特許第6222739号(P6222739)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222739
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/641 20060101AFI20171023BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20171023BHJP
   H01R 33/76 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   H01R13/641
   H01R12/71
   H01R33/76 504C
【請求項の数】11
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-112390(P2014-112390)
(22)【出願日】2014年5月30日
(65)【公開番号】特開2015-228281(P2015-228281A)
(43)【公開日】2015年12月17日
【審査請求日】2017年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091557
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 修
(72)【発明者】
【氏名】古本 哲也
【審査官】 高橋 学
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−226973(JP,A)
【文献】 特開2012−129030(JP,A)
【文献】 特開2008−270100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/641
H01R 12/71
H01R 33/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンタクトと、前記複数のコンタクトを保持する平板状の保持部材とを備え、相手側コネクタと接続するコネクタにおいて、
前記コンタクトは、
前記保持部材の一方の面側に配置され、接続対象物と接続する接続部と、
前記保持部材の他方の面側に配置され、前記相手側コネクタの相手側接触部と接触する接触部と、
前記接続部と前記接触部とを連結する連結部とを有し、
前記保持部材は、
複数の前記連結部を保持する帯状の複数の保持部と、
並列に配置された前記複数の保持部を連結する保持部材側連結部と、
前記接続部と前記接続対象物の端子部との接続状態を前記保持部材の他方の面側から目視するための複数の視認部とを有し、
前記視認部が前記保持部に隣接している
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記接続部が、前記接続対象物の端子部のグリッド状配列に対応するように配置され、
前記保持部材の板厚方向へ前記接続部が前記連結部に連なる
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記保持部材側連結部は、
前記複数の保持部の両端を支持する枠部と、
前記複数の保持部と交差するように前記枠部に架け渡された複数の帯状部とを有し、
前記視認部が孔である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記保持部材は弾性を有し、
前記保持部と前記帯状部のうち少なくとも一方が波形である
ことを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記保持部材は弾性を有し、
前記保持部と前記帯状部のうち少なくとも一方が直線状である
ことを特徴とする請求項3に記載のコネクタ。
【請求項6】
一対の孔が、前記連結部の両側に隣接するように前記保持部に形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記接続部が平板状である
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記接触部が、
前記保持部材の他方の面に対して垂直に突出し、前記相手側接触部に挿入される形状である
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項9】
前記保持部材の少なくとも一方の面の周縁部に固定された補強部材を備えている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項10】
