(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
さらに表示手段を備え、当該表示手段には、上記演算手段によって演算された結果が表示されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力及び漏洩電流測定装置。
当該電力及び漏洩電流測定装置は、さらに上記演算手段において求められる値のいずれかが所定の値を超えたときに警報を発する警報手段を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電力及び漏洩電流測定装置。
当該電力及び漏洩電流測定装置は、さらに上記演算手段において求められる値のいずれかが所定の値を超えたときに電路を遮断する遮断手段を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電力及び漏洩電流測定装置。
当該電力及び漏洩電流測定装置は、さらに通信手段を備え、当該通信手段は、上記演算手段によって演算された結果を通信するとともに、上記警報を発する限度の値及び前記遮断する限度の値を通信し、さらに、上記限度の値を書き換え記録することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電力及び漏洩電流測定装置。
【背景技術】
【0002】
個人の住宅や集合住宅、さらに事務所棟などの大型の建築物、あるいは複数の住宅や工場が集積した地域などの一定の区域内に、設備として太陽光発電装置など再生可能なエネルギー発生機器を配置し、このエネルギー発生機器により生成される電力等のエネルギーを一定の区域内に設置したエネルギー消費機器に供給し、一定の区域内で消費されない余分な電力は、商用電力供給会社に販売し、不足する電力は商用電力供給会社から供給を受けるようしたしたエネルギー供給システムが用いられている。
【0003】
この種のエネルギー供給システムにあっては、一定の区域内に設置されたエネルギー消費機器を配電線で接続し、情報網により連携することにより、エネルギー消費機器が消費し、又はエネルギー消費機器に供給されるエネルギーの最適化が実現されるように制御する制御機構を備えたものが提案され実用化が図られつつある。このようなエネルギー需給の最適化を実現する制御機構を含むシステムを構成する住宅、大型の建築物などは、スマートハウス、スマートビルと称し、エネルギーの最適化を実現するシステムをスマートグリットと称する。
【0004】
そして、スマートグリットやこのスマートグリットを構成するエネルギー変換機器を含む設備にあっては、電力を含むエネルギーの高い需給効率が維持でき、信頼性を向上し、さらには安全性を確保することも重要な課題である。
【0005】
このため、スマートグリットを構成する設備へのエネルギー需給の最適な運用を図るための機器としてスマートメータと称される電力計がある。そして、このスマートメータが計測した電力や電力量に関する情報を用いて電力の需給の最適な制御を行い、さらに、近年特に重要度が増加した省エネルギーの実現を行っている。
【0006】
また、スマートグリットを構成する設備にとって、信頼性、安全性を損なう事項として、まず、短絡や過負荷による損傷や焼損事故がある。これらの事故は、電流又は電力センサー、温度センサーなどを組合せた多機能センサーを用いることにより、防止又は軽減する技術が確立され実施されている。
【0007】
次に、電力を授受する電路及び電気機器等から構成される設備の信頼性、安全性を損なう事項として、絶縁劣化とこれが進行した接地事故、短絡事故、これら事故に起因する焼損事故があり、これらの漏洩電流に関連する事故として不測の感電事故がある。
【0008】
従来、電路及び設備の絶縁状態を調べる方法として、被測定部分を停電させて、絶縁抵抗計で絶縁抵抗を測定する方法が広く用いられている。このような方法は、停電が許されないスマートグリットや連続操業が要求される工場等への適用ができないばかりか、設備の絶縁状態を連続的に測定することができない。
【0009】
また、設備を構成するエネルギー変換を行う電気機器には、インバータやコンバーター等のダイオードやスイッチング素子等の電気素子を含む電圧周波数変換器が接続されている。この種の電気機器を含む設備の絶縁抵抗を測定するときには、印加される高電圧から電気素子を保護するため、電圧周波数変換器を構成するスイッチング素子等の電気素子を電気機器を含む設備から切り離す必要がある。そのため、停電手続きや、変換器と設備とを接続する結線の開放、再接続などに多くの手間と時間とを必要としている。
【0010】
そこで、電路及び電気機器等から構成される設備の絶縁状態を停電することなく、電路及び設備を監視し、また、故障時に、電路及び電気機器を含む設備を電源から切り離すために、漏電遮断機が広く用いられている。漏洩遮断機は、電路及び電気機器等から構成される設備の対地漏洩電流である零相電流I
0を検出し、検出された零相電流I
0が予め設定した閾値を超えたときには電路を遮断して設備を電源から切り離す。なお、零相電流I
0は、電路及び電気機器等から構成される設備の電圧印加部分と接地部分との間に生ずる対地絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrと、この電圧印加部分と接地部分間に通常存在する対地静電容量を介して流れる漏洩電流Igcとの互いに位相が90度異なる2つの電流のベクトル和で構成されている。
【0011】
ところで、近年、電路及び電気機器等から構成される設備の規模が増大し、しかも複雑化しているため、設備に通常存在する対地静電容量を介して流れる漏洩電流Igcの値も増大している。そのため、零相電流I
0の値は、大きな漏洩電流Igcの値と、絶縁劣化に関わる漏洩電流Igrの値との互いに位相が90度異なったベクトル和である零相電流I
0は、絶縁劣化の際絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrの値が小さい場合、大きな漏洩電流Igcの値と殆ど同じ値になり検出することができず、絶縁劣化の程度を示す小さな漏洩電流Igrの値を時系列的に採取して絶縁破壊事故を予知する予防保全ためのデータの採取が不可能とされている。
【0012】
一方、電力を授受する電路や、電力を光や熱などのエネルギーに変換するエネルギー変換機器、さらにエネルギーを消費する機器やエネルギーを発生する機器等は、周波数を変換し、あるいは交流−直流の変換を行うインバータに代表されるようにスイッチング素子等の電気素子で構成される電圧周波数変換器によって制御されることがある。このような電圧周波数変換器により設備が制御されるときに発生する裁断電流のため、高調波高周波成分を多く含んだ電圧電流波形が発生して電力測定時の誤差の誘因になる。特に、周波数変換を行うスイッチング素子を含む電圧周波数変換回路の出力側の対地電圧は高調波高周波成分が多く、出力側に接続される設備の電圧印加部分と接地部分との間に通常存在する対地静電容量を介して流れる漏洩電流Igcは、高調波高周波成分を多く含む対地印加電圧によって増大し、乱波形となり、零相電流I
0の測定、特に零相電流I
0の成分である電圧印加部分と接地部分間に存在する絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrの測定の障害になっている。
【0013】
また、スイッチング素子等の電気素子で構成された電圧周波数変換器の出力側の対地電圧は、スイッチング素子を含む電気素子の動作によって形成される電流の波形、周波数(以下、この周波数を運転周波数という。)のほか、スイッチング素子等の電気素子で構成された電圧周波数変換器への配電方式によっては、配電電源の周波数(以下、この周波数を商用周波数と称する。)を含むことがあり、この周波数の混在が、電圧印加部分と接地部分との間に存在する絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrの測定を困難なものにしている。
【0014】
ちなみに現在世界的な標準配電方式である三相配電の変圧器の配電側巻線をY形に結線し、その中性点を接地した三相3線又は三相4線のY形配電方式において、三相3線の配電方式の電源では商用周波数の混在はなく、三相4線の配電方式の単相電源からの供給を受けるときはその混在が生ずる。
【0015】
また、現在我が国で実用化されている200V級の三相3線の配電方式において1線が接地されているΔ形配電方式や、単相3線による配電と三相3線による配電を同時に行う配電方式である配電変圧器2台をV形に結線した三相3線のV形配電方式の電源には商用周波数の混在が生ずる。
【0016】
