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特許6222829超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222829
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/06 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   A61B8/06ZDM
【請求項の数】14
【全頁数】28
(21)【出願番号】特願2013-260340(P2013-260340)
(22)【出願日】2013年12月17日
(65)【公開番号】特開2014-138761(P2014-138761A)
(43)【公開日】2014年7月31日
【審査請求日】2016年10月7日
(31)【優先権主張番号】特願2012-275981(P2012-275981)
(32)【優先日】2012年12月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】特許業務法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】姚 淙
(72)【発明者】
【氏名】川岸 哲也
(72)【発明者】
【氏名】嶺 喜隆
(72)【発明者】
【氏名】吉新 寛樹
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 慎太朗
【審査官】 宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−509790(JP,A)
【文献】 特表2012−529320(JP,A)
【文献】 特表2008−541980(JP,A)
【文献】 特開2004−154475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造影剤が投与された被検体を超音波走査して収集された時系列データから、超音波走査領域内に設定された解析領域における輝度の時間変化を示す輝度変化情報を生成する輝度変化情報生成部と、
前記輝度変化情報に基づいて、前記解析領域における造影剤の還流動態を時間について正規化したパラメータを取得する解析部と、
前記パラメータを画像又は文字のうち少なくともいずれか一方の形式で表示部に表示させる制御部と、
を備える、超音波診断装置。
【請求項2】
前記解析部は、前記解析領域における造影剤の還流動態を、輝度、又は、輝度及び時間について正規化したパラメータを取得する、請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記パラメータの値に応じて色調を変化させた変化画像データを生成する変化画像生成部、
を更に備え、
前記制御部は、前記画像による表示形態の1つとして、前記変化画像データを表示部に表示させる、請求項2に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記輝度変化情報生成部は、前記輝度変化情報として、前記解析領域における輝度の時間変化を示す曲線である輝度変化曲線を生成し、
前記解析部は、時間軸、又は、輝度軸及び時間軸の正規化を行なって前記輝度変化曲線から正規化曲線を生成し、当該正規化曲線を前記パラメータとして取得する処理、及び、当該正規化曲線から前記パラメータを取得する処理の少なくとも1つの処理を行なう、請求項3に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
前記解析部は、前記輝度変化曲線において、輝度が最大値となる最大点と、前記最大点となる前に前記最大値に第1割合を乗算した第1乗算値となる第1点と、前記最大点となった後に前記最大値に第2割合を乗算した第2乗算値となる第2点とから選択された少なくとも2点を用いて、前記正規化曲線を生成する、請求項4に記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記輝度変化情報生成部は、超音波走査領域内に設定された複数の解析領域それぞれにおける複数の輝度変化曲線、又は、異なる複数の時期に同一の超音波走査領域で行なわれた超音波走査により収集された複数の時系列データそれぞれから該領域内に設定された少なくとも1つの同一の解析領域それぞれにおける複数の輝度変化曲線を生成し、
前記解析部は、前記複数の輝度変化曲線それぞれから前記正規化曲線を生成し、生成した複数の正規化曲線それぞれを前記パラメータとして取得する処理、及び、当該複数の正規化曲線それぞれから前記パラメータを取得する処理の少なくとも1つの処理を行ない、
前記変化画像生成部は、前記画像による表示形態の1つとして設定されている場合、前記複数の正規化曲線それぞれで取得された前記パラメータを用いて、前記変化画像データを生成する、請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記解析部は、
造影剤流入に関するパラメータを取得する場合、前記第1点が各輝度変化曲線で同一の正規化第1点にプロットされ、前記最大点が各輝度変化曲線で同一の正規化最大点にプロットされる正規化時間軸及び正規化輝度軸を設定することで、前記複数の輝度変化曲線それぞれから複数の正規化曲線を生成し、
造影剤流出に関するパラメータを取得する場合、前記最大点が各輝度変化曲線で同一の正規化最大点にプロットされ、前記第2点が各輝度変化曲線で同一の正規化第2点にプロットされる正規化時間軸及び正規化輝度軸を設定することで、前記複数の輝度変化曲線それぞれから複数の正規化曲線を生成し、
造影剤流入及び造影剤流出に関するパラメータを取得する場合、前記第1点、前記最大点及び前記第2点それぞれが各輝度変化曲線で前記正規化第1点、前記正規化最大点及び前記正規化第2点それぞれにプロットされる正規化時間軸及び正規化輝度軸を設定することで、前記複数の輝度変化曲線それぞれから複数の正規化曲線を生成する、請求項6に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記変化画像生成部は、造影剤流入、又は、造影剤流出に関するパラメータを画像化する場合、前記正規化時間軸における正規化時間に応じて異なる色調が対応付けられた対応マップを用いて、前記変化画像データを生成する、請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記変化画像生成部は、造影剤流入、又は、造影剤流出に関するパラメータを画像化する場合、前記正規化輝度軸における正規化輝度に応じて異なる色調が対応付けられた対応マップを用いて、前記変化画像データを生成する、請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記変化画像生成部は、造影剤流入及び造影剤流出に関するパラメータを画像化する場合、前記正規化時間軸において、前記正規化最大点の正規化最大時間以前の正規化時間に応じて第1色相で異なる色調が対応付けられた第1対応マップと、前記正規化最大時間以後の正規化時間に応じて第2色相で異なる色調が対応付けられた第2対応マップとを用いて、前記変化画像データを生成する、請求項7に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記解析部は、前記正規化曲線から取得した少なくとも1つの値を前記パラメータとして前記制御部に出力し、
前記制御部は、前記少なくとも1つの値をテーブルとして、又は、グラフとして前記表示部に表示させる、請求項4〜6のいずれか1つに記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記解析部は、前記正規化曲線の時間軸上での傾きを前記パラメータとして取得する、請求項11に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
造影剤が投与された被検体を超音波走査して収集された時系列データから、超音波走査領域内に設定された解析領域における輝度の時間変化を示す輝度変化情報を生成する輝度変化情報生成部と、
前記輝度変化情報に基づいて、前記解析領域における造影剤の還流動態を時間について正規化したパラメータを取得する解析部と、
前記パラメータを画像又は文字のうち少なくともいずれか一方の形式で表示部に表示させる制御部と、
を備える、画像処理装置。
【請求項14】
輝度変化情報生成部が、造影剤が投与された被検体を超音波走査して収集された時系列データから、超音波走査領域内に設定された解析領域における輝度の時間変化を示す輝度変化情報を生成し、
解析部が、前記輝度変化情報に基づいて、前記解析領域における造影剤の還流動態を時間について正規化したパラメータを取得し、
制御部が、前記パラメータを画像又は文字のうち少なくともいずれか一方の形式で表示部に表示させる、
ことを含む、画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、静脈投与型の超音波造影剤が製品化され、「造影エコー法」が行なわれている。以下、超音波造影剤を省略して造影剤と記載する場合がある。造影エコー法は、例えば、心臓や肝臓等の検査において、静脈から造影剤を注入して血流信号を増強し、血流動態の評価を行うことを目的としている。造影剤の多くは、微小気泡(マイクロバブル)が反射源として機能する。例えば、近年、日本で発売されたソナゾイド(登録商標)と呼ばれる第二世代の超音波造影剤は、リン脂質によりフッ化炭素(perfluorobutane)ガスを内包した微小気泡である。造影エコー法では、微小気泡を破壊させない程度の中低音圧の送信超音波を用いることで、造影剤の還流の様子を安定して観察することができる。
【0003】
上記造影剤の投与後の診断部位(例えば、肝臓がん)を超音波走査すると、医師等の操作者は、血流により還流する造影剤の流入から流出までの信号強度の上昇と減少とを観察することができる。また、かかる信号強度の経時変化の違いから、腫瘤性病変の良性/悪性の鑑別診断、或いは、「びまん性」の疾患等の診断を行なう研究も行なわれている。
【0004】
造影剤の還流動態を示す信号強度の経時変化は、単なる形態情報とは異なり、通常、動画像をリアルタイムで、或いは、記録後に、読影される必要がある。従って、造影剤の還流動態の読影のための所要時間は、一般的に長くなる。そこで、通常は動画で観察される造影剤の流入時刻情報を、一枚の静止画像上にマッピングする手法が提案されている。かかる手法は、造影剤の信号のピーク時間の違いを、異なる色相で表現した静止画像を生成表示するものである。この静止画像を参照することで、読影者は、診断部位の断層面内の各所での流入時刻を容易に把握することができる。また、特定領域で造影剤が停滞する時間(流入開始から流出終了までの時間)の違いを、異なる色相で表現した静止画像を生成表示する手法も提案されている。
