(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222767
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】超音波送受波器
(51)【国際特許分類】
H04R 17/00 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
H04R17/00 330G
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-127842(P2013-127842)
(22)【出願日】2013年6月18日
(65)【公開番号】特開2015-2536(P2015-2536A)
(43)【公開日】2015年1月5日
【審査請求日】2016年6月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229081
【氏名又は名称】日本セラミック株式会社
(72)【発明者】
【氏名】深田 誠也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勲生
【審査官】
大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−318742(JP,A)
【文献】
特開2011−135466(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/069609(WO,A1)
【文献】
特開2001−238292(JP,A)
【文献】
特開平11−266497(JP,A)
【文献】
実開平07−024311(JP,U)
【文献】
実開平03−059797(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属からなる有底筒状ケースの内側に、金属からなる筒状ケースの一部もしくは全体を配置した2重の筒状部を有する筐体を用い、
前記有底筒状ケースの内底部に配置される圧電振動素子と、圧電振動素子と電気的に接続され筐体外部に引き出される入出力端子と、
を有してなる超音波送受波器であって、前記有底筒状ケースの内部と前記筒状ケースの外部側面との間に1箇所以上の面接着部もしくは面接合部を有し、
前記有底筒状ケースの筒部上端が段差形状もしくはテーパー形状であることを特徴とする超音波送受波器。ここで、有底筒状ケースの筒部と、筒状ケースは、筒形状を一つ以上有した構造とする。
【請求項2】
金属からなる有底筒状ケースの内側に、樹脂からなる筒状ケースの一部もしくは全体を配置した2重の筒状部を有する筐体を用い、
前記有底筒状ケースの内底部に配置される圧電振動素子と、圧電振動素子と電気的に接続され筐体外部に引き出される入出力端子と、
を有してなる超音波送受波器であって、前記有底筒状ケースの内部と前記筒状ケースの外部側面との間に1箇所以上の面接着部もしくは面接合部を有し、
前記有底筒状ケースの筒部上端が段差形状もしくはテーパー形状であることを特徴とする超音波送受波器。ここで、有底筒状ケースの筒部と、筒状ケースは、筒形状を一つ以上有した構造とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、良好な音響特性と意匠性を保持しつつ、低コスト化が可能な空中用の超音波送受波器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の障害物検知等に用いられる超音波送受波器において、屋外で利用可能な防滴型超音波センサの利用が増えている。
この防滴型超音波送受波器は、アルミニウム材等から成る有底筒状の金属筐体の底面内部に圧電振動素子を貼り合わせ、ユニモルフ振動子を構成している。
【0003】
また、近年、
図1と
図2に示すような前述金属筐体の筒状部2と、圧電振動子7が貼り合わされることで振動面となる板状の底部1aを独立させることにより、加工や組み立てコストの低減や、さらに筒状部と底部を異種材料とすることにより導電性や強度等の機能性の向上が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−266497
【特許文献2】特開2000−23289
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来、超音波送受波器を車の外装部品として用いる場合、金属部品の錆防止や外観の意匠性を高めるために、外気にさらされる振動面と振動面近傍の側面に塗装が行われる。
図1や
図2に示される従来の別体の筒状部2と平板状の振動部1aからなる有底筒状ケースを筐体とした超音波センサでは、塗装される筐体の外部底面1aと底面近傍の側面に、接着部もしくは接合部による段差が形成されることで意匠が損なわれるという欠点がある。
【0006】
また、振動部の振動抑制機能も有する筒状部2が、アルミやステンレス等の金属と比較して剛性の低い、樹脂等の絶縁材料により構成される場合では、筒状部に不要な振動が生じ、出力信号へのノイズ増大や、超音波の指向性設計等が困難となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
振動部を平板状から有底筒状にし、この内部に別体の筒状部を配置することにより、振動部と筒状部の接着部もしくは接合部を筐体側面部の意匠面から離れた箇所に設けることが出来るので意匠性が改善される。
【0008】
また、有底筒状とした振動部の側壁が内側の筒状部を補強する役割を有し、筒状部の振動を抑制することが可能となり、出力信号へのノイズ低減と、超音波の偏指向化の設計を簡便化することが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1と請求項2の超音波送受波器によれば、それぞれ別体の振動部と筒状部からなる筐体を用いる際に、振動部を有底筒状とすることで、
振動部と筒状部の接着部もしくは接合部を振動面から離れた筐体側面に設けることが可能となり、意匠性を改善することができる。
さらに、振動部の振動面が筒状部と接着もしくは接合される場合には、筒状部の形状により振動面の振動抑制効果が高まり、筒状部の形状により超音波の指向性を制御することが可能となり、
