特許第6222772号(P6222772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6222772応力拡大係数測定用ひずみゲージおよび応力拡大係数算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222772
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】応力拡大係数測定用ひずみゲージおよび応力拡大係数算出方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 7/16 20060101AFI20171023BHJP
   G01N 3/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G01B7/16 R
   G01N3/00 T
【請求項の数】7
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2014-11900(P2014-11900)
(22)【出願日】2014年1月24日
(65)【公開番号】特開2015-138020(P2015-138020A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年12月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142067
【氏名又は名称】株式会社共和電業
(74)【代理人】
【識別番号】100082636
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 修治
(72)【発明者】
【氏名】黒崎 茂
(72)【発明者】
【氏名】山地 周作
(72)【発明者】
【氏名】小針 遼
【審査官】 櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭63−024103(JP,A)
【文献】 特開昭61−167835(JP,A)
【文献】 特開2001−272203(JP,A)
【文献】 特開平11−083420(JP,A)
【文献】 特開2002−098626(JP,A)
【文献】 特開2003−315089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 7/00− 7/34
G01N 3/00− 3/62
G01L 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸中心から放射方向に延びる基準軸と、前記軸中心からの半径が異なる第1の円弧部と第2の円弧部と、前記基準軸を対称として所定の角度をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸とを仮想したとき、
前記基準軸と前記第1および第2の放射軸と前記第1の円弧部と前記第2の円弧部とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内に形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部と、
前記第1のゲージグリッド部の各端に接続された第1の一対の接続端子と、
前記第2のゲージグリッド部の各端に接続された第2の一対の接続端子と、
前記第1および第2のゲージグリッド部と前記第1および第2の接続端子が一体的に添着されてなる絶縁基板とからなる第1および第2のひずみゲージであって、
被測定対象物に生じた亀裂先端部に前記軸中心を合致させると共に前記亀裂部の方向と前記基準軸とを合致させて前記絶縁基板を前記被測定対象物に添着し、前記亀裂回りのひずみを測定し、応力拡大係数を算出し得るように構成したことを特徴とする応力拡大係数測定用ひずみゲージ。
【請求項2】
軸中心から放射方向に延びる基準軸と、前記軸中心から半径が異なる第1の円弧部と第2の円弧部と前記第1、第2の円弧部より所定間隔離れて外側に位置し、前記軸中心からの半径が異なる第3の円弧部と第4の円弧部と、前記基準軸を対称として所定の角度をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸とを仮想したとき、
前記基準軸と前記第1および第2の放射軸と、前記第1の円弧部と前記第2の円弧部とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部と、
前記基準軸と前記第1および第2の放射軸と、前記第3の円弧部と前記第4の円弧部とで囲まれる扇形状の第3および第4の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第3および第4のゲージグリッド部と、
前記第1のゲージグリッド部の各端に接続された第1の一対の接続端子と、
前記第2のゲージグリッド部の各端に接続された第2の一対の接続端子と、
前記第3のゲージグリッド部の各端と接続された第3の一対の接続端子と、
前記第4のゲージグリッド部の各端と接続された第4の一対の接続端子と、
前記第1および第2のゲージグリッド部並びに前記第3および第4のゲージグリッド部と、前記第1および第2の接続端子並びに前記第3および第4の接続端子が一体的に添着されてなる絶縁基板とからなるひずみゲージであって、
被測定対象物に生じた亀裂先端部に前記軸中心を合致させると共に前記亀裂部の方向と前記基準軸とを合致させて前記絶縁基板を前記被測定対象物に添着し、前記亀裂回りのひずみを測定し、応力拡大係数を算出し得るように構成したことを特徴とする応力拡大係数測定用ひずみゲージ。
【請求項3】
前記基準軸と前記第1の放射軸および前記基準軸と前記第2の放射軸とがなす角度を、それぞれ90°となしたことを特徴とする請求項1または2に記載の応力拡大係数測定用ひずみゲージ。
【請求項4】
前記請求項1の応力拡大係数測定用ひずみゲージの前記第1および第2のひずみゲージを、それぞれ一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して2つのホイートストンブリッジ回路を形成し、前記2つのホイートストンブリッジ回路の入力端にブリッジ電圧を印加し、それぞれの出力端に生ずる出力電圧をひずみ測定器で測定した前記第1および第2のひずみゲージのひずみ値を、所定の演算式に代入することでせん断モードにおける応力拡大係数を測定し得るように構成したことを特徴とする応力拡大係数算出方法。
【請求項5】
前記請求項3に記載のひずみゲージを一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して2つのホイートストンブリッジ回路を形成し、
前記ホイートストンブリッジ回路の各入力端にブリッジ電圧を印加したとき、各出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1、前記第2のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG2、せん断モードの材料定数をJ1、前記第1および第2のゲージグリッドの第1の形状定数をQとして、せん断モードの応力拡大係数KIIが、
下記の条件式(1):
【数1】
