(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0010】
近年、半導体デバイスの高密度化に伴いデバイスを形成する際の絶縁膜より薄い膜が求められてきた。しかし、絶縁膜を薄くするとトンネル電流が流れるので、実効的には薄くしても実際にはトンネル効果が生じない厚さにしたいという要望がある。このような膜として、高誘電率を有する絶縁膜である高誘電率膜(High−k膜)がある。例えば、シリコン酸化膜(SiO
2膜)であれば4.5nmの厚さであってもSiO
2膜換算で同等の誘電率を得ることができる。
【0011】
High−k膜の登場により、DRAM(Dynamic Random Access Memory)のキャパシタを中心とした絶縁膜として、ハフニウム酸化膜(HfO
2膜)やジルコニウム酸化膜(ZrO
2膜)等が適用されるようになった。これらの絶縁膜を形成する際には、原料ガス(第1処理ガス)として有機系高誘電化合物(有機系化合物)を気化器等によりガス化して用い、反応ガス(第2処理ガス)として酸化ガスであるオゾン(O
3ガス)を用いて、原料ガスと反応ガスを交互に基板に供給する方法が用いられる場合がある。
【0012】
しかし、このような方法における有機系化合物の成膜温度は200〜300℃程度と低温であるため、反応ガスが十分に活性化されない状態で基板に供給されて基板上にHigh−k膜が形成されると、所望の成膜速度が得られないのみならず、トレンチ(溝)構造を有するパターン基板の基板中央部において膜厚が低下して段差被覆性が低下したり、パターンの疎密により膜厚が変動したり(ローディング効果)する問題が生じる場合がある。
【0013】
このとき、成膜速度を増大させ段差被覆性やローディング効果を改善するために反応ガスの供給量や供給時間を長くすることが考えられる。しかし、それにより、オゾナイザに対するコストの増加や成膜時間の増大を招いてしまい、結果的にスループット(生産性)が悪化したり、原料消費量の増大による製造コストが増大してCOO(Cost Of Ownership:1枚あたりの製造コスト)の悪化を招いたりする可能性がある。
【0014】
発明者等は、これらの問題を解決し、基板としてのウエハへ供給する複数の処理ガスの供給量を増加させることで、ウエハに形成された微細な構造への均一な処理や、ウエハ表面全体への均一な処理を施すことができることを見出した。そして以下に説明するように、成膜等の基板処理時間を長くすることなくウエハへ供給する処理ガスの供給量を増加させるために、処理ガスの1回当たりの供給量を多くし、また、処理ガスの供給時間を短時間に供給する技術を発明した。
【0015】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照してより詳細に説明する。
【0016】
まず、本発明の好ましい実施形態で使用される基板処理装置について説明する。この基板処理装置は、半導体装置の製造工程の一工程で使用される半導体装置の製造装置の一例として構成されているものである。
【0017】
下記の説明では、基板処理装置の一例として、一度に複数枚の基板に対し成膜処理等を行うバッチ式の縦型装置である基板処理装置を使用した場合について述べる。
【0018】
図1および
図2を参照して、基板処理装置の処理炉202について説明する。
【0019】
(処理室)
処理炉202は、中心線が垂直になるように縦向きに配されて筐体(図示せず)によって固定的に支持された反応管としての縦形のプロセスチューブ205を備えている。プロセスチューブ205は、インナチューブ204とアウタチューブ203とを備えている。インナチューブ204およびアウタチューブ203は、例えば、石英(SiO
2)又は炭化珪素(SiC)、石英や炭化珪素の複合材料等の耐熱性の高い材料によって、円筒形状にそれぞれ一体成形されている。
【0020】
インナチューブ204は、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。インナチューブ204内には、基板保持具としてのボート217によって水平姿勢で多段に積層されたウエハ200を収納して処理する処理室201が形成されている。インナチューブ204の下端開口は、ウエハ200群を保持したボート217を出し入れするための炉口を構成している。したがって、インナチューブ204の内径は、ウエハ200群を保持したボート217の最大外径よりも大きくなるように設定されている。アウタチューブ203は、インナチューブ204と一部同心円形状であって、その内径はインナチューブ204に対して大きく、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されており、インナチューブ204の外側を取り囲むようにインナチューブ204と同心円に被せられている。アウタチューブ203の間の下端部は、マニホールド209上部のフランジ209aにOリング(図示せず)を介して取り付けられ、Oリングによって気密に封止されている。インナチューブ204の下端部は、マニホールド209の内側の円形リング部209b上に搭載されている。マニホールド209は、インナチューブ204およびアウタチューブ203についての保守点検作業や清掃作業のために、インナチューブ204およびアウタチューブ203に着脱自在に取り付けられている。マニホールド209が筐体(図示せず)に支持されることにより、プロセスチューブ205は垂直に据え付けられた状態になっている。なお、以下では、アウタチューブ205内に形成される空間を処理室201という場合も有る。
【0021】
(排気ユニット)
マニホールド209の側壁の一部には、処理室201内の雰囲気を排気する排気管231が接続されている。マニホールド209と排気管231との接続部には、処理室201内の雰囲気を排気する排気口が形成されている。排気管231内は、排気口を介して、インナチューブ204とアウタチューブ203との間に形成された隙間からなる排気路内に連通している。なお、排気路の横断面形状は、略円形リング形状になっている。これにより、後述する、インナチューブ204に形成された、排気孔204aの上端から下端まで均一に排気することができる。即ち、ボート217に載置された複数枚のウエハ200全てから均一に排気することができる。排気管231には、上流から順に、圧力センサ245、圧力調整器としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ231a、真空排気装置としての真空ポンプ231cが設けられている。真空ポンプ231cは、処理室201内の圧力が所定の圧力(真空度)となるよう真空排気し得るように構成されている。APCバルブ231aおよび圧力センサ245には、コントローラ280が電気的に接続されている。コントローラ280は、処理室201内の圧力が所望のタイミングにて所望の圧力となるように、圧力センサ245により検出された圧力に基づいてAPCバルブ231aの開度を制御するように構成されている。主に、排気管231、圧力センサ245、APCバルブ231aにより、本実施形態に係る排気ユニット(排気系)が構成される。また、真空ポンプ231cを排気ユニットに含めてもよい。また、排気管231には、排気ガス中の反応副生成物や未反応の原料ガス等を捕捉するトラップ装置や排気ガス中に含まれる腐食性成分や有毒成分等を除害する除害装置が接続されている場合がある。その場合、トラップ装置や除害装置を排気ユニットに含めても良い。なお、排気管231内を排気ラインと呼ぶこともある。
【0022】
(基板保持具)
マニホールド209には、マニホールド209の下端開口を閉塞するシールキャップ219が垂直方向下側から当接される。シールキャップ219は、アウタチューブ203の外径と同等以上の外径を有する円盤形状に形成されており、プロセスチューブ205の外部に垂直に設備された後述のボートエレベータ115によって水平姿勢で垂直方向に昇降される。
【0023】
シールキャップ219上には、ウエハ200を保持する基板保持手段(基板保持具)としての基板保持部材であるボート217が垂直に立脚されて支持されている。ボート217は、上下で一対の端板217cと、端板217c間に垂直に設けられた複数本の保持部材217aとを備えている。端板217cおよび保持部材217aは、例えば石英(SiO
2)又は炭化珪素(SiC)、石英や炭化珪素の複合材料等の耐熱性材料からなる。各保持部材217aには、多数条の保持溝217bが長手方向に等間隔に設けられている。ウエハ200の円周縁が複数本の保持部材217aにおける同一の段の保持溝217b内にそれぞれ挿入されることにより、複数枚のウエハ200は水平姿勢かつ互いに中心を揃えた状態で多段に積層されて保持される。
【0024】
また、ボート217とシールキャップ219との間には、上下で一対の補助端板217dが複数本の補助保持部材218によって支持されて設けられている。各補助保持部材218には、多数条の保持溝が設けられている。保持溝には、例えば石英(SiO
2)や炭化珪素(SiC)等の耐熱性材料からなる円板形状をした複数枚の断熱板216が、水平姿勢で多段に装填される。断熱板216によって、後述するヒータユニット207からの熱がマニホールド209側に伝わりにくくなっている。また、ボート217に載置される複数枚のウエハ200の下側での温度低下を抑制できるようになっている。
