特許第6222695号(P6222695)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222695
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】無線伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 40/14 20090101AFI20171023BHJP
   H04W 52/46 20090101ALI20171023BHJP
   H04W 74/04 20090101ALI20171023BHJP
   H04W 84/18 20090101ALI20171023BHJP
【FI】
   H04W40/14
   H04W52/46
   H04W74/04
   H04W84/18
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-247964(P2013-247964)
(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公開番号】特開2015-106813(P2015-106813A)
(43)【公開日】2015年6月8日
【審査請求日】2016年3月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 正臣
(72)【発明者】
【氏名】稲村 浩之
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 博之
(72)【発明者】
【氏名】丸地 俊也
【審査官】 三浦 みちる
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−196028(JP,A)
【文献】 特開2010−166543(JP,A)
【文献】 特開平11−225106(JP,A)
【文献】 特開平09−093188(JP,A)
【文献】 特開2012−129788(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24− 7/26
H04W 4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理装置と、
予め設定された伝送路上に位置する他の無線ノードとの間で共有する共有データを更新可能に格納するメモリバンク部と、前記伝送路の上流側に位置する一の他の無線ノードから前記共有データを受信し、前記受信の完了をもって送信権を取得し、前記送信権の取得から所定伝送時間以内に前記伝送路の下流側に位置する一又は複数の他の無線ノードに前記共有データの送信を完了させる通信部と、を備えた複数の無線ノードと、を備え、
前記無線ノードは、自己が前記共有データを受信すべき所定の他の無線ノードから前記共有データが所定時間以上伝送されなかった場合に、前記伝送路に異常が発生した旨を前記伝送路の下流側に位置する一又は複数の他の無線ノードに通知し、
前記管理装置は、前記伝送路の最上流に位置する無線ノードを介して前記伝送路に異常が発生した旨を把握し、当該異常が発生した伝送路部分を特定し、新たな伝送路に関する情報を前記共有データに含める、
無線伝送システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記伝送路の最上流に位置する前記無線ノードから前記共有データを取得し、
取得した前記共有データに基づいて、当該共有データを更新する、
請求項1記載の無線伝送システム。
【請求項3】
前記管理装置は、次回の前記共有データの送信または受信に用いる通信チャンネルを表すチャンネル情報を前記共有データに含める、
請求項1又は請求項2記載の無線伝送システム。
【請求項4】
前記共有データには、前記共有データを共有している全ての無線ノードにおける受信強度の情報及び前記共有データの送信時の送信出力の情報が含まれており、
前記通信部は、前記共有データの受信時の受信強度を測定する受信強度計測部と、
前記受信強度情報に基づいて、他の無線ノードの受信強度が所定範囲内となるように自己の送信出力を制御する通信制御部と、
を備える請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の無線伝送システム。
【請求項5】
前記通信制御部は、自己が前記共有データを受信すべき所定の他の無線ノードから前記共有データが所定時間以上伝送されなかった場合に、前記伝送路に異常が発生した旨を前記伝送路の下流側に位置する一又は複数の他の無線ノードに通知する、
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の無線伝送システム。
【請求項6】
前記共有データには、前記共有データの送信または受信に用いる通信チャンネルを表すチャンネル情報が含まれている、
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の無線伝送システム。
【請求項7】
前記共有データには、全無線ノードの配置位置を表す位置情報が含まれている、
請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の無線伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、無線伝送システムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラント等のフィールド制御システムにおいて、産業機器の制御通信のケーブルレス化(無線化)は、ロボットや無人台車等の移動する機器の制御だけではなく、ユニットの交換作業や、組み立て作業、また、頻繁なラインの再構成に対しても柔軟に対応でき、また、接触部分がないことによる故障率の低下と消耗品の削減などメンテナンスコストを低減することなどの利点があり、生産現場において強く待望されている。また、生産現場以外での高度交通システム、防犯、あるいは次世代ロボット・ネットワークロボットの分野においても、制御通信の無線化は不可欠である。
【0003】
無線化を実現する方法として、一般的な無線LANの利用が考えられる。しかし、一般的な無線LANは、パケットが正しく受信されるために必要な時間(応答時間)が通常時の何倍にもなる現象が頻発し、パケットの送信エラーが発生した場合の再送処理に時間を要することが高い確率で発生する。
【0004】
フィールド制御システムの無線通信においては、一定の時間(周期)内に制御命令や制御データが一定の時間内に確実に伝送されることが要求される。このため、一般的な無線LANはそのままでは、無線通信の信頼性の点でフィールド制御システムに利用することは困難である。
【0005】
なお、産業用の無線通信方式として、PROFINET(登録商標)やHART(登録商標)の無線方式が知られている。また、別の無線通信規格として、国際計測制御学会(ISA)が提唱するISA100.11a(登録商標)などが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−27315号公報
【特許文献2】特開2012−202743号公報
【特許文献3】特開2008−108991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、フィールド制御システムの分野では、一般的な無線LANや周知の無線通信規格による無線通信を適用した場合、無線ノード間の中継で処理遅延が発生するなどの要因で一定時間内の確実な伝送が困難である。
【0008】
そこで、本発明の目的は、一定の時間(周期)内のデータ伝送を確実に実現できる無線伝送システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本実施形態の無線伝送システムは、管理装置と、予め設定された伝送路上に位置する他の無線ノードとの間で共有する共有データを更新可能に格納するメモリバンク部と、伝送路の上流側に位置する一の他の無線ノードから共有データを受信し、受信の完了をもって送信権を取得し、送信権の取得から所定伝送時間以内に前記伝送路の下流側に位置する一又は複数の他の無線ノードに前記共有データの送信を完了させる通信部と、を備えた複数の無線ノードと、を備えている。
無線ノードは、自己が共有データを受信すべき所定の他の無線ノードから共有データが所定時間以上伝送されなかった場合に、伝送路に異常が発生した旨を伝送路の下流側に位置する一又は複数の他の無線ノードに通知し、管理装置は、伝送路の最上流に位置する無線ノードを介して伝送路に異常が発生した旨を把握し、当該異常が発生した伝送路部分を特定し、新たな伝送路に関する情報を共有データに含める。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態の無線伝送システムを含むネットワークシステムの概要構成図である。
図2図2は、無線ノードの概要構成図である。
図3図3は、管理システムの機能構成図である。
図4図4は、第1実施形態の伝送データのデータフォーマットの説明図である。
図5図5は、伝送状態の説明図(その1)である。
図6図6は、伝送状態の説明図(その2)である。