を満足することを特徴とする応力拡大係数算出方法。
但し、前記せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(2)で与えられる定数であり、
【数2】
また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
下記条件式(3)で与えられる定数である。
【数3】
【請求項6】
前記請求項3に記載のひずみゲージを一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して4つのホイートストンブリッジ回路を形成し、
前記ホイートストンブリッジ回路の各入力端にブリッジ電圧を印加したとき、各出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1、前記第2のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG2、前記第3のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG3、前記第4のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG4、せん断モードの材料定数をJ1、前記第1および第2のゲージグリッドの第1の形状定数をQ、前記第3および第4のゲージグリッド部の第2の形状定数をQとして、せん断モードの応力拡大係数KIIが、
下記の条件式(4):
【数4】
を満足することを特徴とする応力拡大係数算出方法。
但し、前記せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(2)で与えられる定数であり、
【数5】
また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
下記条件式(3)で与えられる定数であり、
【数6】
さらに、ゲージグリッド部の第2の形状定数Qは、前記第3および第4の円弧部の半径をrおよびrとして、下記条件式(5)で与えられる定数である。
【数7】
【請求項7】
前記請求項3に記載のひずみゲージを一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して4組のホイートストンブリッジを形成し、
各前記ホイートストンブリッジの入力端にブリッジ電圧を印加したとき、出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1〜前記第4のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1〜εG4、開口モードの材料定数をF1、前記ゲージグリッドの第1および第2の形状定数をQおよびQとして、開口モードの応力拡大係数Kが、
下記の条件式(6):
【数8】
を満足することを特徴とする応力拡大係数算出方法。
但し、前記開口モードの材料定数Fは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(7)で与えられる定数であり、
【数9】
また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
前記条件式(3)で与えられる定数であり、
前記第3および第4の円弧部の半径をrおよびrとして、前記条件式(5)で与えられる定数である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、応力拡大係数測定用ひずみゲージおよび応力拡大係数算出方法に関し、より詳細には、部材中に発生したき裂(亀裂)の破壊力学パラメータの一つである応力拡大係数を簡易に測定するために煩雑なき裂長さ測定作業が不要となるよう設計した専用のひずみゲージおよびその応力拡大係数測定用ひずみゲージを測定対象とするき裂先端部に添着し、応力拡大係数を簡単に且つ精度よく求め得る応力拡大係数算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、機器、構造物に存在するき裂(亀裂)に作用する応力拡大係数(「K値」と呼び、き裂を成長させる原動力となる破壊力学パラメータで、開口モードKとせん断モードKII、KIIIがある)を求める場合、多くの仮定を用いた計算となり、また、煩雑な計算が必要となる。
このような応力拡大係数測定用ひずみゲージの従来技術として、特開昭63−24103号公報(以下、「特許文献1」という)に開示された技術がある。
この特許文献1に記載された応力拡大係数計測用ひずみゲージは、図19に示すように、紙や合成樹脂等の絶縁物で形成された矩形のシート状をなすベース1の中央には、直径がdの開口2が形成されている。この開口2の中心から半径rの円周上には、それぞれ半円弧状をなすゲージグリッド3、4が形成され、これらゲージグリッド3、4の両端にはそれぞれリード線5、6が接続している。同様に、開口2の中心から半径rの円周上には、それぞれ半円弧状をなすゲージグリッド7、8が形成され、これらゲージグリッド7、8の両端にはそれぞれリード線9、10が接続されている。
ゲージグリッド3、4の測定方向とゲージグリッド7、8の測定方向とが相互に直角をなすように、これらゲージグリッド3、4、7、8のグリッドパターンが設定されている。
【0003】
このように構成された特許文献1のひずみゲージは、応力拡大係数を算出するために、煩雑な計算をしなければならず、例えば、前もってき裂長さに対応した表(またはグラフ)を作っておき、この表と測定したき裂長さを使い計算しなければならない、という難点がある。
上記表と測定したひずみ値を使わなければ、応力拡大係数は、算出できなかった。
他の先行技術として、多数枚のロゼット型ゲージを、き裂回りに貼り付け、測定したひずみ値から応力拡大係数を算出する方法がある。
しかしながら、この多数枚のロゼット型ゲージを添着する厄介さがあると共に、採取したひずみ値のデータ量が多くなり、その処理に多大の労力を必要とするばかりでなく、小型化を図り難いため、小さな領域における測定が困難である、といった問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−024103号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明に際しての課題は、応力拡大係数を簡単に算出できるように、ひずみ解析式を組み立てておくことであった。このため、求める応力拡大係数の解析式にうまく合致するように、き裂回りのひずみ採取ゲージパターンの配置・構成を工夫することが課題となり、最終的には、煩雑なき裂長さ測定作業が不要で、ひずみゲージで測定したき裂回りのひずみ値から、現場で電卓程度の計算で簡単に精度よく応力拡大係数を求めることができように構成することが課題となった。
因に、き裂先端部回りのひずみ分布式は、弾性学における極座標ひずみ成分式を用いて導かれる。応力拡大係数は、この分布式の第1項目に現れる係数である。従って、応力拡大係数の精度を上げるには、この極座標ひずみ成分式から応力拡大係数解析式を導く必要があった。この要求と共に、精度のよい応力拡大係数を導くためには、極座標形式の高次項までを用いて応力拡大係数を導くことも要求された。但し、この場合に用いる極座標形式の高次項は、できるだけ少ない項数で精度の良い値を保証できる範囲とすることが必要となる。また、ひずみゲージのゲージパターンは、極座標形式のひずみ成分に基づき作られていることが必要である。
