(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記乗りかごが上記乗場呼びの登録階に停止したときに、上記乗りかご内に乗車する利用者の有無を判断し、その判断結果に応じた通知処理を行う通知処理手段をさらに具備したことを特徴とする請求項1記載のエレベータシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は第1の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図である。なお、第1の実施形態では、1台の乗りかごを有するシングルカーのエレベータシステムを想定して説明するが、複数台の乗りかごを有する群管理システムであっても適用可能である。
【0012】
乗りかご11の乗降口にかごドア12が開閉自在に取り付けられ、そのかごドア12の横にタッチパネル式の操作部14を有するかご操作盤13が設置されている。操作部14は、LCD(Liquid Crystal Display)とこのLCD上に載置された透明のタッチパネルとで構成され、建物の各階に対応した行先階ボタン15をタッチ操作可能に表示している。タッチパネルは、オブジェクト(例えば、利用者の指など)が接触した画面上の位置を検出可能なポインティングデバイスである。なお、タッチパネルの方式としては、例えば「抵抗膜方式」,「静電容量方式」等があるが、特にこれらの方式に限定されるものではない。
【0013】
利用者がかご操作盤13の操作部14上に表示された任意の階の行先階ボタン15をタッチすると、タッチパネル制御装置(T/P制御装置)31は、当該行先階ボタン15に対応したかご呼びを生成してエレベータ制御装置(EL制御装置)32に送る。
【0014】
また、かご操作盤13の下部には戸開ボタン16a、戸閉ボタン16b、非常呼びボタン17が設けられ、上部には表示部18とアナウンス部19が設けられている。
【0015】
戸開ボタン16aはかごドア12の戸開を指示するためのボタン、戸閉ボタン16bはかごドア12の戸閉を指示するためのボタンである。非常呼びボタン17は、外部(建物の監視室あるいは遠隔地に存在するエレベータの監視センタ等)と連絡するためのボタンである。これらのボタン16a,16b,17は、非常時に重要なボタンとなるため、操作の確実性の面から押下式の操作ボタンで構成されている。なお、操作の確実性が担保されれば、ボタン16a,16b,17についても操作部14に配置して行先階ボタン15と同様にタッチ操作可能な構成としても良い。
【0016】
表示部18は、LCDからなり、かご内インジケータとして乗りかご11の運転方向や現在位置を表示している。アナウンス部19は、音声アナウンスを出力する部分である。
【0017】
一方、各階の乗場21には乗場操作盤22が設置されている。乗場操作盤22には、2種類の乗場呼びボタン23,24と表示部25が設けられている。
【0018】
乗場呼びボタン23は、一般利用者が乗場呼びを登録するための操作ボタンであり、押下式の上方向ボタン23aと下方向ボタン23bからなる。乗場呼びボタン24は、車いす利用者が乗場呼び(車いす呼び)を登録するための操作ボタンであり、押下式の上方向ボタン24aと下方向ボタン24bからなる。なお、最上階では、乗場呼びボタン23は下方向ボタン23bのみで構成され、乗場呼びボタン24は下方向ボタン24bのみで構成される。最下階では、乗場呼びボタン23は上方向ボタン23aのみで構成され、乗場呼びボタン24は上方向ボタン24aのみで構成される。
【0019】
表示部25は、LCDからなり、乗場インジケータとして乗りかご11の運転方向や現在位置を表示している。
【0020】
ここで、「乗場呼び」とは、各階の乗場21で乗場呼びボタン23または乗場呼びボタン24の操作により登録される呼びの信号のことであり、登録階と行先方向の情報を含む。なお、乗場呼びボタン24の操作により登録される乗場呼びのことを「車いす呼び」とも言う。「車いす呼び」は、特殊呼びの1つであり、登録階と行先方向の情報に、車いす利用者であることを示す属性情報が含まれる。「かご呼び」とは、乗りかご11内で行先階ボタン15の操作により登録される呼びの信号のことであり、行先階の情報を含む。
【0021】
乗場呼びボタン23または乗場呼びボタン24の操作によって登録された乗場呼びと、行先階ボタン15の操作によって登録されたかご呼びは、それぞれに図示せぬ伝送ケーブルを介してエレベータ制御装置32に与えられる。
【0022】
また、各種ボタン16a,16b,17の信号についても同様であり、図示せぬ伝送ケーブルを介してエレベータ制御装置32に与えられる。
【0023】
エレベータ制御装置32は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータからなり、乗りかご11の運転制御を含むエレベータ全体の制御を行う。このエレベータ制御装置32には、タッチパネル式のかご操作盤13に関わる機能として、運転制御部32a、表示制御部32b、通知処理部32cが備えられている。なお、運転制御部32a、表示制御部32b、通知処理部32cは、実際にはソフトウェアによって実現される。
【0024】
運転制御部32aは、操作部14に表示された行先階ボタン15のタッチ操作によって登録されるかご呼びに基づいて乗りかご11の運転を制御する。
【0025】
表示制御部32bは、任意の階で乗場呼びボタン23の押下操作によって乗場呼びが登録された際に、乗りかご11が乗場呼びの登録階に停止するか否かを判断する。乗りかご11が乗場呼びの登録階に停止する場合、表示制御部32bは、操作部14上の乗場呼びの登録階に対応した行先階ボタン15に近接するエリアに乗場の利用者の存在を知らせるマークを表示する。