前記接続対象物が電子部品であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項11】
前記接続対象物がプリント基板であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図22に示すように、平板状のハウジング911と、ハウジング911の一方の面に設けられた複数の導体パッド951と、各導体パッド951の表面から突出する突出端子953と、ハウジング911の他方の面に設けられた複数の接続パッド(図示せず)と、各接続パッドと各導体パッド951とを電気的に接続する導電トレース(図示せず)とを有する雄コネクタ901が知られている(下記特許文献1参照)。雄コネクタ901は図23に示すように雌コネクタ9101とともにモジュール用ソケットを構成する。モジュール用ソケットは、カメラモジュール等のモジュール991を携帯電話等の小型電子機器に実装するために使用される。
【0003】
ハウジング911は略矩形であり、その四隅にはそれぞれ切欠部913が形成されている。モジュール991の下面の四隅にはそれぞれモジュール991の切欠部913に嵌合可能な突出脚部993が設けられている。
【0004】
雄コネクタ901をモジュール991の下面に取り付けるとき、モジュール991の突出脚部993とハウジング911の切欠部913とが嵌り合うようにする。その結果、モジュール991に対して雄コネクタ901が位置決めされる。また、雄コネクタ901の接続パッドは、モジュール991の下面に形成された接続パッド(図示せず)に半田付けされ、雄コネクタ901はモジュール991に機械的かつ電気的に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012−226973号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
雄コネクタ901をモジュール991に接続した後、雄コネクタ901の接続パッドとモジュール991の接続パッドとの接続状態を外部から目視できない。
【0007】
したがって、雄コネクタ901の接続パッドとモジュール991の接続パッドとの接続状態の良否を判断するには、例えば高価なX線非破壊検査装置等を用いなければならず、これが雄コネクタ901の検査コストを高くする一因になっていた。
【0008】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、コンタクトの接続部と接続対象物の端子部との接続状態を目視できるようにして、コネクタの検査コストを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため請求項1に記載の発明は、複数のコンタクトと、前記複数のコンタクトを保持する平板状の保持部材とを備え、相手側コネクタと接続するコネクタにおいて、前記コンタクトは、前記保持部材の一方の面側に配置され、接続対象物と接続する接続部と、前記保持部材の他方の面側に配置され、前記相手側コネクタの相手側接触部と接触する接触部と、前記接続部と前記接触部とを連結する連結部とを有し、前記保持部材は、複数の前記連結部を保持する帯状の複数の保持部と、並列に配置された前記複数の保持部を連結する保持部材側連結部と、前記接続部と前記接続対象物の端子部との接続状態を前記保持部材の他方の面側から目視するための複数の視認部とを有し、前記視認部が前記保持部に隣接していることを特徴とする。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のコネクタにおいて、前記接続部が、前記接続対象物の端子部のグリッド状配列に対応するように配置され、前記保持部材の板厚方向へ前記接続部が前記連結部に連なることを特徴とする。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のコネクタにおいて、前記保持部材側連結部は、前記複数の保持部の両端を支持する枠部と、前記複数の保持部と交差するように前記枠部に架け渡された複数の帯状部とを有し、前記視認部が孔であることを特徴とする。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のコネクタにおいて、前記保持部材は弾性を有し、前記保持部と前記帯状部のうち少なくとも一方が波形であることを特徴とする。
【0013】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載のコネクタにおいて、前記保持部材は弾性を有し、前記保持部と前記帯状部のうち少なくとも一方が直線状であることを特徴とする。