なお、電圧印加部分と接地部分間の絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrを測定する技術は、Δ形配電方式及び単相配電方式を採用した電源から配電される電路及び設備に限って実用化されているが、Y形配電方式やV形配電方式を採用した電源から配電される電路や設備、さらに周波数変換や交流−直流の変換を行うインバータなど電気素子にスイッチング素子を含む変換回路を構成する電圧周波数変換器を使用している設備や、この設備との間で電源の授受を行う電気系統の保護は、漏電遮断器によって電路と設備との間の遮断を行うのみであって、電圧印加部分と接地部分との間の絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrを測定することにより設備や電路の異常を検出するようなことは行われていない。
【0017】
電圧印加部分と接地部分間の絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrを計測する技術として、特開2008−170330号公報(特許文献1)に開示されたものがある。
【0018】
一方、上述した各種の配電方式で配電される電力を計測する技術はすでに確立され、実用化されている。即ち、複数の配電線のうち1本少ない配電線の電流と、この電流と同じ数の電圧とをそれぞれ組合せ、その組み合わせた電流と電圧の瞬時値を乗算し、その値を平均化することにより、この電流と電圧の組合せの電力を計算し、互いに組み合わせられる電流と電圧の各組合せにより得られる電力の合計を全体の電力として算出する。例えば、三相3線を採用した配電方式による配電線の全電力は、2つの電力計で計測しこれを合計することにより得られる。
【0019】
また、近年実用化の研究が行われ、実用化が推進されているスマートグリットは、関連した設備の電力を計測し、その計測したデータを遠隔した場所に設置した管理制御システムに送信し集計し、得られたデータに基づいて遠隔制御されるスマートメータを個別の設備ごとに、又は複数の設備を集合した単位区域ごとに設置し、各スマートメータから得られるデータを一つの条件として、スマートグリッドの全体、さらには、スマートグリッドを構成する個別の電気機器や単位区域内の設備の集合体へのエネルギーの需給が最適条件となるように制御している。
【0020】
さらに、受電設備への配電が行われる電路の途中に設けた遮断器や、大型の建築物や個人住宅に設置した空調機など負荷設備や発電設備毎に設置される遮断器と、電力計とを一体化し、さらには計測したデータの通信機能を付加して多機能化を図った複合計測装置を設置することにより、各電路や各設備ごとの消費電力やその需要電力、さらには発電設備の発生電力を把握することにより、各設備における消費電力の削減を図るようにした技術が提案されている。
【0021】
ところで、上述した電力計と、電圧印加部分と接地部分との間に発生する対地絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrを検出する装置とを組み合わせた電力絶縁監視装置が実用化されている。この装置は、主として電気需要家の配電用キュービクルに設置し、配電設備全体を監視するものであるが、漏洩電流Igrの検出は単相又はΔ形配電方式を対象としたものであって、Y形配電方式では、零相電流I
0を漏洩電流Igrとして検出するようにしたものであり、設備の電圧印加部分と接地部分との間の絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrを正確に計測することができない。また、この装置は、複雑な構成を備え、高価であるので、電力を消費し、又は電力を発生する機器等から構成される設備ごとに設置するためには適さないばかりか、構成電気素子にスイッチング素子を用いたインバータなどの電圧周波数変換器が使用されている設備、配電系統の漏洩電流Igrの計測は困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0023】
本発明は、電力を授受する電路やエネルギー変換機器、エネルギーを消費しあるいは発生する機器等から構成される設備の電力と、電圧印加部分から接地部分へ対地絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrを運転状態のままで検出することができる電力及び漏洩電流の測定装置並びにその測定方法を提供することを目的とする。
【0024】
また、本発明は、電力の測定装置と電圧印加部分から接地部分へ対地絶縁抵抗を通じて流れる漏洩電流Igrの測定装置とを一体の構成とした測定装置並びにその測定方法において、周波数変換を行い、あるいは交流−直流の変換を行うインバータなどの構成電気素子にスイッチング素子を含む変換回路を構成する電圧周波数変換器が使用されている装置、配電系統の漏洩電流Igrの測定も可能とする電力及び漏洩電流の測定装置並びにその測定方法を提供することを目的とする。
【0025】
さらに、本発明は、単相又は三相3線のΔ配電方式に加えて、Y形配電方式やV形配電方式を採用した電路や設備に生ずる漏洩電流Igrの測定を可能とする電力及び漏洩電流の測定装置並びにその測定方法を提供することを目的とする。
【0026】
さらにまた、本発明は、構成部品点数の削減を図りながら、測定の信頼性を向上した電力及び漏洩電流の測定装置並びにその測定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上述したような目的を達成するために提案される本発明に係る電力及び漏洩電流の測定装置並びにその測定方法は、個々の機器や設備、さらに、個人の住宅、集合住宅や事務所棟などの大型の建築物、あるいは複数の住宅や工場が集積した地域などの一定の区域内に設置された設備に供給される電力を測定し、この設備の電圧印加部分と接地部分との間の絶縁抵抗を介して流れる漏洩電流Igrを測定することによって上記の技術課題を解決する。
【0028】
上記技術課題を解決するために提案される本発明は、配電変圧器の2次側巻線をY形に結線したY形配電方式、Δ形に結線したΔ形配電方式及びV形に結線したV形配電方式を
用いた電源より配電される電路及び設備の電力並びに対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流Igrを測定する電力及び漏洩電流の測定装置であって、上記Y形配電方式の電源は、上記2次側巻線の中性点Nを接地し、電圧端子R,S,Tにそれぞれ配電線4
R,4
S,4
Tを接続した三相3線式又は上記電圧端子R,S,Tと上記中性点Nにそれぞれ配電線4
R,4
S,4
T,4
Nを接続した三相4線式の電路及び設備に配電し、上記Δ形配電方式は、電圧端子R,S,Tにそれぞれ配電線4
R,4
S,4
Tを接続し、上記電圧端子Sに接続される配電線4
Sを接地線とした三相3線式の電路及び設備に配電し、上記V形配電方式は、単相と三相を共用する配電方式であって、接地された中性点Nと電圧端子R,Tにそれぞれを配電線4
R,4
T,4
Nを接続し単相3線式で上記電路及び設備に配電し、又は、電圧端子T,Sを備えた単相配電変圧器を上記電圧端子Tで接続し、電圧端子R,S,Tにそれぞれ配電線4
R,4
S,4
Tを接続して三相3線式の電路及び設備に配電する上記電路及び設備の電力及び漏洩電流を測定する。この測定装置は、上記いずれかの配電方式の電源から配電される電路の線間電圧を測定する電圧検出手段と、上記いずれかの配電方式の電源から設備に配電される設備電流を測定する設備電流検出手段と、測定対象の電路及び設備に接続される配電線に流れる電流のベクトル和である零相電流I
0を測定する零相電流検出手段と、上記線間電圧と設備電流とから設備電力を算出する設備電力検出手段と、上記電圧検出手段により検出される1つの線間電圧を基準電圧Eとし、この基準電圧Eと零相電流I
0の位相を比較する位相比較手段と、上記基準電圧Eに対して、上記零相電流I
0を同相の有効成分Aとこれと直角の位相差を有する無効成分Bに分離して各成分の計測値を求め、零相電流I
0と零相電流I
0の有効成分Aとこれと直角の位相差を有する無効成分Bとに基づいて電路及び設備の対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流Igrの値を演算する演算手段とを備える。
【0029】
本発明に係る電力及び漏洩電流の測定装置の設備電力検出手段は、1つの線間電圧と1本の配電線を流れる電流とから設備電力を計測する。この設備電力は、三相3線の配電では1相の電流と他の2相間の電圧の瞬時値の積を平均化し、次いで、この平均化した値を√3倍して3相無効電力を求め、次に、ある1相の電流と他の2相間の電圧の実効値の積を√3倍して3相皮相電力を求め、この3相皮相電力の2乗から3相無効電力の2乗を減じた値を開平して求めることができる。