【0026】
通知処理部32cは、乗りかご11が乗場呼びの登録階に停止したときに、乗りかご11内に乗車する利用者の有無を判断し、その判断結果に応じた通知処理を行う。
【0027】
以下に、第1の実施形態の動作について説明する。
図2は第1の実施形態におけるエレベータ制御装置32の処理動作を示すフローチャートである。
【0028】
いま、任意の階で乗場呼びボタン23の押下操作により乗場呼びが登録され、その乗場呼びの情報がエレベータ制御装置32に与えられたとする(ステップA11のYes)。乗場呼びの情報が登録されると、エレベータ制御装置32は、その乗場呼びに含まれる行先方向と乗りかご11の運転方向、現在のかご呼びの状態に基づいて乗場呼びの登録階に乗りかご11が停止するか否かを判断する(ステップA12)。
【0029】
ここで、乗場呼びに含まれる行先方向と乗りかご11の運転方向が一致する場合、あるいは、かご呼びの登録階と乗場呼びの登録階が一致する場合には、乗場呼びの登録階に乗りかご11が停止するものと判断される。乗場呼びの登録階に乗りかご11が停止する場合(ステップA12のYes)、エレベータ制御装置32は、タッチパネル制御装置31を通じて当該乗場呼びの登録階に対応した行先階ボタン15の近傍に所定のマークを表示する(ステップA13)。
【0030】
すなわち、例えば
図3に示すように、乗りかご11が10階から下方向に運転中に、5階の乗場21で利用者が乗場呼びボタン23を押下して上方向または下方向の乗場呼びを登録したとする。
【0031】
乗場呼びの行先方向が下方向であれば(DN呼びの場合)、現在の乗りかご11の運転方向と一致するので、乗りかご11がかご呼びの有無に関係なく5階で停止する。このような場合、
図4に示すように、操作部14上の5階の行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40にマーク41が表示される。
【0032】
乗場呼びの行先方向が上方向であった場合であっても(UP呼びの場合)、かご呼びの行先階として5階が登録されていれば、利用者を降車させるために乗りかご11が5階で止まる。この場合、
図5に示すように、操作部14上の5階の行先階ボタン15の表示が登録済みを表わす状態に変わると共に、その行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40にマーク41が表示されることになる。
【0033】
なお、表示エリア40は、各階の行先階ボタン15のそれぞれに近接した位置に設定されている。
図4および
図5の例では、行先階ボタン15の右側に表示エリア40が設定されているが、行先階ボタン15の左側に表示エリア40を設定することでも良いし、行先階ボタン15の上側または下側に表示エリア40を設定することでも良い。また、表示エリア40の形状は矩形でも円形でも良く、要は他の行先階ボタン15の表示エリア40と重ならなければ良い。
【0034】
ここで、行先階ボタン15の近傍あるいは近接して表示エリア40を設定するとは、行先階ボタン15と表示エリア40を重ねて一体化することを含むものとする。すなわち、各階の行先階ボタン15にそれぞれに対応した表示エリア40を重ねて一体化構造とし、表示エリア40に表示するマーク41(後述する他のマークも同様)を行先階ボタン15の表記の中に重ね表示する。この場合、例えばマーク41の表示色を変えたり、マーク41が行先階ボタン15の上から透けて見えるように表示するなど、視覚的に区別できるように表示すれば良い。
【0035】
マーク41は、乗場21に一般利用者がいることを知らせるためのマークである。なお、
図4および
図5の例では、利用者を表しているが、マーク形状については特に限定されるものではなく、例えば記号等であっても良い。このマーク41は、一般利用者が乗場呼びを登録し、かつ、その乗場呼びの登録階に乗りかご11が停止する場合に表示される。これにより、乗りかご11内の利用者は、乗りかご11が停止する階に利用者がいることを事前に知ることができる。
【0036】
乗りかご11が乗場呼びの登録階に到着すると(ステップA14のYes)、エレベータ制御装置32は、乗場呼びの行先方向と乗場21の運転方向に基づいて乗りかご11に乗車する利用者がいるか否かを判断する(ステップA15)。
【0037】
ここで、乗場呼びの行先方向と乗場21の運転方向が一致していれば、乗りかご11に乗車する利用者がいるものと判断される。乗りかご11に乗車する利用者がいる場合(ステップA15のYes)、エレベータ制御装置32は、例えば
図6(a)に示すように、「乗り込まれる方がいます」といったようなメッセージを乗りかご11内のアナウンス部19から音声出力することで、乗りかご11内の利用者に対して当該階から乗車する利用者がいることを通知する(ステップA16)。
【0038】
一方、乗場呼びの行先方向と乗場21の運転方向が一致していない場合には、乗りかご11に乗車する利用者がいないものと判断される。乗りかご11に乗車する利用者がいない場合(ステップA15のNo)、エレベータ制御装置32は、例えば
図6(b)に示すように、「乗り込まれる方はいません」といったようなメッセージを乗りかご11内のアナウンス部19から音声出力することで、乗りかご11内の利用者に対して当該階から乗車する利用者がいないことを通知する(ステップA17)。
【0039】
このように乗車の有無を音声アナウンスすることで、例えば乗車する利用者がいる場合には戸開ボタン16aを押して利用者の乗車を待ってあげることができる。逆に乗場21に利用者がいるものの、到着した乗りかご11に乗車する利用者がいない場合には、乗車する利用者がいると誤解して戸開ボタン16aを押して戸開時間を無駄に延長してしまう行為を回避することができる。なお、通知方法としては、音声アナウンスに限らず、例えば乗りかご11内の表示部18にその旨のメッセージを表示しても良いし、音声と表示の両方で乗車の有無を知らせることでも良い。