【0014】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載のコネクタにおいて、一対の孔が、前記連結部の両側に隣接するように前記保持部に形成されていることを特徴とする。
【0015】
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、前記接続部が平板状であることを特徴とする。
【0016】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、前記接触部が、前記保持部材の他方の面に対して垂直に突出し、前記相手側接触部に挿入される形状であることを特徴とする。
【0017】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜8のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、前記保持部材の少なくとも一方の面の周縁部に固定された補強部材を備えていることを特徴とする。
【0018】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、前記接続対象物が電子部品であることを特徴とする。
【0019】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜9のいずれか1項に記載のコネクタにおいて、前記接続対象物がプリント基板であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明によれば、コンタクトの接続部と接続対象物の端子部との接続状態を目視でき、コネクタの検査コストを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】この発明の第1実施形態に係る雄側コネクタの斜視図である。
図2図1に示す雄側コネクタの平面図である。
図3図1に示す雄側コネクタを裏返した状態を示す斜視図である。
図4図1に示す雄側コネクタの底面図である。
図5図1に示す雄側コネクタを絶縁性の部材と金属製の部材とに分けた状態を示す分解斜視図である。
図6図1のA部の拡大図である。
図7図2のB部の拡大図である。
図8図3のC部の拡大図である。
図9図4のD部の拡大図である。
図10】この発明の第2実施形態に係る雌側コネクタの斜視図である。この雌側コネクタは図1に示す雄側コネクタの相手側コネクタである。
図11図10に示す雌側コネクタの平面図である。
図12図10に示す雌側コネクタを裏返した状態を示す斜視図である。
図13図10に示す雌側コネクタの底面図である。
図14図1に示す雄側コネクタの第1変形例の一部分の拡大斜視図である。
図15図1に示す雄側コネクタの第1変形例の一部分の拡大平面図である。
図16図1に示す雄側コネクタの第2変形例の一部分の拡大斜視図である。
図17図1に示す雄側コネクタの第2変形例の一部分の拡大平面図である。
図18図10に示す雌側コネクタの第1変形例の斜視図である。
図19図18に示す雌側コネクタの平面図である。
図20図10に示す雌側コネクタの第2変形例の斜視図である。
図21図20に示す雌側コネクタの平面図である。
図22】従来の雄コネクタが取り付けられたモジュールの斜視図である。
図23】モジュールに取り付けられた雄コネクタを雌コネクタに嵌合した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
まず、この発明の第1実施形態に係る雄側コネクタ(コネクタ)10について説明する。図1図5に示すように、雄側コネクタ10は、複数の雄側コンタクト(コンタクト)13と複数の雄側コンタクト13を保持する平板状の雄側保持部材(保持部材)15と、雄側保持部材15の一方の面15Aの周縁部に固定された補強枠(補強部材)17とを備えている。雄側コネクタ10は、図示しないカメラモジュール等の電子部品(接続対象物)のコネクタとして使用され、図示しないプリント基板に実装された後述する雌側コネクタ30(図10参照)と嵌合し、接続する。雄側コネクタ10と雌側コネクタ30とが嵌合することにより、電子部品とプリント基板とが電気的に接続される。
【0024】
図6図9に示すように、雄側コンタクト13は接続部131と接触部132と連結部133(図示せず、保持部152により保持されている箇所であり、接続部131等で隠れて見えない部分)とを有する。雄側コンタクト13は例えば銅合金等の導電性材料で形成されている。
【0025】
接続部131は雄側保持部材15の一方の面15A側に配置され(図1参照)、電子部品のグリッド状に配列された端子部(図示せず、例えばボールグリッドアレイ)に接続される。接続部131は平板状であり、その平面形状は正方形である。接続部131は連結部133に対して雄側保持部材15の板厚方向へ連なる。
