(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年では、車両の耐荷重の増加や、軌道系交通システムの高速化などが求められており、これに伴って、幅広の走行輪を使用することが考えられている。
しかしながら、操舵輪の幅寸法が大きくなると、操舵輪と軌道との摩擦力、キングピンオフセット量、セルフアライニングトルク等が大きくなるため、操舵輪の操舵に要する力が大きくなる。すなわち、操舵輪を操舵する際に案内装置がガイドレールから受ける反力が大きくなってしまう。
その一方で、案内装置やガイドレールの強度や耐久性には制約があるため、操舵輪を操舵する際に案内装置がガイドレールから受ける反力を大きくすることが困難である。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであって、案内装置が受ける反力を小さく抑えながら、幅広の操舵輪を操舵することが可能な走行台車及び軌道式車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するために、本発明の走行台車は、軌道に沿って設けられたガイドレールに案内されて走行する走行台車であって、操舵輪と、前記操舵輪を支持する台車本体と、前記台車本体に回動可能に支持されて、前記ガイドレールからの反力を受けて旋回する案内装置と、前記案内装置が受けた反力を利用して前記操舵輪に操舵力を付与する操舵機構と、前記操舵機構による操舵力を補助する補助操舵力を前記操舵輪に付与するアシスト機構と、を備え
、前記アシスト機構が、前記補助操舵力を発生するアクチュエータと、前記案内装置の状態を検出する検出部と、該検出部の検出結果に応じて前記アクチュエータの動作を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成の走行台車が軌道の曲線部分を走行する際には、案内装置がガイドレールに押し付けられることで、案内装置がガイドレールからの反力を受けて旋回する。また、操舵機構によって前述の反力を利用した操舵力が操舵輪に付与されることで、操舵輪が操舵され、操舵輪を軌道の曲線部分に沿う走行台車の進行方向に向けることができる。
そして、上記構成の走行台車では、操舵機構により操舵輪が操舵される際に、アシスト機構による補助操舵力も操舵輪に付与されるため、案内装置がガイドレールから受ける反力を小さく抑えながら、操舵輪を操舵することが可能となる。
【0010】
上記走行台車において、検出部が検出する案内装置の状態とは、例えば台車本体に対する案内装置の旋回角度や、案内装置がガイドレールから受ける反力である。
上記構成の走行台車によれば、制御部が検出部において検出された案内装置の状態に基づいてアクチュエータの動作を制御するため、補助操舵力を高い精度で操舵輪に付与することが可能となる。したがって、操舵機構によって操舵された操舵輪の操舵角度が、補助操舵力の付与によって変化してしまうことを防止できる。
【0011】
また、前記走行台車においては、前記アクチュエータが、前記台車本体に取り付けられてもよい。
【0012】
上記構成の走行台車によれば、アクチュエータで発生した補助操舵力を操舵輪に伝達する際、補助操舵力の反力を台車本体で受けることができるため、補助操舵力を効率よく操舵輪に付与することができる。
【0013】
さらに、前記走行台車においては、前記操舵輪が、車幅方向に間隔をあけて一対設けられ、前記アクチュエータが、一対の操舵輪に対して個別に設けられてもよい。
【0014】
上記構成の走行台車によれば、単一のアクチュエータの補助動作力を一対の操舵輪に付与する場合と比較して、各アクチュエータにおいて発生させる補助操舵力の大きさを小さくできる。すなわち、出力の小さいアクチュエータを設けることができる。したがって、安価なアクチュエータによってアシスト機構を構成し、走行台車の製造コスト削減を図ることができる。
【0015】
そして、本発明の軌道式車両は、前記走行台車と、該走行台車に支持される車体と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、案内装置がガイドレールから受ける反力を小さく抑えながら、幅広の操舵輪を操舵することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
〔第一実施形態〕
以下、
図1〜6を参照して本発明の第一実施形態について説明する。
