(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222769
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】室外機の気流制御装置
(51)【国際特許分類】
F24F 1/56 20110101AFI20171023BHJP
F24F 1/50 20110101ALI20171023BHJP
F24F 1/54 20110101ALI20171023BHJP
F24F 1/40 20110101ALI20171023BHJP
F24F 13/08 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
F24F1/56
F24F1/50
F24F1/54
F24F1/40
F24F13/08 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-131535(P2013-131535)
(22)【出願日】2013年6月24日
(65)【公開番号】特開2015-4499(P2015-4499A)
(43)【公開日】2015年1月8日
【審査請求日】2016年3月15日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】593063161
【氏名又は名称】株式会社NTTファシリティーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100107490
【弁理士】
【氏名又は名称】杉原 鉄郎
(72)【発明者】
【氏名】吉井 存
(72)【発明者】
【氏名】関口 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】中田 達也
【審査官】
金丸 治之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−103368(JP,A)
【文献】
特開2002−071166(JP,A)
【文献】
特開2003−294269(JP,A)
【文献】
特開2000−346402(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0030395(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/56
F24F 1/40
F24F 1/50
F24F 1/54
F24F 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
近接設置される空冷式室外機群の各室外機本体に付設され、吸気適正化のための気流制御装置であって、
各室外機本体の送風ファン上部に付設される排気ダクトと、
当該室外機の排気ダクトの外側面、又は、当該室外機の外側面に設けたヒンジ機構により、角度固定されることなく、かつ、回動自在に接続される気流制御部材と、を備え、
該気流制御部材を、排気の室外機本体の外気熱交換部への流入を遮断するように配置して成る、
ことを特徴とする気流制御装置。
【請求項2】
前記排気ダクトは、消音機能をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の気流制御装置。
【請求項3】
前記気流制御部材は、隣接室外機の排気ダクトの外側面に固定されることなく、当接可能とする当接部を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の気流制御装置。
【請求項4】
前記当接部は、振動伝播防止のための緩衝材を備えたことを特徴とする請求項3に記載の気流制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調室外機の気流制御装置に係り、特に、データセンタ等、密集設置される空調室外機群の吸気適正化を可能とする気流制御装置に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の屋上等に設置される空調室外機は、室外機上部に設けられた送風ファンにより排気を上方に向けて排出するが、横風等の影響により排出された高温排気が下降流となって外気吸込み部に吸引され、運転効率低下の原因となっている。このような排気の回り込みを防止するため、空調室外機の排気口上部に煙突状の排気ダクトを取り付ける技術が公知である。
【0003】
さらに、室外機の排気の流れを制御可能とする技術として、特許文献1の技術が提案されている。
