(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6222862
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】床面段差測定装置
(51)【国際特許分類】
B66B 3/02 20060101AFI20171023BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20171023BHJP
B66B 5/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
B66B3/02 V
B66B3/00 R
B66B5/00 D
【請求項の数】4
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-101434(P2016-101434)
(22)【出願日】2016年5月20日
【審査請求日】2016年5月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390025265
【氏名又は名称】東芝エレベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】万田 忠彦
【審査官】
有賀 信
(56)【参考文献】
【文献】
実開昭54−063642(JP,U)
【文献】
特開平08−157159(JP,A)
【文献】
特開2005−214833(JP,A)
【文献】
特開平04−191253(JP,A)
【文献】
特開平11−222808(JP,A)
【文献】
実開昭51−158249(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3181943(JP,U)
【文献】
特開平10−062165(JP,A)
【文献】
特開2015−044674(JP,A)
【文献】
実開平02−095807(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00─ 3/02
B66B 5/00─ 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータの乗りかごが着床した際、かご側敷居と乗り場側敷居との間に生じる段差を測定する床面段差測定装置であって、
箱状の本体部と、
前記本体部に対して上下方向に移動可能に取り付けられる箱状のスライド部と、
前記本体部を前記かご側敷居又は乗り場側敷居に置き、前記スライド部を上下方向に移動させて乗り場側敷居又はかご側敷居に置いたとき、その移動量に相当するスライド長さを床面段差として測定する測定部と、
前記測定部で測定されたスライド長さを表示する表示部と、
を備え、
収納時には、前記本体部とスライド部は一つの箱体を成し、測定時には、前記本体部からスライド部が上下方向に移動して二つの箱体が接続された形態を成す、
ことを特徴とする床面段差測定装置。
【請求項2】
前記測定部は、
前記本体部に取り付けられたラックギアと、
前記スライド部に設けられ、前記ラックギアと歯合するピニオンギアと、
前記ピニオンギアの回転ピッチに相当する移動量を電気信号に変換して表示部側に出力するロータリエンコーダと、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の床面段差測定装置。
【請求項3】
前記表示部は、スライド部の天井面に設けられ、前記移動量をデジタル表示する液晶表示器を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の床面段差測定装置。
【請求項4】
測定された前記移動量を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された移動量を前記表示部に表示させるメモリ読出しボタンと、
を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の床面段差測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、床面段差測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベータの乗りかごが目的階で着床すると、かご側ドア及び乗り場側ドアが開閉して利用者の乗り降りが可能となる。その際、かご側敷居と乗り場側敷居との間に一定以上の段差があると、利用者の乗り降りの障害となる。このため、かご側敷居(かご床面とも称する)と乗り場側敷居(ホール床面とも称する)との段差を予め測定して所定値以下となるように調整することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平3−116360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来における床面段差の測定は、カメラを使用して基準位置と乗りかごの着床位置との誤差を評価するようにしており、装置構成が大がかりとなる。また、ノギス等の測定器を使って測定することも行われているが、作業員が屈んで測定する必要があり、測定値の読み取りも正確に行うことができない、という課題がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑み、大がかりな装置を用いることなく、容易で正確な測定を可能とする床面段差測定装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための実施形態は、エレベータの乗りかごが着床した際、かご側敷居と乗り場側敷居との間に生じる段差を測定する床面段差測定装置であって、
本体部と、
前記本体部に対して上下方向に移動可能に取り付けられるスライド部と、前記本体部を前記かご側敷居又は乗り場側敷居に置き、前記スライド部を上下方向に移動させて乗り場側敷居又はかご側敷居に置いたとき、その移動量に相当するスライド長さを床面段差として測定する測定部と、前記測定部で測定されたスライド長さを表示する表示部と、を備えることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態の床面段差測定装置の使用状態を示す斜視図。