図1,2に示すように、本実施形態における軌道式車両1(以下、単に車両1と称す)は、軌道2の幅方向両側部に設けられた、いわゆるサイドガイド型のガイドレール3によって案内されて軌道2の走行路4上を走行する。
車両1は、車体5と、走行台車6とを備える。車体5は、走行方向の前後に長い略直方体の中空形状をなしている。この車体5の内部には、乗客を収容可能な空間が形成されている。
【0019】
走行台車6は、車体5を下方から支持し、軌道2上を走行するものである。走行台車6は、車体5の前部及び後部の下方に配置されている。各走行台車6は、車体5の前部に配置されるか、後部に配置されるかの違いだけであるため、以下の説明においては、前部に配置される走行台車6についてのみ説明する。
【0020】
走行台車6は、台車本体11と、操舵輪12と、案内装置13と、操舵機構14と、を備える。台車本体11は、車体5を下方から支持するものである。台車本体11は、台車枠16と、緩衝装置17と、車軸18と、を備える。
緩衝装置17は、車体5と台車枠16との間に設けられている。緩衝装置17は、走行路4の路面上の凹凸などによる振動が車体5に伝わることを防止する。緩衝装置17は、例えばばね部材19を備える。ばね部材19は、例えば車体5の車幅方向に互いに間隔をあけて二つ配されている。ばね部材19は、例えば空気ばねであってもよい。
【0021】
車軸18は、台車枠16に支持されている。車軸18は、車幅方向の中央部に配されたギヤボックス20から車幅方向両側に延びている。ギヤボックス20には、モータ等の動力源(図示せず)からの回転動力を車軸18に伝達するディファレンシャルギヤなどの機構が収容されている。図示例では、ギヤボックス20が台車枠16の下側に固定されることで、車軸18がギヤボックス20を介して台車枠16に支持されているが、これに限ることはない。
【0022】
操舵輪12は、ゴムタイヤが装着された所謂タイヤ付ホイールである。操舵輪12は、車幅方向両側に延びる各車軸18の両端に接続され、車軸18と共に車軸18を中心に回転可能とされている。これにより、車両1が軌道2の走行路4上を走行することができる。また、操舵輪12は、台車本体11に対して車軸18の車幅方向両側の端部に配された操舵軸O1(例えばキングピン)回りに回動可能とされている。操舵輪12が操舵軸O1回りに回動することで、車両1の進行方向の向きを変えることができる。
【0023】
案内装置13は、台車本体11の下方に配され、台車本体11に対して上下方向に延びる旋回軸O2回りに旋回可能に支持されている。案内装置13は、ガイドレール3からの反力を受けて旋回するものである。案内装置13は、案内枠21と、案内輪22と、を備える。
案内枠21は、横梁23A,23Bと、縦梁24と、を備える。横梁23A,23Bは、操舵輪12よりも車幅方向の両外側まで延びて形成されている。また、横梁23A,23Bは、操舵輪12の走行方向前方および後方にそれぞれ配置されている。縦梁24は、操舵輪12の走行方向に延びており、前後一対の横梁23A,23B同士を車幅方向の中間部分において接続している。縦梁24は、その延在方向の中間部分において台車本体11に対して旋回軸O2回りに旋回可能に取り付けられている。
【0024】
案内輪22は、軌道2の車幅方向両側に配置されたガイドレール3によって案内される。案内輪22は、各横梁23A,23Bの両端部に取り付けられ、上下方向に延びる軸線O3回りに回転自在とされている。案内輪22は、車両1が軌道2上を走行する際に、ガイドレール3に当接することでガイドレール3に沿って転動する。
この案内装置13において、横梁23A,23Bの延在方向に沿う案内装置13の幅寸法は、ガイドレール3間の寸法よりも小さく設定されている。また、案内装置13では、一部の案内輪22がガイドレール3に押し付けられることで、ガイドレール3からの反力を受けて旋回する(
図5参照)。
【0025】
操舵機構14は、上記した案内装置13が受けた反力を利用して操舵輪12に操舵力を付与するものである。操舵機構14は、案内装置13及び操舵輪12の操舵軸O1を相互に連結して、案内装置13が旋回した際に、操舵輪12を操舵軸O1回りに案内装置13の旋回方向と同じ方向に回動させるものである。操舵機構14は、操舵輪12毎に設けられている。各操舵機構14は、第一連結アーム25と、第二連結アーム26と、を備える。
第一連結アーム25の長手方向の第一端は、操舵輪12と共に操舵軸O1回り(操舵輪12の操舵方向)に回動可能に取り付けられている。
【0026】