【0006】
本発明は、上記、問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、求める応力拡大係数の解析式に適合するよう、き裂回りのひずみを検出し得るパターンが形成された専用の小型の応力拡大係数測定用ひずみゲージを提供することにある。
さらに、本発明の他の目的とするところは、本発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いて、煩雑なき裂長さ測定作業が不要で、簡易な測定作業で、き裂回りのひずみ値が得られ、得られたひずみ値から、現場で電卓程度の計算で簡単に且つ精度よく、応力拡大係数を求められる応力拡大係数算出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージは、上述した目的を達成するために、
軸中心から放射方向に延びる基準軸と、前記軸中心からの半径が異なる第1の円弧部と第2の円弧部と、前記基準軸を対称として所定の角度をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸とを仮想したとき、
前記基準軸と前記第1および第2の放射軸と前記第1の円弧部と前記第2の円弧部とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内に形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部と、
前記第1のゲージグリッド部の各端に接続された第1の一対の接続端子と、
前記第2のゲージグリッド部の各端に接続された第2の一対の接続端子と、
前記第1および第2のゲージグリッド部と前記第1および第2の接続端子が一体的に添着されてなる絶縁基板とからなる第1および第2のひずみゲージであって、
被測定対象物に生じた亀裂先端部に前記軸中心を合致させると共に前記亀裂部の方向と前記基準軸とを合致させて前記絶縁基板を前記被測定対象物に添着し、前記亀裂回りのひずみを測定し、応力拡大係数を算出し得るように構成したことを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載した発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージは、上述した目的を達成するために、
軸中心から放射方向に延びる基準軸と、前記軸中心から半径が異なる第1の円弧部と第2の円弧部と前記第1、第2の円弧部より所定間隔離れて外側に位置し、前記軸中心からの半径が異なる第3の円弧部と第4の円弧部と、前記基準軸を対称として所定の角度をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸とを仮想したとき、
前記基準軸と前記第1および第2の放射軸と、前記第1の円弧部と前記第2の円弧部とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部と、
前記基準軸と前記第1および第2の放射軸と、前記第3の円弧部と前記第4の円弧部とで囲まれる扇形状の第3および第4の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第3および第4のゲージグリッド部と、
前記第1のゲージグリッド部の各端に接続された第1の一対の接続端子と、
前記第2のゲージグリッド部の各端に接続された第2の一対の接続端子と、
前記第3のゲージグリッド部の各端と接続された第3の一対の接続端子と、
前記第4のゲージグリッド部の各端と接続された第4の一対の接続端子と、
前記第1および第2のゲージグリッド部並びに前記第3および第4のゲージグリッド部と、前記第1および第2の接続端子並びに前記第3および第4の接続端子が一体的に添着されてなる絶縁基板とからなるひずみゲージであって、
被測定対象物に生じた亀裂先端部に前記軸中心を合致させると共に前記亀裂部の方向と前記基準軸とを合致させて前記絶縁基板を前記被測定対象物に添着し、前記亀裂回りのひずみを測定し、応力拡大係数を算出し得るように構成したことを特徴としている。
【0009】
請求項3に記載した発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージは、
前記基準軸と前記第1の放射軸および前記基準軸と前記第2の放射軸とがなす角度を、それぞれ90°となしたことを特徴としている。
請求項4に記載した発明に係る応力拡大係数算出方法は、
前記請求項1の応力拡大係数測定用ひずみゲージの前記第1および第2のひずみゲージを、それぞれ一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して2つのホイートストンブリッジ回路を形成し、前記2つのホイートストンブリッジ回路の入力端にブリッジ電圧を印加し、それぞれの出力端に生ずる出力電圧をひずみ測定器で測定した前記第1および第2のひずみゲージのひずみ値を、所定の演算式に代入することでせん断モードにおける応力拡大係数を測定し得るように構成したことを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載した発明に係る応力拡大係数算出方法は、
前記請求項3に記載のひずみゲージを一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して2つのホイートストンブリッジ回路を形成し、
前記ホイートストンブリッジ回路の各入力端にブリッジ電圧を印加したとき、各出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1、前記第2のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG2、せん断モードの材料定数をJ1、前記第1および第2のゲージグリッドの第1の形状定数をQとして、せん断モードの応力拡大係数KIIが、
下記の条件式(1):
【0011】
【数1】
を満足することを特徴としている。
但し、前記せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(2)で与えられる定数であり、
【0012】
【数2】
【0013】
また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
下記条件式(3)で与えられる定数である。
【0014】
【数3】
【0015】
請求項6に記載した発明に係る応力拡大係数算出方法は、
前記請求項3に記載のひずみゲージを一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して4つのホイートストンブリッジ回路を形成し、