【0030】
そして、本発明に係る電力及び漏洩電流の測定装置は、対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流Igrを演算する演算手段を備える。この演算手段は、交流電源から配電される設備の対地漏洩電流である零相電流I
0と電力測定のために入力した線間電圧とから漏洩電流Igrを求める。さらに、本発明に係る装置は、表示装置を備え、設備電力検出手段により測定された設備電力と、演算手段により求められた漏洩電流Igrを表示部に表示する。さらにまた、本発明に係る装置は、通信手段を備え、検出された設備電力及び漏洩電流Igrの値を所望の箇所に伝送する。
【0031】
さらにまた、本発明に係る電力及び漏洩電流の測定装置は、設備電力又は漏洩電流Igrのいずれ一方が設定された閾値を超えたことが演算手段により検出された場合には、この演算手段から警報信号が出力され、警報装置が動作され音や光などによる警報を発する。さらに、配電線の途中に漏電遮断器が設けられ、設備電力又は漏洩電流Igrのいずれ一方が設定された閾値を超えたことが演算手段により検出された場合には、遮断信号が出力されて漏電遮断器を動作させ、電路の遮断を行う。
【0032】
なお、警報装置や漏電遮断器を動作させる制御信号は、設備電力や漏洩電流Igrの情報が伝送される遠隔地に接地した制御装置から出力するようにしてもよい。
【0033】
本発明に係る測定装置の演算手段は、従来実用化されている三相3線のΔ配電方式を採用した電路及び設備に生ずる漏洩電流Igrを、3相のうちの接地相とされているS相以外のR相とT相との間の線間電圧E
TRに基づいて測定する。すなわち、本発明に係る装置は、上記線間電圧E
TRを測定の基準電圧Eとし、入力された3相の電流のベクトル和である零相電流I
0の基準電圧Eと同相の成分である有効成分Aの値と、基準電圧Eと直角方向の成分である無効成分Bの値とを求める。そして、少なくともスイッチング素子を含む電圧周波数変換器が介在されていないときは、無効成分Bの値の約1.2倍の値を漏洩電流Igrの値として演算する。
【0034】
上記有効成分A及び無効成分Bの値は、入力された基準電圧Eと零相電流I
0の瞬時値の位相差や、基準電圧Eと零相電流I
0との間に存在する有効電力若しくは無効電力を測定することによって求めることができる。
【0035】
また、本発明に係る測定装置は、Y形配電方式やV形配電方式を採用した電路及び設備に生じる漏洩電流Igrを測定することができる。
【0036】
Y形配電方式の電路及び設備に生じる漏洩電流Igrは、R,S,Tの各相間の線間電圧E
SR,E
TS,E
RTのうち設備電力の検出のために検出した1つの電圧を基準電圧Eとし、零相電流I
0の有効成分Aの値の絶対値の2/√3倍若しくは無効成分Bの値のうちの大きい方の値を漏洩電流Igrの値として演算する。
【0037】
V形配電方式においては、中性点Nで接地され電圧端子R,Tを持つ単相3線のうちのN相とR相間の電圧E
NRを基準電圧Eとしたとき、零相電流I
0の有効成分Aの値の絶対値をR相若しくはT相に生じた漏洩電流Igrの値として演算し、無効成分Bの値の絶対値を三相電圧線R,T,S相うちのS相の漏洩電流Igrの値として演算する。
【0038】
さらに、本発明に係る測定装置は、従来の装置では計測が困難とされているスイッチング素子等の電気素子を含む電圧周波数変換器を経由する電路及び設備に発生する漏洩電流Igrの計測を以下に述べるように実行する。
【0039】
すなわち、Δ形配電方式、Y形配電方式、V形配電方式、さらに単相3線配電方式の電源から50Hz又は60Hzの商用周波数の電力が配電される単相及び三相の配電線に、スイッチング素子等の電気素子を含む電圧周波数変換器を介して接続された交流及び直流設備の対地電圧は、商用周波数の電流が流れる単相及び三相の配電線の電気的中性点Mの対地電圧Enと、スイッチング素子等の組合せ回路によって発生される運転周波数を持つ相電圧Eaの多相交流電圧若しくは直流正負極間電圧の半分の直流電圧+Edと−Edとが重畳した対地電圧である。
【0040】
さらに説明すると、単相及び三相の配電線の交流電圧は、スイッチング素子等の電子素子によって一旦直流電圧に整流され、この直流電圧の電気的中性点を中心に運転周波数を持つ相電圧Eaの多相交流電圧若しくは直流正負極間電圧の半分の直流電圧Edに変換される。ここで生成される相電圧Eaの多相交流電圧や直流電圧Edの電気的中性点が商用周波数を持つ単相及び三相配電線の電気的中性点Mと一致することになり、スイッチング素子等の電気素子を経由した設備の対地電圧は、対地電圧Enと運転周波数を持つ相電圧Ea若しくは直流電圧+Edと−Edとが重畳した電圧となる。
【0041】
したがって、上述の配電方式の単相及び三相の配電線及びこの配電線に接続された交流及び直流設備に存在する対地絶縁抵抗及び対地静電容量には、上述の対地電圧Enと相電圧Ea若しくは直流電圧+Edと−Edとが重畳した対地電圧が印可され、対地漏洩電流である零相電流I
0が流れ、上記対地電圧と零相電流I
0との関係は、重畳の理を応用したベクトル記号法によって演算される。すなわち、対地漏洩電流である零相電流I
0は、負荷設備の各相の対地絶縁抵抗及び対地静電容量を一括した回路に商用周波数の対地電圧Enを印可したときの電流と、運転周波数を持つ相電圧Eaの多相交流電圧若しくは直流正負極間電圧の半分の直流電圧Edを負荷設備各相の対地絶縁抵抗及び対地静電容量に印可したときの電流とを重畳させて演算することによって求められる。
【0042】
ところで、通常、交流設備を駆動する電流の運転周波数は60Hz以下で、この範囲以外の周波数での運転は短時間か特殊な運転状態に限られ、運転電圧も運転周波数が60Hz時は定格電圧にほぼ等しく、運転周波数にほぼ比例して低下する。これら運転周波数の電圧を商用周波数の対地電圧Enに重畳させれば、瞬時値は両電圧の瞬時値の和の最大値と差の最小値との間を両周波数の近傍の値で脈動しながら周期的に変動し、最大値付近の波形は商用周波数である対地電圧Enの波形と殆ど同じで対地漏洩電流である零相電流I
0の波形もこの対地電圧の波形に比例するので、零相電流I
0と基準電圧Eとの位相差の測定が可能である。
【0043】
したがって、零相電流I
0の最大値付近の波形の基準電圧Eとの位相差を測定し、零相電流I
0の有効成分A、無効成分Bの値が演算される。
【0044】
しかも、商用周波数の対地電圧Enと、運転周波数を持つ相電圧Eaと、直流電圧+Edと−Edと、入力される線間電圧である基準電圧Eとは、配電方式毎に定まった関係があり、また対地漏洩電流である零相電流I
0は、各配電方式の配電変圧器付近の接地点から商用周波数を持つ単相及び三相配電線、スイッチング素子等の電気素子を組み合わせて構成した電圧周波数変換器を経由して対地漏洩点から配電接地点へと還流し、基準電圧Eは設備電力の測定の際の電圧要素でもあるので、商用周波数を持つ単相及び三相配電線での設備電力の測定と対地漏洩電流Igrの測定とは同じ場所で両方の測定を組み合わせた一つの装置で行うことができる。
【0045】
上述したように、商用周波数を持つ単相及び三相配電線から、周波数変換を行いあるいは交流−直流の変換を行うインバータなど構成電気素子にスイッチング素子を含む電圧周波数変換器を経由して設置される設備に発生する対地漏洩電流Igrは、対地電圧Enの値として基準電圧の√3分の1の値を持つ三相Δ配電方式及び三相V配電方式では、零相電流I
0の有効成分Aの値として演算され、三相Y配電方式では零相電流I
0の値として演算され、対地電圧Enの値として基準電圧の2分の1の値を持つ一線が接地された単相配電方式では有効成分Aの値として演算され、中性点が接地された単相三線配電方式で電圧相での配電方式では零相電流I
0の値として演算され、直流設備では零相電流I
0の有効成分Aの絶対値の値として演算される。
【0046】
ところで、零相電流I
0の有効成分A、無効成分Bの値から漏洩電流Igrの導出にあたっては、まずベクトル記号法を用いた数式での演算を行い、その演算結果を実験で確認する。例えば、従来測定が困難とされていたV形配電方式における漏洩電流Igrを検出し演算する例を説明する。
【0047】
V形配電方式は、中性点Nで接地された電圧端子R,Tの単相配電変圧器で単相3線配電方式を形成すると同時に、電圧端子T,Sを備えた単相配電変圧器と電圧端子Tで接続し、電圧端子R,S,Tに三相電圧が発生するように三相配電線を接続し三相配電も行う。
【0048】
そして、接地点となる中性点Nに対する電圧端子R,S,Tの対地電圧をそれぞれE
R,E
S,E
Tとし、これら対地電圧のうちの1つの対地電圧E
