特許第6222735号(P6222735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222735
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】冷却用エアゾール製品
(51)【国際特許分類】
   B05B 9/04 20060101AFI20171023BHJP
   B05B 1/14 20060101ALI20171023BHJP
   B65D 83/14 20060101ALI20171023BHJP
   A61K 9/12 20060101ALI20171023BHJP
   A61F 7/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B05B9/04
   B05B1/14 Z
   B65D83/14 200
   A61K9/12
   A61F7/00 331Z
【請求項の数】3
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2014-55655(P2014-55655)
(22)【出願日】2014年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-208332(P2014-208332A)
(43)【公開日】2014年11月6日
【審査請求日】2016年7月22日
(31)【優先権主張番号】特願2013-63037(P2013-63037)
(32)【優先日】2013年3月25日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】390011442
【氏名又は名称】株式会社マンダム
(74)【代理人】
【識別番号】100082072
【弁理士】
【氏名又は名称】清原 義博
(72)【発明者】
【氏名】乃田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】竹花 哲
(72)【発明者】
【氏名】松村 敏郎
【審査官】 清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−168193(JP,A)
【文献】 特開2004−113834(JP,A)
【文献】 特開平10−017480(JP,A)
【文献】 特開2012−001465(JP,A)
【文献】 特開平11−071264(JP,A)
【文献】 米国特許第04227631(US,A)
【文献】 特開2004−215662(JP,A)
【文献】 特開平03−157328(JP,A)
【文献】 特開2000−087017(JP,A)
【文献】 特開2003−119109(JP,A)
【文献】 特開平09−221415(JP,A)
【文献】 特開2012−115792(JP,A)
【文献】 特開平10−211978(JP,A)
【文献】 特開2001−233390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−3/18
7/00−9/08
B65D 83/00
83/08−83/76
A61K 8/00−8/99
9/12
A61Q 1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を収容する容器本体と、
前記容器本体の頭頂部に設けられ且つ前記容器本体に充填された前記内容物が流入孔から流入するハウジングと、前記ハウジング上部から突出して設けられ且つ付勢手段により上方向に付勢されたステムとを有するバルブと、
前記ステムの上部に配置されたアクチュエーターとを備え、前記アクチュエーターを押圧することにより前記内容物を噴出させ冷却する及び/又は冷感を与える冷却用エアゾール製品であって、
前記内容物は液化ガスを含有し、
前記アクチュエーターが、前記内容物を噴出させるための6以上の噴口を有し、
前記ステムが、該ステムの内部流路に前記内容物を導入するためのステムオリフィス孔を有し、
前記ハウジングが、液体取込開口を有し、該液体取込開口の総開口面積が0.75〜4.0mmであり、
前記6以上の噴口の総開口面積と前記ステムオリフィス孔の総開口面積との比(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)が3〜45であることを特徴とする冷却用エアゾール製品。
【請求項2】
前記液化ガスが前記内容物中に60〜100質量%含まれることを特徴とする請求項1記載の冷却用エアゾール製品。
【請求項3】
