(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
天井(R)に接当する天井押圧体(3)を備えた上枠体(1)と、床(F)に接当する接床体(4)を備えた下枠体(2)と、下枠体(2)から引出した上枠体(1)を上下動不能にロック保持するロック機構を備えている突っ張り固定型の支柱であって、
天井押圧体(3)は、上枠体(1)に装着した上ベース体(5)と、上ベース体(5)に対して相対傾動可能に連結される上傾動体(6)を備えており、
上傾動体(6)は、上ベース体(5)と、上ベース体(5)の上部に締結固定した上抜止具(17)で上下に挟持されて、上ベース体(5)に対して傾動は可能に、しかし抜外れは不能に装着されており、
上傾動体(6)に張出した上凹部フランジ(20)と、上抜止具(17)の周縁に張出した上抜止フランジ(21)が、傾動隙間(E1)を介して上下に対向しており、
支柱を床(F)と天井(R)の間に設置した状態において、上傾動体(6)が傾動隙間(E1)の範囲内で傾動して、天井(R)または床(F)の傾きを吸収することを特徴とする突っ張り固定型の支柱。
ベースホルダー(43)の連結筒部(65)と、下連結ボス(48)の内底と、下抜止具(56)のねじ部(73)の内底のそれぞれに、下枠体(2)の内部に入込んだ雨水を床(F)側へ排水する排水穴(161・162・163)が上下貫通状に形成してある請求項4から8のいずれかひとつに記載の突っ張り固定型の支柱。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の突っ張り固定型の支柱は、介護施設、病院、個人住宅における介護用品として広く普及しており、現在でも常に安定した需要がある。しかし、天井あるいは床が傾いている場合に、突っ張り固定型の支柱を安定した状態で設置することができず、安全上問題があった。例えば、天井が床に対して傾いている場所に支柱を設置した場合には、天井受け部材を天井に密着できないため、支柱に衝撃的な横荷重が作用したとき、天井受け部材あるいは床置き部材が横すべりして、支柱が倒壊するおそれがある。そのため取扱説明書には設置する際の制約として、天井あるいは床が傾いている場所には設置できないことが明記してある。しかし、床と天井が水平あるいは平行であるか否かを明確に把握することは難しいため、床と天井のいずれか一方が僅かに傾いている場合であっても支柱が設置されることがあり、そうした場合に支柱を安定した状態で設置できない点で問題があった。
【0007】
また、従来の突っ張り固定型の支柱では、天井受け部材の天井に対する押付け荷重が過大になるのを避けるために、天井受け部材を天井に対して1cm前後の隙間を介して対向させた状態でハンドルを下方揺動操作している。しかし、天井受け部材と天井の間の隙間が適正であるか否かは、ハンドルを下方揺動操作してからでないと確認できないため、先の隙間を調整しながら、突っ張り固定型の支柱を何回か固定してみる必要があり、突っ張り固定型の支柱の設置に手間が掛かっていた。
【0008】
さらに、従来の突っ張り固定型の支柱では、支柱を設置した状態において、天井受け部材をばねの押圧力で天井に押付けている。そのため、支柱がばねの付勢力に抗して上向きに持ち上げられた場合に、支柱の全体が天井側へ移動して、床置き部材が床から浮離れてずれ動き、支柱が倒れてしまうおそれがある。その場合には、支柱を改めて設置し直す必要があり、その手間が煩わしかった。また、従来の突っ張り固定型の支柱においては、径大パイプの上部に表示部を設け、黄色表示部と青色表示部の表示状態を見ながら、調節ボルトでばね圧を調整することにより、押付け荷重が適切であるか否かを判断していた。しかし、表示部が天井近くの径大パイプの上部に設けてあるため、天井受け部材と青色表示部の位置関係を正確に視認するのが難しく、作業者によって天井受け部材の押付け荷重にばらつきが生じやすく、押付け荷重が適正値より大きくなることが多かった。
【0009】
上記以外に、従来の突っ張り固定型の支柱は、支柱が雨に晒されると径大パイプの内部に水が溜まって、径大パイプと床置き部材を連結する金具やビスが錆付くため、支柱をベランダや玄関ポーチなどの、雨が降込む場所に設置できず、適用可能な場所が限定されていた。
【0010】
本発明の目的は、天井または床に僅かに傾きがある場合であっても支柱を安定した状態で設置して安全性を向上でき、従って、適用可能な場所を拡大できる突っ張り固定型の支柱を提供することにある。
本発明の目的は、突っ張り固定型の支柱を、誰もが確実かつ容易に設置することができ、従って支柱の設置に要する手間を著しく省くことができる、使い勝手に優れた突っ張り固定型の支柱を提供することにある。
本発明の目的は、支柱がばねの付勢力に抗して上向きに持ち上げられた場合でも、接床体が床から浮離れてずれ動くのを確実に防止して安全性をさらに向上できる突っ張り固定型の支柱を提供することにある。
本発明の目的は、天井押圧体の押付け荷重を表示するための構造を改良して、天井押圧体の天井に対する押付け荷重の適否を明確に判定できる突っ張り固定型の支柱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る突っ張り固定型の支柱は、天井Rに接当する天井押圧体3を備えた上枠体1と、床Fに接当する接床体4を備えた下枠体2と、下枠体2から引出した上枠体1を上下動不能にロック保持するロック機構を備えている。
図3に示すように、天井押圧体3は、上枠体1に装着した上ベース体5と、上ベース体5に対して相対傾動可能に連結される上傾動体6を備えている。上傾動体6は、上ベース体5と、上ベース体5の上部に締結固定した上抜止具17で上下に挟持されて、上ベース体5に対して傾動は可能に、しかし抜外れは不能に装着されている。
図1に示すように、上傾動体6に張出した上凹部フランジ20と、上抜止具17の周縁に張出した上抜止フランジ21が、傾動隙間E1を介して上下に対向している。支柱を床Fと天井Rの間に設置した状態において、上傾動体6が傾動隙間E1の範囲内で傾動して、天井Rまたは床Fの傾きを吸収することを特徴とする。
【0012】
上枠体1に締結固定したボス体7と、上ベース体5の間に上枠体1の押上げ動作を吸収するばねユニット8を装着する。
図3に示すように、ばねユニットは8が、ボス体7で受止められる下ホルダー25と、上ベース体5で受止められる上ホルダー26と、両ホルダー25・26の間に配置される天井ばね27を備えている。ボス体7と上ホルダー26をねじ締結体34で締結して、下ホルダー25と上ホルダー26を相対スライド可能に一体化する。
【0013】
接床体4は、下枠体2に装着される下ベース体41と、下ベース体41に対して相対傾動可能に連結される下傾動体42を備えている。
図7に示すように、下傾動体42は、下ベース体41と、下ベース体41にねじ込んだ下抜止具56で上下に挟持されて、下ベース体41に対して傾動は可能に、しかし抜外れは不能に装着する。
図6に示すように、下傾動体42に張出した下凹部フランジ58と、下抜止具56の周縁に張出した下抜止フランジ59は、傾動隙間E2を介して上下に対向している。支柱を床Fと天井Rの間に設置した状態において、天井Rまたは床Fの傾きを、傾動隙間E1の範囲内で傾動する上傾動体6と、傾動隙間E2の範囲内で傾動する下傾動体42が協同して吸収する。
【0014】