Rを基準電圧Eとしたとき、上記対地電圧E
R,E
S,E
Tをベクトル記号法で表すとE
R=E、E
T=−Eと表され、対地電圧E
Sは基準電圧Eより90度位相が遅れ、大きさは√3倍であるので、E
S=−j√3Eと表すことができる。
【0049】
ところで、R,S,Tの各相の各配電線にはそれぞれ対地漏洩コンダクタンスg
R,g
S,g
Tと、対地静電容量C
R,C
S,C
Tとが存在する。そして、配電線を流れる電流の周波数をf、2πf=ωとしたとき、R,S,Tの各相の対地漏洩電流I
R,I
S,I
Tは、それぞれ以下の各式に示すように表される。
I
R=(g
R+jωC
R)E
I
T=−(g
T+jωC
T)E
I
S=−j√3(g
S+jωC
S)E=(√3ωC
S−j√3g
S)E
そして、零相電流I
0は、対地漏洩電流I
R,I
S,I
Tの合計であるので、下記の式のように示すことができる。
I
0=(g
R−g
T+√3ωC
S)E+j{ω(C
R−C
T)−√3g
S}E
ここで、対地静電容量は、バランスしたものと取り扱うことにより、C
R=C
Tとなり、零相電流I
0は、以下の式で示すことができる。
I
0=(g
R−g
T+√3ωC
S)E−j√3g
SE
そして、零相電流I
0の有効成分Aは、上記式の実数部分である。すなわち、有効成分Aは、A=(g
R−g
T+√3ωC
S)Eで示され、無効成分Bは、B=j√3g
SEで示される。
【0050】
V形配電方式を用いた電源の配電範囲は、他の配電方式に比し狭いため、この配電線に存在する対地静電容量も小さい。そのため、零相電流I
0の有効成分Aのうち√3ωC
Sの値は、対地漏洩コンダクタンスg
R,g
S,g
Tとの値に比し十分に小さいものであるので、有効成分Aの絶対値はR相又はT相の対地漏洩電流Igrの値となり、無効成分Bの絶対値はS相の対地電圧が他相の√3倍であることからS相の対地漏洩電流Igrの値を示していることがわかる。
【0051】
次に、接地された中性点N及びR相から線間電圧E
Rを基準電圧Eとして単相配電を行うときには、R相の対地漏洩電流I
Rは、(g
R+jωC
R)Eであり、N相の対地漏洩電流はほぼ0であるので、R相とN相の対地漏洩電流の合計である零相電流I
0は、以下の式で示される。
I
0=I
R=g
RE+jωC
RE
そして、零相電流I
0の有効成分Aは、上記式の実数部分であり、A=g
REで示され、上記有効成分Aの値は、R相の対地漏洩電流Igrの値となる。
【0052】
また、R相とT相から単相配電を行うときは、R相の対地電圧E
RをEとしたとき、T相の対地電圧E
Tは−Eで示され、R相の対地漏洩電流I
Rは下記の式で示され、
I
R=(g
R+jωC
R)E
相の対地漏洩電流I
Tは、下記の式で示される。
I
T=−(g
T+jωC
T)E
そして、零相電流I
0は、R相とT相の対地漏洩電流の合計であり、以下の式で示される。
I
0=(g
R−g
T)E+jω(C
R−C
T)E
零相電流I
0の有効成分Aは、上記式の実数部分であり、A=(g
R−g
T)Eとなり、この有効成分Aの絶対値は、R相又はT相の対地漏洩電流Igrの値となる。
【0053】
また、単相又は三相3線のΔ配電方式、Y形配電方式、周波数変換や、交流−直流の変換を行うインバータなどの構成電子素子にスイッチング素子を含む電圧周波数変換器を介在させた配電方式においても、上述したような演算方法とほぼ同様に零相電流I
0の有効成分A及び無効成分Bの値から対地漏洩電流Igrの値を演算し導出することができる。
【発明の効果】
【0054】
本発明は、近年特に重要度が増加した省エネルギーに関連し、かつ過負荷や漏電等に起因する災害や停電事故を防止する必要のある機器や配電線等の設備の電力を計測して集計し、この集計した情報を情報処理装置に伝送し、記録することにより、電力供給の最適制御や省エネルギー対策の情報として利用し、これらの設備の電力が設定された閾値を超えたときに電力の供給を遮断し、消費電力の超過を防止できる。
【0055】
そして、本発明は、設備の故障による過負荷が生じた場合には、設備への電力の供給を遮断するので、設備の損傷を確実に防止できる。
【0056】
さらに、本発明は、設備の電圧印加部分から接地部分へ対地絶縁抵抗を通じて流れる漏洩電流Igrを運転状態のまま計測しているので、設備の絶縁状態を常時監視することができ、しかも、漏洩電流Igrのデータを時系列データとして取得することができるので、このデータの利用して設備の故障を事前に予防し保全することができる。
【0057】
さらに、常時監視している漏洩電流Igrが設定された閾値を超えたときには、設備を電路から遮断することにより事故の拡大を防止することもできる。
【0058】
すなわち、本発明は、電力のみを管理の対象とする従来のスマートメータに、予防保全、故障遮断などの信頼性管理、過負荷による過熱事故、漏電事故、感電事故防止などの保安業務を付加した新規な電力及び漏洩電流測定装置を実現できる。
【0059】
本発明が適用された電力及び漏洩電流測定装置は、あらゆる産業設備、集合住宅や事務所棟などの大型の建築物、個人の住宅等に設置したあらゆるエネルギー変換設備に設置され、消費電力や発生電力を把握し、最適制御のデータとして節電のための改善を容易にし、かつ漏洩電流Igrの時系列的なデータから、絶縁劣化の程度の推定が可能となり、事故の発生を未然に防ぐ予防保全が可能にするとともに、過負荷による過熱事故や漏電事故、それらの事故による火災や感電事故などを防止することができる。
【0060】
さらに、本発明は、電力及び漏洩電流Igrの測定に必要な電圧の入力数を一つにしたことにより、電力及び漏洩電流測定装置の小形、軽量化を実現し、製造原価の低減を図るとともに、電力及び漏洩電流Igrの測定の高信頼度化が実現され、さらに、従来漏洩電流Igrの測定ができないか不完全とされていた配電方式の配電線、設備、加えて周波数変換を行い、あるいは交流−直流の変換を行うインバータなどの構成電気素子にスイッチング素子を含む電圧周波数変換器を介して設置される設備等への適用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0062】
以下、本発明を適用した電力及び漏洩電流測定装置及びその測定方法の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0063】
図1は、配電変圧器の低圧側の三相巻線をΔ形に結線したΔ形配電方式に本発明に係る電力及び漏洩電流測定装置を適用した一例を示す概略系統図である。Δ形配電方式は、配電変圧器の低圧側の三相巻線をΔ形に結線した電源から配電される200V級三相3線の配電方式で、従来国内で広く用いられている方式であって、漏洩電流Igrの測定技術も各種のものが実用化されている。
【0064】
本発明に係る漏洩電流測定装置が適用される三相3線のΔ形配電方式は、
図1に示すように、三相の配電変圧器の低圧側をΔ形に結線された巻線1を備える。この巻線1は、三相の接続線である配電線4(4
R,4
S,4
T)を介してエネルギー変換設備である負荷設備や発電設備、蓄電設備などの設備5に接続されている。
【0065】
本実施の形態の巻線1は、Δ形を構成するように結線された3つの巻線を有し、これら巻線の一方の端子である三相の電圧端子R,S,Tをそれぞれ三相の配電線4(4
R,4
S,4
T)に接続している。三相の電圧端子R,S,T中の端子Sは、接地線8を介して接地点G点に接続されるとともに、配電線4
Sに接続されている。
【0066】
そして、三相の配電線4のうちの1の配電線4
Sに流れる設備5に起因する設備電流I
Sは、変流器11を介して信号処理部3に入力される。また、三相の巻線1を構成する各巻線の端子である電圧端子R,S,T間に発生する線間電圧は、それぞれ配電線4
R,4
S,4
Tを介して設備5に印可されるとともに、電圧端子Rと電圧端子Tとの間に発生する線間電圧E
TRは信号処理部3に入力される。また、対地漏洩電流である零相電流I
0は、零相変流器9を介して信号処理部3に入力される。
【0067】
そして、本発明に係る電力及び漏洩電流測定装置は、
図1に示すように、信号処理部3と、信号処理部3で検出された設備電流、線間電圧、零相電流に基づいて設備電力及び対地絶縁抵抗に基づく漏洩電流Igrを演算する演算部14と、この演算部14により算出された情報を表示部や警報器、さらには漏電遮断器に出力し、さらには外部の情報処理装置に出力する表示並びに外部インターフェース部15とを有する処理演算部16を備える。
【0068】
信号処理部3は、
図2に示すように、零相電流I
0が入力端子30aを介して入力される零相電流検出器30と、配電線4
Sに流れる設備5に起因する設備電流I