図7図7は、第1実施形態の無線伝送システム全体における伝送データの伝送状態を表すタイミングチャートである。
図8図8は、第2実施形態の無線伝送システム全体における伝送データの伝送状態を表すタイミングチャートである。
図9図9は、第2実施形態の伝送データのデータフォーマットの説明図である。
図10図10は、第3実施形態の無線伝送システム全体における伝送データの伝送状態を表すタイミングチャートである。
図11図11は、第4実施形態の無線伝送システム全体における伝送データの伝送状態を表すタイミングチャートである。
図12図12は、第5実施形態の無線ノードの概要構成ブロック図である。
図13図13は、第5実施形態の伝送データのデータフォーマットの説明図である。
図14図14は、第6実施形態の無線ノードの概要構成ブロック図である。
図15図15は、第6実施形態の伝送データのデータフォーマットの説明図である。
図16図16は、より具体的な送信出力制御の説明図である。
図17図17は、第1変形例における無線伝送経路における異常検出の説明図である。
図18図18は、第2変形例におけるデータ伝送経路の変更の説明図である。
図19図19は、第3変形例における無線通信システムの説明図である。
図20図20は、第4変形例においてマルチキャスト送信を行う場合の説明図である。
図21図21は、第4変形例においてブロードキャスト送信を行う場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に図面を参照して、好適な実施形態について説明する。
[1]第1実施形態
図1は、実施形態の無線伝送システムを含むネットワークシステムの概要構成図である。
【0012】
ネットワークシステム10は、大別すると、図1に示すように、実施形態の無線伝送システム11と、無線伝送システム11と上位ネットワーク12を介して接続されたBEMS(Building Energy Management System)13と、同じく上位ネットワーク12を介して接続されたFEMS(Factory Energy Management System)14と、を備えている。
【0013】
無線伝送システム11は、大別すると、無線伝送システム11全体を制御する管理システム21と、管理システム21に有線ネットワークWNを介して接続された無線ノード22Aと、無線ノード22Aに対して、リング状の無線ネットワーク(無線伝送路)ANが構築された無線ノード22B〜22Fと、を備えている。
【0014】
上記構成において、無線ノード22Aは、アンテナ部ANTを有し、バルブ23を制御・監視対象としている。無線ノード22Bは、アンテナ部ANTを有し、スイッチ24及びランプ25を制御・監視対象としている。無線ノード22Cは、アンテナ部ANTを有し、モータ26を制御・監視対象としている。無線ノード22Dは、アンテナ部ANTを有し、スイッチ27及びバルブ28を制御・監視対象としている。無線ノード22Eは、アンテナ部ANTを有し、ランプ29を制御・監視対象としている。無線ノード22Fは、アンテナ部ANTを有し、バルブ19を制御・監視対象としている。
さらに本第1実施形態では、無線ノード22A〜22Fは、無線ノード22A→無線ノード22B→無線ノード22C→無線ノード22D→無線ノード22E→無線ノード22F→無線ノード22A→……の順番で片方向にデータ通信を行っている。
【0015】
ここで、各無線ノード22A〜22Fの構成について説明する。
図2は、無線ノードの概要構成図である。
無線ノード22A〜22Fは、同様の構成であるので、以下の説明においては、無線ノード22Bを例として説明する。
無線ノード22Bは、大別すると、制御・監視対象(図2の例の場合、ランプ及びスイッチ)の制御を行う制御装置部30と、無線伝送を行う無線伝送部40と、アンテナ部ANTと、を備える。
【0016】
制御装置部30は、大別すると、無線伝送部40を構成するメモリバンク部41のメモリ制御を行うメモリ制御部31と、制御装置部30全体の制御を行う制御処理部32と、制御・監視対象との間のインタフェース動作を行うインタフェース処理部33と、を備えている。
【0017】
メモリ制御部31は、後述するメモリバンク部41を構成している複数のメモリバンク41A〜41Fのうち、当該無線ノード22Bの制御装置部30にアサイン(割り当て)されているメモリバンク41Bからデータ(情報)を読み出し、当該データ(情報)を制御処理部32においてインタフェース処理部33の制御に反映させる。また、インタフェース処理部33を介して得られたデータ(情報)を制御処理部32からメモリ制御部18を経由して当該無線ノード22Bの制御装置部30にアサインされているメモリバンク41Bに書き込むことができる。
【0018】
また、制御装置部30は、他の無線ノード(本実施形態では、無線ノード22A、無線ノード22C〜無線ノード22F)にアサインされている他のメモリバンク41A、41C〜41Fのデータ(情報)も参照することが可能である。従って、他の無線ノード(例えば、無線ノード22E)にアサインされているメモリバンク(例えば、無線ノード22Eの場合には、メモリバンク41E)のデータ(情報)に基づいて制御処理部32がインタフェース処理部33を制御することも可能である。
【0019】
インタフェース処理部33は、ディジタル信号の入力[DI(Digital Input)]処理を行うディジタル入力部34と、ディジタル信号の出力[DO(Digital Output)]処理を行うディジタル出力部35と、モータ駆動制御[MD(Motor Driver)]処理を行うモータドライバ部36と、ディジタル/アナログ変換[DAC(Digital Analog Converter)]処理を行うD/A変換部37と、アナログ/ディジタル変換[ADC(Analog Digital Converter)]処理を行うA/D変換部38と、PWM制御[PWM(Pulse Width Modulation)]処理を行うPWM処理部39と、を備えている。
【0020】
無線伝送部40は、コモンメモリ方式が想定され、無線ノード22A〜22F毎のデータ(情報)を更新可能に記憶するメモリバンク41A〜41Fを備えたメモリバンク部41と、アンテナ部ANTを構成している受信アンテナANT−Rを介してデータ受信を行う無線受信部42と、アンテナ部ANTを構成している送信アンテナANT−Tを介してデータ送信を行う無線送信部43と、無線受信部42及び無線送信部43の連携制御を行う、より具体的には、無線受信部42と無線送信部43との間で、通信チャンネルや送受信タイミング等の制御を行う通信制御部44と、無線受信部42及び無線送信部43の動作状態に基づいてメモリバンク部41の制御並びに無線受信部42と無線送信部43との間でデータの授受を行うメモリ制御部45と、を備えている。
【0021】
図3は、管理システムの機能構成図である。
管理システム21は、大別すると、無線ノード22A〜22Fの制御装置部30を制御する制御装置管理部21Aと、無線ノード22A〜22Fの無線伝送部40を制御する無線伝送管理部21Bと、上位ネットワーク12を介した伝送制御を行う上位伝送管理部21Cと、を備えている。
【0022】
より具体的には、制御装置管理部21Aは、主として制御・監視対象を管理し、制御装置部30の制御動作を担っており、制御・監視対象となる機器、メモリバンクのマッピングなどの構成管理、各種シーケンス動作、異常検出・処理などを行う。
【0023】
無線伝送管理部21Bは、無線ノードの通信制御を行う上で必要な無線構成管理と、チャンネル設定やアドレス設定などの機能を含む。
【0024】
上位伝送管理部21Cは、上位にあるシステム依存するプロトコルに対応した通信オブジェクト、例えばBAC−net、DNP3.0、IEC61850、LTE、Echonet、Zigbee(登録商標)などの規格化されたものでも良いし独自プロトコルでも良い。
【0025】
次に無線ノードのチャンネル確立方式について説明する。
以下の説明においては、無線伝送システム11で利用可能なチャンネル数は、一つのみであるものとする。
【0026】
管理システム21内の無線伝送管理部21Bには、構成情報として無線ノード22A〜22Fの識別情報となるアドレス、チャンネル情報が格納されている。
そして、無線伝送システム11の起動時、管理システム21が接続された無線ノード22A以外の全ての無線ノード22B〜22Fは、共通となる特定の受信チャンネルで受信待ち状態にあるものとする。
この場合において、無線伝送は、管理システム21に有線ネットワークWNを介して接続されている無線ノード(本実施形態の場合、無線ノード22A)から開始される。
【0027】
図4は、第1実施形態の伝送データのデータフォーマットの説明図である。
図4においては、図示の簡略化のため、無線ノード22A〜無線ノード22Fを、それぞれノードA〜ノードFとして表記している(以下、同様)。
【0028】
伝送データ50は、伝送データの送信元の無線ノード及び送信先の無線ノードを示すアドレス等が格納される通信制御情報データ51と、無線ネットワークの構成する無線伝送システム11の構成情報を表す構成情報データ52と、メモリバンク部41を構成する複数のメモリバンク41A〜41Fに格納すべきデータ(情報)を含むメモリバンク情報データ53と、を備えている。
【0029】