【0040】
また、乗りかご11が乗場呼びの登録階に到着したときに、エレベータ制御装置32は、当該乗場呼びの登録階に対応した行先階ボタン15の近傍に表示されていたマークを消灯する(ステップA18)。
【0041】
このように第1の実施形態によれば、乗りかご11が停止する階の乗場21に利用者が待っている場合には、乗りかご11内のかご操作盤13上に利用者の存在を知らせるマーク41が表示される。これにより、乗りかご11内の利用者は乗場21に利用者がいることを事前に知ることができ、到着時に乗場21に利用者がいても慌てることがない。
【0042】
ここで、本実施形態では、タッチパネル式のかご操作盤13の特性を活かして行先階ボタン15の近くに設定された表示エリア40に利用者の存在を知らせるマーク41を表示している。したがって、例えば各階の乗場の様子を乗りかご内に設置したモニタに映し出す方法や、各階の乗場呼びを乗りかご内に設置した特別な機器を用いて知らせる方法と違って、スペース的な制約を受けず、また、意匠的な美観も損なわずに、各階の乗場おける利用者の有無を確実に知らせることができるといった利点がある。
【0043】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
【0044】
第2の実施形態では、複数台の乗りかごを有するエレベータの群管理システムが前提としている。各乗りかごには、上記第1の実施形態と同様にタッチパネル式のかご操作盤が用いられている。
【0045】
図7は第2の実施形態に係るエレベータシステムの構成を示す図であり、複数台(この例ではA〜C号機の3台)の乗りかごが群管理された構成が示されている。なお、乗りかごの台数について特に限定されるものではなく、少なくとも2台以上の乗りかごが群管理された構成であれば良い。
【0046】
図中の51a〜51cは号機制御装置である。号機制御装置51a〜51cは、各号機の乗りかご毎に設けられており、それぞれに対応した乗りかごの運転制御を行う。つまり、例えばA号機の制御装置51aは、A号機の乗りかご11aの運転制御を行う。これらの号機制御装置51a〜51cは、コンピュータによって構成され、上記第1の実施形態のエレベータ制御装置32と同様に、それぞれにタッチパネル式のかご操作盤13に関わる機能として、
図1に示した運転制御部32a、表示制御部32b、通知処理部32cが備えられているものとする。なお、これらの機能を後述する群管理制御装置53に持たせ、群管理制御装置53側で各号機のかご操作盤に対するマーク表示等の制御を行う構成としても良い。
【0047】
乗りかご11a〜11cは、それぞれに対応した巻上機の駆動により昇降路内を昇降動作する。乗りかご11a〜11cは、上記第1の実施形態における乗りかご11と同様であり、それぞれにタッチパネル式のかご操作盤13a〜13cを有する。なお、かご操作盤13a〜13cの構成については、基本的に
図1に示したかご操作盤13と同様であるため、ここではその詳しい説明は省略する。
【0048】
乗りかご11a〜11cの底部には、それぞれにかご室内の積載荷重を検知するための荷重検知器52a〜52cが設置されている。荷重検知器52a〜52cによって検知された荷重データは、かご呼びの情報などと共に号機制御装置51a〜51cを介して群管理制御装置53に伝送される。
【0049】
また、各階の乗場22には、乗場呼びを登録するための乗場操作盤22a,22b,22c…が設置されている。これらの乗場操作盤22a,22b,22c…についても、基本的に
図1に示した乗場操作盤22と同様であるため、ここではその詳しい説明は省略する。
【0050】
群管理制御装置53は、複数台の乗りかご11a〜11cの運転を群管理制御するための制御装置であり、号機制御装置51a〜51cと同様にコンピュータによって構成される。この群管理制御装置53には、群管理制御に関する機能として、呼び記憶部54、割当制御部55が備えられている。なお、割当制御部55は、実際にはソフトウェアによって実現される。
【0051】
呼び記憶部54は、各階の乗場操作盤22a,22b,22c…上の乗場呼びボタン23または乗場呼びボタン24の押下操作によって登録された乗場呼びの情報と当該乗場呼びが割り当てられた乗りかごの情報などを記憶する。
【0052】
割当制御部55は、新たな乗場呼びが登録された際に、号機制御装置51a〜51cから得られる乗りかご11a〜11cの運転状態(かご位置、運転方向、戸開閉状態など)や、乗場呼び・かご呼びの発生状況、荷重データなどの情報に基づいて乗りかご11a〜11cの中で最適な乗りかごを選出し、その乗りかごに当該乗場呼びを割り当てる。
【0053】
詳しくは、予め設定された評価関数(群管理用の制御プログラム)を用いて、当該乗場呼びを割り当てた場合の最適さを表す評価値を各乗りかご毎に算出し、最も評価の高い乗りかごに対し、乗場呼びの割当信号を出力する。なお、上記評価値は、その数値が小さいほど評価が高く、その数値が大きいほど評価が低くなることを示す。
【0054】
なお、乗場呼びの割当制御の方法については、本発明とは直接関係しないため、ここではその詳しい説明は省略するものとする。乗場呼びが割り当てられた乗りかごのことを「割当かご」あるいは「割当号機」と呼ぶ。
【0055】
割当かごが実際に乗場呼びの登録階に到着するまでの間、群管理制御装置53では、割当制御部55による演算処理を継続的に実施しており、その途中で他の乗りかごの方が早く応答できる状況になれば、当該乗場呼びを他の乗りかごに変更することがある。これを「割当変更」と呼ぶ。本実施形態では、このような割当変更が発生した場合でも、最終的に乗場呼びの登録階に応答する乗りかご内の利用者に乗場での利用者の有無を知らせることを目的としている。