下枠体2の下端にベースホルダー43を締結固定する。下ベース体41の内面に設けた下連結ボス48をベースホルダー43に外嵌装着して、下連結ボス48とベースホルダー43をねじ締結体68で相対スライド可能に連結する。下連結ボス48とベースホルダー43の間に床ばね63を配置する。
【0015】
床ばね63のばね圧は天井ばね27のばね圧より小さく設定する。上枠体1がロック機構で押上げ操作される状態において、上枠体1の初期押し上げ動作を床ばね63で吸収する。
【0016】
上ベース体11に天井押圧体3の押付力の適否を表示する押付力表示構造を設ける。
図14に示すように押付力表示構造は、ベース本体11の内部において回転自在に支持した表示円板116と、表示円板116を回転操作する円板操作体117と、円板操作体117と上ホルダー26の間に設けられて、上ホルダー26と下ホルダー25の相対スライド動作を回転動作に変換するカム機構を備えている。下ホルダー25と上ホルダー26が相対スライドする状態において、カム機構で変換された回転動作を受けた円板操作体117は表示円板116を回転操作して、表示円板116の周囲に設けた荷重表示118・119の表示位置を切換る。荷重表示118・119を視認するための表示窓128が、床Fを指向するベース本体11の周面に開口してある。
【0017】
上枠体1の下部に、自由状態の上枠体1が自重で落下するのを防止する制動構造137を設ける。
図17に示すように制動構造137は、上枠体1の下部に固定される連結枠140および保持枠部141と、同枠部141に収容される押出しプラグ143と、押出しプラグ143を押出し操作するブレーキばね142と、押出しプラグ143で押出し付勢されるブレーキ羽根144を備えている。ブレーキ羽根144は、下枠体2の内面に密着するブレーキシュー146と、押出しプラグ143で押出し操作される受動片147を備えている。ブレーキシュー146は、ブレーキばね142および押出しプラグ143で押出し操作されて下枠体2の内面に圧接している。
【0018】
ブレーキ羽根144は、押出しプラグ143に対して上下スライド可能に連結されており、押出しプラグ143と受動片147は傾斜するカム面148を介して接当している。カム面148は、上枠体1が下方移動する状態では、押出しプラグ143がブレーキばね142の付勢力に抗して保持枠部141内へ押し込まれ、上枠体1が上方移動する状態では、押出しプラグ143が保持枠部141から押出される向きに傾斜させてある。
【0019】
ベースホルダー43の連結筒部65と、下連結ボス48の内底と、下抜止具56のねじ部73の内底のそれぞれに、下枠体2の内部に入込んだ雨水を床F側へ排水する排水穴161・162・163が上下貫通状に形成してある(
図6参照)。
【発明の効果】
【0020】
本発明においては、突っ張り固定型の支柱において、上ベース体5と、上傾動体6を天井押圧体3に設けて、上傾動体6を上ベース体5と上抜止具17で上下に挟持することにより、上傾動体6を上ベース体5に対して傾動は可能に、しかし抜外れは不能に装着するようにした。さらに、支柱を床Fと天井Rの間に設置した状態においては、上傾動体6が上下に対向する上凹部フランジ20と上抜止フランジ21の間の傾動隙間E1の範囲内で傾動して、天井Rまたは床Fの傾きを吸収できるようにした。こうした突っ張り固定型の支柱によれば、天井Rまたは床Fの傾きに応じて上傾動体6が傾動して、天井Rに確りと密着した状態で支柱を設置できる。従って、支柱に横荷重が作用することがあったとしても、天井押圧体3が横すべりするのを解消して、突っ張り固定型の支柱の安全性を向上できる。また、床Fと天井Rのいずれか一方が僅かに傾いているか否かを明確に把握できない場合であっても、支柱を安定した状態で設置できるので、従来のこの種の支柱に比べて、突っ張り固定型の支柱の適用可能な場所を拡大し安全性を確保できる。さらに、上凹部フランジ20と上抜止フランジ21が、傾動隙間E1を介して上下に対向しているので、天井Rまたは床Fの傾きの方向を考慮する必要もなく、上傾動体6を天井Rまたは床Fの傾きに追随して全方位方向へ傾動させることができ、その分だけ支柱の設置を容易に行える。
【0021】
下ホルダー25および上ホルダー26と、両ホルダー25・26の間に配置される天井ばね27でばねユニット8を構成し、上枠体1に固定したボス体7と上ホルダー26をねじ締結体34で締結して、両ホルダー25・26を相対スライド可能に一体化した。こうした天井押圧体3によれば、上枠体1がロック機構で押上げ操作されるとき、下ホルダー25が上枠体1に同行して移動し、天井ばね27を圧縮変形させた状態で、天井押圧体3の全体を天井Rに押付ける。そのため、天井押圧体3が不必要に押上げ操作されて、天井構造に過剰な押上げ力が作用し破損するのを解消できる。また、下ホルダー25と上ホルダー26が、上ベース体5の内部において相対スライドして上枠体1の押上げ動作を吸収するので、両ホルダー25・26の摺動面に塵埃などが付着するのを確実に防止して、ばねユニット8の動作の信頼性を長期にわたって維持できる。
【0022】
下ベース体41と下傾動体42を接床体4に設けて、下傾動体42を下ベース体41と下抜止具56で上下に挟持することにより、下傾動体42を下ベース体41に対して傾動は可能に、しかし抜外れは不能に装着するようにした。さらに、支柱を床Fと天井Rの間に設置した状態においては、下傾動体42が上下に対向する下凹部フランジ58と下抜止フランジ59の間の傾動隙間E2の範囲内で傾動して、天井Rまたは床Fの傾きを吸収できるようにした。こうした支柱によれば、天井Rまたは床Fの傾きを、上傾動体6と下傾動体42が協同して吸収できる。従って、上傾動体6および下傾動体42の上ベース体5および下ベース体41に対する傾きを小さくして、上枠体1および下枠体2をより垂直に近い姿勢で、しかも安定した状態で突っ張り固定できる。また、天井Rまたは床Fの傾きの度合いが大きい場合でも、上傾動体6および下傾動体42が協同して先の傾きを吸収するので、従来のこの種の支柱に比べて、突っ張り固定型の支柱の適用可能な場所をさらに拡大できる。
【0023】
下枠体2の下端にベースホルダー43を締結固定し、同ホルダー43に下連結ボス48を外嵌装着して、これら両者43・48をねじ締結体68で相対スライド可能に連結するようにした。また、下連結ボス48とベースホルダー43の間に床ばね63を配置した。こうした支柱によれば、天井ばね27と床ばね63がそれぞれ弾性変形して、天井押圧体3および接床体4を天井Rあるいは床Fに押付けることができる。従って、上枠体1または下枠体2に上下方向の外力が作用した場合に、天井押圧体3や接床体4が天井Rあるいは床Fからから浮離れてずれ動くのを確実に防止して、支柱が倒壊するのを防止し安全性を向上できる。
【0024】
床ばね63のばね圧を天井ばね27のばね圧より小さく設定し、上枠体1がロック機構で押上げ操作される状態において、上枠体1の初期押し上げ動作を床ばね63で吸収すると、天井ばね27が圧縮変形し始めるタイミングを遅らせて、天井押圧体3が天井Rに過大に押し付けられるのを防止できる。これは、従来の支柱において天井受け部材を天井に対して1cm前後の隙間を介して対向させた状態でハンドルを下方揺動操作して、圧縮コイルばねが弾性変形し始めるタイミングを遅らせて、天井受け部材が天井に対して過大に押し付けられるのを防ぐのと、同じ効果を得るためである。また、上枠体1の初期押し上げ動作を床ばね63で吸収するので、支柱を設置する場合には、上傾動体6を天井Rにあてがい支柱全体を仮設置した状態で、ロックハンドル79をロック姿勢に揺動操作するだけで、天井押圧体3を天井Rに過不足なく押し付けることができる。従って、支柱の設置を誰もが確実かつ容易に行うことができ、支柱の設置に要する手間を著しく省いて、使い勝手に優れた突っ張り固定型の支柱を提供できる。