上記噴口の開口面積が、それぞれ、0.05〜1.0mmである請求項1又は2に記載の冷却用エアゾール製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広範囲を適正な冷却力で冷却することができる冷却用エアゾール製品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人体などを冷却したり、人体に冷感を与えたりする冷却用のエアゾール製品が知られている。近年、節電や温暖化などの社会的要因から、これらの製品の需要は益々高まってきている。これら冷却用エアゾール製品としては、噴射物の揮発による吸熱によって対象物の温度を下げるものなどが知られている(例えば、特許文献1など)。
【0003】
夏場などに屋外で冷却用エアゾール製品を使用する場合には、上半身などの比較的広い面積に対して噴霧して、「浴びるように」使用したいというニーズがある。このため、冷却用エアゾール製品に対しては、より広い面積を十分に冷却できる能力が求められている。
【0004】
しかし、噴射面積を広げると、噴射された霧は、噴射方向の中心部から垂直方向へ遠くなるとともに薄くなる特徴があるため、高冷却可能な範囲を広げることが難しいという問題が生じる。これに対して、冷却効果を高めるには、単位時間当たりの噴射量を増やす方法が考えられる。しかし、この方法では、噴射方向の中心部が局所的に冷却され過ぎて、凍傷を生じるおそれがある。また、噴射圧が強くなるため、薬剤の舞い散りが強くなるとともに、噴射音が大きくなる弊害がある。
従って、広範囲に十分な冷却効果を発揮できる冷却用エアゾール製品は得られていないのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−99868号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述したような問題点を解決すべくなされたものであって、適正な冷却力で広範囲に且つ均一に冷却することができる冷却用エアゾール製品を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内容物を収容する容器本体と、前記容器本体の頭頂部に設けられ且つ前記容器本体に充填された前記内容物が流入孔から流入するハウジングと、前記ハウジング上部から突出して設けられ且つ付勢手段により上方向に付勢されたステムとを有するバルブと、前記ステムの上部に配置されたアクチュエーターとを備え、前記アクチュエーターを押圧することにより前記内容物を噴出させ冷却する及び/又は冷感を与える冷却用エアゾール製品であって、前記内容物は液化ガスを含有し、前記アクチュエーターが、前記内容物を噴出させるための6以上の噴口を有し、前記ステムが、該ステムの内部流路に前記内容物を導入するためのステムオリフィス孔を有し、前記6以上の噴口の総開口面積と前記ステムオリフィス孔の総開口面積との比(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)が1〜80であることを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記液化ガスが前記内容物中に60〜100質量%含まれる。
【0009】
好ましくは、上記噴口の開口面積が、それぞれ、0.05〜1.0mmである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、内容物が少なくとも液化ガスを含有し、アクチュエーターが内容物を噴出させるための6以上の噴口を有し、ステムがステムに備えられた内部流路に内容物を導入するためのステムオリフィス孔を有し、前記6以上の噴口の総開口面積と前記ステムオリフィス孔の総開口面積との比(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)が1〜80であることにより、内容物を大きな液滴のまま遠くへ広範囲に且つ均一に噴出させることができるので、適正な冷却力で広範囲に且つ均一に冷却することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明に係る冷却用エアゾール製品の構造を説明するための断面図である。
図2】本発明に係る冷却用エアゾール製品のバルブ周辺の断面図である。
図3】本発明に係る冷却用エアゾール製品のアクチュエーターの(a)正面図、(b)A−A断面図である。
図4】本発明に係る冷却用エアゾール製品のノズルの(a)正面図、(b)B−B断面図である。
図5】本発明に係る冷却用エアゾール製品の、第2実施形態のノズルのB−B断面図である。
図6】本発明に係る冷却用エアゾール製品の、第3実施形態のノズルの(a)正面図、(b)C−C断面図、(c)斜視図である。
