnetic Beads」の国際特許公開第WO/2008/098236号明細書;およびMonroeらによる2007年5月17日に出願された題名「Electrowetting Devices」の米国特許出願公開第20080283414号明細書に記載されており、本明細書で引用された他の特許および特許出願文献と同様に、その開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0031】
「リザーバ」は液体を保持、保存、または供給するよう構成された密閉容器または部分密閉容器を意味する。本発明の液滴アクチュエーターシステムは、オンカートリッジリザーバおよび/またはオフカートリッジリザーバを含んでもよい。オンカートリッジリザーバは、(1)液滴操作間隙内または液滴操作表面のリザーバである、オンアクチュエーターリザーバ、(2)液滴アクチュエーターカートリッジ上で液滴操作間隙の外にあり、液滴操作表面と接触しないリザーバである、オフアクチュエーターリザーバ、または(3)オンアクチュエーター領域およびオフアクチュエーター領域を有する、ハイブリッドリザーバであってもよい。オフアクチュエーターリザーバの一例として、頂部基板内のリザーバが挙げられる。オフアクチュエーターリザーバは通常、液体を、オフアクチュエーターリザーバからオンアクチュエーターリザーバのような液滴操作間隙に供給するために配置した開口または流体経路に流体連通している。オフカートリッジリザーバは、液滴アクチュエーターカートリッジを構成せず、液滴アクチュエーターカートリッジの一部に液体を供給するリザーバであってもよい。例えば、オフカートリッジリザーバは、動作中に液滴アクチュエーターカートリッジを結合させるシステムまたはドッキングステーションの一部であってもよい。同様に、オフカートリッジリザーバは、オンカートリッジリザーバ内もしくは液滴操作間隙内に強制的に流体を供給するために用いる試薬保存容器またはシリンジであってもよい。オフカートリッジリザーバを用いるシステムは、通常、流路手段を含み、これにより液体をオフカートリッジリザーバからオンカートリッジリザーバ内または液滴操作間隙内に移す。
【0032】
用語「頂部(top)」、「底部(bottom)」、「上(over)」、「下(under)」および「上(on)」は、本明細書全体を通して、液滴アクチュエーターの頂部基板および底部基板の相対的位置等の液滴アクチュエーターの構成要素の相対的位置に関する説明で用いられている。液滴アクチュエーターは、空間での液滴アクチュエーターの配向に関わらず機能することが理解されよう。
【0033】
いずれかの形態(例えば、動いているまたは静止している液滴もしくは連続体)の液体が、電極、アレイ、マトリックスまたは表面「上(on)」、「に(at)」、または「上(over)」にあると記載される場合、斯かる液体は、電極/アレイ/マトリックス/表面に直接接触するか、または、液体と電極/アレイ/マトリックス/表面との間に挿置される1つ以上の層もしくは膜に接触するかのいずれでもよい。1つの例では、充填流体は、斯かる液体と電極/アレイ/マトリックス/表面との間の膜であると見なすことも可能である。
【0034】
液滴が液滴アクチュエーター「上(on)」、または「に装填されて(loaded on)」いると記載されるとき、液滴アクチュエーターを用いて、液滴への1つ以上の液滴操作を容易にする態様で液滴が液滴アクチュエーター上に配置されている、液滴の特性または液滴からの信号を検知するのを容易にする態様で液滴が液滴アクチュエーター上に配置されている、および/または、液滴が液滴アクチュエーター上で液滴操作を受けたと理解されたい。
【0035】
説明
液滴アクチュエーターにおける液滴操作の間、充填流体中で頻繁に泡が形成され、液滴操作が妨害される。特定の理論に縛られることを望まず、発明者らは、液滴操作の間、液滴アクチュエーターの液滴が参照電極またはアース電極と接触を喪失する際に泡形成が発生可能であると観察した。さらに、液滴が接触を喪失した後に、再度参照電極またはアース電極と接触し始めた際に、泡形成が発生しているようである。泡形成を引き起こす電荷は、充填流体層に亘って存在する液滴内に蓄積する可能性がある。充填流体層は、液滴が参照電極またはアース電極との接触を喪失した際に生成される。液滴が、接触を喪失した後に頂部基板と再度接触する際、この充填流体層は薄く、電荷が放出される。この放出が、泡の原因である可能性がある。
図1A、1B、1C、1Dおよび2は、エレクトロウエッティング液滴アクチュエーター上の、液滴移送操作の間の泡形成の問題を図示している。
【0036】
図1A、1B、1Cおよび1Dは、液滴アクチュエーター100の一部分の側面図であり、液滴が頂部基板のアース電極または参照電極と接触を喪失する液滴操作過程を示す。この例では、液滴アクチュエーター100は底部基板110および頂部基板112を含み、底部基板110および頂部基板112は、液滴操作間隙114により分離されている。底部基板110は、液滴操作電極116(例えば、エレクトロウエッティング電極)の配置を含む。液滴操作電極116は、液滴操作間隙114に面した底部基板110の側面上にある。頂部基板112は導電性層118を含み、導電性層118は、液滴操作間隙114に面した頂部基板112の側面上にある。一例では、導電性層118は導電性で実質的に光に対して透過性を有する材料であるインジウムスズ酸化物(ITO)で形成されている。導電性層118は、液滴操作電極116に対してアース面または参照面を提供し、電圧(例えば、エレクトロウエッティング電圧)が液滴操作電極116に印加される。疎水性層および誘電層等の他の層(図示されず)が、底部基板110および頂部基板112上に存在してもよい。
【0037】
液滴アクチュエーター100の液滴操作間隙114は、通常、充填流体130で充填される。充填流体は、例えば、シリコーンオイルまたはヘキサデカン充填流体等である、1つ以上のオイルを含んでもよい。液滴操作間隙114内の1つ以上の液滴132は、液滴操作電極116に沿った液滴操作により、充填流体130を介して移送されてよい。
【0038】
図1A、1B、1Cおよび1Dは、液滴132を、例えば、液滴操作電極116Aから液滴操作電極116Bまで移送するための電極配列を示す。最初にまず
図1Aを参照すると、液滴操作電極116Aがオンに入れられ、液滴操作電極116Bはオフに入れられる。従って、液滴132は液滴操作電極116Aの頂部に支承されている。