【0056】
以下に第2の実施形態の動作について詳しく説明する。
【0057】
図8は第2の実施形態における群管理制御装置53と号機制御装置51a〜51cの処理動作を示すフローチャートである。
【0058】
いま、任意の階で乗場呼びボタン23の押下操作により乗場呼びが登録され、その乗場呼びの情報が群管理制御装置53に与えられたとする(ステップB11のYes)。乗場呼びの情報が登録されると、群管理制御装置53は、その乗場呼びの情報を呼び記憶部54に記憶した後、上述した割当制御部55を通じて乗りかご11a〜11cの中で最適な乗りかごを選出し、その乗りかごに当該乗場呼びを割り当てる(ステップB12)。
【0059】
ここで、乗りかご11a〜11cの中で乗場呼びが割り当てられた乗りかごに対応した号機制御装置は、その乗りかご内に設置されたかご操作盤13上の操作部14に対し、上記第1の実施形態と同様に、当該乗場呼びの登録階の乗場21に利用者がいることを知らせるためのマーク表示を行う(ステップB13)。
【0060】
すなわち、例えば
図9に示すように、A号機の乗りかご11aが10階から下方向に運転中に、5階の乗場21で登録された乗場呼びがA号機の乗りかご11aに割り当てられたとする。この場合、
図10に示すように、A号機の号機制御装置51aの制御の下で、A号機の乗りかご11a内の操作部14a上の5階の行先階ボタン15aの近傍に設定された表示エリア40aにマーク41aが表示される。
【0061】
ここで、割当変更がなく、A号機の乗りかご11aが当該乗場呼びの登録階である5階に到着した場合には(ステップB14のNo→B15)、A号機の号機制御装置51aは、乗りかご11a内の操作部14aに表示されていたマーク41aを消灯する(ステップB16)。なお、到着時に、乗りかご11aに乗車する利用者がいることを音声または表示、あるいはその両方で伝えるようにしても良い(
図6(a)参照)。
【0062】
一方、A号機の乗りかご11aが5階に到着するまでの間に、例えばB号機の乗りかご11bに当該乗場呼びが割当変更された場合(ステップB14のYes)、A号機の号機制御装置51aは、乗りかご11a内の操作部14aに表示されていたマーク41aを消灯する(ステップB17)。その際、マーク41aの表示が突然消えると、乗りかご11a内の利用者は故障と勘違いするので、
図11(a)に示すように、マーク41aを2回以上フリッカ(点滅)した後に徐々に消すものとする。
【0063】
また、割当変更先のB号機の号機制御装置51aでは、
図11(b)に示すように、B号機の乗りかご11b内の操作部14b上の5階の行先階ボタン15bの近傍に設定された表示エリア40bにマーク41bを表示する(ステップB18)。以後は、上記同様であり、例えばB号機の到着前にさらに別の号機の乗りかごに割当変更があれば、その割当変更先の乗りかごにマーク表示がなされる。
【0064】
このように第2の実施形態によれば、複数台の乗りかご11a〜11cを有するエレベータの群管理システムにおいて、例えば乗りかご11aから乗りかご11bに乗場呼びの割当変更が発生しても、最終的に乗場呼びの登録階に応答する乗りかご11bに対し、乗場21に利用者がいることを知らせるマーク41bが表示される。したがって、乗りかご11bの利用者は乗場21に利用者がいることを事前に知ることができ、到着時に乗場21に利用者がいても慌てることがない。
【0065】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。
【0066】
第3の実施形態では、任意の階の乗場で利用者が特殊呼びの1つのである車いす呼びを登録する場合を想定している。なお、上記第1の実施形態と同様に1台の乗りかごを有するシングルカーのエレベータシステムを例にして説明するが、上記第2の実施形態で説明したような複数台の乗りかごを有する群管理システムであっても適用可能である。
【0067】
システム構成は上記第1の実施形態における
図1と同様であるため、ここでは
図12乃至
図14を参照して第3の実施形態の処理動作について説明する。
【0068】
図12は第3の実施形態におけるエレベータ制御装置32の処理動作を示すフローチャートである。
【0069】
いま、任意の階で乗場呼びボタン23または乗場呼びボタン24の押下操作により乗場呼びが登録され、その乗場呼びの情報がエレベータ制御装置32に与えられたとする(ステップC11のYes)。乗場呼びの情報が登録されると、エレベータ制御装置32は、その乗場呼びに含まれる行先方向と乗りかご11の運転方向、現在のかご呼びの状態に基づいて乗場呼びの登録階に乗りかご11が停止するか否かを判断する(ステップC12)。
【0070】
乗場呼びに含まれる行先方向と乗りかご11の運転方向が一致する場合、あるいは、かご呼びの登録階と乗場呼びの登録階が一致する場合には、エレベータ制御装置32は、乗場呼びの登録階に乗りかご11が停止するものと判断する(ステップA12のYes)。
【0071】
ここで、乗場呼びには、一般利用者が乗場呼びボタン23の操作によって登録する通常の乗場呼びと、車いす利用者が乗場呼びボタン24の操作により登録する車いす呼びがある。乗場呼びが車いす呼びであった場合(ステップC13のYes)、エレベータ制御装置32は、タッチパネル制御装置31を通じて当該乗場呼びの登録階に対応した行先階ボタン15の近傍に所定のマークを表示する(ステップC14)。
【0072】
すなわち、例えば
図13に示すように、乗りかご11が10階から下方向に運転中に、5階の乗場21で車いす利用者が乗場呼びボタン24を押下して上方向または下方向の車いす呼びを登録したとする。
