特許第6222837号(P6222837)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222837
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】クリープ寿命評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20171023BHJP
   G01N 3/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G01N17/00
   G01N3/00 R
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-38149(P2014-38149)
(22)【出願日】2014年2月28日
(65)【公開番号】特開2015-161637(P2015-161637A)
(43)【公開日】2015年9月7日
【審査請求日】2016年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】514030104
【氏名又は名称】三菱日立パワーシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男
(74)【代理人】
【識別番号】100126893
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 哲男
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(72)【発明者】
【氏名】福島 寛明
(72)【発明者】
【氏名】平川 裕一
(72)【発明者】
【氏名】吉田 博明
(72)【発明者】
【氏名】徳本 壮男
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開平03−140841(JP,A)
【文献】 特開2003−004626(JP,A)
【文献】 特開2005−345308(JP,A)
【文献】 特開2007−071633(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0236333(US,A1)
【文献】 特開2008−134095(JP,A)
【文献】 特開2008−064570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 17/00
G01N 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一材料におけるクリープ寿命消費率とクリープ評価因子との関係である第一寿命評価カーブを取得する第一カーブ取得工程と、
前記第一材料にクリープ試験を実施して、破断時間に対する第三クリープ域の開始時間の比である第一評価比を取得する第一評価比取得工程と、
前記第一材料とは異なる第二材料にクリープ試験を実施して、破断時間に対する第三クリープ域の開始時間の比である第二評価比を取得する第二評価比取得工程と、
前記第一評価比と前記第二評価比との比に基づいて前記第一寿命評価カーブを補正することで、前記第二材料におけるクリープ寿命消費率とクリープ評価因子との関係である第二寿命評価カーブを取得する第二カーブ取得工程と、を含むクリープ寿命評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリープ寿命評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸気タービン等の動翼のように高温高圧下で長時間使用される構造部材は、クリープ損傷によって劣化してしまうおそれがある。そのため、定期点検等で構造部材のクリープ寿命を評価して損傷度の診断し、適切に補修や構造部材の交換を行う必要がある。
【0003】
特許文献1には、クリープ寿命評価方法として、被評価材である構造部材のクリープ寿命を直接評価する方法ではなく、クリープ損傷の非破壊的評価法が確立している材料を犠牲型センサとして被評価材に固着し、犠牲型センサのクリープ損傷度から間接的に被評価材のクリープ寿命の評価を実施する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−106947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このようなクリープ寿命による構造部材の余寿命評価は、基準となる構造部材の寿命評価線図を用いて行われる。この寿命評価線図は、予め基準となる構造部材から組織変化、機械的損傷変化や硬さ変化等のクリープ評価因子の特性変化と破断時間との関係を破壊試験や非破壊試験等によって測定することで取得される。取得方法としては、例えば、構造部材から作成した複数の試験片にクリープ試験を実施し、破断時間までの時間経過によるクリープ評価因子の特性変化として、試験片ごとに破断時間に至る前に異なる時間でクリープ試験を中断して、試験片の変化の様子を測定する方法が挙げられる。