図8を参照して、同文献による排気ダクト100は室外機101の排気口102の直上位置に設置されるものであり、排気口102より断面積大の開口部103を有している。さらに、排気口102と開口部103との間に、周囲から外気を流入させるための隙間104が設けられている。このような構成により、排気ダクト100内を上昇する高温排気の周囲を隙間104から流入するた外気が包囲して、排気ダクト100内壁近傍での空気の渦の発生を抑制してエネルギロスや排気騒音を低減させるとともに、ダクト100上部から排出される高温排気の温度を低下させるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−74709号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、近年の情報通信技術の進展に伴い、ICT装置の高速化、大容量化、高密度化が進み、これに伴いデータセンターにおけるICT装置冷却のための室外機についても大容量化、高密度化している。このような状況に対応して、独立冷媒回路を備えた空冷チラーモジュール等の冷熱供給用熱源機(以下、室外機と総称)を複数台束ねてユニット化し(以下、室外機ユニット)、これを並列に配置、さらに重層化するシステムが実用化されている。このようなシステムにおいては、高温排気の回り込みによる吸気阻害の影響はさらに大きな問題となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、室外機に付設される排気ダクトに気流制御機能を付加して、吸気導入を促進して空調システムの効率向上を可能とする技術を提供する。
本発明は以下の内容をその要旨とする。すなわち、本発明に係る気流制御装置は、
(1)近接設置される空冷式室外機群の各室外機本体に付設され、吸気適正化のための気流制御装置であって、
各室外機本体の送風ファン上部に付設される排気ダクトと、
排気ダクトの外側面に接続される気流制御部材と、を備え、
該気流制御部材を、排気の室外機本体の外気熱交換部への流入を遮断するように配置して成る、ことを特徴とする。
【0007】
(2)上記発明において、前記排気ダクトは、消音機能をさらに備えたことを特徴とする。
【0008】
(3)上記各発明において、前記気流制御部材は、当該室外機の排気ダクトの外側面、又は、当該室外機の外側面に回動自在に接続可能に構成したことを特徴とする。
【0009】
(4)上記各発明において、前記気流制御部材は、隣接室外機の排気ダクトの外側面に固定されることなく、当接可能とする当接部を備えたことを特徴とする。
【0010】
(5)上記各発明において、前記当接部は、振動伝播防止のための緩衝材を備えたことを特徴とする。
【0011】
(6)上記(1)の発明において、前記気流制御部材は、外気熱交換部への外気吸込み適正化のための吸気導入部を、さらに備えたことを特徴とする。
【0012】
(7)上記発明において、各室外機本体に付設される前記気流制御部材と、複数の前記室外機本体と、を連結固定する連結部材を、さらに備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば吸気が適正化されるため、排気ダクトから排出される高温排気の吸気側への回り込みを防ぐことができ、システム効率低下を防止できるという効果がある。
また、排気ダクトが消音器を兼用する発明にあっては、排気ダクトに消音機能と気流制御機能を併せ持たせることができるという効果がある。
また、外気吸込み部分に吸気整流部材を付設した発明によれば、吸気流の適正化が実現されるため、外気熱交換部における熱交換効率の向上に資するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第一の実施形態に係る気流制御装置1の構成を示す図である。
【
図2】気流制御装置1を装備した室外機ユニット4の全体構成を示す図である。
【
図5】第二の実施形態に係る気流制御装置20の構成を示す図である。
【
図6】気流制御装置20を装備した室外機ユニット4の全体構成を示す図である。
【
図7】気流制御装置20の室外機本体4Aへの固定の態様を示す図である。
【
図8】従来の気流制御装置100の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の各実施形態について、
図1乃至7を参照してさらに詳細に説明する。重複説明を避けるため、各図において同一構成には同一符号を用いている。なお、本発明の範囲は特許請求の範囲記載のものであって、以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0017】
図1乃至3を参照して、本実施形態に係る気流制御装置1は、室外機本体4Aの上部に取り付けられ、排気流の消音化と吸気流の適正化を図るものである。なお、以下では、室外機4Aを例にして説明するが、室外機4B乃至4Dについても同様であ
【0018】
同一モジュールの空冷室外機4A〜4Dは、近接設置されて室外機ユニット4を構成している。室外機4A(以下、適宜、室外機本体4Aという)は上段の外気熱交換部4aと、下段の水熱交換部4bと、により構成されている。外気熱交換部4aは、外気を吸い込むための送風ファン4cと、V字型に配置される冷媒−空気熱交換器4dと、を主要構成として備えている。また、水熱交換部4bは、いずれも不図示の圧縮機、冷媒−水熱交換器、循環ポンプ等を主要構成として備えている。室外機本体4Aで製造される冷水は、冷媒配管(図示せず)を介して室内機(図示せず)側に供給される。