【0073】
車いす呼びの行先方向が下方向であれば(DN呼びの場合)、現在の乗りかご11の運転方向と一致するので、乗りかご11がかご呼びの有無に関係なく5階で停止する。このような場合、
図14に示すように、操作部14上の5階の行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40にマーク42が表示される。
【0074】
また、車いす呼びの行先方向が上方向であった場合であっても(UP呼びの場合)、かご呼びの行先階として5階が登録されていれば、利用者を降車させるために乗りかご11が5階で止まる。この場合も5階の行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40にマーク42が表示される。
【0075】
マーク42は、乗場21に車いす利用者がいることを知らせるためのマークである。なお、
図14の例では、車いす利用者を表しているが、マーク形状については特に限定されるものではなく、例えば記号等であっても良い。このマーク42は、車いす利用者が乗場呼びを登録し、かつ、その乗場呼びの登録階に乗りかご11が停止する場合に表示される。これにより、乗りかご11内の利用者は、乗りかご11が停止する階に車いす利用者がいることを事前に知ることができる。
【0076】
一方、乗場呼びが通常の乗場呼びであった場合(ステップC13のNo)、エレベータ制御装置32は、タッチパネル制御装置31を通じて当該乗場呼びの登録階に対応した行先階ボタン15の近傍に
図4に示したマーク41を表示する(ステップC15)。マーク41は、乗場21に一般利用者が存在することを表している。
【0077】
なお、同じ階で車いす呼びと通常の乗場呼びの両方が登録されており、乗りかご11がその登録階に停止する場合には、車いす用のマーク42を優先的に表示しても良いし、車いす用のマーク42と一般用のマーク41の両方を表示しても良い。車いす用のマーク42と一般用のマーク41の両方を表示する場合には、例えば
図15に示すように表示エリア40に一定時間間隔で交互に表示するものとする。
【0078】
以後は上記第1の実施形態と同様にあり、マーク表示後に上記
図2のステップA14〜A18で示した処理が実行される。
【0079】
このように第3の実施形態によれば、乗りかご11が停止する階の乗場21に車いす利用者が待っている場合には、乗りかご11内のかご操作盤13上に車いす利用者の存在を知らせるマーク42が表示される。これにより、乗りかご11内の利用者は乗場21に車いす利用者がいることを事前に知ることができ、例えば乗降口前のスペースを空けておくなどの行動を取ることができる。
【0080】
なお、上記第3の実施形態では、車いす利用者が乗りかご11に乗車することを想定してマーク42を表示する旨を説明したが、例えば車いす利用者が乗りかご11に乗車しない場合も考えられる。例えば、車いす利用者が上方向の車いす呼びを登録したが、下方向行きの乗りかご11が止まったような場合である。このような場合、乗りかご11内の利用者に対しては、必ずしも乗場21に車いす利用者がいることを知らせる必要はないので、例えば一般用のマーク41や何らかの記号を当該階の表示エリア40に表示して、乗場21に利用者がいることだけを知らせる構成としても良い。
【0081】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。
【0082】
第4の実施形態では、乗りかご内で利用者が特殊呼びの1つのであるペット呼びを登録する場合を想定している。なお、上記第1の実施形態と同様に1台の乗りかごを有するシングルカーのエレベータシステムを例にして説明するが、上記第2の実施形態で説明したような複数台の乗りかごを有する群管理システムであっても適用可能である。
【0083】
システム構成は上記第1の実施形態における
図1と同様であるため、ここでは
図16乃至
図18を参照して第4の実施形態の処理動作について説明する。
【0084】
図16は第4の実施形態におけるエレベータ制御装置32の処理動作を示すフローチャートである。
【0085】
通常は、利用者がペットを連れて乗りかご11内に乗車した際に、乗りかご11内で専用のボタンを押下する。これにより、各階の乗場に設置されたインジケータのペット表示灯が点灯して他の利用者との乗り合わせを防ぐようにしている。この場合、注意喚起のみであり、ペット呼びの特殊なオペレーションは実行されないのが一般的である。これに対し、第4の実施形態では、以下のようにして乗りかご内の利用者が任意にペット呼びを登録して直通運転に切り替えることができる。
【0086】
すなわち、まず、利用者がペットを連れて乗りかご11内に乗車した際に、目的階に対応した行先階ボタン15をタッチした後、当該行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40を1回あるいは数回タッチする(ステップD11のYes→D12のYes)。このような特殊な操作があると、エレベータ制御装置32は、現在登録済みの呼び(乗場呼び/かご呼び等)の状態を確認し、他の呼びがない場合に(ステップD13のYes)、当該行先階ボタン15によって登録されたかご呼びをペット呼びとして受け付ける(ステップD14)。
【0087】
かご呼びをペット呼びとして受け付けると、エレベータ制御装置32は、利用者がタッチした表示エリア40に所定のマークを表示し(ステップD15)、乗りかご11を行先階ボタン15によって指定された階まで直通運転する(ステップD16)。
【0088】
直通運転を行っているときは、目的階までの途中の階の乗場呼びを受け付けない状態となる。その間、例えば各階の乗場操作盤22の表示部25に「直通運転中」であることを表示しても良い。直通運転によって乗りかご11が目的階に到着すると、エレベータ制御装置32は、表示エリア40に表示されていたマークを消灯する(ステップD17)。