前記ホイートストンブリッジ回路の各入力端にブリッジ電圧を印加したとき、各出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1、前記第2のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG2、前記第3のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG3、前記第4のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG4、せん断モードの材料定数をJ1、前記第1および第2のゲージグリッドの第1の形状定数をQ、前記第3および第4のゲージグリッド部の第2の形状定数をQとして、せん断モードの応力拡大係数KIIが、
下記の条件式(4):
【0016】
【数4】
を満足することを特徴としている。
但し、前記せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(2)で与えられる定数であり、
【0017】
【数5】
【0018】
また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
下記条件式(3)で与えられる定数であり、
【0019】
【数6】
さらに、ゲージグリッド部の第2の形状定数Qは、前記第3および第4の円弧部の半径をrおよびrとして、下記条件式(5)で与えられる定数である。
【0020】
【数7】
【0021】
請求項7に記載した発明に係る応力拡大係数算出方法は、
前記請求項3に記載のひずみゲージを一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗を回路挿入して4組のホイートストンブリッジを形成し、
各前記ホイートストンブリッジの入力端にブリッジ電圧を印加したとき、出力端から出力される電圧をひずみ測定器で測定したときの前記第1〜前記第4のゲージグリッド部で測定されたひずみをεG1〜εG4、開口モードの材料定数をF1、前記ゲージグリッドの第1および第2の形状定数をQおよびQとして、開口モードの応力拡大係数Kが、
下記の条件式(6):
【0022】
【数8】
を満足することを特徴としている。
但し、前記開口モードの材料定数Fは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(7)で与えられる定数であり、
【0023】
【数9】
【0024】
また、ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径をrおよびrとして、
前記条件式(3)で与えられる定数であり、
前記第3および第4の円弧部の半径をrおよびrとして、前記条件式(5)で与えられる定数である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、求める応力拡大係数の解析式に適合するよう、き裂回りのひずみを検出し得るパターンが形成された専用の小型の応力拡大係数測定用ひずみゲージを提供することができる。
さらに、本発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いて、煩雑なき裂長さ測定作業が不要で、簡易な測定作業で、き裂回りのひずみ値が得られ、得られたひずみ値から、現場で電卓程度の計算で、簡単に且つ精度よく応力拡大係数を求められる応力拡大係数算出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドのパターンの配置を示す平面図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージの基本的なゲージグリッドのパターンの配置を示す平面図である。
図3】本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドおよび接続端子のパターンを詳細に示す拡大平面図である。
図4】応力拡大係数測定用ひずみゲージの被測定体への貼り付け方を示す説明図である。
図5】本発明に係る応力拡大係数算出方法を用いて各ゲージグリッド毎にひずみ測定を行う場合の回路図を示し、図5(a)〜図5(d)は、第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4で検出されるひずみをそれぞれ測定する場合の回路図を示すものである。
図6】本発明が適用される応力拡大係数を求めるために用いた第1の中央き裂平板試験片の平面図である。
図7】第1の中央き裂平板試験片を用いた負荷実験より得られた応力拡大係数Kと理論値の比較結果を示すグラフである。
図8】本発明が適用される応力拡大係数を求めるために用いた第2の中央斜き裂平板試験片の平面図である。
図9】第2の中央斜き裂平板試験片を用いた負荷実験より得られた応力拡大係数Kと理論値の比較結果を示すグラフである。
図10】第2の中央斜き裂平板試験片を用いた負荷実験より得られた応力拡大係数KIIと理論値の比較結果を示すグラフである。
図11】本発明が適用される応力拡大係数を求めるために用いた第3の片側縁斜き裂平板試験片の平面図である。
図12】第3の片側縁斜き裂平板試験片を用いた負荷実験より得られた応力拡大係数Kと理論値の比較結果を示すグラフである。
図13】第3の片側縁斜き裂平板試験片を用いた負荷実験より得られた応力拡大係数KIIと理論値の比較結果を示すグラフである。
図14】四辺のうちの一辺にひずみゲージを回路挿入した一般的なホイーストンブリッジ回路を示す回路図である。
図15】き裂先端から展開するxy直行座標系を示す説明図である。
図16】き裂先端から展開するrθ極座標系を示す説明図である。
図17】本発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージの被測定体に添着した状態を示す説明図である。
図18】本発明に係る応力拡大係数導出のための簡易フロー図である。
図19】従来の応力拡大係数測定用ひずみゲージの回路構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施の形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施の形態の中で説明されている各特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0028】
〔第1の実施の形態および第2の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドのパターンを示す平面図である。
図2は、本発明に係る第1の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドのパターンの概略を示す平面図である。
図3は、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドおよび各接続端子のパターンを詳細に示す拡大平面図である。
図4は、本発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージの被測定体の貼り付け方を示す説明図である。
図5は、本発明に係る応力拡大係数算出方法を用いて、各ゲージグリッド(ひずみゲージ)毎にひずみ測定を行う場合の回路図を示し、図5(a)〜図5(d)は、第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4で検出されるひずみをそれぞれ測定する場合の回路図である。
【0029】