【0005】
ところで、腫瘍血管の走行は、正常な血管に比べて複雑であるため、行き場を失ったマイクロバブルが腫瘍に停滞したり、更に、停滞したマイクロバブルが逆流したりする現象が観察されている。このような腫瘍血管内でのマイクロバブルの挙動は、造影超音波撮影を行った腫瘍マウスで実際に観察されている。すなわち、生体イメージングが可能な造影超音波撮影でマイクロバブルの挙動を評価できれば、造影エコー法は、腫瘍血管の異常の評価にも応用できる可能性がある。
【0006】
また、近年、治験が行なわれている抗がん剤である血管新生阻害剤は、腫瘍を栄養する血管を破壊して、腫瘍血管の断片化や狭小化を起こすことが、病理組織学的な観察で確認されている。造影超音波撮影で血管新生阻害剤により断片化された血管内で造影超音波観察が停滞する様子を映像化したり定量化したりできれば、造影エコー法は、治療効果判定に応用することも期待できる。
【0007】
しかし、信号強度の変化、すなわち、超音波画像の輝度の変化は、撮影条件や、観測領域よって変化する。例えば、輝度の変化は、造影剤の種類や、観察領域内の血管の性質及び血管周囲の組織の性質により変化する。一方、上記の静止画像は、撮影条件や観測領域に関わらず、観察される絶対的な特徴量(例えば、絶対時間や絶対輝度)に基づいて、造影剤流入時刻が決定され、造影剤流入時刻に基づいて信号強度の経時変化の解析が行なわれることで、生成表示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−269341号公報
【特許文献2】特開2002−238901号公報
【特許文献3】特開2011−254963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が解決しようとする課題は、造影剤の還流動態を客観的な基準により解析することができる超音波診断装置、画像処理装置及び画像処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の超音波診断装置は、輝度変化情報生成部と、解析部と、制御部とを備える。輝度変化情報生成部は、造影剤が投与された被検体を超音波走査して収集された時系列データから、超音波走査領域内に設定された解析領域における輝度の時間変化を示す輝度変化情報を生成する。解析部は、前記輝度変化情報に基づいて、前記解析領域における造影剤の還流動態を時間について正規化したパラメータを取得する。制御部は、前記パラメータを画像又は文字のうち少なくともいずれか一方の形式で表示部に表示させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、解析領域の一例を示す図(1)である。
図3図3は、解析領域の一例を示す図(2)である。
図4図4は、解析領域の一例を示す図(3)である。
図5図5は、解析部を説明するための図(1)である。
図6図6は、解析部を説明するための図(2)である。
図7図7は、解析部を説明するための図(3)である。
図8図8は、解析部を説明するための図(4)である。
図9図9は、変化画像生成部を説明するための図(1)である。
図10図10は、変化画像生成部を説明するための図(2)である。
図11図11は、変化画像生成部を説明するための図(3)である。
図12図12は、本実施形態に係る超音波診断装置が処理の一例を示すフローチャートである。
図13図13は、本実施形態に係る変形例を説明するための図(1)である。
図14図14は、本実施形態に係る変形例を説明するための図(2)である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、超音波診断装置の実施形態を詳細に説明する。
【0013】
(実施形態)
まず、本実施形態に係る超音波診断装置の構成について説明する。図1は、本実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。図1に例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置は、超音波プローブ1と、モニタ2と、入力装置3と、装置本体10とを有する。
【0014】
超音波プローブ1は、複数の圧電振動子を有し、これら複数の圧電振動子は、後述する装置本体10が有する送受信部11から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。また、超音波プローブ1は、被検体Pからの反射波を受信して電気信号に変換する。また、超音波プローブ1は、圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ1は、装置本体10と着脱自在に接続される。
【0015】
超音波プローブ1から被検体Pに超音波が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波信号として超音波プローブ1が有する複数の圧電振動子にて受信される。受信される反射波信号の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波信号は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。
【0016】
例えば、装置本体10は、2次元走査用の超音波プローブ1として、複数の圧電振動子が一列で配置された1Dアレイプローブと接続される。或いは、例えば、装置本体10は、3次元走査用の超音波プローブ1として、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブと接続される。メカニカル4Dプローブは、1Dアレイプローブのように一列で配列された複数の圧電振動子を用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の圧電振動子を所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の圧電振動子により3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送信することで2次元走査が可能である。
【0017】
本実施形態は、超音波プローブ1により、被検体Pが2次元走査される場合であっても、3次元走査される場合であっても適用可能である。
【0018】
入力装置3は、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等を有し、超音波診断装置の操作者からの各種設定要求を受け付け、装置本体10に対して受け付けた各種設定要求を転送する。例えば、入力装置3は、操作者から超音波造影剤の還流動態を解析するための解析領域の設定を受け付ける。なお、本実施形態で設定される解析領域については、後に詳述する。
【0019】
モニタ2は、超音波診断装置の操作者が入力装置3を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体10において生成された超音波画像等を表示したりする。
【0020】
装置本体10は、超音波プローブ1が受信した反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する装置である。図1に示す装置本体10は、超音波プローブ1が受信した2次元の反射波データに基づいて2次元の超音波画像データを生成可能な装置である。また、図1に示す装置本体10は、超音波プローブ1が受信した3次元の反射波データに基づいて3次元の超音波画像データを生成可能な装置である。以下、3次元の超音波画像データを「ボリュームデータ」と記載する場合がある。
【0021】
装置本体10は、図1に示すように、送受信部11と、Bモード処理部12と、ドプラ処理部13と、画像生成部14と、画像処理部15と、画像メモリ16と、内部記憶部17と、制御部18とを有する。
【0022】
送受信部11は、パルス発生器、送信遅延部、パルサ等を有し、超音波プローブ1に駆動信号を供給する。パルス発生器は、所定のレート周波数で、送信超音波を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。また、送信遅延部は、超音波プローブ1から発生される超音波をビーム状に集束し、かつ送信指向性を決定するために必要な圧電振動子ごとの遅延時間を、パルス発生器が発生する各レートパルスに対し与える。また、パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ1に駆動信号(駆動パルス)を印加する。すなわち、送信遅延部は、各レートパルスに対し与える遅延時間を変化させることで、圧電振動子面から送信される超音波の送信方向を任意に調整する。
【0023】
なお、送受信部11は、後述する制御部18の指示に基づいて、所定のスキャンシーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有している。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間にその値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、又は、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
【0024】
また、送受信部11は、プリアンプ、A/D(Analog/Digital)変換器、受信遅延部、加算器等を有し、超音波プローブ1が受信した反射波信号に対して各種処理を行って反射波データを生成する。プリアンプは、反射波信号をチャネルごとに増幅する。A/D変換器は、増幅された反射波信号をA/D変換する。受信遅延部は、受信指向性を決定するために必要な遅延時間を与える。加算器は、受信遅延部によって処理された反射波信号の加算処理を行なって反射波データを生成する。加算器の加算処理により、反射波信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0025】
送受信部11は、被検体Pを2次元走査する場合、超音波プローブ1から2次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信部11は、超音波プローブ1が受信した2次元の反射波信号から2次元の反射波データを生成する。また、送受信部11は、被検体Pを3次元走査する場合、超音波プローブ1から3次元の超音波ビームを送信させる。そして、送受信部11は、超音波プローブ1が受信した3次元の反射波信号から3次元の反射波データを生成する。
【0026】
なお、送受信部11からの出力信号の形態は、RF(Radio Frequency)信号と呼ばれる位相情報が含まれる信号である場合や、包絡線検波処理後の振幅情報である場合等、種々の形態が選択可能である。
