(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施形態に係る遊技機について、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るパチンコ遊技機1(請求項の「遊技機」に相当。)の正面図である。パチンコ遊技機1は、遊技盤面2Aを構成する遊技盤2と、遊技盤2を支持固定する遊技機用枠3とから構成されている。遊技盤2には、ガイドレールによって囲まれた、ほぼ円形状の遊技領域2Bが形成されている。遊技領域2Bは前方から遊技機用枠3に取り付けられた例えばガラス等の透視部材3aによって覆われている。この遊技領域2Bには、遊技媒体としての遊技球が、不図示の打球発射装置から発射されて打ち込まれる。なお、以下の説明において、「上下左右」は、パチンコ遊技機1を正面から見たときの上下左右と一致する。
【0018】
遊技領域2Bの下方における遊技機用枠3の所定位置には、賞球として払い出された遊技球や所定の球貸機により貸し出された遊技球を、打球発射装置へと供給可能に保持する上皿15が設けられている。遊技機用枠3の下部には、上皿15から溢れた余剰球等を、パチンコ遊技機1の外部へと排出可能に保持する下皿16が設けられている。
【0019】
下皿16を形成する部材には、例えば、下皿16本体の上面における手前側の所定位置等に、遊技者が把持して傾倒操作が可能なスティックコントローラ17が取り付けられている。
スティックコントローラ17は、遊技者が把持する操作桿を含む。操作桿の所定位置には、トリガボタンが設けられている。トリガボタンは、遊技者がスティックコントローラ17の操作桿を操作手によって把持した状態において、所定の操作指によって押引操作すること等により所定の指示操作ができるように構成されていればよい。操作桿の内部には、トリガボタンに対する押引操作等による所定の指示操作を検知するトリガセンサが内蔵されていればよい。
【0020】
スティックコントローラ17の下部における下皿16の本体内部等には、操作桿に対する傾倒操作を検知する傾倒方向センサユニットが設けられていればよい。例えば、傾倒方向センサユニットは、パチンコ遊技機1と正対する遊技者の側から見て操作桿の中心位置よりも左方において、遊技盤2の盤面と平行に配置された2つの透過形フォトセンサと、この遊技者の側から見て操作桿の中心位置よりも右方において遊技盤2の盤面と垂直に配置された2つの透過形フォトセンサとを組み合わせた4つの透過形フォトセンサを含んで構成されていればよい。
【0021】
上皿15を形成する部材には、例えば、上皿15本体の上面における手前側の所定位置等に、遊技者が押下操作等により所定の指示操作を可能なプッシュボタン18が設けられている。プッシュボタン18は、遊技者からの押下操作等による所定の指示操作を、機械的、電気的、または電磁的に検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン18の設置位置における上皿15の本体内部等には、プッシュボタン18に対して成された遊技者の操作行為を検知するプッシュセンサが設けられていればよい。
【0022】
遊技盤面2Aの左方であって、上下方向略中央の領域には、第1特別図柄表示装置4Aと、第2特別図柄表示装置4Bとが設けられている。第1特別図柄表示装置4Aおよび第2特別図柄表示装置4Bは、それぞれ、例えば7セグメントやドットマトリクスのLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)等から構成され、可変表示ゲームの一例となる特図ゲームにおいて、各々が識別可能な複数種類の識別情報(特別識別情報)である特別図柄(「特図」ともいう)を、変動可能に表示する。例えば、第1特別図柄表示装置4Aおよび第2特別図柄表示装置4Bは、それぞれ「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成される複数種類の特別図柄を可変表示する。なお、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bにおいて表示される特別図柄は、「0」〜「9」を示す数字や「−」を示す記号等から構成されるものに限定されず、例えば、7セグメントのLEDにおいて点灯させるものと消灯させるものとの組み合わせを異ならせた複数種類の点灯パターンが、複数種類の特別図柄として予め設定されていればよい。
【0023】