先ず、図2を参照して本発明の第1の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージを詳細に説明する。
本発明の第1の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージは、図2に示すように、
軸中心Oから放射方向に延びる基準軸OXと、前記軸中心Oからの半径rおよびrが異なる第1の円弧部C1と第2の円弧部C2と、前記基準軸OXを対称として所定の角度をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸OR1およびOR2とを仮想したとき、
前記基準軸OXと前記第1および第2の放射軸OR1およびOR2と前記第1の円弧部C1と前記第2の円弧部C2とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内に形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2と、を有する。
【0030】
さらに、図3に示すように、前記第1のゲージグリッド部G1の各端に接続された第1の一対の接続端子T1−1、T1−2と、
前記第2のゲージグリッド部G2の各端に接続された第2の一対の接続端子T2−1、T2−2と、
前記第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2と前記第1および第2の接続端子T1−1、T1−2およびT2−1、T2−2が一体的に添着されてなる絶縁基板BPとからなる第1および第2のひずみゲージS1およびS2が完成する。
【0031】
図2に示すように、被測定対象物に生じた亀裂先端部に前記軸中心Oを合致させると共に前記き裂部の方向と前記基準軸OXとを合致させて前記絶縁基板BPを前記被測定対象物に添着し、前記亀裂回りのひずみε、εを測定し、応力拡大係数を算出し得るように構成されている(請求項1に対応する)。
また、本発明に係る第2の実施の形態の応力拡大係数測定用ひずみゲージは、図1および図3に示すように、軸中心Oから放射方向に延びる基準軸OXと、前記軸中心Oから半径rおよびrが異なる第1の円弧部C1と第2の円弧部C2と前記第1、第2の円弧部C1、C2より所定間隔離れて外側に位置し、前記軸中心Oからの半径rおよびrが異なる第3の円弧部C3と第4の円弧部C4と、前記基準軸OXを対称として所定の角度をもって放射方向に延びる第1および第2の放射軸OR1およびOR2とを仮想したとき、
前記基準軸OXと前記第1および第2の放射軸OR1およびOR2と、前記第1の円弧部C1と前記第2の円弧部C2とで囲まれる扇形状の第1および第2の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2と、
前記基準軸OXと前記第1および第2の放射軸OR1およびOR2と、前記第3の円弧部C3と前記第4の円弧部C4とで囲まれる扇形状の第3および第4の領域内にそれぞれ形成され放射方向に受感部を有する第3および第4のゲージグリッド部G3およびG4とが形成されている。
【0032】
さらに、図3に示すように、上記第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4には、それぞれ接続端子が接続されている。即ち、前記第1のゲージグリッド部G1の各端に接続された第1の一対の接続端子T1−1、T1−2と、
前記第2のゲージグリッド部G2の各端に接続された第2の一対の接続端子T2−1、T2−2と、
前記第3のゲージグリッド部G3の各端と接続された第3の一対の接続端子T3−1、T3−2と、
前記第4のゲージグリッド部G4の各端と接続された第4の一対の接続端子T4−1、T4−2とが、それぞれ接続されている。
そして、前記第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2並びに前記第3および第4のゲージグリッド部G3およびG4と、前記第1および第2の接続端子T1−1、T1−2およびT2−1、T2−2並びに前記第3および第4の接続端子T3−1、T3−2およびT4−1、T4−2が一体的に絶縁基板BPに添着されてひずみゲージが完成する。
【0033】
被測定対象物に生じたき裂先端部に前記軸中心Oを合致させると共に前記き裂部の方向と前記基準軸OXとを合致させて前記絶縁基板BPを前記被測定対象物に添着し、前記き裂回りのひずみを測定し、応力拡大係数を算出し得るように構成したものである(請求項2に対応する)。
本発明の応力拡大係数測定用ひずみゲージは、その基本構成として、き裂先端部を中心にして90°に展開した扇型の領域内に、放射方向に展開された受感部を備える例を示している。この構成により、上記中心Oから放射方向に生ずるひずみを測定するものであるが、必ずしも90°に限定されるものではない。
図3は、本発明の第1の実施の形態および第2の実施の形態に係るより具体的な応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドを含む平面図である。応力拡大係数の測定時には、図4に示すように、使用者が、このひずみゲージを、その軸中心Oを、き裂先端部に合致させ、かつ基準軸OXがき裂の延長方向となるようにして貼り付ける。
【0034】
本発明の第1および第2の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドG1〜G4は、図3に詳しく示されているように、上記き裂先端部を中心として放射方向に生ずるひずみを測定するための上記第1の領域内に第1のゲージグリッド部G1を備え、上記第2の領域内に第2のゲージグリッド部G2を備え、上記第3の領域内に第3のゲージグリッド部G3を備え、上記第4の領域内に第4のゲージグリッド部G4を備える。このゲージグリッド部G1、G2、G3、G4は、上記のき裂先端部を中心としてそれぞれ放射方向に展開された受感部を備える。図3では、この受感部の構造として放射方向に延び、且つ第1と第2の円弧部C1とC2、第3と第4の円弧部C3とC4の各近傍で順次複数の折り返しを有する線状の受感素子を配置している。本発明の受感部の構造は、上記き裂先端部を中心として放射方向に生ずるひずみを受感できさえすれば良く、従って、図3に示すものとは限らない。第1のゲージグリッド部G1の上記線状の受感素子の一端は一方の第1の接続端子T1−1に接続され、他の一端は他方の第1の接続端子T1−2に接続されている。同様に、第2のゲージグリッド部G2の線状の受感素子の一端は一方の第2の接続端子T2−1に、他の一端は他方の第2の接続端子T2−2に、第3のゲージグリッド部G3の線状の受感素子の一端は一方の第3の接続端子T3−1に、他の一端は他方の第3の接続端子T3−2に、第4のゲージグリッド部G4の線状の受感素子の一端は一方の第4の接続端子T4−1に、他の一端は他方の第4の接続端子T4−2に、それぞれ接続されている。
【0035】
上記の第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の構成は、き裂先端前部領域のひずみ全体を網羅することができる。
第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の各々を形成する抵抗素材には、任意の抵抗素材を充当することができる。例えば、Cu−Ni(系)合金、Ni−Cr(系)合金、Fe−Cr(系)合金などを、用途に合わせて用いることができる。