【
図2】実施形態の床面段差測定装置の収納状態(未使用状態)を示す斜視図。
【
図4】床面段差測定装置で段差を測定する際の作業手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は実施形態の床面段差測定装置の使用状態を示す斜視図、
図2は実施形態の床面段差測定装置の収納状態(未使用状態)を示す斜視図、
図3は床面段差測定装置の内部構成を示す説明図、
図4は床面段差測定装置で段差を測定する際の作業手順を示すフローチャートである。
【0009】
床面段差測定装置10は、本体部12と、この本体部12に対して縦方向に異動可能に取り付けられたスライド部14とから構成されている。本体部12のスライド部14と接する面にはラックギア16が取り付けられている。このラックギア16は、本体部12の上下方向中心部に設けられ、蟻ほぞ状に形成されている。
【0010】
スライド部14の本体部12と対向する面の中央部には上下方向に渡って蟻溝14aが形成されている。この蟻溝14aが本体部12の蟻ほぞ状に形成されたラックギア16と係合してスライド部14を上下方向に移動可能にする。
【0011】
また、スライド部14は、
図3に示すように、ピニオンギア18と、ロータリエンコーダ20と、液晶表示器22と、表示制御部24と、メモリ26と、リセットボタン28と、メモリ読出しボタン30と、ボタン電池32とを備えている。
【0012】
ピニオンギア18はラックギア16と歯合してスライド部14の上下方向の移動に伴ってラックギア16上を回転移動する。ロータリエンコーダ20は、ピニオンギア18の中心軸に内蔵されており、ピニオンギア18の回転数(移動量)に相当する電気信号を表示制御部24に供給する。具体的には、ピニオンギア18がラックギア16上を1ピッチ移動、例えば、0.5mmだけ移動したとするとこれに相当する電気信号を出力する。
【0013】
液晶表示器22は、
図1、
図2に示すように、スライド部14の天井面に表示部分が位置するように取り付けられており、スライド部14を上下方向に移動させた際、その移動量に相当するスライド長さを、例えば0.1mm単位でデジタル表示する。
【0014】
表示制御部24は、ロータリエンコーダ20からの電気信号を取り込んで、段差(移動量)に相当するスライド長さを液晶表示器22に表示させる。また、その移動量をメモリ26に記憶させる機能を有する。リセットボタン28は、装置を初期化する際に操作され、液晶表示器22の表示をリセットする機能を有する。メモリ読出しボタン30は、メモリ26に記憶されている移動量データ(段差データ)を読み出す際に操作される。ボタン電池32は、装置10の各部の電源となり、CR2032等で構成される。
【0015】
次に、以上の構成の床面段差測定装置10において、エレベータの乗りかごが着床した際、かご側敷居と乗り場側敷居との間に生じる段差を測定する方法について
図4のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0016】
先ず、エレベータを段差を測定する目的階まで走行させる(ステップS2)。エレベータが目的階に着床し、かご側ドア及び乗り場側ドアが開閉すると、本体部12を乗り場側敷居34に載置する。このとき、本体部12の底面が乗り場側敷居34上にガタつくことなく平行に、すなわち、ラックギア16と乗り場側敷居34とのなす角度が垂直になるように正確に載置する(ステップS4)。
【0017】
次いで、この状態で本体部12に対してスライド部14をかご側敷居36方向に移動させる(ステップS6)。ピニオンギア18は、ラックギア16上を1ピッチ移動する毎に0.5mmずつ表示を刻む。スライド部14の底面がかご側敷居36上に載置された時点で、液晶表示器22に表示された数字を読み取って記録する(ステップS8)。また、このとき、表示された数字がメモリ26に記憶される。また、作業員が表示された数字をノートに記録する。記録が完了すると、次の目的階までエレベータの乗りかごを移動させ、同様の段差測定処理を実行する。
【0018】
このように本実施形態によれば、コンパクトな装置構成で容易かつ正確に段差を測定することができる。また、本体部12を乗り場側敷居34(又はかご側敷居36)に置き、スライド部14を下方向に移動させてかご側敷居36(又は乗り場側敷居34)に置いたとき、液晶表示器22に表示された数字を読み取るだけの簡単な作業で段差を測定することができる。しかも、液晶表示器22はスライド部14の天井面に設けられているので、作業員は屈み込んで表示を読み取る必要はなく、読み取り作業が簡単になる。
【0019】
また、メモリ26内に測定された段差データを記憶させることができ、また、適宜読み出すことができる。このため、測定日時毎の段差の推移や測定階毎の段差の傾向等、統計的な調査することができ、利便性が向上する。
【0020】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0021】
10…床面段差測定装置、12…本体部、14…スライド部、16…ラックギア(測定部)、18…ピニオンギア(測定部)、20…ロータリエンコーダ(測定部)、22…液晶表示器、24…表示制御部、26…メモリ、28…リセットボタン、30…メモリ読出しボタン、32…ボタン電池、34…乗り場側敷居(ホール床面)、36…かご側敷居(かご床面)。
【要約】
【課題】大がかりな装置を用いることなく、容易で正確な測定を可能とする床面段差測定装置を提供する。
【解決手段】エレベータの乗りかごが着床した際、かご側敷居と乗り場側敷居との間に生じる段差を測定する床面段差測定装置10であって、本体部12と、本体部12に対して上下方向に移動可能に取り付けられるスライド部14と、本体部12をかご側敷居又は乗り場側敷居に置き、スライド部14を上下方向に移動させて乗り場側敷居又はかご側敷居に置いたとき、その移動量に相当するスライド長さを床面段差として測定する測定部16,18,20と、測定部16,18,20で測定されたスライド長さを表示する表示部22,24とを備える。
【選択図】
図3