複数種類の特別図柄には、それぞれに対応した図柄番号が付されている。一例として、「0」〜「9」を示す数字それぞれには、「0」〜「9」の図柄番号が付されていればよい。また、「−」を示す記号には、「10」の図柄番号が付されていればよい。以下においては、第1特別図柄表示装置4Aにおいて可変表示される特別図柄を「第1特図」ともいい、第2特別図柄表示装置4Bにおいて可変表示される特別図柄を「第2特図」ともいう。
【0024】
第1特別図柄表示装置4Aおよび第2特別図柄表示装置4Bは、それぞれ例えば矩形状に形成されている。なお、第1特図の種類と第2特図の種類は、同じであってもよいし、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示装置4Aと第2特別図柄表示装置4Bは、それぞれ、例えば、「00」〜「99」を示す数字を可変表示するように構成されていてもよい。
【0025】
遊技盤2における遊技領域の中央付近には、画像表示装置5が設けられている。画像表示装置5は、例えば、液晶ディスプレイ等から構成され、各種の演出画像を表示する表示領域を形成している。画像表示装置5の表示領域においては、特図ゲームにおける第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図の可変表示や第2特別図柄表示装置4Bによる第2特図の可変表示のそれぞれに対応して、例えば、3つといった複数に分割された可変表示部となる飾り図柄表示エリアにて、各々が識別可能な複数種類の識別情報である飾り図柄が可変表示される。この飾り図柄の可変表示は、可変表示ゲームに含まれる。
【0026】
一例として、画像表示装置5の表示領域には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rが配置されている。そして、特図ゲームにおいては、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図の変動と第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図の変動のうち、いずれかが開始されることに対応して、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて飾り図柄の変動が開始される。その後、特図ゲームにおける可変表示結果として確定特別図柄が停止表示されるときには、画像表示装置5における「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて、飾り図柄の可変表示結果となる確定飾り図柄が停止表示される。
【0027】
このように、画像表示装置5の表示領域においては、第1特別図柄表示装置4Aにおける第1特図を用いた特図ゲーム、または第2特別図柄表示装置4Bにおける第2特図を用いた特図ゲームと同期して、各々が識別可能な複数種類の飾り図柄の可変表示を行い、可変表示結果となる確定飾り図柄を導出表示する。なお、例えば、特別図柄や飾り図柄といった、各種の表示図柄を導出表示するとは、飾り図柄等の識別情報を停止表示して可変表示を終了させることである。これに対して、飾り図柄の可変表示を開始してから可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでの可変表示中には、飾り図柄の変動速度が「0」となって、飾り図柄が停留して表示され、例えば、微少な揺れや伸縮等を生じさせる表示状態となることがある。このような表示状態は、仮停止表示ともいい、可変表示における表示結果が確定的に表示されていないものの、スクロール表示や更新表示による飾り図柄の変動が進行していないことを遊技者が認識可能となる。なお、仮停止表示には、微少な揺れや伸縮等も生じさせず、所定時間よりも短い時間だけ、飾り図柄を完全停止表示すること等が含まれてもよい。
【0028】
「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにて可変表示される飾り図柄は、例えば、8種類の図柄によって構成される。飾り図柄のそれぞれには、対応する図柄番号が付されている。例えば、「1」〜「8」を示す英数字それぞれに対しては、「1」〜「8」の図柄番号が付されている。なお、飾り図柄は、8種類に限定されず、大当り組み合わせやハズレとなる組み合わせ等、適当な数の組み合わせを構成可能であれば、何種類であってもよい。
【0029】