【0039】
次に
図1Bを参照すると、液滴操作電極116Aはオフに入れられ、液滴操作電極116Bはオンに入れられる。液滴132は、液滴操作電極116Aから液滴操作電極116Bへと移動を始める。
図1Bは、変形し始めた液滴132を示し、一方で流体のフィンガーは、液滴操作電極116Aから液滴操作電極116B上へと引き始める。
【0040】
図1Cは、オフのままの液滴操作電極116Aとオンのままの液滴操作電極116Bと共に、液滴132の体積のより多くが液滴操作電極116Aから液滴操作電極116Bへと移送される瞬間を示す。一方で流体の体積は、液滴132が頂部基板112との接触、特に導電性層118との接触を喪失するような態様で、液滴操作電極116Aと液滴操作電極116Bの双方に亘って広がっている。
【0041】
図1Dは、オフのままの液滴操作電極116Aとオンのままの液滴操作電極116Bと共に、液滴132の全体積が液滴操作電極116Bの頂部にあり、従って液滴132が再び頂部基板112の導電性層118と接触する瞬間を示す。
【0042】
図2は、液滴アクチュエーター100の側面図であり、液滴132が頂部基板112との再接触に近づき、泡215を形成する液滴操作過程の瞬間を図示する。
【0043】
発明者らは、泡が低温、室温でさえ出現可能であることを観察した。しかし泡形成は、約摂氏80度より高い、または摂氏90度より高い、または約摂氏約95度より高い等の高温で頻発し、障害となる。発明者らは、泡が低温、室温でさえ出現可能であることを観察した。しかし泡形成は、液滴の沸点の約60%より高い、または液滴の沸点の約70%より高い、または液滴の沸点の約80%より高い、または液滴の沸点の約90%より高い、または液滴の沸点の約95%より高い等の高温で頻発し、障害となる。
【0044】
図2は任意の加熱ゾーン210を示し、加熱ゾーン210は液滴アクチュエーター100に結合されている。液滴132等の液滴が加熱ゾーン210を通って移送される際に、液滴が加熱され、液滴操作の間に泡が形成される。
【0045】
一実施形態では、本発明の技術および設計により、液滴アクチュエーターにおける液滴に対する電気的なアース接続の信頼性が改善され、液滴アクチュエーターにおける泡形成を低減または除去し、それにより、泡形成に妨害されることなく多様な液滴操作を完遂可能である。一実施形態では、多様な液滴操作を行なう工程は、液滴操作間隙内の充填流体中の泡形成に妨害されることなく、少なくとも10の液滴操作を行なう工程を含む。他の実施形態では、液滴操作隙内の充填流体中の泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を行なう工程は、少なくとも100、少なくとも1,000またはすくなくとも100,000の液滴操作を行なう工程を含む。
【0046】
7.1 液滴を接地する技術
図3Aおよび3Bは、液滴アクチュエーター300の例の側面図であり、この例は、液滴操作間隙の高さが低減され、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる領域を含む。この例では、液滴アクチュエーター300は底部基板310および頂部基板312を含み、底部基板310および頂部基板312は、液滴操作間隙314により分離されている。底部基板310は、液滴操作電極316(例えば、エレクトロウエッティング電極)の配置を含む。頂部基板312は、ITO層等の導電性層318を含む。導電性層318は、液滴操作電極316に対してアース面または参照面を提供し、電圧(例えば、エレクトロウエッティング電圧)が液滴操作電極316に印加される。追加的に、
図3Aは、頂部基板312の導電性層318の頂部に誘電層320を示す。液滴アクチュエーター300の液滴操作間隙314は、充填流体330で充填されている。加熱ゾーン340は、液滴アクチュエーター300に結合されている。液滴332等の液滴が加熱ゾーン340を通って移送される際に、液滴が加熱される。
【0047】
この例では、液滴アクチュエーター300は間隙高遷移領域345を含む。間隙高遷移領域345では、液滴操作間隙314の高さが加熱ゾーン340において低減され、液滴332が、液滴アクチュエーター300のアースまたは参照である導電性層318と確実に接する助けとなる。間隙高さが加熱ゾーン340において低減されているため、液滴操作工程の全般に亘って、液滴332が導電性層318と接触を保つ可能性が高くなり、従って泡を低減または除去し、それにより、泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を完遂可能である。
【0048】
一例である
図3Aでは、液滴操作間隙314に面した頂部基板312の表面には特徴的ステップが備わり、加熱ゾーン340において間隙の高さを低減している。導電性層318および誘電層320は、実質的に頂部基板312の形状に従う。別の例である
図3Bでは、誘電層320の厚みが変更され、加熱ゾーン340において間隙の高さを低減している。つまり誘電層320の厚みが、加熱ゾーン340において増加されている。
【0049】
図4Aおよび4Bは、液滴アクチュエーターの例の側面図であり、この例は、頂部基板312の表面がテクスチャ加工され、液滴が導電性層318と確実に接する助けとなる領域を含む。例えば、液滴アクチュエーター300のこの実施形態では、誘電層320はテクスチャ加工され、液滴が導電性層318と確実に接する助けとなる。
図4Aで示される例では、誘電層320は鋸歯状のテクスチャ410を備える。
図4Bで示される例では、誘電層320のテクスチャ410は、隆起線、突起、突出を配置することにより形成されている。一例では、誘電層320の実質的に全表面領域に、テクスチャ410を含む。別の例では、誘電層320の加熱ゾーン340の領域のみがテクスチャ410を含む。
【0050】
別の例では、ニードルまたはワイヤ(図示されず)が頂部基板312から液滴操作間隙314内へ延在してもよい。さらに別の例では、導電性層318自体が、誘電層320を通り、液滴操作間隙314内へ延在する隆起線、突起、突出を備えてもよい。この隆起線、突起、突出により、液滴操作の間に液滴との接触が保たれ、従って泡を低減または除去し、それにより泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を完遂可能である。
【0051】