【0026】
接触部132は雄側保持部材15の他方の面15B側に配置されている(図3参照)。接触部132は雄側保持部材15の他方の面15Bに対して垂直に突出し、雌側コネクタ30の雌側コンタクト33の接触部332に接触可能である。接触部132は接触部本体132Aと抜け止め部132Bとを有する。雄側コネクタ10の雌側コネクタ30に対する相対的なスライド方向DSにおける接触部本体132Aの先端部は尖っている(図8参照)。抜け止め部132Bは平板状であり、その平面形状は接触部本体132Aの横断面形状と同じである。抜け止め部132Bの平面の面積は、接触部本体132Aの横断面の面積よりも大きい。抜け止め部132Bと雄側保持部材15の他方の面15Bとで、雌側コネクタ30の接触部332が雄側保持部材15の板厚方向で挟まれる。その結果、雄側コネクタ10が雌側コネクタ30と嵌合しているとき、接触部132が雌側コネクタ30の接触部332から抜けにくくなる。
【0027】
連結部133は接続部131と接触部132とを連結する。連結部133は雄側保持部材15の保持部152に形成された保持孔152A(図5参照)に入り、雄側保持部材15に保持されている。連結部133の横断面形状は接触部本体132Aの横断面形状と同じであり、連結部133の横断面の大きさは接触部本体132Aの横断面の大きさと同じである。
【0028】
雄側保持部材15は例えばポリイミドを材料とする絶縁性フィルムで形成され、弾性を有する。雄側保持部材15は複数の視認部(孔)151と複数の保持部152と保持部材側連結部153とを有する。
【0029】
各視認部151は、雄側コネクタ10が電子部品に実装された後に、接続部131と電子部品の端子部との接続状態を雄側保持部材15の他方の面15B側から目視するための孔である。すべての視認部151はいずれも保持部152に隣接している。
【0030】
複数の保持部152はそれぞれ帯状であり、同じ方向(後述する第1板状部154A、第2板状部154Bの長手方向と平行な方向)に沿って波形を描きながら延びている。各保持部152は複数の雄側コンタクト13の連結部133を保持する。保持部152には複数の保持孔152Aが等間隔に形成されている(図5参照)。各保持孔152Aには、雄側コンタクト13の連結部133が収容されている。保持部152によって保持された複数の雄側コンタクト13はグリッド状に並んでいる。
【0031】
保持部材側連結部153は枠部154と複数の帯状部155とで構成されている。
【0032】
枠部154は第1板状部154Aと第2板状部154Bと第3板状部154Cと第4板状部154Dとで構成されている(図3図5参照)。第1板状部154Aと第2板状部154Bとは互いに平行である。第3板状部154Cと第4板状部154Dとは互いに平行であり、第1板状部154A及び第2板状部154Bに対してそれぞれ直角である。枠部154は複数の保持部152の両端を支持し、複数の保持部152を連結している。
【0033】
複数の帯状部155はそれぞれ同じ方向(第3板状部154C、第4板状部154Dの長手方向と平行な方向)に沿って波形を描きながら延びている。各帯状部155は、第1板状部154Aと第2板状部154Bとの間に掛け渡されるとともに、保持部152の保持孔152Aが形成されている部分で、保持部152に対して垂直に交わっている。
【0034】
補強枠17は四角形の枠状であり、雄側保持部材15の一方の面15Aの周縁部に固定されている。
【0035】
次に、雄側コネクタ10の製造方法の一例を説明する。
【0036】
まず、雄側保持部材15の素材である四角形の絶縁性フィルム(図示せず)の一方の面に金属薄膜(図示せず)を形成する(薄膜形成工程)。薄膜形成方法としては例えばスパッタリング、蒸着、メッキ等がある。
【0037】
薄膜形成工程後、金属薄膜をエッチングして複数の接続部131と補強枠17とを形成する(パターニング工程)。
【0038】
パターニング工程後、絶縁性フィルムの他方の面をエッチングして複数の接続部131にそれぞれ達する複数の保持孔152Aを形成する(保持孔形成工程)。
【0039】
保持孔形成工程後、保持孔152Aに雄側コンタクト13の連結部133を形成して保持孔152Aを埋めるとともに、連結部133を接続部131に連ね、続けて連結部133上に接触部本体132Aを形成し、更に、接触部本体132A上に抜け止め部132Bを形成する(連結部及び接触部形成工程)。連結部133、接触部本体132A及び抜け止め部132Bの形成方法としては、例えば複数のメッキ層を重ねることによって所定形状の物体を形成するメッキ法がある。