【0019】
気流制御装置1は、排気ダクトとしての機能を兼ねる消音器2と、気流制御部材3と、により構成されている。消音器2は、角形筒状の外板部2aの内部に吸音材、消音機構(いずれも不図示)を備えており、送風ファン4c、圧縮機等に起因する騒音を減衰させて、高温排気を大気放散するように構成されている。
【0020】
気流制御部材3は、消音器2の外板部2aの隣接室外機4Bと対向する側面に付設されている。気流制御部材3は、外板部2aに回動自在に固定取り付けるための固定部3bと、高温排気の回り込みを防止する遮蔽板部3aと、遮蔽板部3aの先端に設けられた当接部3cと、により構成されている。遮蔽板部3aは隣接室外機4Bとの間の隙間空間を、上下の空間6a、6bに区画するように構成されている。
当接部3cには緩衝材3d(例えばゴム、スポンジ等)が取り付けられており、隣接機器からの振動伝播を吸収できるように構成されている。
【0021】
固定部3bにはヒンジ機構が設けられており、
図4を参照して固定部3bを回動軸として遮蔽板部3aを回動可能としている。これにより、地震等により室外機本体4A、4Bが振動した場合、固定部3bの回動により、室外機本体又は気流制御装置1の破損を回避することができる。
【0022】
気流制御装置1は以上のように構成されており、次に冷房運転時における気流制御の態様について説明する。
室外機本体4Aの運転により、送風ファン4cは隣接室外機との間の空間6bから外気を吸い込み、外気熱交換部4aにおいて冷媒を冷却したのち高温排気として消音器2の上方に排出する。この際、室外機本体4Aと消音器2は気流制御部材3により区画されているため、高温排気の外気熱交換部4a側への回り込みが防止されることになる。このように、気流制御装置1に付設した気流制御部材3により、熱交換性能向上による熱効率向上、電力消費量の低減化が実現できる。
【0023】
また、気流制御部材3の当接部3cに緩衝材3dが取り付けられているため、当接部が隣接室外機に接触していることによる室外機振動の伝播を防止することができる。
【0024】
なお、本実施形態では排気ダクトとして消音器を用いる例を示したが、消音機能を有しないダクト単能のものを用いる態様とすることもできる。
また、本実施形態では気流制御部材を消音器の外板部に付設する例を示したが、室外機本体の外気熱交換部の外側面に付設する態様とすることもできる。
【0025】
<第二の実施形態>
次に、本発明の他の実施形態について説明する。本実施形態に係る気流制御装置20が上述の実施形態に係る気流制御装置1と異なる点は、気流制御部材の構成及び本体への固定方法である。
【0026】
図5、6を参照して、気流制御装置20は上述の実施形態と同一構成の消音器(排気ダクト)21と、気流制御部材22と、室外機ユニット4を連結固定するためのアングル形状の連結部材23と、により構成されている。
気流制御部材22は、隣接室外機4Bとの空間を区画する遮蔽板部22aと、遮蔽板部22aの前面側及び背面側に設けられ、外気熱交換部4aへの外気吸込みに際しての流路抵抗を小さくするフード形状の整流板部22b、により構成されている。
【0027】
次に、気流制御装置20の室外機ユニット4への固定の態様について説明する。
図7を参照して、最初に消音器21を室外機本体4Aの外気熱交換部4a上部に取り付ける。消音器21は外気熱交換部4aより奥行寸法が小さく構成されており、前端部及び後端部に生じるスペース4eに連結部材23を載置して、ボルト23aにより固定する。
次いで、気流制御部材22を室外機4A,4B間の空間に入れ、連結部材23及び気流制御部材22の孔部を合わせて、ボルト23bにより固定する。
【0028】
次に、気流制御装置20を付設した室外機本体4Aにおける吸気及び排気の態様について説明する。送風ファン4cの運転により、外気は外気熱交換部4aに吸い込まれる。その際、フード形状の整流板部22bにより流路抵抗が極小化され、吸気が促進される。また、排気については上述の実施形態と同様に排気ダクト21により上方に排出されるが、気流制御部材22により外気熱交換部4aへの回り込みを防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、データセンターのみならず、多数の空調室外機を近接配置する空調システムに広く適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1、20・・・・・気流制御装置
2、21・・・・・消音器
3、22・・・・・気流制御部材
3a、22a・・・・・遮蔽板部
3b・・・・・固定部
3c・・・・・当接部
4・・・・・・室外機ユニット
4A〜4D・・・・室外機(本体)
4a・・・・外気熱交換部
4b・・・・水熱交換部
4c・・・・送風ファン
22b・・・整流板部
23・・・・連結部材