上記構成において、構成情報データ52は、無線ノード22A〜22F毎のアドレス、データ伝送時のデータ送信元アドレス及びデータ送信先アドレスが含まれている。
図4に示すように伝送する情報の中には送信先、送信元となる無線ノード22A〜無線ノード22Fのアドレスなどの通信制御情報や、ネットワークの形成に利用する無線ノード構成情報、無線ノード22A〜22Fに対応するメモリバンク情報(指示量、設定情報)などが含まれる。これらの情報はそれぞれ同時に伝送しても良いし、分割ないしは起動時の初期化シーケンスとして処理を分割して伝送しても良い。
【0030】
図5は、伝送状態の説明図(その1)である。
図5は、無線ノード22Aから無線ノード22Bに通信チャンネル(図5の例の場合、通信チャンネルC1)を用いてデータを伝送している場合の伝送状態を表している。
無線ノード22Aにおけるデータ伝送開始の直前においては、無線ノード22B〜無線ノード22Fは、全て受信待ち状態となっている。
【0031】
無線ノード22Aは、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Aを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Bを表すアドレスとして、データを伝送する。
これにより、無線ノード22B〜無線ノード22Fのうち、無線ノード22Aからのデータを受信可能な位置にある無線ノードは、一旦伝送されたデータを受信し、通信制御情報を参照して、自己宛のデータであるか否かを判別する。
【0032】
この場合において、送信先として伝送データに含まれているアドレスは、無線ノード22Bを表すものであるので、無線ノード22B以外の無線ノードであって受信待ち状態にある無線ノード22C〜22Fは、受信待ち状態を継続することとなる。
【0033】
これらに対し、無線ノード22Bは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Bを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する。このとき、他の無線ノードも同じチャンネルで受信待ちになっていることから、同情報を受信する可能性があるが、送信先の情報をみることにより、自ノード宛てと判断せず破棄しても良い。あるいは、当該情報を一時保管し、以降に到達する自ノード宛ての情報(同一情報)と比較することにより、異常検知など情報のロバスト性を高めることにも利用することができる。
そして、無線ノード22Aは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0034】
一方、無線ノード22Bの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0035】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Bに格納された当該無線ノード22B用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0036】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22B用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるスイッチ24及びランプ25の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Bに格納することとなる。
【0037】
このように、無線ノード22Aから無線ノード22Bに対してデータ(情報)を無線伝送している状態においては、図5に示すように、他の無線ノードである無線ノード22C〜無線ノード22Fは、受信待ち状態となっている。
【0038】
図6は、伝送状態の説明図(その2)である。
図6は、無線ノード22Bから無線ノード22Cに通信チャンネル(図6の例の場合、通信チャンネルC1)を用いてデータを伝送している場合の伝送状態を表している。
【0039】
そして、無線ノード22Bは、無線ノード22Aからの伝送データの受信処理が完了すると、通信制御部44及びメモリ制御部45を用いて、更新したメモリバンク部41を参照し、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Bを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Cを表すアドレスとして、データを伝送する。
【0040】
これにより、無線ノード22A、無線ノード22C〜無線ノード22Fのうち、無線ノード22Bからのデータを受信可能な位置にある無線ノードは、一旦伝送されたデータを受信し、通信制御情報を参照して、自己宛のデータであるか否かを判別する。
【0041】
この場合において、送信先として伝送データに含まれているアドレスは、無線ノード22Cを表すものであるので、無線ノード22C以外の無線ノードであって受信待ち状態にある無線ノード22A、無線ノード22D〜無線ノード22Fは、受信待ち状態を継続することとなる。
【0042】
これらに対し、無線ノード22Cは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Cを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する。この場合においても、上述したように、他の無線ノード22A、22D〜22Fも同情報を受信する可能性がある。
【0043】
しかしながら、送信先の情報をみることにより、自ノード宛てと判断せず、破棄あるいは一時保管し、以降に到達する自ノード宛ての情報と比較することにより、異常検知など情報のロバスト性を高めることにも利用することができる。
そして、無線ノード22Bは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0044】
一方、無線ノード22Cの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0045】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Cに格納された当該無線ノード22C用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0046】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22C用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるモータ26の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Cに格納することとなる。
【0047】
このように、無線ノード22Bから無線ノード22Cに対してデータ(情報)を無線伝送している状態においては、図6に示すように、他の無線ノードである無線ノード22A、無線ノード22D〜無線ノード22Fは、受信待ち状態となっている。
【0048】
次に無線伝送システム11全体の伝送データの伝送状態を説明する。
図7は、第1実施形態の無線伝送システム全体における伝送データの伝送状態を表すタイミングチャートである。
【0049】
無線伝送システム11が起動されると、管理システム21の制御装置管理部21Aは、有線ネットワークWNを介して無線ノード22Aの制御処理部32を介してメモリ制御部31を制御し、無線ノード22Aのメモリバンク部41のデータを更新する(ステップS11)。
【0050】
メモリバンク部41のデータが更新されると、無線ノード22Aの制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Aに格納された当該無線ノード22A用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0051】
これにより無線ノード22Aの制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22A用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるバルブ23の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Aに格納する。
【0052】
無線ノード22Aは、メモリバンク部41のメモリバンク41Aを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Aを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Bを表すアドレスとして、メモリバンク41Aの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS12)。
【0053】
これにより、無線ノード22Bは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Bを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS13)。