テクスチャ加工は、任意の形状または構成をとってもよい。テクスチャ410は、例えば、1つ以上の窪みとしてもよい。この窪みは外側に向かい、隙間314内に延在する。テクスチャ加工410は、無作為または一様に作成されてよく、泡形成を低減する。テクスチャ加工は、隙間314内へ無作為の高さまたは広がりを備え、隣接するテクスチャ加工特徴(例えば、窪み、隆起線または歯型である)は、異なる頂点高さおよび/または頂点形状を備える。代替的にテクスチャ加工は、全ての特徴が実質的に類似する、一様な特徴を備えてもよい。テクスチャ加工はまた、頂部表面内の凹部、クレーター、谷部を含んでもよい。
【0052】
図5Aまたは5Bは、液滴アクチュエーター300の側面図である。液滴アクチュエーター300は、液滴がアースまたは参照である導電性層318と確実に接する助けとなる、1セットの調整可能なアースプローブを含む。この場合、電気的アースを移動させるか、またはスライドさせ、液滴と実質的に接触を保ってもよい。
図5Aが示すように、液滴アクチュエーター300はプレート510を備えてもよく、プレート510はさらに1セットのプローブ512を含む。プレート510およびプローブ512は導電性材料で形成されており、液滴アクチュエーター300の電気的アースに電気的に接続されている。プローブ512は、例えば、シリンダ状のポイントプローブのセット、または平行配列のプレートまたはフィンのセットであり、これらはプレート510から突出する。開口部が頂部基板312に設けられ、この開口部を通してスライド可能な状態でプローブを取り付ける。プローブ512がスライド可能な状態で頂部基板312内に挿入されているため、プローブ512の先端の位置を、液滴操作間隙314に対して調整可能としてもよい。例えば、プレート510はばね懸架式としてもよい。
【0053】
作動時には、プレート510が頂部基板312の方向、または頂部基板312と反対方向に押動されると、プローブ512の先端が液滴操作間隙314内に僅かに延在し、液滴操作の間に液滴との接触を保つ。上記のようにすることで、液滴操作の間、液滴とのアース接続が確実に保たれ、従って泡を低減または除去し、それにより泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を完遂可能である。しかし、所望される場合、プレート510を頂部基板312から浮揚させ、プローブ512の先端を液滴操作間隙314から引き込ませることも可能である。
【0054】
一実施形態では、プレート510およびプローブ512は、液滴アクチュエーターの加熱領域のみに設けられる。別の実施形態では、プレート510およびプローブ512は、液滴アクチュエーターの加熱領域および非加熱領域の両方に設けられる。
【0055】
電気的アースは、空気圧、油圧および/または電気的アクチュエーターを使用して、移動させるか、またはスライドさせてもよい。これらのアクチュエーターのいずれも、電気的アースを延在させ、液滴と接触させてもよい。延在がもはや不要となった際には、電気的アースを液滴から離し、引き込ませてもよい。液滴アクチュエーターのコントローラーは、アクチュエーターを制御し、ひいては電気的アースの位置を制御してもよい。
【0056】
図6Aおよび6Bは、液滴アクチュエーター300の例の各側面および上面図である。液滴アクチュエーター300は、液滴が液滴アクチュエーター300のアースまたは参照と確実に接する助けとなる、液滴操作電極316に対して同平面のアースまたは参照を含む。この例では、液滴アクチュエーター300の加熱ゾーン340の部分で、液滴操作電極316の間隔を広げ、アースまたは参照面610を、底部基板310上の液滴操作電極316と同一面で実現可能とする。例えば、アースまたは参照面610は、各液滴操作電極316を実質的に包囲する配線トレースの配置である。アースまたは参照面610は、液滴アクチュエーター300の電気的アースに電気的に接続される。このようにして、液滴332等である液滴が1つの液滴操作電極316から隣接する液滴操作電極に移行する間、液滴のアースに対するアース接続が保たれ、従って泡を低減または除去し、それにより泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を完遂可能である。
【0057】
一例では、アースまたは参照面610は、2006年8月31に公開された題名「Apparatuses and methods for manipulating droplets on a printed circuit board」の米国特許出願公開第20060194331号明細書の
図1Aにより実行され、その開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0058】
アースまたは参照面610が存在することで、二平面のアプローチ(すなわち導電性層318のみを設ける)よりも広い表面を使用することになるが、アースまたは参照面610を、液滴アクチュエーターの加熱領域にのみ限定することも可能である。
図6Aおよび6Bに示された例では、液滴アクチュエーター300は、導電性層318並びにアースまたは参照面610の両方を、加熱領域に含む。しかし、別の例では、液滴アクチュエーター300はアースまたは参照面610のみを加熱領域に含み、導電性層318は非加熱領域に含む。さらに別の例では、液滴アクチュエーター300は、アースまたは参照面610を底部基板310の全体に亘って含み、頂部基板312のいかなる部分にも導電性層318は存在しない。
【0059】
図7Aおよび7Bは、液滴アクチュエーター300の側面図であり、液滴アクチュエーター300の液滴操作間隙の高さが調整可能である。つまり、液滴操作間隙314が必要に応じて低減可能であり、液滴が、アースまたは参照である導電性層318に確実に接する助けとなる。一例では、底部基板310と頂部基板312の間にばね力が存在する。例えば、複数のばね710が液滴操作間隙314内に設けられる。隙間の高さは、底部基板310および頂部基板312を、僅かに共に圧縮することにより低減可能である。つまり、底部基板310を保持して静止させ、頂部基板312に力を加える、頂部基板312を保持して静止させ、底部基板310に力を加える、または両方の基板に同時に力を加えることにより、間隙の高さが低減可能である。間隙の高さを低減して液滴が頂部基板312の導電性層318と確実に接触を保ち、従って泡を低減または除去し、それにより泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を完遂可能であるよう、液滴を加熱している間または液滴が加熱領域にある間に力を加えてもよい。