【0089】
一方、行先階ボタン15がタッチされた後、表示エリア40に対する操作がなかった場合(ステップD12のNo)、あるいは、未応答の他の呼びが登録されている場合には(ステップD13のNo)、エレベータ制御装置32は、乗りかご11を行先階ボタン15によって指定された階まで通常通り運転する(ステップD18)。
【0090】
すなわち、例えば
図17に示すように、利用者がペットを連れて10階で乗りかご11に乗車したとする。このとき、
図18に示すように、1階の行先階ボタン15をタッチし、続いて、その行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40を1回あるいは数回タッチすると、他の呼びが登録されていないことを条件にしてペット呼びが登録され、表示エリア40にマーク43が表示される。
【0091】
マーク43は、ペット呼びによる直通運転中であることを知らせるためのマークである。なお、
図18の例では、ペットを連れた利用者を表しているが、マーク形状については特に限定されるものではなく、記号等であっても良い。このマーク43は、乗りかご11内でペット呼びが登録されたときに表示される。これにより、乗りかご11内の利用者は、ペット呼びにより直通運転に切り替わったことを視覚的に知ることができる。直通運転に切り替わると、乗りかご11は行先階ボタン15によって指定された1階まで直通で運転され、その間、他の利用者との乗り合わせを防ぐことができる。
【0092】
このように第4の実施形態によれば、タッチパネル式のかご操作盤13を用いることで、特殊運転用に特別なボタンを設けなくとも、かご操作盤13上の操作だけでペット呼びの登録により、特殊運転の1つである直通運転に簡単に切り替えることができる。また、かご操作盤13上に表示されるマーク43から現在の直通運転中であることを容易に把握できる。
【0093】
なお、上記第4の実施形態において、上記第1乃至第3の実施形態を含む各実施形態と組み合わせて構成することも可能である。
【0094】
(第5の実施形態)
次に、第5の実施形態について説明する。
【0095】
第5の実施形態では、乗りかご内で利用者が各階停止運転に切り替える場合を想定している。なお、上記第1の実施形態と同様に1台の乗りかごを有するシングルカーのエレベータシステムを例にして説明するが、上記第2の実施形態で説明したような複数台の乗りかごを有する群管理システムであっても適用可能である。
【0096】
システム構成は上記第1の実施形態における
図1と同様であるため、ここでは
図19乃至
図21を参照して第5の実施形態の処理動作について説明する。
【0097】
図19は第5の実施形態におけるエレベータ制御装置32の処理動作を示すフローチャートである。
【0098】
通常は、夜間等の予め決められた時間帯になると、防犯の目的で自動的に各階停止運転に切り替わる。しかしながら、各階停止運転の場合、目的階までの途中の階のすべてに乗りかごが停止して戸開閉するため、利用者が一人で乗車している場合には煩わしいと感じることがある。これに対し、第5の実施形態では、以下のようにして乗りかご内の利用者が各階停止運転に切り替えることができる。
【0099】
すなわち、予め決められた時間帯において、利用者が乗りかご11内に乗車した際に、目的階に対応した行先階ボタン15をタッチした後、当該行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40を1回あるいは数回タッチする(ステップE11のYes→E12のYes)。このような特殊な操作があると、エレベータ制御装置32は、利用者がタッチ操作した表示エリア40に各階停止運転中のマークを表示した後(ステップE13)、各階停止運転に切替える(ステップE14)。
【0100】
これにより、乗りかご11は各階で停止して戸開閉しながら、行先階ボタン15によって指定された階まで移動する。このとき、例えば各階の乗場操作盤22の表示部25には、「各階停止運転中」であることが表示される。
【0101】
一方、行先階ボタン15のみがタッチ操作された場合には(ステップE11のYes→E12のNo)、エレベータ制御装置32は、同乗者の有無を判断する(ステップE15)。同乗者の有無は、例えばかご荷重、かご呼びの状態、カメラの画像解析等により判断できる。乗りかご11内に同乗者がいない場合、つまり、利用者一人で乗車している状況であれば(ステップE15のNo)、エレベータ制御装置32は、行先階ボタン15によって指定された階まで乗りかご11を通常運転する(ステップE16)。
【0102】
また、乗りかご11内に同乗者がいる場合には(ステップE15のYes)、エレベータ制御装置32は、防犯のために利用者がタッチ操作した表示エリア40に各階停止運転中のマークを表示した後(ステップE13)、各階停止運転に切替える(ステップE14)。
【0103】
すなわち、夜間等の予め決められた時間帯において、例えば
図20に示すように、利用者が1階で乗りかご11に乗車したとする。ここで、
図21に示すように、5階の行先階ボタン15をタッチし、続いて、その行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40を1回あるいは数回タッチすると、各階停止運転に切り替えられる。
【0104】
このとき、利用者がタッチした表示エリア40に、図示せぬ各階停止中のマークが表示される。このようなマークを表示することで、乗りかご11内の利用者は各階停止運転に切り替えられたことを視覚的に知ることができる。このマークは、乗りかご11が目的階に到着したときに消える。
