特許第6222700号(P6222700)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222700
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】電気かみそり
(51)【国際特許分類】
   B26B 19/10 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   B26B19/10 Z
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-51693(P2014-51693)
(22)【出願日】2014年3月14日
(65)【公開番号】特開2015-173796(P2015-173796A)
(43)【公開日】2015年10月5日
【審査請求日】2016年12月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005810
【氏名又は名称】マクセルホールディングス株式会社
(72)【発明者】
【氏名】渡利 祐吾
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 敬介
【審査官】 小川 真
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−22437(JP,A)
【文献】 特表平6−507560(JP,A)
【文献】 特開2000−288267(JP,A)
【文献】 実開昭55−86667(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0078570(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26B 19/10
DWPI(Derwent Innovation)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内刃(4)および外刃(5)からなる刃部を有する本体ケース(1)に、傾動可能にトリマーユニット(78)が設けられている電気かみそりであって、
本体ケース(1)に、トリマーホルダー(101)が傾動可能に設けられており、このトリマーホルダー(101)にトリマーユニット(78)が設けられており、
トリマーユニット(78)は、固定トリマー刃(80)および可動トリマー刃(81)からなるトリマー用刃部を含み、
トリマーユニット(78)を刃部に向けて移動させて位置保持させた位置が、刃部とトリマー用刃部を接近させたコンビ剃り位置となっており、トリマーユニット(78)を刃部から離れる向きに移動させて位置保持させた位置が、トリマー用刃部が刃部から離れたきわぞり位置となっており、
トリマーユニット(78)が、トリマーホルダー(101)に対して、往復移動可能に弾性支持されていることを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
トリマーホルダー(101)が本体ケース(1)に対して回動可能に連結されることで、トリマーユニット(78)が、本体ケース(1)に対して回動可能となっており、
トリマーユニット(78)が、トリマーホルダー(101)に対して、同ホルダー(101)の軸線(101a)と同一方向に往復移動可能に弾性支持されていることを特徴とする請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
トリマーホルダー(101)が本体ケース(1)に対して回動軸(94)を介して回動可能に連結されることで、トリマーユニット(78)が、本体ケース(1)に対して回動可能となっており、
トリマーユニット(78)が、トリマーホルダー(101)に対して、回動軸(94)に向かう方向に往復移動可能に弾性支持されていることを特徴とする請求項2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
コンビ剃り位置においては、トリマーユニット(78)はトリマーホルダー(101)に対して往復移動可能となっており、
きわぞり位置においては、トリマーユニット(78)はトリマーホルダー(101)に対して往復移動不可となっていることを特徴とする請求項1から3のいずれかひとつに記載の電気かみそり。
【請求項5】
トリマーユニット(78)と本体ケース(1)との間に、きわぞり位置においてトリマーユニット(78)の往復移動を規制する移動ロック構造が設けられており、
移動ロック構造が、トリマーユニット(78)のトリマーベース(79)に設けた接当部(117)と、本体ケース(1)に設けたロック部(118)とを備えており、
きわぞり位置において先の接当部(117)をロック部(118)で受止めて、トリマーユニット(78)の移動を規制することを特徴とする請求項4に記載の電気かみそり。
【請求項6】
本体ケース(1)とトリマーホルダー(101)との間に、きわぞり位置におけるトリマーユニット(78)の傾動を規制する傾動ロック構造が設けられていることを特徴とする請求項1から5のいずれかひとつに記載の電気かみそり。
【請求項7】
上記傾動ロック構造が、本体ケース(1)でスライド可能に支持されるロック体(120)と、ロック体(120)をロック付勢するロックばね(121)と、トリマーホルダー(101)に設けられてロック体(120)と係脱する係合部(122)と、ロック体(120)をロックばね(121)の付勢力に抗してロック解除操作する解除体(123)を含んで構成されていることを特徴とする請求項6に記載の電気かみそり。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリマーユニットを備える電気かみそりに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気かみそりは、特許文献1に公知である。すなわち、外刃と内刃を含むメイン刃を有する本体部の側面に、同本体部に対して軸を介して前後回動自在にトリマーユニットが設けられている。トリマーユニットを、メイン刃に近接させるように回動させれば、コンビ剃りを行うことができ、トリマーユニットをメイン刃から離れるように回動させればトリマーユニット単独での使用が可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭58−18843号公報(図1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電気かみそりは、メイン刃とトリマーユニットによるコンビ剃りやトリマーユニット単独使用によるきわ剃りを行うことができるが、コンビ剃り時において、頬や顎下など弱い肌面のひげを剃る場合、その肌面を荒らす虞れがある。
【0005】
本発明の目的は、トリマーユニットにより頬や顎下など弱い肌面のひげを剃るときに肌面を荒らすことのない電気かみそりを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気かみそりは、内刃4および外刃5からなる刃部を有する本体ケース1に、傾動可能にトリマーユニット78が設けられている電気かみそりである。本体ケース1に、トリマーホルダー101が傾動可能に設けられており、このトリマーホルダー101にトリマーユニット78が設けられている。トリマーユニット78は、固定トリマー刃80および可動トリマー刃81からなるトリマー用刃部を含んでいる。トリマーユニット78を刃部に向けて移動させて位置保持させた位置が、刃部とトリマー用刃部を接近させたコンビ剃り位置となっており、トリマーユニット78を刃部から離れる向きに移動させて位置保持させた位置が、トリマー用刃部が刃部から離れたきわぞり位置となっている。トリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、往復移動可能に弾性支持されていることを特徴とする。
【0007】
トリマーホルダー101が本体ケース1に対して回動可能に連結されることで、トリマーユニット78が、本体ケース1に対して回動可能となっている。トリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、同ホルダー101の軸線101aと同一方向に往復移動可能に弾性支持されていることを特徴とする。
【0008】
トリマーホルダー101が本体ケース1に対して回動軸94を介して回動可能に連結されることで、トリマーユニット78が、本体ケース1に対して回動可能となっている。 トリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、回動軸94に向かう方向に往復移動可能に弾性支持されていることを特徴とする。
【0009】
コンビ剃り位置においては、トリマーユニット78はトリマーホルダー101に対して往復移動可能となっており、きわぞり位置においては、トリマーユニット78はトリマーホルダー101に対して往復移動不可となっていることを特徴とする。
【0010】
トリマーユニット78と本体ケース1との間に、きわぞり位置においてトリマーユニット78の往復移動を規制する移動ロック構造が設けられている。移動ロック構造が、トリマーユニット78のトリマーベース79に設けた接当部117と、本体ケース1に設けたロック部118とを備えている。きわぞり位置において先の接当部117をロック部118で受止めて、トリマーユニット78の移動を規制することを特徴とする。
【0011】
本体ケース1とトリマーホルダー101との間に、きわぞり位置におけるトリマーユニット78の傾動を規制する傾動ロック構造が設けられていることを特徴とする。
【0012】
