(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222765
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】マグネトロン、マグネトロン用フィルターおよびマグネトロンの製造方法
(51)【国際特許分類】
H01J 23/15 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
H01J23/15 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-75625(P2013-75625)
(22)【出願日】2013年4月1日
(65)【公開番号】特開2014-203512(P2014-203512A)
(43)【公開日】2014年10月27日
【審査請求日】2016年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000113322
【氏名又は名称】東芝ホクト電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082740
【弁理士】
【氏名又は名称】田辺 恵基
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(74)【代理人】
【識別番号】100081732
【弁理士】
【氏名又は名称】大胡 典夫
(72)【発明者】
【氏名】田村 浩樹
【審査官】
佐藤 仁美
(56)【参考文献】
【文献】
特開平04−264333(JP,A)
【文献】
実開昭51−034352(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 23/00−25/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰極端子を有するマグネトロン本体と、
開口が形成された側面を有して前記陰極端子を覆う導電性のフィルターボックスと、
前記陰極端子に接続されて前記フィルターボックスに収容されたチョークコイルと、
前記開口を貫通する筒状に延びる胴部と前記胴部を包囲し前記胴部の軸に垂直に広がる導電性の接地板とを備えかつ前記接地板と前記胴部との接続部にテーパー部が形成され、前記胴部が前記チョークコイルに接続されると共に、前記開口の周縁に前記テーパー部を押し付けるようにして前記接地板が前記フィルターボックスに固定された貫通コンデンサと、
を具備することを特徴とするマグネトロン。
【請求項2】
前記接地板は前記フィルターボックスの内側に配置され、
前記テーパー部は前記接地板の中央部側から外周側ほど前記フィルターボックスのフィルターボックスから離れる方向に傾いていることを特徴とする請求項1に記載のマグネトロン。
【請求項3】
陰極端子を有するマグネトロン本体に取り付けられるマグネトロン用フィルターにおいて、
開口が形成された側面を有して前記陰極端子を覆う導電性のフィルターボックスと、
前記陰極端子に接続されて前記フィルターボックスに収容されたチョークコイルと、
前記開口を貫通する筒状に延びる胴部と前記胴部を包囲し前記胴部の軸に垂直に広がる導電性の接地板とを備えかつ前記接地板と前記胴部との接続部にテーパー部が形成され、前記胴部が前記チョークコイルに接続されると共に、前記開口の周縁に前記テーパー部を押し付けるようにして前記接地板が前記フィルターボックスに固定された貫通コンデンサと、
を具備することを特徴とするマグネトロン用フィルター。
【請求項4】
陰極端子を有するマグネトロン本体を形成する工程と、
開口が形成された側面を有して前記陰極端子を覆う導電性のフィルターボックスを形成する工程と、
チョークコイルを前記フィルターボックスに収容して前記陰極端子に接続する工程と、
筒状に延びる胴部と前記胴部を包囲し前記胴部の軸に垂直に広がる導電性の接地板とを備えかつ前記接地板と前記胴部との接続部にテーパー部が形成された貫通コンデンサを形成する工程と、
前記貫通コンデンサを前記開口に貫通させて、前記開口の周縁に前記テーパー部を押し付けながら前記接地板を前記フィルターボックスに固定する工程と、
前記貫通コンデンサを前記チョークコイルに接続する工程と、
を具備することを特徴とするマグネトロンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マグネトロン、マグネトロン用フィルターおよびマグネトロンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネトロンは、発振部と入力部と出力部とを有している。発振部は、陽極部と陰極部と一対のポールピースとで構成される。陽極部は、陽極円筒と、陽極円筒の内側に配置された複数のベインとを有している。陰極部は、陽極円筒の軸に配置されたフィラメントを有している。一対のポールピースは、陽極円筒の軸方向の両端部に配置されている。
【0003】
入力部は、発振部の一方のポールピースを貫通して延びる陰極リードを支持するステムを有する。出力部は、他方のポールピースを貫通して延びるアンテナを有する。ポールピースは、永久磁石で挟まれるように配置されていて、陽極部と陰極部との間の作用空間に磁束を集中させる。
【0004】
入力部から陰極にフィラメント電流を供給し、陽極部と陰極部との間に電圧を印加すると、マグネトロンはマイクロ波発振し、出力部からマイクロ波を出力する。一般的な電子レンジ用のマグネトロンにおいて、発振周波数は、2450MHzである。発振出力の一部は、入力部から漏えいして外部機器の障害となるため、入力部はフィルターボックスでシールドされ、電波漏えいが抑制されている。また、発振出力は、2450MHzの基本波だけでなく、電子擾乱などによって広い帯域にわたる周波数の電波を発振しており、フィルターボックスは、これらの電波の漏えいも抑制している。