図7】本発明に係る冷却用エアゾール製品の、第4実施形態のノズルの(a)正面図、(b)D−D断面図、(c)斜視図である。
図8】本発明に係る冷却用エアゾール製品のアクチュエーターの斜視図であって、(a)噴口が6穴の場合、(b)噴口が12穴の場合、(c)噴口が28穴の場合の斜視図である。
図9】奥行方向に段差を有している噴口の開口面積を説明するための図であり、(a)その噴口の正面図、(b)その噴口のE−E断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る冷却用エアゾール製品について図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る冷却用エアゾール製品の構成を説明するための図である。
本発明に係る冷却用エアゾール製品(100)は、容器本体(A)と、噴出装置(B)と、容器本体(A)の中に収容された内容物とを必須の構成成分として構成される。
【0014】
[内容物]
容器本体(A)の中には、内容物が収容されている。上記内容物は、特に限定されないが、噴射剤のみ、又は、原液と噴射剤とから構成される。なおかつ、上記内容物は、液化ガスを少なくとも含有する。上記内容物が原液と噴射剤とから構成される場合、上記原液中に上記噴射剤の一部が溶け込み完全に相溶し均一になっていてもよいし、上記噴射剤が上記原液に溶け込まず両者が不均一な状態で存在していてもよい。
【0015】
図1は、内容物が容器内に収容されている一例を示す。一般的には、上記内容物は、容器本体(A)の中において、液相(C)と気相(D)に分離して存在している。気相(D)は噴射剤の気体成分から構成されている。また、液相(C)は、噴射剤の液体成分のみから構成されているか、又は、噴射剤の液体成分と原液とから構成されている。
【0016】
上記液化ガスとしては、特に限定されないが、液化石油ガス(LPG:Liquefied Petroleum Gas)、ジメチルエーテル(DME:Dimethyl ether)、イソペンタン、フロロカーボンが挙げられる。中でも、噴射力、環境保全や生産性の観点から、LPG、DMEが好ましく、特にLPGはプロパンやブタンの比率により冷却能、噴射能を制御できるためより好ましい。上記LPGとしては、特に限定されないが、プロパンを0.1〜50質量%(より好ましくは1〜20質量%)、及びブタンを50〜99.9質量%(より好ましくは80〜99質量%)含むLPGが好ましい。
【0017】
上記液化ガスの20℃における蒸気圧は、冷却効果をより向上する観点から、0.45MPa以下(例えば、0.1〜0.45MPa)が好ましく、より好ましくは0.15〜0.25MPaである。上記蒸気圧が0.45MPa以下であることにより、容器から噴射された液化ガスが肌に接触する前に気化しにくく、液化ガスが肌に接触した後に気化することにより、本発明の冷却用エアゾール製品の冷却力がより向上するため好ましい。
【0018】
上記内容物中、上記液化ガスの含有量は、特に限定されないが、上記内容物100質量%に対して、60〜100質量%(60質量%以上100質量%以下)が好ましく、より好ましくは70〜100質量%、さらに好ましくは80〜100質量%である。液化ガスの含有量を上記範囲とすることにより、液化ガスの気化により発現する冷却力が向上し、本発明の冷却用エアゾール製品の冷却力が向上するため好ましい。
【0019】
上記噴射剤は、上記液化ガスを必須成分として含有する。さらに、上記噴射剤は、空気、窒素、炭酸ガス、亜酸化窒素等のガス、特に、圧縮ガスを含有してもよい。
【0020】
上記原液は、特に限定されないが、例えば、水;エタノール;メントール、メントール誘導体(例えば、メンチルグリセリルエーテル、メンチルラクテート、メントール配糖体等)、カンファ、ハッカ油、ペパーミント油、ユーカリプタスオイル等の冷感剤;リナロール、ゲラニオール、ヒドロキシシトロネラール、ユーカリプトール等の香料;塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、クロロヒドロキシアルミニウム、アラントインクロロヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛等の制汗剤;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ハロカルバン、トリクロロカルバニリド、塩酸クロルヘキシジン、イソプロピルメチルフェノール、トリクロサン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化リゾチーム等の殺菌剤;酸化亜鉛、アルキルジエタノールアミド、