(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記等価係数算出部は、前記記憶部が記憶する劣化率と、当該劣化率に関連付けられた稼働時間に基づいて算出される等価稼働時間及び前記劣化関数から求められる劣化率との間の散布度が小さくなるように前記等価係数を生成する
請求項1に記載の劣化関数算出装置。
前記等価稼働時間算出部は、前記稼働時間を運用状態ごとの部分稼働時間に分け、各部分稼働時間に運用状態に応じた等価係数を乗じ、その総和を算出することで、前記等価稼働時間を算出する
請求項1または請求項2に記載の劣化関数算出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術は、異なった式の形状、項目に基づいて生成された劣化状態の推定式を用いて二次電池の寿命の予測を行うものである。そのため、過去に同じ負荷パターンで二次電池を運用した履歴情報に基づいて劣化予測式を生成し、同じ負荷パターンで運用する二次電池の劣化を予測する場合には精度よく劣化を予測できるが、未知の負荷パターンで運用する二次電池の劣化を予測する場合には、精度よく劣化を予測できない可能性がある。
本発明の目的は、未知の運用態様で二次電池を運用する場合にも精度よく劣化率を推定するための劣化関数算出装置
、劣化率推定システム、劣化関数算出方法
、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様は、二次電池の過去の運用ごとに、当該運用における二次電池の稼働時間と当該稼働時間における前記二次電池の劣化率とを関連付けて記憶する記憶部と、二次電池の過去の運用ごとに、当該運用に係る値に基づいて、前記稼働時間を正規化する等価係数を算出する等価係数算出部と、前記記憶部が各運用及び各劣化率に関連付けて記憶する各稼働時間について、当該稼働時間と、当該稼働時間に係る運用に係る前記等価係数とに基づいて、正規化された前記稼働時間である等価稼働時間を算出する等価稼働時間算出部と、前記等価稼働時間と、当該等価稼働時間の算出に用いた稼働時間に関連付けて前記記憶部が記憶する劣化率とに基づいて、前記等価稼働時間と劣化率との関係を示す劣化関数を算出する劣化関数算出部とを備える劣化関数算出装置である。
【0007】
また、第2の態様は、前記等価係数算出部は、前記記憶部が記憶する劣化率と、当該劣化率に関連付けられた稼働時間に基づいて算出される等価稼働時間及び前記劣化関数から求められる劣化率との間の散布度が小さくなるように前記等価係数を生成する第1の態様に記載の劣化関数算出装置である。
【0008】
また、第3の態様は、前記等価稼働時間算出部は、前記稼働時間を運用状態ごとの部分稼働時間に分け、各部分稼働時間に運用状態に応じた等価係数を乗じ、その総和を算出することで、前記等価稼働時間を算出する請求項1または第2の態様に記載の劣化関数算出装置である。
【0011】
また、第6の態様は、二次電池の劣化率の推定に用いる劣化関数を算出する劣化関数算出方法であって、劣化関数算出装置が、二次電池の過去の運用ごとに、当該運用に係る値に基づいて、前記稼働時間を正規化する等価係数を算出するステップと、前記劣化関数算出装置が、二次電池の過去の運用ごとに、当該運用における二次電池の稼働時間と当該稼働時間における前記二次電池の劣化率とを関連付けて記憶する記憶部に、各運用及び各劣化率に関連付けて記憶された各稼働時間について、当該稼働時間と、当該稼働時間に係る運用に係る前記等価係数とに基づいて、正規化された前記稼働時間である等価稼働時間を算出するステップと、前記劣化関数算出装置が、前記等価稼働時間と、当該等価稼働時間の算出に用いた稼働時間に関連付けて前記記憶部が記憶する劣化率とに基づいて、前記等価稼働時間と劣化率との関係を示す劣化関数を算出するステップとを有する劣化関数算出方法である。
【0013】
また、第8の態様は、コンピュータを、二次電池の過去の運用ごとに、当該運用における二次電池の稼働時間と当該稼働時間における前記二次電池の劣化率とを関連付けて記憶する記憶部、二次電池の過去の運用ごとに、当該運用に係る値に基づいて、前記稼働時間を正規化する等価係数を算出する等価係数算出部、前記記憶部が各運用及び各劣化率に関連付けて記憶する各稼働時間について、当該稼働時間と、当該稼働時間に係る運用に係る前記等価係数とに基づいて、正規化された前記稼働時間である等価稼働時間を算出する等価稼働時間算出部、前記等価稼働時間と、当該等価稼働時間の算出に用いた稼働時間に関連付けて前記記憶部が記憶する劣化率とに基づいて、前記等価稼働時間と劣化率との関係を示す劣化関数を算出する劣化関数算出部として機能させるためのプログラムである。