【0005】
フィルターボックスは、外部電源に接続され、外部入力端子も兼ねる一対の貫通コンデンサを有している。また、フィルターボックス内には、一対の陰極入力ステム端子と各貫通コンデンサをそれぞれ直列接続する一対のチョークコイルが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平10−092693号公報
【特許文献2】特開2007−122939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
フィルターボックスを貫通する貫通コンデンサには、接地板が設けられる。貫通コンデンサは、この接地板をフィルターボックスの貫通孔の周囲に押し付けて、固定される。接地板とフィルターボックスとの間に隙間があると、その隙間から電磁波が漏れて、周囲の機器のノイズ源となってしまう場合がある。
【0008】
そこで、本発明は、マグネトロンのフィルターボックスと貫通コンデンサの接地板との間の隙間を生じにくくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の課題を解決するため、本発明は、マグネトロンにおいて、陰極端子を有するマグネトロン本体と、開口が形成された側面を有して前記陰極端子を覆う導電性のフィルターボックスと、前記陰極端子に接続されて前記フィルターボックスに収容されたチョークコイルと、前記開口を貫通する筒状に延びる胴部と前記胴部を包囲し前記胴部の軸に垂直に広がる導電性の接地板とを備えかつ前記接地板と前記胴部との接続部にテーパー部が形成され
、前記胴部が前記チョークコイルに接続され
ると共に、前記開口の周縁に前記テーパー部を押し付けるようにして前記接地板が前記フィルターボックスに固定された貫通コンデンサと、を具備することを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、陰極端子を有するマグネトロン本体に取り付けられるマグネトロン用フィルターにおいて、開口が形成された側面を有して前記陰極端子を覆う導電性のフィルターボックスと、前記陰極端子に接続されて前記フィルターボックスに収容されたチョークコイルと、前記開口を貫通する筒状に延びる胴部と前記胴部を包囲し前記胴部の軸に垂直に広がる導電性の接地板とを備えかつ前記接地板と前記胴部との接続部にテーパー部が形成され
、前記胴部が前記チョークコイルに接続され
ると共に、前記開口の周縁に前記テーパー部を押し付けるようにして前記接地板が前記フィルターボックスに固定された貫通コンデンサと、を具備することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、マグネトロンの製造方法において、陰極端子を有するマグネトロン本体を形成する工程と、開口が形成された側面を有して前記陰極端子を覆う導電性のフィルターボックスを形成する工程と、チョークコイルを前記フィルターボックスに収容して前記陰極端子に接続する工程と、筒状に延びる胴部と前記胴部を包囲し前記胴部の軸に垂直に広がる導電性の接地板とを備えかつ前記接地板と前記胴部との接続部にテーパー部が形成された貫通コンデンサを形成する工程と、前記貫通コンデンサを前記開口に貫通させて
、前記開口の周縁に前記テーパー部を押し付けながら前記接地板を前記フィルターボックス
に固定する工程と、前記貫通コンデンサを前記チョークコイルに接続する工程と、を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、
接地板のテーパー部によって開口の周縁を押すことにより当該周縁がテーパー部に追随して多少変形して、マグネトロンのフィルターボックスと貫通コンデンサの接地板との間の隙間が生じにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係るマグネトロンの一実施の形態の縦断面図である。
【
図2】本発明に係るマグネトロンの一実施の形態におけるフィルターボックス近傍の平面図である。
【
図3】本発明に係るマグネトロンの一実施の形態におけるフィルターボックスの一部の側面図である。
【
図4】本発明に係るマグネトロンの一実施の形態におけるフィルターボックスと貫通コンデンサの接続部分の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係るマグネトロンの一実施の形態を、図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は単なる例示であり、本発明はこれに限定されない。
【0015】
図1は、本発明に係るマグネトロンの一実施の形態の縦断面図である。
図2は、本実施の形態のマグネトロンにおけるフィルターボックス近傍の平面図である。
図3は、本実施の形態のマグネトロンにおけるフィルターボックスの一部の側面図である。
図4は、本実施の形態のマグネトロンにおけるフィルターボックスと貫通コンデンサの接続部分の拡大断面図である。
【0016】
このマグネトロンは、たとえば電子レンジに用いられる。マグネトロンは、マグネトロン本体と、フィルターボックス31とを有している。
【0017】
マグネトロン本体は、陽極部と陰極部とを有している。陽極部は、陽極円筒12と、この陽極円筒12の内周面から管軸に向かって突出した複数のベイン13とを有している。陰極部は、フィラメント15と一対のエンドハット16,17と陰極センターリード18と陰極サイドリード19とを有している。フィラメント15は、マグネトロンの管軸に配置されている。エンドハット16,17は、フィラメント15の管軸方向両端部に設けられている。陰極センターリード18と陰極サイドリード19とは、マグネトロン本体の入力部に向かって延びている。陰極センターリード18および陰極サイドリード19は、それぞれフィラメント15の両端部にエンドハット16,17を介して接続されている。