飾り図柄の可変表示が開始された後、可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでには、「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rにおいて、例えば、図柄番号が小さいものから大きいものへと順次に上方から下方へと流れるようなスクロール表示が行われ、図柄番号が最大である飾り図柄が表示されると、続いて図柄番号が最小である飾り図柄が表示される。または、飾り図柄の可変表示が開始された後、可変表示結果となる確定飾り図柄が導出表示されるまでには、飾り図柄表示エリア5L、5C、5Rのうち少なくともいずれか1つにおいて、図柄番号が大きいものから小さいものへとスクロール表示を行って、図柄番号が最小である飾り図柄が表示されると、続いて図柄番号が最大である飾り図柄が表示されるようにしてもよい。
【0030】
画像表示装置5の表示領域には、始動入賞記憶表示エリア5Hが配置されている。始動入賞記憶表示エリア5Hにおいては、特図ゲームに対応した可変表示の保留数を特定可能に表示する保留記憶表示が行われる。ここで、特図ゲームに対応した可変表示の保留は、後述の普通入賞球装置6が形成する第1始動入賞口6Aや、普通可変入賞球装置50が形成する第2始動入賞口54を、遊技球が通過することによる始動入賞に基づいて発生する。即ち、始動入賞記憶表示エリア5Hにおいては、特図ゲームや飾り図柄の可変表示といった可変表示ゲームを実行するための始動条件は成立したが、先に成立した開始条件に基づく可変表示ゲームが実行中であることや、パチンコ遊技機1が「大当り遊技状態」に制御されていること等により、可変表示ゲームの開始を許容する開始条件が成立していないときに、成立した始動条件に対応する可変表示の保留が行われる。始動入賞記憶表示エリア5Hにおける保留記憶表示は、第1始動入賞口を遊技球が通過することによる始動入賞に基づいて発生したものであるか、第2始動入賞口を遊技球が通過することによる始動入賞に基づいて発生したものであるかに応じて、その表示態様を異ならせる。
【0031】
図1に示す例においては、始動入賞記憶表示エリア5Hとともに、第1特別図柄表示装置4Aおよび第2特別図柄表示装置4Bの下部に、特図保留記憶数を特定可能に表示するための第1保留表示器25Aと第2保留表示器25Bとが設けられている。第1保留表示器25Aは、第1特図保留記憶数を特定可能に表示する。第2保留表示器25Bは、第2特図保留記憶数を特定可能に表示する。第1特図保留記憶数は、第1特図を用いた特図ゲームの実行が保留されている記憶数である。第2特図保留記憶数は、第2特図を用いた特図ゲームの実行が保留されている記憶数である。
【0032】
第1特別図柄表示装置4Aの上方には、普通図柄表示器20が設けられている。一例として、普通図柄表示器20は、第1特別図柄表示装置4Aや第2特別図柄表示装置4Bと同様に、7セグメントやドットマトリクスのLED等から構成され、特別図柄とは異なる複数種類の識別情報である普通図柄を変動可能に表示する。このような普通図柄の可変表示は、普図ゲームと称される。
普通図柄表示器20の下方であって、普通図柄表示器20と第1特別図柄表示装置4Aとの間には、普図保留表示器25Cが設けられている。普図保留表示器25Cは、例えば、4個のLEDを含んで構成され、通過ゲート27を通過した有効通過球数としての普図保留記憶数を表示する。
【0033】
遊技盤面2Aにおける画像表示装置5の上部左方、上部右方、下部左方には、それぞれ遊技球の流下方向や速度を変化させる風車10A,10B,10Cが設けられている。また、遊技盤面2Aには、同様に遊技球の流下方向や流下速度を変化させる不図示の複数の風車や障害釘、誘導釘群等が設けられている。また、遊技盤面2Aの最下方には、いずれの入賞口にも入賞しなかった遊技球が取り込まれるアウト口11が設けられている。さらに、遊技機用枠3の左右上部位置には、効果音等を再生出力するためのスピーカ8L,8Rが設けられ、遊技領域2B周辺部には、遊技効果ランプ9が設けられている。
【0034】
遊技機用枠3の右下部位置には、遊技球を遊技領域に向けて発射するために遊技者等によって操作される打球操作ハンドル13が設けられている。例えば、打球操作ハンドル13は、遊技者等による操作量に応じて遊技球の弾発力を調整する。打球操作ハンドル13には、打球発射装置が備える発射モータの駆動を停止させるための単発発射スイッチや、タッチリング等が設けられている。
【0035】
