(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1および第2の当接部の前記基材の主面と平行な面における断面形状は略円形状であり、前記第1の当接部の断面における直径と、前記第2の当接部の断面における直径とが異なる、請求項5に記載の端子構造。
前記第2のスルーホールは、前記第1のスルーホールと前記第2のスルーホールとの交点および前記第1のスルーホールの中心点で形成される断面形状が、中心角θが180度よりも大きい扇型となるように形成する、請求項11に記載の端子構造の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】実施の形態1にかかる端子構造を示す上面図である。
【
図2】実施の形態1にかかる端子構造を示す側面図である。
【
図3】
図1に示す端子構造の切断線III−IIIにおける断面図である。
【
図4】
図2に示す端子構造の切断線IV−IVにおける断面図である。
【
図5】
図2に示す端子構造の切断線V−Vにおける断面図である。
【
図6】実施の形態1にかかる端子構造が備えるリード部材の他の態様を示す断面図である。
【
図7】実施の形態1にかかる端子構造が備えるリード部材の他の態様を示す断面図である。
【
図8A】実施の形態1にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図8B】実施の形態1にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図8C】実施の形態1にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図8D】実施の形態1にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図8E】実施の形態1にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図8F】
図8Eに示す端子構造の切断線VIIIF−VIIIFに対応する位置における断面図である。
【
図8G】実施の形態1にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図8H】
図8Gに示す端子構造の切断線VIIIH−VIIIHに対応する位置における断面図である。
【
図9】実施の形態2にかかる端子構造を示す上面図である。
【
図10】実施の形態2にかかる端子構造を示す側面図である。
【
図11】
図9に示す端子構造の切断線XI−XIにおける断面図である。
【
図12】
図10に示す端子構造の切断線XII−XIIにおける断面図である。
【
図13】
図10に示す端子構造の切断線XIII−XIIIにおける断面図である。
【
図14A】実施の形態2にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図14B】実施の形態2にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図14C】実施の形態2にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図14D】
図14Cに示す端子構造の切断線XIVD−XIVDに対応する位置における断面図である。
【
図14E】実施の形態2にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図14F】
図14Eに示す端子構造の切断線XIVF−XIVFに対応する位置における断面図である。
【
図14G】実施の形態2にかかる端子構造の製造方法を説明するための断面図である。
【
図14H】
図14Fに示す端子構造の切断線XIVH−XIVHに対応する位置における断面図である。
【
図15】実施の形態3にかかるトランスの上面図である。
【
図16】実施の形態3にかかるトランスの側面図である。
【
図17】
図16に示すトランスの切断線XVII−XVIIにおける断面図である。
【
図18】
図16に示すトランスの切断線XVIII−XVIIIにおける断面図である。
【
図19】
図15に示すトランスの切断線XIX−XIXにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態1>
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、実施の形態1にかかる端子構造を示す上面図である。
図2は、本実施の形態にかかる端子構造を示す側面図である。
図3は、
図1に示す端子構造の切断線III−IIIにおける断面図である。
図4は、
図2に示す端子構造の切断線IV−IVにおける断面図である。