Sが変流器11により設備電流検出器31の動作に適した電流値に変流されて入力端子31aから入力する設備電流検出器31と、線間電圧E
TRが入力端子33aを介して入力される電圧検出器33とを備える。
【0069】
設備電流検出器31は、変流器11により変流された電流を設備電流I
Sに比例し、演算部14の動作に適した電圧に変換する抵抗器や、ローパスフィルタなどで構成されている。
【0070】
また、電圧検出器33は、数百ボルト若しくはそれ以下の線間電圧E
TRを所定の電圧レベルに降圧する配電変圧器や又は絶縁回路を持った分圧器を備える。さらに、電圧検出器33には、検出される電圧の高周波ノイズを低減し、波形等の特性を改善するローパスフィル等の電気素子が設けられている。
【0071】
そして、演算部14は、設備電流検出器31により検出された設備電流I
Sの瞬時値と、電圧検出器33により検出された線間電圧E
TRの瞬時値とを組合せ乗算する乗算器41と、この乗算器41により乗算された無効電力に比例する交流の脈動値を平均化する平均器42を備える。さらに、演算部14は、設備電流検出器31により検出された設備電流I
Sの瞬時値から実効値を求める実効値変換器32と、電圧検出器33により検出された線間電圧E
TRの瞬時値から実効値を求める実効値変換器34と、上記実効値変換器32で求められた設備電流I
Sの実効値と、上記実効値変換器34により求められた線間電圧E
TRの実効値とを組合せ乗算する乗算器41bとを備える。また、演算部14は、交流の脈動値を平均器42により平均した三相無効電力値を√3で除した値に相当するQの値と、乗算器41bで乗算された三相皮相電力値を√3で除した値に相当するVAの値とをそれぞれ自乗し、合計し、開平した値の√3倍の値を配電線4を通過し設備5に起因する三相設備電力Wの値として算出する加算器43とを備える。加算器43で算出された三相設備電力Wは、表示並びに外部インターフェース部15に出力される。
【0072】
また、演算部14には、加算器43によって算出された三相設備電力Wと、入力端子45aを介して入力される設備の予め設定された電力の閾値とを比較し、三相設備電力が閾値を超えたときには、電力の超過情報を表示並びに外部インターフェース部15に出力する比較器45が設けられている。
【0073】
さらに、演算部14は、信号処理部3へ基準電圧Eとして入力された線間電圧E
TRと零相電流I
0との位相差を検出位相差検出器40と、零相電流I
0の基準電圧Eとされる線間電圧E
TRと同相の成分である有効成分Aと、基準電圧Eと直角方向の成分である無効成分Bの値を求め、これら有効成分Aと無効成分Bに基づいて対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流Igrを演算する演算器44を備える。なお、入力端子45aから入力される電力の閾値は、表示並びに外部インターフェース部15に出力される。
【0074】
さらにまた、演算部14には、演算器44により検出された漏洩電流Igrと、入力端子46aを介して入力される予め設定された漏洩電流Igrの閾値とを比較し、検出された漏洩電流Igrが閾値を超えたときには、漏洩電流Igrの超過情報を表示並びに外部インターフェース部15に出力する比較器46が設けられている。
【0075】
表示並びに外部インターフェース部15は、演算部14から出力された三相設備電力W及び閾値電力の値、漏洩電流Igrの値及び閾値漏洩電流Igrの値を表示部20に出力し、これら値を表示部に表示する。また、表示並び外部インターフェース部15は、三相設備電力Wの値が閾値電力の値を超えたとき、さらに、漏洩電流Igrの値が閾値漏洩電流Igrの値を超えたとき、警報情報を警報器や漏電流遮断器を動作させる制御信号を出力し、その制御信号に基づいて警報器21を動作し、音や光による警報を発し、さらには漏洩電流遮断器を動作させて電路の遮断を行うことができる。
【0076】
上述したような構成を備えた電力及び漏洩電流測定装置により、配電変圧器の低圧側の三相巻線をΔ形に結線した三相3線のΔ形配電方式を採用した配電系統の電力を測定し、対地絶縁系統に起因する漏洩電流Igrを検出する状態を説明する。
【0077】
まず、三相の配電線4(4
R,4
S,4
T)を通過し、エネルギー変換設備である負荷設備や発電設備、蓄電設備などの設備5に起因する設備電力Wを測定する方法について説明する。
【0078】
設備電力Wを測定するには、配電線4
Sを流れる設備電流I
Sを信号処理部3の設備電流検出器31により検出する。この設備電流I
Sは、変流器11により設備電流検出器31の動作に適した電流値に変流され、この変流された成分が入力端子31aを介して設備電流検出器31に入力される。この設備電流検出器31に入力された設備電流I
Sの変流成分は、設備電流検出器31に設けた抵抗器により設備電流I
Sに比例する電圧に変換され、設備電流I
Sの周波数帯域以外の周波数成分がローパスフィルタにより低減されて出力される。
【0079】
この設備電流I
Sの検出とともに、三相の巻線1を構成する各巻線の電圧端子R,S,Tのうちの端子RとTとの間に発生する発生する線間電圧E
TRを信号処理部3の電圧検出器33により検出する。電圧検出器33に入力さる数百ボルト程度の線間電圧E
TRは、電圧検出器33に設けた変圧器により、IC回路を備える演算部14での処理を可能とする電圧レベルまで降下される。本実施の形態では、5V程度まで降下される。また、線間電圧E
TRの周波数帯域化の周波数成分は、電圧検出器33に設けたローパスフィルタにより低減されて出力される。
【0080】
そして、設備電流検出器31と電圧検出器33により所定の電圧レベルに降下され、それぞれの周波数帯域以外の周波数成分が低減された設備電流I
Sの検出成分と線間電圧E
TRの検出成分は、演算部14の乗算器41に入力される。乗算器41に入力された低減された設備電流I
Sの検出成分の瞬時値と線間電圧E
TRの検出成分の瞬時値は互いに組み合わせられて乗算され、交流の脈動値として平均器42に入力される。平均器42に入力され平均化される交流の脈動値は、三相無効電力値を1/√3で除した値に相当するQの値として出力される。
【0081】
また、設備電流I
Sの検出成分の瞬時値と線間電圧E
TRの検出成分の瞬時値は、それぞれ実効値変換器32,34に入力され実効値に変換される。そして、実効値変換器32,34により実効値に変換された設備電流I
Sの検出成分と線間電圧E
TRの検出成分は、乗算器41bに入力されて乗算される。乗算器41bにより乗算された設備電流I
Sの検出成分と線間電圧E
TRの検出成分は、三相皮相電力値を1/√3分で除した値に相当するVAの値として出力される。
【0082】
平均器42により平均化され、上記Qの値として出力される設備電流I
Sの検出成分の瞬時値と線間電圧E
TRの検出成分の瞬時値は、加算器43に入力され自乗される。また、乗算器41bにより乗算され上記VAの値として出力される設備電流I
Sの検出成分と線間電圧E
TRの検出成分も、加算器43に入力され自乗される。これら自乗された値は、加算器43で加算される。この加算器43は、加算した値を開平し、この開平した値の√3倍の値を配電線4を通過し設備5に起因する三相の設備電力Wの値として算出する。
【0083】
加算器43により検出された設備電力Wの情報は、表示並びにインターフェース部15に出力される。表示並び外部インターフェース部15に入力された設備電力Wの情報は、外部インターフェース15aを介して表示部20に出力され、表示部20にその値が表示される。また、設備電力Wの情報は、外部インターフェース15aを介して設備5を制御する制御機構の制御部や情報の記録部に伝送され記録される。
【0084】
ところで、配電線4には電圧印加部分から接地部分へ対地静電容量6や対地絶縁抵抗7を通じて対地漏洩電流である零相電流I
0も流れるが、零相電流I
0は、設備5に起因する設備電流I
Sよりはるかに小さいので、設備電力Wの測定に当たっては無視することができる。
【0085】
次に、配電線4に関連する電圧印加部分から接地部分へ対地絶縁抵抗7を通じて流れる漏洩電流Igrの測定について説明する。
【0086】
本発明に係る電力及び漏洩電流測定装置は、設備電力Wを測定するために信号処理部3の電圧検出器33に入力される線間電圧E
TRを、漏洩電流Igrを測定する際の基準電圧Eとし、信号処理部3の零相電流検出器30に入力された3相の電流のベクトル和である零相電流I
0の基準電圧Eと同相の成分、つまり有効成分Aの値を求め、基準電圧Eと直角方向の成分、つまり無効成分Bの値を求め、これ有効成分Aの値と無効成分Bの値から漏洩電流Igrを測定する。以下、漏洩電流Igrの測定の方法を説明する。