画像表示装置5の下方には、普通入賞球装置6が設けられている。普通入賞球装置6は、例えば、所定の玉受部材によって常に一定の開放状態に保たれる始動領域としての第1始動入賞口6Aを形成する。普通入賞球装置6に入賞した遊技球は、遊技盤2の背面に導かれ、例えば、近接スイッチ等からなる不図示の第1始動口スイッチ、および例えばフォトセンサからなる不図示の第1入賞確認スイッチによって検出される。パチンコ遊技機1においては、普通入賞球装置6に形成された第1始動入賞口6Aを通過した遊技球が第1始動口スイッチおよび第1入賞確認スイッチによって検出されたこと等により第1始動条件が成立した後に、例えば、前回の特図ゲームや大当り遊技状態が終了したこと等により第1開始条件が成立したことに基づいて、第1特別図柄表示装置4Aによる第1特図ゲームが開始される。
【0036】
図2は、入賞装置ユニット30の正面図である。
遊技領域2Bの右下方には、遊技媒体である遊技球Pが入賞可能な入賞装置ユニット30が設けられている。
図2に示すように、入賞装置ユニット30は、一般入賞口31と、特別可変入賞球装置40と、普通可変入賞球装置50と、を備えている。以下に入賞装置ユニット30の詳細について説明する。
【0037】
一般入賞口31は、入賞装置ユニット30の右上部に設けられており、例えば上方に開口した玉受部材32によって常に一定の開放状態に保たれる。一般入賞口31に入賞した遊技球は、遊技盤2の背面に導かれ、不図示の一般入賞球スイッチによって検出される。これにより、所定個数(例えば10個)の遊技球が賞球として払い出されるようになっている。
【0038】
特別可変入賞球装置40は、一般にアタッカーと呼ばれる遊技部品に相当するものであり、一般入賞口31よりも左方に設けられている。特別可変入賞球装置40は、不図示のソレノイドによって開閉駆動される大入賞口扉41を備え、その大入賞口扉41によって開放状態と閉鎖状態とに変化する大入賞口を形成する。一例として、特別可変入賞球装置40では、大入賞口扉41用のソレノイドがオフ状態であるときに、大入賞口扉41が大入賞口を閉鎖状態にする。これに対して、特別可変入賞球装置40は、大入賞口扉41用のソレノイドがオン状態であるときに、大入賞口扉41が大入賞口を開放状態にする。特別可変入賞球装置40に形成された大入賞口に入賞した遊技球は、図示しないカウントスイッチによって検出され、カウントスイッチによって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。
【0039】
大入賞口扉41の左方には、第1壁部材43が設けられ、大入賞口扉41の右方には、第2壁部材44が設けられている。第1壁部材43および第2壁部材44は、それぞれ前方に向かって突出している。
第1壁部材43および第2壁部材44の大入賞口扉41側には、それぞれ案内壁面43a,44aがそれぞれ対向するとともに上下方向に沿うように設けられている。案内壁面43a,44aは、大入賞口扉41が閉鎖状態にあるときには、後述の可変入賞部51および上流側誘導路60(請求項の「誘導路」に相当。)に遊技球を案内している。また、案内壁面43a,44aは、大入賞口扉41が開放状態にあるときには、大入賞口扉41によって開放された大入賞口に遊技球を案内している。
第1壁部材43は、遊技球を可変入賞部51および上流側誘導路60に誘導する誘導部70として機能している。誘導部70の詳細については後述する。
【0040】
特図ゲームにおける確定特別図柄として大当り図柄が停止表示された後に制御される特定遊技状態としての大当り遊技状態では、特別可変入賞球装置40の大入賞口扉41が、第1期間となる所定期間(例えば29秒間)あるいは所定個数(例えば9個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置40を遊技者にとって有利な第1状態に変化させるラウンド遊技が実行される。こうしてラウンド遊技の実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉41は、例えば右打ちにより打ち出されて遊技盤面2Aを流下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置40を遊技者にとって不利な第2状態に変化させて、1回のラウンド遊技を終了させる。この実施の形態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンド遊技の実行回数が、第1ラウンド数(例えば「6」)となる。ラウンド遊技の実行回数が「15」となる大当り遊技状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような大当り遊技状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出玉が得られる。