図5は、
図2に示す端子構造の切断線V−Vにおける断面図である。
【0016】
図1、
図2に示すように、基材10は端部に端子部11を備える。基材10が備える端子部11は複数であってもよい。端子部11が複数の場合は、基材の端部に沿って各々の端子部11を配列してもよい。例えば、基材10は所定の電子部品を実装した基板であってもよく、また所定の電子部品の一部であってもよい。基材10は所定の厚みを備えている。例えば、基材10は、基材10の表面側からスルーホール内にはんだを流し込むと、はんだがスルーホール内の途中で固まり、基材10の厚み方向中央部付近まではんだが到達しない程度の厚みを備えている。例えば、基材10は絶縁材料を用いて構成することができる。一例を挙げると、端子部11が形成されている箇所の基材10の厚みは、4mm以上、より好ましくは6mm以上である。
【0017】
端子部11は、スルーホール12、開口部13、金属被覆層14、リード部材15、およびはんだ16を備える。
図3に示すように、スルーホール12は基材10の厚さ方向において基材10を貫通している。
図2、
図4、
図5に示すように、開口部13は、基材10の厚さ方向において基材10を貫通し、かつスルーホール12と連続した空間を形成している。
図4、
図5に示すように、スルーホール12の断面形状(基材10の主面と平行な面における断面形状)は、一部が開口部13と連結した略円形状である。なお、開口部13の断面形状(基材10の主面と平行な面における断面形状)は、基材10の側面とスルーホール12とを空間的につなぐ形状であればどのような形状であってもよい。基材10の主面とは基材10の表面および裏面と平行な面である。
【0018】
ここで、スルーホール12は、スルーホール12と開口部13との交点25、26と、スルーホール12の中心点とで形成される扇形の中心角θが180度よりも大きくなるようにすることが好ましい(
図4、
図8B参照)。このように、中心角θを180度よりも大きくすることで、リード部材15をスルーホール12内に確実に固定することができる。また、製造工程においてリード部材15をスルーホール12に挿入した際に、リード部材15が開口部13側に移動して外れることを抑制することができる。開口部13を通してスルーホール12にはんだを充填することを考慮すると、交点25、26と、スルーホール12の中心点とで形成される扇形の中心角θは330度以下とすることが好ましい。
【0019】
図2〜
図5に示すように、金属被覆層14はスルーホール12の内壁および開口部13の内壁に形成されている。また、
図1、
図2に示すように、金属被覆層14は基材10の表面および裏面において矩形状に形成されている。例えば、金属被覆層14は金属メッキ層である。金属被覆層14を形成する際に開口部13が基材10の側面において開口していない場合(
図8B参照)は、基材10の表面側および裏面側からスルーホール12および開口部13の内部にメッキ液が供給される。このとき、メッキ液の金属濃度は基材10の表面側および裏面側において高く、スルーホール12および開口部13の基材10の厚み方向中央部において低くなる。このため、スルーホール12および開口部13の内壁に形成される金属被覆層14の厚さは、基材10の表面側および裏面側から当該基材10の厚さ方向中央部に向かうに従い薄くなる。
【0020】
図4は、
図2に示す端子構造の切断線IV−IVにおける断面図であり、基材10の表面(裏面)近傍における断面図である。
図5は、
図2に示す端子構造の切断線V−Vにおける断面図であり、基材10の厚み方向中央部近傍における断面図である。
図4、
図5に示すように、基材10の厚み方向中央部近傍における金属被覆層14の厚さ(
図5参照)は、基材10の表面(裏面)近傍における金属被覆層14の厚さ(
図4参照)よりも薄くなっている。
【0021】
図1、
図3〜
図5に示すように、リード部材15はスルーホール12内に配置されている。リード部材15は当接部21(第1の当接部)を備えており、当接部21はスルーホール12内において金属被覆層14と当接している。例えば、当接部21の断面形状は略円形状である。また、スルーホール12の断面形状も略円形状である。よって、当接部21をスルーホール12内の金属被覆層14と当接させることで、リード部材15をスルーホール12内において精度よくかつ強固に固定することができる。また、リード部材15をスルーホール12内に配置する際に(つまり、はんだをスルーホール12内に流し込む前に)、当接部21を金属被覆層14と当接させることで、リード部材15をスルーホール12内に精度よく配置することができる。
【0022】