【0060】
図8Aおよび8Bは、液滴アクチュエーター300の例の側面図であり、液滴アクチュエーター300は充填流体中の導電性を利用し、液滴に対して放電する。一例では、
図8Aは、液滴アクチュエーター300の液滴操作間隙314が、導電性の充填流体810で充填されていることを示す。導電性の充填流体を供給することにより、頂部基板312と接触していない場合にも、液滴が放電可能となる。導電性の流体の例としては、シリコーンオイルベースの強磁性流体等の強磁性流体が挙げられる。強磁性流体の他の例は、1984年11月27日に発行された題名「Process for producing a ferrofluid, and a composition thereof」の米国特許第4,485,024号明細書、および1982年10月26日に発行された題名「Stable ferrofluid compositions and method of making same」の米国特許第4,356,098号明細書に開示されているように、従来技術により既知であり、その開示内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0061】
別の例では、
図8Bは、液滴アクチュエーター300の液滴操作間隙314が、導電性の粒子を含む充填流体820で充填されていることを示す。充填流体中の導電性の粒子により、頂部基板312と接触していない場合にも、液滴が放電可能となる。導電性の粒子の例は、2007年6月8日に公開された題名「Conductive particles for anisotropic conductive interconnection」の米国特許出願公開第20070145585号明細書に開示されているように、従来技術により既知であり、その開示内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0062】
図9は液滴アクチュエーター300の例の側面図であり、液滴アクチュエーター300は、液滴操作間隙314内に、液滴に対して放電するためのアース線910を含む。アース線910は、液滴アクチュエーター300の電気的アースに電気的に接続されている。アース線910は、例えば、銅、アルミニウム、銀または金で形成されている。アース線910は充填流体中に液滴を通って延在し、従って頂部基板312と接触していない場合でも、液滴が放電可能となる。一例では、アース線910は導電性層318無しでも存在し、従って単体で、液滴アクチュエーター300のアース電極または参照電極としての役割を果たす。別の例では、アース線910は導電性層318との組み合わせで存在し、共に、液滴アクチュエーター300のアース電極または参照電極としての役割を果たす。さらに別の例では、アース線910は液滴アクチュエーターの加熱領域にのみ存在する。また別の例では、アース線910は、液滴アクチュエーターの加熱領域および非加熱領域の双方に存在する。
【0063】
ワイヤにそって移動する液体の例は、2006年5月10日に発行された題名「Device for displacement of small liquid volumes along a micro-catenary line by electrostatic forces」の米国特許第7,052,244号明細書に開示されているように、従来技術により既知であり、その開示内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0064】
図10は液滴アクチュエーター300の側面図であり、液滴アクチュエーター300は2倍の大きさの液滴、またはより大きい液滴を利用し、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照である導電性層318と確実に接する助けとなる。例えば、加熱領域340に先立って、2以上の1倍の液滴332が、液滴操作を用いて混成可能であり、例えば、2倍または3倍の液滴332を形成する。2倍または3倍の液滴332は、その後加熱領域340に移送される。その後、加熱ゾーン340における液滴操作は、2倍または3倍の液滴332を用いて行なわれる。このようにして、2倍または3倍の液滴332と導電性層318の間の接触が確実に保たれ、従って泡を低減または除去し、それにより泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を完遂可能である。
【0065】
他の実施形態では、液滴の粘性を増加させ、頂部基板312の導電性層318との接触を保つ助けとすることが可能である。液滴の粘性が高いほど、頂部基板312と接触するオイルがずれ易くなる。さらに、液滴がよりゆっくりと移動し、液滴操作の間の液滴のゆがみが少なくなり、導電性層318との接触を保つ助けとなる。さらに他の実施形態では、充填流体の粘性を低減可能であり、これは、液滴が頂部基板312と接触したままの状態に留まる助けとなる。
【0066】
7.2 液滴の移送を改善するための液滴操作電極
図11は電極配置1100の例の上面図であり、電極配置1100は櫛形の液滴操作電極を利用し、1つの櫛型電極から隣接する櫛型電極への液滴の移送を円滑にする。「円滑にする」は、櫛型電極が設けられていない場合よりも、少ない変形で液滴操作を行なうことを意味する。例えば、電極配置1100は、液滴操作電極1110の配置を含む。各液滴操作電極1110の端部は、嵌合部1112を含む。液滴操作電極1110は、
図11に示すように、1つの液滴操作電極1110の嵌合部1112が、隣接する液滴操作電極1110の嵌合部1112と共に組合うよう設計されている。櫛型の液滴操作電極の例は、2003年5月20日に発行された題名「Actuators for microfluidics without moving parts」の米国特許第6,565,727号明細書に開示されているように、従来技術により既知であり、その開示内容全体が参照により本明細書中に援用される。
【0067】
液滴操作電極1110は嵌合部1112を含み、1つの電極から隣接する電極への液滴の移送を円滑する効果を備える。これは、電極表面の間が重なり合っているためである。その結果、液滴操作の間、液滴は頂部基板のアースまたは参照電極(例えば頂部基板312の導電性層318)と接触した状態に留まり易くなり、それにより泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を完遂可能である。