【0041】
図3は、閉状態における可変入賞部51の斜視図であり、
図4は、開状態における可変入賞部51の斜視図である。なお、
図3以降、遊技媒体である遊技球に対して、符号Pを付して図示している。また、
図3および
図4において、流下途中の遊技球Pを二点鎖線にて図示している。
図3および
図4に示すように、普通可変入賞球装置50は、一般に電動チューリップと呼ばれる遊技部品に相当するものであり、特別可変入賞球装置40の下方に設けられている。本実施形態の普通可変入賞球装置50は、可変入賞部51(請求項の「可変入賞装置」に相当。)と、上流側誘導路60と、誘導部70と、を有している。
可変入賞部51は、遊技球Pが流下する流路の底面として形成される底面部材53を有している。底面部材53は、右方から左方に向かって下方に傾斜した状態で左右方向に延在しており、遊技球Pが流下する流路の底面として形成される板状の部材である。可変入賞部51は、不図示のソレノイドによって底面部材53を前後方向に進退移動させることにより、底面部材53の下方の第2始動入賞口54を開放する開放位置(
図4参照)と、底面部材53の下方の第2始動入賞口54を閉鎖する閉鎖位置(
図3参照)と、の間で底面部材53を動作させている。これにより、可変入賞部51は、
図4に示す第2始動入賞口54に遊技球Pが入賞可能な開状態(すなわち遊技球Pが始動入賞し易い状態)と、
図3に示す第2始動入賞口54に遊技球Pが入賞不可能または入賞困難な閉状態(すなわち遊技球Pが基本的には始動入賞しない状態)とに変化する。
【0042】
可変入賞部51の底面部材53よりも右方(遊技球Pの流下方向の上流側)には、遊技球Pが流下可能な上流側流路部61が設けられている。上流側流路部61は、右方から左方に向かって下方に傾斜した状態で左右方向に延在している。上流側流路部61は、底面部材53が閉状態のとき、底面部材53よりも遊技球Pの流下方向の上流側において底面部材53と連なるとともに、底面部材53の上面と略面一となるように設けられている。
可変入賞部51の底面部材53よりも左方(遊技球Pの流下方向の下流側)には、遊技球Pが流下可能な下流側流路部63が設けられている。下流側流路部63は、右方から左方に向かって下方に傾斜した状態で左右方向に延在している。下流側流路部63は、底面部材53が閉状態のとき、底面部材53よりも遊技球Pの流下方向の下流側において底面部材53と連なるとともに、底面部材53の上面と略面一となるように設けられている。
【0043】
可変入賞部51の底面部材53、上流側流路部61および下流側流路部63の前方には被覆部35が配置されている。被覆部35は、上流側流路部61および下流側流路部63と一体的に形成されており、可変入賞部51、上流側流路部61および下流側流路部63を前方から覆っている。被覆部35の上端縁部35aは、可変入賞部51、上流側流路部61および下流側流路部63よりも上方に位置して左右方向に延在している。
【0044】
被覆部35は、上流側流路部61とともに、遊技球Pが流下可能な凹溝状の上流側誘導路60を形成している。上流側誘導路60は、可変入賞部51の底面部材53よりも遊技球Pの流下方向の上流側において、底面部材53と連設される。
また、被覆部35は、下流側流路部63とともに、遊技球Pが流下可能な凹溝状の下流側誘導路65を形成している。下流側誘導路65は、可変入賞部51の底面部材53よりも遊技球Pの流下方向の下流側において、底面部材53と連設される。
被覆部35は、上流側誘導路60および下流側誘導路65を形成するとともに、上流側誘導路60、可変入賞部51の底面部材53および下流側誘導路65を流下する遊技球Pが透視部材3a(
図1参照)側に跳ねてしまうことを防ぐ機能を有している。
【0045】
普通可変入賞球装置50は、左右方向における可変入賞部51に対応した位置であって、可変入賞部51よりも上方に、誘導部70を有している。
本実施形態では、第1壁部材43が誘導部70となっている。誘導部70の下端部70aは、大入賞口扉41の下縁部よりも下方に突出している。大入賞口扉41の下縁部に対する誘導部70の下端部70aの突出量は、例えば遊技球Pの直径と同等か、遊技球Pの直径よりも大きくなっている。
誘導部70における右側面は、誘導面71となっている。誘導面71は、第1壁部材43の案内壁面43aと同一面となっている。誘導面71は、底面部材53の左右方向における中間部分に対応した位置であって底面部材53の上方に配置されており、上流側誘導路60における遊技球Pの流下方向の上流側(すなわち右方)に面している。誘導部70の作用および効果については、後述する。