そして、無線ノード22Aは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0054】
一方、無線ノード22Bの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0055】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Bに格納された当該無線ノード22B用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0056】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22B用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるスイッチ24及びランプ25の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Bに格納して更新することとなる(ステップS14)。
【0057】
続いて、無線ノード22Bは、メモリバンク部41のメモリバンク41Bを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Bを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Cを表すアドレスとして、メモリバンク41Bの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS15)。
【0058】
これにより、無線ノード22Cは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Cを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS16)。
そして、無線ノード22Bは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0059】
一方、無線ノード22Cの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0060】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Cに格納された当該無線ノード22C用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0061】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22C用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるモータ26の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Cに格納して更新することとなる(ステップS17)。
【0062】
続いて、無線ノード22Cは、メモリバンク部41のメモリバンク41Cを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Cを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Dを表すアドレスとして、メモリバンク41Cの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS18)。
【0063】
これにより、無線ノード22Dは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Dを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS19)。
そして、無線ノード22Cは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0064】
一方、無線ノード22Dの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0065】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Dに格納された当該無線ノード22D用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0066】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22D用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるスイッチ27及びバルブ28の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Dに格納して更新することとなる(ステップS20)。
【0067】
続いて、無線ノード22Dは、メモリバンク部41のメモリバンク41Dを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Dを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Eを表すアドレスとして、メモリバンク41Dの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS21)。
【0068】
これにより、無線ノード22Eは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Eを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS22)。
そして、無線ノード22Dは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0069】
一方、無線ノード22Eの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0070】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Eに格納された当該無線ノード22E用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0071】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22E用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるランプ29の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Eに格納して更新することとなる(ステップS23)。
【0072】
続いて、無線ノード22Eは、メモリバンク部41のメモリバンク41Eを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Eを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Fを表すアドレスとして、メモリバンク41Eの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS24)。
【0073】
これにより、無線ノード22Fは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Fを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS25)。
そして、無線ノード22Eは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0074】
一方、無線ノード22Fの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0075】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Fに格納された当該無線ノード22F用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0076】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22F用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるバルブ19の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Fに格納して更新することとなる(ステップS26)。
【0077】
続いて、無線ノード22Fは、メモリバンク部41のメモリバンク41Fを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Fを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Aを表すアドレスとして、メモリバンク41Fの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS27)。
【0078】