【0025】
表示円板116と、円板操作体117と、カム機構などで構成した押付力表示構造によれば、上下のホルダー25・26が相対スライドする状態において、円板操作体117で表示円板116を回転操作して、荷重表示118・119の表示位置を切換えることができる。また、床Fを指向するベース本体11の周面に表示窓128を開口するので、表示窓128を見上げるだけで、同窓128に達した荷重表示118・119の表示状況を明確に視認して、荷重表示118・119が適正な状態に切換ったか否かを適確に判断できる。従って、作業者によって天井押圧体3の押付け荷重にばらつきが生じ、あるいは押付け荷重が適正値を越えるのをよく防止できる。また、上下のホルダー25・26の相対スライド量に応じて作動する、カム機構および円板操作体117で表示円板116を回転操作して荷重表示118・119を切換えるので、荷重表示118・119を天井ばね27の圧縮変形量に適合して正確に変位操作できる。
【0026】
連結枠140および保持枠部141と、ブレーキばね142と、押出しプラグ143と、ブレーキ羽根144などで制動構造137を構成し、ブレーキ羽根144のブレーキシュー146をブレーキばね142で下枠体2の内面に圧接させるようにした。こうした制動構造137によれば、ブレーキシュー146下枠体2の間に発生する摩擦抵抗によって、下降移動する上枠体1を制動することができる。従って、上枠体1が自重で下枠体2の内部へ衝撃的に落下するのを防止して、上枠体1をゆっくりと安全に下降移動させることができる。また、下枠体2に差し込まれた上枠体1を、抱持リング78と、付勢リング136と、ブレーキシュー146の3者で支持して上枠体1がぐら付くのを防止できるので、上枠体1の下枠体2に対する出し入れを円滑に行える。
【0027】
ブレーキ羽根144を押出しプラグ143に対して上下スライド可能に連結し、さらに、押出しプラグ143と受動片147を傾斜するカム面148を介して接当させるようにした。また、カム面148は、上枠体1が下方移動する状態では、押出しプラグ143がブレーキばね142の付勢力に抗して保持枠部141内へ押し込まれ、上枠体1が上方移動する状態では、押出しプラグ143が保持枠部141から押出される向きに傾斜させるようにした。こうした制動構造137によれば、上枠体1が下方移動する状態では、押出しプラグ143が保持枠部141内へ押し込まれるので、ブレーキばね142がそれまでよりも圧縮変形され、ブレーキばね142のばね圧が増加して、その分だけブレーキ羽根144が下枠体2に強く押付けられる。また、上枠体1が上方移動する状態では、押出しプラグ143が保持枠部141から押出されるので、ブレーキばね142がそれまでよりも伸張変形し、ブレーキばね142のばね圧が減少して、その分だけブレーキ羽根144の下枠体2に対する押付け力が小さくなる。その結果、上枠体1を抜き出し操作する際の摩擦抵抗を減少して、支柱の設置作業を楽に軽快に行うことができる。
【0028】
ベースホルダー43の連結筒部65、下連結ボス48、下抜止具56のねじ部73に排水穴161・162・163を上下貫通状に形成すると、下枠体2の内部に入り込んだ雨水を各排水穴161・162・163から流下させて床F側へ排水することができる。これに伴い、下枠体2や接床体4の内部に雨水が溜まるのを一掃して、支柱をベランダや玄関ポーチなどの雨が降込む場所に設置できるので、突っ張り固定型の支柱の適用可能な場所を拡大できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
(実施例)
図1ないし
図17は、本発明に係る突っ張り固定型の支柱の実施例を示している。本発明における前後、左右、上下とは、
図2および
図4に示す交差矢印と、交差矢印の近傍の前後・左右・上下の表記に従う。
図2において、突っ張り固定型の支柱は、天井Rに接当する天井押圧体3を備えた上枠体1と、床Fに接当する接床体4を備えた下枠体2と、下枠体2から引出した上枠体1を上下動不能にロック保持するロック機構を備えている。下枠体2は高強度アルミニウム合金製の丸パイプで形成してあり、上枠体1はステンレス製の丸パイプで形成してある。下枠体2の外直径を45mmとするとき、上枠体1の外直径を32mmとして、上枠体1を下枠体2に対して出し入れ可能としている。
【0031】
図1および
図3において、天井押圧体3は、上枠体1に装着した上ベース体5と、上ベース体5に対して相対傾動可能に連結される上傾動体6を備えており、上枠体1の上端内面に固定したボス体7と上ベース体5の間に、上枠体1の押上げ動作を吸収し、上ベース体5を天井Rに押付け付勢するばねユニット8が配置してある。上ベース体5は、下すぼまり湾曲テーパー状のベース本体11と、ベース本体11の内部中央の上連結ボス12を一体に備えたプラスチック成形品からなり、上連結ボス12の周囲4個所に上傾動体6を受止める支持リブ13が直交状に設けてある。
【0032】
上傾動体6は円板状に形成されて、その下面に先の支持リブ13で係合支持される上連結凹部14が形成され、その上面中央に上傾動凹部15が凹み形成してある。上傾動体6の上面の周囲4個所には弾性変形可能な滑り止め体16が固定してある。上連結凹部14を支持リブ13に外嵌係合し、上傾動凹部15に装着した上抜止具17と、上連結ボス12の上壁に挿通したビス18にナット19をねじ込むことにより、上傾動体6と上ベース体5を一体化できる。つまり、上傾動体6は、上ベース体5と、上ベース体5の上部に締結固定した上抜止具17で上下に挟持されて、上ベース体5に対して傾動は可能に、しかし抜外れは不能に装着してある。
【0033】
上記の状態の上傾動体6と上抜止具17は、上傾動凹部15の底に張出した上凹部フランジ20と、上抜止具17の周縁に張出した上抜止フランジ21の間の傾動隙間E1を介して上下に対向している(
図1参照)。そのため、
図5に示すように、例えば天井Rが水平面に対して角度θ1だけ傾斜している場合であっても、上傾動体6が上ベース体5に対して傾動隙間E1の範囲内で傾動して天井Rの傾斜を吸収できるので、水平の床Fに対して垂直に起立する支柱で上ベース体5を天井Rに押付けることができる。なお、上傾動体6は最大で
図1に想像線で示す状態まで傾動できる。
【0034】
ばねユニット8を上枠体1に装着するために、上枠体1の上部内面にボス体7を内嵌し、対向する一対のビス24をボス体7にねじ込んで、ボス体7を上枠体1に締結している。
図3に示すようにばねユニット8は、ボス体7で受止められる下ホルダー25と、上ベース体5で受止められる上ホルダー26と、両ホルダー25・26の間に配置される圧縮コイル形の天井ばね27を備えている。下ホルダー25は、ボス体7および上枠体1に外嵌する下筒壁28と、天井ばね27の下半部を収容する上筒壁29を一体に備えたプラスチック成形品からなり、上筒壁29の対向周面の2個所に、後述する溝カム127を形成するための対向筒壁30が膨出形成してある。上ホルダー26はプラスチック成形品からなり、天井ばね27の上半部を収容する筒壁31と、筒壁31の内面中央に設けた連結軸部32と、上ホルダー26の上面に突設した一対の回止め突起33を一体に備えている。両ホルダー25・26を組んだ状態において、前後一対の対向筒壁30は、左右に対向する筒壁31の間の凹部39に係合して、両筒壁30・31が周方向へ面一状に隣接する。連結軸部32にはボルト34aがインサート固定してある。