【0015】
また、第10の態様は、二次電池の過去の運用ごとに、当該運用における二次電池の稼働時間と当該稼働時間における前記二次電池の劣化率とを関連付けて記憶する記憶部と、二次電池の過去の運用ごとに、当該運用に係る値に基づいて、前記稼働時間を正規化する等価係数を算出する第1の等価係数算出部と、前記記憶部が各運用及び各劣化率に関連付けて記憶する各稼働時間について、当該稼働時間と、前記第1の等価係数算出部が算出した前記等価係数とに基づいて、正規化された前記稼働時間である等価稼働時間を算出する第1の等価稼働時間算出部と、前記第1の等価稼働時間算出部が算出した前記等価稼働時間と、当該等価稼働時間の算出に用いた稼働時間に関連付けて前記記憶部が記憶する劣化率とに基づいて、前記等価稼働時間と劣化率との関係を示す劣化関数を算出する劣化関数算出部と、二次電池の稼働時間及び当該二次電池の運用に係る値の入力を受け付ける入力部と、入力を受け付けた運用に係る値に基づいて前記稼働時間を正規化する等価係数を算出する第2の等価係数算出部と、入力を受け付けた稼働時間と、前記第2の等価係数算出部が算出した前記等価係数とに基づいて、正規化された稼働時間である等価稼働時間を算出する第2の等価稼働時間算出部と、劣化関数算出部が算出した前記劣化関数と、前記第2の等価稼働時間算出部が算出した前記等価稼働時間とに基づいて、前記二次電池の劣化率を推定する劣化率推定部とを備える劣化率推定システムである。
【発明の効果】
【0016】
上記態様のうち少なくとも1つの態様によれば、劣化関数算出装置は、未知の運用態様で二次電池を運用する場合にも精度よく劣化率を推定するための劣化関数を算出することができる
。
【発明を実施するための形態】
【0018】
《第1の実施形態》
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
図1は、第1の実施形態による劣化率推定システム100の構成を示す概略ブロック図である。
劣化率推定システム100は、二次電池の劣化率を推定する。劣化率推定システム100は、劣化関数算出装置110と、劣化率推定装置120とを備える。
【0019】
劣化関数算出装置110は、二次電池の劣化率の推定に用いる劣化関数を算出する。なお、劣化曲線は、劣化関数の一態様である。劣化関数をグラフに表すことで、劣化曲線を得ることができる。劣化関数算出装置110は、記憶部111、第1の等価係数算出部112、第1の等価稼働時間算出部113、劣化関数算出部114、劣化関数評価部115を備える。
記憶部111は、二次電池の過去の運用ごとに、当該運用における二次電池の稼働時間と当該稼働時間が経過した時の二次電池の運用に係る値と、当該稼働時間が経過した時の二次電池の劣化率とを関連付けて記憶する。本実施形態では、記憶部111は、二次電池の運用に係る値として、充電率、温度、電流、電圧など、複数の値を記憶する。
【0020】
第1の等価係数算出部112は、記憶部111が記憶する二次電池の運用に係る値に基づいて、稼働時間を正規化する等価係数を算出する。具体的には、第1の等価係数算出部112は、記憶部111が記憶するある経過時間についての等価係数を算出する場合、二次電池の運用開始から当該稼働時間が経過するまでの運用に係る複数の値を記憶部111から取得し、これに基づいて、充電率の使用範囲、充電率の変化率、最大電流値などの運用パターンを特定する。なお、当該運用パターンも、二次電池の運用に係る値の一例である。そして、第1の等価係数算出部112は、特定した運用パターンを所定の等価係数算出式に代入することで、等価係数を算出する。なお、第1の等価係数算出部112が算出する等価係数は1つに限られない。等価稼働時間の算出に用いる等価稼働時間算出式が複数の等価係数を用いる場合、第1の等価係数算出部112は、複数の等価係数を算出する。等価係数算出式は、劣化関数の算出処理の過程において適宜更新される。等価係数算出式の型及び従属変数の初期値は、劣化関数の算出処理の前段階で予め決めておく。
【0021】
第1の等価稼働時間算出部113は、記憶部111が記憶する稼働時間と等価係数とに基づいて、正規化された稼働時間である等価稼働時間を算出する。具体的には、第1の等価稼働時間算出部113は、稼働時間に関連付けられた運用を特定し、当該運用に対応する等価係数と当該稼働時間とを所定の等価稼働時間算出式に代入することで、等価稼働時間を算出する。等価稼働時間算出式の型は、劣化関数の算出処理の前段階において予め定められる。
