【実施例1】
【0024】
図1は、動画広告の視聴確認システムの構成を示す図である。動画広告の視聴確認システム1には、ネットワーク2を介して視聴者端末機3が接続されている。視聴者端末機3は、パーソナルコンピュータ、スマートホンを含む。
【0025】
動画広告の視聴確認システム1は、セリフ抽出機能11、広告配信機能12、区間指示機能13、画面受信機能14及び視聴判定機能15を備え、動画データ16、区間データ17及びスクリーンショットデータ18を保持している。図において、矢印は、各機能による各データの読取、書込を示す。
【0026】
図2は、区間データを示す図である。区間データ17は、各々の区間について、開始時刻、終了時刻、猶予時間及び内容を含む。開始時刻及び終了時刻は、動画の先頭からの時間である。内容は、その区間に含まれるセリフ、画像等を示す。
【0027】
区間データ17は、音声認識確度及び送信設定を含んでもよい。セリフ抽出機能11によって抽出されたセリフについて音声認識の確からしさ(確度)を保持し、これを加味して、区間指示機能13が視聴者端末3に送信する際に用いる区間を設定(送信設定)することができる。
【0028】
以下、動画広告の視聴確認システムの処理、及びその処理による動画広告の視聴確認方法を説明する。
【0029】
配信される動画広告は、動画データ16として保存されている。広告配信機能12は、動画データ16を視聴者端末3に配信する。その際、区間指定機能13が合わせて動作し、区間の指定を視聴者端末3に配信(表示)する。
【0030】
区間の指定を配信するためには、指定対象となる区間の情報が必要である。この情報は区間データ17に含まれているが、広告主が動画データ16を作成することのみで求められる情報ではない。広告配信開始前に区間データ17を生成しなければならない。
【0031】
区間データ17を編集可能とし、広告主が、主体的に定めた区間を区間データ17として格納・保存してもよい。開始時刻、終了時刻、猶予時間及び内容を編集(入力)することは困難ではない。例えば、動画広告の中に視聴者に伝えたいメッセージがセリフとして含まれている場合に、そのセリフを含む区間を指定することができる。視聴者はそのセリフを聞き逃さないように注意深く動画広告を視聴することが期待される。
【0032】
また、セリフ抽出機能11が動画データ16に含まれるサウンドに対して音声認識を行い、セリフを抽出してもよい。セリフ抽出機能11は、音声認識によって抽出されたセリフ(言語的内容を有する人の声)について、動画データ16内の位置に基づいて開始時刻及び終了時刻を求め、音声認識された言語的内容から内容を構成して(音声認識された言語的内容の前に「(セリフ)」を付して)、これらを区間データ17に追加する。この際、音声認識確度をも区間データ17に追加することが好ましい。音声認識確度は、音声認識にあたり、データ中の音声が認識結果の言語的内容である確率を示すもので、音声認識処理において求められるものである。
【0033】
動画データ16には多くのセリフが含まれる場合が多い。そこで、区間指定機能13が視聴者端末3に配信(表示)する対象の区間を選択し、選択された区間について送信設定にその旨の情報(図では「〇」で示す。)を追加する。かかる選択は、少なくとも以下の2通りの方法で行い得る。
【0034】
区間データ17を編集可能とし、広告主(又は広告配信業者)が、区間データに含まれるセリフから1又は2以上を選択して、そのセリフに係る送信設定を更新する。この際、音声認識の誤りがある場合には内容を修正することができる。また、セリフやセリフと合わせて表示される動画等の内容に基づいて猶予時間を設定することもできる。なお、猶予時間は規定値(例えば5秒)とし、必要な場合にのみ変更することとしてもよい。
【0035】
セリフ抽出機能11がセリフを選択して送信設定を更新する。選択は、全てのセリフの中からランダムに選択する、動画データの後半にあるセリフからランダムに選択する(視聴者が動画データの多くに視聴するようにさせる)、所定の時間長さを有するセリフから選択する(視聴者が確実に聞き取れるセリフを選択させる)、所定の値以上の音声認識確度を有するセリフから選択する(音声認識による内容の誤りを減少させる)、その他の方法で行うことができる。システムが自動的にセリフを選択するので、広告主(又は広告配信業者)の手間が緩和される。なお、自動的に選択された結果の区間データ17を編集可能とし、広告主(又は広告配信業者)が必要に応じて修正することとしてもよい。
【0036】
以上、広告配信開始前における区間データ17の生成について説明した。以下、広告配信について説明する。1度生成された区間データ17は、その後の広告配信に継続して使用される。
【0037】
広告配信機能12は、動画データ16を視聴者端末3に配信する。その際、区間指定機能13が合わせて動作し、区間の指定を視聴者端末3に配信(表示)する。区間指定機能13は、区間データ17の配信設定に基づいて区間を選択する。本実施例では、「抜群の使いやすさ」のセリフを含む区間が選択される。