【0025】
シールキャップ219の処理室201と反対側には、ボート217を回転させる回転機構267が設けられている。回転機構267の回転軸255は、シールキャップ219を貫通してボート217を下方から支持している。回転軸255を回転させることで処理室201内にてウエハ200を回転させることができる。シールキャップ219は、搬送手段(搬送機構)としてのボートエレベータ115によって垂直方向に昇降されるように構成されており、これによりボート217を処理室201内外に搬送することが可能となっている。
【0026】
(ヒータユニット)
アウタチューブ203の外部には、プロセスチューブ205内を全体にわたって均一または所定の温度分布に加熱する加熱手段(加熱機構)としてのヒータユニット207が、アウタチューブ203を包囲するように設けられている。ヒータユニット207は、基板処理装置の筐体(図示せず)に支持されることにより垂直に据え付けられた状態になっており、例えばカーボンヒータ等の抵抗加熱ヒータとして構成されている。プロセスチューブ205内には、温度検出器としての温度センサ269が設置されている。主に、ヒータユニット207、温度センサ269により、本実施形態に係る加熱ユニット(加熱系)が構成される。
【0027】
(ガス供給ユニット)
インナチューブ204の側壁(後述する排気孔204aとは180度反対側の位置)には、チャンネル形状の予備室201aが、インナチューブ204の側壁からインナチューブ204の径方向外向きに突出して垂直方向に長く延在するように形成されている。予備室201aの側壁はインナチューブ204の側壁の一部を構成している。また、予備室201aの内壁は処理室201の内壁の一部を形成している。予備室201aの内部には、予備室201aの内壁(すなわち処理室201の内壁)に沿うように、予備室201aの内壁の下部より上部に沿ってウエハ200の積層方向に延在されて処理室201内にガスを供給するノズル249a、249b、249c、249d、249gが設けられている。すなわち、ノズル249a、249b、249c、249d、249gは、ウエハ200が配列されるウエハ配列領域の側方の、ウエハ配列領域を水平に取り囲む領域に、ウエハ配列領域に沿うように設けられている。ノズル249a、249b、249c、249d、249gはL字型のロングノズルとして構成されており、その水平部はマニホールド209を貫通するように設けられており、その垂直部は少なくともウエハ配列領域の一端側から他端側に向かって立ち上がるように設けられている。便宜上、
図1には1本のノズルを記載しているが、実際には
図2に示すように5本のノズル249a、249b、249c、249d、249gが設けられている。ノズル249a、249b、249c、249d、249gの側面には、ガスを供給する多数のガス供給孔250a、250b、250c、250d、250gがそれぞれ設けられている。ガス供給孔250a、250b、250c、250d、250gは、下部から上部にわたってそれぞれ同一または、大きさに傾斜をつけた開口面積を有し、さらに同じ開口ピッチで設けられている。
【0028】
マニホールド209を貫通したノズル249a、249b、249c、249d、249gの水平部の端部は、プロセスチューブ205の外部で、ガス供給ラインとしてのガス供給管232a、232b、232c、232d、232gとそれぞれ接続されている。
【0029】
このように、本実施の形態におけるガス供給の方法は、予備室201a内に配置されたノズル249a、249b、249c、249d、249gを経由してガスを搬送し、ノズル249a、249b、249c、249d、249gにそれぞれ開口されたガス供給孔250a、250b、250c、250d、250gからウエハ200の近傍で初めてインナチューブ204内にガスを噴出させている。
【0030】
インナチューブ204の側壁であってノズル249a、249b、249c、249d、249gに対向した位置、すなわち予備室201aとは180度反対側の位置には、例えばスリット状の貫通孔である排気孔204aが垂直方向に細長く開設されている。処理室201と、インナチューブ204とアウタチューブ203との間に形成された隙間からなる排気路206とは排気孔204aを介して連通している。従って、ノズル249a、249b、249c、249d、249gのガス供給孔250a、250b、250c、250d、250gから処理室201内に供給されたガスは、排気孔204aを介して排気路206内へと流れた後、排気口を介して排気管231内に流れ、処理炉202外へと排出される。このとき、ガス供給孔250a、250b、250c、250d、250gから処理室201内のウエハ200の近傍に供給されたガスは、水平方向、すなわちウエハ200の表面と平行な方向に向かって流れた後、排気孔204aを介して排気路206内へと流れる。つまり処理室201内におけるガスの主たる流れは水平方向、すなわちウエハ200の表面と平行な方向となる。このような構成にすることで、各ウエハ200へ均一にガスを供給でき、各ウエハ200に形成される薄膜の膜厚を均一にできる効果が有る。なお、排気孔204aはスリット状の貫通孔として構成される場合に限らず、複数個の孔により構成されていてもよい。
【0031】
次に、
図3を参照して本実施形態に係るガス供給系について説明する。
【0032】
(不活性ガス供給系)
ガス供給管232aには、上流側から順に、流量制御装置(流量制御部)としてのMFC(マスフローコントローラ)235aおよび開閉弁であるバルブ233aがそれぞれ設けられており、例えば不活性ガスである窒素(N
2)ガスがガス供給管232aおよびノズル249aを通って処理室201へ供給される。主に、ノズル249a、ガス供給管232a、MFC235a、バルブ233aにより第1の不活性ガス供給系が構成される。
【0033】
ガス供給管232gには、上流側から順に、流量制御装置(流量制御部)としてのMFC(マスフローコントローラ)235gおよび開閉弁であるバルブ233gがそれぞれ設けられており、例えば不活性ガスであるN
2ガスがガス供給管232gおよびノズル249gを通って処理室201へ供給される。主に、ノズル249g、ガス供給管232g、MFC235g、バルブ233gにより第2の不活性ガス供給系が構成される。
【0034】
不活性ガス供給系は、第1の不活性ガス供給系と第2の不活性ガス供給系のいずれかまたは両方で構成される。基板への処理によって2つを使い分けても良いが、第1の不活性ガス供給系と第2の不活性ガス供給系の両方を用いることで、基板に均一な処理を施すことができる。また、
図2に示すように、ノズル249aとノズル249gは、他のノズルを挟むように配置することが好ましい。このように配置することで、ウエハ200への処理均一性を向上させることができる。ただし、不活性ガス供給系は設けなくてもよい。
【0035】
(反応ガス供給系)
ガス供給管232bには、上流方向から順に、反応ガス活性化装置としてのオゾン生成器であるオゾナイザ220、開閉弁であるバルブ233b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)235bおよび開閉弁であるバルブ233bが設けられている。ガス供給管232bの先端部には、上述のノズル249bが接続されている。
【0036】
ガス供給管232bの上流側は、反応ガスとして例えば酸化ガスである酸素(O
2)ガスを供給する図示しない酸素ガス供給源に接続されている。オゾナイザ220に供給されたO
2ガスは、第1の反応ガスとしての酸化ガスであるオゾン(O
3)ガスとなり、処理室201内に供給される。主にノズル249b、ガス供給管232b、MFC235b、バルブ233bにより第1反応ガス供給系(第1酸化ガス供給系、第1処理ガス供給系とも呼ぶ)が構成される。なお、オゾナイザ220を第1反応ガス供給系に含めてもよい。
【0037】
発明者等は、このウエハ200へ供給するO
3ガスの供給量を増やすことにより、ウエハ200に形成された微細な構造への均一な処理や、ウエハ200の表面全体への均一な処理を施すことができることを見出した。更には、一度に複数枚のウエハを処理する際に、複数枚のウエハ群に均一な処理を施すことができることを見出した。
【0038】
ウエハ200へ供給するO
3ガスの供給量を増やす方法としては、上述のオゾナイザ220の数を増やすことが考えられる。しかしながら、オゾナイザ220は、非常に高価であり、コストがかかってしまう。そこで、後述のガスタンク603c、604cを有する第2反応ガス供給系を設けることにより、安価にできることを見出した。以下にこの構成について説明する。
【0039】
まず、ガス供給管232bのMFC235bの上流側にガス供給管232hが接続され、さらにガス供給管232hにガス供給管232cが接続される。ガス供給管232cには、上流方向から順に、O
3ガスを不活性化する不活性化機構(除害機構)としてのオゾンキラー(不図示)へガスを排気する除害ラインであるベントライン600cと、オゾンキラーへのガス供給をON/OFFを制御するバルブ601cと、バルブ602cと、ガスを溜めるガス溜め部としてのガスタンク(オゾン貯蔵機構)603cと、ガスタンク内の圧力を測定する圧力センサ604cと、MFC235cと、バルブ233cが設けられている。ガスの流れは、例えば、オゾナイザ220で生成されたO