ヒドロキシアパタイト、茶抽出物、シクロデキストリン誘導体等の消臭剤;グリチルリチン酸ジカリウム、アラントイン、ヒノキチオール等の抗炎症剤;アルブチン、アスコルビン酸及びその誘導体等の美白剤;シャクヤク、ボタンピ、ビワ、アロエ等の植物抽出エキス;1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−デカンジオール等の多価アルコール;カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシエチルセルロース、グアーガム、キサンタンガム等の増粘性高分子;セチルアルコール、ステアリルアルコール等の高級アルコール;流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素;ミリスチン酸イソプロピル、2−エチルヘキサン酸セチル等の脂肪酸エステル;エデト酸塩、リン酸、ポリリン酸ナトリウム等の金属イオン封鎖剤;トコフェロール及びその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸塩等の酸化防止剤;フェノキエタノール、オクトキシグリセリン、パラベン等の防腐剤;シリカ、タルク、マイカ、ナイロンパウダー等の粉体;ジメチコンやジメチコノールなどのシリコーン油などを含有してもよい。
【0021】
上記原液は、室温(23℃)で液状であり且つ凝固点が−15℃以上である成分を含有してもよい。上記室温(23℃)で液状であり且つ凝固点が−15℃以上である成分の含有量は、本発明のエアゾール製品の噴射性をより向上させる観点から、上記原液100質量%に対して、80質量%未満であることが好ましく、より好ましくは60質量%未満である。上記含有量が80質量%以上では、内容物が噴口付近で凝固して噴射性が低下する場合がある。上記室温で液状であり且つ凝固点が−15℃以上である成分としては、例えば、水、ミリスチン酸ブチル、デシルテトラデカノール等が挙げられる。特に、上記原液中、水の含有量が80質量%未満であることが好ましく、より好ましくは60質量%未満である。
【0022】
[噴出装置]
噴出装置(B)は、図1及び図2に示す如く、アクチュエーター(1)、エアゾール容器用バルブ(2)(以下、単にバルブ(2)と称すこともある)、マウンテンカップ(4)、ディップチューブ(3)等から構成され、バルブ(2)は、ハウジング(21)、ステム(22)、等からなる。
具体的には、容器本体(A)の頭頂部に備えられたマウンテンカップ(4)のボス部(41)にバルブ(2)のハウジング(21)等が嵌着され、バルブ(2)上端部にアクチュエーター(1)が装着されている。また、バルブ(2)の下端部からはディップチューブ(3)が下方に延設されており、ディップチューブ(3)の下部は容器本体(A)の液相(C)内に浸漬されている。
【0023】
バルブ(2)は、エアゾール容器本体の頭頂部に設けられたハウジング(21)と、ハウジング(21)上部から突出して設けられ且つ付勢手段(23)により上方向に付勢されたステム(22)を有する。また、ハウジング(21)の内部空間は、ステム基端部(22a)が挿入される上方空間(211)と、ディップチューブ(3)の内部空間と連通する下方空間(212)とを備えており、上方空間(211)と下方空間(212)は連通している。ディップチューブ(3)から吸い上げられた液相(C)は、下方空間(212)を通ってハウジング(21)内へ吸い上げられる。すなわち、ハウジング(21)は、容器本体(A)に充填された内容物が流入孔から流入するように構成されている。また、ステム(22)は、該ステム(22)の内部流路に内容物を導入するためのステムオリフィス孔(221)を少なくとも有する。
なお、付勢手段(23)としてはコイルバネ等を用いることができる。
【0024】
エアゾール容器における内容物の噴出操作について説明することにより、バルブ(2)についてより詳しく説明する。
図2において、左半分は不使用時(噴出時以外のとき)の状態を示し、右半分は使用時(噴出時)の状態を示している。
不使用時、ステム(22)は付勢手段(23)により上方向へと付勢されている(図2の左半分参照)。これにより、ステム(22)下部とハウジング(21)上部とがシールラバー(24)を介して密接した状態、即ちバルブ(2)が閉鎖した状態となっている。