第二連結アーム26は、第一連結アーム25と、案内枠21の縦梁24とを連結する。第二連結アーム26の長手方向の第一端は、第一連結アーム25の第二端に回転自在に連結されている。第二連結アーム26の第二端は、案内枠21の縦梁24に回転自在に連結されている。縦梁24における第二連結アーム26との連結部分は、旋回軸O2と、縦梁24の端部(横梁23A,23Bとの接続部分)との間に位置している。図示例では、第一、第二連結アーム25,26の連結部分が操舵軸O1よりも車両1(走行台車6)の走行方向の前方側に位置し、かつ、縦梁24における第二連結アーム26との連結部分が旋回軸O2よりも車両1(走行台車6)の走行方向の前方側に位置しているが、これに限らない。例えば、第一、第二連結アーム25,26の連結部分が操舵軸O1よりも車両1(走行台車6)の走行方向の後方側に位置し、かつ、縦梁24における第二連結アーム26との連結部分が旋回軸O2よりも車両1(走行台車6)の走行方向の後方側に位置してもよい。
【0027】
上記構成の操舵機構14では、案内装置13がガイドレール3からの反力を受けて旋回軸O2回りに旋回した際に、第二連結アーム26が変位し、さらに第一連結アーム25が操舵軸O1回りに回動することで、操舵輪12が案内装置13の旋回方向と同じ方向に操舵される(
図5参照)。すなわち、操舵機構14は、案内装置13が受ける反力を利用して操舵輪12に操舵力を付与することで、操舵輪12を案内装置13の旋回方向と同じ方向に操舵する。
【0028】
さらに、走行台車6は、
図1〜3に示すように、上記した操舵機構14による操舵力を補助する補助操舵力を操舵輪12に付与するアシスト機構15を備える。アシスト機構15は、アクチュエータ31と、検出部32と、制御部33と、を備える。
アクチュエータ31は、補助操舵力を発生するものである。本実施形態のアクチュエータ31は、例えばエアシリンダ、油圧シリンダ、電動シリンダであり、シリンダ本体34及びピストンロッド35を備える。シリンダ本体34は、台車本体11に取り付けられている。ピストンロッド35は、シリンダ本体34に伸縮可能に取り付けられている。ピストンロッド35の伸縮方向は車幅方向に設定されている。アクチュエータ31のピストンロッド35の先端には、アシストアーム36の第一端が回転可能に連結されている。アシストアーム36の第二端は、操舵輪12と共に操舵軸O1回りに回動可能に取り付けられている。
【0029】
このアクチュエータ31では、ピストンロッド35がシリンダ本体34に対して伸縮する。ピストンロッド35を伸縮させる力は、アシストアーム36を介して操舵輪12に伝えられ、補助操舵力として操舵輪12に付与される。ピストンロッド35を伸縮させる力(補助操舵力)やピストンロッド35の変位は、後述する制御部33からの制御信号に基づいて制御される。
【0030】
本実施形態のアクチュエータ31は、アシストアーム36を介して一方の操舵輪12のみに連結されている。アクチュエータ31の補助操舵力は、一方の操舵輪12に連結された操舵機構14、案内枠21(縦梁24)、及び、他方の操舵輪12に連結された操舵機構14を介して、他方の操舵輪12にも付与される。
【0031】
検出部32は、案内装置13の状態を検出する。本実施形態の検出部32は、案内装置13の状態として、案内装置13の旋回角度を検出する。ここで、案内装置13の旋回方向は、操舵機構14により案内装置13と連結された操舵輪12の操舵方向に対応する。このため、検出部32は、案内装置13の旋回角度を検出することで、操舵輪12の操舵角度を検出することができる。検出部32が検出する案内装置13の旋回角度、操舵輪12の操舵角度は、直進状態とされた操舵輪12の向き(また、これに対応する案内装置13の旋回位置)を基準とした角度である。
【0032】
本実施形態の検出部32は、検出用リンク37及び検出センサ38を備える。
検出用リンク37は、台車本体11に回転自在に取り付けられている。検出用リンク37の第一端は、案内装置13の横梁23Aに連結されている。これにより、検出用リンク37は案内装置13の旋回に対応して回転する。検出用リンク37の第二端は、検出用リンク37の回転に応じて、台車本体11に固定された検出センサ38に対して近づいたり離れたりするように配されている。図示例では、検出センサ38が検出用リンク37の第二端の移動方向の両側に配されているが、例えば片側だけでもよい。