3ガスがガス供給管232b、232hを介してガス供給管232cを通ってガスタンク603cに供給され、ガスタンク603cに所定の圧力になるまで貯蔵される。ガスタンク603cから、MFC235cで流量が調整された後、バルブ233cを介して処理室201へO
3ガスが供給される。主に、ノズル249c、ガス供給管232c、MFC235c、バルブ233b、ガスタンク603c、圧力センサ604cにより第2反応ガス供給系(第2酸化ガス供給系、第2処理ガス供給系とも呼ぶ)が構成される。なお、必要に応じてバルブ601c、バルブ602c、ベントライン600cを用いて、ガスタンク603c内の圧力が所定の圧力以上になった時に発生する余分なO
3ガスをベントライン600cからオゾンキラーへと処理室201を介す事無く排気する。
【0040】
反応ガス供給系は、第1反応ガス供給系と第2反応ガス供給系で構成される。また、反応ガス供給系はオゾン供給機構と呼ぶ場合もある。
【0041】
(原料ガス供給系)
ガス供給管232dには気化装置(気化部)であり液体原料を気化して原料ス(第1の原料ガス)としての気化ガスを生成する気化器270dが設けられており、さらに、気化器270dの下流側から順に、開閉弁であるバルブ233d、ガスフィルタ301dが設けられている。なお、気化器270dは用いる液体原料に応じた温度となるよう維持される。ガス供給管232dの先端部には、上述のノズル249dが接続されている。バルブ233dを開けることにより、気化器270d内にて生成された気化ガスがノズル249dを介して処理室201内へ供給される。主に、ノズル249d、バルブ233d、ガス供給管232d、ガスフィルタ301dにより原料ガス供給系(第1の原料ガス供給系、第3処理ガス供給系とも呼ぶ)が構成される。また、気化器270dを原料ガス供給系に含めても良い。
【0042】
また、後述する液体原料供給系やキャリアガス供給系も原料ガス供給系に含めても良い。
【0043】
(液体原料供給系)
ガス供給管232dの気化器270dよりも上流には、液体原料タンク291d、液体流量制御装置(LMFC)295d、バルブ293dが上流側から順に設けられている。気化器270d内への液体原料の供給量(すなわち、気化器270d内で気化され処理室201内へ供給される気化ガスの供給流量)は、LMFC295dによって制御される。主に、ガス供給管232d、LMFC295d、バルブ293dにより液体原料供給系(第1液体原料供給系)が構成される。また、液体原料タンク291dを液体原料供給系に含めても良い。
【0044】
(キャリアガス供給系)
気化器270dには、キャリアガスとしての不活性ガス(例えばN
2ガス)がガス供給管232jから供給される。ガス供給管232jには、MFC235jとバルブ233jとが設けられている。気化器270dで生成された気化ガスをキャリアガスで希釈することにより、ボート217に搭載されるウエハ200間の膜厚均一性等のウエハ200間におけるウエハ200の処理の均一性を調整することができる。主に、ガス供給管232j、MFC235j、バルブ233jによりキャリアガス供給系(第1キャリアガス供給系)が構成される。
【0045】
ガス供給管232dからは、例えば、金属含有ガスである原料ガスとしてジルコニウム原料ガス、すなわちジルコニウム(Zr)元素を含むガス(ジルコニウム含有ガス)が第1の原料ガスとして、LMFC295d、気化器270d、ガスフィルタ301d、ノズル249d等を介して処理室201内へ供給される。ジルコニウム含有ガスとしては、例えばテトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(TEMAZ、Zr[N(CH
3)C
2H
5]
4)を用いることができる。TEMAZは、常温常圧で液体である。液体のTEMAZは、液体原料として、液体原料供給タンク291d内に貯留される。また、このとき、気化器270dはTEMAZに適した温度となるよう維持されており、例えば120〜150℃に加熱した状態で維持される。
【0046】
(制御部)
図4に本実施形態に係る制御部と各構成の接続例を示す。制御部(制御手段)であるコントローラ280は、CPU(Central Processing Unit)280a、RAM(RandomAccess Memory)280b、記憶装置280c、I/Oポート280dを備えたコンピュータとして構成されている。RAM280b、記憶装置280c、I/Oポート280dは、内部バス280eを介して、CPU280aとデータ交換可能なように構成されている。コントローラ280には、例えばタッチパネル等として構成された入出力装置282が接続されている。
【0047】
記憶装置280cは、例えばフラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)等で構成されている。記憶装置280c内には、基板処理装置の動作を制御する制御プログラムや、後述する基板処理の手順や条件などが記載されたプロセスレシピ等が、読み出し可能に格納されている。なお、プロセスレシピは、後述する基板処理工程における各手順をコントローラ280に実行させ、所定の結果を得ることが出来るように組み合わされたものであり、プログラムとして機能する。以下、このプロセスレシピや制御プログラム等を総称して、単にプログラムともいう。なお、本明細書においてプログラムという言葉を用いた場合は、プロセスレシピ単体のみを含む場合、制御プログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、RAM280bは、CPU280aによって読み出されたプログラムやデータ等が一時的に保持されるメモリ領域(ワークエリア)として構成されている。
【0048】
I/Oポート280dは、MFC235a、235b、235c、235d、235g、バルブ233a、233b、233c、233d、233g、233h、233i、233j、233k、293d、601c、602c、圧力センサ245、604c、APCバルブ231a、真空ポンプ231c、ヒータユニット207、温度センサ269、回転機構267、ボートエレベータ115、オゾナイザ220、気化器270d、LMFC295d等に接続されている。
【0049】
CPU280aは、記憶装置280cから制御プログラムを読み出して実行すると共に、入出力装置282からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置280cからプロセスレシピを読み出す。そして、CPU280aは、読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、MFC235a、235b、235c、235d、235gによる各種ガスの流量調整動作、LMFC295d、295eによる液体原料の流量制御、バルブ233a、233b、233c、233d、233g、233h、233i、233j、233k、293d、293e、601c、602cの開閉動作、圧力センサ604cによるガスタンク内圧力制御動作、APCバルブ231aの開閉動作およびAPCバルブ231aによる圧力センサ245に基づく圧力調整動作、温度センサ269に基づくヒータユニット207の温度調整動作、真空ポンプ231cの起動および停止、回転機構267によるボート217の回転および回転速度調節動作、ボートエレベータ115によるボート217の昇降動作、等を制御する。
【0050】
なお、コントローラ280は、専用のコンピュータとして構成されている場合に限らず、汎用のコンピュータとして構成されていてもよい。例えば、上述のプログラムを格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MO等の光磁気ディスク、USBメモリ(USB Flash Drive)やメモリカード等の半導体メモリ)283を用意し、外部記憶装置283を用いて汎用のコンピュータにプログラムをインストールすること等により、本実施形態に係るコントローラ280を構成することができる。なお、コンピュータにプログラムを供給するための手段は、外部記憶装置283を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置283を介さずにプログラムを供給するようにしてもよい。なお、記憶装置280cや外部記憶装置283は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に記録媒体ともいう。なお、本明細書において記録媒体という言葉を用いた場合は、記憶装置280c単体のみを含む場合、外部記憶装置283単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0051】
(基板処理工程)
次に、上述の基板処理装置の処理炉を用いて半導体装置(半導体デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に絶縁膜であって、例えば高誘電率(High−k)膜である金属酸化膜としてジルコニウム酸化膜(ZrO
2、以下ZrOとも称する)を成膜するシーケンス例について、
図5、
図6を参照して説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0052】