また、リード部材15は、基材10の裏面に形成された金属被覆層14と当接する当接部22(第3の当接部)を備えていてもよい。リード部材15が当接部22を備える場合は、リード部材15がスルーホール12内の所定の位置まで挿入された際に当接部22が金属被覆層14と当接するので、リード部材15をスルーホール12内に精度よく配置することができる。
【0023】
はんだ16は、スルーホール12内に充填され、リード部材15と金属被覆層14とを電気的に接続する。はんだ16をスルーホール内12に充填する際は、基材10の側面から開口部13を通して充填する。本実施の形態では、はんだ16を開口部13内にも充填している場合を示しているが、はんだ16は少なくともスルーホール12内に充填していればよく、必ずしも開口部13内に充填する必要はない。例えば、開口部13の一部にはんだ16を充填してもよい。
【0024】
図6、
図7は、
図3に示したリード部材15の他の態様を示す断面図である。
図6に示すように、リード部材15'は、スルーホール12内において金属被覆層14と当接する当接部23(第2の当接部)を更に備えていてもよい。ここで、当接部23の断面形状(基材10の主面と平行な面における断面形状)は略円形状である。
図6に示す場合は、2つの当接部21、23がスルーホール12内の金属被覆層14と当接している。よって、当接部21のみを設けた場合(
図3参照)よりも、より精度よくかつ強固にリード部材15をスルーホール内に固定することができる。
【0025】
また、
図7に示すように、リード部材15''が備える当接部21'の断面における直径d1と、当接部23'の断面における直径d2とが異なるようにしてもよい。例えば、当接部21'の断面における直径d1を、当接部23'の断面における直径d2よりも小さくしてもよい。このとき、当接部21'は、当接部23'よりも基材10の表面側寄りに配置してもよい。このように、リード部材15''の先端部に形成されている当接部21'の直径d1を小さくすることで、リード部材15''をスルーホール12に挿入する際に、挿入口側(基材10の裏面側)に形成されている金属被覆層14に働く応力を軽減することができる。また、スルーホール12へのリード部材15''の挿入が容易になる。また、当接部21'の直径を小さくした分だけ当接部21'を当接部23'よりも基材10の表面側寄りに配置することで、当接部21'を金属被覆層14に確実に当接させることができる。よって、精度よくかつ強固にリード部材15''をスルーホール12内に固定することができる。
【0026】
次に、本実施の形態にかかる端子構造の製造方法について説明する。
図8A〜
図8Hは、本実施の形態にかかる端子構造の製造方法を説明するための図である。本実施の形態にかかる端子構造を作製する際は、まず、
図8Aに示すように基材10の厚さ方向において当該基材10を貫通するスルーホール12(第1のスルーホール)を形成する。スルーホール12は、例えばドリルを用いて形成することができる。次に、
図8Bに示すように、基材10の厚さ方向において当該基材を貫通し、かつスルーホール12と連続した空間を形成するスルーホール17(第2のスルーホール)を形成する。換言すると、スルーホール12の一部と重畳するようにスルーホール17を形成する。スルーホール17も、例えばドリルを用いて形成することができる。スルーホール12およびスルーホール17の断面形状は略円形状とすることができる。
【0027】
図8Bでは、スルーホール12およびスルーホール17の直径を略同一としているが、スルーホール12およびスルーホール17の直径はそれぞれ異なるように形成してもよい。なお、スルーホール17を形成する際は、スルーホール12とスルーホール17との交点25、26と、スルーホール12の中心点とで形成される扇形の中心角θが180度よりも大きくなるようにする。このように、中心角θを180度よりも大きくすることで、リード部材15をスルーホール12に挿入した際に、リード部材15が開口部13側に移動して外れることを抑制することができる。また、開口部13を通してスルーホール12にはんだを充填することを考慮すると、交点25、26と、スルーホール12の中心点とで形成される扇形の中心角θは330度以下とすることが好ましい。
【0028】
次に、
図8Cに示すように、スルーホール12およびスルーホール17の内壁に金属被覆層14を形成する。金属被覆層14は、スルーホール12およびスルーホール17の内壁に金属メッキを施すことで形成することができる。このとき、メッキ液の金属濃度は基材10の表面側および裏面側において高く、スルーホール12およびスルーホール17の基材10の厚み方向中央部において低くなる。このため、スルーホール12およびスルーホール17の内壁に形成される金属被覆層14は、基材10の表面側および裏面側から当該基材10の厚さ方向中央部に向かうに従い薄くなるように形成される(
図8F参照)。
【0029】