【0040】
連結部及び接触部形成工程後、エッチング加工により雄側絶縁性フィルムに複数の孔(視認部)151を直交する二方向へ等間隔に形成する(孔形成工程)。その結果、絶縁性フィルムに、複数の保持部152、枠部154及び複数の帯状部155がそれぞれ形成される。
【0041】
以上の工程を経て雄側コネクタ10が製造される。
【0042】
雄側コンタクト13の接続部131を電子部品の端子部に接続するには、例えばリフロー半田付け方法によって行なう。視認部151が保持部152に隣接しているので、リフロー半田付け後、雄側コネクタ10の接続部131と電子部品の端子部との接続状態を、雄側保持部材15の他方の面15B側から視認部151を通じて目視することが可能である。
【0043】
雄側コンタクト13の接触部132は抜け止め部132Bを有しているが、抜け止め部132Bはなくてもよいし、接触部132の接触部本体132Aを円柱状に形成してもよく、接触部132の形状はどのような構造でも良い。また、スライド方向DSにスライドさせて相手側と接続するようにしたが、スライド方向DSと直交する雄側保持部材15の板厚方向で接続する構成であっても良い。
【0044】
次に、この発明の第2実施形態に係る雌側コネクタ(コネクタ)30について説明する。雌側コネクタ30は雄側コネクタ10から見れば相手側コネクタである。逆に、雄側コネクタ10は雌側コネクタ30から見れば相手側コネクタである。図10図13に示すように、雌側コネクタ30は、複数の雌側コンタクト(コンタクト)33と、複数の雌側コンタクト33を保持する平板状の雌側保持部材(保持部材)35と、雌側保持部材35の他方の面35Bに固定された補強枠(補強部材)37とを備えている。雌側コネクタ30は図示しないプリント基板(接続対象物)に実装される。
【0045】
雌側コンタクト33は接続部331と相手側接触部332と連結部334とを有する。雌側コンタクト33は雄側コンタクト13と同様の材料で形成されている。
【0046】
接続部331は雌側保持部材35の一方の面35A側に配置され(図12参照)、プリント基板に半田付けされる。接続部331は連結部334に対して雌側保持部材35の板厚方向へ連なる。接続部331は平板状であり、後述する保持孔352A(図12図13参照)を通じて一方の面35Aからわずかに突出している。
【0047】
相手側接触部332は雌側保持部材35の他方の面35B側に配置されている(図10参照)。相手側接触部332は一対の突出部332Aとアーム部332Bとを有する。突出部332Aはアーム部332Bを介して連結部334の一端部から後述する孔(視認部)351へ突出している。一対の突出部332Aは雄側コンタクト13の接触部132の接触部本体132Aを受け容れて挟む。なお、雌側コネクタ30の相手側接触部332は雄側コネクタ10から見れば相手側接触部であるが、雄側コネクタ10の接触部132は雌側コネクタ30から見れば相手側接触部である。
【0048】
連結部334は接続部331と相手側接触部332とを連結する。連結部334は雌側保持部材35の保持部352に保持されている。連結部334は連結部本体334Aと埋設部(図示せず)とを有する。連結部本体334Aは矩形の板状であり、雌側保持部材35の他方の面35B側に配置されている。埋設部は後述する保持孔352Aに埋設され、埋設部の一端は連結部本体334Aに連なり、埋設部の他端は接続部331に連なる。
【0049】
雌側保持部材35は雄側保持部材15と同様の材料で形成されている。雌側保持部材35は複数の孔351と複数の保持部352と保持部材側連結部353とを有する。
【0050】
各孔351は、雄側コネクタ10の接触部132を受容するための孔である。なお、各孔351は、雌側コネクタ30がプリント基板に実装された後に、雌側コンタクト33の接続部331とプリント基板にグリッド状に配列された図示しない端子部との接続状態を雌側保持部材35の他方の面35B側から目視することもでき、視認部を兼ねることができる。すべての孔351は保持部352に隣接している。
【0051】
複数の保持部352はそれぞれ帯状であり、同じ方向(後述する第1板状部354A、第2板状部354Bの長手方向と平行な方向)に沿って直線状に延びている。各保持部352は複数の雌側コンタクト33の連結部334を保持する。保持部352には複数の保持孔352Aが等間隔に形成されている。各保持孔352Aには、雌側コンタクト33の連結部334の埋設部が収容されている。保持部352によって保持された複数の雌側コンタクト33はグリッド状に並んでいる。
【0052】
第2実施形態の雌側コネクタ30では、図12図13の二点鎖線で示すように、第2板状部354Bに最も近い保持部352は第2板状部354Bと一体になっている。