【0035】
両ホルダー25・26の間に天井ばね27を配置した状態で、筒壁31を上筒壁29に外嵌し、ボス体7の底壁から突出するボルト34aにナット34bをねじ込むことにより、ばねユニット8がボス体7で支持される。このように、ボルト34aとナット34bで締結された状態の下ホルダー25と上ホルダー26は、上下に相対スライド可能に一体化されている。このときの天井ばね27の初期張力はゼロに近い値になっており、下ホルダー25と上ホルダー26が相対スライドして始めて、ばね力を発揮する。上ホルダー26と下ホルダー25、および上ホルダー26とボス体7は、互いに係合する状態で連結されて回転不能に保持されている。詳しくは
図4に示すように、連結軸部32を断面太鼓形に形成して、下ホルダー25およびボス体7と連結軸部32が相対回転するのを防止している。断面太鼓形の軸部分を符号32aで示す。上記のボルト34aとナット34bが、ボス体7と上ホルダー26を締結するねじ締結体34となる。
【0036】
上記のように、ばねユニット8を上枠体1に装着した状態で、上ベース体5の上連結ボス12をばねユニット8に外嵌装着し、上枠体1に外嵌したキャップ状の雌ねじ体35をベース本体11の下端に設けたねじ軸36にねじ込むことにより、天井押圧体3を上枠体1と一体化できる。この状態の回止め突起33は、上連結ボス12および上抜止具17に設けた係合穴37・38(
図1参照)と係合するので、上ベース体5および上抜止具17がばねユニット8に対して回転することはない。こうした天井押圧体3によれば、上枠体1が後述するロック機構で押上げ操作されるとき、下ホルダー25が上枠体1に同行しながら移動して上枠体1の押上げ動作を吸収し、天井ばね27を圧縮変形させて天井押圧体3の全体を天井Rに押付ける。また、下ホルダー25と上ホルダー26が、上ベース体5の内部において相対スライドして上枠体1の押上げ動作を吸収するので、両ホルダー25・26の摺動面に塵埃などが付着するのを確実に防止して、ばねユニット8の動作の信頼性を長期にわたって維持できる。
【0037】
接床体4は、
図6および
図7に示すように下枠体2に装着した下ベース体41と、下ベース体41に対して相対傾動可能に連結される下傾動体42を備えており、下枠体2の下端内面に締結固定したベースホルダー43に接床体4が組付けてある。下ベース体41は、周囲壁が上すぼまり湾曲テーパー状に連続する下ベース枠44および上ベース枠45と、これら両者の湾曲面と下ベース枠44の下面の周囲を覆うゴム製のカバー46で構成してある。下ベース枠44および上ベース枠45は中空のプラスチック成形品からなり、下ベース枠44の下面中央には締結座47が凹み形成してあり、締結座47の上面に下連結ボス48が突設してある。上ベース枠45の下端は、下ベース枠44の周囲壁の上端内面に係合しており、上端寄り内面に張出した内フランジ49が下連結ボス48の上端周面に係合している。カバー46の下面の周縁寄りには、下傾動体42を受止める2重リング状の受壁50が下向きに突設してある。
【0038】
下傾動体42は円板状に形成されて、その上面に先の受壁50を支持する下連結凹部53が形成され、その下面中央に下傾動凹部54が凹み形成してある。下傾動体42の下面の周囲4個所には弾性変形可能な滑り止め体55が固定してある。下連結凹部53に受壁50を内嵌し、下傾動凹部54に装着した下抜止具56を締結座47の上部のねじ穴57にねじ込むことにより、下傾動体42を下ベース体41と一体化できる。つまり、下傾動体42は、下ベース体41と、下ベース体41にねじ込んだ下抜止具56で上下に挟持されて、下ベース体41に対して傾動は可能に、しかし抜外れは不能に装着してある。
【0039】
上記の状態の接床体4は、下傾動凹部54の上部に張出した下凹部フランジ58と、下抜止具56の周縁に張出した下抜止フランジ59が、傾動隙間E2を介して上下に対向している(
図6参照)。そのため、
図9に示すように、床Fが水平面に対して角度θ2だけ傾斜している場合であっても、下傾動体42が下ベース体41に対して傾動隙間E2の範囲内で傾動して床Fの傾斜を吸収できるので、垂直に起立する支柱で下ベース体41を床Fに押付けることができる。なお、下傾動体42は最大で
図6に想像線で示す状態まで傾動できる。
【0040】
接床体4を下枠体2に装着するために、下枠体2の下部内面にベースホルダー43を内嵌し、対向する一対のビス62をベースホルダー43にねじ込んで、ベースホルダー43を下枠体2に締結している。
図7においてベースホルダー43は、圧縮コイル形の床ばね63を収容する下半側のばねホルダー部64と、下枠体2に内嵌する連結筒部65と、キャップ枠66を一体に備えたプラスチック成形品からなり、連結筒部65からばねホルダー部64の中央の連結軸部67にわたってボルト68aがインサート固定してある。
【0041】
図6に示すように、ベースホルダー43を下枠体2に内嵌固定し、ばねホルダー部64に床ばね63を配置した状態で、下ベース枠44の下連結ボス48をベースホルダー43に外嵌装着し、ねじ穴57内に突出するボルト68aにナット68bをねじ込むことにより、接床体4を下枠体2と一体化できる。下傾動体42に装着した下抜止具56をねじ穴57にねじ込み、さらに、下枠体2に外嵌装着したキャップ70をキャップ枠66に圧嵌係合することにより、接床体4を下枠体2に装着できる。
【0042】
上記のように、ボルト68aとナット68bで締結された状態のベースホルダー43と下連結ボス48は、上下に相対スライド可能に一体化されており、上枠体1を下枠体2に組んだ状態において、床ばね63は約5mm程度圧縮変形して僅かな初期張力を発揮している。以後、ベースホルダー43と下連結ボス48が相対スライドするのに応じてばね力が徐々に増加する。突っ張り固定型の支柱を、誰もが確実かつ容易に設置できるようにして、支柱の設置に要する手間を著しく省くために、床ばね63のばね圧を天井ばね27のばね圧より小さく設定して、上枠体1が後述するロック機構で押上げ操作される状態において、上枠体1の初期押し上げ動作を床ばね63で吸収できるようにしている。その詳細は後述する。上記のボルト68aとナット68bが、ベースホルダー43と下連結ボス48を締結するねじ締結体68となる。
【0043】
ベースホルダー43と下連結ボス48は、互いに係合する状態で連結されて回転不能に保持されている。詳しくは、
図8に示すように、ベースホルダー43に設けた係合片43aを、下連結ボス48の内面に設けた係合溝48aに係合して、ベースホルダー43と下連結ボス48が相対回転するのを防止している。上記のボルト68aとナット68bが、ベースホルダー43と下ベース体41を締結するねじ締結体68として機能する。上記のように、下枠体2と下ベース体41の間に床ばね63を配置すると、支柱を設置した状態では下ベース体41が床ばね63で押下げ付勢されるので、支柱が天井ばね27の付勢力に抗して上向きに持ち上げられた場合に、接床体4が床Fから浮離れてずれ動くのを確実に防止できる。
【0044】