次に、
図8Dに示すように、スルーホール17の一部が切断されるように切断線28で基材10を切断する。これにより、開口部13が形成される。その後、
図8E、
図8Fに示すように、リード部材15をスルーホール12内に配置する。例えば、基材10の裏面側からスルーホール12内にリード部材15を挿入することで、リード部材15をスルーホール12内に配置することができる。また、例えば基材10の側面から開口部13を経由してスルーホール12にリード部材15を嵌め込むことで、リード部材15をスルーホール12内に配置することができる。
【0030】
このとき、
図8Fに示すように、当接部21をスルーホール12内の金属被覆層14と当接させることで、リード部材15をスルーホール12内に精度よく配置することができる。また、基材10の裏面側からスルーホール12内にリード部材15を挿入する場合は、リード部材15がスルーホール12内の所定の位置まで挿入された際に当接部22が金属被覆層14と当接するので、リード部材15をスルーホール12内に精度よく配置することができる。
【0031】
次に、
図8G、
図8Hに示すように、基材10の側面から開口部13を経由してスルーホール12にはんだ16を充填し、リード部材15と金属被覆層14とを電気的に接続する。本実施の形態では、はんだ16を開口部13内にも充填している場合を示しているが、はんだ16は少なくともスルーホール12内に充填していればよく、必ずしも開口部13内に充填する必要はない。例えば、開口部13の一部にはんだ16を充填してもよい。
【0032】
以上の方法を用いることで、本実施の形態にかかる端子構造を作製することができる。なお、上記で説明した端子構造の製造方法では、スルーホール12およびスルーホール17を形成した後に金属被覆層14を形成していた。しかし、金属被覆層14は、スルーホール12を形成した後、スルーホール17を形成する前に形成してもよい。この場合、金属被覆層14は、スルーホール12の内壁にのみ形成され、スルーホール17(開口部13)の内壁には形成されない。
【0033】
また、金属被覆層14は、スルーホール12およびスルーホール17を形成し、スルーホール17の一部を切断して開口部13を形成した後に形成してもよい。開口部13を形成した後に金属被覆層14を形成した場合は、メッキ液が開口部13を通してスルーホール12の中央部に供給されるので、スルーホール12の内壁に形成される金属被覆層14の厚さを均一にすることができる。
【0034】
特許文献1に開示されている技術では、基板に形成されたスルーホール内にリード部材(電気接続端子)の先端部分を挿入し、基板表面からスルーホール内にはんだを流し込むことで基板にリード部材を固定していた。
【0035】
しかしながら、リード部材を固定する基板が厚い場合は、基板表面からスルーホール内に流し込まれたはんだの温度が、基板の厚み方向中央部に到達する前に放熱される。このため、はんだが基板の厚み方向中央部まで到達せず、基板へのリード部材の取り付けが不十分となり、電子部品の実装の品質が低下するという問題があった。
【0036】
例えば、スルーホールの内壁とリード部材との間隔を増やすことで、スルーホール内をはんだが流れやすくすることができる。しかしながら、スルーホールの内壁とリード部材との間隔を増やすと、スルーホール内にリード部材を配置する際の位置精度が低下するという問題があった。
【0037】
そこで本実施の形態にかかる発明では、はんだ16をスルーホール12に充填するための開口部13を基材10の側面に形成している。よって、基板が厚い場合であっても、スルーホール12の基板の厚み方向中央部にもはんだを均一に充填することができ、はんだ付けの品質を向上させることができる。
【0038】
また、リード部材15に当接部21を形成し、当接部21をスルーホール12内の金属被覆層14と当接させることで、リード部材15をスルーホール12に精度よくかつ強固に固定することができる。また、リード部材15をスルーホール12内に配置する際に(つまり、はんだをスルーホール12内に流し込む前に)、当接部21を金属被覆層14と当接させることで、リード部材15をスルーホール12内に精度よく配置することができる。
【0039】
以上で説明した本実施の形態にかかる発明により、実装の品質を向上させることができる端子構造、および端子構造の製造方法を提供することができる。
【0040】
<実施の形態2>
次に本発明の実施の形態2について説明する。
図9は、実施の形態2にかかる端子構造を示す上面図である。
図10は、本実施の形態にかかる端子構造を示す側面図である。
図11は、
図9に示す端子構造の切断線XI−XIにおける断面図である。
図12は、
図10に示す端子構造の切断線XII−XIIにおける断面図である。
図13は、