【0053】
保持部材側連結部353は枠部354と複数の帯状部355とで構成されている。
【0054】
枠部354は第1板状部354Aと第2板状部354Bと第3板状部354Cと第4板状部354Dとで構成されている(図12図15参照)。第1板状部354Aと第2板状部354Bとは互いに平行である。第3板状部354Cと第4板状部354Dとは互いに平行であり、第1板状部354A及び第2板状部354Bに対してそれぞれ直角である。枠部354は複数の保持部352の両端を支持し、複数の保持部352を連結している。
【0055】
複数の帯状部355はそれぞれ帯状であり、同じ方向(第3板状部354C、第4板状部354Dの長手方向と平行な方向)に沿って直線状に延びている。各帯状部355は第1板状部354Aと第2板状部354Bとの間に掛け渡されるとともに、保持部352の隣接する2つの保持孔352Aの中間部分で保持部352に対して垂直に交わっている。
【0056】
補強枠37は、雌側保持部材35の枠部354の一方の面35Aの周縁部に固定されている。
【0057】
雌側コネクタ30は雄側コネクタ10と同様の方法で製造されるので、その製造方法の説明を省略する。
【0058】
雌側コンタクト33の接続部331をプリント基板に接続するには、例えばリフロー半田付け方法によって行う。孔351が保持部352に隣接しているので、接続部331とプリント基板の端子部との接続状態を雌側保持部材35の他方の面35B側から孔351を通じて目視することが可能である。
【0059】
電子部品に実装された雄側コネクタ10とプリント基板に実装された雌側コネクタ30とを接続するには、まず、雌側コネクタ30の雌側保持部材35の板厚方向に沿って雄側コネクタ10の接触部131を雌側コネクタ30の孔351に挿入する。
【0060】
次に、スライド方向DS(第3板状部354C及び第4板状部354Dの長手方向と平行な方向)に沿って雄側コネクタ10をスライドさせる。その結果、雄側コネクタ10の接触部132の接触部本体132Aは雌側コネクタ30の接触部332の一対の突出部332Aによって挟まれ、電子部品がプリント基板に電気的に接続される。
【0061】
雌側コンタクト33の接触部332は一対の突出部332Aを有しているが、突出形状に形成する必要はなく、雄側コンタクト13の接触部132と接続する形状であればよく、雌側コンタクト33の接触部332の形状はどのような構造でも良い。また、スライド方向DSに雄側コネクタ10をスライドさせて接続する構成であるが、スライド方向DSと直交する雄側保持部材15の板厚方向のみで接続する構成であっても良い。
【0062】
第1実施形態の雄側コネクタ10によれば、雄側コンタクト13の接続部131と電子部品の端子部との接続状態を、雄側保持部材15の他方の面15B側から視認部151を通じて目視できるので、高価で、しかも検査に時間のかかるX線非破壊検査装置を用いる必要が無くなり、すなわち客先等で実施する製品の検査コスト及び検査時間を減らすことができる。
【0063】
また、保持部152及び帯状部155がそれぞれ波形であり、伸縮し得るので、保持部152に保持された各雄側コンタクト13は直交する2方向(保持部152の長手方向と帯状部155の長手方向との2方向)へ移動できる。したがって、雄側コネクタ10と電子部品との熱膨張率の違いによって雄側コンタクト13の接続部131と電子部品の端子部との接続部分の半田にかかる負荷が低減され、半田にクラックが生じ難い。
【0064】
更に、雄側保持部材15に補強枠17が固定されているので、雄側保持部材15は一定の形状に維持され、自動実装機(図示せず)の吸着ノズル(図示せず)で雄側コネクタ10を吸着することができる。
【0065】
なお、保持部152及び帯状部155がそれぞれ波形状であり、伸縮し得るので、各雄側コンタクト13はその周囲の他の雄側コンタクト13の動きにほとんど影響を受けずに独立して移動できる(独立性)。しかし、この独立性は補強枠17の剛性が高いと低下するため、雌側コンタクト33の接続部131と電子部品の端子部との接続部分に生じる負荷が低減され難くなる。そこで、雄側コネクタ10に補強枠17の代わりに吸着テープ(図示せず)を貼り付けるようにしてもよい。吸着テープは雄側コネクタ10を電子部品に実装された後に剥がされる。吸着テープを用いることにより、雄側コンタクト13の独立性を向上させるとともに、自動実装機の吸着ノズルによる雄側コネクタ10の吸着を可能にすることができる。
【0066】