なお、本明細書において「ウエハ」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのもの」を意味する場合や、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(集合体)」を意味する場合(すなわち、表面に形成された所定の層や膜等を含めてウエハと称する場合)がある。また、本明細書において「ウエハの表面」という言葉を用いた場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。
【0053】
従って、本明細書において「ウエハに対して所定のガスを供給する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)に対して所定のガスを直接供給する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等に対して、すなわち、積層体としてのウエハの最表面に対して所定のガスを供給する」ことを意味する場合がある。また、本明細書において「ウエハ上に所定の層(又は膜)を形成する」と記載した場合は、「ウエハそのものの表面(露出面)上に所定の層(又は膜)を直接形成する」ことを意味する場合や、「ウエハ上に形成されている層や膜等の上、すなわち、積層体としてのウエハの最表面の上に所定の層(又は膜)を形成する」ことを意味する場合がある。
【0054】
なお、本明細書において「基板」という言葉を用いた場合も「ウエハ」という言葉を用いた場合と同様であり、その場合、上記説明において、「ウエハ」を「基板」に置き換えて考えればよい。
【0056】
まず、複数枚のウエハ200がボート217に装填(ウエハチャージ)されると(
図5、ステップS101参照)、
図1に示されているように、複数枚のウエハ200を支持したボート217は、ボートエレベータ115によって持ち上げられて処理室201内に搬入(ボートロード)される(
図5、ステップS102参照)。この状態で、シールキャップ219はマニホールド209の下端をシールした状態となる。
【0057】
処理室201内が所望の圧力(真空度)となるように真空ポンプ231cによって真空排気される。この際、処理室201内の圧力は、圧力センサ245で測定され、この測定された圧力に基づきAPCバルブ231aが、フィードバック制御される(圧力調整)(
図5、ステップS103参照)。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータユニット207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ269が検出した温度情報に基づきヒータユニット207への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)(
図5、ステップS103参照)。続いて、回転機構267により、ボート217が回転されることで、ウエハ200が回転される。
【0058】
なお、真空ポンプ246は、少なくともウエハ200に対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。また、処理室201内が所望の温度となるようにヒータユニット207によって加熱される。この際、処理室201内が所望の温度分布となるように、温度センサ269が検出した温度情報に基づきヒータユニット207への通電具合がフィードバック制御される(温度調整)。なお、ヒータユニット207による処理室201内の加熱は、少なくとも、ウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。続いて、回転機構267によりボート217およびウエハ200の回転を開始する。なお、回転機構267によるボート217およびウエハ200の回転は、少なくとも、ウエハ200に対する処理が完了するまでの間は継続して行われる。
【0059】
次に、TEMAZガスとO
3ガスを処理室201内に供給することにより絶縁膜であるZrO膜を成膜する絶縁膜形成工程(
図5、ステップS104参照)を行う。絶縁膜形成工程では次の4つのステップを順次実行する。
【0060】
(ZrO膜形成工程)
<ステップS105>
ステップS105(
図5、
図6参照、第1の工程、TEMAZ供給工程)では、まずTEMAZガスを流す。ガス供給管232dのバルブ233dを開き、気化器270d、ガスフィルタ301dを介してガス供給管232d内にTEMAZガスを流す。ガス供給管232d内を流れるTEMAZガスは、液体マスフローコントローラ295dにより流量調整される。流量調整されたTEMAZガスはノズル249dのガス供給孔250dから処理室201内に供給され、ガス排気管231から排気される。このとき、同時にバルブ233jを開き、不活性ガス供給管232j内にN
2ガス等の不活性ガスを流す。不活性ガス供給管232j内を流れるN
2ガスは、マスフローコントローラ235jにより流量調整される。流量調整されたN
2ガスはTEMAZガスと一緒に処理室201内に供給され、ガス排気管231から排気される。また、バルブ233aを開いて、ガス供給管232a、ノズル249a、ガス供給孔250aからN
2ガス等の不活性ガスを流し、バルブ233gを開いて、ガス供給管232g、ノズル249g、ガス供給孔250gからN
2ガス等の不活性ガスを流す。
【0061】
このとき、APCバルブ231aを適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば20〜500Paの範囲内の圧力とする。液体マスフローコントローラ295dで制御するTEMAZガスの供給流量は、例えば0.1〜0.5g/分の範囲内の流量とする。ウエハ200をTEMAZに曝す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば10〜300秒間の範囲内の時間とする。このときヒータユニット207の温度は、ウエハ200の温度が、例えば150〜300℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。TEMAZガスの供給により、ウエハ200上にZr含有層が形成される。
【0062】
<ステップS106>
ステップS106(
図5、
図6参照、第2の工程)では、バルブ233dを閉じ、処理室201内へのTEMAZガスの供給を停止する。このとき、ガス排気管231のAPCバルブ231aは開いたままとして、真空ポンプ231cにより処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくはジルコニウム含有層形成に寄与した後のTEMAZガスを処理室201内から排除する。
【0063】
なお、このとき、バルブ233gは開いたままとして、不活性ガスとしてのN
2ガスの処理室201内への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくはZr含有層形成に寄与した後のTEMAZガスを処理室201内から排除する効果を更に高めることができる。
【0064】
また、このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後に行われるステップS107において悪影響が生じることはない。このとき処理室201内に供給するN
2ガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、ステップS107において悪影響が生じない程度のパージを行うことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、N
2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0065】
また、
図6に示すように、ステップS105とステップS106と並行して、オゾナイザ220からガスタンク603cへのO
3ガスを供給し、ガスタンク603cにO
3ガスを貯留するようにする。また、このとき、ガスタンク603cは、内部が50℃以下となるように維持する。
図7に環境温度とO
3ガスの寿命の関係を示す。O
3ガスは環境温度が上昇するにつれて寿命が短くなるため、O
3ガスを数時間備蓄可能とするためにはガスタンク603cの内部が50℃以下で維持されることが望ましい。
【0066】
<ステップS107>
ステップS107(
図5、
図6参照、第3の工程、O
3ガス供給工程)では、処理室201内にO
3ガスをノズル249b、249cのガス供給孔250b、250cから同時に供給する。なお、「同時」とは、ノズル249b、249cのガス供給孔250b、250cから共に供給するタイミングがあればよく、供給し始めるタイミングおよび/もしくは供給を停止するタイミングは必ずしも同じである必要はない。また、ノズル249bのガス供給孔250bからO
3ガスを供給する時間とノズル249cのガス供給孔250cからO
3ガスを供給する時間とは必ずしも同じである必要はない。
【0067】
具体的には、処理室201内の残留ガスを除去した後、ガス供給管232bのバルブ233cおよびバルブ233cを開き、ベントライン600cのバルブ601cとバルブ602cとバルブ233iを閉めることで、オゾナイザ220によって生成されたO