下抜止具56は、凹部の中央に指掛摘み71を備えた操作部72と、操作部72の上部に設けたねじ部73を一体に備えたプラスチック成形品からなる。先に説明したように、ねじ部73を下ベース枠44のねじ穴57にねじ込むことにより、下傾動体42を下ベース体41と一体化できる。ねじ部73の基端の対向周面には一対の弾性係合爪74が設けてあり、これらの弾性係合爪74をねじ部73に外嵌する抜止リング75の係合段部76に係合することにより、下抜止具56を下傾動体42に対して分離不能に装着保持している。
【0045】
図10ないし
図12にロック機構を示している。ロック機構は、下枠体2の上部に固定される支点リング77と、上枠体1に外嵌して同枠体1の中途部を抱持固定する抱持リング78と、抱持リング78で上下揺動可能に支持したロックハンドル79と、支点リング77とロックハンドル79を連結する押上げリンク80と、ロックハンドル79の基端と抱持リング78の対向面に設けたカム構造などで構成してある。
【0046】
支点リング77は、プラスチック成形された左右一対の半割りリング体を接合して丸筒状に形成してあり、前側の接合部にガイド溝83が形成してあり、リンクガイド部82の下端面には、後述するハンドルロック構造のロック凹部84が形成してある。支点リング77の筒壁は下枠体2の内面上部に収容されて、ガイド溝83が形成してあるリング前部のみが、下枠体2の前面に形成した縦開口85から外面に露出させてある。
【0047】
抱持リング78は、アルミダイキャスト成形品に切削加工を施して丸筒状に形成してあり、その前面にロックハンドル79を支持する一対のブラケット部90が一体に形成してある。
図11に示すように、左右のブラケット部90は隙間を介して対向しており、この隙間をカム構造で狭めて筒壁を上枠体1に密着させ、両者間の摩擦力によって上枠体1を抱持固定する。支点リング77と同様に、抱持リング78の筒壁は下枠体2の内面上部に収容されて、ブラケット部90のみが縦開口85から外面に露出させてある。上記のように、支点リング77と抱持リング78の筒壁を下枠体2の内部に収容すると、支柱の外面に露出する部材をロックハンドル79と、押上げリンク80と、ブラケット部90などに限って、支柱の外観をすっきりさせることができる。
【0048】
ロックハンドル79は、プラスチック成形されたハンドル本体91と、ハンドル本体91の揺動基端の左右両側に固定される補強金具92で構成してあり、補強金具92とハンドル本体91の揺動基端が、ハンドル支軸93でブラケット部90に連結してある。また、補強金具92の他端側とハンドル本体91が、リンク軸94で押上げリンク80の上部に連結してある。押上げリンク80は、ロックハンドル79の左右中央に1個のみ配置してあり、その下端に設けた支点軸95がガイド溝83で、スライド可能に案内支持してある。つまり、ロックハンドル79と支点リング77は、1個の押上げリンク80で連結してある。このように、ロックハンドル79とリンクガイド部82を1個の押上げリンク80で連結すると、リンク構造を簡素化してロック機構のコストを削減できる。ロックハンドル79は、ハンドル支軸93を中心にして、
図10に示すロック解除姿勢と、
図12に示すロック姿勢の間で上下揺動できる。
【0049】
カム構造は、ブラケット部90の外側面に膨出形成した一対のカム片98と、ハンドル本体91の連結部に設けた操作部99で構成してあり、平坦な操作部99がカム片98に乗上がることにより、ブラケット部90の対向隙間を狭めて、抱持リング78の筒壁を上枠体1に密着させる。この締付け時に、操作部99が過剰に弾性変形するのを規制するために、補強金具92を設けている。カム片98には、操作部99の乗上がりを円滑にするための傾斜ガイド面98aが形成してある(
図12参照)。ロック姿勢に切換ったロックハンドル79の外観をすっきりさせるために、ロックハンドル79の外面をゴム製のハンドルカバー101で覆っている。また、下枠体2の上端に、ロック状態に揺動操作されたロックハンドル79の上部、および抱持リング78の上部を覆うロック部カバー102が固定してある。このように、抱持リング78の上部とロックハンドル79の外面を、ロック部カバー102およびハンドルカバー101で覆うことにより、支柱を突っ張り固定した状態において、ロックハンドル79やブラケット部90を隠蔽して、支柱の外観をすっきりさせることができる。ハンドルカバー101の下部には、後述するロック軸体106の出入りを許す表示開口103が形成してある。
【0050】
ロックハンドル79が、
図10に示すロック解除姿勢に操作された状態では、リンク軸94はガイド溝83の上端に位置しており、抱持リング78は自己の弾性で拡径している。従って、上枠体1を抱持リング78および下枠体2に自由に出し入れできる。この状態からロックハンドル79を、ハンドル支軸93を中心にして
図10に想像線で示すように下向きに揺動操作すると、押上げリンク80がロックハンドル79に同行して下降移動し、リンク軸94がガイド溝83の下端で受止められる。ロックハンドル79をさらに押下げ操作すると、ハンドル本体91の操作部99が傾斜ガイド面98aを介してカム片98に乗り上がるため、一対のブラケット部90は互いに接近し、リング筒部78aが縮径して上枠体1を抱持固定する。一方、押上げリンク80はリンク軸94がガイド溝83の下端で受止められるため、それ以上下降移動することはなく、ロックハンドル79を突っ張り支持する。そのため、ロックハンドル79はリンク軸94を中心にして下降揺動し、
図12に示すように、ハンドル支軸93が抱持リング78および上枠体1を上向きに押上げ操作してロック姿勢に切換る。天井押圧体3は、上枠体1が上向きに移動し始めたのち天井Rに密着し、ロックハンドル79がロック姿勢に切換った状態では、天井ばね27が弾性変形して天井押圧体3の全体を天井Rに押圧する。このとき、床ばね63も弾性変形している。
【0051】
ロック姿勢に切換えられたロックハンドル79が、誤ってロック解除操作されるのを防ぐために、ロックハンドル79と支点リング77の間にハンドルロック構造を設けている。ハンドルロック構造は、リンクガイド部82の下部に設けたロック凹部84と、ロックハンドル79の下部に装着したロック軸体106とからなる。ロック軸体106は、ハンドル本体91で上下に往復スライド可能に案内支持されており、その上端にロック凹部105と係脱するロック爪107が設けてある。ロックハンドル79がロック状態に切換え操作された状態において、ロック軸体106を下方のロック解除位置から、上方のロック位置へ押込み操作することにより、
図12に示すようにロック爪107がロック凹部105と係合して、ロックハンドル79がロック解除方向へ揺動するのを規制できる。このようにロック軸体106は、ロック状態に切換えたロックハンドル79をワンタッチでロック保持できる。
【0052】
ロック軸体106がロック解除された状態であることを明確に表示してユーザーの注意を喚起するために、
図10に示すように、ロック軸体106の前面および左右側面に赤色の表示部108を設けている。ロック軸体106がロック解除位置へ切換った状態においては、表示部108の下側が表示開口103の外へ露出するので、ロックハンドル79がロック保持されていないことを明確に表示して、注意を喚起できる。これにより、ロックハンドル79がロック保持されていない状態のままで放置されるのを解消して、突っ張り固定型の支柱の安全性を向上できる。また、
図12に示すように、ロック軸体106がロック位置に切換えられた状態では、表示部108はハンドルカバー101の外郭形状の内部に収まるので、ロックハンドル79が適正にロック保持されていることを知ることができる。