【0022】
劣化関数算出部114は、第1の等価稼働時間算出部113が算出した等価稼働時間と劣化率とに基づいて、等価稼働時間と劣化率との関係を示す劣化関数を算出する。具体的には、劣化関数算出部114は、等価稼働時間の算出に用いた稼働時間に関連付けられた劣化率を記憶部111から読み出し、当該等価稼働時間と当該劣化率の組み合わせを複数生成する。劣化関数算出部114は、当該組み合わせに基づいてカーブフィッティングを行うことにより、劣化関数を算出する。
【0023】
劣化関数評価部115は、劣化関数算出部114が算出した劣化関数と劣化率との分散を算出し、当該分散が所定の閾値未満である場合に、劣化関数が適切であると判定する。なお、本実施形態では、劣化関数評価部115は、劣化率の分散に基づいて劣化関数を評価する場合について説明するが、これに限られない。他の実施形態では、例えば、標準偏差や範囲など、分散以外の散布度に基づいて劣化関数を評価しても良い。
【0024】
劣化率推定装置120は、劣化関数算出装置110が算出した劣化関数を用いて、二次電池の劣化率を推定する。劣化率推定装置120は、入力部121、第2の等価係数算出部122、第2の等価稼働時間算出部123、劣化率推定部124を備える。
【0025】
入力部121は、劣化率の推定対象となる二次電池の負荷パターン及び運用時間の入力を受け付ける。入力部121が入力を受け付ける負荷パターンは、等価係数の算出に用いる運用に係る値によって定義される。
【0026】
第2の等価係数算出部122は、第1の等価係数算出部112が等価係数の算出に用いた等価係数算出式に基づいて、入力部121が受け付けた負荷パターンから等価係数を算出する。
第2の等価稼働時間算出部123は、第2の等価係数算出部122が算出した等価係数と入力部121が入力を受け付けた稼働時間とを、等価稼働時間算出式に代入することで、等価稼働時間を算出する。
劣化率推定部124は、劣化関数算出装置110が算出した劣化関数に基づいて、第2の等価稼働時間算出部123が算出した稼働時間から推定対象となる二次電池の劣化率を推定する。
【0027】
このように、劣化関数算出装置110及び劣化率推定装置120は、異なる負荷パターンによる運用の稼働時間を正規化した等価稼働時間を用いることで、負荷パターンの違いによる推定の誤差を低減することができる。
【0028】
次に、第1の実施形態に係る劣化関数算出装置110による劣化関数算出方法について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る劣化関数算出方法を示すフローチャートである。
劣化関数の算出を行う前に、記憶部111には、劣化率の推定対象となる二次電池と同じ性能の二次電池の、過去の運用に係る運用時間と劣化率との関係が記録される。例えば、同じ型の二次電池の実験データや、実運用データなどが記憶部111に記録される。
【0029】
記憶部111にデータが記録されている場合、第1の等価係数算出部112は、記憶部111が記憶する稼働時間ごとに、当該稼働時間に係る負荷パターンを特定する(ステップS1)。具体的には、等価係数算出部は、当該稼働時間以前の各稼働時間に関連付けられた運用に係る値を読み出し、読み出した運用に係る値を集約することで、負荷パターンを特定する。
【0030】
第1の等価係数算出部112は、特定した負荷パターンを等価係数算出式に代入することで等価係数を算出する(ステップS2)。次に、第1の等価稼働時間算出部113は、記憶部111が記憶する稼働時間それぞれについて、当該稼働時間に係る運用に対応する等価係数と等価稼働時間算出式とに基づいて、等価稼働時間を算出する(ステップS3)。
【0031】
次に、劣化関数算出部114は、第1の等価稼働時間算出部113が算出した等価稼働時間と、当該等価稼働時間の算出に用いた稼働時間に関連付けられた劣化率との組み合わせに基づいてカーブフィッティングを行い、劣化関数を算出する(ステップS4)。カーブフィッティングは、例えば多項式近似によって行うことができる。
【0032】
劣化関数評価部115は、劣化関数算出部114が算出した劣化関数と記憶部111が記憶する劣化度との分散を算出する(ステップS5)。具体的には、記憶部111が記憶する劣化度と、当該劣化度に組み合わされた等価稼働時間を劣化関数に代入することで得られる劣化度との分散を算出する。なお、分散は散布度の一例である。劣化関数評価部115は、分散が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS6)。