図10に示す端子構造の切断線XIII−XIIIにおける断面図である。本実施の形態にかかる端子構造2は、実施の形態1にかかる端子構造1と比べて、開口部の形状が異なる。これ以外は実施の形態1で説明した端子構造と同様である。
【0041】
図9、
図10に示すように、基材30は端部に端子部31を備える。基材30が備える端子部31は複数であってもよい。端子部31が複数の場合は、基材の端部に沿って各々の端子部31を配列してもよい。例えば、基材30は所定の電子部品を実装した基板であってもよく、また所定の電子部品の一部であってもよい。基材30は所定の厚みを備えている。例えば、基材30は、基材30の表面側からスルーホール内にはんだを流し込むと、はんだがスルーホール内の途中で固まり、基材30の厚み方向中央部付近まではんだが到達しない程度の厚みを備えている。例えば、基材30は絶縁材料を用いて構成することができる。一例を挙げると、端子部31が形成されている箇所の基材30の厚みは、4mm以上、より好ましくは6mm以上である。
【0042】
端子部31は、スルーホール32、開口部33、金属被覆層34、リード部材35、およびはんだ36を備える。
図11に示すように、スルーホール32は基材30の厚さ方向において基材30を貫通している。
図10、
図12、
図13に示すように、開口部33は、基材30の側面の一部からスルーホール32へと基材30を貫通している。開口部33は、基材30の厚み方向中央部に形成されている。つまり、開口部33は、基材30の側面とスルーホール32とを空間的につないでいる。
図12、
図13に示すように、スルーホール32の断面形状(基材30の主面と平行な面における断面形状)は略円形状である。
【0043】
また、
図10に示すように、基材30の側面における開口部33の形状は略円形状である。なお、基材30の側面における開口部33の形状は、これ以外にも楕円形や矩形など任意の形状とすることができる。すなわち、基材30の側面における開口部33の形状は、基材30の側面とスルーホール32とを空間的につなぐことができるのであればどのような形状であってもよい。また、本実施の形態では、
図10に示すように1つの端子部31につき1つの開口部33を形成しているが、開口部は1つの端子部31につき複数形成してもよい。
【0044】
図10〜
図13に示すように、金属被覆層34はスルーホール32の内壁に形成されている。また、
図9、
図10に示すように、金属被覆層34は基材30の表面および裏面において矩形状に形成されている。例えば、金属被覆層34は金属メッキ層である。金属被覆層34を形成する際に開口部33が形成されていない場合(
図14B参照)は、基材30の表面側および裏面側からスルーホール32の内部にメッキ液が供給される。このとき、メッキ液の金属濃度は基材30の表面側および裏面側において高く、スルーホール32の基材30の厚み方向中央部において低くなる。このため、スルーホール32の内壁に形成される金属被覆層34の厚さは、基材30の表面側および裏面側から当該基材30の厚さ方向中央部に向かうに従い薄くなる。
【0045】
図12は、
図10に示す端子構造の切断線XII−XIIにおける断面図であり、基材30の表面(裏面)近傍における断面図である。
図13は、
図10に示す端子構造の切断線XIII−XIIIにおける断面図であり、基材30の厚み方向中央部近傍における断面図である。
図12、
図13に示すように、基材30の厚み方向中央部近傍における金属被覆層34の厚さ(
図13参照)は、基材30の表面(裏面)近傍における金属被覆層34の厚さ(
図12参照)よりも薄くなっている。
【0046】
図9、
図11〜
図13に示すように、リード部材35はスルーホール32内に配置されている。リード部材35は当接部41を備えており、当接部41はスルーホール32内において金属被覆層34と当接している。例えば、当接部41の断面形状は略円形状である。また、スルーホール32の断面形状も略円形状である。よって、当接部41をスルーホール32内の金属被覆層34と当接させることで、リード部材35をスルーホール32内において精度よくかつ強固に固定することができる。また、リード部材35をスルーホール32内に配置する際に(つまり、はんだをスルーホール32内に流し込む前に)、当接部41を金属被覆層34と当接させることで、リード部材35をスルーホール32内に精度よく配置することができる。
【0047】
また、リード部材35は、基材30の裏面に形成された金属被覆層34と当接する当接部42を備えていてもよい。リード部材35が当接部42を備える場合は、リード部材35がスルーホール32内の所定の位置まで挿入された際に当接部42が金属被覆層34と当接するので、リード部材35をスルーホール32内に精度よく配置することができる。 なお、本実施の形態においても、リード部材35として