【0053】
ロック位置に切換えられたロック軸体106をロック解除操作して、ロックハンドル79をロック解除可能な状態に戻すために、
図10に示すようにロック軸体106を左右に貫通するカム軸109を設け、同軸109にリセット用のカム体110を固定している。また、ロック軸体106にカム軸109と相対スライドする逃げ溝111を設けている。図示していないがカム軸109の右端には操作頭部が設けてあり、この操作頭部を六角棒レンチで回転操作することにより、回転する弦月状のカム体110でロック軸体106をロックハンドル79の外へ押出すことができる。
【0054】
図2に示すように、床Fと天井Rの間に支柱を設置した状態においては、天井ばね27および床ばね63がそれぞれ弾性変形して、天井押圧体3を天井Rに押付け、接床体4を床Fに押付けている。多くの場合、床Fの強度は十分に大きいので、接床体4の押付け力が過大であったとしても問題を生じることはない。しかし、天井押圧体3の押付け力が過大である場合には、天井構造材が耐えられずに破損するおそれがある。また、天井押圧体3の押付け力が不足していた場合には、支柱が外力を受けて倒壊するおそれがある。こうした不具合を解消するために、上ベース体5の内部に天井押圧体3の押付力の適否を表示する押付力表示構造を設けている。
【0055】
図3および
図13に示すように、押付力表示構造は、ベース本体11の内部において回転自在に支持した表示円板116と、上連結ボス12で回転自在に支持されて、表示円板116を回転操作する円板操作体117と、円板操作体117と上ホルダー26の間に設けられて、上ホルダー26と下ホルダー25の相対スライド動作を回転動作に変換するカム機構を備えている。表示円板116は傘形のプラスチック成型品からなり、その下面側の傾斜周面に赤色に着色された注意表示(荷重表示)118と、無着色の安全表示(荷重表示)119が設けてあり(
図15参照)、上面の中央に受動ギヤ120が一体に形成してある。符号121は表示円板116を軸支するピンである。
【0056】
円板操作体117は、上連結ボス12に外嵌する筒壁123と、筒壁123の周縁1個所に連出される扇形の操作ギヤ124と、筒壁123の対向面の2個所に設けた受動カム125を一体に備えたプラスチック成形品からなる。上連結ボス12の筒壁の一部は切欠かれており、この切欠部分126から受動カム125を上連結ボス12の内部に臨ませて、上ホルダー26の対向筒壁30に設けた溝カム127に係合させている。このように、受動カム125を溝カム127と係合させるために、対向筒壁30を一対の筒壁31の間の凹部39に臨ませている(
図3参照)。カム機構は、上ホルダー26の対向筒壁30に設けた一対の溝カム127と、筒壁123に設けた一対の受動カム125で構成してある。受動カム125が溝カム127に対して周方向へがたつくのを防止するために、円板操作体117は上ホルダー26の上面側に配置したキックばね129で、
図14において反時計回転方向へ回転付勢してある。注意表示118および安全表示119を視認可能とするために、床Fを指向するベース本体11の周囲壁の下り傾斜面に表示窓128が開口してあり、その周方向の開口幅は安全表示119の周方向の表示幅より幾分大きく設定してある。
【0057】
図16に示すように、溝カム127は組立てを容易化するための下すぼまり状のガイド凹部131と、同凹部131に連続する垂直の待機溝132と、同溝132に連続する逆へ字状の操作溝133を備えている。なお、
図16においては、表示円板116と円板操作体117を、底面側から見上げた状態で示している。天井押圧体3が小さな隙間を間にして天井Rを対向している無負荷状態では、
図16(a)に示すように受動カム125は待機溝132と係合しており、このとき、表示窓128には注意表示118が臨んでいる。天井押圧体3が天井Rに密着したのち、ロックハンドル79をロック姿勢に切換えることにより、天井ばね27が弾性変形して天井押圧体3の全体が天井Rに押圧される。この状態では、上枠体1が押上げ操作された分だけ下ホルダー25が上昇移動するため、受動カム125は操作溝133と相対スライドして、
図16(b)に示す矢印の向きに回転操作される。また、受動カム125の回転に同行して操作ギヤ124が回転し、受動ギヤ120を介して表示円板116を回転操作するため、安全表示119が表示窓128に臨む。この状態のとき、天井押圧体3は過不足なく適正な押付力で天井Rに押付けられていることになる。
【0058】
安全表示119が表示窓128に臨んだ状態ののち、ロックハンドル79がロック姿勢に切換わった場合には、上枠体1が余分に押上げ操作されて、その分だけ下ホルダー25が上昇移動する。その結果、受動カム125は
図16(c)に示すように、操作溝133の下端に達するまで余分に回転操作されて、注意表示118が再び表示窓128に表れる。この状態は、天井押圧体3が過剰な押付力で天井Rに押付けられていることを意味するので、ロックハンドル79をロック解除操作し、上枠体1の抜出し長さを小さめに調整して、支柱を設置し直す必要がある。ロックハンドル79をロック姿勢に切換えた状態において、
図15に示すように注意表示118と安全表示119が表示窓128に表れている場合には、天井Rに対する天井押圧体3の押付力が不足していることを意味するので、この場合にもロックハンドル79をロック解除操作し、上枠体1の抜出し長さを大きめに調整して、支柱を設置し直す必要がある。上記のように、表示円板116は天井押圧体3が無負荷状態、あるいは低負荷状態のときと、天井押圧体3に過剰な負荷が作用している状態において、赤色に着色された注意表示118を表示窓128に表示するが、その必要はない。例えば、天井押圧体3が過不足なく適正な押付力で天井Rに押付けられた状態において、青色や緑色などに着色された安全表示119が、表示窓128に表示されるようにしてもよい。
【0059】
以上のように構成した押付力表示構造によれば、上下のホルダー25・26が相対スライドして天井ばね27が圧縮変形する状態において、カム機構で変換された回転動作を受けた円板操作体117が表示円板116を回転操作して、表示円板116の周囲に設けた注意表示118と安全表示119の表示位置を切換えることができる。また、床Fを指向するベース本体11の周囲壁の下り傾斜面に両表示118・119の表示窓128を開口するので、ベース本体11を見上げることで注意表示118または安全表示119を明確に視認することができ、安全表示119が適正な状態に切換ったか否かを適確に判断できる。従って、作業者によって天井押圧体3の押付け荷重にばらつきが生じるのを解消でき、これに伴い、押付け荷重が適正値を越えるのをよく防止できる。また、上下のホルダー25・26の相対スライド量に応じて作動する、カム機構および円板操作体117で表示円板116を回転操作して荷重表示118・119を切換えるので、荷重表示118・119を天井ばね27の圧縮変形量に適合して正確に変位操作できる利点もある。なお、安全表示119が適正な状態に切換った状態では、天井押圧体3の押付け荷重は平均値で26〜30kgfであるが、従来の支柱における天井受け部材の押付け荷重の平均値(30〜40kgf)に比べて、天井押圧体3の押付け荷重を低下させて天井Rへの負荷を軽減することができる。
【0060】
ロックハンドル79をロック解除操作した自由状態において、上枠体1が自重で下枠体2側へ落下するのを防止するために、ブレーキ構造を設けている。