【0027】
Bモード処理部12は、送受信部11から反射波データを受信し、対数増幅、包絡線検波処理等を行なって、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータ(Bモードデータ)を生成する。
【0028】
また、Bモード処理部12は、フィルタ処理により、検波周波数を変化させることで、映像化する周波数帯域を変えることができる。このBモード処理部12の機能を用いることにより、造影エコー法、例えば、コントラストハーモニックイメージング(CHI:Contrast Harmonic Imaging)を実行可能である。すなわち、Bモード処理部12は、超音波造影剤が注入された被検体Pの反射波データから、微小気泡(マイクロバブル)を反射源とする反射波データ(高調波データ又は分周波データ)と、被検体P内の組織を反射源とする反射波データ(基本波データ)とを分離することができる。これにより、Bモード処理部12は、被検体Pの反射波データから高調波データ又は分周波データを抽出して、造影画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。造影画像データを生成するためのBモードデータは、造影剤を反射源とする反射波の信号強度を輝度で表わしたデータとなる。また、Bモード処理部12は、被検体Pの反射波データから基本波データを抽出して、組織画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
【0029】
なお、CHIを行なう際、Bモード処理部12は、上述したフィルタ処理を用いた方法とは異なる方法により、ハーモニック成分(高調波成分)を抽出することができる。ハーモニックイメージングでは、振幅変調(AM:Amplitude Modulation)法や位相変調(PM:Phase Modulation)法、AM法及びPM法を組み合わせたAMPM法と呼ばれる映像法が行なわれる。AM法、PM法及びAMPM法では、同一の走査線に対して振幅や位相が異なる超音波送信を複数回(複数レート)行なう。これにより、送受信部11は、各走査線で複数の反射波データを生成し出力する。そして、Bモード処理部12は、各走査線の複数の反射波データを、変調法に応じた加減算処理することで、高調波成分を抽出する。そして、Bモード処理部12は、高調波成分の反射波データに対して包絡線検波処理等を行なって、Bモードデータを生成する。
【0030】
例えば、PM法が行なわれる場合、送受信部11は、制御部18が設定したスキャンシーケンスにより、例えば(−1,1)のように、位相極性を反転させた同一振幅の超音波を、各走査線で2回送信させる。そして、送受信部11は、「−1」の送信による反射波データと、「1」の送信による反射波データとを生成し、Bモード処理部12は、これら2つの反射波データを加算する。これにより、基本波成分が除去され、2次高調波成分が主に残存した信号が生成される。そして、Bモード処理部12は、この信号に対して包絡線検波処理等を行なって、CHIのBモードデータ(造影画像データを生成するためのBモードデータ)を生成する。CHIのBモードデータは、造影剤を反射源とする反射波の信号強度を輝度で表わしたデータとなる。また、CHIでPM法が行なわれる場合、Bモード処理部12は、例えば、「1」の送信による反射波データをフィルタ処理することで、組織画像データを生成するためのBモードデータを生成することができる。
【0031】
ドプラ処理部13は、送受信部11から受信した反射波データから速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、速度、分散、パワー等の移動体情報を多点について抽出したデータ(ドプラデータ)を生成する。
【0032】
なお、本実施形態に係るBモード処理部12及びドプラ処理部13は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方について処理可能である。すなわち、Bモード処理部12は、2次元の反射波データから2次元のBモードデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のBモードデータを生成する。また、ドプラ処理部13は、2次元の反射波データから2次元のドプラデータを生成し、3次元の反射波データから3次元のドプラデータを生成する。
【0033】
画像生成部14は、Bモード処理部12及びドプラ処理部13が生成したデータから超音波画像データを生成する。すなわち、画像生成部14は、Bモード処理部12が生成した2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成部14は、ドプラ処理部13が生成した2次元のドプラデータから移動体情報を表す2次元ドプラ画像データを生成する。2次元ドプラ画像データは、速度画像、分散画像、パワー画像、又は、これらを組み合わせた画像である。
【0034】
ここで、画像生成部14は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。具体的には、画像生成部14は、超音波プローブ1による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成部14は、スキャンコンバート以外に種々の画像処理として、例えば、スキャンコンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成部14は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
【0035】
すなわち、Bモードデータ及びドプラデータは、スキャンコンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成部14が生成するデータは、スキャンコンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
【0036】
更に、画像生成部14は、Bモード処理部12が生成した3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成部14は、ドプラ処理部13が生成した3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成部14は、「3次元のBモード画像データや3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。
【0037】
更に、画像生成部14は、ボリュームデータをモニタ2にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対してレンダリング処理を行なう。画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を行なってボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、ボリュームデータに対して「Curved MPR」を行なう処理や、ボリュームデータに対して「Maximum Intensity Projection」を行なう処理がある。また、画像生成部14が行なうレンダリング処理としては、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。
【0038】
画像メモリ16は、画像生成部14が生成した表示用の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ16は、Bモード処理部12やドプラ処理部13が生成したデータを記憶することも可能である。画像メモリ16が記憶する表示用の画像データは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能である。また、画像メモリ16が記憶するBモードデータやドプラデータも、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成部14を経由して表示用の超音波画像データとなる。また、画像メモリ16は、送受信部11から出力されたデータを記憶することも可能である。
【0039】
画像処理部15は、コンピュータ支援診断(Computer-Aided Diagnosis:CAD)を行なうために、装置本体10に設置される。画像処理部15は、画像メモリ16に格納されたデータを取得して、診断支援のための画像処理を行なう。そして、画像処理部15は、画像処理結果を、画像メモリ16や後述する内部記憶部17に格納する。なお、画像処理部15が行なう処理については、後に詳述する。
【0040】
内部記憶部17は、超音波送受信、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、内部記憶部17は、必要に応じて、画像メモリ16が記憶する画像データの保管等にも使用される。また、内部記憶部17が記憶するデータは、図示しないインターフェースを経由して、外部装置へ転送することができる。なお、外部装置は、例えば、各種医用画像診断装置、画像診断を行なう医師が使用するPC(Personal Computer)や、CDやDVD等の記憶媒体、プリンター等である。
【0041】
制御部18は、超音波診断装置の処理全体を制御する。具体的には、制御部18は、入力装置3を介して操作者から入力された各種設定要求や、内部記憶部17から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信部11、Bモード処理部12、ドプラ処理部13、画像生成部14及び画像処理部15の処理を制御する。また、制御部18は、画像メモリ16や内部記憶部17が記憶する画像データをモニタ2にて表示するように制御する。
【0042】
以上、本実施形態に係る超音波診断装置の全体構成について説明した。かかる構成のもと、本実施形態に係る超音波診断装置は、造影剤の還流動態の解析を目的とする造影エコー法を行なう。そして、本実施形態に係る超音波診断装置は、超音波造影剤が投与された被検体Pを超音波走査して収集された時系列データから、超音波走査領域内に設定された解析領域における造影剤の還流動態を客観的な基準により解析することができる画像データを生成し表示する。
【0043】
かかる画像データを生成するために、本実施形態に係る画像処理部15は、図1に示すように、輝度変化情報生成部151と、解析部152と、変化画像生成部153とを有する。
【0044】