本発明の第2の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドの配置は、図1に示す本発明の第1の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドの配置に部分的な追加配置を加えたものである。具体的には、本発明の第2の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドの配置は、図2に示す第1の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドの配置に加えて、軸中心Oを中心として、それぞれ半径がrとrと異なる第3の円弧部C3と第4の円弧部C4と、第1の放射軸OR1と第2の放射軸OR2とで囲まれた扇型の領域、即ち、第3のゲージグリッド部G3と第4のゲージグリッド部G4を有する。
【0036】
第1のゲージグリッド部G1、第2のゲージグリッド部G2、第3のゲージグリッド部G3および第4のゲージグリッド部G4は、上記のき裂先端部を中心としてそれぞれ放射方向に展開された受感部を備える。
図3では、第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の受感部の構造として軸中心から放射方向に延び、順次、円弧部C1、C2およびC3、C4近傍にて複数の折り返し点を有する受感素子を配置しているが、本発明の受感部の構造は、一般に、上記き裂先端部を中心として放射方向に生ずるひずみを受感できさえすれば良く、従って、図3に示すものとは限らない。上記の第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の構成は、き裂先端前部領域のひずみ全体を網羅することができる。
【0037】
〔第3の実施の形態〕
本発明の第3の実施の形態に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージのゲージグリッドの配置は、上記の基準軸OXと上記の第1の放射軸OR1とがなす角度を90°にすると共に、上記の基準軸OXと上記の第2の放射軸OR2とがなす角度をも90°にしたものである。
【0038】
〔第4の実施の形態〕
図5は、本発明に係る応力拡大係数算出方法を用いて各ゲージグリッドを単位としてひずみ測定を行う場合の回路図を示し、図5(a)〜図5(d)は、第1のゲージグリッド部G1〜第4のゲージグリッド部G4で検出されるひずみをそれぞれ測定する場合の回路図を示すものである。
第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4は、それぞれ本発明に係る応力拡大係数算出方法で用いるホイートストンブリッジの一辺に挿入接続される。このホイートストンブリッジの他の三辺には、同一抵抗値の抵抗器Rが挿入接続される。より具体的には、図5(a)に示す回路では、一方の第1の接続端子T1−1と他方の第1の接続端子T1−2との間に接続された第1のゲージグリッド部G1が上記ホイートストンブリッジの一辺を構成する。同様に、図5(b)に示す回路では、一方の第2の接続端子T2−1と他方の第2の接続端子T2−2との間に接続された第2のゲージグリッド部G2が、図5(c)に示す回路では、一方の第3の接続端子T3−1と他方の第3の接続端子T3−2との間に接続された第3のゲージグリッド部G3が、図5(d)に示す回路では、一方の第4の接続端子T4−1と他方の第4の接続端子T4−2との間に接続された第4のゲージグリッド部G4が、それぞれ上記ホイートストンブリッジの一辺を構成する。
【0039】
本発明の第4の実施形態に係るせん断モードの応力拡大係数算出方法は、図5(a)及び図5(b)で示す回路のみを用いる。この場合のひずみ測定方法は、まず、図5(a)に示す回路において、上記ホイートストンブリッジの入力端にブリッジ電圧eを印加し、この時の出力電圧値eoG1を用いてひずみεG1を得る。次に、図5(b)に示す回路において、上記ホイートストンブリッジの入力端にブリッジ電圧eを印加し、この時の出力電圧値eoG2を用いてひずみεG2を得る。最後に、このひずみεG1、εG2を、所定の演算式(本ひずみ測定方法の原理として後述する)に代入することで、せん断モードにおける応力拡大係数を算出する。上記の測定順序は逆にしても良いし、上記の測定を同時に行っても良い。
図5(a)および図5(b)で示す2つの回路を用いて、ひずみεG1、εG2を算出し、せん断モードの材料定数をJとし、ゲージグリッド部G1、G2の形状定数をQ1として、求める応力拡大係数KIIを、条件式(1)により算出する(請求項5に対応する)。
【0040】
【数10】
但し、条件式(1)において、せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、条件式(2)により算出する。
【0041】
【数11】
【0042】
また、上記ゲージグリッド部の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部G、Gの形状で決まる定数であり、具体的には、第1の円弧部C1の半径をrとし、第2の円弧部C2の半径をrとして、条件式(3)により算出する。
【0043】
【数12】
【0044】
〔第5の実施の形態〕
この第5の実施の形態に係る応力拡大係数算出方法では、ひずみゲージを一辺に回路挿入し、他の三辺に固定抵抗Rを回路挿入して4つのホイートストンブリッジ回路を形成する。
前記ホイートストンブリッジ回路の各入力端にブリッジ電圧eを印加したとき、各出力端から出力される電圧eoG1〜eoG4をひずみ測定器で測定したときの前記第1のゲージグリッド部G1で測定されたひずみをεG1、前記第2のゲージグリッド部G2で測定されたひずみをεG2、前記第3のゲージグリッド部G3で測定されたひずみをεG3、前記第4のゲージグリッド部G4で測定されたひずみをεG4とする。せん断モードの材料定数をJ1、前記第1および第2のゲージグリッド部G1およびG2の第1の形状定数をQ、前記第3および第4のゲージグリッド部G3およびG4の第2の形状定数をQとして、せん断モードの応力拡大係数KIIが、
下記の条件式(4):
【0045】
【数13】
を満足することを特徴とする応力拡大係数算出方法(請求項6に対応する)。
但し、前記せん断モードの材料定数Jは、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、下記条件式(2)で与えられる定数であり、
【0046】
【数14】
また、ゲージグリッド部G1、G2の第1の形状定数Qは、ゲージグリッド部G1、G2の形状で決まる定数であり、
前記第1および第2の円弧部の半径C1およびC2をrおよびrとして、
下記条件式(3)で与えられる定数であり、
【0047】
【数15】
さらに、ゲージグリッド部の第2の形状定数Qは、前記第3および第4の円弧部C3およびC4の半径をrおよびrとして、下記条件式(5)で与えられる定数である。
【0048】
【数16】
【0049】
〔第6の実施の形態〕