【0087】
本発明に係る電力及び漏洩電流測定装置は、三相の各配電線4
R,4
S,4
Tに流れる電流のベクトル和である零相電流I
0を検出する零相変流器9を介して処理演算部16を構成する信号処理部3の零相電流検出器30に入力する。
【0088】
なお、三相の電圧端子R,S,T中の端子Sは、接地線8を介して接地点G点に接続され接地されるとともに配電線4
Sに接続されている。
【0089】
また、三相の配電線4
R,4
S,4
T及びこれら配電線4
R,4
S,4
Tに接続された設備5には、
図1に示すように、対地静電容量6であるC
R,C
S,C
Tが存在する。具体的には、3相のうちの電圧端子Rと設備5とを接続する配電線4
R及び設備5のR相には対地静電容量C
Rが存在し、電圧端子Tと設備5とを接続する配電線4
T及び設備5のT相には対地静電容量C
Tが存在する。また、三相3線のΔ形配電方式では、3相のうちの接地されているS相の対地電圧がほぼ0であるので、S相の対地漏洩電流は省略し、R相及びT相の配電線4
R,4
T及び設備5のR相、T相の静電容量C
R,C
Tには、常時、対地漏洩電流Igc
R,Igc
Tが流れ、三相の配電線4
R,4
S,4
T及びそれらに接続された設備5には対地漏洩コンダクタンスであるg
R,g
S,g
Tが生じることがあり、対地漏洩コンダクタンスg
R,g
Tに漏洩電流Igr
R,Igr
Tが流れることがある。
【0090】
そして、配電線4
R及び設備5に生じた対地静電容量C
Rを流れる対地電流Igc
R、配電線4
T及び設備5に生じた対地静電容量C
Tを流れる対地電流Igc
T、配電線4
R及び設備5に生じた対地漏洩コンダクタンスg
Rを流れる対地電流Igr
R、配電線4
T及び設備5に生じた対地漏洩コンダクタンスg
Tを流れる対地電流Igr
Tの各電流のベクトル和である零相電流I
0が接地線8を経由して三相巻線1の電圧端子Sに帰還されるとともに零相変流器9を介して信号処理部3の零相電流検出器30に入力される。
【0091】
ここで、配電変圧器の低圧側の三相巻線をΔ形に結線したΔ配電方式の系統で発生する対地絶縁抵抗7に起因する漏洩電流Igrの測定方法及びその原理について説明する。
【0092】
図1に示す配電変圧器の低圧側の三相巻線をΔ形に結線された三相3線配電方式の配電系統図において、接地された電圧端子Sに対して電圧端子R,端子Tに発生する対地電圧であり線間電圧であるE
SR,E
STはベクトルによって
図3のように示すことができる。
【0093】
ここで、本発明に係る電力及び漏洩電流測定装置の処理演算部16に入力される測定の基準になる基準電圧Eは、R相のT相に対する線間電圧E
TRに相当するので、
図4に示すように、線間電圧E
TRである基準電圧Eは、横軸である実数軸上で基準ベクトルEとして表される。
【0094】
まず、R相の対地電圧である線間電圧E
SRは、線間電圧E
TRである基準電圧Eより位相角が60度進んでおり、cos60度は0.5,sin60度は0.5√3であることから、ベクトル記号法により下記の式(1)のように示すことができる。
E
SR=0.5E+j0.5√3E ・・・(1)
同様にT相の対地電圧である線間電圧E
STは、基準電圧Eより位相角が120度進んでいるので、同じくベクトル記号法により下記の式(2)のように示すことができる。
E
ST=−0.5E+j0.5√3E ・・・(2)
R相の配電線4
R及び設備5に生じた対地静電容量C
Rを流れる対地電流Igc
R、T相の配電線4
T及び設備5に生じた対地静電容量C
Tを流れる対地電流Igc
Tは、2π×商用周波数(50Hz又は60Hz)を角周波数ωとすると、下記の式(3)、(4)で示すことができる。
Igc
R=jωC
RE
SR=−0.5√3ωC
RE+j0.5ωC
RE ・・・(3)
Igc
T=jωC
TE
ST=−0.5√3ωC
TE−j0.5ωC
TE ・・・(4)
そして、端子Rに接続されたR相の配電線4
R及び設備5、T相の配電線4
T及び設備5にそれぞれ対地漏洩コンダクタンスg
R,g
Tが存在するとすれば、対地漏洩コンダクタンスg
R,g
T中を流れる漏洩電流IgrR,IgrTは、下記の式(5)、(6)で示すことができる。
Igr
R=0.5g
RE+j0.5√3g
RE ・・・(5)
Igr
T=−0.5g
TE+j0.5√3g
TE ・・・(6)
配電線4
R,4
S,4
Tに流れる電流のベクトル和である零相電流I
0は、中性点Nと接地点Gとの間を接続する接地線8に流れる電流と等しく、前記式(3)、(4)及び式(5)、(6)を加えたものであり、且つC
R=C
Tとしているので、下記の式(7)で表すことができる。
I
0={0.5(g
R−g
T)−0.5√3ω(C
R+C
T)}E
+j(0.5√3(g
R+g
T)E ・・・(7)
ここで、測定の際に入力され基準になる基準電圧E、上記式(7)で表される零相電流I
0、基準電圧Eと同位相の零相電流I
0の有効成分A、基準電圧Eより90度位相が進んだ零相電流I
0の無効成分Bの関係は、
図4のベクトル図のように表される。
【0095】
ここで、EωC
RはR相の対地静電容量C
Rの中を流れる漏洩電流Igc
Rであり、EωC
TはT相の対地静電容量C
Tの中を流れる漏洩電流Igc
Tであり、Eg
R,Eg
Tはそれぞれ対地漏洩コンダクタンスg
R,g
T中を流れる漏洩電流Igr
R,Igr
Tとなるので、基準電圧として入力された線間電圧E
TRと同位相の零相電流I
0の有効成分Aは、
図4に示すベクトル図の有効成分Aに相当し、同時に上記式(7)の実数部分でもあるので、下記の式(8)により示すことができる。
A=0.5Igr
R−0.5Igr
T−0.5√3(Igc
R+Igc
T) ・・・(8)
そして、上記基準電圧Eから90度位相が進んだ零相電流I
0の無効成分Bは、
図4に示すベクトル図の無効成分B及び上記式(7)の虚数部分であるので、下記の式(9)により示すことができる。
B=0.5√3(Igr
R+Igr
T)・・・(9)
ここで、零相電流I
0と、基準電圧Eとの間の位相角をθとすると、
図4から分かるように、上記有効成分AはI
0cosθで表され、上記無効成分BはI
0sinθで表される。
【0096】
また、上記式(9)より、求める対地絶縁抵抗7に起因する漏洩電流Igrの値は、下記の式(10)のように、無効成分Bの値に2/√3を乗じて求めることができる。
Igr=Igr
R+Igr
T=(2/√3)B ・・・(10)
ところで、零相電流I
0の有効成分A及び無効成分Bの値を実際に測定して求めるに当たって、一例として、零相電流I
0の基準電圧Eと同相の有効成分Aと、基準電圧Eとを乗じた値が零相電流I
0と基準電圧Eとの電力であることを利用して、前述した設備電力Wを求めた際の処理手順と同様に、
図2に示すように、処理演算部16の信号処理部3へ入力された基準電圧Eである線間電圧E
TRと零相電流I
0とを演算部14中の位相差検出器44で乗算し、平均化して零相電流I
0と基準電圧Eとの電力を求める。次いで、この電力を基準電圧Eの値で除せば零相電流I
0の基準電圧Eと同相の計測値としての有効成分Aの値が求まり、上記有効成分Aの値を零相電流I
0の値で除せば零相電流I
0の基準電圧Eに対する計測値としての力率cosθが求められ、続いて位相角θが求められる。そして、零相電流I
0の値にsinθの値を乗じて零相電流I
0の基準電圧Eと90度の位相差である計測値としての無効成分Bを算出する。また、
図4において、三平方の定理から、零相電流I
0の値を自乗した値から有効成分Aの値を自乗した値を減じた値を開平して無効成分Bの値を求めることができる。また、零相電流I
0と基準電圧Eの波形が0値を通過した時間差及び周期を観測することにより、両波形の位相差を検出することができる。
【0097】
次に、配電変圧器の低圧側の三相巻線をY形に結線したY形配電方式の配電系統の電力及び漏洩電流の測定に本発明を適用した実施の形態を説明する。
【0098】
三相3線のY形配電方式は、
図5に示すように、三相の配電変圧器の低圧側の三相巻線をY形に結線した巻線1を備え、この巻線1の中性点Nが接地線8を介して接地点G点に接続している。そして、Y形に結線された巻線1の3つの個別巻線の一方の端子である三相の電圧端子R,S,Tをそれぞれ三相の配電線4(4
R,4
S,4
T)に接続している。
【0099】
この三相3線のY形配電方式を採用した配電系統の電力及び漏洩電流を測定するに当たっては、
図5に示すように、三相の配電線4
R,4
S,4
TのうちのR相の配電線4
Rに流れる設備電流I
Rを変流器11を介して信号処理部3に入力する。そして、
図5に示すように、巻線1の端子Sと端子Tとの間に発生する線間電圧E