図11で示された例では、例嵌合部はかなり浅く、隣接する電極の基部内に深く延在してはいない。
【0068】
図12A、12B、12Cおよび12Dは、電極配置の例の上面図であり、電極配置は櫛形の液滴操作電極を利用し、1つの櫛型電極から隣接する櫛型電極への液滴の移送を円滑にする。これらの例では、嵌合部は、隣接する電極の基部の少なくとも中間点まで延在する。一例では、
図12Aの電極配置1200は液滴操作電極1205を含む。各液滴操作電極1205の一方の側部からは、嵌合部1210が延在する。各液滴操作電極1205のこの側部は、切り欠き1215と反対側となる。この例では、嵌合部1210は細長の長方形状のフィンガーであるため、切り欠き1215も細投げの長方形状の切り欠き領域となる。一直線上に配置されると、1つの液滴操作電極1205の嵌合部1210は、
図12Aに示すように、隣接する液滴操作電極1205の切り欠き1215内に挿入される。
【0069】
別の例では、
図12Bの電極配置1220は液滴操作電極1205の配置を含む。しかしこの例では、各液滴操作電極1205は2つの嵌合部1210および対応する2つの切り欠き1215を含む。再び一直線上に配置されると、1つの液滴操作電極1205の2つの嵌合部1210は、
図12Bに示すように、隣接する液滴操作電極1205の2つの切り欠き1215内に挿入される。
【0070】
さらに別の例では、
図12Cの電極配置1240は液滴操作電極1245を含む。各液滴操作電極1245の一方の側部からは、嵌合部1250が延在する。各液滴操作電極1245のこの側部は、切り欠き1255と反対側となる。この例では、嵌合部1250は細長の三角形状のフィンガーであるため、切り欠き1255も細長の三角形状の切り欠き領域となる。一直線上に配置されると、1つの液滴操作電極1245の嵌合部1250は、
図12Cに示すように、隣接する液滴操作電極1245の切り欠き1255内に挿入される。
【0071】
さらに別の例では、
図12Dの電極配置1260は液滴操作電極1245の配置を含む。しかしこの例では、各液滴操作電極1245は2つの嵌合部1250および対応する2つの切り欠き1255を含む。再び一直線上に配置されると、1つの液滴操作電極1245の2つの嵌合部1250は、
図12Dに示すように、隣接する液滴操作電極1245の2つの切り欠き1255内に挿入される。
【0072】
液滴操作電極1205および液滴操作電極1245は、1つまたは2つの嵌合部および切り欠きに限定されず、
図12A、12B、12Cおよび12Dに示された形状に限定されない。液滴操作電極1205および液滴操作電極1245は、任意の個数の嵌合部および任意の形状の切り欠きを含むことも可能である。
図12A、12B、12Cおよび12Dに示された電極配置の主たる態様は、これらの電極配置が嵌合部を含み、この嵌合部が、隣接する液滴操作電極の基部の少なくとも中間点まで延在することである。例えば、嵌合部は、隣接する液滴操作電極の基部の、少なくとも50%、60%、70%、80%、90%またはそれ以上に亘って延在する。基部は、電極の嵌合部自体ではない部分を意味する。
【0073】
図13Aおよび13Bは、電極配置の例の上面図であり、電極配置は三角形の液滴操作電極を利用し、1つの三角形電極から隣接する三角形電極への液滴の移送を円滑にする。
図13Aは電極配置1300を示す。電極配置1300は一列の三角形液滴操作電極1310を含む。液滴操作の間、液滴332が、基点となる三角形液滴操作電極1310の頂点から離れ、目標とする三角形液滴操作電極1310の頂点の方向へと移動する際に、最も大きな利点が達成される。従って、液滴アクチュエーターの加熱領域において、三角形液滴操作電極1310に沿う液滴移送が、一方向に行なわれてよい。しかし、加熱領域の外側では、三角形液滴操作電極1310を両方向の移送のために使用することも可能であろう。代替的に、三角形液滴操作電極1310を、加熱領域にのみ設けてもよい。さらに、三角形の液滴操作電極1310は、
図13Bに示すように、両方向に移送するためにループ状に設けてもよい。
【0074】
図14Aおよび14Bは、液滴アクチュエーター300の各側面図および上面図である。液滴操作電極300においては、液滴操作電極316が液滴操作の速度を増加するように調整されている。各液滴操作電極316は長さLおよび幅Wを備える。長さLは液滴操作電極316の大きさであり、液滴の移動方向に一致する。通常、液滴操作電極の幅Wおよび長さLはほぼ等しい。しかし、この例では、長さLが幅Wよりも短い。一例では、長さLは幅Wの約半分である。こうした電極配置では、各液滴操作電極316に亘る移動距離が低減され、それにより液滴操作の速度が増加する。液滴操作の速度を増加させることにより、液滴は、液滴操作工程の全般に亘って導電性層318との接触を保ち易くなり、従って泡を低減または除去し、それにより泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を完遂可能である。
【0075】
7.3 液滴操作経路
一実施形態では、液滴アクチュエーターの液滴操作間隙に側壁(例えば、側壁および対向する側壁)によって境界をつけ、液滴操作経路を作成する。
【0076】
図15は、液滴操作経路を含む液滴アクチュエーター1500の斜視図である。液滴操作経路の側壁は電極配置を含み、液滴が液滴アクチュエーターのアースまたは参照と確実に接する助けとなる。液滴アクチュエーター1500は、底部基板1510および頂部基板1512を含み、底部基板1510および頂部基板1512は、間隙1514により分離されている。
【0077】
次に、底部基板1510単体の斜視図である
図16を参照すると、底部基板1510はさらに、第1レール1520および第2レール1522を含む。第1レール1520および第2レール1522は、互いに平行して配置された細長3次元(3D)構造である。第1レール1520と第2レール1522の間には、間隔が設けられる。第1レール1520および第2レール1522は、高さhを備える。第1レール1520と第2レール1522の間隔sは、液滴操作経路1524を形成する。特に、第1レール1520の、液滴操作経路1524に面する側部、および第2レール1522の液滴操作経路1524に面する側部により、液滴操作面が提供される。従って、液滴操作電極1530の配置が、第1レール1520の、液滴操作経路1524に面する表面上に設けられる。同様に、アースまたは参照電極1532の配置が、第2レール1522の、液滴操作経路1524に面する表面上に設けられる。その結果、液滴操作を液滴操作経路1524に沿い、液滴操作電極1530およびアースまたは参照電極1532を用いて行なうことが可能となる。液滴操作経路1524の間隔sおよび高さhは、特定の体積の液滴(例えば、液滴332)が液滴操作経路1524に沿って操作されるよう設定されている。