この実施の形態に係る応力拡大係数算出方法は、上記の第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4を用いて、開口モードにおける応力拡大係数を具体的に求める算出方法である。
本発明の第6の実施の形態に係る応力拡大係数算出方法は、図5(a)〜図5(d)で示す4つの回路を用いる。
この場合のひずみ測定方法は、まず、本発明の第4の実施形態に係るせん断モードにおける応力拡大係数算出方法で用いたひずみ測定方法と同様のひずみ測定方法により、図5(a)〜図5(d)で示す4つの回路を用いて、第1〜第4のひずみεG1〜εG4を算出する。開口モードの材料定数をFとし、第1〜第4のゲージグリッド部G1〜G4の第1の形状定数をQおよび第2の形状定数をQとして、求める開口モードの応力拡大係数Kを、条件式(6)により算出する。
【0050】
【数17】
但し、条件式(6)において、開口モードの材料定数F は、縦弾性係数をE、ポアッソン比をνとして、条件式(7)により算出する。
【0051】
【数18】
【0052】
また、上記ゲージグリッド部の第1の形状定数Q1は、第1、第2のゲージグリッド部G1、G2の形状で決まる形状定数であり、具体的には、第1の円弧部C1の半径をrとし、第2の円弧部C2の半径をrとして、前記のとおり条件式(3)により算出する。さらに、上記ゲージグリッド部の第2の形状定数Q2は、第3、第4のゲージグリッド部G3、G4の形状で決まる定数であり、具体的には、第3の円弧部C3の半径をrとし、第4の円弧部C4の半径をrとして、下記条件式(5)により算出する。
【0053】
【数19】
【実施例】
【0054】
図6は、本発明の第1の実施例に係る開口型モードIの中央き裂平板試験片P1を示す平面図である。
き裂の負荷モードとして開口型モードIタイプの試験片を製作して使用した。
予め、幅αmmの模擬き裂を試験片の中央部に形成(中央き裂平板試験片)した試験片を製作した。製作した試験片の各部寸法は板幅(W)に対してW(板幅):L(板長さ):a(き裂長さ):α(き裂幅)=1:3.75:0.3:0.00167とした。本発明の応力拡大係数測定用ひずみゲージを、き裂先端部に添着し、負荷実験を行いひずみ測定を行った。図7は負荷実験より得られたひずみ値から算出した応力拡大係数Kと理論値の比較結果を示すグラフである。
ここで、開口モードIにおけるKとは、図6の試験片P1において、図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)の出力eoG1、eoG2、eoG3、eoG4を用いて算出した場合(即ち、+90°〜−90°の範囲)である。負荷実験に用いた応力拡大係数測定用ひずみゲージの第1の円弧部C1の半径r、第2の円弧部C2の半径r、第3の円弧部C3の半径r、そして第4の円弧部C4の半径rの寸法はW:r:r:r:r=80:1:1.67:2.33:3とした。
図7にて分かるように、開口モードI、負荷状態における中央き裂の応力拡大係数Kは、理論値に対して±10%以内の値を示し、本発明の応力拡大係数測定用ひずみゲージが良好な精度を有していることが検証できた。
【0055】
図8は、本発明の第2の実施例に係る混合モードの中央斜き裂平板試験片P2を示す平面図である。
上記と同様に、混合モードの中央斜き裂平板試験片P2についても負荷実験を行った。その際、き裂角度は試験片軸方向から45°とし試験片を製作した。製作した試験片の各部寸法は板幅(W)に対してW(板幅):L(板長さ):a(き裂長さ):α(き裂幅)=1:3.75:0.3:0.00167とした。本発明の応力拡大係数測定用ひずみゲージを、き裂先端部に添着し、負荷実験を行いひずみ測定を行った。図9は負荷実験より得られたひずみ値から算出した応力拡大係数Kと理論値の比較結果を示すグラフである。図10は負荷実験より得られたひずみ値から算出した応力拡大係数KIIと理論値の比較結果を示すグラフである。
ここで、算出した応力拡大係数K、KIIとは、図8の試験片P2において、図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)の出力eoG1、eoG2、eoG3、eoG4を用いて算出した場合(即ち、+90°〜−90°の範囲)である。負荷実験に用いた応力拡大係数測定用ひずみゲージの第1の円弧部C1の半径r、第2の円弧部C2の半径r、第3の円弧部C3の半径r、そして第4の円弧部C4の半径rの寸法はW:r:r:r:r=80:1:1.67:2.33:3とした。
図9、10にて分かるように、混合モードの中央斜き裂平板試験片P2における応力拡大係数はK、KIIともに理論値に対して±10%以内の値を示し、良好な精度を有していることが検証できた。
【0056】
図11は、本発明の第3の実施例に係る混合モードの片側縁斜き裂平板試験片P3を示す平面図である。
上記と同様に、混合モードの片側縁斜き裂平板試験片P3についても負荷実験を行った。その際、き裂角度は試験片軸方向から45°とし試験片を製作した。製作した試験片の各部寸法は板幅(W)に対してW(板幅):L(板長さ):a(き裂長さ):α(き裂幅)=1:3.75:0.3:0.00167とした。本発明の応力拡大係数測定用ひずみゲージを、き裂先端部に添着し、負荷実験を行いひずみ測定を行った。図12は負荷実験より得られたひずみ値から算出した応力拡大係数Kと理論値の比較結果を示すグラフである。図13は負荷実験より得られたひずみ値から算出した応力拡大係数KIIと理論値の比較結果を示すグラフである。
ここで、算出した応力拡大係数K、KIIとは、図11の試験片P3において、図5(a)、図5(b)、図5(c)、図5(d)の出力eoG1、eoG2、eoG3、eoG4を用いて算出した場合(即ち、+90°〜−90°の範囲)である。負荷実験に用いた応力拡大係数測定用ひずみゲージの第1の円弧部C1の半径r、第2の円弧部C2の半径r、第3の円弧部C3の半径r、そして第4の円弧部C4の半径rの寸法はW:r:r:r:r=80:1:1.67:2.33:3とした。
図12、13にて分かるように、混合モードの片側縁斜き裂平板試験片P3における応力拡大係数はK、KIIともに理論値に対して概ね±10%の値を示した。
【0057】
(ひずみ測定方法の原理)
以下では、上記の各実施の形態に係るホイートストンブリッジ回路を用いたひずみ測定方法の原理を説明する。
図14は、一般的なホイーストンブリッジ回路を示す回路図である。
一般に、ひずみゲージによるひずみの測定には、図14に示すようなホイーストンブリッジ回路を使用する。図14に示すホイーストンブリッジ回路では、ホイーストンブリッジ回路の一辺を占める抵抗の1つを抵抗値Rのひずみゲージに置き換え、他の三辺を占める3つの抵抗の各々を抵抗値Rの固定抵抗とする。
ひずみゲージがひずみεを受けたときの抵抗値変化ΔRとひずみεとの関係は数式(8)で表される。
【0058】
【数20】
ホイートストンブリッジ回路の入力端にe(E)のブリッジ電圧を印加した状態でひずみゲージがひずみを受けてΔRだけ抵抗値変化したとき、ホイートストンブリッジ回路の出力電圧eとひずみεとの関係は数式(9)で表される。
【0059】
【数21】
【0060】
ひずみゲージによる測定では、ホイートストンブリッジ回路に任意の印可電圧e(E)を印加した時に、測定される出力電圧eと数式(9)とを用いて、該ひずみゲージが受けるひずみεを求める。