図1に示す輝度変化情報生成部151は、造影剤が投与された被検体Pを超音波走査して収集された時系列データから、超音波走査領域内に設定された解析領域における輝度の時間変化を示す輝度変化情報を生成する。具体的には、輝度変化情報生成部151は、輝度変化情報として、解析領域における輝度の時間変化を示す曲線である輝度変化曲線を生成する。なお、輝度変化情報生成部151は、輝度変化曲線を再現可能な情報であるならば、任意の形態で、輝度変化情報を生成可能である。上記の時系列データは、造影期間中に画像生成部14が時系列に沿って生成した複数の2次元又は3次元の造影画像データである。或いは、上記の時系列データは、造影期間中にBモード処理部12が時系列に沿って抽出した複数の2次元又は3次元の高周波データ(高調波成分)である。或いは、上記の時系列データは、造影期間中にBモード処理部12が時系列に沿って造影画像データ用に生成した複数の2次元又は3次元のBモードデータである。
【0045】
すなわち、造影撮影が2次元の超音波走査領域で行なわれる場合、輝度変化情報生成部151は、被検体Pを2次元走査して収集された時系列データから、2次元走査領域内に設定された2次元の解析領域における輝度変化曲線を生成する。また、造影撮影が3次元の超音波走査領域で行なわれる場合、輝度変化情報生成部151は、被検体Pを3次元走査して収集された時系列データから、3次元走査領域内に設定された3次元の解析領域、又は、2次元の解析領域における輝度変化曲線を生成する。
【0046】
以下では、輝度変化情報生成部151が、被検体Pを2次元走査して時系列に沿って収集された複数の造影画像データから、2次元走査領域内に設定された2次元の解析領域における輝度変化曲線を生成する場合について説明する。
【0047】
ここで、本実施形態に係る輝度変化情報生成部151は、複数の輝度変化曲線を生成する。例えば、輝度変化情報生成部151は、超音波走査領域内に設定された複数の解析領域それぞれにおける複数の輝度変化曲線を生成する。或いは、輝度変化情報生成部151は、異なる複数の時期に同一の超音波走査領域で行なわれた超音波走査により収集された複数の時系列データそれぞれから該領域内に設定された少なくとも1つの同一の解析領域それぞれにおける複数の輝度変化曲線を生成する。図2図3及び図4は、解析領域の一例を示す図である。なお、以下の説明において、超音波プローブ1の位置は、解析領域の設定前後で、同一の位置に固定される。
【0048】
例えば、操作者は、図2に示すように、造影前のBモード画像データ(組織画像データ)に描出された肝臓の腫瘍部位に解析領域100を設定し、肝臓の門脈に解析領域101を設定し、腎臓内に解析領域102を設定する。解析領域101は、腫瘍部位を還流する血流の動態を、肝臓全体を還流する血流の動態と比較するために設定される。また、通常、腎臓が造影剤により染影された後に肝臓は、染影される。このため、解析領域102は、肝臓全体を還流する血流の動態を、腎臓全体を還流する血流の動態と比較するために設定される。
【0049】
輝度変化情報生成部151は、解析領域100〜102の設定後、時系列に沿って収集された複数の造影画像データそれぞれから、解析領域100内の平均輝度、解析領域101内の平均輝度及び解析領域102内の平均輝度を算出する。これにより、輝度変化情報生成部151は、3つの輝度変化曲線を生成する。
【0050】
或いは、例えば、操作者は、図3の左図に示すように、血管新生阻害剤を用いた治療前に、造影前のBモード画像データに解析領域100を設定する。輝度変化情報生成部151は、解析領域100の設定後、時系列に沿って収集された複数の造影画像データそれぞれから、解析領域100内の平均輝度を算出して、解析領域100の輝度変化曲線を生成する。
【0051】
更に、例えば、操作者は、図3の右図に示すように、血管新生阻害剤を用いた治療後に、造影前のBモード画像データに解析領域100と同一の位置に解析領域100’を設定する。輝度変化情報生成部151は、解析領域100’の設定後、時系列に沿って収集された複数の造影画像データそれぞれから、解析領域100’内の平均輝度を算出して、解析領域100’の輝度変化曲線を生成する。解析領域100の輝度変化曲線は、治療前の輝度変化曲線となり、解析領域100’の輝度変化曲線は、治療後の輝度変化曲線となる。これにより、輝度変化情報生成部151は、2つの輝度変化曲線を生成する。
【0052】
或いは、例えば、操作者は、図4の左図に示すように、造影前のBモード画像データ(組織画像データ)に解析領域100を設定して、最初に、造影剤Aを用いた造影撮影を行なう。輝度変化情報生成部151は、解析領域100の設定後、時系列に沿って収集された複数の造影画像データそれぞれから、解析領域100内の平均輝度を算出して、解析領域100における造影剤Aの輝度変化曲線を生成する。
【0053】
更に、例えば、所定期間(例えば、10分)が経過した後、操作者は、図4の右図に示すように、造影剤Aとは異なる種類の造影剤Bを用いた造影撮影を行なう。輝度変化情報生成部151は、造影剤Bの投与後、時系列に沿って収集された複数の造影画像データそれぞれから、解析領域100内の平均輝度を算出して、解析領域100における造影剤Bの輝度変化曲線を生成する。これにより、輝度変化情報生成部151は、2つの輝度変化曲線を生成する。
【0054】
なお、図3及び図4では、収集時期が異なる2つの時系列データそれぞれから、1つの同一解析領域の輝度変化曲線が生成される場合について説明した。ただし、本実施形態は、収集時期が異なる2つの時系列データそれぞれから、複数の同一解析領域それぞれの輝度変化曲線が生成される場合であっても良い。また、本実施形態は、収集時期が異なる時系列データが3つ以上である場合であっても良い。
【0055】
図1に示す解析部152は、輝度変化情報に基づいて、解析領域における造影剤の還流動態を時間について正規化したパラメータを取得する。ここで、解析部152は、解析領域における造影剤の還流動態を、輝度、又は、輝度及び時間について正規化したパラメータを取得可能である。本実施形態では、解析部152が、輝度変化情報に基づいて、解析領域における造影剤の還流動態を輝度及び時間について正規化したパラメータを取得する場合について説明する。換言すると、解析部152は、輝度変化曲線の形状を解析して、解析領域における造影剤の還流動態が正規化されたパラメータを取得する。具体的には、解析部152は、時間軸、又は、輝度軸及び時間軸の正規化を行なって輝度変化曲線から正規化曲線を生成する。本実施形態では、解析部152は、輝度軸及び時間軸の正規化を行なって輝度変化曲線から正規化曲線を生成する。例えば、正規化曲線を生成するために、解析部152は、輝度変化曲線において、輝度が最大値となる最大点と、最大点となる前に最大値に第1割合を乗算した第1乗算値となる第1点と、最大点となった後に最大値に第2割合を乗算した第2乗算値となる第2点とを取得する。第1割合及び第2割合は、初期的に設定されたり、操作者により事前に予め設定されたりする。また、第1割合及び第2割合は、操作者により任意に変更可能である。
【0056】
以下、図2に例示した解析領域100〜102の輝度変化曲線を用いて解析部152が行なう処理について、図5図8を用いて説明する。図5図8は、解析部を説明するための図である。
【0057】
図5では、解析領域100の輝度変化曲線を曲線C0(一点鎖線)とし、解析領域101の輝度変化曲線を曲線C1(二点鎖線)とし、解析領域102の輝度変化曲線を曲線C2(実線)として示している。なお、図5に例示する輝度変化曲線は、輝度変化情報生成部151が、数理モデルを用いて、解析領域内の平均輝度の時系列データから生成した近似曲線である。ここで、以下では、第1割合及び第2割合が共に「50%」として設定されている場合について説明する。なお、本実施形態は、第1割合及び第2割合が異なる割合(例えば、20%及び30%)として設定される場合であっても良い。
【0058】
解析部152は、図5に示すように、曲線C0を解析して、最大点「時間:t0max、輝度:I0max」を取得する。そして、解析部152は、最大輝度の半分の値「I0max/2」を算出する。そして、解析部152は、図5に示すように、曲線C0において、最大時間以前に「I0max/2」となる第1点「時間:t0s、輝度:I0max/2」を取得する。そして、解析部152は、図5に示すように、曲線C0において、最大時間以後に「I0max/2」となる第2点「時間:t0e、輝度:I0max/2」を取得する。
【0059】
同様の処理により、解析部152は、図5に示すように、曲線C1を解析して、最大点「時間:t1max、輝度:I1max」、第1点「時間:t1s、輝度:I1max/2」、第2点「時間:t1e、輝度:I1max/2」を取得する。また、同様の処理により、解析部152は、図5に示すように、曲線C2を解析して、最大点「時間:t2max、輝度:I2max」、第1点「時間:t2s、輝度:I2max/2」、第2点「時間:t2e、輝度:I2max/2」を取得する。
【0060】
ここで、解析部152は、「最大点の時間」を、解析領域において造影剤が最大に流入した時間「最大時間」とする。また、解析部152は、「第1点の時間」を、解析領域において造影剤流入が開始した時間とみなし、この時間を血流動態の解析を開始する時間「開始時間」とする。すなわち、解析部152は、輝度変化曲線の時間軸の逆方向で、輝度の最大値から一定の割合(第1割合)まで減少するのに要する時間から、開始時間を設定する。換言すると、解析部152は、客観的な同一の基準(第1割合)を用いることで、解析対象となる輝度変化曲線の形状に応じた閾値(第1乗算値)を算出して、開始時間を設定する。かかる開始時間は、最大時間が決定された後、過去に遡って設定される時間、すなわち、「Retrospective」に設定される時間である。
【0061】
また、解析部152は、「第2点の時間」を、解析領域から造影剤の流出が終了した時間とみなし、この時間を血流動態の解析を終了する時間「終了時間」とする。すなわち、解析部152は、輝度変化曲線の時間軸の順方向で、輝度の最大値から一定の割合(第2割合)まで減少するのに要する時間から、終了時間を設定する。換言すると、解析部152は、客観的な同一の基準(第2割合)を用いることで、解析対象となる輝度変化曲線の形状に応じた閾値(第2乗算値)を算出して、終了時間を設定する。かかる終了時間は、最大時間が決定された時点で予想される時間、すなわち、「Prospective」に設定される時間である。
【0062】
そして、解析部152は、これら3つの点から選択された少なくとも2点を用いて、輝度変化曲線を正規化した正規化曲線を生成する。そして、本実施形態では、解析部152は、生成した正規化曲線から正規化されたパラメータを取得する。ここで、造影剤流入に関するパラメータを取得する場合、解析部152は、第1点及び最大点を用いて、正規化曲線を生成する。また、造影剤流出に関するパラメータを取得する場合、解析部152は、最大点及び第2点を用いて、正規化曲線を生成する。また、造影剤流入及び造影剤流出に関するパラメータを取得する場合、解析部152は、第1点、最大点及び第2点を用いて、正規化曲線を生成する。
【0063】