そして、内容物を噴出する際は、付勢手段(23)の上方向の付勢力に抗してステム(22)を下動させることにより、バルブ(2)を開放する(図2の右半分参照)。具体的には、ステム(22)上に備えられたアクチュエーター(1)を押圧することによりステム(22)を押し下げる。ステム(22)を押し下げると、シールラバー(24)が下方へ撓みステムオリフィス孔(221)が開放される。そして、容器本体(A)内に充填された液相(C)の界面が気相(D)によって下方向に押され、内容物がディップチューブ(3)から吸い上げられる。ディップチューブ(3)から吸い上げられた内容物は、下方空間(212)、上方空間(211)、ステムオリフィス孔(221)、ステム(22)の内部流路(222)を順に通って、アクチュエーター(1)の噴口(111)から噴出される。
【0025】
図3は、本発明に係る冷却用エアゾール製品のアクチュエーター(1)の一例の(a)正面図、(b)A−A断面図である。
アクチュエーター(1)は、ステム(22)の上部に配置されている。アクチュエーター(1)は、内容物を外部に噴出するためのノズル(11)と、ステム(22)と接合するためのステム接合部(12)を備えている。ノズル(11)はノズル内部流路(112)と噴口(111)を備えており、下方からステム(22)の内部流路(222)を通ってきた内容物は、流路(13)、ノズル内部流路(112)を順に通り、噴口(111)から噴出される。
尚、本発明においては、アクチュエーター(1)は必ずしもステム(22)に常に接触するように接合している必要はない。アクチュエーター(1)は、押圧時にステム(22)を押し下げることができるように取り付けられていればよく、例えばアクチュエーター(1)が非押圧時にはステム(22)と非接触状態にあるが、押圧時にステム(22)に接触してステムを押し下げるように構成されていてもよい。
【0026】
図4は、本発明に係る冷却用エアゾール製品のノズルの一例の(a)正面図、(b)B−B断面図である。
本発明において、ノズル(11)は6以上の噴口(111)を有している。本発明における噴口の数は、内容物を広範囲に均一に噴霧して広範囲を均一に冷却する観点から、6以上であり、好ましくは6〜28、さらに好ましくは12〜20である。噴口の数が5以下の場合には、広範囲を均一に冷却することが困難となる。少ない噴口数で、広範囲を冷却するために噴射量を増やす場合には、噴射方向の中心部が局所的に冷却され過ぎる、内容物の舞い散りが強くなる、噴射音が大きくなるなどの問題が生じる。なお、図4は、噴口(111)が6穴の場合を示しているが、例えば、図8の(b)、(c)の如く、12穴、28穴であってもよく、その他の穴数であってもよい。
【0027】
噴口(111)の総開口面積は、ステムオリフィス孔(221)の総開口面積との比で規定される。本発明において、6以上の噴口(111)の総開口面積とステムオリフィス孔(221)の総開口面積との比(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)は1〜80であり、好ましくは3〜45、より好ましくは5〜30である。これにより、内容物を大きな液滴のまま遠くへ広範囲に且つ均一に噴出させることができるので、適正な冷却力で広範囲を均一に冷却することができる。上記比(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)が1未満である場合、噴出される霧が細かくなり過ぎるため好ましくない。80を超える場合は、噴射の勢いが弱くなるため好ましくない。
ステムオリフィス孔(221)は、1つであってもよく複数形成されていてもよい。
【0028】
なお、本明細書中において、「開口面積」とは最も狭いところの開口面積を意味する。図9は、奥行方向に段差を有している噴口(111)の「開口面積」を説明するための図であり、(a)はその噴口(111)の正面図、(b)はその噴口(111)のE−E断面図である。例えば、図9に示した噴口(111)においては、半径が最も小さい部分[図9(b)におけるF]が噴口の最も狭いところであり、図9(a)中ドットで示した領域(G)の面積が「開口面積」である。また、「噴口の総開口面積」とは、全ての噴口の開口面積の合計を意味する。さらに、「ステムオリフィス孔の総開口面積」とは、全てのステムオリフィス孔の開口面積の合計を意味する。
【0029】
噴口(111)の総開口面積は、特に限定されないが、十分な噴射の勢いを保ちつつ、広範囲に内容物を噴霧し、広範囲を冷却する効果をより一層向上する観点から、0.3〜15mmであることが好ましく、より好ましくは1.5〜10mmである。0.3mm未満である場合、噴射量が低下する場合がある。15mmを超える場合は、噴射の勢いが弱くなり、肌に到達しにくい場合がある。