上記傾動ロック構造が、本体ケース1でスライド可能に支持されるロック体120と、ロック体120をロック付勢するロックばね121と、トリマーホルダー101に設けられてロック体120と係脱する係合部122と、ロック体120をロックばね121の付勢力に抗してロック解除操作する解除体123を含んで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電気かみそりにおいては、トリマー用刃部を刃部に近づけて、両者でコンビ剃りを行える。コンビ剃り時には、肌面に倒れこんでいるひげをトリマー用刃部で粗剃りしながら毛起こし、さらに起されたひげを内刃4および外刃5からなる刃部で直ちに切断できるので、コンビ剃りを効果的に行うことができる。また、トリマーユニット78を刃部から離れる向きに移動させたきわぞり位置では、内刃4および外刃5からなる刃部から離れているので、その刃部が邪魔にならず、トリマーユニット78を単独で使用する場合の使い勝手が向上する。トリマーユニット78を、本体ケース1に連結したトリマーホルダー101に対して往復移動可能に弾性支持すると、肌面の状況の変化に追随してトリマーユニット78を進出させ、あるいは沈み込ませることができる。従って、コンビ剃り時に、トリマーユニット78の切刃部分(トリマー用刃部)を肌面の凹凸に密着した状態で移動させて、ひげのコンビ剃りをさらに軽快に行うことができる。さらに、コンビ剃り時の肌面に先の切刃部分が過剰に押付けられて、肌面が荒れるのを防止できる。
【0014】
トリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、同ホルダー101の軸線101aと同一方向に往復移動可能に弾性支持されていることにより、トリマーホルダー101が大型化するのを防止できる。
【0015】
トリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、回動軸94に向かう方向に往復移動可能に弾性支持されていることにより、トリマーユニット78が肌面からの押圧力を受けても、トリマーユニット78が回動軸94に向かって沈み込むため、トリマーユニット78を回動させるモーメントが小さく、トリマーユニット78が不用意に回動するのを防止できる。
【0016】
トリマーユニット78と本体ケース1との間に移動ロック構造を設けると、きわぞり位置においてトリマーユニット78の沈込みを規制して、もみあげ、口ひげ、顎ひげなどの整形をトリマーユニット78で的確に行うことができる。また、きわぞり位置において、トリマーベース79に設けた接当部117を、操作体20に設けたロック部118で受止めてトリマーユニット78の沈込みを規制するので、フロートロック構造を簡素化できるうえ、トリマーユニット78の沈込み動作を確実に規制できる。
【0017】
本体ケース1とトリマーホルダー101との間に、きわぞり位置におけるトリマーユニット78の傾動を規制する傾動ロック構造を設けると、トリマーユニット78に刃部に向く外力が作用する場合でも、トリマーユニット78が傾動しようとするのを傾動ロック構造で規制して、きわぞり位置の姿勢を維持し続けることができる。従って、もみあげ、口ひげ、顎ひげなどの整形をトリマーユニット78で的確に行うことができる。
【0018】
ロック体120と、ロックばね121と、ロック体120に対して係脱する係合部122と、解除体123などで移動ロック構造を構成するので、解除体123をスライド操作するだけで、ロック体120と係合部122の係合状態を簡単に解除して、トリマーユニット78を傾動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1ないし図6は提案例1に掛かる電気かみそりを示す。)
図1】外刃ホルダーを第2開放位置まで開放した状態を示す縦断側面図である。
図2】外刃ホルダーを破断した状態の電気かみそりの正面図である。
図3】外刃ホルダーのロック構造の概略を示す縦断側面図である。
図4】外刃ホルダーを第1開放位置まで開放した状態を示す縦断側面図である。
図5】操作体の一部を破断した状態の電気かみそりの背面図である。
図6図3におけるA−A線断面図である。
図7】提案例2に掛かる外刃ホルダーのロック構造を示す一部破断背面図である。 (図8ないし図11は提案例3に係る電気かみそりを示す。)
図8】トリマーユニットと操作体の関係構造を示す縦断側面図である。
図9】操作体の一部を破断した状態の電気かみそりの背面図である。
図10】トリマーユニットを作動位置に切換えた状態の縦断側面図である。
図11】操作体を洗浄位置に切換えた状態の縦断側面図である。 (図12ないし図14は本発明の実施例1に係る電気かみそりを示す。)
図12】トリマーユニットと操作体の関係構造を示す縦断側面図である。
図13】トリマーユニットをコンビ剃り位置に切換えた状態の縦断側面図である。
図14】操作体を洗浄位置に切換えた状態の縦断側面図である。 (図15ないし図17は提案例4に係る電気かみそりを示す。)
図15】操作体を洗浄位置に切換えた状態の縦断側面図である。
図16】操作体を第2作動位置に切換えた状態の縦断側面図である。
図17】操作体を待機位置と第1作動位置に切換えた状態の縦断側面図である。
図18】本発明の実施例2に係る電気かみそりの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(提案例1) 図1ないし図6は、水洗い式の電気かみそりの提案例1を示す。提案例1における前後、左右、上下とは、図2および図3に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0021】
図2において電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1の上部に設けられるかみそりヘッド2と、本体ケース1の内部に収容される電装品部などで、水洗い式の電気かみそりとして構成してある。本体ケース1の前面にはモーター起動用のスイッチノブ3が配置してある。かみそりヘッド2には、後述するモーター9の動力で往復駆動される内刃4と、内刃4の外面を覆う外刃5と、外刃5を支持する外刃ホルダー6が設けてある。内刃4は一群の小刃7を備えたスリット刃からなり、逆U字形に折り曲げられた内刃4を内刃ホルダー8で支持している。外刃5は網刃からなり、外刃ホルダー6で全体がアーチ状に湾曲する状態で保形してある。外刃ホルダー6は、洗浄開口68を開閉する蓋体69を兼ねているが、その詳細は後述する。
【0022】
電装品部は、モーター9と、左右一対の電池10と、先のスイッチノブ3で切換え操作されるスイッチ(図示していない)などで構成してある。スイッチノブ3を押上げ操作すると、スイッチがオン状態に切換わって電池10からモーター9へ駆動電流が供給され、モーター9が回転駆動される。モーター9の回転動力は、その出力軸13に固定した偏心カム14と、偏心カム14に連結された振動子15とで往復動力に変換されたのち、振動子15の上面中央に突設した駆動軸16を介して内刃ホルダー8へ伝動される。
【0023】
外刃ホルダー6を本体ケース1の上部に膨出した装着部19に装着することにより、本体ケース1と外刃ホルダー6との間に毛屑収容室Sが区画されており、ひげ剃り時に内刃4と外刃5で切断された毛屑は、毛屑収容室Sの内部に溜まる。外刃ホルダー6を装着部19に装着した状態では、外刃ホルダー6の開口周縁壁が、装着部19の周囲壁に密着しているので、装着部19の上壁が毛屑収容室Sの底壁27となって、その上面に毛屑が溜まる。水洗い洗浄時に、内刃4、外刃5、および外刃ホルダー6などに付着した毛屑を、簡便にしかも確実に洗浄できるようにするために、外刃ホルダー6を本体ケース1の背面に設けたスライドノブ(操作体)20で開閉操作できるようにしている。
【0024】
図5に示すようにスライドノブ20は、ノブの上半側に設けた左右に長い連結部21と、連結部21の下側に連続する操作部22とを一体に備えたプラスチック成形品からなり、ノブの全体が本体ケース1の背面壁で上下スライド可能に案内支持されている。具体的には、操作部22の内面に設けた4個のスライド爪23を、本体ケース1の背面壁に設けた左右一対のガイド溝24に係合させて、スライドノブ20を図3に示す待機位置と、図1に示す開放位置との間で上下スライド可能に案内支持している。待機位置および開放位置の各位置においてスライドノブ20を位置決めするために、スライドノブ20の内面下部に弾性変形可能な係合アーム25を設け、本体ケース1の背面壁の上下に係合アーム25を落込み係合させるためのアーム凹部26を形成している。
【0025】
外刃ホルダー6をスライドノブ20に同行して上下動させるために、外刃ホルダー6の後面の下端中央に横長の連結基部29を後向きに突設し、この連結基部29を連結枠30を介してスライドノブ20の連結部21に連結している。図3および図4に示すように、連結枠30は断面が四角形状の軸体からなり、その前面の中央に先の連結基部29を嵌め込むための連結溝31が凹み形成され、連結溝31の後端に連続して枠ロック構造を組むためのスライド凹部32と、操作窓33が形成してある(図6参照)。
【0026】
図5および図6に示すように、枠ロック構造は、スライド凹部32に組付けられる左右一対のロック爪34と、両ロック爪34をロック付勢する圧縮コイル型のロックばね35と、各ロック爪34に対応して連結基部29の左右に形成される鉤形の係合穴36とで構成する。ロック爪34は、ロックばね35の端部を受止めるスライド軸37と、係合穴36に係合する爪腕38と、操作窓33を介して連結枠30の後面に露出する操作部39とを一体に備えている。
【0027】
外刃ホルダー6の連結基部29を連結枠30の連結溝31に差し込んで、一対のロック爪34で連結基部29をロック固定することにより、外刃ホルダー6を連結枠30と一体化することができる。また、左右の操作部39をロックばね35の付勢力に抗いながら接近する向きにスライド操作すると、爪腕38と係合穴36の係合状態を解除して、外刃ホルダー6を連結枠30から分離することができる。外刃ホルダー6と一体化された連結枠30の左右両端を、スライドノブ20の連結部21にホルダー揺動軸40で連結することにより、外刃ホルダー6および連結枠30をホルダー揺動軸40の周りに揺動開閉できるようにしている。ホルダー揺動軸40は、連結部21の上部の左右端に設けたブラケット41に固定されて、連結枠30の左右端を軸支している。
【0028】
外刃ホルダー6および連結枠30を、図4に示す第1開放位置と図1に示す第2開放位置とにおいて位置保持するために、連結枠30とスライドノブ20の連結部21との間にクリック構造を設けている。クリック構造は、連結部21の上部左右に組付けられるクリックピン44と、クリックピン44を押上げ付勢するクリックばね45と、連結枠30の下面および後面に形成したクリック凹部46で構成してある。連結枠30が外刃ホルダー6と共に揺動するとき、連結枠30はクリックばね45の付勢力に抗いながらクリックピン44を前後に乗越えるが、この乗越えを円滑に行うために、連結枠30の後下隅は丸めてある。