本実施形態では、複数の輝度変化曲線が生成されることから、解析部152は、複数の輝度変化曲線それぞれから正規化曲線を生成する。そして、本実施形態では、解析部152は、生成した複数の正規化曲線それぞれからパラメータを取得する。以下、輝度軸及び時間軸の正規化により複数の輝度変化曲線それぞれから正規化曲線を生成する方法の一例について説明する。
【0064】
まず、造影剤流入に関するパラメータを取得する場合について説明する。かかる場合、解析部152は、第1点が各輝度変化曲線で同一の正規化第1点にプロットされ、最大点が各輝度変化曲線で同一の正規化最大点にプロットされる正規化時間軸及び正規化輝度軸を設定することで、複数の輝度変化曲線それぞれから複数の正規化曲線を生成する。
【0065】
具体的には、解析部152は、各輝度変化曲線の第1点と最大点との輝度幅及び時間軸を取得する。そして、解析部152は、取得した各輝度幅が一定値となるように、各輝度変化曲線の輝度軸のスケールを変更する。また、解析部152は、取得した各時間幅が一定値となるように、各輝度変化曲線の時間軸のスケールを変更する。そして、解析部152は、スケール変更後の輝度軸及び時間軸において、各輝度変化曲線の第1点を同一座標の正規化第1点に設定し、各輝度変化曲線の最大点を同一座標の正規化最大点に設定する。これにより、解析部152は、正規化時間軸及び正規化輝度軸を設定する。そして、解析部152は、各輝度変化曲線における第1点から最大点までの曲線を構成する各点を正規化時間軸及び正規化輝度軸において再プロットすることで、複数の輝度変化曲線それぞれから複数の正規化曲線を生成する。
【0066】
例えば、解析部152は、図5に示す曲線C0、C1及びC2それぞれから、「I0max/2」、「I1max/2」及び「I2max/2」を取得する。また、例えば、解析部152は、図5に示す曲線C0、C1及びC2それぞれから、「t0max−t0s=t0r」、「t1max−t1s=t1r」及び「t2max−t2s=t2r」を取得する。そして、例えば、解析部152は、図6に示すように、「I0max/2、I1max/2、I2max/2」を「50」とする。そして、例えば、解析部152は、図6に示すように、「t0max−t0s=t0r、t1max−t1s=t1r、t2max−t2s=t2r」を「100」とする。これにより、解析部152は、正規化時間軸及び正規化輝度軸のスケールを決定する。
【0067】
そして、解析部152は、例えば、曲線C0〜曲線C2の第1点が、正規化第1点「正規化時間:−100、正規化輝度:50」となり、曲線C0〜曲線C2の最大点が、正規化最大点「正規化時間:0、正規化輝度:100」となるように、正規化時間軸及び正規化輝度軸の座標を決定する。これにより、解析部152は、正規化時間軸及び正規化輝度軸の設定を完了する。そして、解析部152は、曲線C0の第1点から最大点までの曲線を構成する各点を正規化時間軸及び正規化輝度軸において再プロットすることで、図6に示す正規化曲線NC0(in)を生成する。同様に、解析部152は、曲線C1から、図6に示す正規化曲線NC1(in)を生成する。同様に、解析部152は、曲線C2から、図6に示す正規化曲線NC2(in)を生成する。
【0068】
次に、造影剤流出に関するパラメータを取得する場合について説明する。かかる場合、解析部152は、最大点が各輝度変化曲線で同一の正規化最大点にプロットされ、第2点が各輝度変化曲線で同一の正規化第2点にプロットされる正規化時間軸及び正規化輝度軸を設定することで、複数の輝度変化曲線それぞれから複数の正規化曲線を生成する。
【0069】
具体的には、解析部152は、各輝度変化曲線の最大点と第2点との輝度幅及び時間軸を取得する。そして、解析部152は、取得した各輝度幅が一定値となるように、各輝度変化曲線の輝度軸のスケールを変更する。また、解析部152は、取得した各時間幅が一定値となるように、各輝度変化曲線の時間軸のスケールを変更する。そして、解析部152は、スケール変更後の輝度軸及び時間軸において、各輝度変化曲線の最大点を同一座標の正規化最大点に設定し、各輝度変化曲線の第2点を同一座標の正規化第2点に設定する。これにより、解析部152は、正規化時間軸及び正規化輝度軸を設定する。そして、解析部152は、各輝度変化曲線における最大点から第2点までの曲線を構成する各点を正規化時間軸及び正規化輝度軸において再プロットすることで、複数の輝度変化曲線それぞれから複数の正規化曲線を生成する。
【0070】
例えば、解析部152は、図5に示す曲線C0、C1及びC2それぞれから、「I0max/2」、「I1max/2」及び「I2max/2」を取得する。本実施形態では、第1割合及び第2割合が同一の割合であることから、輝度変化曲線ごとに、最大点と第2点との輝度幅は、最大点と第1点との輝度幅と同じ値となる。また、例えば、解析部152は、図5に示す曲線C0、C1及びC2それぞれから、「t0e−t0max=t0p」、「t1e−t1max=t1p」及び「t2e−t2max=t2p」を取得する。そして、例えば、解析部152は、図7に示すように、「I0max/2、I1max/2、I2max/2」を「50」とする。そして、例えば、解析部152は、図7に示すように、「t0e−t0max=t0p、t1e−t1max=t1p、t2e−t2max=t2p」を「100」とする。これにより、解析部152は、正規化時間軸及び正規化輝度軸のスケールを決定する。
【0071】
そして、解析部152は、例えば、曲線C0〜曲線C2の最大点が、正規化最大点「正規化時間:0、正規化輝度:100」となり、曲線C0〜曲線C2の第2点が、正規化第2点「正規化時間:100、正規化輝度:50」となるように、正規化時間軸及び正規化輝度軸の座標を決定する。これにより、解析部152は、正規化時間軸及び正規化輝度軸の設定を完了する。そして、解析部152は、曲線C0の最大点から第2点までの曲線を構成する各点を正規化時間軸及び正規化輝度軸において再プロットすることで、図7に示す正規化曲線NC0(out)を生成する。同様に、解析部152は、曲線C1から、図7に示す正規化曲線NC1(out)を生成する。同様に、解析部152は、曲線C7から、図6に示す正規化曲線NC2(out)を生成する。
【0072】
次に、造影剤流入及び造影剤流出に関するパラメータを取得する場合について説明する。かかる場合、解析部152は、第1点、最大点及び第2点それぞれが各輝度変化曲線で正規化第1点、正規化最大点及び正規化第2点それぞれにプロットされる正規化時間軸及び正規化輝度軸を設定することで、複数の輝度変化曲線それぞれから複数の正規化曲線を生成する。
【0073】
具体的には、解析部152は、各輝度変化曲線の第1点と最大点との輝度幅(第1輝度幅)及び時間幅(第1時間軸)を取得する。また、解析部152は、各輝度変化曲線の最大点と第2点との輝度幅(第2輝度幅)及び時間幅(第2時間軸)を取得する。そして、解析部152は、各輝度変化曲線の第1輝度幅が一定値(dI1)となり、各輝度変化曲線の第2輝度幅が一定値(dI2)となるように、各輝度変化曲線の輝度軸のスケールを変更する。ここで、解析部152は、「dI1:dI2=第1割合:第2割合」とする。また、解析部152は、各輝度変化曲線の第1時間幅が一定値(dT1)となり、各輝度変化曲線の第2時間幅が一定値(dT2)となるように、各輝度変化曲線の時間軸のスケールを変更する。ここで、解析部152は、「dT1:dT2=第1割合:第2割合」とする。
【0074】
そして、解析部152は、スケール変更後の輝度軸及び時間軸において、各輝度変化曲線の第1点を同一座標の正規化第1点に設定し、各輝度変化曲線の最大点を同一座標の正規化最大点に設定し、各輝度変化曲線の第2点を同一座標の正規化第2点に設定する。例えば、第1割合が「20%」であり、第2割合が「30%」である場合、正規化第1点の座標は、「正規化時間:−100、正規化輝度:20」に設定され、正規化最大点の座標は、「正規化時間:0、正規化輝度:100」に設定され、正規化第2点の座標は、「正規化時間:150、正規化輝度:30」に設定される。
【0075】
これにより、解析部152は、正規化時間軸及び正規化輝度軸を設定する。そして、解析部152は、各輝度変化曲線における第1点から最大点を経由して第2点までに至る曲線を構成する各点を正規化時間軸及び正規化輝度軸において再プロットすることで、複数の輝度変化曲線それぞれから複数の正規化曲線を生成する。
【0076】
本実施形態では第1割合及び第2割合が同じ「50%」であるので、解析部152は、曲線C0から生成した正規化曲線NC0(in)と正規化曲線NC0(out)とを合わせることで、図8に示す正規化曲線NC0を生成する。同様に、解析部152は、曲線C1から生成した正規化曲線NC1(in)と正規化曲線NC1(out)とを合わせることで、図8に示す正規化曲線NC1を生成する。同様に、解析部152は、曲線C2から生成した正規化曲線NC2(in)と正規化曲線NC2(out)とを合わせることで、図8に示す正規化曲線NC2を生成する。
【0077】
解析部152は、上述した正規化曲線から、正規化されたパラメータを取得する。例えば、解析部152は、正規化曲線において、正規化輝度が「80」となる正規化時間や、正規化時間が「50」となる正規化輝度を、正規化パラメータとして取得する。
【0078】
そして、制御部18は、パラメータ(正規化パラメータ)を画像又は文字のうちいずれか一方の形式でモニタ2に表示させる。パラメータの表示形態については、様々な形態を実行可能であるが、本実施形態では、パラメータの表示が画像の形式で行われる場合について説明する。具体的には、以下では、画像(画像形式)による表示形態の1つとして、正規化曲線から得られるパラメータを用いたパラメトリックイメージングが実行される場合について説明する。なお、パラメータの文字の形式での表示形態、並びに、パラメトリックイメージング以外のパラメータの画像の形式での表示形態については、後に詳述する。
【0079】
画像による表示形態の1つとしてパラメトリックイメージングが設定されている場合、図1に示す変化画像生成部153は、制御部18の指示により、以下の処理を行なう。すなわち、変化画像生成部153は、パラメータの値に応じて色調を変化させた変化画像データを生成する。そして、制御部18は、画像による表示形態の1つとして、変化画像データをモニタ2に表示させる。本実施形態では、画像による表示形態の1つとして変化画像データの生成表示が設定されている。このことから、変化画像生成部153は、複数の正規化曲線それぞれで取得されたパラメータを用いて、変化画像データを生成する。以下、図9図11を用いて、変化画像生成部153が生成する変化画像データについて説明する。図9図11は、変化画像生成部を説明するための図である。
【0080】