また、雄側コンタクト13の接触部132は雄側保持部材15の他方の面15Bから突出しており、雄側保持部材15の他方の面15Bと接触部132との間に導体パッド(図示せず)が介在しないので、その分だけ雄側コネクタ10を低背化することができる。
【0067】
更に、雄側保持部材15の他方の面15B側に導体パッドが存在しないので、雄側コンタクト13の接続部131を電子部品の端子部に半田付けする際に、雄側保持部材15の他方の面15B側に流入する半田の量を抑制することができる。
【0068】
また、第2実施形態の雌側コネクタ30によれば、雌側コンタクト33の接続部331とプリント基板の端子部との接続状態を、雌側保持部材35の他方の面35B側から孔351を通じて目視することができる。その結果、第1実施形態の雄側コネクタ10と同様の効果を奏する。
【0069】
次に、第1実施形態の第1変形例を図14図15に基づいて説明する。
【0070】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。
【0071】
第1実施形態の保持部152及び帯状部155はいずれも波形であり、第1変形例の保持部2152及び帯状部2155もいずれも波形であるが、第1変形例の波長は第1実施形態の波長の約半分である。
【0072】
第1実施形態の第1変形例によれば、第1実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、隣接する2つの雄側コンタクト13間の保持部2152及び帯状部2155の長さが第1実施形態よりも長いので、各雄側コンタクト13の移動できる範囲がより広くなる。
【0073】
次に、第1実施形態の第2変形例を図16図17に基づいて説明する。
【0074】
第1実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第1施形態との主な相違部分についてだけ説明する。
【0075】
第1実施形態の保持部152及び帯状部3155はいずれも波形であり、第2変形例の保持部3152及び帯状部3155もいずれも波形であるが、図14図15に示す第1変形例と同様に、第2変形例の波長は第1実施形態の波長の約半分である。
【0076】
また、第1実施形態及びその第1変形例では、雄側コンタクト13の接続部131の平面形状は正方形であるが、第2変形例では、雄側コンタクト(コンタクト)3013の接続部3131の平面形状は円形である。接続部3131の直径は接続部131の一辺の長さにほぼ等しい。
【0077】
第1実施形態の第2変形例によれば、第1実施形態の第1変形例と同様の作用効果を奏する。また、接続部3131は円形であり、四角形の接続部131に比べ、視認部(孔)3151の開口面積が大きくなるので、雄側コンタクト3013の接続部3131と電子部品の端子部との接続部分を目視しやすい。
【0078】
次に、第2実施形態の第1変形例を図18図19に基づいて説明する。
【0079】
第2実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第2実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。
【0080】
第2実施形態の雌側コネクタ30では、保持部352が直線状に形成されているが、第2実施形態の第1変形例の雌側コネクタ(コネクタ)2030では、雌側保持部材(保持部材)2035の保持部2352及び帯状部2355がいずれも波形に形成されている。
【0081】
第2実施形態の雌側コネクタ30では、図11図13に示すように二点鎖線で示すように、第2板状部354Bに最も近い保持部352は第2板状部354Bと一体になっているが、第2実施形態の第1変形例の雌側コネクタ2030では、第2板状部354Bに最も近い保持部2352と第2板状部354Bとは分離しており、これらの間には、複数の孔(視認部)351が形成されている。
【0082】
第2実施形態の第1変形例によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、雌側保持部材2035の保持部2352及び帯状部2355がいずれも波形に形成されているので、保持部2352に保持された各雌側コンタクト33が独立して動くことができる。その結果、雌側コネクタ2030とプリント基板との熱膨張率の違いによって雌側コンタクト33の接続部331とプリント基板の端子部との接続部分にかかる負荷が低減される。
【0083】
次に、第2実施形態の第2変形例を図20図21に基づいて説明する。
【0084】
第2実施形態と共通する部分については同一符号を付してその説明を省略する。以下、第2実施形態との主な相違部分についてだけ説明する。
【0085】