【0006】
しかしながら、このような方法で取得した寿命評価線図は、材料が異なっていたり、材料が同じでも製造ロットが異なっていたりすることで、差異が生じてしまう。そのため、基準となる寿命評価線図を用いても、精度の高い余寿命評価を実施することが難しいという問題がある。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、精度の高い余寿命評価を実施可能なクリープ寿命評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明の一態様におけるクリープ寿命評価方法は第一材料におけるクリープ寿命消費率とクリープ評価因子との関係である第一寿命評価カーブを取得する第一カーブ取得工程と、前記第一材料にクリープ試験を実施して、破断時間に対する第三クリープ域の開始時間の比である第一評価比を取得する第一評価比取得工程と、前記第一材料とは異なる第二材料にクリープ試験を実施して、破断時間に対する第三クリープ域の開始時間の比である第二評価比を取得する第二評価比取得工程と、前記第一評価比と前記第二評価比との比に基づいて前記第一寿命評価カーブを補正することで、前記第二材料におけるクリープ寿命消費率とクリープ評価因子との関係である第二寿命評価カーブを取得する第二カーブ取得工程と、を含む。
【0009】
このようなクリープ寿命評価方法によれば、第一寿命評価カーブを第一評価比及び第二評価比に基づいて補正することで、第二部材の第二寿命評価カーブを高い精度で取得することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のクリープ寿命評価方法によれば、第一評価比と第二評価比との比に基づいて記第一寿命評価カーブを補正することで、評価対象である第二材料に対して、精度の高い余寿命評価を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態におけるクリープ寿命評価方法のフロー図である。
図2】本発明の実施形態における第一寿命評価カーブを示すグラフである。
図3】本発明の実施形態における第一材料に対してクリープ試験を実施した結果を示すグラフである。
図4】本発明の実施形態における第二材料に対してクリープ試験を実施した結果を示すグラフである。
図5】本発明の実施形態における第一寿命評価カーブ及び第二寿命評価カーブを示すグラフである。
図6】本発明の実施例における第一材料に対して実際にクリープ試験で求めた結果を示すグラフである。
図7】本発明の実施例における第二材料に対して実際にクリープ試験で求めた結果を示すグラフである。
図8】本発明の実施例における第一寿命評価カーブ及び第二寿命評価カーブを試験で求めたグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る本実施形態のクリープ寿命評価方法S1について図1から図5を参照して説明する。
クリープ寿命評価方法S1は、第一材料Aのクリープ寿命消費率とクリープ評価因子との関係を示す第一寿命評価カーブC1に補正を行うことにより、第二材料Bのクリープ寿命消費率とクリープ評価因子との関係を示す第二寿命評価カーブC2を取得して、第二材料Bの余寿命評価をする方法である。本実施形態のクリープ寿命評価方法S1は、図1に示すように、第一材料Aの第一寿命評価カーブC1を取得する第一カーブ取得工程S10と、第一材料Aにクリープ試験を実施して第一評価比R1を取得する第一評価比取得工程S20と、第二材料Bにクリープ試験を実施して第二評価比R2を取得する第二評価比取得工程S30と、第一評価比R1と第二評価比R2とに基づいて第一寿命評価カーブC1を補正することで第二材料Bの第二寿命評価カーブC2を取得する第二カーブ取得工程S40とを含む。
【0013】
ここで、第一材料Aとは、蒸気タービンの動翼等の構造部材に用いられる材料である。具体的には、本実施形態の第一材料Aは、マルテンサイト系のステンレス鋼である高クロム鋼である。
第二材料Bとは、第一材料Aとは異なり、余寿命評価を実施する評価対象となる構造部材の材料である。本実施形態の第二材料Bは、第一材料Aと同種のマルテンサイト系のステンレス鋼であって、含有している合金の組成比率が異なる高クロム鋼である。
【0014】
また、クリープ評価因子とは、クリープ損傷に影響を及ぼす因子であり、材料の硬さや組織の状態やボイドの面積率等が挙げられる。本実施形態では、クリープ評価因子としてボイドの面積率を用いる。
【0015】