【0029】
ひげ剃り時の外刃ホルダー6は、ケース上端の装着部19に装着されて内刃4の周囲を覆っており、この状態の外刃ホルダー6が装着部19から脱落するのを防ぐために、外刃ホルダー6と本体ケース1との間にホルダーロック構造を設けている。図3においてホルダーロック構造は、本体ケース1の内部に上方に設けた左右一対の縦長のロックアーム48と、ロックアーム48をロック付勢するアームロックばね49と、ロックアーム48に対応して外刃ホルダー6の前壁内面に設けたロック凹部50などで構成する。ロックアーム48の上端は、装着部19の前面から露出しており、この露出部分にロック凹部50と係合するアームロック爪51が前向きに突設してある。ロックアーム48は、本体ケース1の内面に設けたブラケット52とアーム軸53とで軸支されて前後に揺動可能であり、その上下中途部がアームロックばね49と対向するストッパー54で受け止められている。図3に示すように、アームロック爪51がロック凹部50と係合している状態では、外刃ホルダー6の上方移動が規制されるので、外刃ホルダー6の装着部19に対する装着状態を維持し続けることができる。
【0030】
スライドノブ20を待機位置から開放位置へとスライド操作するのに先行して、ホルダーロック構造をロック解除操作するために、スライドノブ20とロックアーム48との間にロック解除構造を設けている。ロック解除構造は、スライドノブ20の操作部22の中央に設けたトンネル形状の解除ノブ(解除操作部)58と、解除ノブ58の押込み動作を中継する中継体59と、ロックアーム48の下端に設けられて中継体59の動作を受継ぐ受動腕60などで構成する。解除ノブ58は、その下端のみが操作部22のノブ壁と繋がっていて前後方向へ弾性変形できる。解除ノブ58の外面には滑止めリブ61が、解除ノブ58の上部内面には中継体59をスライド操作する操作カム62が、それぞれ形成してある。中継体59は、本体ケース1の内部に設けたガイド枠63で前後スライド自在に支持されており、その後端には受動カム面64が形成してある。自由状態の解除ノブ58の外面は先のノブ壁と面一になっており、この状態の解除ノブ58を前向きに押し込み操作することにより、中継体59を前方へ移動させて受動腕60を傾動させ、ロックアーム48をアームロックばね49の付勢力に抗ってロック解除操作することができる。
【0031】
水洗い洗浄時には、まず、解除ノブ58を押込み操作してホルダーロック構造をロック解除操作し、その状態のままでスライドノブ20を待機位置から開放位置へスライド操作して、外刃ホルダー6を図4に示す第1開放位置に位置させる。スライドノブ20を開放位置へ切換えた状態では、係合アーム25が上側のアーム凹部26に落ち込み係合するので、スライドノブ20を開放位置に位置保持できる。
【0032】
以上のように、解除ノブ58を押込んだ状態でスライドノブ20を上向きにスライド操作することにより、外刃ホルダー6を第1開放位置へ移動させて、その下開口端と装着部19の基端段部67との間に、洗浄水を導入し、あるいは洗浄水を毛屑とともに排出する洗浄開口68を開口することができる。この状態の洗浄開口68は外刃ホルダー6の下開口縁に沿って周回状に開口しており、外刃ホルダー6が洗浄開口68を開閉するための蓋体69として機能する。スライドノブ20を開放位置から待機位置へ下向きにスライド操作すると、外刃ホルダー6の前後壁および左右壁で洗浄開口68を塞いで毛屑収容室Sを閉止できる。
【0033】
上記のように、外刃ホルダー6を第1開放位置まで開放した状態においては、外刃ホルダー6の下開口が毛屑収容室Sの底壁27より上側に位置している。詳しくは、図4に示すように、第1開放位置における外刃ホルダー6の下開口が、内刃ホルダー8の周面より上側に位置している。このように、第1開放位置における外刃ホルダー6の下開口の位置を、内刃ホルダー8の周面より上側に位置させると、洗浄開口68の開口高さを大きくして、内刃ホルダー8の周面全体を洗浄開口68に露出させ、さらに、駆動軸16や底壁27を露出させることができる。なお、外刃ホルダー6の下開口が内刃ホルダー8の周面より上側に位置しているとは、次に説明するように、外刃ホルダー6を第1開放位置からホルダー揺動軸40を中心にして揺動操作するとき、外刃ホルダー6の下開口の揺動軌跡が内刃4に接当緩衝しない高さ位置にあればよいことを意味している。
【0034】
第1開放位置において、ユーザーが外刃ホルダー6をホルダー揺動軸40を中心にして揺動操作することにより、外刃ホルダー6を内刃4の上方から退避した第2開放位置(図1の状態)に位置させることができる。外刃ホルダー6を第2開放位置へ開放した状態では、内刃4の前後左右の周囲空間はもちろん、内刃4の上方空間をも開放して、内刃4の全体を露出させることができる。この状態の外刃ホルダー6の仮想中心軸線P2は、本体ケース1の仮想中心軸線P1と直交しており(図1参照)、横臥姿勢になった外刃ホルダー6および外刃5の内面を前向きに露出させることができる。
【0035】
上記のように外刃ホルダー6を第2開放位置に位置させた状態で、洗浄水(流水)を内刃4や底壁27に流しかけることにより、内刃4、底壁27、あるいは駆動軸16に付着した毛屑や皮脂を洗い流すことができる。内刃4を往復駆動した状態のままで水洗い洗浄を行うと、洗浄水と小刃7の衝突機会を増やして、水洗い洗浄をさらに効果的に行うことができる。また、洗浄水を外刃ホルダー6および外刃5の内面に直接的に流しかけることにより、外刃ホルダー6や外刃5の内面に付着した毛屑や皮脂を、隅々まで洗い流すことができる。なお、外刃ホルダー6の仮想中心軸線P2と本体ケース1の仮想中心軸線P1とは、厳密に90度の角度で直交していない場合であっても上記と同様の水洗い効果を発揮できる。従って、この実施例において外刃ホルダー6の仮想中心軸線P2と、本体ケース1の仮想中心軸線P1とが直交すると言うときの交差角度は、80度から100度の範囲内の角度を含むこととする。
【0036】
毛屑収容室S内の毛屑の量が多い場合には、外刃ホルダー6を第1開放位置に開放した状態のままで、洗浄水を洗浄開口68から内刃4や底壁27に流しかけて、内刃4や底壁27、あるいは外刃ホルダー6や外刃5などに付着した毛屑や皮脂を洗い流して前段洗浄を行い、こののち外刃ホルダー6を第2開放位置に開放して、再度洗浄を行うことができる。このように、外刃ホルダー6や外刃5に付着した毛屑や皮脂を前段洗浄で洗い流すと、外刃ホルダー6を第2開放位置に開放操作するときに、毛屑が剥落して手指に付着するのを解消できるので衛生的である。
【0037】
先に説明したように、外刃ホルダー6を第1開放位置に位置させた状態では、係合アーム25が上側のアーム凹部26に落ち込み係合して、スライドノブ20が本体ケース1に対して確りと位置保持されている。また、第1開放位置および第2開放位置における外刃ホルダー6は、クリックばね45の付勢力を受けたクリックピン44がクリック凹部46と係合して、各開放位置において確りと位置保持されており、スライドノブ20に対してぐらつくことはない。従って、第1開放位置および第2開放位置におけるスライドノブ20や外刃ホルダー6のぐら付きを防止して、水洗い洗浄を的確にしかも効果的に行うことができる。
【0038】
以上のように構成した電気かみそりによれば、スライドノブ20を待機位置から開放位置へスライド操作するだけで、外刃ホルダー6の下開口の下側に周回状の洗浄開口68を開口させて、内刃4や毛屑収容室Sの底壁27などを開口空間に露出させることができる。また、外刃ホルダー6を第1開放位置から第2開放位置へ揺動操作することにより、内刃4の前後左右の周囲空間と上方空間を開放して内刃4の全体を露出させ、さらに、外刃ホルダー6および外刃5の内面を前向きに露出させることができる。従って、内刃4、底壁27、駆動軸16の各部材の外面や、外刃ホルダー6および外刃5の内面に洗浄水を直接流しかけて、各部に付着した毛屑を洗浄水とともに洗い流すことができる。
【0039】
詳しくは、電気かみそりの全体を横臥姿勢にして流水を流しかける際に、電気かみそりを横臥姿勢のままで前後に移動させるだけで内刃4を洗浄し、あるいは外刃ホルダー6を洗浄することができ、内刃4を洗浄する姿勢と外刃ホルダー6を洗浄する姿勢を変更する必要がない分だけ水洗い洗浄を簡便に行える。また、第2開放位置における外刃ホルダー6と内刃4は、電気かみそりを横臥姿勢にした状態で前後に大きく離れた位置関係となるので、水洗い洗浄する際に、外刃5および外刃ホルダー6と内刃4とが互いに邪魔になるのを避けながら、内刃4やその周辺の構造体と、外刃5および外刃ホルダー6を個別にしかも隅々まで確実に洗浄することができる。
【0040】
水洗い洗浄後の電気かみそりは、本体ケース1を握った状態で軽く振払って、かみそりヘッド2のヘッド周りに付着している水滴を除去したのち、外刃ホルダー6が第2開放位置に位置している状態のままで放置することにより、短時間で乾燥することができる。必要があれば、ヘアードライヤーの温風をかみそりヘッド2のヘッド周りに吹付けて、さらに短い時間で乾燥することができる。乾燥後の電気かみそりは、外刃ホルダー6を揺動操作して第1開放位置へ戻し、さらに、スライドノブ20を開放位置から待機位置へスライド操作することにより、洗浄開口68を外刃ホルダー6で閉止し、閉止状態の外刃ホルダー6をホルダーロック構造で再びロックすることができる。
【0041】
提案例1における外刃ホルダー6は、スライドノブ20に対して連結枠30を介して着脱可能としたがその必要はなく、外刃ホルダー6の連結基部29がホルダー揺動軸40を介してブラケット41に連結してあってもよい。その場合には、外刃ホルダー6の内部に外刃5を逆U字状に保形する外刃枠を別途設けて、外刃枠を外刃ホルダー6に対して着脱することにより、外刃5の交換を行うことができる。
【0042】
(提案例2) 図7は提案例1で説明したホルダーロック構造を変更した提案例2を示す。そこでは、本体ケース1の内部両側に配置した左右一対のロック爪71と、ロック爪71をロック付勢するロックばね72と、ロック爪71に対応して外刃ホルダー6の前壁内面に設けたロック凹部73などで構成する。ロック爪71の上端は、装着部19の両側から露出しており、この露出部分にロック凹部73と係合する係合爪74が横向きに突設してある。ロック爪71の下端には、本体ケース1の両側外面に突出する解除ボタン75が設けてあり、この解除ボタン75をロックばね72の付勢力に抗して押込み操作することにより、ロック凹部73と係合爪74の係合状態を解除できる。他は先の提案例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の本発明の実施例においても同じとする。
