特許第6222865号(P6222865)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6222865
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】搬送台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 5/00 20060101AFI20171023BHJP
   B65G 47/52 20060101ALI20171023BHJP
   B62D 65/18 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B62B5/00 F
   B65G47/52 101A
   B62D65/18 C
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-111655(P2016-111655)
(22)【出願日】2016年6月3日
【審査請求日】2017年7月31日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】310021788
【氏名又は名称】株式会社 メンテック
(74)【代理人】
【識別番号】100107906
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 克彦
(72)【発明者】
【氏名】多賀谷 順一
【審査官】 岸 智章
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−018231(JP,A)
【文献】 特開2004−331052(JP,A)
【文献】 特開平06−087529(JP,A)
【文献】 実開平01−058367(JP,U)
【文献】 実開昭58−081172(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00− 5/08
B62D 65/00−67/00
B65G 47/52
47/56−47/62
47/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の装置からワーク(W)を受け取り、受け取ったワーク(W)を第2の装置まで搬送する搬送台車において、
搬送基台(10)と、
搬送基台(10)に設けられた車輪(20)と、
搬送基台(10)上に配置されたワーク載置台(30)と、
搬送基台(10)とワーク搭載台(30)の間に配置され、ワーク載置台(30)を支持するスプリング(40)と、
ワーク(W)が載置されたワーク載置台(30)を第2の装置で規定されたワーク受け渡し高さまで押し上げて、かつその高さに保持するクランプ機構(50)と、を備え、
前記クランプ機構(50)は、操作レバー(51)の回動に応じてスライドアーム(52)を水平方向にスライドさせるスライド機構(53)と、一対の回転アーム(56,56)と、スライドアーム(52)のスライドに応じて一対の回転アーム(56,56)を回転させる回転機構(K1)と、を備え、一対の回転アーム(56,56)が回転してワーク載置台(30)の下面側に当接し、ワーク載置台(30)を押し上げるように構成され、
前記回転機構(K1)は、スライドアーム(52)の先端に回転可能に係合された連結ロッド(54)と、連結ロッド(54)の先端に接続された可動シャフト(55)と、を備え、前記一対の回転アーム(56,56)は、可動シャフト(55)の両端に回転可能に係合され、かつ支軸(57)を中心に回転可能に構成されたことを特徴とする搬送台車。
【請求項2】
前記回転アーム(56)の回転角を規制するトグル調整ストッパ(58)を備えることを特徴とする請求項1に記載の搬送台車。
【請求項3】
前記回転アーム(56)の先端にカムフォロア(59)が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の搬送台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の装置からワークを受け取り、第2の装置までワークを搬送する搬送台車に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の生産工場等において、各装置間にてワークを搬送する搬送台車が用いられている。搬送台車は生産工場等に設置された第1の装置から自動車部品等のワークを受け取り、ワーク載置台上に載置した状態で、生産工場等の別の場所に設置された第2の装置までワークを搬送して第2の装置に受け渡す。第1、第2の装置は、例えば、自動車部品の組立装置、加工装置等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014−213409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