図2に示すようにブレーキ構造は、上枠体1の下半下部に装着した付勢リング136と、上枠体1の下端(下部)に設けた制動構造137で構成する。
図17に示すように、付勢リング136は断面C字状のリング体からなり、リング内面が上枠体1の周面に密着する状態で、リング体の内面中央に突設した係合ピン138を上枠体1の筒壁に係合することにより、上枠体1と一体化してある。この状態の付勢リング136は、自己の弾性力で上枠体1の中途部を矢印の方向へ移動付勢しており、従って上枠体1は抱持リング78を支点とする傾動モーメントを常に受けることになる。
図17においては、同図に向かって左側に縦断面図を示し、その右横に付勢リング136の断面を示すf−f線断面図と、制動構造137の断面を示すg−g線断面図を表示している。
【0061】
制動構造137は、上枠体1の下端内面に装着されてビス139で固定される上側の連結枠140と、連結枠140の下部に連続する断面がコ字状の保持枠部141と、同枠部141に収容したブレーキばね142および押出しプラグ143と、押出しプラグ143で押出し付勢されるブレーキ羽根144を備えている。保持枠部141の外面には、下枠体2の内面に接当する脚片145が突設してある。ブレーキ羽根144は、下枠体2の内面に密着する部分円弧状のブレーキシュー146と、押出しプラグ143に接当してブレーキばね142で押出し操作される受動片147を一体に備えている。下枠体2の内部においては、ブレーキシュー146が、ブレーキばね142で押出し操作されて下枠体2の内面に圧接し、脚片145と下枠体2、およびブレーキシュー146と下枠体2の間の摩擦抵抗によって上枠体1が自重で落下するのを防止している。この状態の押出しプラグ143は、先の付勢リング136の付勢方向と同じ向きに押出されて、ブレーキ羽根144を下枠体2に密着させており、そのため、付勢リング136による傾動モーメントはブレーキばね142の付勢力で相殺される。
【0062】
上記の摩擦抵抗は上枠体1を下枠体2から抜出す際にも作用するが、上枠体1を抜き出し操作する際の摩擦抵抗を減少させるために、押出しプラグ143と受動片147がカム面148を介して接当するようにし、さらに、ブレーキ羽根144を押出しプラグ143に対して一定量だけ上下スライドできるようにしている。カム面148は、上枠体1が下方移動する状態では、押出しプラグ143がブレーキばね142の付勢力に抗して保持枠部141内へ押し込まれ、上枠体1が上方移動する状態では、押出しプラグ143が保持枠部141から押出される向きに傾斜させてある。
【0063】
上記のブレーキ構造によれば、上枠体1が下方移動するときは、ブレーキ羽根144が押出しプラグ143に対して上側へスライドし、ブレーキ羽根144がスライドした分だけカム面148における接当位置が上側へずれ動く。また、カム面148における接当位置が上側へ位置ずれするのに伴って、押出しプラグ143が保持枠部141内へ押し込まれて、ブレーキばね142がそれまでよりも圧縮変形される。その結果、ブレーキばね142のばね圧が増加して、その分だけブレーキ羽根144が下枠体2に強く押付けられる。逆に、上枠体1が上方移動するときは、ブレーキ羽根144が押出しプラグ143に対して下側へスライドし、ブレーキ羽根144がスライドした分だけカム面148における接当位置が下側へずれ動く。
図17は、受動片147が押出しプラグ143の下部側のカム面148と接当している状態を示している。上記のように、カム面148における接当位置が下側へ位置ずれするのに伴って、押出しプラグ143が保持枠部141から押出されて、ブレーキばね142がそれまでよりも伸張変形する。その結果、ブレーキばね142のばね圧が減少して、その分だけブレーキ羽根144の下枠体2に対する押付け力が小さくなり、上枠体1を抜き出し操作する際の摩擦抵抗を減少できる。
【0064】
以上のように、上枠体1の下部に制動構造137を設けると、ブレーキシュー146および脚片145と下枠体2の間に発生する摩擦抵抗によって、下降移動する上枠体1を制動することができる。従って、ロックハンドル79がロック解除操作されるのと同時に、上枠体1が自重で下枠体2の内部へ衝撃的に落下するのを防止して、上枠体1をゆっくりと安全に下降移動させることができる。また、上枠体1を下枠体2から抜き出し操作する際の摩擦抵抗を小さくして、支柱の設置作業を楽に軽快に行うことができる。さらに、下枠体2に差し込まれた上枠体1を、抱持リング78と、付勢リング136と、ブレーキシュー146の3者で支持して上枠体1がぐら付くのを防止できるので、上枠体1の下枠体2に対する出し入れを円滑に行える。
【0065】
突っ張り固定型の支柱をベランダや玄関ポーチなどの、雨が降込む場所に設置できるようにするために、接床体4の内部に排水構造を設けている。具体的には
図6に示すように、ベースホルダー43の連結筒部65と、下連結ボス48の内底と、下抜止具56のねじ部73の内底のそれぞれに、排水穴161・162・163を上下貫通状に形成して、下枠体2の内部に入込んだ雨水を床Fへ排水できるようにしている。このように、排水穴161・162・163を形成すると、下枠体2や接床体4の内部に雨水が溜まるのを一掃できるので、支柱をベランダや玄関ポーチなどの、雨が降込む場所に設置できることとなり、突っ張り固定型の支柱の適用可能な場所を拡大できる。
【0066】
突っ張り固定型の支柱は、上枠体1と下枠体2を
図2に示すように床Fと天井Rとの間に突っ張り固定した状態で使用できるが、例えば別途用意してあるU字状の手摺を下枠体2に固定した状態で使用することができる。また、
図21に示すように、廊下等の壁面に沿って複数の支柱を突っ張り固定し、各支柱の下枠体2に固定した接続ブラケット150で手摺棒151を支持して、使用することができる。
【0067】
以上のように構成した突っ張り固定型の支柱によれば、天井Rまたは床Fの傾きに応じて上傾動体6が傾動して、天井Rに確りと密着した状態で支柱を設置できる。従って、支柱に横荷重が作用することがあったとしても、天井押圧体3が横すべりして支柱が倒壊するのを解消して、突っ張り固定型の支柱の安全性を向上できる。また、床Fと天井Rのいずれか一方が僅かに傾いているか否かを明確に把握できない場合であっても、支柱を安定した状態で設置できるので、従来のこの種の支柱に比べて、突っ張り固定型の支柱の適用可能な場所を拡大し安全性を確保できる。
【0068】
支柱を設置する場合には、ロックハンドル79をロック解除姿勢に切換えた状態で、上枠体1を下枠体2から抜き出して、天井押圧体3の上傾動体6を天井Rにあてがい支柱全体を仮設置する。この状態で、ロックハンドル79をロック姿勢側へ揺動操作して、
図10に想像線で示すように押上げリンク80をロックハンドル79に同行して下降移動させ、支点軸95をガイド溝83の下端で受止めさせる。この時点で、上枠体1を押上げて天井押圧体3を天井Rに押付けるロック準備動作が完了する。ロックハンドル79をさらに押下げ操作すると、ハンドル本体91の操作部99が傾斜ガイド面98aを介してカム片98に乗り上がるため、一対のブラケット部90は互いに接近し、リング筒部78aが縮径して上枠体1を抱持固定する。一方、押上げリンク80は支点軸95を支点にして、押上げ操作されるため、抱持リング78および上枠体1が押上げリンク80に同行して上向きに押上げ操作される。
【0069】