第一カーブ取得工程S10では、第一材料Aにおけるクリープ寿命消費率とクリープ評価因子との関係である第一寿命評価カーブC1を取得する。具体的には、本実施形態の第一カーブ取得工程S10では、クリープ破断する時間を100%とした時の第一材料Aにおけるボイドの面積率の時間経過に伴う変化を第一寿命評価カーブC1として取得する。より具体的には、第一カーブ取得工程S10では、第一材料Aを用いて作成した複数のクリープ試験片に対してクリープ試験を実施し、クリープ破断する前に、クリープ試験片ごとに異なる時間でクリープ試験を中断する。その後、各クリープ試験片の断面組織観察を実施し、ボイドの面積率を測定する。クリープ試験を中断した時間の異なるクリープ試験片ごとに測定したボイドの面積率とそのクリープ試験片のクリープ寿命消費率との関係を、図2に示すように、第一寿命評価カーブC1として取得する。ここで、クリープ寿命消費率とは、時間経過を表しており、100%の位置が第一材料Aで作成したクリープ試験片がクリープ破断した時間に対応している。そして、第一寿命評価カーブC1は、時間が経過してクリープ寿命消費率が上昇し、材料に応じた定まる立ち上がり位置Xから立ち上がり初め、クリープ損傷によってボイドが発生し始めることを表している。
【0016】
なお、第一寿命評価カーブC1は、クリープ評価因子(例えば、ボイドの面積率d)との関数として、
C1=f(d)
のように表すことができる。
【0017】
第一評価比取得工程S20では、第一カーブ取得工程S10でクリープ試験片を作成した材料と同じ第一材料Aで、クリープ試験片を作成してクリープ試験を実施する。第一評価比取得工程S20では、第一材料Aでクリープ試験を実施してクリープ破断した破断時間Tr1に対する第三クリープ域の開始時間T31の比を第一評価比R1として取得する。第三クリープ域の開始時間T31とは、クリープ変形においてクリープ速度が一定である定常クリープの領域が終了して、クリープ速度が時間経過に伴って大きくなるように変化し始める時間である。具体的には、第一評価比取得工程S20では、クリープ試験を実施すると、クリープ試験時間に対するクリープひずみの関係が、図3に示すような曲線として取得できる。ここで、図3では、α点が第一材料Aにおける第三クリープ域の開始時間T31に対応する位置である。そして、クリープ破断するまでの破断時間Tr1に対するα点までの第三クリープ域の開始時間T31の比を第一評価比R1として取得する。
【0018】
第二評価比取得工程S30では、第一材料Aとは異なる第二材料Bで、クリープ試験片を作成してクリープ試験を実施する。第二評価比取得工程S30では、第二材料Bでクリープ試験を実施してクリープ破断した破断時間Tr2に対する第三クリープ域の開始時間T32の比を第二評価比R2として取得する。具体的には、第二評価比取得工程S30では、クリープ試験を実施すると、クリープ試験時間に対するクリープひずみの関係が、図4に示すような曲線として取得できる。ここで、図4では、β点が第二材料Bにおける第三クリープ域の開始時間T32に対応する位置である。即ち、第一評価比取得工程S20と第二評価比取得工程S30では、クリープ試験に使用した材料が第一材料Aと第二材料Bとで異なっているため、第三クリープ域の開始時間Tが異なっている。そして、クリープ破断するまでの破断時間Tr2に対するβ点までの時間の比を第二評価比R2として取得する。
【0019】
第二カーブ取得工程S40では、第一評価比R1と第二評価比R2との比に基づいて第一寿命評価カーブC1を補正することで、評価対象である第二材料Bにおけるクリープ寿命消費率とクリープ評価因子との関係である第二寿命評価カーブC2を取得する。具体的には、本実施形態の第二カーブ取得工程S40では、第一評価比R1と第二評価比R2との比に基づいて、第一寿命評価カーブC1の立ち上がり位置Xを補正して第二寿命評価カーブC2を取得する。より具体的には、図5に示すように、第二寿命評価カーブC2は、クリープ寿命消費率が100%の位置は第一寿命評価カーブC1から変化させずに、第一寿命評価カーブC1の立ち上がり位置Xを第一評価比R1に対する第二評価比R2の比率だけ移動させた立ち上がり位置Yとなる曲線に補正することで取得される。
【0020】
なお、第一寿命評価カーブC1の立ち上がり位置Xと移動後の立ち上がり位置Yとの関係は、
Y=(R1/R2)×X
として表記できる。
【0021】
また、第二寿命評価カーブC2は、第一寿命評価カーブC2と同様に、クリープ評価因子(例えば、ボイドの面積率d)との関数として、
C2=f(d)=1−{(1−Y)/(1−X)}×(1−f(d))
として、補正される。
【0022】
次に、本実施形態のクリープ寿命評価方法S1の作用について説明する。
本実施形態のクリープ寿命評価方法S1では、評価対象である第二材料Bについて評価を開始する前に、第一カーブ取得工程S10で、第二材料Bとは異なる第一材料Aで作成された複数のクリープ試験片にクリープ試験を実施する。そして、クリープ破断する前に、クリープ試験片ごとに異なる時間でクリープ試験を中断して、各クリープ試験片の断面組織観察を実施し、ボイドの面積率を測定する。測定したボイドの面積率とクリープ寿命消費率から第一寿命評価カーブC1を取得する。
【0023】
その後、第一評価比取得工程S20で、第一材料Aで作成されたクリープ試験片を用いて、クリープ破断するまでクリープ試験を実施し、クリープ試験時間に対するクリープひずみの関係を取得する。そして、第一材料Aで作成したクリープ試験片における破断時間Tr1に対する第三クリープ域の開始時間T31の比を第一評価比R1として取得する。
【0024】