【0033】
劣化関数評価部115は、算出した分散が所定の閾値以上である場合(ステップS6:YES)、等価係数算出式及び劣化関数の精度が十分でないと判定する。第1の等価係数算出部112は、劣化関数評価部115が算出した分散が小さくなるように、等価係数算出式の従属変数を更新する(ステップS7)。そして、ステップS2に戻り、更新後の等価係数算出式を用いて、等価係数を算出する。つまり、第1の等価係数算出部112は、記憶部111が記憶する劣化率と、当該劣化率に関連付けられた稼働時間に基づいて算出される等価稼働時間及び劣化関数から求められる劣化率との間の散布度が小さくなるように、等価係数を生成する。これにより、劣化関数算出部114が算出する劣化関数の精度を一定以上に担保することができる。
【0034】
他方、劣化関数評価部115は、算出した分散が所定の閾値未満である場合(ステップS6:NO)、等価係数算出式及び劣化関数の精度が十分であると判定し、劣化関数の算出処理を終了する。これにより、劣化関数算出装置110は、等価稼働時間と劣化率との関係を示す劣化関数を、精度よく生成することができる。また、これにより、劣化関数算出装置110は、等価係数を算出する等価係数算出式を確定する。
【0035】
次に、第1の実施形態に係る劣化率推定装置120による劣化率推定方法について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る劣化率推定方法を示すフローチャートである。
劣化率推定装置120は、劣化関数算出装置110によって劣化関数が算出されている場合に、二次電池の劣化率の推定を行う。
【0036】
入力部121は、劣化率の推定対象となる二次電池の管理者などから、当該二次電池の負荷パターン及び稼働時間の入力を受け付ける(ステップS8)。第2の等価係数算出部122は、入力部121が入力を受け付けた負荷パターンに基づいて、第1の等価係数算出部112が用いた等価係数算出式を用いて、等価係数を算出する(ステップS9)。つまり、第2の等価係数算出部122は、劣化関数評価部115が精度が十分であると判定した等価係数算出式を用いて、等価係数を算出する。
【0037】
第2の等価稼働時間算出部123は、第2の等価係数算出部122が算出した等価係数と所定の等価稼働時間算出式とに基づいて、入力部121が入力を受け付けた稼働時間から等価稼働時間を算出する(ステップS10)。第2の等価稼働時間算出部123が用いる等価稼働時間算出式は、第1の等価稼働時間算出部113が用いる等価稼働時間算出式と同じものである。
【0038】
劣化率推定部124は、劣化関数算出装置110が算出した劣化関数と、第2の等価稼働時間算出部123が算出した等価稼働時間とに基づいて、第2の等価稼働時間算出部123が算出した稼働時間から、推定対象となる二次電池の劣化率を推定する(ステップS11)。
【0039】
このように、本実施形態によれば、劣化率推定システム100は、運用に係る負荷パターンに基づいて、稼働時間を正規化した等価稼働時間を用いて、劣化関数の算出及び劣化率の推定を行う。これにより、劣化率推定システム100は、運用に係る負荷パターンによらずに劣化率の推定を行うことができる。つまり、本実施形態の劣化率推定システム100によれば、未知の負荷パターンで二次電池を稼働させる場合にも、二次電池の劣化率を精度よく推定することができる。
【0040】
ここで、第1の実施形態による劣化関数の算出について、具体的な例を用いて説明する。
図4は、第1の実施形態による劣化関数算出方法の例を示す図である。
記憶部111には、
図4(A)に示すように、二次電池の過去の運用ごとに、当該運用における二次電池の稼働時間と劣化率とが関連付けられている。第1の等価稼働時間算出部113は、
図4(A)に示す稼働時間から等価稼働時間を算出する。これにより、
図4(B)に示すように等価稼働時間と劣化率との関係を得ることができる。そして、劣化関数算出部114は、
図4(B)に示す等価稼働時間と劣化率との関係に基づいてカーブフィッティングを行うことで、
図4(B)に示す劣化関数(劣化曲線)を得ることができる。
【0041】
《第2の実施形態》