これにより、無線ノード22Aは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Aを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS28)。
そして、無線ノード22Fは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0079】
一方、無線ノード22Aの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0080】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Eに格納された当該無線ノード22A用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0081】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22A用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるバルブ23の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Aに格納して更新する。
【0082】
メモリバンク部41の更新が完了すると、管理システム21の制御装置管理部21Aは、制御装置部30の制御処理部32及びメモリ制御部31を介して、更新されたメモリバンク部41のデータを読み出し、その内容に基づいて、必要に応じてメモリバンク部41のデータを次回の制御のために更新する(ステップS29)。
これ以降は、ステップS12〜ステップS29と同様の処理を繰り返すこととなる。
【0083】
以上の説明のように、本第1実施形態によれば、一つの通信チャンネル(通信チャンネルC1)しか用いない場合でも、互いの無線通信が干渉することなく、所定時間内(所定の通信スロット内)で各無線ノード22A〜22Fのメモリバンク部41の情報を更新し、かつ、全無線ノード22A〜22Fで情報を共有することができ、無線伝送システム11全体で連携のとれた制御を行うことが可能となる。
【0084】
[2]第2実施形態
以上の第1実施形態は、データ伝送に用いる通信チャンネルを一つ用いる場合であったが、本第2実施形態は、定周期間隔で二つの通信チャンネルを交互に用いてデータ伝送を行う場合の実施形態である。
【0085】
図8は、第2実施形態の無線伝送システム全体における伝送データの伝送状態を表すタイミングチャートである。
図8においては、定周期間隔で通信チャンネルC1と、通信チャンネルC2を交互に用いてデータ伝送を行っている。
【0086】
ここで、第2実施形態の伝送データのデータフォーマットについて説明する。
図9は、第2実施形態の伝送データのデータフォーマットの説明図である。
図9において、図4と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
伝送データ60が、図4の伝送データと異なる点は、通信制御情報データ51、構成情報データ52及びメモリバンク情報データ53に加えて、次回のデータ伝送に用いる無線チャンネルの情報を格納したチャンネル情報データ61を備えた点である。
【0087】
以下、具体的なデータ伝送動作を説明する。
この場合において、初期状態においては、通信チャンネルC1を用いることが予め定められているものとする。
【0088】
無線伝送システム11が起動されると、管理システム21の制御装置管理部21Aは、図9に示したデータフォーマットを有する伝送データを生成し、有線ネットワークWNを介して無線ノード22Aの制御処理部32を介してメモリ制御部31を制御し、無線ノード22Aのメモリバンク部41のデータを更新する(ステップS31)。
このとき、図9に示した、チャンネル情報データ61には、次回の無線データ伝送に用いる無線チャンネルの情報が格納される。
具体的には、初期状態においては、データ伝送に用いている無線チャンネルが通信チャンネルC1であるので、通信チャンネルC2を特定する情報が格納されることとなる。
【0089】
メモリバンク部41のデータが更新されると、無線ノード22Aの制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Aに格納された当該無線ノード22A用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0090】
これにより無線ノード22Aの制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22A用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるバルブ23の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Aに格納する。
このとき、無線ノード22Aは、チャンネル情報データ61を参照して、次回のデータ伝送に用いる通信チャンネルが通信チャンネルC2であることを把握することとなる。
【0091】
そして、無線ノード22Aは、メモリバンク部41のメモリバンク41Aを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Aを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Bを表すアドレスとして、メモリバンク41Aの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS32)。
【0092】
これにより、無線ノード22Bは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Bを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS33)。
そして、無線ノード22Aは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0093】
一方、無線ノード22Bの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0094】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Bに格納された当該無線ノード22B用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0095】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22B用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるスイッチ24及びランプ25の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Bに格納して更新することとなる(ステップS34)。
このとき、無線ノード22Bは、チャンネル情報データ61を参照して、次回のデータ伝送に用いる通信チャンネルが通信チャンネルC2であることを把握することとなる。
【0096】
そして無線ノード22Bは、メモリバンク部41のメモリバンク41Bを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Bを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Cを表すアドレスとして、メモリバンク41Bの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS35)。
【0097】
これにより、無線ノード22Cは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Cを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS36)。
そして、無線ノード22Bは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0098】
一方、無線ノード22Cの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0099】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Cに格納された当該無線ノード22C用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0100】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22C用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるモータ26の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Cに格納して更新することとなる(ステップS37)。
【0101】
このとき、無線ノード22Aは、チャンネル情報データ61を参照して、次回のデータ伝送に用いる通信チャンネルが通信チャンネルC2であることを把握することとなる。
【0102】