図6、
図7に示したリード部材15'、15''を用いてもよい。
【0048】
はんだ36は、スルーホール32内に充填され、リード部材35と金属被覆層34とを電気的に接続する。はんだ36をスルーホール内32に充填する際は、基材30の側面から開口部33を通して充填することができる。本実施の形態では、はんだ36を開口部33内にも充填している場合を示しているが、はんだ36は少なくともスルーホール32内に充填していればよく、必ずしも開口部33内に充填する必要はない。例えば、開口部33の一部にはんだ36を充填してもよい。
【0049】
次に、本実施の形態にかかる端子構造の製造方法について説明する。
図14A〜
図14Hは、本実施の形態にかかる端子構造の製造方法を説明するための図である。本実施の形態にかかる端子構造を作製する際は、まず、
図14Aに示すように基材30の厚さ方向において当該基材30を貫通するスルーホール32を形成する。スルーホール32は、例えばドリルを用いて形成することができる。
【0050】
次に、
図14Bに示すように、スルーホール32の内壁に金属被覆層34を形成する。金属被覆層34は、スルーホール32の内壁に金属メッキを施すことで形成することができる。このとき、メッキ液の金属濃度は基材30の表面側および裏面側において高く、スルーホール32の基材30の厚み方向中央部において低くなる。このため、スルーホール32の内壁に形成される金属被覆層34の厚さは、基材30の表面(裏面)から当該基材30の厚さ方向中央部に向かうに従い薄くなる(
図14D参照)。
【0051】
次に、
図14C(
図13の断面図に対応。
図14E、
図14Gについても同様。)、
図14Dに示すように、基材30に開口部33を形成する。開口部33は、基材30の側面の一部からスルーホール32へと基材30を貫通するように形成する。例えば、
図14Dに示すように、開口部33は、基材30の厚み方向中央部に形成する。開口部33は、例えばドリルを用いて形成することができる。
【0052】
次に、
図14E、
図14Fに示すように、リード部材35をスルーホール32内に配置する。例えば、基材30の裏面側からスルーホール32内にリード部材35を挿入することで、リード部材35をスルーホール32内に配置することができる。このとき、
図14Fに示すように、当接部41をスルーホール32内の金属被覆層34と当接させることで、リード部材35をスルーホール32内に精度よく配置することができる。また、リード部材35がスルーホール32内の所定の位置まで挿入された際に当接部42が金属被覆層34と当接するので、リード部材35をスルーホール32内に精度よく配置することができる。
【0053】
次に、
図14G、
図14Hに示すように、基材30の側面から開口部33を経由してスルーホール32にはんだ36を充填し、リード部材35と金属被覆層34とを電気的に接続する。本実施の形態では、はんだ36を開口部33内にも充填している場合を示しているが、はんだ36は少なくともスルーホール32内に充填していればよく、必ずしも開口部33内に充填する必要はない。例えば、開口部33の一部にはんだ36を充填してもよい。
【0054】
また、はんだ36は、開口部33からスルーホール32内に充填するのに加えて、基材30の表面側および裏面側からスルーホール32内に充填してもよい(裏面側からはんだ36を充填する場合は当接部42を設けない)。このように、開口部33に加えて基材30の表面側および裏面側からはんだ36をスルーホール32内に充填することで、開口部33からのみはんだ36を充填した場合よりも均一にはんだ36をスルーホール32内に充填することができる。
【0055】
以上の方法を用いることで、本実施の形態にかかる端子構造を作製することができる。なお、上記で説明した端子構造の製造方法では、開口部33を形成する前に金属被覆層34を形成していた。しかし、金属被覆層34は、開口部33を形成した後に形成してもよい。開口部33を形成した後に金属被覆層34を形成した場合は、メッキ液が開口部33を通してスルーホール32の中央部に供給されるので、スルーホール32の内壁に形成される金属被覆層34の厚さを均一にすることができる。
【0056】
本実施の形態にかかる発明においても、はんだ36をスルーホール32に充填するための開口部33を基材30の側面に形成している。よって、基板が厚い場合であっても、スルーホール32の基板の厚み方向中央部にはんだを均一に充填することができ、はんだ付けの品質を向上させることができる。
【0057】