二次電池を実機で運用する場合、実験室で測定試験を行う場合と比較して、取得できる運用に係る値の種類やサンプリング周期が限られる可能性がある。例えば、測定試験においては秒単位のサンプリング周期をとることができるのに対し、実機では分単位でしかとることができない可能性がある。また、測定試験においては、運用に係る値として、電流、電圧、温度、充電率を取得することができるのに対し、実機では温度と充電率しか取得することができない可能性がある。これは、二次電池の運用が一般的に5年や10年などの長期間に及ぶため、サンプリング周期を長くしたり、運用に係る値の種類を少なくしたりすることで、データ量を減らすことを目的としている。
第2の実施形態の劣化率推定システム200は、限られた条件であっても適切な劣化関数を算出し、かつ精度よく劣化率を推定する。
【0042】
図5は、第2の実施形態に係る劣化率推定システム200の構成を示す概略ブロック図である。
第2の実施形態の劣化率推定システム200は、第1の実施形態の構成に加え、劣化関数算出装置210が累積時間算出部216を備える。第2の実施形態の劣化率推定システム200は、第1の実施形態と、入力部221が入力を受け付ける情報、第1の等価係数算出部212、第1の等価稼働時間算出部213、第2の等価係数算出部222、及び第2の等価稼働時間算出部223の処理が異なる。
【0043】
累積時間算出部216は、記憶部211が記憶する各稼働時間について、当該稼働開始から稼働時間までにおける運用条件ごとの稼働の累積時間(部分稼働時間)を算出する。例えば、累積時間算出部216は、二次電池の稼働開始から当該稼働時間までにおいて、二次電池の充電率が20%未満であった累積時間と、二次電池の充電率が20%以上40%未満であった累積時間と、二次電池の充電率が40%以上60%未満であった累積時間と、二次電池の充電率が60%以上80%未満であった累積時間と、二次電池の充電率が80%以上であった累積時間とを、それぞれ算出する。二次電池の充電率の使用範囲は、運用条件の一例である。この他、累積時間算出部216は、充電率の変化率の範囲や、温度の範囲など、他の運用条件についても、同様に累積時間を算出する。
【0044】
第1の等価係数算出部212は、運用条件ごとに、等価係数を算出する。第1の等価係数算出部212は、運用条件の等価係数を、所定の数式に基づいて算出しても良いし、数式によらず、所定の確率に基づいて算出しても良い。
【0045】
第1の等価稼働時間算出部213は、稼働時間ごとに、累積時間算出部216が算出した累積時間に第1の等価係数算出部212が算出した等価係数を乗算した値の総和を、等価稼働時間として算出する。
【0046】
入力部221は、劣化率の推定対象の二次電池の、運用開始から現在までの、運用条件ごとの累積時間の入力を受け付ける。
第2の等価係数算出部222は、運用条件ごとに、第1の等価係数算出部212と同じ等価係数を算出する。
第2の等価稼働時間算出部223は、稼働時間ごとに、第2の累積時間算出部216が算出した累積時間に第2の等価係数算出部222が算出した等価係数を乗算した値の総和を、等価稼働時間として算出する。
【0047】
次に、第2の実施形態に係る劣化関数算出装置210による劣化関数算出方法について説明する。
図6は、第2の実施形態に係る劣化関数算出方法を示すフローチャートである。
累積時間算出部216は、記憶部211が記憶する各稼働時間について、当該稼働開始から稼働時間までにおける運用条件ごとの稼働の累積時間を算出する(ステップS21)。また、第1の等価係数算出部212は、各運用条件ごとに等価係数を算出する(ステップS22)。
【0048】
次に、第1の等価稼働時間算出部213は、累積時間算出部216が算出した累積時間に第1の等価係数算出部212が算出した等価係数を乗算した値の総和を、等価稼働時間として算出する(ステップS23)。次に、劣化関数算出部114は、第1の等価稼働時間算出部213が算出した等価稼働時間と、当該等価稼働時間の算出に用いた稼働時間に関連付けられた劣化率との組み合わせに基づいてカーブフィッティングを行い、劣化関数を算出する(ステップS24)。
【0049】
劣化関数評価部115は、劣化関数算出部114が算出した劣化関数と記憶部211が記憶する劣化度との分散を算出する(ステップS25)。劣化関数評価部115は、分散が所定の閾値以上であるか否かを判定する(ステップS26)。
【0050】
劣化関数評価部115は、算出した分散が所定の閾値以上である場合(ステップS26:YES)、等価係数及び劣化関数の精度が十分でないと判定する。第1の等価係数算出部212は、劣化関数評価部115が算出した分散が小さくなるように、各等価係数を更新し(ステップS27)、ステップS23に戻る。
【0051】