【0078】
次に、液滴アクチュエーター1500の一部分の、
図15の線A−Aに沿う断面図である
図17を参照すると、頂部基板1512と、第1レール1520と第2レール1522の表面の最上部の間には隙間があり、これにより、底部基板1510と頂部基板1512の間の全体積を充填流体330で充填することが可能である。
【0079】
作動時に、
図15、16および17を参照すると、液滴操作が、液滴操作電極1530とアースまたは参照電極1532の間で行なわれ、各々は、第1レール1520および第2レール1522の側壁上に配置されるため、液滴操作のいかなる段階でも、液滴332がアースとの接触の喪失を引き起こすよう重力が作用し始めること(
図2に示されるように)がない。上記のようにすることで、液滴332と、例えば、アースまたは参照電極1532の接触が確実に保たれ、従って泡を低減または除去し、それにより泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を完遂可能である。
【0080】
液滴アクチュエーター1500および特に液滴操作経路1524は、
図15、16および17に示される電極配置に限定されない。他の電極配置、例えば以下に
図18乃至22Bを参照して記述される電極配置の例を、液滴操作経路1524において用いてもよい。
【0081】
図15、16および17は、第1レール1520の液滴操作電極1530、および第2レール1522のアースまたは参照電極1532が、互いに実質的に対向して整列されていることを示す。これに対し、一例では、
図18は底部基板1510の一部分の俯瞰図を示し、液滴操作電極1530およびアースまたは参照電極1532は、互いに千鳥配置、またはずらして配置されている。
【0082】
別の例では、
図19は、底部基板1510の一部の俯瞰図を示す。複数のアースまたは参照電極1532の線は、連続するアースまたは参照電極1532に置き換えられている。
【0083】
さらに別の例では、
図20は、底部基板1510の俯瞰図を示す。液滴操作電極1530およびアースまたは参照電極1532は、第1レール1520および第2レール1522に沿い、互い違いに配置されている。追加的にこの配置では、側壁上の各液滴操作電極1530は、対向する側壁上のアースまたは参照電極1532と対向している。
【0084】
さらに別の例では、
図21は、底部基板1510の俯瞰図を示す。アースまたは参照電極1532(または連続するアースまたは参照電極1532)は、第1レール1520および第2レール1522に沿い、液滴操作経路1524の床面上に設けられている。この配置は、より詳細に
図22Aおよび22Bに関連して示される。つまり
図22Aは、
図21に示された底部基板1510の斜視図であり、
図22Bは、
図22Aの線A−Aに沿う、底部基板1510の一部の断面図を示す。再度、
図22Aおよび22Bは、液滴操作経路1524に替えて、液滴操作経路1524の床面上に配置された液滴操作電極1530を示す。
【0085】
次に、
図15乃至
図22Bを参照すると、一実施形態では、1つ以上の液滴操作経路1524が液滴アクチュエーターの加熱領域のみに設けられ、液滴がアースとの接触を保つために用いられており、従って泡を低減または除去し、それにより泡形成に妨害されることなく、多様な液滴操作を完遂可能である。別の実施形態では、1つ以上の液滴操作経路1524が、液滴アクチュエーターの加熱領域および非加熱領域の双方に設けられる。
【0086】
7.4 テイラーコーンおよび泡形成
液体は、臨界電位φ0
*に達すると、さらなる上昇が均衡を破壊し、「テイラーコーン」と称される円錐形をとる、と広く仮定されている。例えば、小さな体積の液体が電界にさらされると、液体の形状は、表面張力のみに起因する形状から変形し始める。電圧が増加するにつれ、電界からの効果はより顕著となり、表面張力が液滴に作用するのと同一量の力の作用に近づくにつれ、凸状の側部と丸みを帯びた先端を備えたコーン形状が形成され始める。液滴アクチュエーターで形成されるテイラーコーンの例が、
図23に示される。
【0087】
図23は、液滴アクチュエーター300の側面図であり、液滴332が頂部基板312と接触を喪失し、テイラーコーンが形成された液滴操作過程の瞬間を示す。例えば、
図23の詳細
図Aは、1つ以上のテイラーコーン2310が、液滴332と液滴アクチュエーター300の頂部基板312の間に形成されたことを示す。
【0088】
既述のように、泡形成は、液滴が頂部基板と接触を喪失した際に発生可能である。特に、泡形成は液滴が接触を喪失した後に、再度頂部基板と接触し始めた際に発生しているように見受けられる。斯かる接触は、テイラーコーンまたは「コーンジェット(conejet)」を介して発生する。コーンジェットは、液滴と頂部基板の間に存在する高電界に起因する、液滴境界面から抽出された液体の、微細なフィンガーである。テイラーコーンは非常に小さく、局所的であるため、テイラーコーンを通る電荷もまた局所的であり、液滴と基板の間の充填流体の膜は、極めて薄くなる可能性があり、その結果、充填流体が崩壊するかまたはジュール加熱が発生し、従って泡が、特に高温で形成される。
【0089】
テイラーコーンに起因して形成される泡を低減または除去するために、特定の解決策を実行してもよい。一例では、液滴がアース電極に再び広い領域、つまりテイラーコーンで覆われたよりも広い領域(例えば約10um)で接触すると、泡は形成されない。別の例では、電気的信号の形状、周波数および/または強度を、結果的にテイラーコーンが形成されないよう、従って泡も形成されないように、制御可能である。例えば、周波数は、少なくとも約10kHz等の、少なくともコーンの周波数でなくてはならない。
【0090】
7.5 システム