また、リード部材35に当接部41を形成し、当接部41をスルーホール32内の金属被覆層34と当接させることで、リード部材35をスルーホール32に精度よくかつ強固に固定することができる。また、リード部材35をスルーホール32内に配置する際に(つまり、はんだをスルーホール32内に流し込む前に)、当接部41を金属被覆層34と当接させることで、リード部材35をスルーホール32内に精度よく配置することができる。
【0058】
以上で説明した本実施の形態にかかる発明により、実装の品質を向上させることができる端子構造、および端子構造の製造方法を提供することができる。
【0059】
<実施の形態3>
次に本発明の実施の形態3について説明する。本実施の形態では、実施の形態1、2にかかる端子構造をトランスに適用した場合について説明する。
図15は、本実施の形態にかかるトランスの上面図である。
図16は、本実施の形態にかかるトランスの側面図である。
図17は、
図16に示すトランスの切断線XVII−XVIIにおける断面図である。
図18は、
図16に示すトランスの切断線XVIII−XVIIIにおける断面図である。
図19は、
図15に示すトランスの切断線XIX−XIXにおける断面図である。
【0060】
図15、
図16に示すように、本実施の形態にかかるトランス3は、トランス本体部50とコア部52とを備える。トランス本体部50は、基材51、一次側導体層71、および二次側導体層72を備える(
図17〜
図19参照)。
【0061】
基材51はトランス本体部50の母材となる構造体であり、絶縁材料を用いて構成することができる。基材51は、基材51の一次側55の端部に一次側端子57を備える。また、基材51は、基材51の二次側56の端部に二次側端子58を備える。例えば、トランス本体部50は矩形状であり、一次側端子57と二次側端子58はトランス本体部50の長手方向の各々の端部にそれぞれ配置されている。一次側端子57は一次側導体層71と接続される端子である(
図17参照)。二次側端子58は二次側導体層72と接続される端子である(
図18参照)。一次側端子57および二次側端子58は、基材51の一次側55および二次側56の端部においてそれぞれ基材51の外部に露出している。ここで、一次側端子57および二次側端子58は、実施の形態1および2で説明した端子構造を備える。
【0062】
図16に示すように、本実施の形態にかかるトランス3は、リード部材61、65を用いて基板60と電気的に接続されている。リード部材61の一端62は一次側端子57と電気的に接続され、他端63は基板60と電気的に接続されている。同様に、リード部材65の一端66は一次側端子58と電気的に接続され、他端67は基板60と電気的に接続されている。また、例えば、少なくとも2つの一次側端子57と基板60とをリード部材61を用いてそれぞれ接続し、少なくとも2つの二次側端子58と基板60とをリード部材65を用いてそれぞれ接続することで、基板60にトランス3を安定して固定することができる。
【0063】
一次側端子57と二次側端子58との間の基材51の表面の少なくとも一部には、凸部53および凹部54が形成されている。
図15、
図16に示す例では、基材51の側面および上下面に凸部53および凹部54を形成している。換言すると、基材51が備える面のうち、一次側端子57と二次側端子58との間に配置されている面に凸部53および凹部54を形成している。
【0064】
図17に示すように、一次側導体層71は基材51内に設けられており、一次側端子57と電気的に接続されている。一次側導体層71はトランスの一次巻線に対応している。例えば、一次側導体層71は、一次側端子57から二次側56の方向に向かって延び、更に基材51の貫通孔59に設けられたコア部52を一周するように形成する。このとき、一次側導体層71の一端は一次側端子57_1と接続し、他端は一次側端子57_2と接続する。一次側導体層71は、例えば銅やアルミニウムなどの金属材料を用いて構成することができる。
【0065】
なお、
図19では、トランス本体部50が4層の一次側導体層71を備える場合を例として示しているが、一次側導体層71の層の数は任意に決定することができる。複数の一次側導体層71を設けた場合、複数の一次側導体層71は、例えばスルーホールを介して互いに電気的に接続することができる。また、複数の一次側導体層71は、例えば複数の一次側端子57同士を接続することで互いに電気的に接続することができる。
【0066】
図18に示すように、二次側導体層72は基材51内に設けられており、二次側端子58と電気的に接続されている。二次側導体層72はトランスの二次巻線に対応している。例えば、二次側導体層72は、二次側端子58から一次側55の方向に向かって延び、更に基材51の貫通孔59に設けられたコア部52を一周するように形成する。このとき、二次側導体層72の一端は二次側端子58_1と接続され、他端は二次側端子58_2と接続される。二次側導体層72は、例えば銅やアルミニウムなどの金属材料を用いて構成することができる。