TSが信号処理部3に入力される。この線間電圧E
TSは、電力の測定のためと、漏洩電流Igrを測定する際の基準電圧Eとして信号処理部3に入力される。
【0100】
Y形配電方式の配電系統における電力の測定方法は、上述したΔ形配電方式の配電系統における電力の測定と全く同様であり、この電力の測定に用いられる処理演算部16もそのまま用いることができ、線間電圧E
TSの入力及びその処理も全く同様であるので、詳細な説明は省略する。但し、対地絶縁抵抗7に起因する漏洩電流Igrの測定は、前述のΔ形配電方式の場合とは異なる処理が行われるので以下において説明する。
【0101】
また、三相4線のY形配電方式を採用した配電系統から三相3線の設備5に配電するときも三相3線のY形配電方式と同様の処理で電力及び漏洩電流Igrの測定が行われるので、詳細な説明は省略する。なお、単相設備に配電するときには、設備単体若しくはグループ毎に電力及び漏洩電流Igrの測定が行われる。
【0102】
次に、Y形配電方式の配電系統で発生する対地絶縁抵抗7に起因する漏洩電流Igrの測定方法及びその原理について説明する。
【0103】
配電変圧器の低圧側の巻線1がY形に結線された三相3線又は三相4線の配電方式を用いた
図5に示す配電系統図において、電圧端子Sと電圧端子T間に発生する線間電圧E
TS及びY巻線1の接地点である中性点Nに対して各端子R,S,Tに発生する対地電圧E
R,E
S,E
Tは、ベクトルによって
図6のように示すことができる。
【0104】
ここで、設備5に起因する電力W及び漏洩電流Igrを測定する際、本発明に係る測定装置の処理演算部16の信号処理部3に入力する線間電圧E
TS、即ち測定の基準になる基準電圧Eは横軸である実数軸上で基準ベクトルEとして表される。
【0105】
このとき対地電圧E
R,E
S,E
Tの電圧値は、基準電圧E、即ち線間電圧E
TSの1/√3である。また、各対地電圧E
R,E
S,E
Tの位相は、線間電圧E
TSよりそれぞれ90度進み、30度遅れ、150度遅れている。ここで、三相の相電圧である対地電圧E
R,E
S,E
Tの電圧値をE/√3の値Eaとすると、下記の式(11)〜(13)のようにベクトル記号法により示すことができる。
E
R=jEa ・・・(11)
E
S=0.5√3Ea−j0.5Ea ・・・(12)
E
T=−0.5√3Ea−j0.5Ea ・・・(13)
R相の配電線4
R及び設備5に生じた対地静電容量C
Rを流れる対地電流Igc
R、S相の配電線4
S及び設備5に生じた対地静電容量C
Sを流れる対地電流Igc
S、T相の配電線4
T及び負荷設備5に生じた対地静電容量C
Tを流れる対地電流Igc
Tは、2π×商用周波数(50Hz又は60Hz)を角周波数ωとすると、下記の式(14)〜(16)で示すことができる。
Igc
R=jωC
RE
R=−ωC
REa ・・・(14)
Igc
S=jωC
SE
S=0.5ωC
SEa+j0.5√3ωC
SEa ・・・(15)
Igc
T=jωC
TE
T=0.5ωC
TEa−j0.5√3ωC
TEa ・・・(16)
そして、電圧端子Rに接続されたR相の配電線4
R及び設備5、電圧端子Sに接続されたS相の配電線4
S及び設備5、電圧端子Tに接続されたT相の配電線4
T及び設備5にそれぞれ対地漏洩コンダクタンスg
R,g
S,g
Tが存在するとすれば、対地漏洩コンダクタンスg
R,g
S,g
T中を流れる漏洩電流Igr
R,Igr
S,Igr
Tは、下記の式(17)〜(19)で示すことができる。
Igr
R=E
Rg
R=jg
REa ・・・(17)
Igr
S=E
Sg
S=0.5√3g
SEa−j0.5g
SEa ・・・(18)
Igr
T=E
Tg
T=−05√3g
TEa−j0.5g
TEa ・・・(19)
中性点Nと接地点Gとの間を接続する接地線8に流れる電流である零相電流I
0は、R,S,Tの各相の配電線4
R,4
S,4
Tに流れる電流、及び三相4線式にあっては中性点Nに接続される配電線4
Nに流れる電流をも加えた電流のベクトル和、つまり前記式(14)〜(16)及び式(17)〜(19)を加えたもので、下記の式(20)で表すことができる。
I
0={0.5√3(g
S−g
T)+0.5ωC
S+0.5ωC
T−ωC
R}Ea
+j{g
R−0.5g
S−0.5g
T+0.5√3(ωC
S−ωC
T)}Ea ・・・(20)
ここで、測定の際に信号処理部3に入力され基準になる基準電圧E、上記式(20)で表される零相電流I
0、基準電圧Eと同位相の零相電流I
0の有効成分A、基準電圧Eより90度位相が進んだ零相電流I
0の無効成分Bの関係は、
図4に示すベクトル図のように表される。
【0106】
ここで式(20)中、ωC
REaは、R相の対地静電容量C
Rの中を流れる漏洩電流Igc
Rであり、ωC
SEa及びωC
TEaは、S相及びT相の対地静電容量C
S,C
Tの中を流れる漏洩電流Igc
S,Igc
Tであり、g
REa,g
SEa,g
TEaは、それぞれ対地漏洩コンダクタンスg
R,g
S,g
T中を流れる漏洩電流Igr
R,Igr
S,Igr
Tとなるので、基準電圧として入力された線間電圧E
TSと同位相の零相電流I
0の有効成分Aは、
図4に示すベクトル図の有効成分Aであり、同時に上記式(20)の実数部分でもあるので、有効成分Aは下記の式(21)により示すことができる。
A=0.5√3(Igr
S−Igr
T)+0.5Igc
S+0.5Igc
T−Igc
R
・・・(21)
上記基準電圧から90度位相が進んだ零相電流I
0の無効成分Bは、
図4に示すベクトル図の無効成分Bであり、同時に上記式(20)の虚数部分でもあるので、無効成分Bは下記の式(26)により示すことができる。
B=Igr
R−0.5Igr
S−0.5Igr
T+0.5√3(Igc
S−Igc
T)
・・・(22)
ここで、零相電流I
0と、基準電圧Eとの間の位相角をθとすると、
図4から分かるように、上記有効成分AはI
0cosθで表され、上記無効成分BはI
0sinθで表される。
【0107】
本発明に係る測定装置では、三相の配電線及び設備の各相はバランスしているとして取り扱うことにより、R,S,Tの各相の対地静電容量C
R,C
S,C
Tの値は等しくなり、上記式(21)及び式(22)中のIgcの部分は消去され、Igrの部分のみとなる。
【0108】
即ち、零相電流I
0の有効成分A、無効成分Bは下記の式のように示すことができる。
A=0.5√3(Igr
S−Igr
T) ・・・(23)
B=Igr
R−0.5Igr
S−0.5Igr
T ・・・(24)
上記式(23)及び式(24)から、R相に漏洩電流Igrが発生したときは無効成分Bの値が、S相又はT相に漏洩電流Igrが発生したときは有効成分Aの絶対値の2/√3倍の値がそれぞれの相の対地絶縁抵抗7に起因する漏洩電流Igrの値として演算する。
【0109】
また、単相と三相を共用する上記V形配電方式で配電される三相の配電系統における電圧ベクトルの関係は、
図7のように示され、電力及び漏洩電流Igrの測定については既に述べたので、ここでは、商用周波数のΔ形配電方式、Y形配電方式、V形配電方式の電源から導出される単相及び三相の配電線に接続されるインバータなど構成電気素子にスイッチング素子を含む電圧周波数変換器を経由して運転周波数で配電される設備等の対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流Igrの測定装置及びその測定方法について説明する。
【0110】
まず、
図1に示す三相の配電変圧器の低圧側をΔ形に結線した巻線1を有する配電方式で、三相の電圧端子R,S,T中の端子Sが接地され、各端子R,S,Tから線間電圧をEとする三相交流が流れる配電線4
R,4
S,4
Tが導出された例で、
図8に示すベクトル図のように、3本の交流配電線の線間電圧ベクトルで描かれる三角形の重心Mが商用周波数の三相交流の電圧端子R,S,Tの電気的中性点で、接地された端子Sから電気的中性点Mまでの電圧Enが電気的中性点Mの対地電圧Enになる。このときの電圧Enの値は、
図8に示すベクトル図から、配電線線間電圧Eの1/√3の値となる。
【0111】
また、2線のうちの1線を接地した、単相配電方式では
図9のベクトル図に示すように、電気的中性点Mまでの電圧Enは、線間電圧Eの2分の1となり、線間電圧Eを基準ベクトルとすれば、電圧Enのベクトルは線間電圧Eの2分の1となる。
【0112】
三相の配電変圧器の低圧側をΔ形に結線された巻線1を備えるΔ形配電方式を採用した配電系統で、