【0038】
図3は、視聴者端末機に表示される画面の例を示す図である。表示画面4は、インターネットのホームページとしてブラウザによって表示され、動画表示域41、区間指示表示42及び送信ボタン43が含まれる。なお、送信ボタン43はなくともよい。
【0039】
動画表示域41には、広告配信機能12によって配信された動画が表示される。動画の再生、一時停止のボタンなどを合わせて表示することが好ましい。
【0040】
区間指示表示42は、区間指定機能13が配信するものであり、動画表示域41内に動画と合わせて表示される。本実施例では、選択された「抜群の使いやすさ」のセリフに「のセリフが言われている画面を送信」と付加して視聴者の作業をガイドし、「ポイント獲得」と付加して視聴者に画面(スクリーンショット)を送信するように促す。具体的にどのような表示を行うかについては、広告の目的に応じて設計することができる。
【0041】
視聴者は、「抜群の使いやすさ」のセリフが言われている間に、又は言われた直後にスクリーンショットを取得し、クーポン、ポイント等の取得のための情報(例えば登録したID)と合わせて送信する。
【0042】
視聴者端末3がパーソナルコンピュータである場合、動画再生中にプリントスクリーンキー(PrtScrと表示されているキー)を押下することで、スクリーンショットをクリップボードに取得することができる。これをイメージファイルとして電子メールに添付し、メール本文にポイント等の取得のための情報を記載する。
【0043】
視聴者端末3がスマートホンである場合、動画再生中にカメラ操作を行うことでスクリーンショットが静止画として保存される。静止画をメール送信する機能を利用し、メール本文にポイント等の取得のための情報を記載する。
【0044】
以上のように、スクリーンショットを添付ファイルとする電子メールを生成することは複雑な操作ではない。しかし、不慣れな視聴者のために送信ボタン43を設けることが好ましい。視聴者が送信ボタンを押下すると、スクリーンショットが取得され、それを添付ファイルとした電子メールが表示される。視聴者は、メール本文にポイント等の取得のための情報を記載する。
【0045】
視聴者が電子メールを送信すると、画面受信機能14によって受信される。画面受信機能14は、添付ファイルのスクリーンショットをスクリーンショットデータ18に追加する。その際、ポイント等の取得のための情報を合わせてスクリーンショットデータ18に保存することが好ましい。
【0046】
視聴判定機能15は、スクリーンショットデータ18のそれぞれについて、それが動画データ16のうちの区間指定機能13が視聴者端末3に配信した対象の区間のものであるか否かを判定する。
図4は、視聴判定機能の処理を示す図である。
【0047】
視聴判定機能15は、ステップ51において、スクリーンショットから動画画像部分を抽出する。スクリーンショットには表示画面4の全体が含まれるので、そこから動画画像部分を抽出するものである。かかる抽出は、動画表示域41の枠(長方形)を検出する等の公知の手法によって容易に行うことができる。
【0048】
視聴判定機能15は、ステップ52において、動画データ16から開始時刻のフレーム(画像)を読み取る。区間データ17のうち区間指定機能13が視聴者端末3に配信した対象の区間に係る開始時刻により、フレームが特定される。
【0049】
視聴判定機能15は、ステップ53において、フレームの画像と抽出された動画画像が一致するか否か(視聴者端末の画面解像度に起因する変化を除き同一か否か)を判定する。かかる判定は、解像度を合わせてピクセル毎の色を比較する、画像から求めた特徴量を抽出して比較する、その他の既知の方法を用いることができる。一致する場合には、視聴された旨の肯定的判定をする。
【0050】
一致しない場合には、視聴判定機能15は、次のフレームの画像(例えば、動画データのフレームレートが60Hzであれば、60分の1秒後の動画画像)に対して同様の処理を行う。この処理を時刻が「終了時刻+猶予時間」となるまで繰り返し、いずれかのフレームの画像と抽出された動画画像が一致する場合には肯定的判定をする。いずれのフレームの画像も抽出された動画画像と一致しない場合には、視聴されなかった旨の否定的判定をする(ステップ53、54、55)。
【0051】
肯定的判定が行われた場合には、謝礼の支払、クーポンの贈呈等を行う。この処理は、特許文献1に開示されたような公知のものでよい。
【0052】
以上詳細に説明したように、本発明の動画広告の視聴確認システムによれば、視聴者に大きな負担を強いることなく動画広告の要部を実際に視聴したことを確認することができる。発明の実装の形態によって、動画が提供されれば他の処理をシステムが自動的に行うことができ、広告主(又は広告配信業者)は追加的な作業を必要としないようにすることができる。また、そのシステムを活用して動画広告の視聴確認方法が提供され、その方法を用いて実際に視聴した視聴者のみに謝礼の支払、クーポンの贈呈等を行うことができる。