【0067】
なお、
図19では、トランス本体部50が4層の二次側導体層72を備える場合を例として示しているが、二次側導体層72の層の数は任意に決定することができる。複数の二次側導体層72を設けた場合、複数の二次側導体層72は、例えばスルーホールを介して互いに電気的に接続することができる。また、複数の二次側導体層72は、例えば複数の二次側端子58同士を接続することで互いに電気的に接続することができる。
【0068】
図19に示すように、一次側導体層71および二次側導体層72は絶縁材料を介して互いに積層されている。
図19に示す例では、複数の一次側導体層71を積層方向の中央部付近に配置し、複数の二次側導体層72を積層方向の端部側(上面側および下面側)に配置している。しかし、
図19に示す一次側導体層71および二次側導体層72の配置は一例であり、一次側導体層71および二次側導体層72の配置は任意に決定することができる。
【0069】
また、基材51は複数の絶縁体基板を用いて構成してもよい。この場合、複数の一次側導体層71と、複数の絶縁体基板と、複数の二次側導体層72とを互いに積層することで、トランス本体部50を構成することができる。基材51を構成する絶縁体基板としては、例えばガラスエポキシ基板、ガラスコンポジット基板、紙エポキシ基板、ベークライト基板などを用いることができる。
【0070】
複数の絶縁体基板を用いて基材51を構成する場合は、基材51を構成する各々の絶縁体基板を同一の材料とすることが好ましい。同一の絶縁体基板を用いることで、基材51の振動や衝撃に対する耐性を高めることができる。また、同一の絶縁体基板を用いることで、基材51を構成する絶縁体基板の熱膨張係数を略等しくすることができ、基材51の温度サイクル特性を向上させることができる。
【0071】
コア部52は、一次側導体層71の少なくとも一部および二次側導体層72の少なくとも一部をそれぞれ囲むように配置する。コア部52はフェライトなどの磁性材料を用いて構成することができる。一次側導体層71および二次側導体層72をコア部52で囲むことで、一次側導体層71および二次側導体層72を磁気的に結合することができる。
図15、
図16に示すように、コア部52はトランス本体部50の二次側56寄りの周囲を覆うように設ける。また、
図17、
図18に示すように、コア部52の一部は、基材51に形成された貫通孔59に挿通されている。
【0072】
ここで、本実施の形態にかかるトランスでは、一次側端子57の電圧は二次側端子58の電圧よりも高電圧である。よってコア部52は、電圧が低い二次側端子58側に設けている。換言すると、コア部52の一次側端子57側の端部と一次側端子57との距離は、コア部52の二次側端子58側の端部と二次側端子58との距離よりも長い。
【0073】
図19に示すように、コア部52は、断面形状がE型であるコア部材52a、52bを用いて構成することができる。そしてコア部材52a、52bでトランス本体部50を挟むことで、トランス本体部50にコア部52を取り付けることができる。
図19に示すように、一次側導体層71および二次側導体層72は基材51内に埋設されているので、コア部52と直接接触することはなく、絶縁性が保たれている。
【0074】
本実施の形態にかかるトランスでは、一次側端子57に高電圧(例えば、15〜30kV/mm程度)が印加される。ここで一次側端子57は基材51の外部に露出しているため、一次側端子57と二次側端子58との間の絶縁距離(コア部52が接地されている場合は、一次側端子57とコア部52との間の絶縁距離)を確保する必要がある。そこで本実施の形態にかかるトランスでは、一次側端子57と二次側端子58との間の基材51の表面の少なくとも一部に、凸部53および凹部54を形成している。
【0075】
また、本実施の形態では、一次側端子57の電圧は二次側端子58の電圧よりも高いので、一次側端子57とコア部52との間に配置されている凸部53および凹部54の数は、二次側端子58とコア部52との間に配置されている凸部53および凹部54の数よりも多くしている。
【0076】
以上で説明した本実施の形態にかかるトランス3では、実施の形態1、2で説明した端子構造を備えているので、トランス3を基板60に実装する際の品質を向上させることができる。つまり、振動や衝撃に強い実装を実現することができ、トランスの寿命を長くすることができる。また、トランスの動作を安定させることができる。よってトランスの信頼性を向上させることができる。更に、トランス3を基板60に高精度に実装することができる。
【0077】
以上、本発明を上記実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。