そして、無線ノード22Cは、メモリバンク部41のメモリバンク41Cを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Cを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Dを表すアドレスとして、メモリバンク41Cの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS38)。
【0103】
これにより、無線ノード22Dは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Dを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS39)。
そして、無線ノード22Cは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0104】
一方、無線ノード22Dの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0105】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Dに格納された当該無線ノード22D用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0106】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22D用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるスイッチ27及びバルブ28の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Dに格納して更新することとなる(ステップS40)。
【0107】
このとき、無線ノード22Dは、チャンネル情報データ61を参照して、次回のデータ伝送に用いる通信チャンネルが通信チャンネルC2であることを把握することとなる。
【0108】
そして、無線ノード22Dは、メモリバンク部41のメモリバンク41Dを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Dを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Eを表すアドレスとして、メモリバンク41Dの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS41)。
【0109】
これにより、無線ノード22Eは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Eを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS42)。
そして、無線ノード22Dは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0110】
一方、無線ノード22Eの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0111】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Eに格納された当該無線ノード22E用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0112】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22E用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるランプ29の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Eに格納して更新することとなる(ステップS43)。
このとき、無線ノード22Eは、チャンネル情報データ61を参照して、次回のデータ伝送に用いる通信チャンネルが通信チャンネルC2であることを把握することとなる。
【0113】
そして、無線ノード22Eは、メモリバンク部41のメモリバンク41Eを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Eを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Fを表すアドレスとして、メモリバンク41Eの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS44)。
【0114】
これにより、無線ノード22Fは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Fを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS45)。
そして、無線ノード22Eは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0115】
一方、無線ノード22Fの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0116】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Fに格納された当該無線ノード22F用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0117】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22F用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるスイッチ27及びバルブ28の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Fに格納して更新することとなる(ステップS46)。
このとき、無線ノード22Fは、チャンネル情報データ61を参照して、次回のデータ伝送に用いる通信チャンネルが通信チャンネルC2であることを把握することとなる。
【0118】
そして、無線ノード22Fは、メモリバンク部41のメモリバンク41Fを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Fを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Aを表すアドレスとして、メモリバンク41Fの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS47)。
【0119】
これにより、無線ノード22Aは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Aを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS48)。
そして、無線ノード22Fは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0120】
一方、無線ノード22Aの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0121】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Eに格納された当該無線ノード22A用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0122】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22A用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるバルブ23の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Aに格納して更新する。
【0123】
通信チャンネルC1を用いた上記動作と並行して、無線ノード22Aにおいて、ステップS31の処理が完了してから、一定周期に相当する時間が経過すると、管理システム21の制御装置管理部21Aは、図9に示したデータフォーマットを有する伝送データを生成し、有線ネットワークWNを介して無線ノード22Aの制御処理部32を介してメモリ制御部31を制御し、無線ノード22Aのメモリバンク部41のデータを更新する(ステップS49)。
このとき、図9に示した、チャンネル情報データ61には、次回の無線データ伝送に用いる無線チャンネルの情報が格納される。
【0124】
具体的には、この時点においては、次回のデータ伝送に用いる無線チャンネルは通信チャンネルC2が指定されているので、次々回のデータ伝送に用いる通信チャンネルC1を特定する情報が格納されることとなる。
【0125】
メモリバンク部41のデータが更新されると、無線ノード22Aの制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Aに格納された当該無線ノード22A用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0126】