図24は、液滴アクチュエーター2405を含む微小流体システム2400の例の、機能ブロック図である。デジタル微小流体技術は、液滴アクチュエーター2405等である液滴アクチュエーターにおいて離散した液滴に、電気的に表面張力を制御することにより(エレクトロウエッティング)、液滴操作を行なう。液滴は、液滴アクチュエーター2405の2つの基板である、液滴操作間隙により分離された底部基板および頂部基板により挟まれてもよい。底部基板は、電気的にアドレス指定可能な電極の配置を含んでもよい。頂部基板は、例えば、導電性インクまたはインジウムスズ酸化物(ITO)製である、参照電極面を含んでもよい。底部基板および頂部基板は、疎水性材料で被覆されてもよい。液滴操作は、液滴操作間隙内で行なわれる。液滴の周囲の間隙(つまり、底部基板および頂部基板の隙間)は、シリコーンオイル等の非混和性不活性液体で充填され、液滴の蒸発を防ぎ、装置内の液滴の移送を促進してもよい。例えば、液滴の混成、分割、混合および分配等である他の液滴操作に対して、電圧活性パターンを変化させることにより、影響を及ぼしてもよい。
【0091】
液滴アクチュエーター2405は、微小流体システム2400の装置デッキ(図示されず)上に取り付けられるよう設計してもよい。装置デッキは、液滴アクチュエーター2405を保持し、1つ以上の磁石および1つ以上の加熱装置等であるが、それらに限定されない他の液滴アクチュエーターの特徴部品を収容してもよい。例えば、装置デッキは、永久磁石である、1つ以上の磁石2410を収容してもよい。任意に、装置デッキは1つ以上の電磁石2415を収容してもよい。磁石2410および/または電磁石2415は、磁気応答性ビーズを固定するために、液滴アクチュエーター2405に対して配置される。任意に、磁石2410および/または電磁石2415の位置を、モーター2420により制御してもよい。追加的に、装置デッキは、例えば液滴アクチュエーター2405の特定の反応および/または洗浄ゾーンにおける温度を制御するために、1つ以上の加熱装置2425を収容してもよい。一例では、加熱装置2425は、液滴アクチュエーター2405を温度的に制御するために、液滴アクチュエーター2405に対して位置する加熱バーとしてもよい。
【0092】
微小流体システム2400のコントローラー2430は、液滴アクチュエーター2405、電磁石2415、モーター2420および加熱装置2425、並びに検知器2435、インピーダンス感知システム2440、および他の入力および/または出力装置(図示されず)等である、本発明の多様なハードウエアの構成要素に電気的に接続されている。コントローラー2430は、微小流体システム2400の総体的な作動を制御する。コントローラー2430は、例えば汎用コンピューター、専用コンピューター、パーソナルコンピューターまたは他のプログラム可能データ処理装置としてもよい。コントローラー2430は、保存、翻訳および/またはソフトウエア命令の実行、並びにシステムの総体的な作動制御等の処理能力を提供する役目を果たす。コントローラー2430は、これらの装置のデータおよび/またはパワー面を制御するようプログラムしてもよい。例えば、一態様では、コントローラー2430は液滴アクチュエーター2405に対して、電極を活性化/不活性化することにより、液滴の操作を制御する。
【0093】
検知器2435は、液滴アクチュエーター2405に対して位置された画像化システムとしてもよい。一例では、画像化システムは、1つ以上の発光ダイオード(LED)(つまり、発光源)、電荷結合デバイス(CCD)カメラ等のデジタル画像キャプチャ装置を含んでもよい。
【0094】
インピーダンス感知システム2440は、液滴アクチュエーター2405の特定の電極においてインピーダンスを感知する、任意の回路素子としてもよい。一例では、インピーダンス感知システムをインピーダンス分光計としてもよい。インピーダンス感知システム2440は、液滴を搭載した、またはしていない、任意の液滴操作電極等でもある、任意の電極の容量性負荷をモニターするために用いられてもよい。適切なキャパシタンス検知技術の例は、Sturmerらによる2008年8月21日に公開された題名「Capacitance Detection in a Droplet Actuator」の国際特許公開第WO/2008/101194号明細書、Kaleらによる2002年10月17日に公開された題名「System and Method for Dispensing Liquids」の国際特許公開第WO/2002/080822号明細書に記載されており、その開示全体が参照により本明細書に援用される。
【0095】
液滴アクチュエーター2405は、破壊装置2445を含んでもよい。破壊装置2445は、液滴アクチュエーター内の組織、細胞、芽胞等である材料の破壊(リーシス)を促進する、任意の装置を含んでもよい。破壊装置2445は、例えば音波破砕機構、加熱機構、機械的なせん断機構、ビードビーティング機構、液滴アクチュエーター2405に組み込まれた物理的特徴部品、電界発生機構、熱循環機構、およびこれらの任意の組合せとしてもよい。破壊装置2445は、コントローラー2430により制御されてもよい。
【0096】
本発明の様々な態様を、方法、システム、コンピューター可読媒体、および/またはコンピュータープログラム製品として実施しても良いことが理解されるだろう。本発明の態様は、ハードウエアの実施形態、ソフトウエアの実施形態(ファームウエア、常駐ソフトウエア、マイクロコード等を含む)、または通常、本明細書中では、「回路」、「モジュール」、または「システム」として言及する全てのソフトウエアおよびハードウエアの態様を組み合わせた実施形態を取り得る。さらに、本発明の方法は、コンピューターで使用可能なストレージ媒体でのコンピュータープログラムプロダクトの形態を取ってもよく、当該媒体は、当該媒体で実施される、コンピューターで使用可能なプログラムコードを有する。
【0097】