搬送中のワークの振動による破損等を防止するためには、例えば搬送台車の車輪に振動吸収用のスプリングを取り付けることが考えられる。
【0005】
しかしながら、第1の装置からワークを受け取り、これをワーク載置台上に乗せると、ワークの荷重によりスプリングが収縮するため、その分、ワーク載置台の高さが低くなる。ワークが例えば数100キログラムというような荷重の大きい自動車部品である場合には、スプリングの収縮量も相当大きくならざるを得ない。すると、ワーク載置台の高さが、第2の装置で規定されたワーク受け渡し高さにより低くなるためにワークを第2の装置に受け渡すことが困難になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の搬送台車は、上述の課題に鑑みて為されたものであり、第1の装置からワーク(W)を受け取り、受け取ったワーク(W)を第2の装置まで搬送する搬送台車において、搬送基台(10)と、搬送基台(10)に設けられた車輪(20)と、搬送基台(10)上に配置されたワーク載置台(30)と、搬送基台(10)とワーク搭載台(30)の間に配置され、ワーク載置台(30)を支持するスプリング(40)と、ワーク(W)が載置されたワーク載置台(30)を第2の装置で規定されたワーク受け渡し高さまで押し上げて、かつその高さに保持するクランプ機構(50)と、を備え、
前記クランプ機構(50)は、操作レバー(51)の回動に応じてスライドアーム(52)を水平方向にスライドさせるスライド機構(53)と、一対の回転アーム(56,56)と、スライドアーム(52)のスライドに応じて一対の回転アーム(56,56)を回転させる回転機構(K1)と、を備え、一対の回転アーム(56,56)が回転してワーク載置台(30)の下面側に当接し、ワーク載置台(30)を押し上げるように構成され、
前記回転機構(K1)は、スライドアーム(52)の先端に回転可能に係合された連結ロッド(54)と、連結ロッド(54)の先端に接続された可動シャフト(55)と、を備え、前記一対の回転アーム(56,56)は、可動シャフト(55)の両端に回転可能に係合され、かつ支軸(57)を中心に回転可能に構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の搬送台車によれば、搬送中は振動吸収用のスプリングによりワークの振動を防止することができることに加えて、ワークを第2の装置に受け渡す際には、クランプ機構によりワーク載置台を第2の装置で規定されたワーク受け渡し高さまで押し上げて、かつその高さに保持することにより、ワークの受け渡しを円滑に遂行することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態における搬送台車の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態における搬送台車の正面図である。
図3】本発明の実施形態における搬送台車の右側面図である。
図4】本発明の実施形態における搬送台車の平面図である。
図5】本発明の実施形態における搬送台車のクランプ機構の詳細を示す図である。
図6】本発明の実施形態における搬送台車のスライド機構の詳細を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態における搬送台車を図1乃至図6に基づいて説明する。先ず、図1に基づいて、搬送台車100の概略の構成を説明する。この搬送台車100は、第1の装置(不図示)からワークWを受け取り、受け取ったワークWを第2の装置(不図示)まで搬送するもので、搬送基台10と、搬送基台10に設けられた4個の車輪20と、搬送基台10の上に配置されたワーク載置台30と、を備える。
【0010】
搬送台車100は、さらに、搬送中のワークWの振動によるワークWの破損等を防止するためのスプリング40と、ワークWを第2の装置に受け渡す際に、ワーク載置台30を規定の高さにクランプするためのクランプ機構50を備える。
【0011】
スプリング40は、例えばコイルスプリングからなり、搬送基台10とワーク載置台30の間に配置され、ワーク載置台30を支持するように搬送基台10及びワーク載置台30の4個のコーナー部にそれぞれ配置されている。クランプ機構50の具体的な構成は後述するが、ワークWが載置されたワーク載置台30をその荷重に抗して第2の装置で規定されたワーク受け渡し高さまで押し上げて、かつその高さに保持するように構成されている。第1、第2の装置は、前述のように、例えば、自動車部品の組立装置、加工装置等である。