【0018】
ベイン13の陽極円筒12とは反対側の遊端と、フィラメント15との間は、所定の間隔を有するように配置されている。この所定の間隔の環状空間は、作用空間23となる。
【0019】
陽極円筒12の管軸方向両端部には、漏斗状(すり鉢状)の一対のポールピース20,21が作用空間23を挟むように対向して設けられている。ポールピース20,21のそれぞれ管軸方向外側には、フィラメント印加用電流およびマグネトロン駆動用高電圧を供給するための入力部と、マイクロ波を伝送し放射するためのアンテナリード41を含む出力部とが設けられている。アンテナリード41の一方の端部は、一つのベイン13に接続されている。アンテナリード41の他方は、管軸に沿って出力部側に延びている。
【0020】
一対のポールピース20,21の管軸方向の両外側には、フェライトからなる一対の環状永久磁石50,51が設けられている。また、環状永久磁石50,51の管軸方向外側およびその側面を囲むように枠状ヨーク52,53が設けられている。枠状ヨーク52,53は、強磁性体製である。環状永久磁石50,51は、ポールピース20,21に対向する面がポールピース20,21と、ポールピース20,21の反対側の面が枠状ヨーク52,53とそれぞれ磁気的に結合されて構成された磁気回路によって、ベイン13とフィラメント15との間の作用空間23に磁界を供給している。
【0021】
フィルターボックス31は、マグネトロンの入力部をカバーしている。入力部は、陰極センターリード18および陰極サイドリード19を保持するセラミックステム32と、陰極センターリード18および陰極サイドリード19にそれぞれ接続された一対の陰極端子33とを有している。
【0022】
フィルターボックス31には、鉄製の板で形成されていて、側面に貫通孔85が形成されている。また、その貫通孔85の周囲には、外側から内側に押し出されたかしめ用の孔75が形成されている。さらに、貫通孔85の周囲には、外側から内側に切り起こされたかしめ用の孔76が形成されている。
【0023】
フィルターボックス31の側壁には、その側壁を貫通する2端子の貫通コンデンサ34が取り付けられている。フィルターボックスのほぼ中央に位置する一対の陰極端子33と貫通コンデンサ34のフィルターボックス31の内側の端子81とのそれぞれの間には、チョークコイル35が直列接続される。貫通コンデンサ34およびチョークコイル35は、フィルター回路を形成している。
【0024】
それぞれのチョークコイル35は、コア型インダクタ36と空心型インダクタ37とを直列接続したものである。コア型インダクタ36は、円柱状の磁性体コア91を有している。空心型インダクタ37側は、所定長の折り曲げ配線38を介して陰極端子33に接続されている。コア型インダクタ36側は、貫通コンデンサ34の端子81に接続されている。貫通コンデンサ34の外部端子73は、外部の電源に接続される。
【0025】
貫通コンデンサ34は、筒状の胴部71,77および接地板80を有している。筒状部分は、内側の胴部71と外側の胴部77とからなる。接地板80は内側の胴部71と外側の胴部77との境界部分に設けられている。内側の胴部71は、外側の胴部77に比べて横断面が小さい。
【0026】
接地板80は、鉄製の板であって、胴部71,77の周囲を包囲している。接地板80は、テーパー部78と平板部79とを有している。テーパー部78は、内側の胴部71と外側の胴部77の境界部分で胴部71,77に固定されている。胴部71,77の軸およびフィルターボックス31の貫通孔85の周囲の平面部に対して傾いている。接地板80の平板部79は、胴部71,77の軸に垂直に広がっている。
【0027】
貫通コンデンサ34は、フィルターボックス31の貫通孔85を貫通している。貫通コンデンサ34は、フィルターボックス31に設けられて接地板80の平板部79を貫通した円筒状のかしめ72の先端をつぶし、また、平板状のかしめ74を接地板80の平板部79の方に折り曲げて、接地板80をフィルターボックス31に押し付けるようにして固定されている。接地板80およびフィルターボックス31は、接地電位となっている。
【0028】
貫通コンデンサ34の接地板80とフィルターボックス31との間に隙間があると、その隙間から電磁波が漏えいし、周囲に影響を与える場合がある。フィルターボックス31との固定部として平坦部のみの接地板を用いた場合、接地板あるいはフィルターボックス31のゆがみなどによって、隙間が生じる場合がある。しかし、本実施の形態では、貫通コンデンサ34の接地板80の胴部71,77との接続部にテーパー部78が形成されている。このため、接地板80をフィルターボックス31に押し付けて固定する際に、テーパー部78のどこかがフィルターボックス31の貫通孔85の周縁に接触しやすくなる。また、このテーパー部78によって、貫通孔85の周縁を押すことによって周縁がテーパー部78に追随して多少変形し、隙間ができにくくなる。
【0029】
このように本実施の形態によれば、マグネトロンの貫通コンデンサの接地板とフィルターボックスとの間に隙間ができにくくなる。
【符号の説明】
【0030】
12…陽極円筒、13…ベイン、15…フィラメント、16…エンドハット、17…エンドハット、18…陰極センターリード、19…陰極サイドリード、20…ポールピース、21…ポールピース、23…作用空間、31…フィルターボックス、32…セラミックステム、33…陰極端子、34…貫通コンデンサ、35…チョークコイル、36…コア型インダクタ、37…空心型インダクタ、38…折り曲げ配線、41…アンテナリード、50…環状永久磁石、51…環状永久磁石、52…枠状ヨーク、53…枠状ヨーク、71…胴部、72…かしめ、74…かしめ、77…胴部、78…テーパー部、79…平板部、80…接地板、81…端子、85…貫通孔、91…磁性体コア