これにより無線ノード22Aの制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22A用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるバルブ23の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Aに格納する。
【0127】
このとき、無線ノード22Aは、チャンネル情報データ61を参照して、次回のデータ伝送に用いる通信チャンネルが通信チャンネルC1であることを把握することとなる。
【0128】
そして、無線ノード22Aは、メモリバンク部41のメモリバンク41Aを更新すると、送信制御情報の送信元を当該無線ノード22Aを表すアドレスとし、送信先を無線ノード22Bを表すアドレスとして、メモリバンク41Aの更新後のメモリバンク部41のデータを伝送する(ステップS50)。
【0129】
これにより、無線ノード22Bは、受信した伝送データに含まれているアドレスは、自己を表す無線ノード22Bを表すものであるので、無線伝送路を確立し、受信状態に移行する(ステップS51)。
そして、無線ノード22Aは、伝送データの送信を終えると受信待ち状態に移行する。
【0130】
一方、無線ノード22Bの無線受信部42は、自ノード宛てと識別された伝送データ(情報)を受信すると、メモリ制御部45に通知し、受信した伝送データ(情報)をメモリバンク部41を構成する各メモリバンク41A〜41Fに格納する。
【0131】
そして、制御装置部30の制御処理部32は、メモリ制御部31を介してメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Bに格納された当該無線ノード22B用の制御・監視用のデータ(情報)を定周期又は割り込み通知などの手段を用いて取得する。
【0132】
これにより制御処理部32は、インタフェース処理部33を介して、取得した無線ノード22B用の制御・監視用のデータ(情報)に基づいて、制御・監視対象であるスイッチ24及びランプ25の制御を行い、その制御結果をメモリバンク部41の自己に対応するメモリバンクであるメモリバンク41Bに格納して更新することとなる(ステップS52)。
【0133】
このとき、無線ノード22Bは、チャンネル情報データ61を参照して、次回のデータ伝送に用いる通信チャンネルが通信チャンネルC1であることを把握することとなる。
そして、これ以降は、ステップS35以降と同様の処理を繰り返すこととなる。
【0134】
以上の説明のように、本第2実施形態によれば、二つの通信チャンネル(通信チャンネルC1、C2)を用いる場合に、第1実施形態の場合よりもより短時間で、互いの無線通信が干渉することなく、所定時間内(所定の通信スロット内)で各無線ノード22A〜22Fのメモリバンク部41の情報を更新し、かつ、全無線ノード22A〜22Fで情報を共有することができ、無線伝送システム11全体で連携のとれた制御を行うことが可能となる。
【0135】
[3]第3実施形態
以上の第2実施形態は、定周期間隔で二つの通信チャンネルを交互に用いてデータ伝送を行う場合のものであったが、本第3実施形態は、より多くに通信チャンネルを順次用いて、データ伝送を行う実施形態である。
【0136】
この場合において、各通信チャンネルC1〜C6の中心周波数fC1〜fC6は、以下の関係を有しているものとし、通信チャンネルC1〜C6は、互いに干渉が起こらないものとなっているものとする。
fC1<fC2<……<fC5<fC6
図10は、第3実施形態の無線伝送システム全体における伝送データの伝送状態を表すタイミングチャートである。
【0137】
この場合において、図10においては、定周期間隔で通信チャンネルC1〜通信チャンネルC6を用いてデータ伝送を行っており、図8の第2実施形態の場合と比較して、より短時間で互いの無線通信が干渉することなく、所定時間内(所定の通信スロット内)で各無線ノード22A〜22Fのメモリバンク部41の情報を更新し、かつ、全無線ノード22A〜22Fで情報を共有することができ、無線伝送システム11全体で連携のとれた制御を行うことが可能となっていることがわかる。
【0138】
[4]第4実施形態
上記第3実施形態は、通信チャンネルC1〜C6は、互いに干渉が起こらないものとなっている場合であったが、通常、一つの無線伝送システム11に割り当てられる周波数帯域は、連続した周波数帯域とされているのが一般的である。
従って、当該連続した周波数帯域を複数の周波数帯域に分けて通信チャンネルを構成した場合、隣接する周波数の周波数帯域を同時に同一の無線ノードで用いた場合には、互いに干渉が起こり、通信を所定の時間(タイムスロット)で完了することは困難である。
【0139】
例えば、無線伝送システム11に連続した周波数帯域が割り当てられた場合に、各通信チャンネルC1〜C6の中心周波数fC1〜fC6は、以下の関係を有しているものとする。
fC1<fC2<……<fC5<fC6
【0140】
このような場合には、中心周波数fC1の通信チャンネルC1と、中心周波数fC2の通信チャンネルC2と、は互いに干渉する虞が有り、中心周波数fC2の通信チャンネルC2と、中心周波数fC3の通信チャンネルC3と、は互いに干渉する虞が有り、中心周波数fC3の通信チャンネルC3と、中心周波数fC4の通信チャンネルC4と、は互いに干渉する虞が有り、中心周波数fC4の通信チャンネルC4と、中心周波数fC5の通信チャンネルC5と、は互いに干渉する虞が有り、中心周波数fC5の通信チャンネルC5と、中心周波数fC6の通信チャンネルC6と、は互いに干渉する虞が有る。
【0141】
図11は、第4実施形態の無線伝送システム全体における伝送データの伝送状態を表すタイミングチャートである。
そこで、図11に示すように、本第4実施形態では、互いに干渉の虞がある通信チャンネルが、同一の無線ノードに対して同時に用いられないようにしている。
【0142】
すなわち、所定の時間(タイムスロット)毎に互いに干渉しない通信チャンネルを用いるように構成している。
より具体的には、図11に示すように、通信チャンネルC1→通信チャンネルC3→通信チャンネルC5→通信チャンネルC2→通信チャンネルC4→通信チャンネルC6→通信チャンネルC1→……の順番で通信チャンネルを用いている。
【0143】
従って、本第4実施形態によれば、無線伝送システム11に連続した周波数帯域が割り当てられた場合であっても、通信チャンネル同士が互いに干渉することなく、電波干渉による伝送情報の欠落や誤りを低減し、所定時間内(所定の通信スロット内)で各無線ノード22A〜22Fのメモリバンク部41の情報を更新し、かつ、全無線ノード22A〜22Fで情報を共有することができ、無線伝送システム11全体で連携のとれた制御を行うことが可能となる。
【0144】
[5]第5実施形態
図12は、第5実施形態の無線ノードの概要構成ブロック図である。
本第5実施形態の無線ノード22Bが図2に示した第1実施形態の無線ノードと異なる点は、自己位置(当該無線ノードの設置位置)を取得する位置情報取得部65を設けた点である。
【0145】
この場合において、位置情報取得部65は、所定の基準位置に対する相対的な位置座標を検出するようにしたり、緯度、経度、高度などの絶対座標を検出するようにしたりすることが可能である。要は、他の無線ノードとの位置関係が容易に把握できるように自己の位置情報を検出できるものであればよい。
【0146】
図13は、第5実施形態の伝送データのデータフォーマットの説明図である。
図13において、図9の第2実施形態と同様の部分には、同一の符号を付すものとする。
図13に示すように、第5実施形態の伝送データ70においては、各無線ノード22A〜22Fの位置情報データ75(=位置座標(X、Y、Z))が含まれている。
【0147】
このような構成とすることにより、本第5実施形態によれば、各無線ノード22A〜22Fの位置を容易に把握でき、保守・点検、構成変更の際の無線ノード22A〜22Fの設置位置の変更を容易に検知することができる。
したがって、管理システム21において、各無線ノード22A〜22Fのうち、いずれかの無線ノードが近接していることが検出された際には、各無線ノード22A〜22Fに割り当てる通信チャンネルを変更するように通信チャンネル付与シーケンスを切り替えることにより、電波干渉の影響をより一層、低減することができる。
【0148】
また、位置情報データ75に対応する位置情報を利用して、構成情報を再構築し、無線リングの数珠つなぎの構成を変更して、データ伝送を直接的に行う近接する無線ノードを最適にすることにより、電波干渉の影響を低減することも可能である。
上記構成において、位置座標(X、Y、Z)としては、緯度、経度、高度などの絶対座標の他、任意に定めた基準座標位置からの相対座標としてもよい。
【0149】
[6]第6実施形態
図14は、第6実施形態の無線ノードの概要構成ブロック図である。
本第6実施形態の無線ノード22Bが図2に示した第1実施形態の無線ノードと異なる点は、データ伝送に用いる通信電波の受信強度を計測する受信強度計測部80を設けた点である。
【0150】
図15は、第6実施形態の伝送データのデータフォーマットの説明図である。