【0012】
次に、搬送台車100の動作を図1の模式図に基づいて説明する。先ず、図1(a)に示すように、ワークWを積んでいないフリーの状態では、ワーク載置台30の上面の高さは、h1になっている。図1(b)に示すように、第1の装置からワークWを受け取ると、その荷重によりスプリング40が収縮し、ワーク載置台30の上面の高さはh2(h2<h1)と低くなる。
【0013】
この状態で、搬送台車100を走行させる。搬送台車100が第2の装置の手前に到着すると、図1(c)に示すように、クランプ機構50を働かせることで、ワーク載置台30が押し上げられ、かつ第2の装置で規定されたワーク受け渡し高さh3(h3>h2)にクランプされる。h3は、第2の装置側の規定にもよるが、例えばフリー状態の高さh1と同じである。
【0014】
次に、クランプ機構50の詳細を図2乃至図4に基づいて説明する。図2は、搬送台車100の正面図、図3はその右側面図、図4はその平面図である。また、図5は、クランプ機構50の動作を示す図で、図5(a)はその正面図、図5(b)はその右側面図である。
【0015】
搬送台車100のワーク載置台30は枠体31と、枠体31の内側に取り付けられた多数の搬送ローラ32を備える。なお、図4において、クランプ機構50を見やすくするために搬送ローラ32の図示を省略している。
【0016】
クランプ機構50は、操作レバー51の回動に応じてスライドアーム52を水平方向にスライドさせるスライド機構53と、一対の回転アーム56,56と、スライドアーム52のスライドに応じて一対の回転アーム56,56を回転させる回転機構K1と、を備え、一対の回転アーム56,56が回転してワーク載置台30の下面側に当接し、ワーク載置台30を押し上げるように構成されている。
【0017】
スライド機構53の詳細については後述するが、操作レバー51を、その下死点から支点S1を中心に図2のA方向(反時計回り方向)に回動させると、スライド機構53の本体からスライドアーム52が水平方向(図2図4図5(a)の左方向)に進出するように構成されている。
【0018】
回転機構K1の詳細を説明する。スライドアーム52の先端には、連結ロッド54が支点S2を中心にスライドアーム52に対し垂直面内で回転可能に係合されている。この連結ロッド54の先端に可動シャフト55が連結ロッド54に対して左右方向に直角に延びるように接続されている。この可動シャフト55の両端に一対の回転アーム56,56が係合されている。これらの回転アーム56,56は、可動シャフト55に対し、支点S3を中心に垂直面内で回転可能であり、かつ、その長手方向に略中央に設けられた支軸57を中心に回転可能に構成されている。
【0019】
次にクランプ機構50の動作を説明する。スライドアーム52が水平方向(図2図4図5(a)の左方向)にスライド(進出)すると、これに応じて、連結ロッド54が反時計回りに若干回転し、一対の回転アーム56,56が時計回りに回転してワーク載置台30の下面側に当接し、ワーク載置台30を押し上げる(特に、図5(a)を参照)。
【0020】
この場合、作業者が操作レバー51を下死点からA方向(反時計回り方向)に約185度回動させると、一対の回転アーム56,56は、垂直立ちから若干オーバー回転して、搬送基台10に固定されたトグル調整ストッパ58に当接し、その回転が規制されることでトグルクランプが働く。これにより、ワーク載置台30は規定の高さに保持される。
【0021】
一方、操作レバー51を下死点の位置に戻すと、スライドアーム52が水平方向(図2図4図5(a)の右方向)にスライド(後退)し、一対の回転アーム56,56が反時計回りに回転してワーク載置台30の下方に逃げることにより、トグルクランプが解除されるようになっている。
【0022】
なお、図5(a),(b)においては、操作レバー51、スライドアーム52、回転アーム56,56、及びワーク載置台30、搬送ローラ32等の動きの様子を一つの図の中に重ねて描いてある。また、図5(b)の右側はワーク載置台30がワークWの荷重により押し下げられた時の状態、左側はワーク載置台30がトグルクランプにより押し上げられた状態を示している。
【0023】
このように、クランプ機構50によれば、トグルクランプを利用しているので、例えば数100キログラムという荷重の大きなワークWを積載したワーク載置台30を規定の高さまで押し上げ、かつ保持することができる。
【0024】
また、一対の回転アーム56の先端にそれぞれカムフォロア59を設け、一対の回転アーム56,56の回転に応じてカムフォロア59がワーク載置台30の下面側に当接することで、回転アーム56とワーク載置台30との接触摩擦を低減することができる。さらに、ワーク載置台30の当接面に緩衝パッド60を設け、回転アーム56の当接時の衝撃を緩和することができる。