各噴口(111)の開口面積(即ち、噴口1つあたりの開口面積)は、特に限定されないが、各噴口から大きな液滴を広範囲に均一に噴霧し、広範囲を冷却する効果をより一層向上する観点から、それぞれ、0.05〜1.0mmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜0.6mmである。0.05mm未満である場合、液滴が小さくなり過ぎ内容物が舞い散ってしまうので、冷却力が十分に発揮されない場合がある。1.0mmを超える場合は、その噴口から内容物が多量に噴出され、他の穴からの噴出を妨げる場合がある。
【0030】
図4に示す如く、ノズル(11)は、噴口(111)の内側の領域でノズル内部流路(112)に突出するボス(113)を備えることができる。ボス(113)があることにより、内容物を各噴口に案内しやすくなり好ましい。
しかし、本発明に係る冷却用エアゾール製品の、第2実施形態のノズルの側面断面図である図5に示すように、ボス(113)は無くても構わない。
【0031】
図6は、本発明に係る冷却用エアゾール製品の、第3実施形態のノズルの(a)正面図、(b)C−C断面図、(c)斜視図である。
ステム(22)を通ってきた内容物は、ノズル内部流路(112)を通り、次いでノズル内部流路(112)及び各噴口(111)と連通する案内部(116)を通って、各噴口(111)から噴出される。
各噴口(111)の間隔は適宜決定することができる。
【0032】
図7は、本発明に係る冷却用エアゾール製品の、第4実施形態のノズルの(a)正面図、(b)D−D断面図、(c)斜視図である。
このノズル(11)は、第1凸部(114)と第2凸部(115)を有しており、第2凸部(115)に対し第1凸部(114)が高く形成されている。噴口(111)は、その中心付近が第1凸部(114)及び第2凸部(115)の円周上に形成されている。これにより、ノズル内部流路(112)、案内部(116)を通ってきた内容物の一部は噴口(111)の内壁に衝突し、半径方向外側に噴出されるので、より広範囲に内容物を噴出させることができる。
【0033】
再び、図2を参照する。
図2におけるハウジング(21)は、側面に気相取込開口(VT)(213)と底面に液相取込開口(UT)(214)とを備えている。気相取込開口(VT)(213)から内容物の気相(D)を上方空間(211)に導入し、液相取込開口(UT)(214)から内容物の液相(C)を下方空間(212)に導入する。導入されたこの気相(D)と液相(C)は、ステム(22)の側面に設けられたステムオリフィス孔(221)から内部流路(222)に導入され、アクチュエーター(1)に吸い上げられる。なお、本発明においては、ハウジングは気相取込開口(VT)を備えていなくてもよい。
気相取込開口(VT)(213)の総開口面積と液相取込開口(UT)(214)の総開口面積の比率(VT/UT)は0.5以下(即ち、0〜0.5)であることが好ましく、より好ましくは0〜0.3である。この範囲とすることにより、噴出される霧における気相と液相の比率をより一層適正化することができ、より一層冷却力が向上するため好ましい。上記比率(VT/UT)が0.5を超えると、噴出される霧の気体比率が高過ぎるため冷却力が低下する場合がある。
【0034】
液相取込開口(UT)(214)の総開口面積は、特に限定されないが、0.5mm以上が好ましく、より好ましくは0.75〜4.0mmである。液相取込開口(UT)(214)の総開口面積をこの範囲とすることにより、十分な量の液相を噴出させることができ、より一層冷却力が向上するため好ましい。
【0035】
[物性]
本発明に係る冷却用エアゾール製品の噴射量は、特に限定されないが、0.3〜3.0g/秒が好ましく、より好ましくは0.5〜2.0g/秒である。
【0036】
[用途]
本発明に係る冷却用エアゾール製品は、内容物を噴霧することにより、冷却する及び/又は冷感を与えるエアゾールスプレー製品である。本発明に係る冷却用エアゾール製品は、特に限定されないが、人に対して用いる人用の冷却用エアゾール製品であることが好ましい。本発明に係る冷却用エアゾール製品の適用部位は、特に限定されないが、例えば、腕部、足部、胸部、背部、頭部、脇部、脚部、腹部などが挙げられる。また、本発明に係る冷却用エアゾール製品は、人体が触れる衣類やタオル、ソファーなどに対して用いてもよい。
本発明に係る冷却用エアゾール製品は、例えば、噴口を冷却したい部位の方向に向けて、アクチュエーターを押すことにより使用する。
【0037】
本発明に係る冷却用エアゾール製品は、冷却する及び/又は冷感を与える効果に加えて、さらに、例えば、体臭抑制効果、制汗効果、保湿効果、香りを付する効果、紫外線防止効果、育毛効果、殺菌効果等を有していてもよい。中でも、さらに体臭抑制効果を有していることが好ましい。
【0038】