変化画像生成部153は、造影剤流入、又は、造影剤流出に関するパラメータを画像化する場合、正規化時間軸における正規化時間に応じて異なる色調が対応付けられた対応マップ(時間カラーマップ)を用いて、変化画像データを生成する。時間カラーマップは、例えば、内部記憶部17に予め記憶されている。図9は、図7に示す正規化曲線NC0(out)、NC1(out)及びNC2(out)を用いて、造影剤流出に関するパラメータとして、正規化時間を画像化する場合の一例である。
【0081】
例えば、制御部18は、図9の上図に示すように、正規化曲線NC0(out)、NC1(out)及びNC2(out)をモニタ2に表示させる。また、制御部18は、更に、任意の正規化輝度を操作者が設定可能なスライドバーB1を表示させる。スライドバーB1は、図9の上図に示すように、正規化時間軸に平行し、正規化輝度軸に直交した線となる。また、制御部18は、図9の上図に示すように、正規化時間軸上に、正規化時間軸のスケールと同じスケールで時間カラーマップを表示させる。なお、時間カラーマップが表示される位置及びスケールは、任意に変更可能である。
【0082】
そして、操作者は、例えば、図9の上図に示すように、正規化輝度「80」の位置にスライドバーB1を移動する。解析部152は、正規化輝度「80」となる正規化時間を、NC0(out)、NC1(out)及びNC2(out)それぞれから取得する。そして、解析部152は、NC0(out)で取得した正規化時間を解析領域100のパラメータとし、NC1(out)で取得した正規化時間を解析領域101のパラメータとし、NC2(out)で取得した正規化時間を解析領域102のパラメータとして変化画像生成部153に通知する。
【0083】
変化画像生成部153は、図9の下図に示すように、NC0(out)で取得された正規化時間に対応する色調を時間カラーマップから取得し、取得した色調により、超音波画像データの解析領域100を着色する。また、変化画像生成部153は、図9の下図に示すように、NC1(out)で取得された正規化時間に対応する色調を時間カラーマップから取得し、取得した色調により、超音波画像データの解析領域101を着色する。また、変化画像生成部153は、図9の下図に示すように、NC2(out)で取得された正規化時間に対応する色調を時間カラーマップから取得し、取得した色調により、超音波画像データの解析領域102を着色する。なお、時間カラーマップから取得した色調により着色される超音波画像データは、例えば、解析領域100〜102が設定された超音波画像データである。
【0084】
そして、制御部18は、図9の下図に示す変化画像データをモニタ2に表示させる。この変化画像データは、造影剤流出過程で、造影剤の存在量が最大量から「最大量の所定割合まで減少する流出時間を各解析領域で正規化して画像化したデータとなる。
【0085】
なお、操作者がスライドバーB1を移動するに応じて、解析部152は、各解析領域のパラメータを更新して取得し、変化画像生成部153は、変化画像データを更新して生成する。なお、正規化輝度の設定は、操作者が数値を入力する場合等、任意の方法により行なっても良い。また、本実施形態は、例えば、自動的に、正規化輝度の値が変更されることで、変化画像データが動画として生成表示される場合であっても良い。
【0086】
なお、造影剤流入に関するパラメータ(正規化時間)を画像化する場合は、例えば、図6に示す正規化曲線NC0(in)、NC1(in)及びNC2(in)を用いて、同様に行なわれる。かかる場合に生成表示される変化画像データは、造影剤流出過程で、造影剤の存在量が最大量の所定割合から最大量まで増加する流入時間を各解析領域で正規化して画像化したデータとなる。
【0087】
また、変化画像生成部153は、造影剤流入、又は、造影剤流出に関するパラメータを画像化する場合、正規化輝度軸における正規化輝度に応じて異なる色調が対応付けられた対応マップ(輝度カラーマップ)を用いて、変化画像データを生成する。輝度カラーマップは、例えば、内部記憶部17に予め記憶されている。図10は、図7に示す正規化曲線NC0(out)、NC1(out)及びNC2(out)を用いて、造影剤流出に関するパラメータとして、正規化輝度を画像化する場合の一例である。
【0088】
例えば、制御部18は、図10の上図に示すように、正規化曲線NC0(out)、NC1(out)及びNC2(out)をモニタ2に表示させる。また、制御部18は、更に、任意の正規化時間を操作者が設定可能なスライドバーB2を表示させる。スライドバーB2は、図10の上図に示すように、正規化輝度軸に平行し、正規化時間軸に直交した線となる。また、制御部18は、図10の上図に示すように、正規化輝度軸上に、正規化輝度軸のスケールと同じスケールで輝度カラーマップを表示させる。なお、輝度カラーマップが表示される位置及びスケールは、任意に変更可能である。
【0089】
そして、操作者は、例えば、図10の上図に示すように、正規化時間「60」の位置にスライドバーB2を移動する。解析部152は、正規化時間「60」となる正規化輝度を、NC0(out)、NC1(out)及びNC2(out)それぞれから取得する。そして、解析部152は、NC0(out)で取得した正規化輝度を解析領域100のパラメータとし、NC1(out)で取得した正規化輝度を解析領域101のパラメータとし、NC2(out)で取得した正規化輝度を解析領域102のパラメータとして変化画像生成部153に通知する。
【0090】
変化画像生成部153は、図10の下図に示すように、NC0(out)で取得された正規化輝度に対応する色調を輝度カラーマップから取得し、取得した色調により、超音波画像データの解析領域100を着色する。また、変化画像生成部153は、図10の下図に示すように、NC1(out)で取得された正規化輝度に対応する色調を輝度カラーマップから取得し、取得した色調により、超音波画像データの解析領域101を着色する。また、変化画像生成部153は、図10の下図に示すように、NC2(out)で取得された正規化輝度に対応する色調を輝度カラーマップから取得し、取得した色調により、超音波画像データの解析領域102を着色する。なお、輝度カラーマップから取得した色調により着色される超音波画像データは、例えば、解析領域100〜102が設定された超音波画像データである。
【0091】
そして、制御部18は、図10の下図に示す変化画像データをモニタ2に表示させる。この変化画像データは、造影剤流出過程を正規化した時間軸上の同一時点で、各解析領域から流出した造影剤の流出量を正規化して画像化したデータとなる。
【0092】
なお、操作者がスライドバーB2を移動するに応じて、解析部152は、各解析領域のパラメータを更新して取得し、変化画像生成部153は、変化画像データを更新して生成する。なお、正規化時間の設定は、操作者が数値を入力する場合等、任意の方法により行なっても良い。また、本実施形態は、例えば、自動的に、正規化時間の値が変更されることで、変化画像データが動画として生成表示される場合であっても良い。
【0093】
なお、造影剤流入に関するパラメータ(正規化輝度)を画像化する場合は、例えば、図6に示す正規化曲線NC0(in)、NC1(in)及びNC2(in)を用いて、同様に行なわれる。かかる場合に生成表示される変化画像データは、造影剤流入過程を正規化した時間軸上の同一時点で、各解析領域へ流入した造影剤の流入量を正規化して画像化したデータとなる。
【0094】
また、変化画像生成部153は、造影剤流入及び造影剤流出に関するパラメータを画像化する場合、第1対応マップ(第1時間カラーマップ)と第2対応マップ(第2時間カラーマップ)とを混同した第3対応マップを用いて、変化画像データを生成する。ここで、第1時間カラーマップは、正規化時間軸において、正規化最大点の正規化最大時間以前の正規化時間に応じて第1色相で異なる色調が対応付けられたマップである。また、第2時間カラーマップは、正規化時間軸において、正規化最大時間以後の正規化時間に応じて第2色相で異なる色調が対応付けられたマップである。例えば、第1時間カラーマップは、青色系のカラーマップであり、第2時間カラーマップは、赤色系のカラーマップである。第1時間カラーマップ及び第2時間カラーマップは、例えば、内部記憶部17に予め記憶されている。図11は、図8に示す正規化曲線NC0、NC1及びNC2を用いて、造影剤流入及び造影剤流出に関するパラメータとして、正規化時間を画像化する場合の一例である。
【0095】
例えば、制御部18は、図11に示すように、正規化曲線NC0、NC1及びNC2をモニタ2に表示させる。また、制御部18は、更に、任意の正規化輝度を操作者が設定可能なスライドバーB3を表示させる。スライドバーB3は、図11に示すように、正規化時間軸に平行し、正規化輝度軸に直交した線となる。また、制御部18は、図11に示すように、正規化時間軸上に、正規化時間軸のスケールと同じスケールで第1時間カラーマップ及び第2時間カラーマップを表示させる。図11では、正規化最大時間は「0」であり、第1時間カラーマップは「−100〜0」の正規化時間軸上にスケーリングされて表示され、第2時間カラーマップは、「0〜100」の正規化時間軸上にスケーリングされて表示されている。なお、第1時間カラーマップ及び第2時間カラーマップが表示される位置及びスケールは、任意に変更可能である。
【0096】
そして、操作者は、例えば、図11に示すように、正規化輝度「65」の位置にスライドバーB3を移動する。解析部152は、正規化輝度「65」となる2つの正規化時間(マイナスの正規化時間及びプラスの正規化時間)を、NC0、NC1及びNC2それぞれから取得する。そして、解析部152は、NC0で取得した2つ正規化時間を解析領域100のパラメータとし、NC1で取得した2つ正規化時間を解析領域101のパラメータとし、NC2で取得した2つ正規化時間を解析領域102のパラメータとして変化画像生成部153に通知する。
【0097】
変化画像生成部153は、図11に示すように、NC0で取得されたマイナスの正規化輝度に対応する色調を第1時間カラーマップから取得し、NC0で取得されたプラスの正規化輝度に対応する色調を第2時間カラーマップから取得する。そして、変化画像生成部153は、図11に示すように、取得した2つの色調を混合した色調により、超音波画像データの解析領域100を着色する。
【0098】
変化画像生成部153は、NC1で取得された2つの正規化輝度に対して、同様の色調取得処理を行ない、図11に示すように、取得した2つの色調を混合した色調により、超音波画像データの解析領域101を着色する。また、変化画像生成部153は、NC2で取得された2つの正規化輝度に対して、同様の色調取得処理を行ない、図11に示すように、取得した2つの色調を混合した色調により、超音波画像データの解析領域102を着色する。
【0099】
そして、制御部18は、図11を用いて生成された変化画像データをモニタ2に表示させる。この変化画像データは、「造影剤の存在量が最大量から最大量の所定割合まで減少する流出時間」と「造影剤の存在量が最大量の所定割合から最大量まで増加する流入時間」とを各解析領域で正規化して、これらの正規化時間を同時に画像化したデータとなる。