図15に示すように、第6実施形態の伝送データ85においては、各無線ノード22A〜22Fにおいて受信強度計測部80において計測された受信強度に対応する受信強度データ86と、この受信強度データ86に対応する受信強度に基づいて無線ノード22A〜22Fのそれぞれについて設定した送信出力に対応する送信出力データ87と、が含まれている。
【0151】
このような構成とすることにより、本第6実施形態によれば、管理システム21上において無線ノード22A〜22F間の通信品質を把握し、次回のデータ伝送時に各無線ノード22A〜22Fにおいて、受信強度データ86に対応する受信強度に基づいて、無線送信部43の送信出力をより適した値(送信出力データ87)に設定する。
【0152】
したがって、無線電波の干渉もなく、データ品質も保て、消費電力もより少なくなるように調整する。これにより、無線ノード間の伝送距離や障害物による影響により変化する通信品質を最適化することが可能になり、送信出力が強すぎることによる電波干渉や無駄な電力消費を抑制することができる。
【0153】
図16は、より具体的な送信出力制御の説明図である。
この場合において、システム運用上適した受信強度は、10段階評価の場合、受信強度=4〜7であるものとし、初期状態における送信出力する。
図16に示すように、例えば、無線ノード22A−無線ノード22B間の受信強度=9である場合には、受信強度が高すぎると考えられるので、無線ノード22Aの送信出力を下げるように、送信出力データ87の値を小さくする。
【0154】
同様に無線ノード22C−無線ノード22B間の受信強度=3である場合には、受信強度が低すぎると考えられるので、無線ノード22Aの送信出力を上げるように、送信出力データ87の値を大きくする。
これらの処理を繰り返すことにより、最終的には、全ての無線ノード22A〜22Eにおいて最適な送信出力範囲に収まることとなり、無線伝送システム11全体の通信品質を確保し、電波干渉及び電力消費の抑制が図れる。
【0155】
[7]実施形態の変形例
[7.1]第1変形例
図17は、第1変形例における無線伝送経路における異常検出の説明図である。
図17に示すように、受信待ちの無線ノード(図17の例の場合、無線ノード22D)において、所定時間以上の期間、データ(情報)の受信がない場合に、無線伝送路上に異常が発生していると判断して、異常通知情報ERを他の無線ノード(図17の例の場合、無線ノード22E→無線ノード22F→無線ノード22A)に対して送信を開始するようにする。
【0156】
これにより無線ノード22Aに接続されている管理システム21は、データ伝送(無線伝送)に異常がある区間(図17の例の場合、無線ノード22C−無線ノード22D間)を特定することが可能となる。
また、異常通知情報を受信した他の無線ノードは、無線伝送システム11上の異常を検知することが可能となり、各無線ノードの制御装置部は異常停止や縮退運転などの対処を行うことが可能となる。
【0157】
[7.2]第2変形例
図18は、第2変形例におけるデータ伝送経路の変更の説明図である。
第1変形例に示したように無線伝送路異常が検知された場合には、管理システム21は、更に無線ノードの構成情報を変更し、図18に示すような迂回ルートRTを構築するように指示することにより、異常発生区間を除いてシステムの運転継続ができる。
なお、図18の例の場合には、無線ノード22Dは、無線ノード22Eとの間で双方向に送受信を行うようにされる。
【0158】
[7.3]第3変形例
図19は、第3変形例における無線通信システムの説明図である。
以上の説明は、利用可能なチャンネル数が一つの場合であったが、利用可能なチャンネル数に余裕があるときには、管理システム21は、図19に示すように無線ノード22A〜22F間で使用するチャンネルを複数(図19では、2チャンネル)用いて、複数の伝送路(図19では、伝送路NC1、NC2)を構成するようにしてもよい。
【0159】
この構成によれば、伝送する情報のスループットの向上や、同じ情報を複数のチャンネルで冗長伝送することにより、伝送時のデータ欠落、誤りを検知し伝送する情報のロバスト性を向上することも可能となる。
【0160】
[7.4]第4変形例
図20は、第4変形例においてマルチキャスト送信を行う場合の説明図である。
図21は、第4変形例においてブロードキャスト送信を行う場合の説明図である。
図20に示すように、管理システム21は、各無線ノード22Aの送信先をマルチキャスト(複数無線ノードを送信先とする)により指定したり、図21に示すように、ブロードキャスト(全無線ノードを送信先とする)により指定したりすることも可能である。
【0161】
これらの構成によれば、各無線ノード22A〜22Fの電波の届く範囲であれば、複数の無線ノードに対して一括で指令を送ることもでき、冗長伝送することにより、伝送時のデータ欠落、誤りを検知し伝送する情報のロバスト性を向上することも可能となる。
【0162】
[7.5]第5変形例
以上の説明においては、メモリバンク部41が無線伝送部40に設けられている場合について説明したが、制御装置部30にメモリバンク部41を設けるように構成することも可能である。
【0163】
[7.6]第6変形例
また、以上の説明においては、制御装置部30と無線伝送部40と、を別体に設けていたが、一体に設けるように構成することも可能である。
【0164】
[7.7]第7変形例
以上の説明においては、無線ノード22A〜22Fの6個の無線ノードが存在する場合であって、制御・監視対象としてランプ、スイッチ、モータあるいはバルブの場合を例として説明したが、無線ノード数あるいは制御・監視対象に制約はないことは言うまでもない。
【0165】
[7.8]第8変形例
以上の説明においては、無線伝送システム11には、管理システム21が一つ設けられている場合について説明したが、複数設けられていてもよい。
【0166】
[7.9]第9変形例
以上の説明においては、無線ネットワークをリング型に構成していたが、全ての無線ノードでデータ(情報)の共有が可能であるならばライン型に構成することも可能である。
【0167】
[7.10]第10変形例
以上の説明においては、無線受信部42と無線送信部43との間でメモリ制御部45を介してデータ(情報)の授受をしていたが、直接データの授受を行うように構成することも可能である。
【0168】
[7.11]第11変形例
以上の説明においては、メモリバンク部41は、コモンメモリ方式が採用され、無線ノード数分のメモリバンクを有する構成を採っていたが、監視・制御対象(監視・制御装置)の数分のメモリバンクを有する構成とすることも可能であり、システム構成の変更に応じて、各メモリバンクの容量を変更するように構成することも可能である。
[7.12]他の変形例
【0169】
本実施形態の管理システムは、CPUなどの制御装置と、ROM(Read Only Memory)やRAMなどの記憶装置と、HDD、CDドライブ装置などの外部記憶装置と、ディスプレイ装置などの表示装置と、キーボードやマウスなどの入力装置を備えており、通常のコンピュータを利用したハードウェア構成となっている。
【0170】
本実施形態の無線ノードあるいは管理システムで実行される制御プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0171】
また、本実施形態の無線ノードあるいは管理システムで実行される制御プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の無線ノードあるいは管理システムで実行される制御プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
また、本実施形態の無線ノードあるいは管理システムの制御プログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0172】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0173】
10 ネットワークシステム
11 無線伝送システム
12 上位ネットワーク
18 メモリ制御部
21 管理システム
21A 制御装置管理部
21B 無線伝送管理部
21C 上位伝送管理部
22A〜22F 無線ノード
23 バルブ(制御・監視対象)
24 スイッチ(制御・監視対象)
25 ランプ(制御・監視対象)
26 モータ(制御・監視対象)
27 スイッチ(制御・監視対象)
28 バルブ(制御・監視対象)
29 ランプ(制御・監視対象)
30 制御装置部
31 メモリ制御部
32 制御処理部
33 インタフェース処理部
40 無線伝送部
41 メモリバンク部
41A〜41F メモリバンク
42 無線受信部
43 無線送信部
44 通信制御部
45 メモリ制御部
50 伝送データ
51 通信制御情報データ
52 構成情報データ
53 メモリバンク情報データ
60 伝送データ
61 チャンネル情報データ
65 位置情報取得部
70 伝送データ
75 位置情報データ
80 受信強度計測部
85 伝送データ
86 受信強度データ
87 送信出力データ
ANT アンテナ部
ANT−R 受信アンテナ
ANT−T 送信アンテナ
C1〜C6 通信チャンネル
ER 異常通知情報
LAN 無線
RT 迂回ルート
WN 有線ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21