また、第一評価比R1を取得した方法と同じように、第二評価比取得工程S30で、第二材料Bで作成されたクリープ試験片を用いて、クリープ破断するまでクリープ試験を実施し、クリープ試験時間に対するクリープひずみの関係を取得する。そして、第二材料Bで作成したクリープ試験片おける破断時間Tr2に対する第三クリープ域の開始時間T32の比を第二評価比R2として取得する。
【0025】
第一評価比R1と第二評価比R2とを取得後に、第二カーブ取得工程S40で、第一評価比R1と第二評価比R2との比に基づいて、クリープ寿命消費率が100%の位置は第一寿命評価カーブC1から変化させずに、第一寿命評価カーブC1の立ち上がり位置Xを第一評価比R1に対する第二評価比R2の比率だけ移動させた立ち上がり位置Yとなる曲線に補正して第二寿命評価カーブC2を取得する。そして、取得した第二寿命評価カーブC2に基づいて、第二材料Bの余寿命評価を実施する。
【0026】
上記のようなクリープ寿命評価方法S1によれば、第一寿命評価カーブC1を第一評価比R1及び第二評価比R2に基づいて補正することで、第二部材の第二寿命評価カーブC2を高い精度で取得することができる。即ち、第一評価比R1と第二評価比R2との比を取得するだけで、評価対象とは異なる第一材料Aの第一寿命評価カーブC1から、評価対象である第二材料Bの余寿命評価に必要な第二寿命評価カーブC2を高い精度で取得することができる。したがって、新たに複数の試験片を作成して試験や観察等を行って第二寿命評価カーブC2を求める必要が無くなり、評価対象である第二材料Bの第二寿命評価カーブC2を容易に取得することができる。これにより、第二材料Bに対して精度の高い余寿命評価を実施することができる。
【実施例】
【0027】
以下、実施例によって第一評価比R1と第二評価比R2の比と、第一寿命評価カーブC1と第二寿命評価カーブC2との比に相関関係があることを詳細に説明する。
12%のCr量を含有したマルテンサイト系の高クロム鋼からなる第一材料Aと、第一材料Aとは組成の異なるマルテンサイト系の高クロム鋼からなる第二材料Bに対して、600°、294MPaの条件でクリープ試験を実施した結果を図6及び図7に示す。
図6に示すように、第一材料Aに対するクリープ試験の結果は、本実施形態の第一評価比R1に該当する破断時間Tr1に対する第三クリープ域の開始時間T31の比が0.4となった。また、図7に示すように、第二材料Bに対するクリープ試験の結果は、本実施形態の第二評価比R2に該当する破断時間Tr2に対する第三クリープ域の開始時間T32の比が0.6となった。
【0028】
次に、クリープ試験を実施したものと同じ材料からなる第一材料A及び第二材料Bから、ボイドの面積率とクリープ寿命消費率との関係を寿命評価線図として取得すると、図8に示すような曲線が得られた。本実施形態の第一寿命評価カーブC1に該当する第一材料Aの寿命評価線図における曲線は、クリープ寿命消費率が40%の位置から曲線が立ち上がり始め、ボイドが発生し始めていることを示している。また、本実施形態の第二寿命評価カーブC2に該当する第二材料Bの寿命評価線図における曲線は、クリープ寿命消費率が60%の位置から曲線が立ち上がり始め、ボイドが発生し始めていることを示している。
【0029】
したがって、本実施形態に当てはめれば、第一評価比R1が0.4、第二評価比R2が0.6となっているため、第一評価比R1に対する第二評価比R2の比率が1.5となっている。これに対して、実際に測定して取得した第一寿命評価カーブC1の立ち上がり位置Xのクリープ寿命消費率が40%、第二寿命評価カーブC2の立ち上がり位置Yのクリープ寿命消費率が60%となっており、第一寿命評価カーブC1の立ち上がり位置Xに対する第二寿命評価カーブC2の立ち上がり位置Yの比率も1.5となっている。即ち、寿命評価線図における曲線の立ち上がり始める位置と、破断時間Trに対する第三クリープ域の開始時間Tの比とに相関関係があることが推認される。
【0030】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0031】
なお、本実施形態の第一材料A及び第二材料Bはマルテンサイト系の高クロム鋼を用いたが、このような高合金鋼に限定されるものではなく、一般的な鋼材であればよく、例えば低合金鋼を用いてもよい。
【0032】
また、本実施形態では、クリープ評価因子としてボイドの面積率を用いたが、これに限定されるものではない。例えば、クリープ評価因子として、材料の硬さを測定して用いてもよく、組織片を採取して観察することで組織の状態を測定して用いてもよい。
【符号の説明】
【0033】
S1…クリープ寿命評価方法 A…第一材料 B…第二材料 S10…第一カーブ取得工程 C1…第一寿命評価カーブ S20…第一評価比取得工程 R1…第一評価比 S30…第二評価比取得工程 R2…第二評価比 T…破断時間 T…第三クリープ域の開始時間 S40…第二カーブ取得工程 C2…第二寿命評価カーブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8