但し、図14と上記数式において、
:ひずみゲージの抵抗値、
ΔR:ひずみゲージの抵抗値変化量、
:ひずみゲージのゲージ率、
ε:ひずみゲージの受けるひずみ、
(E):ホイートストンブリッジ回路の印可電圧、e:出力電圧、
R:固定抵抗の抵抗値、とする。
【0061】
(応力拡大係数の計算方法)
以下では、上記の各実施形態に係るホイートストンブリッジ回路を用いた応力拡大係数の計算方法を説明する。
ひずみゲージグリッドG1〜G4で測定されたひずみεG1〜εG4を数式(6)、数式(1)に代入することで2種類の応力拡大係数を求める。
開口モードIの応力拡大係数をK
とすると、下記(6)式:
【0062】
【数22】
せん断モードIIの応力拡大係数をKIIとすると、
【0063】
【数23】
【0064】
以下、測定値は、
εG1:第1のゲージグリッド部G1で測定されたひずみ、
εG2:第2のゲージグリッド部G2で測定されたひずみ、
εG3:第3のゲージグリッド部G3で測定されたひずみ、
εG4:第4のゲージグリッド部G4で測定されたひずみ、
のうち、εG1とεG2の2つ、または、εG1、εG2、εG3およびεG4の4つとする。
また、測定対象の材料で決まる定数には、

:開口モードの材料定数、
:せん断モードの材料定数、
が有る。
【0065】
さらに、ゲージグリッドの形状で決まる定数には、
:ひずみゲージグリッドの形状定数1(式3)、
:ひずみゲージグリッドの形状定数2(式5)、
が有る。
【0066】
上記4つの測定値(εG1、εG2、εG3、εG4)と、測定対象の材料やひずみゲージグリッド形状によって予め決まっている上記4つの定数(F、J、Q、Q)を用いることで、2つのモードの応力拡大係数を求めることが可能である。
開口モードの材料定数Fは、縦弾性係数をEとし、ポアソン比をνとして、式(7)で算出する。
【0067】
【数24】
せん断モードの材料定数Jは、数式(2)で算出する。
【0068】
【数25】
【0069】
ひずみゲージグリッドの形状定数1(Q)は、第1のゲージグリッド部G1と、第2のゲージグリッド部G2の第1、第2の円弧部C1、C2の軸中心Oからの半径をそれぞれr、rとし、第3のゲージグリッド部G3と第4のゲージグリッド部G4の第3、第4の円弧部C3、C4の軸中心Oからの半径をそれぞれr、rとして、数式(3)で算出する。
【0070】
【数26】
ひずみゲージグリッドの第2の形状定数2(Q)は、数式(5)で算出する。
【0071】
【数27】
【0072】
(数式の導出)
図15は、き裂先端から展開するxy直行座標系を示す説明図である。
本発明のひずみゲージでは、開口モードIとせん断モードIIの2つのモードを考える。
それぞれのモードを受ける材料のき裂先端周辺のひずみ分布式は、図15に示すように、xyの直行座標系において、一般にき裂先端からの距離rの級数展開式として与えられている。応力拡大係数は、ひずみ分布式の係数として現れる。
図16は、き裂先端から展開するrθ極座標系を示す説明図である。
本発明のひずみゲージでは、従前のゲージとは異なり、き裂先端を中心とした放射方向のひずみを測定するため、図16に示すようにひずみ分布式の極座標変換を行う。
図17は、本発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージを用いてひずみ測定を行う場合の説明図である。
極座標変換を行ったひずみ分布の2項目までと、図17に示す本発明に係るひずみゲージの形状とから、それぞれのモードでゲージグリッドが測定するひずみεG1〜εG4の算式は、開口モードIでは数式(10)〜数式(13)、せん断モードIIでは数式(14)〜(17)となる。
【0073】
【数28】
【0074】
【数29】
【0075】
【数30】
【0076】
【数31】
【0077】
【数32】
【0078】
【数33】
【0079】
【数34】
【0080】
【数35】
ここで、簡単化するために、以下のように置き換える。但し、Eは、縦弾性係数とし、νは、ポアッソン比とする。
【0081】
【数36】
【0082】
【数37】
【0083】
【数38】
【0084】
【数39】
【0085】
【数40】
【0086】
上式に示すとおり、F、Jは、材料固有の縦弾性係数Eとポアソン比νによって決まる値であり、上述のとおり、Fを開口モードの材料定数、Jをせん断モードの材料定数と呼称する。
また、QとQは、ひずみゲージグリッドの形状によって決まる値であり、上述のとおり、Qをひずみゲージグリッドの形状定数1、Qをひずみゲージグリッドの形状定数2と呼称する。
、Bは、以下の導出で最終的に消去するため、詳細説明は省略する。
(開口モードIとせん断モードIIとの重ね合わせ)
一般に、き裂は、開口モードIとせん断モードIIとが合わさった混合モードとしてのひずみを受けると考えられるため、以下では、ひずみεG1〜εG4について、開口モードIとせん断モードIIとの重ね合わせを行う場合を説明する。
この場合は、数式(19)〜(22)が得られる。
【0087】
εG1=F+F+JII (19)
εG2=F+F−JII (20)
εG3=F+F+JII (21)
εG4=F+F−JII (22)
開口モードIの応力拡大係数Kは、数式演算で示すと、数式(19)+数式(20)から、数式(21)+数式(22)を引き算し、その結果をKについて整理することで数式(6)のように得られる。
【0088】
【数41】
また、せん断モードIIの応力拡大係数KIIは、数式(19)から数式(20)を引き算し、その結果をKIIについて整理することで数式(1)が得られる。
【0089】
【数42】
また、せん断モードIIの応力拡大係数KIIは、数式演算で示すと、数式(19)+数式(21)から数式(20)+数式(22)を引き算し、その結果をKIIについて整理することで数式(4)のように得られる。
【0090】
【数43】
図18は、本発明に係る応力拡大係数測定用ひずみゲージおよび応力拡大係数算出方法を用いて応力拡大計数を算出するまでの手順を示すフローチャート図である。
図18に示す算出手順において、各処理ブロックでの演算は、付記の図面および数式を参照して行うものとする。
本発明は、上述し且つ図面に示した実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱することなく、種々に変形して実施をすることができる。
例えば、軸中心Oから半径r、rよりも、さらに外側に半径r、r、r、r・・・等のように第6ゲージグリッド部、第7ゲージグリッド部をさらに増設するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0091】
OR1 第1の放射軸
OR2 第2の放射軸
OX 基準軸
O 軸中心
C1 第1の円弧部
C2 第2の円弧部
C3 第3の円弧部
C4 第4の円弧部
G1〜G4 第1〜第4のゲージブリッド部
S1〜S4 第1〜第4のひずみゲージ
〜r 軸中心Oからの半径
T1−1、T1−2 第1の接続端子
T2−1、T2−2 第2の接続端子
T3−1、T3−2 第3の接続端子
T4−1、T4−2 第4の接続端子
R 固定抵抗
P1〜P3 第1〜第3の試験片
図1
図2
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