【0105】
また、乗りかご11に他の利用者と相乗りしてから上記のような操作を行うと同乗者に不快感を与える。そこで、複数の利用者が同乗している場合には、表示エリア40をタッチ操作なしで各階停止運転に切り替えられる。一方、利用者一人で乗車している場合には、表示エリア40をタッチ操作しなければ、各階停止運転に切り替えられず、通常運転で目的階まで行くことができる。
【0106】
このように第5の実施形態によれば、タッチパネル式のかご操作盤13を用いることで、特殊運転用に特別なボタンを設けなくとも、かご操作盤13上の操作だけで特殊運転の1つである各階停止運転に簡単に切り替えることができる。また、かご操作盤13上に表示されるマークから各階停止運転中であることを容易に把握できる。
【0107】
なお、上記第5の実施形態において、上記第1乃至第3の実施形態を含む各実施形態と組み合わせて構成することも可能である。
【0108】
(第6の実施形態)
次に、第6の実施形態について説明する。
【0109】
第6の実施形態では、乗りかご内で利用者が専用運転に切り替える場合を想定している。なお、上記第1の実施形態と同様に1台の乗りかごを有するシングルカーのエレベータシステムを例にして説明するが、上記第2の実施形態で説明したような複数台の乗りかごを有する群管理システムであっても適用可能である。
【0110】
システム構成は上記第1の実施形態における
図1と同様であるため、ここでは
図22乃至
図24を参照して第6の実施形態の処理動作について説明する。
【0111】
図22は第6の実施形態におけるエレベータ制御装置32の処理動作を示すフローチャートである。
【0112】
例えば病院でベッドを搬送する場合において、通常は、専用運転ボタンと戸開ボタンと戸閉ボタンの3つを同時に押して専用運転に切り替える。これに対し、第6の実施形態では、以下のようにして乗りかご内の利用者が専用運転に切り替えることができる。
【0113】
すなわち、まず、乗りかご11を基準階に引き戻した後に、利用者が乗りかご11内に乗車し、かご操作盤13上の行先階ボタン15以外の特定のボタンを押下しながら、特定の階の行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40をタッチする(ステップF11のYes→F12のYes)。
【0114】
上記特定のボタンとは、具体的には戸開ボタン16aと戸閉ボタン16bである。この戸開ボタン16aと戸閉ボタン16bは押下式である。この2つの押下式ボタン16a,bを同時に押しながら、特定の階の行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40をタッチすると、エレベータ制御装置32は、このときの操作を専用運転の切り替え操作として受け付ける。そして、エレベータ制御装置32は、未応答の呼び(乗場呼び/かご呼び等)の有無を判断し、該当する呼びがない場合に(ステップF13のYes)、利用者がタッチ操作した表示エリア40に専用運転中のマークを表示した後(ステップF14)、専用運転に切替える(ステップF15)。
【0115】
これにより、利用者が行先階ボタン15の操作によって任意に階を指定すると、乗りかご11はその指定された階まで専用運転(直通運転)される。なお、専用運転中は戸閉ボタン16bを押し続けなければ戸閉しないように設定される。この専用運転は、例えば同じ操作を再度行うと解除される。専用運転が解除されると、専用運転中のマークの表示も消える。
【0116】
すなわち、例えば病院において、
図23に示すように、1階から乗車した利用者が専用運転に切り替えてベッドを運ぶ場合を想定する。
図24に示すように、乗りかご11に乗車した利用者は、戸開ボタン16aと戸閉ボタン16bを同時に押し、その状態で特定の階(例えば1階)の行先階ボタン15の近傍に設定された表示エリア40をタッチする。このような暗号的な特殊操作を行うことで、専用運転に切り替えられ、以後、例えば10階の行先階ボタン15をタッチすると、1階から10階まで乗りかご11が直通で運転されることになる。
【0117】
なお、上記暗号的な特殊操作としては、行先階ボタン15戸開ボタン16a+戸閉ボタン16b+行先階の表示エリア40としても良い。つまり、特定の階(例えば1階)ではなく、行先階の表示エリア40の同時押しとすることでも良い。このようにすれば、専用運転の切替えと行先階の指定を同時に行うことができ、その後に行先階ボタン15のタッチ操作を省略することができる。
【0118】
このとき、利用者がタッチした表示エリア40に、図示せぬ専用運転中のマークが表示される。このようなマークを表示することで、乗りかご11内の利用者は専用運転に切り替えられたことを視覚的に知ることができる。このマークは、専用運転が解除されたときに消える。
【0119】
このように第6の実施形態によれば、タッチパネル式のかご操作盤13を用いることで、特殊運転用に特別なボタンを設けなくとも、かご操作盤13上の操作だけで特殊運転の1つである専用運転に簡単に切り替えることができる。また、かご操作盤13上に表示されるマークから専用運転中であることを容易に把握できる。
【0120】
なお、上記第5の実施形態において、上記第1乃至第3の実施形態を含む各実施形態と組み合わせて構成することも可能である。
【0121】
(その他の実施形態)
上記各実施形態において、乗りかご11内に設けられたタッチパネル式のかご操作盤13に関連した処理として下記(1)〜(6)の処理を加えるようにしても良い。なお、下記の各処理は、基本的にエレベータ制御装置32によって実行される。
【0122】
(1)乗場呼びのマークとかご呼びのマークの表示
例えば、車いす利用者が登録可能な呼びは、一般利用者と同様に乗場呼びとかご呼びがある。車いす利用者の乗場呼びは、