3ガスおよびガスタンク603cに貯蔵されているO
3ガスは、マスフローコントローラ235b、235cにより流量調整され、ノズル249b、249cのガス供給孔250b、250cから処理室201内に供給され、ガス排気管231から排気される。また、バルブ233aを開いて、ガス供給管232a、ノズル249a、ガス供給孔250aからN
2ガス等の不活性ガスを流し、バルブ233gを開いて、ガス供給管232g、ノズル249g、ガス供給孔250gからN
2ガス等の不活性ガスを流す。なお、S107ではバルブ233iを開けておいてもよい。
【0068】
O
3ガスを流すときは、APCバルブ231aを適正に調整して処理室201内の圧力を、例えば50〜500Paの範囲内の圧力とする。マスフローコントローラ235b、235cで制御するO
3ガスの供給流量は、例えば5〜30slmの範囲内の流量とする。O
3ガスにウエハ200を晒す時間、すなわちガス供給時間(照射時間)は、例えば10〜300秒間の範囲内の時間とする。このときのヒータユニット207の温度は、ステップ105と同様、ウエハ200の温度が150〜300℃の範囲内の温度となるような温度に設定する。O
3ガスの供給により、ステップS105でウエハ200上に形成されたZr含有層が酸化されてZrO層が形成される。
【0069】
<ステップS108>
ステップS108(
図5、
図6参照、第3の工程)では、ガス供給管232bのバルブ233cを閉じ、バルブ233i、バルブ233f、バルブ602cを開けて処理室201内へのO
3ガスの供給を停止し、O
3ガスをガスタンク603cへ流す。このとき、ガス排気管231のAPCバルブ31aは開いたままとして、真空ポンプ231gにより処理室201内を真空排気し、処理室201内に残留する未反応もしくは酸化に寄与した後のO
3ガスを処理室201内から排除する。また、ガスタンク603c内の圧力が、所定の圧力になったら、バルブ602cを閉め、バルブ601cを開き、余分なO
3ガスをベントライン600cへ流す。なお、このとき、バルブ233gは開いたままとして、不活性ガスとしてのN
2ガスの処理室201内への供給を維持する。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内に残留する未反応もしくはZrO層形成に寄与した後のO
3ガスを処理室201内から排除する効果を更に高めることができる。
【0070】
また、このとき、処理室201内に残留するガスを完全に排除しなくてもよく、処理室201内を完全にパージしなくてもよい。処理室201内に残留するガスが微量であれば、その後にステップS105を行なう場合であっても悪影響が生じることはない。このとき処理室201内に供給するN
2ガスの流量も大流量とする必要はなく、例えば、反応管203(処理室201)の容積と同程度の量を供給することで、次にステップS105を行なう場合であってもステップS105に悪影響が生じない程度のパージを行なうことができる。このように、処理室201内を完全にパージしないことで、パージ時間を短縮し、スループットを向上させることができる。また、N
2ガスの消費も必要最小限に抑えることが可能となる。
【0071】
また、
図6に示すようにステップS108と並行して、オゾナイザ220からガスタンク603cへO
3ガスを供給し、ガスタンク603cにO
3ガスを貯留する。なお、
図6は、ステップS108から、次のサイクルのステップS106まで継続してO
3ガスを貯留する例を示している。場合によっては、ステップS108で終わらせてもよい。
【0072】
上述したステップS105〜S108を1サイクルとして、このサイクルを少なくとも1回以上行う(ステップS109)ことにより、ウエハ200上に所定膜厚のジルコニウムおよび酸素を含む高誘電率膜、すなわち、ZrO膜を成膜することができる。尚、上述のサイクルは、複数回繰り返すのが好ましい。これにより、ウエハ200上に所定膜厚のZrO膜が形成される。
【0073】
ZrO膜を形成後、ガス供給管232aのバルブ243aを閉じ、ガス供給管232bのバルブ233bを閉じ、ガス供給管232cのバルブ233cを閉じ、不活性ガス供給管232aのバルブ233aを開き、不活性ガス供給管232gのバルブ233gを開いて、処理室201内にN
2ガスを流す。N
2ガスはパージガスとして作用し、これにより、処理室201内が不活性ガスでパージされ、処理室201内に残留するガスが処理室201内から除去される(パージ、ステップS110)。その後、処理室201内の雰囲気が不活性ガスに置換され、処理室201内の圧力が常圧に復帰される(大気圧復帰、ステップS111)。
【0074】
その後、ボートエレベータ115によりシールキャップ219が下降されて、マニホールド209の下端が開口されるとともに、処理済のウエハ200がボート217に保持された状態でマニホールド209の下端からプロセスチューブ205の外部に搬出(ボートアンロード、ステップS112)される。その後、処理済みのウエハ200はボート217より取り出される(ウエハディスチャージ、ステップS113)。
【0075】
以上の様な工程により、基板上に高誘電率膜が形成される。
【0076】
なお、
図8(2007年第9回オゾン研究会資料から引用)に示すように、ステップS105とステップS106と並行して、オゾナイザ220からガスタンク603cへのO
3ガスを供給し、ガスタンク603cにO
3を貯留するようにする際は、ガスタンク603cの内部が所定の圧力になるまでO
3ガスを貯留するよう制御するとよい。その場合、ガスタンク603c内の圧力が所定の圧力以上になった時に発生する余分なO
3ガスは、ベントライン600cからオゾンキラーへと処理室201を介す事無く排気する。
【0077】
具体的には、処理室201内の残留ガスを除去した後、ガス供給管232bのバルブ233cを開き、バルブ601c、バルブ602cおよびバルブ233iを閉めることで、オゾナイザ220によって生成されたO
3ガスおよびガスタンク603cに貯蔵されているO
3ガスは、マスフローコントローラ235b、235cにより流量調整され、ノズル249b、249cのガス供給孔250b、250cから処理室201内に供給され、ガス排気管231から排気される。また、バルブ233aを開いて、ガス供給管232a、ノズル249a、ガス供給孔250aからN
2ガス等の不活性ガスを流し、バルブ233gを開いて、ガス供給管232g、ノズル249g、ガス供給孔250gからN
2ガス等の不活性ガスを流す。
【0078】
また、S107でO
3ガスを処理室201内に供給する際は、マスフローコントローラ235cの流量制御に必要な圧力を監視し規格に応じてO
3ガスの処理室201への供給有無を制御してもよい。流量制御に必要な圧力に応じて、適宜ガス供給管232bのバルブ233cを閉めて、バルブ601cを開け、O
3ガスをベントライン600cからオゾンキラーへと流してもよい。
【0079】
なお、ここでは、O
3ガスを処理室201に供給するノズルとしてノズル249bおよびノズル249cの2つのノズルを設ける例について説明したが、例えばガス供給管232cの両端をガス供給管232bに接続し、O
3ガスを処理室201に供給するノズルをノズル249bの1つのみとすることも可能である。ただし、その場合は、ガス供給管232bの内部の圧力が高いため、ガスタンク603cを有するガス供給管232cからO
3ガスが流れにくくなる可能性がある。したがって、ガスタンクを設けるガス供給ラインとガスタンクを設けないガス供給ラインは別ラインとしてそれぞれノズルを処理室内に設置する方が好ましい。なお、1本のノズルに流せるO
3ガスの流量にはノズルのコンダクタンス等により上限値が存在する。
【0080】
また、ガスタンク603cの容量は、S107で供給する際に必要なO
3ガスの量を溜められる容量であればよく、好適には1回のステップで必要とされるO
3ガスの量を溜められる容量であっても、数回のステップで必要とされるO
3ガスの量を溜められる容量であってもよい。たとえば1リットル以上の容量であって、好適には50リットル以上であって、たとえば150リットルほどの容量のガスタンクを設けることが考えられる。
【0081】
(本実施形態による効果)
本実施形態によれば、以下に示す1つまたは複数の効果を奏する。
【0082】
(a)本実施形態によれば、
O
3ガスの供給量を増やすことができ、ウエハに形成された微細な構造への均一な処理を行うことができる。
【0083】
(b)また、オゾナイザの数を増やす事なく、オゾンの供給量を増やすことができる。
【0084】
(c)また、第2反応ガス供給系を、第1反応ガス供給系と独立して設けることにより、ガス供給系それぞれでO
3ガスの流量を精密に制御することができる。
【0085】
(d)また、一般的なオゾナイザは成膜に要求されるような短時間でO
3ガスの発生/停止を行うことができないため、処理室にO
3ガスを供給したい場合はベントラインを介して除害設備へO
3ガスを流して無害化を行うため、O
3ガスの利用効率が悪くなるが、ガスタンクを設けることにより、従来、捨てていたO
3ガスを貯蔵して成膜に使用することができ、O
3の利用効率を向上させることができる。
【0086】