【0100】
なお、操作者がスライドバーB3を移動するに応じて、解析部152は、各解析領域のパラメータを更新して取得し、変化画像生成部153は、変化画像データを更新して生成する。なお、正規化時間の設定は、操作者が数値を入力する場合等、任意の方法により行なっても良い。また、本実施形態は、例えば、自動的に、正規化時間の値が変更されることで、変化画像データが動画として生成表示される場合であっても良い。また、本実施形態は、第1時間カラーマップ及び第2時間カラーマップを混合した2次元の時間カラーマップを用いる場合であっても良い。また、本実施形態は、2つの時間カラーマップを混合するのではなく、単に、正規化時間幅の値に応じた時間カラーマップを用いる場合であっても良い。
【0101】
また、変化画像生成部153は、造影剤流入及び造影剤流出に関するパラメータを画像化する場合、以下の処理により変化画像データを生成しても良い。すなわち、変化画像生成部153は、第1輝度カラーマップと第2輝度カラーマップとを用いて、変化画像データを生成する。第1輝度カラーマップは、正規化輝度軸において、正規化最大点の正規化最大時間以前の正規化輝度に応じて第1色相で異なる色調が対応付けられた第1対応マップである。また、第2輝度カラーマップは、正規化輝度軸において、正規化最大時間以後の正規化輝度に応じて第2色相で異なる色調が対応付けられた第2対応マップである。
【0102】
かかる場合、解析部152は、指定された2つの正規化時間「−T、+T」に対応する2つの正規化輝度を各正規化曲線から取得する。そして、変化画像生成部153は、「−T」の正規化輝度に対応する色調を第1輝度カラーマップから取得し、「+T」の正規化輝度に対応する色調を第2輝度カラーマップから取得し、取得した2つの色調を混合する。これにより、変化画像生成部153は、変化画像データを生成する。なお、上記の処理は、第1輝度カラーマップ及び第2輝度カラーマップを混合した2次元の輝度カラーマップを用いる場合であっても良い。また、本実施形態は、2つの輝度カラーマップを混合するのではなく、単に、正規化輝度幅の値に応じた輝度カラーマップを用いる場合であっても良い。
【0103】
なお、図3図4の設定が行なわれる場合は、異なる2つの時期の時系列データそれぞれから同一の解析領域における1つの輝度変化曲線が生成され、2つの正規化曲線が生成される。かかる場合は、変化画像生成部153は、同一の超音波画像データを2つ並列し、各超音波画像データの解析領域を、各正規化曲線から取得された正規化パラメータに応じた色調により着色する。
【0104】
また、異なる3つの時期の時系列データそれぞれから同一の解析領域における1つの輝度変化曲線が生成され、3つの正規化曲線が生成される場合がある。かかる場合、変化画像生成部153は、同一の超音波画像データを3つ並列し、各超音波画像データの解析領域を、各正規化曲線から取得された正規化パラメータに応じた色調により着色する。
【0105】
また、異なる2つの時期の時系列データそれぞれから2つの同一の解析領域それぞれで輝度変化曲線が生成され、2つの時期それぞれで2つの正規化曲線が生成される場合がある。かかる場合、変化画像生成部153は、同一の超音波画像データを2つ並列し、各超音波画像データの2つの解析領域それぞれを、各正規化曲線から取得された2つの正規化時間それぞれに応じた色調により着色する。
【0106】
また、異なる2つの時期の時系列データそれぞれから1つ又は複数の同一の解析領域で輝度変化曲線が生成される場合、変化画像生成部153は各正規化曲線で得られた正規化パラメータの比に応じて色調を変化させることで、1つの変化画像データを生成しても良い。
【0107】
なお、本実施形態は、変化画像データを参照した操作者が、正規化パラメータの値に応じて着色された解析領域を指定したことにともない、当該当該解析領域内、又は、当該解析領域近傍に、正規化パラメータの値を表示させても良い。また、本実施形態は、正規化パラメータの値に応じて解析領域を着色するとともに、当該解析領域内、又は、当該解析領域近傍に、正規化パラメータの値が文字で描画された超音波画像データを、変化画像データとして生成表示する場合であっても良い。また、本実施形態は、解析領域の着色を行なわずに、解析領域内、又は、解析領域近傍に、正規化パラメータの値が文字で描画された超音波画像データを、変化画像データとして生成表示する場合であっても良い。
【0108】
次に、図12を用いて、本実施形態に係る超音波診断装置が行なう処理の一例について説明する。図12は、本実施形態に係る超音波診断装置が処理の一例を示すフローチャートである。なお、図12は、解析領域の設定及び造影画像データ群の収集が完了し、輝度変化曲線の生成が開始された後の処理を示すフローチャートであり、パラメータの表示形態として変化画像データが設定されている場合の処理を示すフローチャートである。
【0109】
図12に例示するように、本実施形態に係る超音波診断装置の解析部152は、画像メモリ16に、複数の輝度変化曲線が格納されたか否かを判定する(ステップS101)。ここで、複数の輝度変化曲線が格納されていない場合(ステップS101否定)、解析部152は、複数の輝度変化曲線が格納されるまで待機する。
【0110】
一方、複数の輝度変化曲線が格納された場合(ステップS101肯定)、解析部152は、形状特徴の解析を行なって、複数の輝度変化曲線それぞれから正規化曲線を生成する(ステップS102)。そして、解析部152は、複数の正規化曲線それぞれから、正規化パラメータを取得する(ステップS103)。
【0111】
そして、変化画像生成部153は、取得されたパラメータの値に応じた色調を対応マップから取得して、変化画像データを生成する(ステップS104)。そして、制御部18の制御により、モニタ2は、変化画像データを表示し(ステップS105)、処理を終了する。
【0112】
上述したように、本実施形態では、解析対象となる輝度変化曲線の形状特徴を解析して、正規化曲線を生成する。すなわち、本実施形態では、解析対象となる輝度変化曲線が如何なる条件(例えば、時系列データの撮影条件や解析領域の位置)で生成される場合であっても、客観的な同一の基準(最大輝度、第1割合及び第2割合)を用いて輝度変化曲線から正規化曲線を生成する。そして、本実施形態では、正規化曲線から、造影剤の流入量や流出量が正規化されたパラメータ、造影剤の流入時間や流出時間が正規化されたパラメータを取得する。
【0113】
そして、本実施形態では、正規化されたパラメータにより、血流動態に関するパラメトリックイメージングを行なう。すなわち、本実施形態は、輝度変化曲線から得られる絶対値をパラメータとして用いた従来のパラメトリックイメージングではなく、正規化曲線から得られる相対値をパラメータとして用いたパラメトリックイメージングを行なう。従って、本実施形態では、造影剤の還流動態を客観的な基準により解析することができる。また、本実施形態では、造影剤の流入過程だけでなく、造影剤の流出過程も、正規化されたパラメータにより画像化することができる。
【0114】
また、本実施形態では、正規化曲線を用いたパラメトリックイメージングを行なうことで、異なる解析領域の造影剤の還流動態を相対的に比較できる。例えば、本実施形態では、医師は、図9図10等を用いて説明した変化画像データを参照して、基準となる組織(門脈や腎臓)の造影剤の還流動態と、腫瘍部位の造影剤の還流動態とを比較して、腫瘍部位の鑑別診断や腫瘍血管の異常の程度を判定することができる。
【0115】
また、本実施形態では、正規化曲線を用いたパラメトリックイメージングを行なうことで、治療前後の同一解析領域における造影剤の還流動態を相対的に比較できる。例えば、本実施形態では、医師は、図3に例示する解析領域を設定することで生成された変化画像データを参照して、血管新生阻害剤による治療効果を判定することができる。
【0116】
また、本実施形態では、正規化曲線を用いたパラメトリックイメージングを行なうことで、同一解析領域において異なる特性を有する複数の造影剤それぞれの還流動態を相対的に比較できる。例えば、本実施形態では、医師は、図4に例示する解析領域を設定することで生成された変化画像データを参照して、クッパー細胞に取り込まれやすい造影剤Aの還流動態と、クッパー細胞に取り込まれにくい造影剤Bの還流動態とを比較して、腫瘍部位の鑑別診断や腫瘍血管の異常の程度を判定することができる。
【0117】
(変形例)
上記の実施形態に係る超音波診断は、上述した処理以外にも、様々な変形例により行なうことが可能である。以下では、上記の実施形態の様々な変形例ついて説明する。なお、以下に説明する様々な変形例の処理は、上記の実施形態で説明した処理と、任意の形態で組み合わせることも可能である。
【0118】
例えば、上記では、解析領域における造影剤の還流動態を輝度及び時間について正規化したパラメータを取得する場合について説明した。すなわち、上記では、輝度変化曲線の正規化を、時間軸及び輝度軸双方に対して行なう場合について説明した。しかし、解析部152は、解析領域における造影剤の還流動態を時間について正規化したパラメータを取得する場合であっても良い。すなわち、本実施形態は、輝度軸については正規化処理を行なわず、時間軸に対して正規化処理を行なって正規化時間軸を設定することで、正規化曲線を生成する場合であっても良い。かかる場合、解析部152は、輝度については実データのままとし、時間軸を正規化曲線にスケーリングすることで、輝度変化曲線から正規化曲線を生成する。そして、解析部152は、指定された正規化時間に対応する輝度(絶対輝度)を取得し、変化画像生成部153は、取得された輝度に応じて色調を変化させた変化画像データを生成する。
【0119】
また、解析部152は、操作者が指定した場合、解析領域における造影剤の還流動態を輝度について正規化したパラメータを取得する場合であっても良い。すなわち、本実施形態は、時間軸については正規化処理を行なわず、輝度軸に対して正規化処理を行なって正規化輝度軸を設定することで、正規化曲線を生成する場合であっても良い。かかる場合、解析部152は、時間については実データのままとし、輝度軸を正規化曲線にスケーリングすることで、輝度変化曲線から正規化曲線を生成する。そして、解析部152は、指定された正規化輝度に対応する時間(絶対時間)を取得し、変化画像生成部153は、取得された時間に応じて色調を変化させた変化画像データを生成する。
【0120】
また、上記実施形態の変形例として、解析部152が正規化曲線そのものをパラメータとして取得し、制御部18が、画像での表示形態の1つとして、正規化曲線をモニタ2に表示させる場合であっても良い。正規化曲線は、造影剤の還流動態が正規化された曲線であることから、操作者は、正規化曲線そのものを参照しても、造影剤の還流動態を客観的な基準により解析することができる。そこで、例えば、解析部152は、複数の正規化曲線を生成した場合、これら複数の正規化曲線をパラメータとして制御部18に出力する。そして、制御部18は、複数の正規化曲線をモニタ2に表示させる。