【0025】
なお、回転機構K1は、スライドアーム52の直線運動(スライド運動)を一対の回転アーム56,56の回転運動に変換するものであれば他の構成を採用することもできる。例えば、連結ロッド54の先端を回転シャフト(不図示)に接続し、連結ロッド54のスライドにより回転シャフトがその支軸を中心に回転するように構成する。そして、この回転シャフトの両端に一対の回転アーム56,56を取り付ける。
【0026】
次に、スライド機構53の詳細を図6に基づいて説明する。図6(a)は、スライド機構53の正面図、図6(b)はその平面図である。図6において、操作レバー51、及びスライドアーム52等の動きの様子を一つの図の中に重ねて描いてある。
【0027】
スライド機構53は、ベースブラケット61、中間ブラケット62、回転ブラケット63及び棒状の操作レバー51を備える。ベースブラケット61は、搬送基台10に固定された底板61aと、底板61aに立設された一対の側板61b,61bを備え、一対の側板61b,61bの間のスリット空間が長尺板状のスライドアーム52の案内路になっている。
【0028】
中間ブラケット62は、一対の側板62a,62aと、一対の側板62a,62aの上面の一部だけを覆うように接続された天板62bを備える。一対の側板62a,62aは、ベースブラケット61の一対の側板61b,61bに外接し、かつベースブラケット61の右上端に設けられた支点S4を中心に回転可能に係合されている。また、側板62b,62bの上面の一部には回転ブラケット63との干渉を防止するために、天板6bによって覆われることなく開放された開放部62cが形成されている。
【0029】
回転ブラケット63は、一対の側板63a,63aと、一対の側板63a,63aの上面を覆うように接続された天板63bを備える。一対の側板63a,63aは、中間ブラケット62の一対の側板62a,62aに内接している。そして、回転ブラケット63は、中間ブラケット62の右下端に設けられた支点S1を中心に回転可能に構成されている。また、スライドアーム52の右端は、回転ブラケット63の右端に設けられた支点S5に係合されている。天板63bには、操作レバー51が接続されている。
【0030】
また、スライドアーム52には、その長手方向に延びた2つの横穴52a,52aが並設されている。ベースブラケット61には、この横穴52a,52bをそれぞれ貫通するガイドピン61c,61dが設けられ、これにより、スライドアーム52のスライド・ストロークが決まっている。
【0031】
さて、操作レバー51が下死点にあるときは、ガイドピン61c,61dは、スライドアーム52の横穴52a,52bの左端に当接している。そして、作業者が操作レバー51を下死点からA方向(反時計回り方向)に回動させていくと、回転ブラケット63もA方向に回転し、一方、中間ブラケット62はA方向の逆方向に回転する。これにより、スライドアーム52がベースブラケット61から左水平方向にスライド(進出)していく。
【0032】
操作レバー51をさらにA方向に回転させていくと、中間ブラケット62はA方向に回転し始め、回転ブラケット63は中間ブラケット62の開放部62cを通過して上死点に達する。この時、ガイドピン61c,61dは、スライドアーム52の横穴52a,52bの右端に当接することになる。これにより、スライドアーム52のスライド(進出)が停止される。
【符号の説明】
【0033】
10 搬送基台
20 車輪
30 ワーク載置台
40 スプリング
50 クランプ機構
51 操作レバー
52 スライドアーム
53 スライド機構
54 連結ロッド
55 可動シャフト
56 回転アーム
57 支軸
58 トグル調整ストッパ
59 カムフォロア
60 緩衝パッド
61 ベースブラケット
62 中間ブラケット
63 回転ブラケット
【要約】
【課題】搬送中はワークの振動を防止することができることに加えて、ワークの受け渡しを円滑に遂行することが可能な搬送台車を提供する。
【解決手段】搬送台車100は、第1の装置からワークWを受け取り、受け取ったワークWを第2の装置まで搬送するもので、搬送基台10と、搬送基台10に設けられた4個の車輪20と、搬送基台10の上に配置されたワーク載置台30と、を備える。搬送台車100は、さらに、搬送中のワークWの振動によるワークWの破損等を防止するためのスプリング40と、ワークWを第2の装置に受け渡す際に、ワーク載置台30を規定の高さにクランプするためのクランプ機構50を備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6