(e)また、従来捨てていたO
3ガスの量を少なくすることができ、除害装置の負荷を低減することができる。
【0087】
(f)また、ガスタンクに圧力センサを設けることにより、ガスタンクの異常な圧力上昇を防止できる。また、ガスタンクから常に同じ流量を供給可能なように制御できる。
【0088】
(g)また、処理室にO
3ガスを供給する時間(タイミング)以外の時間帯に生成したO
3ガスをガスタンクに溜めておき、その蓄えられたO
3ガスと、オゾナイザでリアルタイムに生成したO
3ガスを同時に処理室に供給することにより、オゾナイザの本来のO
3ガス生成能力より多量のO
3ガスを処理室に供給することができる。
【0089】
(第2の実施形態)
以下に、第2の実施形態について
図3および
図10を用いて説明する。
図10は本実施形態に係る処理炉202の構成を説明する図である。上述の第1の実施形態では、反応ガス供給系に、ガスタンクを有するO
3ガスの供給ラインを1系統設ける例を示したが、本実施形態では、反応ガス供給系にガスタンクを有するO
3ガスの供給ラインを2系統設ける。すなわち、反応ガス供給系は3系統のO
3ガスの供給ラインを設けるように構成され、具体的には
図3に示すようにガス供給管232fを有する第3の反応ガス供給系を設ける。その他の構成については上述の第1の実施形態と同様であり、
図10において、
図1、
図2および
図3で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、本実施形態の処理炉202の構成について詳細に説明する。
【0090】
ガス供給管232fには、上流方向から順に、オゾンキラーへガスを排気するベントライン600fと、オゾンキラーへのガスON/OFFを制御するバルブ601fと、バルブ602fと、ガスタンク603fと、ガスタンク内の圧力を測定する圧力センサ604fと、MFC235fと、バルブ233fが設けられている。ガスの流れは、例えば、上流側からガスタンク603fに供給され、ガスタンク603fに所定の圧力になるまで貯蔵される。ガスタンク603fから、MFC235fで流量が調整された後、バルブ233fを介して処理室201へO
3ガスが供給される。
図10に示すように、ガス供給管232fには、ノズル249fが接続されている。ノズル249fはノズル249a等と同様の形状を有する。ノズル249fには、ガス供給孔250fが設けられている。主に、ノズル249f、ガス供給管232f、MFC235f、バルブ233f、ガスタンク603f、圧力センサ604fにより第3の反応ガス供給系が構成される。なお、必要に応じてバルブ601f、バルブ602f、ベントライン600fを設けて、ガスタンク603f内の圧力が所定の圧力以上になった時に発生する余分なO
3ガスをベントライン600fからオゾンキラーへと排気できるように構成しても良い。
【0091】
また、ガス供給管232hに、バルブ233hとバルブ233iを設けてもよい。バルブ233hとバルブ233iの開閉を制御することによって、第2の反応ガス供給系と第3のO
3ガスの供給系といずれか若しくは両方の使用不使用を制御することができる。
【0092】
上述のような構成とした場合、MFC235f、バルブ233f、233h、233i、601f、圧力センサ604fは上述のI/Oポート280dにそれぞれ接続されており、CPU280aは入出力装置282からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置280cから読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、MFC235fによる各種ガスの流量調整動作、バルブ233f、233h、233i、601fの開閉動作、圧力センサ604fによるガスタンク内圧力制御動作等を制御する。
【0093】
このようにガスタンクを設けたO
3ガスの供給ラインを複数(2系統もしくは3系統以上)設けても良い。すなわち、O
3ガスの供給ラインを合計で3系統もしくは4系統以上設けても良い。必要とされるO
3ガスのウエハ200への供給量、オゾナイザ220の性能、各ガス供給管の圧力等の条件に応じて、ガスタンクを設けるO
3ガスの供給ラインの数を選択することにより、必要とされる量のO
3ガスをより短時間でウエハ200へ供給することが可能となる。また、O
3ガスの供給ラインを複数設けた場合は、各供給ラインからのO
3ガスの供給を全て同じタイミングで流し始めてもよく、同じタイミングで止めてもよいし、それぞれ異なるタイミングで流し始めてもよく、それぞれ異なるタイミングで止めてもよい。さらに、各供給ラインから1つのラインごとに順にO
3ガスを供給していってもよい。
【0094】
(第3の実施形態)
以下に、第3の実施形態について
図3および
図11を用いて説明する。
図11は本実施形態に係る処理炉202の構成を説明する図である。上述の第1の実施形態では、原料ガス供給系を一つ設ける基板処理装置の例を示したが、本実施形態では基板処理装置に原料ガス供給系を二つ設ける。すなわち、
図3に示すようにガス供給管232dを有する第2の原料ガス供給系を設けることができる。その他の構成については第1の実施形態もしくは第2の実施形態と同様であり、
図11において、
図1、
図2および
図3で説明した要素と実質的に同一の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。以下、本実施形態の基板処理装置に係る処理炉202の構成について詳細に説明する。
【0095】
ガス供給管232eには、ガス供給管232dと同様の構成が設けられる。すなわち、ガス供給管232eには気化器270eが設けられており、さらに、気化器270eの下流側から順に、開閉弁であるバルブ233e、ガスフィルタ301eが設けられている。
図11に示すように、ガス供給管232eの先端部には、ノズル249eが接続されている。ノズル249eはノズル249a等と同様の形状を有し、ガス供給孔250eが設けられている。主に、ノズル249e、バルブ233e、ガス供給管232e、ガスフィルタ301eにより第2の原料供給系が構成される。また、気化器207eを第2の原料ガス供給系に含めても良い。また、後述する第2の液体原料供給系や第2のキャリアガス供給系も第2の原料ガス供給系に含めても良い。なお、第2の原料ガスは第1の原料ガスと同じガスであっても良いし、異なるガスであっても良い。
【0096】
(第2の液体原料供給系)
ガス供給管232eの気化器270eよりも上流には、液体原料タンク291e、液体流量制御装置(LMFC)295e、バルブ293eが設けられている。気化器270e内への液体原料の供給量(即ち、気化器270e内で気化され処理室201内へ供給される気化ガスの供給流量)は、LMFC295eによって制御される。主に、ガス供給管232e、LMFC295e、バルブ294eにより、第2の液体原料供給系が構成される。なお、液体原料タンク291eを第2の液体原料供給系に含めても良い。
【0097】
(第2のキャリアガス供給系)
気化器270eには、キャリアガスとしての不活性ガスがガス供給管232kから供給される。ガス供給管232kには、バルブ233kとMFC235kが設けられている。気化器270eで生成された気化ガスをキャリアガスで希釈することにより、ボート217に搭載されるウエハ200間の膜厚均一性等のウエハ200間におけるウエハ200の処理の均一性を調整することができる。主に、ガス供給管232k、バルブ233k、MFC235kにより、第2のキャリアガス供給系が構成される。
【0098】
上述のような構成とした場合、MFC235e、235k、バルブ233e、233k、294e、気化器207e、LMFC295eは上述のI/Oポート280dにそれぞれ接続されており、CPU280aは入出力装置282からの操作コマンドの入力等に応じて記憶装置280cから読み出したプロセスレシピの内容に沿うように、MFC235e、235kによる各種ガスの流量調整動作、バルブ233e、233k、294eの開閉動作、気化器207eによる液体原料の気化等を制御する。
【0099】
この様に、第2原料ガス供給系を設けることによって、原料ガスを2種類用いてウエハ200上に膜を形成することが可能となる。すなわち、第1の原料ガスとしてのTEMAZガス、第1の反応ガスとしてのO
3ガスに加えて、第2の原料ガスとして例えばトリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH
3)
3)ガスを用いることにより、ジルコニウムアルミニウム酸化膜(ZrAlO膜)等の三元系化合物を形成することが可能となる。または、二元系化合物に他の元素をドーピングすることができる。
【0100】
(実施例)
上述の第1の実施形態における装置構成およびシーケンスにより、ウエハ上にHfO膜を形成して、O
3ガス流量に対するオゾナイザ(オゾン生成器)の限界値と、ガスタンクを用いてO
3ガスを備蓄しつつオゾナイザから処理室へO
3ガスを供給した場合における処理室へのO
3ガス供給量を比較した。その比較した図を
図9に示す。本実施例では、原料ガスとしてTEMAHガスを用い、反応ガスとしてO
3ガスを用いて、
図5の成膜フローおよび
図6のガス供給タイミングによりHfO膜を形成した。
【0101】