【0043】
水洗い洗浄時には、片方の手で左右の解除ボタン75を押込み操作して係合爪74によるロックを解除し、その状態のままで他方の手でスライドノブ20を待機位置から開放位置へスライド操作することにより、外刃ホルダー6を第1開放位置に位置させることができる。また、第1開放位置において、外刃ホルダー6をホルダー揺動軸40を中心にして揺動操作することにより、外刃ホルダー6を第2開放位置まで開放することができる。水洗い洗浄し、かみそりヘッド2のヘッド周りに付着していた水滴を乾燥させたのちには、外刃ホルダー6を第1開放位置へ揺動させ、さらにスライドノブ20を開放位置から待機位置へスライド操作することにより、外刃ホルダー6を左右一対のロック爪71で自動的にロック保持できる。
【0044】
(提案例3) 図8ないし図11は、提案例3に係る水洗い式の電気かみそりを示す。本提案例は、基本的に先の提案例1と同様の内容となっている。提案例3における前後、左右、上下とは、図8に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0045】
本提案例の電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1の上部に設けられるかみそりヘッド2と、本体ケース1の内部に収容される電装品部などで、水洗い式の電気かみそりとして構成してある。本体ケース1の前面にはモーター起動用のスイッチノブ3が配置してある。かみそりヘッド2には、モーター9の動力で往復駆動される内刃4と、内刃4の外面を覆う外刃5と、外刃5を支持する外刃ホルダー6が設けてある。内刃4は一群の小刃7を備えたスリット刃からなり、逆U字形に折り曲げられた内刃4を内刃ホルダー8で支持している。外刃5は網刃からなり、外刃ホルダー6で全体がアーチ状に湾曲する状態で保形してある。外刃5と外刃5の内面に沿って摺接する内刃4とで刃部が構成される。
【0046】
電装品部は、モーター9と、左右一対の電池10と、先のスイッチノブ3で切換え操作されるスイッチ(図示していない)などで構成してある。スイッチノブ3を押上げ操作すると、スイッチがオン状態に切換わって電池10からモーター9へ駆動電流が供給され、モーター9が回転駆動される。モーター9の回転動力は、その出力軸13に固定した偏心カム14と、偏心カム14に連結された振動子15とで往復動力に変換されたのち、振動子15の上面中央に突設した駆動軸16を介して内刃ホルダー8へ伝動される。
【0047】
外刃ホルダー6を本体ケース1の上部に膨出した装着部19に装着することにより、本体ケース1と外刃ホルダー6との間に毛屑収容室Sが区画されており、ひげ剃り時に内刃4と外刃5で切断された毛屑は、毛屑収容室Sの内部に溜まる。外刃ホルダー6を装着部19に装着した状態では、外刃ホルダー6の開口周縁壁が、装着部19の周囲壁に密着しているので、装着部19の上壁が毛屑収容室Sの底壁27となって、その上面に毛屑が溜まる。
【0048】
図8に示すようにスライドノブ20は、ノブの上半側に設けた左右に長い連結部21と、連結部21の下側に連続する操作部22とを一体に備えたプラスチック成形品からなり、ノブの全体が本体ケース1の背面壁で上下スライド可能に案内支持されている。具体的には、操作部22の内面に設けた2個のスライド爪23を、本体ケース1の背面壁に設けた左右一対のガイド溝24に係合させて、スライドノブ20を図8に示す待機位置と、図10に示す作動位置と、図11に示す洗浄位置と、の間で上下スライド可能に案内支持している。待機位置、作動位置および洗浄位置の各位置においてスライドノブ20を位置決めするために、スライドノブ20の内面下部に弾性変形可能な係合アーム25を設け、本体ケース1の背面壁の上下に係合アーム25を落込み係合させるためのアーム凹部26を形成している。
【0049】
水洗い洗浄時に、内刃4、外刃5、および外刃ホルダー6などに付着した毛屑を、簡便にしかも確実に洗浄できるようにするために、洗浄開口68をスライドノブ(操作体)20で開閉操作できるようにしている。そこでは、スライドノブ20の上部にトリマーユニット78を装着し、スライドノブ20の上下スライド軌跡に臨む外刃ホルダー6の後壁の左右に洗浄開口68を開口し、この開口68を開閉する第1蓋体(蓋体)69Aと第2蓋体(蓋体)69Bを、トリマーユニット78とスライドノブ20に設けるようにした。第1蓋体69Aと第2蓋体69Bとで蓋体69が構成されている。
【0050】
トリマーユニット78は、左右横長のトリマーベース79の内部に固定トリマー刃80と、固定トリマー刃80に沿って左右摺動する可動トリマー刃81と、可動トリマー刃81に固定した受動板82などを組付けて構成してある。受動板82の下部からスライドノブ20の上部内面にわたって、振動子15の往復動力を受継いで受動板82に伝動する伝動アーム83が配置してある。固定トリマー刃80と可動トリマー刃81は、それぞれバリカン刃で構成してあり、主にもみあげ、口ひげ、顎ひげなどを整形する際に使用する。固定トリマー刃80、および可動トリマー刃81によりトリマー用刃部が構成される。
【0051】
受動板82には、トリマーベース79に設けたガイドピン84で左右スライド自在に案内されるスライド溝85と、伝動アーム83の上端に係合する受動凹部86とが形成してある。伝動アーム83は十文字状の枠体からなり、その左右枠部にスライドノブ20に設けたガイドピン87で左右スライド自在に案内されるスライド溝88を備えており、上下枠部の下端の前面に受動ピン89が前向きに突設してある。振動子15の後縁には、受動ピン89と係合して振動子15の往復動力を伝動アーム83に出力する駆動アーム90が設けてある。
【0052】
第1蓋体69Aはトリマーベース79の前面上部に固定してあり、第2蓋体69Bはスライドノブ20の前面上部に固定してある。第1蓋体69Aおよび第2蓋体69Bは、それぞれ左右横長で平坦なプラスチック板材で形成してあり、各蓋体69A・69Bが左右の洗浄開口68と正対する状態において、洗浄開口68の外面側の開口周縁壁に固定した四角枠状の払拭体91に密着して洗浄開口68を閉止する。操作体20とトリマーユニット78のそれぞれに、洗浄開口68を開閉する第1蓋体69Aと第2蓋体69Bを設けるのは、操作体20が待機位置にあるとき、上部に位置するトリマーユニット78の第1蓋体69Aで洗浄開口68を閉止しておくためである。また、操作体20が作動位置にあるとき、操作体20に設けた第2蓋体69Bで洗浄開口68を閉止して、切断された毛屑が洗浄開口68から排出されるのを防ぐためである。払拭体91は、市販されているモヘアシールで形成されており、各蓋体69A・69Bが払拭体91に密着して、毛屑が洗浄開口68から漏れ出るのを防いでいる。また、各蓋体69A・69Bが払拭体91に沿って開閉移動するとき、各蓋体69A・69Bに付着している毛屑を払拭して、毛屑が各蓋体69A・69Bとともに洗浄開口68の外へ移動するのを防止している。第1蓋体69Aと第2蓋体69Bは独立部品として構成する必要はなく、一体に設けることができる。例えば、両蓋体69A・69Bを屈曲自在なシート状のプラスチック材で構成して一体化することができる。その場合には、各蓋体69A・69Bの部分を分厚く形成し、両蓋体69A・69Bの間のヒンジ部分を薄く構成するとよい。また、両蓋体69A・69Bはヒンジ構造を介して連結してあってもよい。
【0053】
スライドノブ20は、トリマーユニット78を不使用姿勢に位置保持する待機位置と、待機位置から上方へ押上げ操作されて、トリマーユニット78を使用姿勢に位置保持する作動位置と、待機位置から下方へ押下げ操作される洗浄位置との間をスライド変位できる。つまり、本実施例では、スライドノブ20は、作動位置、待機位置、洗浄位置においてすべて異なる位置で位置保持されている。各位置に切換えられたスライドノブ20は、その内面下部に設けた係合アーム25が、本体ケース1のアーム凹部26と係合することで位置保持されている。図8に示すように、スライドノブ20が待機位置にある状態では、トリマーユニット78に設けた第1蓋体69Aが払拭体91に密着して洗浄開口68を閉止している。
【0054】
トリマーベース79の下部両側には連結軸(回動軸)94が一体に設けてあり、連結軸94をスライドノブ20のブラケット41で軸支することにより、トリマーユニット78の全体がスライドノブ20に対して前後傾動(前後回動)できるように連結してある。左右の連結軸92には捻りコイル形のトリマーばね95が装着してあり、トリマーばね95のばね腕の片方をスライドノブ20に掛止し、他方のばね腕をトリマーベース79に掛止することにより、トリマーユニット78をコンビ剃り位置へ向かって傾動付勢している。
【0055】
図10に示すように、スライドノブ20を待機位置から作動位置へ押上げスライド操作した状態では、スライドノブ20に設けた第2蓋体69Bが払拭体91に密着して洗浄開口68を閉止している。スライドノブ20を待機位置から作動位置へ押上げ操作する過程では、第1蓋体69Aに付着した毛屑が払拭体91で払い落とされながら、トリマーユニット78の全体がトリマーばね95の付勢力を受けて徐々に前傾する。そして、スライドノブ20が作動位置に切換わった状態では、第1蓋体69Aの下側部分が、外刃ホルダー6の後壁に設けたストッパー面96で受止められて、トリマーユニット78が使用姿勢に切換わりコンビ剃り姿勢となる。この状態の伝動アーム83はスライドノブ20に同行して上方移動しているので、その受動ピン89が駆動アーム90と係合している。従って、モーター9を起動すると、振動子15で変換された往復動力を内刃4と可動トリマー刃81に同時に伝えてコンビ剃りを行うことができる。また、トリマーユニット78のみを使用して、きわぞりを行うことができる。スライドノブ20を作動位置から待機位置へ戻すと、トリマーユニット78はスライドノブ20に同行して下方移動し、その間にトリマーばね95の付勢力に抗いながら徐々に起立姿勢に復帰して待機位置へ戻る。
【0056】