本発明のソフトウエアの態様に、任意の好適なコンピューターで使用可能な媒体を利用してもよい。コンピューターで使用可能なまたは可読可能な媒体は、例えば、これらに限定されないが、電気的、磁気的、光学的、電磁気的、赤外線の、もしくは半導体の、システム、機器、装置または伝播媒体であってもよい。コンピューター可読媒体は、一時的および/または持続的実施形態を含んでいてもよい。コンピューター可読媒体のより詳細な例は(非包括的なリスト)、以下の一部または全部を含む:1つ以上の配線を有する電気的接続、ポータブルコンピューターディスケット、ハードデスク、ランダムアクセスメモリー(RAM)、リードオンリーメモリー(ROM)、イレーザブル(消去可能)プログラマブルリードオンリーメモリー(EPROMまたはフラッシュメモリー)、光ファイバー、ポータブルコンパクトディスクリードオンリーメモリー(CD-ROM)、光学ストーレージデバイス、インターネットまたはイントラネットをサポートする伝送媒体等の伝送媒体、または磁気ストーレージデバイス。なお、コンピューターで使用可能な媒体またはコンピューター可読媒体は、プログラムが印刷された紙または他の好適な媒体であってもよいが、それはプログラムが、例えば、紙または他の媒体の光学スキャンを経て電子的に保存され、次いで、格納され、読み取られ、そうでなければ必要に応じて好適な手法で処理され、次いでコンピューターのメモリーに保存され得るからである。本文書の文脈では、コンピューターで使用可能なまたは可読な媒体は、指示実効システム、機器、もしくは装置により、または指示実行システム、機器、もしくは装置に関連して使用されるプログラムを含み、保存し、通信し、伝播し、または伝送し得るいずれの媒体であってもよい。
【0098】
本発明の操作を実行するためのプログラムコードは、Java, Smalltalk, C++等のオブジェクト指向プログラミング言語で書かれていてもよい。しかしながら、本発明の操作を実行するためのプログラムコードは、従来の手続型プログラミング言語、例えば「C」プログラミング言語または同様のプログラミング言語で書かれていてもよい。プログラムコードは、プロセッサー、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはプログラムコードを実行する他の構成要素で実行されてもよい。プログラムコードは、単に、メモリー(上述したコンピューター可読媒体等)に保存されるソフトウエアアプリケーションと呼んでもよい。プログラムコードは、プロセッサー(またはプロセッサー制御装置)にグラフィカルユーザーインターフェース(「GUI」)を生成させてもよい。グラフィカルユーザーインターフェースは、ディスプレイ装置に視覚的に生成されてもよく、さらにグラフィカルユーザーインターフェースは、可聴式要素を有していてもよい。しかしながら、プログラムコードは、コンピューター、サーバー、携帯情報端末、電話、テレビ、またはプロセッサーおよび/またはデジタル信号プロセッサーを利用する任意のプロセッサー制御装置等の任意のプロセッサー制御装置内で動作してもよい。
【0099】
プログラムコードは、その場または遠隔で実行されてもよい。プログラムコードは、例えば、全体または一部がプロセッサー制御装置のローカルメモリーに保存されてもよい。しかしながら、プログラムコードは、少なくとも部分的に、プロセッサー制御装置に、遠隔で保存され、アクセスされ、およびダウンロードされてもよい。使用者のコンピューターにより、例えば、プログラムコードを全て実行してもよいし、あるいはプログラムコードの一部のみ実行してもよい。プログラムコードは、少なくとも一部が使用者のコンピューターにあるスタンドアローンソフトウエアパッケージであってもよく、かつ/あるいは、リモートコンピューターで部分的に実行されてもよいし、あるいはリモートコンピューターもしくはサーバーで全て実行されてもよい。後者の状況では、リモートコンピューターは、使用者のコンピューターに通信ネットワークを通じて接続されていてもよい。
【0100】
本発明は、ネットワーク環境に関わらず適用することができる。通信ネットワークは、無線周波数ドメインおよび/またはインターネットプロトコル(IP)ドメインで動作するケーブルネットワークであってもよい。しかしながら、通信ネットワークは、インターネット(代替的に「ワールドワイドウェブ」として知られることもある)、イントラネット、ローカルエリアネットワーク(LAN)、および/または広域ネットワーク(WAN)等の分散コンピューターネットワークを含んでいてもよい。通信ネットワークは、同軸ケーブル、銅線、光ファイバー線、および/またはハイブリッド同軸線を含んでいてもよい。通信ネットワークは、電磁気スペクトルのいずれかの部分およびシグナリング規格(IEE802のファミリー規格、GSM/CDMA/TDMAもしくはセルラー方式規格、および/またはISM帯等)のいずれかを利用する無線部分を含んでいてもよい。通信ネットワークは、電力線部分を含んでいてもよく、そこでは信号は電気配線を通じて伝えられる。本発明は、物理的構成部品、物理的構成、または通信規格に関わらず、いずれの無線/有線通信ネットワークに適用することが可能である。
【0101】
本発明の特定の態様は、様々な方法および方法の工程を参照して記載されている。方法の各工程が、プログラムコードにより、および/または機械命令により実施され得ることが理解されるだろう。プログラムコードおよび/または機械命令により、方法で特定された機能/動作を実施するための手法を生成してもよい。
【0102】
プログラムコードは、コンピューターで可読のメモリーに保存されてもよく、当該メモリーは、コンピューターで可読のメモリーに保存されたプログラムコードが、様々な方法の工程の態様を実施する指示手段を含む製品を作成または変換するように、プロセッサー、コンピューター、または他のプログラム可能なデータを処理する機器を特定の方法で機能するように指示することができる。
【0103】
プログラムコードは、コンピューターまたは他のプログラム可能なデータを処理する機器に搭載され、プログラムコードが本発明の方法で規定された様々な機能/動作を実施するための工程を提供するように、プロセッサー/コンピューターが実施する処理を生成する一連の操作工程を実行させてもよい。
【0104】
結び
上述した、実施形態の詳細な説明は、添付の図面を参照し、当該図面は、本発明の特定の実施形態を表す。異なる構造および動作を含む他の実施形態は本発明の範囲から逸脱しない。用語「本発明」等は、本明細書中で説明した出願人の発明の多くの代替様態または実施形態のいくつかの特定の例を参照して用いられ、その使用または不使用は出願人の発明の範囲または特許請求の範囲を限定することを意図しない。本明細書は、読者の便宜のみのために章で分割されている。見出しは、発明の範囲を限定するものとして解釈すべきでない。定義は本発明の記載の一部として意図されている。本発明の範囲を逸脱することなく本発明の様々な詳細を変更してもよいことが理解されるだろう。さらに、上述の記載は説明のみのためのものであり、限定を目的としたものではない。