本発明に係る冷却用エアゾール製品は、液化ガスを必須成分とする内容物を有するため、液化ガスの気化により、対象物を冷却しうる。また、本発明に係る冷却用エアゾール製品のアクチュエーターは、6以上の噴口を有しているため、上記内容物を広い範囲に均一に噴出(噴霧)することができる。さらに、上記6以上の噴口の総開口面積と上記ステムオリフィス孔の総開口面積との比(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)が1〜80であることにより、内容物を比較的大きな液滴のまま噴出させることができる。このため、液化ガスが対象物に届いた後に気化するため、広範囲に噴出されても、適正な冷却力を発揮することができる。これらにより、本発明に係る冷却用エアゾール製品は、広範囲に且つ均一に適正な冷却力で冷却することができる。このため、冷却する及び/又は冷感を与える冷却用エアゾール製品として極めて優れた効果を発揮し得る。
【実施例】
【0039】
以下、本発明の実施例を示すことにより、本発明の効果をより明確なものとする。しかし、以下の実施例に限定されるものではない。
【0040】
(試験1:噴口の総開口面積とステムオリフィス孔の総開口面積との比)
表1〜3に記載する噴口数、噴口径、噴口面積、ステムオリフィス孔径、ステムオリフィス孔面積を有する本発明に係るエアゾール容器に内容物を充填し、エアゾール製品を製造した。
内容物としては、エタノール100質量%からなる原液と、液化石油ガス(LPG)100質量%からなる噴射剤を、原液:LPG(質量比)が5:95で混合したもの(内容量:100g)を用いた。
そして、内容物を噴出させたときの噴出状態を、下記評価基準に従って評価し、表1〜3に示した。表中の「比」は(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)の値である。
<評価基準>
◎:優れた噴出状態
○:使用可能な噴出状態
×:不良な噴出状態
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
表1〜3の結果から、(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)は1〜80の場合に広範囲を適正に冷却することができ、3〜45の場合でより広範囲をより適正に冷却することができたことがわかる。1未満の場合は霧が細かすぎて冷却効果が小さかった。一方、80を超える場合は、噴射が弱すぎた。
【0045】
実施例1〜14、比較例1〜5(但し、実施例1および11は参考例である)
表4〜7に記載する噴口数、噴口径、噴口面積、ステムオリフィス孔径、ステムオリフィス孔面積を有するエアゾール容器(容量:294mL)に内容物(質量:100g)を充填し、エアゾール製品を製造した。なお、上記エアゾール容器におけるハウジングは気相取込開口(VT)を備えておらず、液相取込開口(UT)(個数1つ)の開口面積は3.80mmであった。
内容物としては、表4〜7に示したものを用いた。なお、エタノール、水、LPG、DMEとしては、それぞれ以下のものを用いた。
エタノール: 99度合成無変性アルコール、信和アルコール産業株式会社製
水 : 精製水
LPG : ブタン99質量%、プロパン1質量%、小池化学株式会社製、20℃における蒸気圧0.15MPa
DME : 小池化学株式会社製、20℃における蒸気圧0.41MPa

【0046】
(評価)
実施例及び比較例で得られた各エアゾール製品について、以下の評価を行った。評価結果は表に記載した。評価はいずれも20℃±1℃の条件下で行った。
【0047】
(1)冷感
20cmと30cmのそれぞれの噴射距離で、露出した上腕部に対して、0.5秒間、各エアゾール製品の噴射を行い、以下の評価基準で評価した。なお、点数は10人の官能評価パネルの平均点とした。
<評価基準>
1:冷却感をなにも感じない
2:わずかに冷却感を感じる
3:はっきりと冷却感を感じる
4:少し強い冷却感を感じる
5:強い冷却感を感じる
【0048】
(2)温度
縦380cm×横330cmのワイピングクロス(日本製紙クレシア株式会社製、商品名「キムタオル(品番:61000)」を地面に対して垂直に吊るし、20cm離れた位置から、各エアゾール製品を0.5秒間噴射した。噴射中心部、噴射中心部から1cm離れた位置、噴射中心部から2cm離れた位置における、噴射3秒後の上記ワイピングクロスの温度を、サーモグラフィ(メーカー名:NEC Avio赤外線テクノロジー株式会社製、商品名:TVS−500EX)を用いて測定した。
なお、噴射は正立状態で行い、噴射中心部とは、ワイピングクロスにおいて、エアゾール製品のノズルとの距離が最も近い部分(即ち、ノズルとの距離が20cmである部分)を意味する。
【0049】
(3)噴射量
各エアゾール製品を5秒間噴射し、噴射前後での質量変化から算出した。