【0046】
上述した一般入賞口31、特別可変入賞球装置40、普通可変入賞球装置50の可変入賞部51、上流側誘導路60および誘導部70は、ベース部材38に対して一体的に取り付けられて、入賞装置ユニット30を形成している。
図2に示すように、ベース部材38は、例えば樹脂材料からなる正面視で略矩形状をした板状部材である。ベース部材38の四隅には、ベース部材38の厚さ方向に貫通する貫通孔38a〜38dが形成されている。入賞装置ユニット30は、例えばベース部材38の各貫通孔38a〜38dに、不図示の螺子等を挿通して遊技盤面2A(
図1参照)に締結することで、遊技領域2B(
図1参照)内に固定支持される。
【0047】
ところで、
図1に示すように、近年の画像表示装置5や装飾部品、役物等の大型化により、遊技部品の設置スペースが制約される傾向にある。これに対して、本実施形態によれば、一般入賞口31、特別可変入賞球装置40、普通可変入賞球装置50の可変入賞部51、上流側誘導路60および誘導部70がベース部材38に対して一体的に取り付けられて、入賞装置ユニット30を形成しているので、スペース効率よく各遊技部品をベース部材38に対して取り付けることができる。とりわけ、一般入賞口31や上流側誘導路60、誘導部70等とベース部材38とを樹脂材料により一体成型することにより、例えばネジ等の固定部材が不要となる。したがって、入賞装置ユニット30をコンパクトに形成できるとともに、入賞装置ユニット30を遊技領域2Bに設置する際の設計自由度を好適に確保できる。
【0048】
本実施形態のパチンコ遊技機1では、遊技領域2Bにおいて、左右方向中央よりも右方に特別可変入賞球装置40を有する入賞装置ユニット30が設けられているため、右打ちした遊技球が、大入賞口に入賞する可能性が高くなっている。これに対して、左打ちした遊技球は、大入賞口に入賞する可能性が低くなっている。したがって、パチンコ遊技機1が大当り遊技状態となり、特別可変入賞球装置40の大入賞口扉41が大入賞口を開放させた際、遊技者は「右打ち」をすることにより遊技球を大入賞口に入賞させることができる。また、大当たり遊技状態後に移行する第2特図を用いた第2特図ゲームにおいて、遊技者は、右打ちをして、可変入賞部51の第2始動入賞口54を狙う。これにより、遊技者は、遊技球を第2始動入賞口54に入賞させることができる。
【0049】
続いて、上述のように構成された誘導部70を有する普通可変入賞球装置50を備えたパチンコ遊技機1の作用および効果について説明する。
図5は、誘導部70(
図2参照)が存在しない従来技術のパチンコ遊技機101において、遊技球Pが流下するときの説明図であり、
図6および
図7は、誘導部70が存在する場合において、遊技球が流下するときの説明図である。なお、
図5から
図7において、流下途中の遊技球Pを二点鎖線にて図示している。
【0050】
図5に示すように、従来技術の入賞装置ユニット130を備えたパチンコ遊技機101では、遊技者が右打ちを行い、普通可変入賞球装置50の第2始動入賞口54を狙って遊技球Pを打ち込むと、上方から流下した遊技球Pは、普通可変入賞球装置50の上流側流路部61に衝突する。このとき、上流側流路部61は、右方から左方に向かって下方に傾斜しているので、上方から流下した遊技球Pは、上流側流路部61に衝突した後、左上方に跳ね上がる。ここで、入賞装置ユニット130には、普通可変入賞球装置50の上方に特別可変入賞球装置40が設けられている。このため、遊技球Pの流下速度を低下させるための風車や障害釘、誘導釘群等の障害物を普通可変入賞球装置50の上方に設けることが困難である。したがって、右打ちにより打ち出された遊技球Pは、高速で上流側流路部61に衝突した後、左上方に勢いよく跳ね上がり、可変入賞部51の第2始動入賞口54を飛び越えて流下することがあった(
図5における遊技球Pの流下時の軌跡を示す矢印参照)。これにより、例えば、第2特図ゲームにおいて、第2始動入賞口54に遊技球Pが入賞し難くなり、遊技者にとって不利な第1特図の変動が行われる可能性があった。
【0051】
これに対して、
図6および
図7に示すように、本実施形態のパチンコ遊技機1の普通可変入賞球装置50は、可変入賞部51に対応した位置であって、可変入賞部51よりも上方に誘導部70を有しており、誘導部70における右側面が上流側誘導路60における遊技球Pの流下方向の上流側に面する誘導面71となっている。したがって、