また、有底筒状ケースの外部側面もしくは、前記筒状ケース内部側面の一方もしくは両面の一面以上をテーパー形状や段差形状にすることにより、接着部もしくは接合部にかかる応力を分散させて、接着部もしくは接合部の剥離を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】従来の超音波送受波器の概略縦断面図と上面図
【
図2】従来の超音波送受波器の概略縦断面図と上面図
【
図3】本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図と上面図
【
図4】本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器の有底筒状部の形状と振動部の変位分布の関係
【
図5】本発明の別の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図と上面図
【
図6】本発明の別の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図と上面図
【
図7】本発明の別の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図と上面図
【
図8】本発明の別の実施の形態に関わる超音波送受波器の筐体の概略横断面図と上面図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
図3に本発明の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図と上面図を表す。上面図では有底筒状ケース1b、筒状ケース2、圧電振動素子7のみを記載している。
有底筒状ケース1bは、アルミ合金を成形したものである。この有底筒状ケース1bの底面に折返し電極を有する圧電振動素子7が貼り合わされる。筒状ケース2は、エポキシを成形したものである。
ここで、有底筒状ケース1bの材質をアルミ合金に限定するものではなく、ステンレス等の他の金属を用いてもよい。また、同様に筒状ケース2の材質もエポキシに限定するものでなく、アルミ合金などの金属や、PBTなどの他の樹脂を用いてもよい。
【0014】
一般的に、超音波送受波器の指向性は、振動面の変位分布と強い相関があり、筒状ケース内部を楕円形状にすることで、振動面の変位分布を内部形状と同様な楕円状の分布にすることで指向性設計を行っている。超音波送受波器の寸法の一例として、有底筒状ケースは、外径φ14、内径φ12、高さ3mm、底面の厚み0.5mmである。筒状ケースは例えば、外形がφ13、高さが8.5mm、内部の長手側の幅が12.0mm、短い側の幅が7.0mmである。圧電振動素子7は例えば一辺6.0mm、厚さ0.2mmの正方形の圧電振動素子が使用される。折返し電極を有する圧電素子7に設けられた+側電極7aと−側電極7bにはリード線5が半田付けによって接続されている。リード線5の一端は、ワイヤーハーネス6に半田付けされている。圧電素子7の上面に発泡シリコーン等から成る吸音材3を載置して、その上からシリコーン材、ウレタン材等から成る封止剤4が充填されている。外部に接続する端子はワイヤーハーネス6以外でもよい。例えば、金属ピンを端子とした構造や、リード線を直接回路に接続した構造等が考えられる。
【0015】
図4の略図は、
図3に示した有底筒状ケース1bの筒部の高さを変化させた際の、有底筒状ケース1bの外部底面である振動面の変位分布をシミュレーションした結果である。
図4に記載した長さは、底面の厚みを引いた有底筒状ケース1bの高さであり、破線は筒状ケース2の内部形状であり、細い実線で変位分布の等高線を示している。
図4のシミュレーション結果から分かるように、有底筒状ケース1bの筒部が無い0mmの場合では、変位分布が筒状ケース2の内部形状と異なる分布をしているのに対し、有底筒状ケース1bの筒部の高さが上がるにつれて、筒状ケース2の内部形状と振動部の振動分布の形状が近づいている。つまり、有底筒状ケース1bの筒部を設けることにより、筒部が無い場合と比較して、超音波送受波器の指向性設計の簡便化が可能となる。
【0016】
次に示す、
図5から
図7に本発明の別の実施の形態に関わる超音波送受波器の概略縦断面図と上面図を表す。部材構成は
図3に示した実施例1と同じである。
【実施例2】
【0017】
図5は、筒状ケース2の内側を、一体で形状の異なる2つの筒部から構成している。
【実施例3】
【0018】
図6は、有底筒状ケース1bと、筒状ケース2との、接合部もしくは接着部での段差を低くするように、有底筒状ケース1bの筒部上端を部分的にテーパー形状に加工し、接合もしくは接着されている。
【実施例4】
【0019】
図7は、有底筒状ケース1bと、筒状ケース2との、接合部もしくは接着部での段差を低くするように、有底筒状ケース1bの筒部上端を段差形状に加工して接合もしくは接着されている。
【実施例5】
【0020】
図8は、本発明の別の実施の形態に関わる超音波送受波器の筐体の概略横面図と上面図を表す。筐体の部材構成は
図3に示した実施例1と同じである。上面図と概略横断面図では、筐体を構成する、有底筒状ケース1b、筒状ケース2のみを記載している。有底筒状ケース1bと筒状ケース2の各側面に溝8aと溝8bが設けてあり、それぞれの溝のある向きが一致するように有底筒状ケース1bと筒状ケース2が接着もしくは接合されている。ここで、溝の数や設ける場所を制限するわけでなく、溝を設ける場所は、有底筒状ケース1bと筒状ケース2の一方でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、車のバックセンサやコーナーセンサのみならず、防滴型超音波送受波器が利用されている様々な分野に適用できる。
【符号の説明】
【0022】
1a 金属からなる平板状振動部
1b 金属からなる有底筒状ケース
2 金属もしくは樹脂からなる筒状ケース
3 吸音材
4 封止剤
5 リード線
6 ワイヤーハーネス
7 折返し電極を有する圧電素子
7a GND側電極
7b +側電極
8a 有底筒状ケース側面の溝
8b 筒状ケース側面の溝