【0050】
(4)噴出状態
各エアゾール製品を噴射した際の、噴出状態(勢い、霧の細かさ)を観察した。
【0051】
なお、実施例3の冷却用エアゾール製品については、より広範囲の冷却能も評価した。
縦380cm×横330cmのワイピングクロス(日本製紙クレシア株式会社製、商品名「キムタオル(品番:61000)」を地面に対して垂直に吊るし、30cm離れた位置から、実施例3の冷却用エアゾール製品を、を0.5秒間噴射した。噴射中心部、噴射中心部から1、2、3、4cm離れた位置における、噴射3秒後の上記ワイピングクロスの温度を、サーモグラフィ(メーカー名:NEC Avio赤外線テクノロジー株式会社製、商品名:TVS−500EX)を用いて測定した。
その結果、噴射中心部の温度は−24.3℃;噴射中心部から1cm離れた位置の温度は−24.9℃;噴射中心部から2cm離れた位置の温度は−23.7℃;噴射中心部から3cm離れた位置の温度は−24.0℃;噴射中心部から4cm離れた位置の温度は−20.6℃であった。
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
上記結果より、本発明の冷却用エアゾール製品(実施例)は、広範囲にわたり、適正に冷却し、冷感を与えることができることがわかった。一方、噴口数が少ない場合や比(噴口の総開口面積/ステムオリフィス孔の総開口面積)が請求項1の範囲を外れる場合(比較例)には、広範囲を適正に冷却できないことがわかった。
【0057】
以下に、本発明に係るエアゾール製品の処方例を示す。なお、容器本体や噴出装置としては、上記の実施例に例示したものを用いることができる。
【0058】
処方例1(冷却デオドラントスプレー)
(原液)
エタノール 98.2質量%
L−メントール 0.9質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.1質量%
パラフェノールスルホン酸亜鉛 0.3質量%
香料 0.5質量%
(噴射剤)
LPG(プロパン1質量%/ブタン99質量%、20℃における蒸気圧0.15MPa)
100質量%
原液/噴射剤(質量比)=10/90
【0059】
処方例2(冷却デオドラントスプレー)
(原液)
ミリスチン酸イソプロピル 59.7質量%
L−メントール 0.1質量%
トリクロサン 0.2質量%
クロルヒドロキシアルミニウム 10質量%
シリカ 30質量%
(噴射剤)
LPG(プロパン1質量%/ブタン99質量%、20℃における蒸気圧0.15MPa)
80質量%
イソペンタン(20℃における蒸気圧0.08MPa) 20質量%
原液/噴射剤(質量比)=7.5/92.5
エアゾール容器におけるハウジングの気相取込開口(VT)の開口面積:0.38mm
エアゾール容器におけるハウジングの液相取込開口(UT)の開口面積:3.80mm
【0060】
処方例3(冷却UVスプレー)
(原液)
シクロペンタシロキサン 74.8質量%
酸化亜鉛 3質量%
酸化チタン 3質量%
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5質量%
流動パラフィン 10質量%
オクテニルコハク酸トウモロコシデンプンAL 4質量%
香料 0.2質量%
(噴射剤)
LPG(プロパン1質量%/ブタン99質量%、20℃における蒸気圧0.15MPa)
100質量%
原液/噴射剤(質量比)=30/70
【0061】
処方例4(冷却フレグランススプレー)
(原液)
エタノール 93質量%
香料 5質量%
イソノナン酸イソノニル 2質量%
(噴射剤)
LPG(プロパン20質量%/ブタン80質量%、20℃における蒸気圧0.29MPa)
100質量%
原液/噴射剤(質量比)=15/85
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、内容物を霧状に噴出する形式の冷却用エアゾール製品に好適に利用される。
【符号の説明】
【0063】
1 アクチュエーター
11 ノズル
111 噴口
112 ノズル内部流路
113 ボス
114 第1凸部
115 第2凸部
116 案内部
12 ステム接合部
2 バルブ
21 ハウジング
211 上方空間
212 下方空間
213 気相取込開口(VT)
214 液相取込開口(UT)
22 ステム
221 ステムオリフィス孔
222 内部流路
23 付勢手段
24 シールラバー
3 ディップチューブ
4 マウンテンカップ
41 ボス部
100 冷却用エアゾール製品
A 容器本体
B 噴出装置
C 液相
D 気相
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9