【0121】
この変形例では、図6図8それぞれに例示したグラフが、モニタ2に表示される。或いは、パラメータとして表示される正規化曲線は、上記の変形例で説明したように、一方の軸のみが正規化された曲線であっても良い。なお、上記実施形態の変形例として、解析部152は、正規化曲線をパラメータとして取得するとともに、正規化曲線からパラメータを取得する場合であっても良い。例えば、正規化曲線と、上記の実施形態で説明した変化画像データとは、同時にパラメータとして表示される場合であっても良い。
【0122】
また、上記実施形態の変形例として、解析部152が、正規化曲線から取得した少なくとも1つの値をパラメータとして制御部18に出力し、制御部18が、上記の少なくとも1つの値をテーブルとして、又は、グラフとしてモニタ2に表示させても良い。この変形例では、解析部152は、従来、輝度変化曲線(近似曲線)から得ていたパラメータに対応するパラメータを正規化曲線から取得する。なお、この変形例で用いられる正規化曲線は、2軸が正規化された曲線でも、一方の軸のみが正規化された曲線であっても良い。
【0123】
以下、従来、解析領域の輝度変化曲線から得られる代表的なパラメータについて説明する。従来のパラメータとしては、例えば、輝度の最大値(最大輝度)、輝度が最大値となるまでに要する時間(最大輝度時間)、平均通過時間(MTT:Mean Transit Time)がある。MTTは、造影剤が流入して輝度が「最大輝度の50%」となった時点から、最大輝度となった後に、造影剤が流出して輝度が「最大輝度の50%」となる時点までの時間である。
【0124】
また、従来のパラメータとしては、例えば、造影剤流入中に、輝度が「最大輝度の50%」となった時点での輝度変化曲線の微分値、すなわち、傾き(Slope)がある。また、従来のパラメータとしては、例えば、輝度変化曲線の輝度を『造影剤流入時点から最大輝度時間までの積分期間で積分した面積値「Area Wash in」』、輝度変化曲線の輝度を『最大輝度時間から造影剤流出時点までの積分期間で積分した面積値「Area Wash out」』、輝度変化曲線の輝度を『造影剤流入時点から造影剤流出時点までの積分期間で積分した面積値「Area Under Curve」』がある。「Area Wash in」は、造影剤の流入期間内に解析領域に存在した造影剤の総量を示す値となる。「Area Wash out」は、造影剤の流出期間内に解析領域に存在した造影剤の総量を示す値となる。「Area Under Curve」は、造影剤の流入時点から流出時点までに解析領域に存在した造影剤の総量を示す値となる。
【0125】
以下、解析部152が、図11に示す3つの正規化曲線を用いて解析領域100、200及び300ぞれぞれでの「造影剤の還流動態を客観的に評価できる代表的な正規化パラメータ」を取得する場合について説明する。図13及び図14は、変形例を説明するための図である。例えば、従来のMTTに対応する正規化パラメータを得るために、解析部152は、正規化輝度の値が立ち上がって正規化最大輝度「100」の65%となった時点から、正規化輝度の値が立ち下がって正規化最大輝度「100」の65%となった時点までの時間(正規化時間)を取得する。この時間を、解析部152は、「65%」での正規化平均通過時間(nMTT@65%)として取得する。解析部152は、解析領域100、200及び300ぞれぞれの「nMTT@65%」を取得する。なお、正規化平均通過時間の算出に用いる割合は、65%以外、任意の値に変更可能である。
【0126】
また、例えば、従来の「最大輝度の50%」となった時点での「Slope」に対応する正規化パラメータを得るために、解析部152は、造影剤流入中に正規化最大輝度「100」の65%となった時間での正規化曲線の傾きを、「nSlope@65%」として取得する。解析部152は、解析領域100、200及び300ぞれぞれの「nSlope@65%」を取得する。
【0127】
また、例えば、従来の「Area Under Curve」に対応する正規化パラメータを得るために、解析部152は、正規化曲線の正規化輝度を正規化時間「−100〜100」まで積分した面積値を、「nArea」として取得する。解析部152は、解析領域100、200及び300ぞれぞれの「nArea」を取得する。なお、解析部152は、正規化曲線の正規化輝度を正規化時間「−100〜0」まで積分した面積値した値を、「Area Wash in」に対応する正規化パラメータとして取得しても良い。また、解析部152は、正規化曲線の正規化輝度を正規化時間「0〜100」まで積分した面積値した値を、「Area Wash out」に対応する正規化パラメータとして取得しても良い。
【0128】
そして、例えば、制御部18は、図13に示すように、解析領域100、200及び300ぞれぞれの「nMTT@65%」と、解析領域100、200及び300ぞれぞれの「nSlope@65%」と、解析領域100、200及び300ぞれぞれの「nArea」とを、テーブルに変換し、モニタ2に表示させる。テーブル形式の表示形態は、文字形式での表示形態の一例である。或いは、例えば、制御部18は、図14に示すように、解析領域100、200及び300ぞれぞれの「nMTT@65%」を、棒グラフに変換し、モニタ2に表示させる。また、図示していないが、制御部18は、解析領域100、200及び300ぞれぞれの他の正規化パラメータも、棒グラフに変換し、モニタ2に表示させる。棒グラフ形式の表示形態は、画像形式での表示形態の一例である。上記の変形例を行なうことでも、造影剤の還流動態を客観的な基準により解析することができる。
【0129】
なお、上記の変形例では、解析部152が、正規化曲線の時間軸上で1時点での傾きを正規化パラメータとして取得する場合について説明した。しかし、解析部152は、正規化曲線の時間軸上で複数時点での傾きを正規化パラメータとして取得する場合であっても良い。すなわち、上記の変形例は、解析部152が、正規化曲線の各正規化時間での微分値を、正規化曲線として算出しても良い。かかる場合、制御部18は、各正規化時間での微分値をテーブルとして表示させる。或いは、制御部18は、各正規化時間での微分値をプロットしたグラフを生成し、このグラフを表示させる。
【0130】
また、本実施形態の変形例として、輝度変化曲線が1つ生成される場合であっても良い。かかる場合、解析部152は、1つの輝度変化曲線から上述した正規化曲線を生成する。そして、上記の実施形態や変形例で説明したように、制御部18は、様々な形式でパラメータを表示させる。例えば、制御部18は、1つの正規化曲線から生成された変化画像データをモニタ2に表示させる。これによっても、造影剤の還流動態を客観的な基準により解析することができる。また、上記の画像処理方法は、造影剤の還流動態を客観的な基準により解析可能とすることから、異なる被検体それぞれで解析領域が設定される場合でも適用可能である。
【0131】
例えば、解析部152は、患者Aの肝臓の腫瘍部位に設定された解析領域の輝度変化曲線から正規化曲線Aを生成する。また、例えば、患者Bの肝臓の腫瘍部位に設定された解析領域の輝度変化曲線から正規化曲線Bを生成する。なお、両者の腫瘍部位は、解剖学的に略同じ部位であることが好適である。そして、例えば、変化画像生成部153は、正規化曲線Aの変化画像データAを生成し、正規化曲線Bの変化画像データBを生成する。或いは、例えば、解析部152は、正規化曲線AのnMTT(A)を算出し、正規化曲線BのnMTT(B)を算出する。仮に、患者Aと患者Bとで肝臓がんの進行度が異なる場合、正規化パラメータの値が異なる可能性が高い。すなわち、患者Aと患者Bとで、肝臓がんの進行度が異なる場合、変化画像データAと変化画像データBとでは、色調のパターンが異なり、nMTT(A)とnMTT(B)とでは、値が異なる。このようなことから、医師は、例えば、変化画像データAと変化画像データBとを比較することで、肝臓がんの進行度の違いを判断することができる。
【0132】
また、上記の方法により、例えば、肝臓がんの進行度の異なる複数の患者それぞれの正規化パラメータを収集してデータベース化することが可能となる。かかる場合、医師は、新たな肝臓がんの患者Cの正規化パラメータが得られた際には、データベースを参照して、患者Cの進行度を鑑別することができる。
【0133】
また、上記では、造影期間中の時系列データが収集後に生成された輝度変化曲線を用いる場合について説明した。しかし、上記の実施形態の変形例として、造影期間中の時系列データの収集中に、輝度変化曲線をリアルタイムで生成する場合であっても良い。すなわち、本実施形態は、輝度変化曲線にて最大点が取得された時点から、少なくとも、造影剤流入に関する正規化パラメータの画像化等が、リアルタイムで行なわれる場合であっても良い。
【0134】
なお、本実施形態及び変形例で説明した画像処理方法は、超音波診断装置とは独立に設置された画像処理装置により行なわれる場合であっても良い。かかる画像処理装置は、造影剤が投与された被検体Pを超音波走査して収集された時系列データを取得することで、本実施形態で説明した画像処理方法を行なうことができる。或いは、かかる画像処理装置は、輝度変化曲線を取得することで、本実施形態で説明した画像処理方法を行なう場合であっても良い。
【0135】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0136】
また、本実施形態及び変形例で説明した画像処理方法は、あらかじめ用意された画像処理プログラムをパーソナルコンピュータやワークステーション等のコンピュータで実行することによって実現することができる。この画像処理プログラムは、インターネット等のネットワークを介して配布することができる。また、この制御プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MO、DVD、USBメモリ及びSDカードメモリ等のFlashメモリ等のコンピュータで読み取り可能な非一時的な記録媒体に記録され、コンピュータによって非一時的な記録媒体から読み出されることによって実行することもできる。
【0137】
以上、説明したとおり、本実施形態及び変形例によれば、造影剤の還流動態を客観的な基準により解析することができる。
【0138】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0139】
15 画像処理部
151 輝度変化情報生成部
152 解析部
153 変化画像生成部
18 制御部
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