S107において、300g/N・m
3の濃度で、第1反応ガス供給管からのO
3ガス供給量(
図9における「生成器」)を10slmで1分間、処理室に供給する。その場合、10リットル以上のガスタンクを第2反応ガス供給管に設け、同様に1分間に10slmを供給する。
図8に示すように、一般的なオゾン生成器は、O
3ガス濃度と許容ガス流量が反比例の関係にあり、高濃度のO
3ガスを流す場合には小流量のO
3ガスしか供給できなくなってしまうが、本実施例のようにガスタンクを用いることにより、2倍以上の流量のO
3ガスを供給することが可能となる。
【0102】
上述の各実施形態や各変形例や各応用例等は、適宜組み合わせて用いることができる。さらに、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0103】
上述の実施の形態では、一度に複数枚の基板を処理するバッチ式の縦型装置である基板処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、一度に1枚または数枚の基板を処理する枚葉式の基板処理装置を用いて成膜する場合にも、好適に適用できる。また、上述の実施形態では、ホットウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて成膜する例について説明したが、本発明はこれに限定されず、コールドウォール型の処理炉を有する基板処理装置を用いて成膜する場合にも、好適に適用できる。
【0104】
また、本発明は、蒸気圧が低い原料であれば、TEMAZ以外のガス種にも適用可能である。例えば、テトラキスエチルメチルアミノジルコニウム(TEMAZ、Zr[N(CH
3)C
2H
5]
4)、テトラキスジエチルアミノジルコニウム(TDEAZ、Zr[N(C
2H
5)
2]
4)、テトラキスジメチルアミノジルコニウム(TDMAZ、Zr[N(CH
3)
2]
4)、Zr(MeCp)(NMe
2)
3、テトラキスエチルメチルアミノハフニウム(TEMAH、Hf[N(CH
3)C
2H
5]
4)、テトラキスジエチルアミノハフニウム(TDEAH、Hf[N(C
2H
5)
2]
4)、テトラキスジメチルアミノハフニウム(TDMAH、Hf[N(CH
3)
2]
4)、トリメチルアルミニウム(TMA、Al(CH
3)
3)、四塩化チタン(TiCl
4)、トリスジメチルアミノシラン(TDMAS)、塩化タンタル(TaCl)、Nickel Bis[N,N‘ −ditertialbutylacetamidinate](BDTBANi、Ni(tBu
2−amd)
2、(tBu)NC(CH
3)N(tBu)
2Ni)、Co amd[(tBu)NC(CH
3)N(tBu)
2Co]、2,4−ジメチルペンタジエニル)(エチルシクロペンタジエニル)ルテニウム(DER)等が好適に適用できる。
【0105】
また、上述の各実施形態では、反応ガスとして、酸化ガスであるO
3ガスを用いて酸化膜を形成する例について説明したが、本発明は、これに限らず、酸素(O
2)、水蒸気(H
2O)、過酸化水素(H
2O
2)、亜酸化窒素(N
2O)、O
2および水素(H
2)の組合せ、アンモニア(NH
3)、窒素(N
2)等の酸化ガスおよび窒化ガスが好適に適用できる。
【0106】
また、本発明は、蒸気圧が低い原料を用いる膜種であれば、ZrO膜以外の膜種にも適用可能である。例えば、上述の原料を用いて、ハフニウム酸化膜(HfO膜)、アルミニウム酸化膜(AlO膜)、チタン酸化膜(TiO膜)、ルテニウム酸化膜(RuO膜)、チタン窒化膜(TiN膜)、タンタル窒化膜(TaN膜)、コバルト膜(Co膜)、ニッケル膜(Ni膜)、ルテニウム膜(Ru膜)、等を成膜する場合に好適に適用される。また、これらの膜種を組み合わせたジルコニウムシリコン酸化膜(ZrSiO膜)、ハフニウムシリコン酸化膜(HfSiO膜)、ジルコニウムアルミニウム酸化膜(ZrAlO膜)、ハフニウムアルミニウム酸化膜(HfAlO膜)、チタン炭窒化膜(TiCN膜)、等の三元系化合物を成膜することができる。または、二元系化合物に他の元素をドーピングすることができる。
【0107】
また、不活性ガスとしては、N
2ガスの他、Arガス、Heガス、Neガス、Xeガス等の希ガスを用いてもよい。
【0108】
また、本発明は、例えば、既存の基板処理装置のガス供給系を改造し、プロセスレシピを変更することでも実現できる。プロセスレシピを変更する場合は、本発明に係るプロセスレシピを電気通信回線や当該プロセスレシピを記録した記録媒体を介して既存の基板処理装置にインストールしたり、また、既存の基板処理装置の入出力装置を操作し、そのプロセスレシピ自体を本発明に係るプロセスレシピに変更したりすることも可能である。
【0109】
以上、本発明の種々の典型的な実施の形態として成膜技術について説明してきたが、本発明はそれらの実施の形態に限定されない。例えば、酸化膜や窒化膜、金属膜等の種々の膜を形成する成膜処理や、拡散処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。また、本発明は、アニール処置装置の他、薄膜形成装置、エッチング装置、酸化処理装置、窒化処理装置、塗布装置、加熱装置等の他の基板処理装置にも適用できる。また、本発明は、これらの装置が混在していてもよい。従って、本発明の範囲は、次の特許請求の範囲によってのみ限定されるものである。
【0110】
(本発明の好ましい態様)
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0111】
(付記1)
本発明の好ましい一態様によれば、
基板を収容する処理室と、
原料ガスを前記基板に供給する原料ガス供給系と、
第1反応ガス供給管を介して反応ガスを前記基板に供給する第1反応ガス供給系と、
前記第1反応ガス供給管に接続された第2反応ガス供給管を介して前記反応ガスを前記基板に供給する第2反応ガス供給系であって、前記第2反応ガス供給管には前記反応ガスを溜めるガス溜め部が設けられ、該ガス溜め部を介して前記反応ガスを前記基板に供給する第2反応ガス供給系と、
前記原料ガス供給系、前記第1反応ガス供給系および前記第2反応ガス供給系を制御して、前記原料ガスを基板に供給する処理と、第1反応ガス供給管および前記第2反応ガス供給管から前記反応ガスを前記基板に供給する処理と、を行うよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0112】
(付記2)
好ましくは、前記制御部は前記第1反応ガス供給系および前記第2反応ガス供給系を制御して、前記原料ガスを前記基板に供給する際、同時に前記ガス溜め部に前記反応ガスを溜めるよう構成される。
【0113】
(付記3)
好ましくは、前記第1反応ガス供給系は、さらに、前記第2反応ガス供給管との接続部より上流側の前記第1反応ガス供給管に設けられた反応ガス活性化装置を有し、
前記制御部は前記第1反応ガス供給系および前記第2反応ガス供給系を制御して、前記原料ガスを前記基板に供給する際に、前記反応ガス活性化装置から前記第2反応ガス供給管を介して前記反応ガスを前記ガス溜め部に溜めるよう構成される。
【0114】
(付記4)
好ましくは、
前記制御部は前記第1反応ガス供給系および前記第2反応ガス供給系を制御して、前記原料ガスを前記基板に供給する処理と、前記反応ガスを前記基板に供給する処理とを交互に複数回行うよう構成される。
【0115】
(付記5)
好ましくは、
前記第2反応ガス供給系は前記第1反応ガス供給系および前記第2反応ガス供給系を制御して、前記ガス溜め部に設けられた圧力計と、前記反応ガス活性化装置と前記ガス溜め部との間の前記第2反応ガス供給管に接続されたベントラインと、を有し、
前記制御部は、前記反応ガスを前記ガス溜め部に溜める際、前記圧力計の値が所定の値となった場合に前記反応ガスの前記ガス溜め部への供給を停止して前記反応ガスを前記ベントラインへ供給するよう構成される。
【0116】
(付記6)
好ましくは、前記反応ガスは、酸化ガスである。
【0117】
(付記7)
好ましくは、前記酸化ガスは、酸素ガスであり、反応ガス活性化装置はオゾナイザであり、前記反応ガス活性化装置を介して前記処理室に供給される酸化ガスはオゾンである。
【0118】
(付記8)
好ましくは、さらに、前記第1反応ガス供給管に接続され、第3反応ガス供給管を介して前記反応ガスを前記基板に供給する第3反応ガス供給系であって、前記第3反応ガス供給管には前記反応ガスを溜める第2ガス溜め部が設けられ、該第2ガス溜め部を介して前記反応ガスを前記基板に供給する第3反応ガス供給系を有し、
前記制御部は前記第1反応ガス供給系、前記第2反応ガス供給系および前記第3反応ガス供給系を制御して、前記反応ガスを前記基板に供給する際は、前記基板に第1反応ガス供給管、前記第2反応ガス供給管および前記第3反応ガス供給管から前記反応ガスを前記基板に供給するよう構成される。
【0119】
(付記9)
本発明の他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記処理室に接続され、前記処理室に収容された基板に反応ガスを供給する第1反応ガス供給ラインと、
前記第1反応ガス供給ラインの開閉を行う第1バルブと、