水洗い洗浄時には、図11に示すように、スライドノブ20を待機位置から洗浄位置へ押下げスライド操作することにより、待機位置において洗浄開口68を閉止していた第1蓋体69Aを、洗浄開口68より下側へ退避させて洗浄開口68を開放する。この場合にも、第1蓋体69Aに付着した毛屑が払拭体91で払い落とされる。洗浄開口68を開放した状態で洗浄水を洗浄開口68から毛屑収容室S内に流入させ、さらに、内刃4を往復駆動することにより、内刃4、駆動軸16、底壁27の各部材の外面や、外刃ホルダー6および外刃5の内面に付着した毛屑や皮脂を洗浄水とともに洗い流すことができる。毛屑や皮脂などを含む洗浄後の汚水は、外刃5の網目から毛屑収容室Sの外に排出される。外刃5の網目から洗浄水を導入した場合は、洗浄後の汚水は洗浄開口68から排出される。以上の説明から理解できるように、スライドノブ20を待機位置と作動位置と洗浄位置との間でスライド操作する状態において、第1蓋体69Aおよび第2蓋体69Bに付着した毛屑を払拭体91で払落とすことができる。
【0057】
図10に示すように、かみそりヘッド2に設けた内刃4、外刃5、および外刃ホルダー6の前後方向の仮想中心軸線P3は、本体ケース1の仮想中心軸線P1に対して角度θ1だけ前傾させてある。また、コンビ剃り姿勢になっているトリマーユニット78の仮想中心軸線P4は、本体ケース1の仮想中心軸線P1と平行な基準線に対して角度θ2だけ前傾している。外刃ホルダー6の仮想中心軸線P3の前傾角度θ1と、トリマーユニット78の仮想中心軸線P4の前傾角度θ2とは、不等式(θ1<θ2)を満足できるように設定する。
【0058】
上記の角度設定を採用することにより、トリマーユニット78を外刃5の近傍に位置させることができるので、トリマーユニット78で粗削りしながら倒れこんでいるひげを起こすことができ、さらに起されたひげを内刃4および外刃5で直ちに切断することができるので、内刃4および外刃5とトリマーユニット78によるコンビ剃りを効果的に行うことができる。また、外刃ホルダー6の仮想中心軸線P3が前傾させてあるので、内刃4および外刃5によるひげ切断を適切かつ容易に行うことができる。この実施例における外刃ホルダー6の仮想中心軸線P3の前傾角度θ1は10度とし、トリマーユニット78の仮想中心軸線P4の前傾角度θ2は45度とした。
【0059】
提案例3における払拭体91は、モヘアシール以外に、ゴム成形品または軟質樹脂成形品で形成することができ、ベース生地に電気植毛加工を施して密植したパイル群や、密植したブラシ体で形成してもよい。洗浄開口68は外刃ホルダー6の後壁の左右に開口する必要はなく、トリマーユニット78左右幅の範囲内で、左右横長の1個の洗浄開口68が開口してあってもよい。固定トリマー刃80、および可動トリマー刃81の構造は、バリカン刃構造である必要はなく、図12に示すような櫛歯構造であってもよい。
【0060】
提案例3におけるトリマーばね95は省くことができ、その場合にはトリマーベース79とスライドノブ20の連結部21との間に、提案例1で説明したようなクリック構造を設けることができる。クリック構造は、トリマーユニット78が前傾して外刃ホルダー6に隣接する使用位置と、トリマーユニット78がスライドノブ20の側延長上に起立する起立位置とに位置保持できる。起立位置に位置保持した状態のトリマーユニット78は、外刃ホルダー6から充分に離れているので、トリマーユニット78を単独で使用してきわぞりや、口ひげ顎ひげなどの整形を行うことができる。
【0061】
(実施例1) 図12ないし図14は、本発明に係る水洗い式の電気かみそりの実施例1を示す。本実施例は、基本的に先の提案例3と同様の内容となっている。実施例1における前後、左右、上下とは、図12に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0062】
本実施例の電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1の上部に設けられるかみそりヘッド2と、本体ケース1の内部に収容される電装品部などで、水洗い式の電気かみそりとして構成してある。本体ケース1の前面にはモーター起動用のスイッチノブ3が配置してある。かみそりヘッド2には、モーター9の動力で往復駆動される内刃4と、内刃4の外面を覆う外刃5と、外刃5を支持する外刃ホルダー6が設けてある。内刃4は一群の小刃7を備えたスリット刃からなり、逆U字形に折り曲げられた内刃4を内刃ホルダー8で支持している。外刃5は網刃からなり、外刃ホルダー6で全体がアーチ状に湾曲する状態で保形してある。外刃5と外刃5の内面に沿って摺接する内刃4とで刃部が構成される。刃部は、主に短毛を切断する場合に使用される。
【0063】
電装品部は、モーター9と、左右一対の電池10と、先のスイッチノブ3で切換え操作されるスイッチ(図示していない)などで構成してある。スイッチノブ3を押上げ操作すると、スイッチがオン状態に切換わって電池10からモーター9へ駆動電流が供給され、モーター9が回転駆動される。モーター9の回転動力は、その出力軸13に固定した偏心カム14と、偏心カム14に連結された振動子15とで往復動力に変換されたのち、振動子15の上面中央に突設した駆動軸16を介して内刃ホルダー8へ伝動される。
【0064】
外刃ホルダー6を本体ケース1の上部に膨出した装着部19に装着することにより、本体ケース1と外刃ホルダー6との間に毛屑収容室Sが区画されており、ひげ剃り時に内刃4と外刃5で切断された毛屑は、毛屑収容室Sの内部に溜まる。外刃ホルダー6を装着部19に装着した状態では、外刃ホルダー6の開口周縁壁が、装着部19の周囲壁に密着しているので、装着部19の上壁が毛屑収容室Sの底壁27となって、その上面に毛屑が溜まる。
【0065】
図12に示すようにスライドノブ20は、ノブの上半側に設けた左右に長い連結部21と、連結部21の下側に連続する操作部22とを一体に備えたプラスチック成形品からなり、ノブの全体が本体ケース1の背面壁で上下スライド可能に案内支持されている。具体的には、操作部22の内面に設けた2個のスライド爪を、本体ケース1の背面壁に設けた左右一対のガイド溝に係合させて、スライドノブ20を図12図13に示すトリマーユニット作動位置と、図14に示す洗浄位置と、の間で上下スライド可能に案内支持している。作動位置および洗浄位置の各位置においてスライドノブ20を位置決めするために、スライドノブ20の内面下部に弾性変形可能な係合アームを設け、本体ケース1の背面壁の上下に係合アームを落込み係合させるためのアーム凹部を形成している。
【0066】
図12に示すように、トリマーユニット78をスライドノブ20の延長上に起立するきわぞり位置と、図13に示すように、トリマーユニット78がスライドノブ20に対して前傾して、外刃5と内刃4からなる刃部に接近して隣接するコンビ剃り位置とに屈折できるようにスライドノブ20で支持した。また、トリマーユニット78をコンビ剃り位置においてフロート可能に支持した。そのために、スライドノブ20の上部にトリマーホルダー101を連結軸(回動軸)94を介して前方屈折可能(前後回動可能)に連結し、トリマーユニット78に設けた左右一対のスライドピース102を、トリマーホルダー101の左右壁に設けたガイド溝103で往復スライド自在に案内支持した。さらに、トリマーホルダー101とトリマーユニット78との間に左右一対の圧縮コイル形のフロートばね104を配置し、トリマーユニット78をトリマーホルダー101から離れる向きへ進出付勢して、フロートばね104で浮動支持(弾性支持)できるようにした。トリマーホルダー101がスライドノブ20(本体ケース1)に対して回動可能に連結されることで、トリマーユニット78が、スライドノブ20に対して回動可能となっている。トリマーユニット78は、トリマーホルダー101に対して、同ホルダー101の軸線101aと同一方向に往復移動可能に弾性支持されている。さらに、トリマーホルダー101がスライドノブ20(本体ケース1)に対して連結軸(回動軸)94を介して回動可能に連結されることで、トリマーユニット78が、スライドノブ20に対して回動可能となっているが、トリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、連結軸(回動軸)94に向かう方向に往復移動可能に弾性支持されている。なお、スライドノブ20は、本体ケース1の一部としてみることができ、本発明においてはそのように判断して構成したものである。
【0067】
トリマーユニット78は、それぞれくし刃構造の固定トリマー刃80と可動トリマー刃81とを備えており、固定トリマー刃80はトリマーベース79に固定され、可動トリマー刃81と、同刃81に固定した受動板82がトリマーベース79で左右スライド自在に支持されている。スライドノブ20は、本体ケース1で上下スライド自在に支持されるノブベース105と、ノブベース105の後側に固定されるノブカバー106とで中空枠状に構成してある。ノブベース105とノブカバー106の上部には、洗浄水を導入する導水穴107が前後貫通状に形成され、この導水穴107より上側のノブベース105の壁面に、洗浄開口68を閉止する閉止蓋部(蓋体)108が設けてある。固定トリマー刃80と可動トリマー刃81は、それぞれくし刃で構成してあり、主にもみあげ、口ひげ、顎ひげなどにある長毛を整形する際に使用する。固定トリマー刃80、および可動トリマー刃81によりトリマー用刃部が構成される。
【0068】
スライドノブ20は、図12に示す作動位置と、図14に示す洗浄位置との間で上下スライドできる。図示していないが、スライドノブ20と本体ケース1との間に、提案例3で説明した係合アーム25およびアーム凹部26を設けておくことにより、作動位置と洗浄位置の各位置において、スライドノブ20を本体ケース1に対して確りと位置保持することができる。従って、作動位置はもちろん洗浄位置におけるスライドノブ20のぐら付きを防止して、水洗い洗浄を的確にしかも効果的に行うことができる。本実施例では、スライドノブ20において、トリマーユニット78を使用姿勢に位置保持する作動位置とトリマーユニット78を不使用姿勢に位置保持する待機位置とが同じ位置となっている。つまり、図12の使用姿勢に位置保持する作動位置では、受動ピン89と駆動アーム90とが係合してモーター9の動力が可動トリマー刃81に伝わるようになっているが、スイッチをオフしていれば可動刃トリマー81は作動していないので、この場合も不使用姿勢とみなすことができる。したがって、本発明の「トリマーユニット78の不使用姿勢」とは、必ずしもモーター9から可動トリマー刃81への伝動構造を一部連結させないとする必要はない。本実施例では、スライドノブ20は、作動位置と待機位置において同じ位置に位置保持されており、洗浄位置のみ作動位置および待機位置とは異なる位置で位置保持されている。