図10に示すように、交流−直流の変換をダイオードやサイリスタなどのスイッチング素子を含む電気素子を含む電圧周波数変換器2を介して設備5への配電が行われるとき、3相の電圧端子R,S,Tに入力された線間電圧Eの交流電圧は電圧周波数変換器2の内部で直流電圧に整流され、さらにこの直流波形は裁断されて運転周波数端子U,V,Wから相電圧Eaの三相電圧として設備5に給電される。
【0113】
なお、交流−直流の変換を行う電圧周波数変換器2内のスイッチング素子等の電気素子は、商用周波数の交流電圧が入力される端子R,S,Tに対し対称的に配置結線されている。
【0114】
電圧周波数変換器2を介して設備5への配電が行われる
図10に示す配電系統において、端子R,S,Tに印可される商用周波数電源の電気的中性点と、端子U,V,Wから出力される相電圧Eaの運転周波数三相電圧の電気的中性点とは一致し、端子R,S,Tに印可される商用周波数電源の電気的中性点は、
図8に示される電気的中性点Mである。したがって、端子U,V,Wの対地電圧と、電気的中性点Mの対地電圧Enと、端子U,V,Wから出力される相電圧Eaの三相相電圧相互の関係は、
図11のベクトル図のように表され、
図12の等価回路で表現できる。また、V形三相配電方式においては、
図13に示されるように、電気的中性点はMである。
【0115】
但し、商用周波数の対地電圧Enと、運転周波数である相電圧Eaの三相電圧E
U,E
V,E
Wとは同じベクトル図での表現はできないことになるが、ここでは、商用周波数の50〜60Hzに対して、運転周波数は60Hz以下であり、その相電圧Eaの電圧値は交流回転機用VVVFインバータでは60Hz基準で周波数に比例し、低い周波数帯では対地電圧Enの値よりはるかに低い値となり、これらの電圧を重畳させた端子U,V,Wの対地電圧の電圧波形は、
図14に示すように周期的に出現する最大値付近の商用周波数対地電圧Enの波形と殆ど同じである。したがって、端子U,V,Wの対地電圧は、商用周波数を基準とした
図11のベクトル図によって表現しているが、運転周波数三相ベクトルE
U,E
V,E
Wはそれらの電気的中性点Mを中心に回転しているのと等価であり、対地電圧Enと同位相になった運転電圧ベクトルE
U,E
V,E
Wのうちのいずれかの相の端子が最大対地電圧となる。したがって、測定に際しては変動周期の数倍の時間中の最大値を平均したものを測定値とする。
【0116】
上述したような理由から、スイッチング素子等の電気素子を含む電圧周波数変換器2を経由して運転周波数で配電されるU,V,W相に発生する設備5の対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流Igrの演算は、商用周波数を基準とした
図11に示すベクトル図、
図12に示す等価回路図、
図10に示す回路図から重畳の理を応用して行われる。
【0117】
まず、対地電圧Enによる対地漏洩電流I
0nは、運転電圧Eaを0とし、この運転電圧Eaの端子を短絡して下記の式(25)のように示すことができる。
I
0n=(g
U+g
V+g
W)En+jω3CEn ・・・(25)
ここで、g
U,g
V,g
Wは、
図9に示すように、R,S,Tの各相の配電線4
R,4
S,4
Tに存在する対地漏洩コンダクタンスである。また、Cは、配電線4
R,4
S,4
Tに存在する静電容量C
R,C
S,C
Tが等しくこれらを静電容量Cとした値である。
【0118】
次に、運転電圧である三相電圧E
U,E
V,E
Wによる対地漏洩電流I
0aは、対地電圧Enを0とし、対地電圧Enの端子を短絡し、且つ三相電圧E
U,E
V,E
Wのうち対地電圧Enと同相のものをEaとし、その相の対地漏洩コンダクタンスをgaとすると下記の式(26)のように示すことができる。
I
0a=gaEa+jω3CEa ・・・(26)
したがって、対地漏洩電流である零相電流I
0は、対地電圧Enによる対地漏洩電流I
0nと三相電圧E
U,E
V,E
Wによる対地漏洩電流I
0aとの合計となり、下記の式(27)に示すようになる。
I
0=ga(En+Ea)+jωC(3En+Ea) ・・・(27)
そして、零相電流I
0の有効成分Aの値はそれぞれ下記の式(28)のように示すことができる。
A=ga(En+Ea) ・・・(28)
したがって、配電線4
R,4
S,4
Tに存在する対地絶縁抵抗7に起因する漏洩電流Igrは、零相電流I
0の有効成分Aの値を充当すればよい。
【0119】
以上の説明は、電圧周波数変換器2から運転周波数の交流を出力し配電していたが、直流に変換された電圧+Ed,−Edを出力するときも、上述した式(27)、式(28)のEaが+Ed,−Edとなり、ωは0で、対地電圧Enは交流であるので、零相電流I
0の値若しくは零相電流I
0の有効成分Aの絶対値を対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流Igrの値とすることができる。
【0120】
また、三相3線のY形配電方式の電源から配電するとき、単相3線の配電方式で接地相であるN相以外のR相、T相から配電するときは、配電線の電気的中性点Mが接地点となる中性点Nと一致するため対地電圧Enの値は0となり、対地漏洩電流である零相電流I
0の周波数は通常の運転状態では運転周波数のみになる。したがって上記式(27)で、対地電圧Enは0、周波数ωは商用周波数である対地電圧Enの周波数ωの値より小さくなり、ωCの値も対地漏洩コンダクタンスg
R,g
S,g
Tに比べて小さいものとすると、零相電流I
0の値を対地絶縁抵抗に起因する漏洩電流Igrの値として取り扱うことができる。
【0121】
また、本発明に係る電力及び漏洩電流測定装置は、
図15に示すように、配電線4の途中に遮断器19を設け、演算部14により演算される設備電力Wの演算結果、漏洩電流Igrの演算結果により、遮断器19の遮断動作を制御する構成としてもよい。
【0122】
なお、
図15に示す配電系統は、配電変圧器の低圧側の三相巻線をΔ形に結線したΔ形配電方式であって、三相巻線1に接続した配電線4(4
R,4
S,4
T)の中途部に遮断器19(19a,19b,19c)を設けている。そして、巻線1は、中途部に遮断器19を設けた配電線4を介して複数の設備5a,5bが接続されている。また、各設備5a,5bには、それぞれ交流−直流の変換をダイオードやサイリスタなどのスイッチング素子を含む電気素子で構成された電圧周波数変換器2a,2bを介して電力の授受が行われる。
【0123】
そして、本実施の形態の電力及び漏洩電流測定装置は、演算部14により検出された三相設備電力Wの値と、演算部14に入力される設備の予め設定された電力の閾値とを比較し、三相設備電力Wが閾値を超えたときには、電力の超過情報を表示並びに外部インターフェース部15に出力し、この超過情報を制御信号として、配電線4の中途部に設けた遮断器19を動作させることにより、電圧周波数変換器2a,2bと、これら変換器2a,2bから配電される設備5a,設備5bを給電電源から遮断する。
【0124】
また、本実施の形態の電力及び漏洩電流測定装置は、演算部14により検出された漏洩電流Igrと、演算部14に入力される予め設定された漏洩電流Igrの閾値とを比較し、検出された漏洩電流Igrの値が閾値を超えたときには、漏洩電流Igrの超過情報を表示並びに外部インターフェース部15に出力し、この超過情報を制御信号として、配電線4の中途部に設けた遮断器19を動作させることにより、電圧周波数変換器2a,2bと、これら変換回路2a,2bから配電される設備5a,5bを給電電源から遮断する。
【0125】
さらに、本実施の形態の電力及び漏洩電流測定装置は、漏洩電流Igr及び設備電力Wの検出とともに、漏洩電流Igr及び設備電力Wのいずれか一方が所定の値を超えたときには、遮断器19を動作させて、電圧周波数変換器2a,2bとそれから配電される設備5a,5bを給電電源から遮断することができるので、配電線4に接続された電圧周波数変換器2a,2bとそれから配電される設備5a,5bを絶縁不良に伴う重大事故や設備電力の過大を誘発している事故から守ることができる。
【0126】
さらに、本実施の形態の漏洩電流測定装置では、演算部14の演算の結果により、漏洩電流Igrや設備電力Wの値が所定の値より大きくなったことが判定された場合には、その判定信号が表示並びに外部インターフェース部15に入力され、この判定信号に基づく制御信号が出力される。この制御信号は、警報装置21に入力される。警報装置21は、制御信号に応じて音や発光等による警報を発することにより、漏洩電流Igrや設備電力の異常を報知する。このような警報が発せられることにより、漏電等の事故を事前に防止することができる。
【0127】
なお、本実施の形態においても、演算部14により演算された設備電力Wの値、漏洩電流Igrは、表示並びにインターフェース部15を介して表示部20に出力され、この表示部20に表示される。