他方、劣化関数評価部115は、算出した分散が所定の閾値未満である場合(ステップS26:NO)、等価係数算出式及び劣化関数の精度が十分であると判定し、劣化関数の算出処理を終了する。これにより、劣化関数算出装置210は、等価稼働時間と劣化率との関係を示す劣化関数を、精度よく生成することができる。また、これにより、劣化関数算出装置210は、等価係数を確定する。
【0052】
次に、第2の実施形態に係る劣化率推定装置220による劣化率推定方法について説明する。
図7は、第2の実施形態に係る劣化率推定方法を示すフローチャートである。
劣化率推定装置220は、劣化関数算出装置210によって劣化関数が算出されている場合に、二次電池の劣化率の推定を行う。
【0053】
入力部221は、劣化率の推定対象となる二次電池の管理者などから、当該二次電池の運転条件ごとの累積時間の入力を受け付ける(ステップS28)。次に、第2の等価係数算出部222は、第1の等価係数算出部212が最後に算出した等価係数を、劣化率の推定に用いる等価係数として算出する(ステップS29)。
【0054】
第2の等価稼働時間算出部223は、第2の等価係数算出部222が算出した等価係数と所定の等価稼働時間算出式とに基づいて、入力部221が入力を受け付けた運用条件ごとの累積時間から等価稼働時間を算出する(ステップS30)。第2の等価稼働時間算出部223が用いる等価稼働時間算出式は、第1の等価稼働時間算出部213が用いる等価稼働時間算出式と同じものである。
【0055】
劣化率推定部124は、劣化関数算出装置210が算出した劣化関数と、第2の等価稼働時間算出部223が算出した等価稼働時間とに基づいて、第2の等価稼働時間算出部223が算出した稼働時間から、推定対象となる二次電池の劣化率を推定する(ステップS31)。
【0056】
このように、本実施形態によれば、劣化率推定システム200は、限られたデータから、複数の運転条件についての累積時間を算出し、当該累積時間から等価稼働時間を算出する。これにより、劣化率推定システム200は、取得できる運用に係る値が限られていたとしても、適切に劣化率の推定を行うことができる。また、二次電池の運用に係る値を、複数の運用条件についての累積時間として集約することで、5年や10年などの長期にわたってデータを蓄積する場合にも、各時刻の電流、電圧、充電率、温度などの運用に係る値を蓄積する場合と比較し、データ量を削減することができる。
【0057】
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。
【0058】
図8は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータ900の構成を示す概略ブロック図である。
コンピュータ900は、CPU901、主記憶装置902、補助記憶装置903、インタフェース904を備える。
上述の劣化率推定システム100、200は、コンピュータ900に実装される。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式で補助記憶装置903に記憶されている。CPU901は、プログラムを補助記憶装置903から読み出して主記憶装置902に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、CPU901は、プログラムに従って、上述した記憶部111、211に対応する記憶領域を主記憶装置902に確保する。
【0059】
なお、少なくとも1つの実施形態において、補助記憶装置903は、一時的でない有形の媒体の一例である。一時的でない有形の媒体の他の例としては、インタフェース904を介して接続される磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等が挙げられる。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ900に配信される場合、配信を受けたコンピュータ900が当該プログラムを主記憶装置902に展開し、上記処理を実行しても良い。
【0060】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、当該プログラムは、前述した機能を補助記憶装置903に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0061】
また、劣化関数算出装置と劣化率推定装置は、別個のコンピュータ900に実装されていても良い。