【0069】
作動位置においてユーザーがトリマーユニット78を前後に傾動操作することにより、トリマーユニット78を図12に示されるようなきわぞり位置(トリマー単独使用位置)と、図13に示されるようなコンビ剃り位置とに切換えることができる。トリマーユニット78を刃部に向けて移動させて位置保持させた位置が、刃部とトリマー用刃部を接近させたコンビ剃り位置となる。また、トリマーユニット78を刃部から離れる向きに移動させて位置保持させた位置が、トリマー用刃部が刃部から離れたきわぞり位置となる。このきわぞり位置のときの固定トリマー刃80、および可動トリマー刃81からなるトリマー用刃部の頂面は、外刃5と内刃4からなる刃部の頂面より上方に位置している。また、コンビ剃り位置のときの固定トリマー刃80、および可動トリマー刃81からなるトリマー用刃部の頂面と、外刃5と内刃4からなる刃部の頂面とは、略同一高さ位置となっている。図13においては、トリマー用刃部は刃部から僅かに上方位置にあるが、同一位置か、僅かに下方位置にあってもよい。さらに、コンビ剃り位置において、トリマー用刃部は、刃部のうち少なくとも外刃5に対して図13に示すように上下に重なる位置まで前傾姿勢(傾斜姿勢)となっている。これにより、刃部とトリマー用刃部をより近接できることから、コンビ剃り時において、肌面に倒れこんでいるひげをトリマーユニット78で粗剃りしながら毛起こし、さらに起されたひげを内刃4および外刃5で直ちに切断できるので、コンビ剃りを効果的に行うことができる。
【0070】
スライドノブ20を押上げ操作して洗浄位置に切換えた状態では、閉止蓋部108の下側に設けた導水穴107が洗浄開口68と連通するので、導水穴107から導入した洗浄水を洗浄開口68から毛屑収容室S内へ流入させることができる。洗浄開口68の周囲に設けられた払拭体91は、市販されているモヘアシールで形成されており、蓋体108が払拭体91に密着して、毛屑が洗浄開口68から漏れ出るのを防いでいる。また、蓋体108が払拭体91に沿って開閉移動するとき、蓋体108に付着している毛屑を払拭して、毛屑が蓋体108とともに洗浄開口68の外へ移動するのを防止している。洗浄開口68を開放した状態で洗浄水を洗浄開口68から毛屑収容室S内に流入させ、さらに、内刃4を往復駆動することにより、内刃4、駆動軸16、底壁27の各部材の外面や、外刃ホルダー6および外刃5の内面に付着した毛屑や皮脂を洗浄水とともに洗い流すことができる。毛屑や皮脂などを含む洗浄後の汚水は、外刃5の網目から毛屑収容室Sの外に排出される。外刃5の網目から洗浄水を導入した場合は、洗浄後の汚水は洗浄開口68から排出される。なお、スライドノブ20を洗浄位置に切換えた状態では、伝動アーム83の受動ピン89は振動子15の駆動アーム90から分離している。なお、きわぞり位置においては、トリマーユニット78が、スライドノブ20の軸線から所定角度後方に傾いた後傾姿勢となったものであってもよい。
【0071】
トリマーホルダー101は、左右壁110と後壁111とを一体に備えており、左右壁110の下部に先の連結軸94が一体に設けられ、左右壁110の上部に規制体112が外刃ホルダー6へ向かって突設してある。トリマーユニット78をきわぞり位置からコンビ剃り位置へ回動させて屈折させた状態では、規制体112が外刃ホルダー6の左右両側に設けた係合壁(係合部)113の外面に密着係合する(図13参照)。規制体112が係合壁113と係合する過程では、それぞれの密着係合面に設けた突起同士が互いに乗越えることで、係合姿勢を維持することができ、さらにクリック間を与えて規制体112が係合壁113に係合したことを明確化することができる。このように、コンビ剃り位置において、一対の規制体112で係合壁113を左右に抱持する状態で係合することにより、トリマーユニット78の左右動を規制して、トリマーユニット78による起毛作用や、ひげ切断を的確に行うことができる。また、コンビ剃り位置に切換わったトリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、トリマーユニット78の仮想中心軸線P4に沿って往復移動可能に弾性支持されている。このようにコンビ剃り位置に切換わったトリマーユニット78は、その仮想中心軸線P4に沿って往復スライド(往復移動)可能に案内支持されていて、フロートばね104の付勢力に抗して沈込むことができる構成としているので、固定トリマー刃80の肌当りを柔らかなものとすることができる。また、上述したように前傾姿勢となってコンビ剃り位置に切換わったトリマーユニット78は、トリマーホルダー101に対して、トリマーユニット78の軸線または/およびトリマーホルダー101の軸線101aに沿って往復移動可能に弾性支持されている。
【0072】
きわぞり位置においてトリマーユニット78のフロート動作(往復移動)を規制するためにフロートロック構造(移動ロック構造)を設け、さらに、きわぞり位置におけるトリマーユニット78の前方傾動を規制するために傾動ロック構造を設けている。図12において、フロートロック構造は、トリマーベース79の後壁の下端に設けた接当部117と、ノブカバー106の上端に設けたロック部118で構成する。トリマーユニット78をコンビ剃り位置からきわぞり位置へ戻した状態では、接当部117の下面がロック部118の上面で受止められるので、トリマーユニット78がフロートばね104の付勢力に抗して沈込むのを規制することができる。
【0073】
傾動ロック構造は、ノブカバー106の上部のガイド溝119で上下スライド可能に支持されるロック体120と、ロック体120をロック付勢するロックばね121と、トリマーホルダー101の後壁111に設けられてロック体120と係脱する係合溝(係合部)122と、ロック体120をロックばね121の付勢力に抗してロック解除操作する解除体123などで構成する。図12および図14に示すように、トリマーユニット78をきわぞり位置へ切換えた状態では、ロック体120の上端の爪部124が係合溝122に係合しているので、トリマーユニット78は連結軸94を中心にして前方傾動することはできない。この状態から、解除体123をロックばね121の付勢力に抗してスライド操作して押し下げると、爪部124を係合溝122から離脱できるので、トリマーユニット78を連結軸94を中心にして前方傾動することが可能となる。このとき、きわぞり位置からトリマー位置への位置変更は、使用者にて行うものであるが、例えば、スライドノブ20とトリマーホルダー101との間にはキックばねを設けて、トリマーホルダー101を前方、つまり刃部に向けて回転付勢させておき、ロック体120の解除と同時にトリマーホルダー101およびトリマーユニット78をばねの作用で刃部に向けて回転させることができる。これにより、トリマーユニット78を簡単操作できわぞり位置からコンビ剃り位置へ位置変更できる。傾動ロック構造は、トリマーユニット78の左右壁110を摘み、コンビ剃り位置から後方、つまり、刃部から離れる向きに移動させてきわぞり位置へ回転操作するだけで、トリマーホルダー101の後壁111がロック体120を沈ませながら乗越えるので、後壁111の設けた係合溝122をロック体120の爪部124に係合することができる。つまりコンビ剃り位置からきわぞり位置への位置変更は使用者にて行うものである。
【0074】
以上のように、きわぞり位置においてトリマーユニット78のフロート動作を規制し、さらに、トリマーユニット78の前方傾動を規制すると、固定トリマー刃80および可動トリマー刃81を固定した状態でひげ切断を行えるので、もみあげ、口ひげ、顎ひげなどの整形を的確に行うことができる。また、きわぞり位置においてトリマーユニット78に前向き、つまり刃部に向けた外力が作用することがあっても、トリマーユニット78が前方傾動しようとするのを傾動ロック構造で規制して、起立姿勢を維持し続けることができる。また、きわぞり位置に起立させたトリマーユニット78は、傾動ロック構造で前後傾動不能にロック保持されるので、起立姿勢を保持し続けることができる。
【0075】
図13に示すように、かみそりヘッド2に設けた内刃4、外刃5、および外刃ホルダー6の前後方向の仮想中心軸線P3は、提案例3の電気かみそりと同様に、本体ケース1の仮想中心軸線P1に対して角度θ1だけ前傾させてある。また、コンビ剃り姿勢になっているトリマーユニット78の仮想中心軸線P4は、本体ケース1の仮想中心軸線P1と平行な基準線に対して角度θ2だけ前傾している。外刃ホルダー6の仮想中心軸線P3の前傾角度θ1と、トリマーユニット78の仮想中心軸線P4の前傾角度θ2とは、不等式(θ1<θ2)を満足できるように設定する。
【0076】
上記の角度設定を採用することにより、トリマーユニット78のトリマー用刃部を外刃5の近傍に位置させることができるので、トリマーユニット78で粗削りしながら倒れこんでいるひげを起こすことができ、さらに起されたひげを内刃4および外刃5で直ちに切断することができるので、内刃4および外刃5とトリマーユニット78によるコンビ剃りを効果的に行うことができる。また、外刃ホルダー6の仮想中心軸線P3が前傾させてあるので、内刃4および外刃5によるひげ切断を適切かつ容易に行うことができる。この実施例における外刃ホルダー6の仮想中心軸線P3の前傾角度θ1は10度とし、トリマーユニット78の仮想中心軸線P4の前傾角度θ2は45度とした。
【0077】
規制体112は、トリマーホルダー101の左右両側に設ける必要はなく、トリマーホルダー101の左右方向の任意位置の少なくとも1個所以上に設けてあればよい。その場合には、規制体112と対応する外刃ホルダー6の後壁に、規制体112と係合する係合部113を凹み形成する。また、規制体112は、板状や軸状あるいは枠状など、任意の形状に形成することができる。さらに、外刃ホルダー6の側に設けた突起と、トリマーホルダー101の側に設けた凹部とを、互いに係合させてトリマーユニット78の左右遊動を規制することができる。必要があれば、トリマーベース79に規制体112を設けることができる。
【0078】
固定トリマー刃80、および可動トリマー刃81の構造は、くし刃構造である必要はなく、提案例3、実公昭58−18843号に示されるようなバリカン刃構造であってもよい。
【0079】