一端が前記第1バルブより上流側で前記第1反応ガス供給ラインに接続され、他端が前記処理室に接続され、前記処理室に収容された基板に反応ガスを供給する第2反応ガス供給ラインと、
前記第2反応ガス供給ラインに設けられたガス溜め部と、
前記第1反応ガス供給ラインと前記ガス溜め部の間に設けられ、前記第2反応ガス供給ラインの開閉を行う第2バルブと、
前記ガス溜め部と前記処理室の間に設けられ、前記第2反応ガス供給ラインの開閉を行う第3バルブと、
前記第1バルブ、前記第2バルブおよび前記第3バルブを制御して、前記第1バルブおよび前記第3バルブを閉じた状態で前記第2バルブを開けて前記反応ガスを前記ガス溜め部に溜め、処理室に収容した基板に前記反応ガスを供給する際は、前記第1バルブおよび前記第3バルブを開けて前記第1反応ガス供給ラインおよび前記第2反応ガス供給ラインから同時に前記反応ガスを前記基板に供給するよう構成される制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0120】
(付記10)
好ましくは、前記第2バルブを開けた状態で前記反応ガスを前記基板に供給する。
【0121】
(付記11)
好ましくは、前記第2バルブを閉じた状態で前記反応ガスを前記基板に供給する。
【0122】
(付記12)
好ましくは、前記処理室に収容された基板に原料ガスを供給する原料ガス供給ラインと、
前記原料ガス供給ラインを開閉する第4バルブと、
を有し、
前記制御部は、前記第1バルブ、前記第2バルブ、前記第3バルブおよび前記第4バルブを制御して、前記第1バルブを閉じた状態で前記第4バルブを開けて前記原料ガス供給ラインから前記処理室に収容された基板に前記原料ガスを供給する処理と、前記第1バルブおよび前記第3バルブを閉じた状態で前記第2バルブを開けて前記反応ガスを前記ガス溜め部に溜める処理と、前記第1バルブおよび前記第3バルブを開けて前記第1反応ガス供給ラインおよび前記第2反応ガス供給ラインから同時に前記反応ガスを前記基板に供給する処理と、を行うよう構成される。
【0123】
(付記13)
好ましくは、前記制御部は、前記第1バルブ、前記第2バルブ、前記第3バルブおよび前記第4バルブを制御して、前記基板に前記原料ガスを供給する処理と前記反応ガスを前記ガス溜め部に溜める処理を同時に行うよう構成される。
【0124】
(付記14)
さらに他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記基板に反応ガスを供給する第1反応ガス供給系と、
前記第1反応ガス供給系に接続され、前記反応ガスを溜めるガスタンクを有し、前記基板に反応ガスを供給する第2反応ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対して、前記ガスタンクに前記反応ガスを溜める処理と、前記基板に前記第1反応ガス供給系を介して前記反応ガスを供給するとともに、前記ガスタンクに溜められた前記反応ガスを前記第2反応ガス供給系を介して供給する処理と、を行うことにより、前記基板を処理するよう前記原料ガス供給系、前記第1反応ガス供給系および前記第2反応ガス供給系とを制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0125】
(付記15)
さらに他の態様によれば、
基板を収容する処理室と、
前記基板に原料ガスを供給する原料ガス供給系と、
前記基板に反応ガスを供給する第1反応ガス供給系と、
前記第1反応ガス供給系に接続され、前記反応ガスを溜めるガスタンクを有し、前記基板に反応ガスを供給する第2反応ガス供給系と、
前記処理室内の基板に対して、前記原料ガスを供給する処理と、前記ガスタンクに前記反応ガスを溜める処理と、前記基板に前記第1反応ガス供給系を介して前記反応ガスを供給するとともに、前記ガスタンクに溜められた前記反応ガスを前記第2反応ガス供給系を介して供給する処理と、を行うことにより、前記基板上に膜を形成するよう前記原料ガス供給系、前記第1反応ガス供給系および前記第2反応ガス供給系とを制御する制御部と、
を有する基板処理装置が提供される。
【0126】
(付記16)
本発明の他の態様によれば、
処理室に収容された基板に原料ガスを供給する工程と、
第1反応ガス供給管およびガス溜め部が設けられた第2反応ガス供給管から同時に前記基板に反応ガスを供給する工程と、
前記ガス溜め部に前記反応ガスを溜める工程と、
を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0127】
(付記17)
好ましくは、前記原料ガスを供給する工程と、前記ガス溜め部に前記反応ガスを溜める工程とを同時に行う。
【0128】
(付記18)
好ましくは、前記反応ガスを溜める工程では、前記反応ガスは前記第1反応ガス供給管に設けられた反応ガス活性化装置を介して前記ガス溜め部に前記反応ガスを溜める。
【0129】
(付記19)
さらに他の態様によれば、
処理室に接続され反応ガスを供給する第1の反応ガス供給ラインに接続された第2の反応ガス供給ラインに設けられたガスタンクに前記反応ガスを溜める工程と、
前記処理室に収容された基板に、前記第1の反応ガス供給ラインを介して前記反応ガスを供給するとともに、前記ガスタンクに溜められた前記反応ガスを前記第2の反応ガス供給ラインを介して供給する工程と、
を行うことにより、前記基板を処理する工程を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0130】
(付記20)
さらに他の態様によれば、
処理室に収容された基板に原料ガスを供給する工程と、
前記処理室に接続され反応ガスを供給する第1反応ガス供給系に接続された第2反応ガス供給系に設けられたガスタンクに前記反応ガスを溜める工程と、
前記基板に、前記第1反応ガス供給系を介して前記反応ガスを供給するとともに、前記ガスタンクに溜められた前記反応ガスを前記第2の反応ガス供給ラインを介して供給する工程と、
を行うことにより、前記基板上に膜を形成する工程を有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0131】
(付記21)
さらに他の態様によれば、
基板を収容する処理室にオゾンを供給するオゾン供給機構であって、
オゾン生成器で生成したオゾンをリアルタイムに前記処理室に供給する第1機構と、
前記処理室にオゾンを供給する時間以外で生成したオゾンを貯蔵する第2機構と、
前記第1機構と前記第2機構を制御して、前記処理室にオゾンを供給する際は、リアルタイムに生成したオゾンと貯蔵されたオゾンを同時に供給するよう構成される制御部と、
を有するオゾン供給機構が提供される。
【0132】
(付記22)
さらに他の態様によれば、
反応ガスの活性化装置と、
当該活性化装置に接続され、当該活性化装置で活性化された反応ガスを基板に供給する第1ノズルと、
前記活性化装置に接続され、前記活性化された反応ガスを貯蔵するガスタンクを有し、ガスタンクから前記基板に反応ガスを供給する第2ノズルと、
を有する反応ガス供給系が提供される。
【0133】
(付記23)
さらに、本発明の他の態様によれば、
処理室に収容された基板に原料ガスを供給する手順と、
第1反応ガス供給管および第2反応ガス供給管から前記基板に反応ガスを供給する手順と、
前記第2反応ガス供給管に設けられたガス溜め部に前記反応ガスを溜める手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0134】
(付記24)
さらに、本発明の他の態様によれば、
処理室に収容された基板に原料ガスを供給する手順と、
第1反応ガス供給管および第2反応ガス供給管から前記基板に反応ガスを供給する手順と、
前記第2反応ガス供給管に設けられたガス溜め部に前記反応ガスを溜める手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。
【0135】
(付記25)
さらに他の態様によれば、
第1反応ガス供給系とガスタンクを有する第2反応ガス供給系から前記基板に反応ガスを供給する手順と、
処理室に収容された基板に原料ガスを供給する手順と、
前記処理室に接続され反応ガスを供給する第1の反応ガス供給ラインに接続された第2の反応ガス供給ラインに設けられたガスタンクに前記反応ガスを溜める手順と、
前記基板に、前記第1の反応ガス供給ラインを介して前記反応ガスを供給するとともに、前記ガスタンクに溜められた前記反応ガスを前記第2の反応ガス供給ラインを介して供給する手順と、をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0136】
(付記26)
さらに他の態様によれば、
第1反応ガス供給系とガスタンクを有する第2反応ガス供給系から前記基板に反応ガスを供給する手順と、
処理室に収容された基板に原料ガスを供給する手順と、
前記処理室に接続され反応ガスを供給する第1の反応ガス供給ラインに接続された第2の反応ガス供給ラインに設けられたガスタンクに前記反応ガスを溜める手順と、
前記基板に、前記第1の反応ガス供給ラインを介して前記反応ガスを供給するとともに、前記ガスタンクに溜められた前記反応ガスを前記第2の反応ガス供給ラインを介して供給する手順と、をコンピュータに実行させるプログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体が提供される。