検出センサ38は、検出用リンク37の動きを検出するものであり、荷重検知式、接触式、変位検知式、レーザー感知式等、任意の方式のものを使用することが可能である。検出センサ38の検出結果は検出信号として制御部33に出力される。
【0033】
制御部33は、上記した検出部32(検出センサ38)の検出結果に基づいてアクチュエータ31の動作を制御する。以下、本実施形態の制御部33について詳細に説明する。
制御部33は、検出部32によって検出された案内装置13の旋回角度(操舵輪12の操舵角度)に基づいて、操舵輪12のセルフアライニングトルク(操舵輪12を直進状態に復帰させようとする回転力)を、案内装置13が受ける反力として算出する。この算出に際しては、操舵輪12の幅寸法や材質、走行速度、操舵輪12にかかる車両の荷重なども考慮するとよい。
そして、制御部33は、算出された反力に基づいて、操舵輪12に付与する補助操舵力を設定する。補助操舵力は、案内装置13が受ける反力よりも小さく、例えば反力の50%に設定される。その後、制御部33は、設定された補助操舵力を含む制御信号をアクチュエータ31に出力する。これにより、アクチュエータ31が補助操舵力を発生する。
【0034】
また、制御部33は、検出部32によって検出された案内装置13の旋回角度に基づいて、シリンダ本体34に対するピストンロッド35の変位(アクチュエータ31の変位)によって操舵輪12が過剰に操舵されないように、アクチュエータ31の変位を算出する。例えば、アクチュエータ31の変位は、操舵輪12の操舵角度にあわせてアシストアーム36が回動し、アシストアーム36の回動がピストンロッド35によって阻害されないように、算出される。その後、制御部33は、算出されたアクチュエータ31の変位を含む制御信号をアクチュエータ31に出力する。
【0035】
また、制御部33は、算出された反力が所定値以下であり、案内装置13の旋回角度や操舵輪12の操舵角度が所定角度以下の場合に、補助操舵力を含む制御信号をアクチュエータ31に出力しない。すなわち、操舵輪12の操舵角度が所定角度以下の場合、アクチュエータ31は補助操舵力を発生しない。
【0036】
次に、上記のように構成される本実施形態の車両1の動作について説明する。
車両1が、
図4,5に示すように、軌道2の曲線部分を走行する際には、案内装置13の案内輪22が、曲線部分の外軌側に配されるガイドレール3から、主に前方の外軌側の案内輪22が車幅方向外側からの反力Fを受ける。この反力Fに基づいて、案内装置13は、案内装置13の前方側(横梁23A側)が内軌側のガイドレール3に近づくように旋回軸O2回りに旋回する。また、案内装置13の旋回に伴い、操舵機構14により前述の反力Fを利用した操舵力が操舵輪12に付与されて、操舵輪12が操舵軸O1回りに案内装置13の旋回方向と同じ方向に操舵される。すなわち、操舵輪12を軌道2の曲線部分に沿う車両1の進行方向に向けることができる。これにより、車両1が軌道2の曲線部分に沿って走行する。
【0037】
また、軌道2の曲線部分において操舵輪12が操舵される際には、アシスト機構15による補助操舵力も操舵輪12に付与される。以下、具体的に説明する。
案内装置13がガイドレール3からの反力Fを受けて旋回した際には、検出部32の検出センサ38が案内装置13に連結された検出用リンク37の動きを検出する。この際、制御部33は、
図6に示すように、検出センサ38からの信号を受信して、案内装置13の旋回角度(案内装置13の状態)を検出する(ステップS01)。次いで、制御部33は、案内装置13の旋回角度に基づいて案内装置13が受けた反力Fを算出し、さらに、算出された反力Fに基づいて操舵輪12に付与する補助操舵力を設定する(ステップS02)。また、制御部33は、案内装置13の旋回角度に基づいて、アクチュエータ31の変位を算出する(ステップS03)。アクチュエータ31の変位は、当該変位によって操舵輪12が過剰に操舵されないように算出される。その後、制御部33は、ステップS02及びステップS03において設定された補助操舵力及びアクチュエータ31の変位を含む制御信号をアクチュエータ31に出力する(ステップS04)。
上記ステップS01〜S04の各処理は、車両が軌道2の走行路4上を走行している状態で繰り返し行われる。
【0038】