上記実施例1の電気かみそりは、以下の態様で実施することができる。
グリップを兼ねる本体ケース1に装着した外刃ホルダー6の仮想中心軸線P3が、本体ケース1の仮想中心軸線P1に対して角度θ1だけ前傾させてあり、
トリマーユニット78は、操作体20に対して連結軸94を介して前後傾動可能に連結されており、
トリマーユニット78を前向きに屈折させて使用姿勢に切換えることができ、
使用姿勢に切換えられて前向きに屈折した状態のトリマーユニット78の仮想中心軸線P4が、本体ケースの仮想中心軸線P1に対して角度θ2だけ前傾させてあり、
外刃ホルダー6の仮想中心軸線P1の前傾角度θ1と、トリマーユニット78の仮想中心軸線P4の前傾角度θ2とが、不等式(θ1<θ2)を満足できるように設定してあり、
操作体20の上部にトリマーホルダー101が連結軸94を介して前後傾動可能に連結されており、
トリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、トリマーユニット78の仮想中心軸線P4に沿って往復移動可能に設けられており、
トリマーユニット78が、トリマーホルダー101とトリマーユニット78との間に配置したフロートばね104で弾性支持されていることを特徴とする電気かみそり。
上記態様によれば、作動位置におけるトリマーユニット78を外刃5の近傍に位置させて、両者でコンビ剃りを行える。コンビ剃り時には、肌面に倒れこんでいるひげをトリマーユニット78で粗剃りしながら毛起こし、さらに起されたひげを内刃4および外刃5で直ちに切断できるので、コンビ剃りを効果的に行うことができる。また、外刃ホルダー6の仮想中心軸線P3が前傾させてあるので、外刃ホルダー6の仮想中心軸線P3が本体ケース1の仮想中心軸線P1と一致させてある電気かみそりに比べて、内刃4および外刃5によるひげ切断を適切かつ容易に行うことができる。また、トリマーユニット78が、トリマーホルダー101とトリマーユニット78との間に配置したフロートばね104で弾性支持されていることにより、肌面の状況の変化に追随してトリマーユニット78を進出させ、あるいは沈み込ませることができる。従って、コンビ剃り時に、トリマーユニット78の切刃部分を肌面の凹凸に密着した状態で移動させて、ひげのコンビ剃りをさらに軽快に行うことができる。さらに、コンビ剃り時の肌面に先の切刃部分が過剰に押付けられて、肌面が荒れるのを解消できる。
【0080】
(実施例2) 図18は、本発明に係る水洗い式の電気かみそりの実施例2を示す。実施例2における前後、左右、上下とは、図18に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。
【0081】
本実施例の電気かみそりは、グリップを兼ねる本体ケース1と、本体ケース1の上部に設けられるかみそりヘッド2と、本体ケース1の内部に収容される電装品部などで、水洗い式の電気かみそりとして構成してある。本体ケース1の前面にはモーター起動用のスイッチノブ3が配置してある。かみそりヘッド2には、モーターの動力で往復駆動される内刃4と、内刃4の外面を覆う外刃5と、外刃5を支持する外刃ホルダー6が設けてある。内刃4は一群の小刃を備えたスリット刃からなり、逆U字形に折り曲げられた内刃4を内刃ホルダーで支持している。外刃5は網刃からなり、外刃ホルダー6で全体がアーチ状に湾曲する状態で保形してある。外刃5と外刃5の内面に沿って摺接する内刃4とで刃部が構成される。刃部は、主に短毛を切断する場合に使用される。
【0082】
トリマーユニット78は、それぞれバリカン刃構造の固定トリマー刃80と可動トリマー刃81とを備えており、固定トリマー刃80はトリマーベースに固定され、可動トリマー刃81と、同刃81に固定した受動板がトリマーベースで左右スライド自在に支持されている。固定トリマー刃80と可動トリマー刃81は、それぞれバリカン刃で構成してあり、主にもみあげ、口ひげ、顎ひげなどにある長毛を整形する際に使用する。固定トリマー刃80、および可動トリマー刃81によりトリマー用刃部が構成される。
【0083】
本体ケース1の後面の上部には、後方に向けて突出形成されたブラケット41を有しており、このブラケット41に、トリマーホルダー101が連結軸(回動軸)94を介して前後傾動可能(前後回動可能)に連結されている。つまりトリマーユニット78は、連結軸94とトリマーホルダー101を介して本体ケース1に前後傾動可能(前後回動可能)に設けられている。トリマーホルダー101とトリマーユニット78との間に左右一対の圧縮コイル形のフロートばね104を配置し、トリマーユニット78をトリマーホルダー101から離れる向きへ進出付勢して、フロートばね104で浮動支持(弾性支持)できるようにしている。図18において実線で示すトリマーユニット78の位置が刃部に接近したコンビ剃り位置を示しており、点線で示すトリマーユニット78の位置が刃部から離れたきわぞり位置を示している。すなわち本実施例では、トリマーユニット78が起立した姿勢が、コンビ剃り位置となり、刃部から離れた後傾した傾斜姿勢が、きわぞり位置となっている。トリマーホルダー101が本体ケース1に対して回動可能に連結されることで、トリマーユニット78が、本体ケース1に対して回動可能となっている。トリマーユニット78は、トリマーホルダー101に対して、同ホルダー101の軸線101aと同一方向に往復移動可能に弾性支持されている。なお、実施例1では、トリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、連結軸(回動軸)94に向かう方向に往復移動可能に弾性支持されていたが、本実施例では、トリマーホルダー101の全体がL字状になっており、その回動連結端から軸線101aまで所定の距離を有するため、トリマー用刃部が肌面に押されたとき、前向きに回転モーメントが作用する。ただ図示していないが、本体ケース1とトリマーホルダー101との間のどちらか一方に突出形態のストッパーおよび保持構造を設けているので、前向きの回転は規制されている。保持構造はトリマーホルダー101と本体ケース1との間に設けられているが、トリマーホルダー101の連結軸94への連結端からトリマーホルダー101の軸線101aまで所定の距離を有することにより、トリマーユニット78およびトリマーホルダー101は、ひげ剃り時に肌面から押圧力を受けた場合、前向き、つまり刃部に向けた回転モーメントがかかるので、刃部から離れる向きに不用意に回転移動するのを防止できる。本実施例では、トリマー用刃部以外のトリマーユニット78は、トリマーホルダー101の内部に位置している。符号101bは、トリマーホルダー101の連結端とトリマーユニット78のトリマーホルダー101の取付端の間にあるエルボ部である。その他、トリマーユニット78、トリマーホルダー101の機構部分以外は基本的に先の実施例1と同様の内容となっているので詳しい説明は省く。
【0084】
上述の構成により、トリマー用刃部を刃部に近づけて、両者でコンビ剃りを行える。コンビ剃り時には、肌面に倒れこんでいるひげをトリマー用刃部で粗剃りしながら毛起こし、さらに起されたひげを内刃4および外刃5からなる刃部で直ちに切断できるので、コンビ剃りを効果的に行うことができる。また、トリマーユニット78を刃部から離れる向きに移動させたきわぞり位置では、内刃4および外刃5からなる刃部から離れているので、その刃部が邪魔にならず、トリマーユニット78を単独で使用する場合の使い勝手が向上する。トリマーユニット78を、本体ケース1に連結したトリマーホルダー101に対して往復移動可能に弾性支持すると、肌面の状況の変化に追随してトリマーユニット78を進出させ、あるいは沈み込ませることができる。従って、コンビ剃り時に、トリマーユニット78の切刃部分(トリマー用刃部)を肌面の凹凸に密着した状態で移動させて、ひげのコンビ剃りをさらに軽快に行うことができる。さらに、コンビ剃り時の肌面に先の切刃部分が過剰に押付けられて、肌面が荒れるのを防止できる。
【0085】
図示していないが、本実施例にもトリマーユニット78と本体ケース1との間に、きわぞり位置においてトリマーユニット78の往復移動を規制する移動ロック構造が設けられている。また、本体ケース1とトリマーホルダー101との間に、きわぞり位置におけるトリマーユニット78の傾動を規制する傾動ロック構造が設けられている。
【0086】
上記実施例1および2の電気かみそりは、以下の態様で実施することができる。
なお、以下の態様は、操作体20を本体ケース1の一部として記載したものである。つまり、上記実施例では、操作体20は、トリマーユニット78を上下スライド移動させたり、洗浄開口68を開閉させたりする際に用いられていたため操作体と表現したが、以下の態様では、操作体20は、単にトリマーホルダー101やトリマーユニット78を支持するためだけに用いられるものも含み、それを本体ケース1の一部として表現している。したがって、以下の態様の場合、本体ケース1と記載していても、これは実施例2のような本体ケース1を含むとともに実施例1における操作体20をも含む概念である。
その上部に内刃4および外刃5からなる刃部を有する本体ケース1に、前後傾動可能にトリマーユニット78が設けられている電気かみそりであって、
本体ケース1に、トリマーホルダー101が前後傾動可能に設けられており、このトリマーホルダー101にトリマーユニット78が設けられており、
トリマーユニット78は、固定トリマー刃80および可動トリマー刃81からなるトリマー用刃部を含み、
トリマーユニット78を前方に移動させて、すなわち刃部に向けて移動させて位置保持させた位置が、刃部とトリマー用刃部を接近させたコンビ剃り位置となっており、トリマーユニット78をコンビ剃り位置から後方に移動させて、すなわち刃部から離れる向きに移動させて位置保持させた位置が、トリマー用刃部が刃部から離れたトリマー単独使用のきわぞり位置となっており、
トリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、往復移動可能に弾性支持されており、
コンビ剃り位置においては、トリマーユニット78はトリマーホルダー101に対して往復移動可能となっており、
きわぞり位置においては、トリマーユニット78はトリマーホルダー101に対して往復移動不可となっていることを特徴とする電気かみそり。