図6および
図7に示すように、右打ちにより打ち出された遊技球Pは、上流側流路部61に衝突した後、左上方に跳ね上がり、さらに誘導部70の誘導面71に衝突する。
そして、
図6に示すように、一の遊技球Pは、誘導部70により誘導されて誘導面71に沿うように下方の可変入賞部51に落下し、第2始動入賞口54に入賞する。また、
図7に示すように、他の遊技球Pは、誘導部70により誘導されて誘導面71が面する上流側誘導路60側に跳ね返り、上流側誘導路60を流下して第2始動入賞口54に入賞する。このように、誘導部70は、上流側誘導路60の上方から落下し、上流側誘導路60の上流側流路部61に衝突して跳ねた遊技球Pを、可変入賞部51および上流側誘導路60の少なくともいずれか一方に誘導した後、第2始動入賞口54に入賞させる。
【0052】
本実施形態によれば、上流側誘導路60の上流側流路部61に衝突して跳ねた遊技球Pを、可変入賞部51または上流側誘導路60に誘導することができるので、底面部材53が開状態にあるときに、遊技球Pを可変入賞部51の第2始動入賞口54に入賞させることができる。したがって、遊技球Pの第2始動入賞口54への入賞率が低下するのを抑制できる。
【0053】
また、一般入賞口31、特別可変入賞球装置40、普通可変入賞球装置50の可変入賞部51、上流側誘導路60および誘導部70は、それぞれベース部材38に対して一体的に取り付けられた状態で、遊技盤面2Aに取り付けられているので、一般入賞口31、特別可変入賞球装置40、普通可変入賞球装置50の可変入賞部51、上流側誘導路60および誘導部70をベース部材38に対して一体的に取り付けた状態で、遊技盤面2Aに対して容易に取り付けることができる。また、一般入賞口31、特別可変入賞球装置40、普通可変入賞球装置50の可変入賞部51、上流側誘導路60および誘導部70を取り付けるためのネジ等が不要となるので、部品点数の削減およびコストダウンができるとともに、狭い設置スペースであっても、一般入賞口31、特別可変入賞球装置40および普通可変入賞球装置50を有する入賞装置ユニット30を効率よく設置できる。
【0054】
なお、この発明の技術範囲は上記の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0055】
上述の実施形態では、いわゆる電動チューリップと呼ばれる第2始動入賞口54を備えた普通可変入賞球装置50に対して誘導部70が遊技球Pを誘導する場合を例にして説明をしたが、誘導部70が遊技球Pを誘導する遊技部品は上記実施形態に限定されない。したがって、誘導部70は、いわゆるアタッカーと呼ばれる大入賞口を備えた特別可変入賞球装置に対して遊技球Pを誘導してもよいし、第1始動入賞口を備えた普通可変入賞球装置に対して遊技球Pを誘導してもよい。
【0056】
また、上述の実施形態では、普通可変入賞球装置50が第2始動入賞口54を備えていたが、これに限定されない。したがって、例えば、普通可変入賞球装置50は、第1始動入賞口を備えていてもよいし、第1始動入賞口および第2始動入賞口の両始動入賞口を備えていてもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、第1壁部材43を誘導部70として機能させていた。これに対して、例えば第1壁部材43の代わりに、遊技球Pが入賞可能な一般入賞口をもうけ、一般入賞口の玉受部材を誘導部70として機能させてもよい。これにより、誘導部70は、遊技球Pが入賞可能な一般入賞口を構成するので、誘導部70とは別に一般入賞口を設ける場合と比較して、部品点数の削減およびコストダウンができる。とりわけ、近年のパチンコ遊技機1の画像表示装置5や役物等の大型化により、可変入賞装置の設置スペースが狭くなる傾向にあるが、上記構成によれば、狭い設置スペースであっても、誘導部70を有する可変入賞装置と一般入賞口とを効率よく設置できる。
【0058】
また、入賞装置ユニット30における特別可変入賞球装置40の上方に、遊技球Pの流下速度を低下させるための風車や障害釘、誘導釘群等の障害物を設けてもよい。これにより、遊技球Pは、流下速度が低下した状態で上流側流路部61に衝突できるので、勢いよく跳ね上がって誘導部70を飛び越えるのを防止できる。したがって、誘導部70は、普通可変入賞球装置50に対して遊技球Pを誘導できる。
【0059】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。