図5に示すように、アクチュエータ31は、制御部33から出力された制御信号に基づいて補助操舵力を発生する。この補助操舵力は、アシストアーム36を介して操舵輪12に付与される。また、アクチュエータ31では、制御部33から出力された制御信号によって、シリンダ本体34に対するピストンロッド35の変位が設定されるため、操舵輪12がアクチュエータ31の動作によって操舵されることを防止できる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の走行台車6及びこれを備える車両1によれば、操舵機構14によって操舵輪12が操舵される際に、アシスト機構15による補助操舵力も操舵輪12に付与されるため、操舵輪12が幅広であっても、案内装置13がガイドレール3から受ける反力を小さく抑えながら、操舵輪12を操舵することが可能となる。したがって、耐荷重の増加や、軌道系交通システムの高速化に対応可能な車両1を提供することができる。
【0040】
また、本実施形態の走行台車6及び車両1によれば、制御部33が検出部32において検出された案内装置13の旋回角度(案内装置13の状態)に基づいてアクチュエータ31の動作を制御するため、補助操舵力を高い精度で操舵輪12に付与することが可能となる。したがって、操舵機構14によって操舵された操舵輪12の操舵角度が、補助操舵力の付与によって変化してしまうことを防止できる。
【0041】
さらに、アクチュエータ31のシリンダ本体34が台車本体11に取り付けられているため、アクチュエータ31で発生した補助操舵力を操舵輪12に伝達する際、補助操舵力の反力を台車本体11で受けることができるため、補助操舵力を効率よく操舵輪12に付与することができる。
また、本実施形態によれば、車両1が軌道2の直線部分を走行する際に案内装置13がガイドレール3から微小な反力を受けても、これに伴う操舵輪12の操舵角度が所定角度以下であれば、補助操舵力が操舵輪12に付与されない。このため、車両1が軌道2の直線部分を走行する際に案内装置13が微小な反力を受けて操舵輪12が操舵されても、操舵輪12をセルフアライニングトルクによって速やかに直進状態に戻すことが可能となる。したがって、車両1は安定した状態で軌道2の直線部分で走行することができる。
【0042】
〔第二実施形態〕
次に、本発明の第二実施形態について、
図7を参照して、第一実施形態との相違点を中心に説明する。なお、第一実施形態と共通する構成については、同一符号を付し、その説明を省略する。
【0043】
図7に示すように、本実施形態の軌道式車両(車両)の走行台車6Aに備えるアシスト機構15Aは、第一実施形態と同様のアクチュエータ31Aを備える。ただし、本実施形態のアシスト機構15Aでは、アクチュエータ31Aが操舵輪12毎に設けられている。各アクチュエータ31Aは、第一実施形態と同様のシリンダ本体34及びピストンロッド35を備える。また、各アクチュエータ31Aのピストンロッド35は、第一実施形態の場合と同様に、各アシストアーム36を介して各操舵輪12に連結されている。さらに、各アクチュエータ31Aの動作は、第一実施形態と同様の制御部33(
図3参照)からの制御信号に基づいて制御される。
【0044】
本実施形態の走行台車6A及び軌道式車両は、第一実施形態と同様の効果を奏する。
また、本実施形態の走行台車6A及び軌道式車両によれば、単一のアクチュエータ31の補助操舵力を一対の操舵輪12に付与する第一実施形態の構成と比較して、各アクチュエータ31Aにおいて発生させる補助操舵力の大きさを小さくできる。すなわち、第一実施形態の場合と比較して、出力の小さいアクチュエータ31Aを設けることができる。したがって、安価なアクチュエータ31Aによってアシスト機構15Aを構成し、走行台車6Aの製造コスト削減を図ることができる。
【0045】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
上記実施形態では、アシスト機構15,15Aの検出部32が、案内装置13の状態として案内装置13の旋回角度を検出しているが、例えば案内装置13が受ける反力を検出してもよい。具体的には、案内装置13の旋回に伴って回転する検出用リンク37の第二端が検出センサ38に押し付けられる力を、反力として検出すればよい。この場合、制御部33は、検出結果である反力に基づいて補助操舵力を設定すればよい。また、制御部33は、検出結果である反力に基づいてアクチュエータ31の変位を算出すればよい。
【0046】
また、本発明は、上記実施形態のように軌道2の幅方向両端部に設けられたサイドガイド型のガイドレール3によって案内されて走行する走行台車6に限らず、例えば軌道の幅方向中央部に設けられたセンターガイド型のガイドレールによって案内されて走行する走行台車にも適用可能である。