なお、上記態様の「トリマーユニット78が、トリマーホルダー101に対して、往復移動可能に弾性支持」部分の「往復移動」の方向は、内刃4および外刃5からなる刃部への肌面の当接方向と略一致する方向、つまり略上下方向である。詳しく述べれば、トリマーユニット78は、本体ケース1に対して回動軸94、トリマーホルダー101を介して回動可能に連結されていることから、「往復移動」の方向は、トリマーホルダー101の軸線101aと同一方向、または回動軸94に向かう方向と同一方向である。つまり、トリマーユニット78は、トリマーホルダー101に対して、トリマーホルダー101の軸線101aと同一方向、または回動軸94に向かう方向と同一方向に往復移動可能に弾性支持されている。
上記態様により、トリマーユニット78を外刃5の近傍に位置させて、両者でコンビ剃りを行える。コンビ剃り時には、肌面に倒れこんでいるひげをトリマーユニット78で粗剃りしながら毛起こし、さらに起されたひげを内刃4および外刃5で直ちに切断できるので、コンビ剃りを効果的に行うことができる。また、トリマーユニット78をコンビ剃り位置から後方に移動させたきわぞり位置では、トリマーユニット78を単独で使用する場合に、内刃4および外刃5からなる刃部から離れているので、その刃部が邪魔にならず、使い勝手が向上する。トリマーユニット78を、本体ケース1(操作体20)に連結したトリマーホルダー101に対して往復移動可能に弾性支持すると、肌面の状況の変化に追随してトリマーユニット78を進出させ、あるいは沈み込ませることができる。従って、コンビ剃り時に、トリマーユニット78の切刃部分(トリマー用刃部)を肌面の凹凸に密着した状態で移動させて、ひげのコンビ剃りをさらに軽快に行うことができる。さらに、コンビ剃り時の肌面に先の切刃部分が過剰に押付けられて、肌面が荒れるのを解消できる。きわぞり位置においては、トリマーユニット78はトリマーホルダー101に対して往復移動不可となっていることにより、きわぞり位置においてトリマーユニット78の沈込みを規制して、もみあげ、口ひげ、顎ひげなどの整形をトリマーユニット78で的確に行うことができる。
【0087】
上記電気かみそりにおいて、
トリマーユニット78と本体ケース1との間に、きわぞり位置においてトリマーユニット78の往復移動を規制する移動ロック構造が設けられており、
移動ロック構造が、トリマーユニット78のトリマーベース79に設けた接当部117と、本体ケース1に設けたロック部118とを備えており、
きわぞり位置において先の接当部117をロック部118で受止めて、トリマーユニット78の移動を規制することを特徴とする電気かみそり。
このように、トリマーユニット78と本体ケース1との間に移動ロック構造を設けると、きわぞり位置においてトリマーユニット78の沈込みを規制して、もみあげ、口ひげ、顎ひげなどの整形をトリマーユニット78で的確に行うことができる。また、きわぞり位置において、トリマーベース79に設けた接当部117を、操作体20に設けたロック部118で受止めてトリマーユニット78の沈込みを規制するので、フロートロック構造を簡素化できるうえ、トリマーユニット78の沈込み動作を確実に規制できる。
【0088】
上記電気かみそりにおいて、
きわぞり位置が、本体ケース1の軸線と略一致する起立位置となっており、
きわぞり位置において、固定トリマー刃80および可動トリマー刃81からなるトリマー用刃部の頂面が、外刃5と内刃4からなる刃部の頂面より上方に位置していることを特徴とする電気かみそり。
上記態様により、きわぞり位置において、トリマーユニット78を単独で使用する場合に、内刃4および外刃5からなる刃部から上方にも離れているので、その刃部が邪魔にならず、より一層使い勝手が向上する。
【0089】
上記電気かみそりにおいて、
本体ケース1とトリマーホルダー101との間に、きわぞり位置におけるトリマーユニット78の前方傾動を規制する傾動ロック構造が設けられていることを特徴とする電気かみそり。
このように、本体ケース1とトリマーホルダー101との間に、きわぞり位置におけるトリマーユニット78の前方傾動を規制する傾動ロック構造を設けると、トリマーユニット78に前向きの外力が作用する場合でも、トリマーユニット78が前方傾動しようとするのを傾動ロック構造で規制して、起立姿勢を維持し続けることができる。従って、もみあげ、口ひげ、顎ひげなどの整形をトリマーユニット78で的確に行うことができる。
【0090】
上記電気かみそりにおいて、
傾動ロック構造が、本体ケース1で上下スライド可能に支持されるロック体120と、ロック体120をロック付勢するロックばね121と、トリマーホルダー101に設けられてロック体120と係脱する係合部122と、ロック体120をロックばね121の付勢力に抗してロック解除操作する解除体123を含んで構成されていることを特徴とする電気かみそり。
このように、ロック体120と、ロックばね121と、ロック体120に対して係脱する係合部122と、解除体123などで傾動ロック構造を構成するので、解除体123を押下げ操作するだけで、ロック体120と係合部122の係合状態を簡単に解除して、トリマーユニット78を前方傾動することができる。
【0091】
(提案例4) 図15ないし図17は、提案例4に係る水洗い式の電気かみそりを示す。提案例4における前後、左右、上下とは、図15に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。そこでは、本体ケース1の前面側に、中空ケース状のスライドノブ20を上下スライド自在に配置し、その内部に不使用時のトリマーユニット78を収容できるようにした。スライドノブ20は、本体ケース1で上下スライド自在に支持される後側のノブベース105と、ノブベース105の前側に固定されるノブカバー106とで中空ケース状に構成してある。
【0092】
トリマーユニット78は、トリマーベース79と、それぞれバリカン刃構造の固定トリマー刃80および可動トリマー刃81と、受動アーム127などで構成してあり、トリマーベース79の上部左右に設けた連結軸94がノブカバー106で回動自在に支持してある。これにより、トリマーユニット78はスライドノブ20に対して、図15図17に示す不使用位置と、図16に示す使用位置との間で部分回動できる。不使用位置において、トリマーユニット78をノブカバー106に開口したトリマー窓130の内部に収納しておくために、連結軸94の周りに配置したトリマーばね95で、トリマーベース79を不使用位置へ向かって回動付勢している。受動アーム127の突端には、伝動アーム83が相対回動可能に連結してある。振動子15の前側には、往復動力をトリマーユニット78に出力するための駆動アーム90が設けてある。
【0093】
スライドノブ20は、図17(a)に示す待機位置と、図17(b)に示す第1作動位置と、図16に示す第2作動位置との間を上下スライドでき、さらに待機位置と図15に示す洗浄位置との間を上下スライドできる。待機位置と第1作動位置と第2作動位置との間の上下スライド動作を利用して、モーター9に対する給電状態を切換え、さらにトリマーユニット78の駆動状態を切換えている。そのために、ノブベース105の下部内面に可動端子128を固定して、スライドノブ20のスライド位置の違いによって、回路基板129に設けた固定端子(図示していない)を可動端子128で導通できるようにしている。詳しくは、スライドノブ20を待機位置から第1作動位置に押上げスライド操作したとき、モーター9への給電状態をオンさせて、振動子15の往復動力を内刃4に伝動している。このときの伝動アーム83の受動ピン89は、図17(b)に示すように、駆動アーム90と係合していないので、振動子15の往復動力がトリマーユニット78に伝動することはない。
【0094】
スライドノブ20を第1作動位置からさらに押上げスライド操作すると、伝動アーム83の受動ピン89が駆動アーム90と係合し、以後の上方スライドが規制される。スライドノブ20は、さらに押上げ操作されて第2作動位置までスライド移動でき、このスライド動作によって、トリマーユニット78が連結軸94の周りに回動し、トリマー窓130の外へ突出して使用位置に切換わる。第2作動位置における可動端子128は、モーター9への給電状態をオンし続けているので、振動子15の往復動力は、内刃4と可動トリマー刃81に同時に伝動される。スライドノブ20を第2作動位置から待機位置まで戻すと、モーター9への給電状態がオフされ、トリマーユニット78はトリマーばね95の付勢力で不使用位置へ戻される。
【0095】
本体ケース1の前部上端には、洗浄開口68がエルボ状に形成してある。スライドノブ20が待機位置と、第1作動位置と、第2作動位置の各位置にあるとき、洗浄開口68は閉止蓋部(蓋体)108で常に閉止されている。閉止蓋部108はノブベース105のスライド壁が兼ねている。スライドノブ20を待機位置から洗浄位置へ押下げ操作すると、図15に示すように、閉止蓋部108を洗浄開口68よりも下側へ移動させて、洗浄開口68を開放することができる。この状態で洗浄開口68から毛屑収容室S内へ洗浄水を導入して、毛屑収容室S内の毛屑や皮脂を洗い流すことができる。なお、必要があれば外刃ホルダー6を本体ケース1から分離して、その内面や外刃5の洗浄を行うことができる。
【0096】
上記提案例、実施例においては、装着部19を含むかみそりヘッド2と本体ケース1とが固定されているが、装着部19を含むかみそりヘッド2が本体ケース1に対して上下移動可能かつ、左右傾動可能に設けられていてもよい。また、上記提案例、実施例においては、外刃ホルダー6に対して1つの外刃5を有する構成であるが、外刃ホルダー6の内部に外刃5を逆U字状に保形する外刃枠を別途複数設けて、複数の外刃5を外刃ホルダー6に上下動可能に装着した構成であってもよい。また、本発明は、上記の各実施形態のような往復駆動方式の電気かみそりの適用に限られるものではなく、内刃が横軸まわりに回転する回転式電気かみそりや内刃が縦軸まわりに回転する回転式電気かみそりにも適用できる。
【符号の説明】
【0097】
1 本体ケース
4 内刃
5 外刃
6 外刃ホルダー
S 毛屑収容室
20 操作体(本体ケース)
68 洗浄開口
69,108 蓋体
78 トリマーユニット
94 連結軸
101 トリマーホルダー
104 フロートばね
117 接当部
118 ロック部
120 ロック体
121 ロックばね
122 係合部
123 解除体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図17
図18