第2実施形態の第2変形例の雌側コネクタ(コネクタ)3030では、雌側保持部材(保持部材)3035の保持部3352に、雌側コンタクト33の連結部334の両側に隣接するように一対の孔3352Bが形成されている。
【0086】
第2実施形態の第2変形例によれば、第2実施形態と同様の作用効果を奏するとともに、保持部3352に形成された孔3352Bを通じても雌側コンタクト33の接続部331とプリント基板の端子部との接続状態を目視することができる。即ち、孔3352Bも視認部となる。また、保持部3352に形成された孔3352Bによって保持部3352が撓みやすくなるため、雌側コネクタ3030とプリント基板との熱膨張率の違いによって雌側コンタクト33の接続部331とプリント基板の端子部との接続部分にかかる負荷が低減される。
【0087】
なお、上述の第1実施形態では、保持部材側連結部153が枠部154と帯状部155とで構成されているが、保持部材側連結部153を枠部154だけで構成してもよいし、帯状部155だけで構成してもよい。保持部材側連結部153を帯状部155だけで構成したとき、雄側保持部材は網状になる(図示せず)。この場合には、視認部151,3151は孔形状だけではなく、一部に切欠き形状を有することになる。
【0088】
同様に、上述の第2実施形態では、保持部材側連結部353が枠部354と帯状部355とで構成されているが、保持部材側連結部353を枠部354だけで構成してもよいし、帯状部355だけで構成してもよい。保持部材側連結部353を帯状部355だけで構成したとき、雌側保持部材は網状になる(図示せず)。この場合には、視認部351,3352Bは孔形状だけではなく、一部に切欠き形状を有することになる。
【0089】
なお、第2実施形態の第2変形例において、一対の孔3352Bを雌側コンタクト33の連結部334から離して保持部3352に形成してもよい。
【0090】
また、上述の実施形態等では、補強部材として四角形の枠状の補強枠17,37を採用したが、補強部材の形状は四角形の枠状に限られない。
【0091】
なお、上述の実施形態等では、保持部材として雄側保持部材15及び雌側保持部材35,2035,3035を、それぞれ弾性を有する絶縁性フィルムで形成したが、保持部材は弾性を有する必要はない。
【0092】
また、上述の実施形態等では、補強部材としての補強枠17を雄側保持部材15の一方の面15Aに固定したが、補強枠17を雄側保持部材15の他方の面15Bに固定してもよいし、雄側保持部材15の一方の面15Aと他方の面15Bとの両方に固定してもよい。同様に、補強枠37を雌側保持部材35,2035,3035の他方の面35Bに固定したが、補強枠37を雌側保持部材35,2035,3035の一方の面35Aに固定してもよいし、雌側保持部材35,2035,3035の一方の面15Aと他方の面15Bとの両方に固定してもよい。
【0093】
また、上述の実施形態等では、保持部152,2152,3152,352,2352,3352と帯状部155,2155,3155,355,2355とを同一の形状、即ち両方を波形、あるいは両方を直線状に形成したが、保持部152,2152,3152,352,2352,3352と帯状部155,2155,3155,355,2355のうち、一方を波形にして他方を直線状に形成してもよい。
【符号の説明】
【0094】
10:雄側コネクタ(コネクタ)
13,3013:雄側コンタクト(コンタクト)
131,3131:接続部
132:接触部
132A:接触部本体
132B:抜け止め部
133:連結部
15:雄側保持部材(保持部材)
15A:一方の面
15B:他方の面
151,3151:視認部(孔)
152,2152,3152:保持部
152A:保持孔
153:保持部材側連結部
154:枠部
154A:第1板状部
154B:第2板状部
154C:第3板状部
154D:第4板状部
155,2155,3155:帯状部
17:補強枠(補強部材)
30,2030,3030:雌側コネクタ(コネクタ)
33:雌側コンタクト(コンタクト)
331:接続部
332:相手側接触部
332A:突出部
332B:アーム部
334:連結部
334A:連結部本体
35,2035,3035:雌側保持部材(保持部材)
35A:一方の面
35B:他方の面
351:孔(視認部)
352,2352,3352:保持部
352A:保持孔
3352B:孔(視認部)
353:保持部材側連結部
354:枠部
354A:第1板状部
354B:第2板状部
354C:第3板状部
354D:第4板状部
355,2355:帯状部
37:補強枠(補強部材)
DS:スライド方向
図1
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