図1に示した乗場21に設置された乗場操作盤22上の乗場呼びボタン24の操作によって登録される。車いす利用者のかご呼びは、乗りかご11内に設置された図示せぬ車いす利用者用のかご操作盤上の行先階ボタンの操作によって登録される。
【0123】
ここで、乗場21と乗りかご11内でそれぞれに車いす呼び(乗場呼びとかご呼び)が登録されることがある。このような場合に、かご操作盤13上の同一エリアに車いす利用者を表わすマークを2つ表示すると、どちらのマークなのかわかりづらい。
【0124】
そこで、
図25に示すように、乗場側の表示エリア61と乗りかご側の表示エリア62に分け、それぞれに所定のマーク63,64を表示する構成とする。
図25の例では、表示エリア61は行先階ボタン15の右側、表示エリア62は行先階ボタン15の左側に設けられている。マーク63は、乗場21に車いす利用者が存在することを表している。マーク64は、乗りかご11内に車いす利用者が存在することを表している。これにより、乗場21にいる車いす利用者と乗りかご11内にいる車いす利用者とを視覚的に区別できるようになる。なお、乗場とかご内とでマークの表示色を変えたり、マークの形状を変えたり、記号等を用いることでも良い。
【0125】
また、例えば
図26に示すように、行先階ボタン15の中にかご用の表示エリア62を設けて、そこにマーク63を表示することでも良い。車いす利用者の存在を表わすマークだけでなく、他の状態を表すマークも同様であり、乗場と乗りかごとで表示エリアを分けてマークを区別表示することが好ましい。
【0126】
(2)呼びのキャンセル
乗りかご11内のかご操作盤13上で登録可能な各種呼び(かご呼び,ペット呼び等)については、既に登録済みの呼びに対応したマークを直接1回タッチすることでキャンセル可能とする。
【0127】
呼びをキャンセルできるタイミングは、乗りかご11が目的階に着床するまでの時間を考慮して決められる。キャンセルできない場合には、例えば「もうすぐ到着するため、呼びをキャンセルできません」といったようなメッセージを音声または表示、あるいは、その両方で乗りかご11内の利用者に通知する。
【0128】
また、キャンセルできる状態であっても、他の階の呼びがなければ、乗りかご11の行先がなくなってしまう。この場合、例えば「目的階がなくなるため、キャンセルできません」あるいは「別の階を登録した上でキャンセルして下さい」といったようなメッセージを音声または表示、あるいは、その両方で乗りかご11内の利用者に通知する。
【0129】
(3)マークの重複表示
同じエリアに複数のマークが重複する場合に、一定時間毎に交互に表示する。例えば
図15で説明したように、同じ階で車いす利用者と一般利用者がそれぞれに乗場呼びを登録した場合には当該階の行先階ボタン15の横の表示エリア40にマーク41とマーク42を交互に表示する。これは、乗場呼びに限らず、例えばペット呼び、特殊運転呼びなどのマークが重複する場合でも同様である。
【0130】
(4)呼びの選択操作
呼びを選択する方法として、行先階ボタン15の横の表示エリア40を1回あるいは複数回タッチする方法の他に、行先階ボタン15を複数回タッチすることで呼びを選択できるようにする。
【0131】
例えば、10階の行先階ボタン15を1回タッチする毎に、「通常」→「ペット」→「各階停止」といったように、各呼びに対応したマークを表示エリア40に順次表示しながら所望の呼びを選択可能とする。
【0132】
(5)2度押しによるキャンセル
一般に、押下式のかご操作盤では、かご操作盤上の行先階ボタンを2度押すと、その行先階ボタンに対応した呼びをキャンセルできるようになっている。本実施形態のエレベータに用いられているタッチパネル式のかご操作盤13においても、かご操作盤13上の行先階ボタン15が2度タッチ操作された場合に、その行先階ボタン15に対応した呼びをキャンセルすることができる。なお、上記(4)を用いた場合には、表示エリア40に表示されたマークを2度タッチ操作することで当該マークに対応した呼びをキャンセルするものとする。
【0133】
(6)戸開時間の選択
かご操作盤13上の下部に設けられた戸開ボタン16aを押すと、通常は、予め設定された時間、かごドア12の戸開状態がキープされる。この場合、1押下−1設定である。しかし、例えば荷物を乗りかご11に出し入れする場合に、戸開時間に間に合わないと、戸開ボタン16aを押す操作を繰り返す必要があり、面倒である。
【0134】
そこで、戸開ボタン16aを1回押下することで、例えば「30秒」→「1分」→「1分30秒」といったように、複数の戸開時間をかご操作盤13上の空いている表示エリアに順次表示し、その中で所望の戸開時間を選択できるようにする。ただし、法規上3分以内に戸閉する必要があるため、選択できる戸開時間は、3分から現在既に戸開している時間を引いた時間の範囲内とする。
【0135】
以上述べた少なくとも1つの実施形態によれば、特別な機器を必要とせずに、乗りかご内の利用者が各階の乗場の状況などを含む現在の状況を容易に把握できるエレベータシステムを提供することができる。
【0136】
なお、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【解決手段】一実施形態に係るエレベータシステムは、乗りかご11内に設置されたタッチパネル式のかご操作盤13と、この操作盤13上の行先階ボタンのタッチ操作によって登録されるかご呼びに基づいて乗りかご11の運転を制御する運転制御部32aと、任意の階で乗場呼びが登録された際に、乗りかご11が乗場呼びの登録階に停止するか否かを判断し、乗りかご11が乗場呼びの登録階に停止する場合に、かご操作盤13上に設定された表示エリアに乗場の利用者の存在を知らせるマークを表示する通知処理部32cとを備える。