上記のように、ロック準備動作が完了し、さらにリング筒部78aが上枠体1を抱持固定したのち、ロックハンドル79をさらに押下げ操作すると、まず、ばね圧が小さな床ばね63が押下げられて約5mm沈み込み、次いで天井ばね27が圧縮変形される。最終的には、天井ばね27が約15mm圧縮変形して天井押圧体3を過不足なく天井Rに押し付ける。つまり、ロック準備動作の完了後に、ロックハンドル79の押下げ操作に連動して床ばね63を約5mm沈み込ませることにより、天井ばね27が圧縮変形し始めるタイミングを遅らせて、天井押圧体3が天井Rに過大に押し付けられるのを防止している。これは、従来の支柱において天井受け部材を天井に対して1cm前後の隙間を介して対向させた状態でハンドルを下方揺動操作して、圧縮コイルばねが弾性変形し始めるタイミングを遅らせて、天井受け部材が天井に対して過大に押し付けられるのを防ぐのと、同じ効果を得るためである。
【0070】
以上のように、接床体4に床ばね63を設けた突っ張り固定型の支柱によれば、上傾動体6を天井Rにあてがい支柱全体を仮設置した状態で、ロックハンドル79をロック姿勢に揺動操作するだけで、天井押圧体3を天井Rに過不足なく押し付けることができる。従って支柱の設置を誰もが確実かつ容易に行え、従って支柱の設置に要する手間を著しく省いて、使い勝手に優れた突っ張り固定型の支柱を提供できる。また、支柱を設置した状態においては、天井Rまたは床Fの傾きに応じて上傾動体6を傾動させ、天井Rに確りと密着させて、支柱を安定した状態で設置できる。さらに、上凹部フランジ20と上抜止フランジ21が、傾動隙間E1を介して上下に対向しているので、天井Rまたは床Fの傾きの方向を考慮する必要もなく、上傾動体6を天井Rまたは床Fの傾きに追随して全方位方向へ傾動させることができ、その分だけ支柱の設置をさらに容易に行える。
【0071】
接床体4の側にも下傾動体42を設けるので、天井Rまたは床Fの傾きを、上傾動体6と下傾動体42が協同して吸収できる。従って、上傾動体6および下傾動体42の上ベース体5および下ベース体41に対する傾きを小さくして、上枠体1および下枠体2をより垂直に近い姿勢で、しかも安定した状態で突っ張り固定できる。また、天井Rまたは床Fの傾きの度合いが大きい場合でも、上傾動体6および下傾動体42が協同して先の傾きを吸収するので、従来のこの種の支柱に比べて、突っ張り固定型の支柱の適用可能な場所をさらに拡大できる。
【0072】
上枠体1と上ベース体5の間に天井ばね27を配置し、下枠体2と下ベース体41の間に床ばね63が配置してあるので、天井ばね27と床ばね63がそれぞれ弾性変形して、天井押圧体3および接床体4を天井Rあるいは床Fに押付けることができる。従って、上枠体1または下枠体2に上下方向の外力が作用した場合に、天井押圧体3や接床体4が天井Rあるいは床Fからから浮離れてずれ動くのを確実に防止して安全性を向上できる。
【0073】
(別実施例)
図18は付勢リング136の別の実施例を示している。そこでは、部分円弧状のリング体136aと、リング体136aの内面側に突設したリング軸136bで付勢リング136を構成し、リング軸136bの基端および突端の間に、一対の外突湾曲状のばね腕136cを設けるようにした。リング軸136bを、上枠体1に設けた装着穴135に差込んだ状態で、上枠体1および付勢リング136を下枠体2の内部に組込むことにより、リング体136aの外面が下枠体2の内面に密着し、リング軸136bの突端が上枠体1の内面で受止められて、ばね腕136cが外膨らみ状に弾性変形する。この状態の付勢リング136は、ばね腕136cの変形応力で上枠体1を矢印の向きに移動付勢している。他は先の実施例と同じであるので、同じ部材に同じ符号を付してその説明を省略する。以下の実施例においても同じとする。
【0074】
上記のように、リング体136aとリング軸136bと、一対のばね腕136cで構成した付勢リング136によれば、外膨らみ状に弾性変形したばね腕136cの変形応力で、上枠体1を矢印の向きに移動付勢できる。従って、断面C字状のリング体の弾性力のみで上枠体1を矢印の向きに移動付勢する先の実施例の付勢リング136に比べて、上枠体1の傾動ストロークが大きい場合でも支障なく付勢力を発揮できる。また、付勢リング136を上枠体1に組付けた後は、ばね腕136cが装着穴135に引っ掛かるので、上枠体1を下枠体2から分離した状態であっても、付勢リング136が上枠体1から抜外れることはない。
【0075】
(別実施例)
図19および
図20は制動構造137の別の実施例を示している。そこでは、押出しプラグ143を保持枠部141に係合装着されるベース部153と、ブレーキ羽根144を押付け操作するプラグ本体154と、これら両者153・154と一体に形成される樹脂ばね(ブレーキばね)142で構成した。また、プラグ本体154を樹脂ばね142と協同して確実に押し出し操作するために、ベース部153と保持枠部141の内奥壁の間に圧縮コイル形の付勢ばね158を配置した。ベース部153の上下には、保持枠部141の内奥壁に圧嵌係合する弾性腕155が設けてある。ブレーキ羽根144を、押出しプラグ143に対して上下スライド可能に連結し、押出しプラグ143とブレーキ羽根144の受動片147が傾斜するカム面148を介して接当するようにした。詳しくは、プラグ本体154の突端に断面T字状のガイド壁156を設け、ブレーキ羽根144の受動片147にガイド壁155に外嵌する断面C字状のスライド枠157を一体に形成した。
【0076】
上記のように、ブレーキばねを押出しプラグ143と一体の樹脂ばね142で形成すると、部品点数を減らして制動構造137のコストを削減でき、さらに部品管理の手間を省くことができる。また、押出しプラグ143とブレーキ羽根144を、断面T字状のガイド壁156と断面C字状のスライド枠157を介して上下スライド自在に連結するので、カム面148のみで接当していた実施例の制動構造137に比べて、上枠体1が上下スライドするときのブレーキ羽根144のスライド動作を確動的に行える。
【0077】
上記の実施例で説明した上傾動体6および下傾動体42は、全方位方向へ傾動できる点で円板状に形成することが好ましいが、必要があれば前後または左右に長い平板状に形成してあってもよく、3個以上の接当腕を備えた非円板状に形成してあってもよい。受壁50はリング状に形成する必要はなく、一定間隔おきに断続配置した突起群で構成することができる。表示円板116は傘状に形成する必要はなく、厚みが小さな円盤状に形成してあってもよく、その場合には、円盤の周面あるいは下面に荷重表示を設けるとよい。天井ばね27および床ばね63は圧縮コイルばねに換えて、ゴム成形品やエアーダンパーを適用することができる。カム面148は、平坦な傾斜面で形成する以外に、湾曲する傾斜面で形成してあってもよい。
【解決手段】天井押圧体3を備えた上枠体1と、接床体4を備えた下枠体2と、上枠体1を上下動不能にロック保持するロック機構を備えている。天井押圧体3は、上枠体1に装着した上ベース体5と、上ベース体5に対して相対傾動可能に連結される上傾動体6を備えている。上傾動体6は、上ベース体5と上抜止具17で上下に挟持されて、上ベース体5に対して傾動は可能に、しかし抜外れは不能に装着する。上傾動体6に張出した上凹部フランジ20と、上抜止具17の周縁に張出した上抜止フランジ21が、傾動隙間E1を介して上下に対向している。支柱を床Fと天井Rの間に設置した状態において、上傾動体6が傾動隙間E1の範囲内で傾動して、天井Rまたは床Fの傾きを吸収する。