(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照して、本発明による翼列、ガスタービンを実施するための形態を説明する。しかし、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。
【0024】
(第一実施形態)
図1は、この実施形態のガスタービンの概略全体構成を示す半断面図である。
図2は、ガスタービンを構成する静翼の静翼分割体を示す斜視図である。
図3は、静翼分割体の端壁部同士が隣り合う部分を示す斜視図である。
図4は、端壁部同士が隣り合う部分の断面図である。
図1に示すように、この実施形態のガスタービン1は、圧縮機2と、燃焼器9と、タービン部(タービン本体)3とを備える。
【0025】
圧縮機2は、空気を空気取込口から取り込んで圧縮空気を生成する。
燃焼器9は、圧縮機2の吐出口に接続されている。燃焼器9は、圧縮機2から吐出された圧縮空気に燃料を噴射して高温・高圧の燃焼ガスGを発生させる。
タービン部3は、燃焼器9から送り出された燃焼ガスGを作動流体として、回転軸4の回転エネルギに変換して駆動力を発生させる。タービン部3は、発生させた駆動力を回転軸4に連結された発電機(図示無し)に伝達する。
【0026】
タービン部3は、車室5内に、静翼列(翼列)7と、動翼列8とが、回転軸4の軸方向に沿って交互に配列されている。タービン部3では、燃焼ガスGが、車室5内に形成された主流路(流路)Rを回転軸4の軸方向に向かいつつ、静翼列7や動翼列8に対して相対的に旋回しながら流通する。
【0027】
静翼列7は、外周側が車室5と一体に設けられている。静翼列7は、周方向に複数設けられた後述する静翼分割体10を備えている。静翼列7は、これら複数の静翼分割体10を周方向に複数備えることによって、全体として環状をなしている。静翼列7は、動翼列8とともに、タービン部3の車室5内で回転軸4を周方向に覆うように配置され、燃焼ガスGを流通する主流路Rを画成する。
【0028】
図2に示すように、各静翼分割体10は、翼体11と、内周端壁部12と、外周端壁部13と、を備えている。
【0029】
翼体11は、翼断面形状を有している。翼体11は、一方の側が凹面状の腹面部11aとされている。翼体11は、他方の側が凸面状の背面部11bとされている。翼体11は、内周端壁部12から外周端壁部13に向かって延びている。翼体11は、静翼列7としてタービン部3に組み込まれることで、主流路R内に配置される。具体的には、翼体11は、環状をなす静翼列7として組み込まれた際に、内周端壁部12から外周端壁部13に向かって静翼列7の径方向に延びている。
【0030】
内周端壁部12は、いわゆる内側シュラウドである。内周端壁部12は、翼体11の一方の端部に一体に設けられている。この内周端壁部12は、回転軸4の周方向に複数配置されることで、全体として回転軸4を中心とした環状体を形成する。
【0031】
外周端壁部13は、いわゆる外側シュラウドである。外周端壁部13は、翼体11の他方の端部に一体に設けられている。外周端壁部13は、回転軸4の周方向に複数配置されることで、全体として回転軸4を中心とした環状体を内周端壁部12の径方向外側に形成する。
【0032】
このようにして、静翼列7は、各静翼分割体10の内周端壁部12と外周端壁部13との間に、燃焼ガスGを流通する主流路Rを画成する。そして、この内周端壁部12と外周端壁部13とで囲まれた主流路R内に翼体11が配置される。
【0033】
図2では、各静翼分割体10は、例えば3枚の翼体11を内周端壁部12と外周端壁部13との間に備えているが、翼体11の枚数については何ら限定するものではない。
【0034】
回転軸4の外周部において周方向に複数設けられた静翼分割体10は、
図3、
図4に示すように、互いに隣接する内周端壁部12,12同士、外周端壁部13,13同士の間にそれぞれ、隙間Sをあけて配置されている。
【0035】
内周端壁部12や外周端壁部13は、その周方向に端面である対向面(端面)15Aが、それぞれ周方向で隣り合う他の静翼分割体10の内周端壁部12や外周端壁部13の端面である対向面(端面)15Bに対向している。即ち、燃焼ガスGの旋回方向D2の上流側(
図3紙面左側)に配される内周端壁部12における燃焼ガスGの旋回方向D2の下流側(
図3紙面右側)の対向面15Aと、燃焼ガスGの旋回方向D2の下流側に配される内周端壁部12における燃焼ガスGの旋回方向D2の上流側の対向面15Bとの間が、隙間Sとされている。
【0036】
なお、本実施形態における旋回方向D2とは、翼体11によって燃焼ガスGが旋回した後の方向であり、静翼列7の軸方向の出口側において翼体11の腹面部11aから隣接する他の翼体11の背面部11bに向かう燃焼ガスGの周方向の流れの方向である。旋回方向D2は、
図3及び
図4に示す矢印のように、上流側は
図4の紙面左側、旋回方向D2の下流流側は
図4の紙面右側となる。
【0037】
したがって、一つの内周端壁部12や外周端壁部13において、対向面15Aは旋回方向D2の上流側に形成され、対向面15Bは旋回方向D2の下流側に形成されている。
【0038】
内周端壁部12を例に挙げて説明すると、この対向面15A,15Bは、内周端壁部12において主流路Rに面して翼体11が延びている面である端壁面17Fに向かって、動翼列8の回転方向D1の前方側に傾斜している。即ち、対向面15A,15Bは、回転軸4の軸方向である後述する主流路Rを流通する燃焼ガスGの主流方向D3から見た際に、主流路R側、かつ、燃焼ガスGが静翼列7に対して相対的に旋回する流れの方向である旋回方向D2の下流側に向かって傾斜している。この実施形態では、対向面15A,15Bの全体が主流路R側、かつ、燃焼ガスGの旋回方向D2の下流側に傾斜することで、傾斜部16を形成している。
【0039】
対向面15A,15Bは、回転軸4の軸方向に対して傾斜している。具体的には、対向面15A,15Bは、径方向から見た際に、主流方向D3の上流側から下流側に向かうにしたがって、旋回方向D2の上流側から下流側に向かうように傾斜している。即ち、内周端壁部12は、径方向の外側から見た形状が平行四辺形状をなしている。
外周端壁部13においても、内周端壁部12と同様に、対向面15A,15Bが傾斜し、傾斜部16が形成されている。
【0040】
したがって、一つの内周端壁部12や外周端壁部13において、対向面15Aは旋回方向D2の上流側に形成され、対向面15Bは旋回方向D2の下流側に形成されている。内周端壁部12や外周端壁部13では、翼体11の凹面状の腹面部11a側にある端面である対向面15Aと、翼体11が延びている面である端壁面17Fとによって形成される角が角度αの鋭角に形成されている。内周端壁部12や外周端壁部13では、翼体11の凸面状の背面部11b側にある端面である対向面15Bと、端壁面17Fとによって形成される角が角度βの鈍角に形成されている。対向面15Bは、対向面15Aと並行となるように、角度βがβ=180°−αを満たすように形成されている。
【0041】
このように、内周端壁部12,外周端壁部13の対向面15A,15Bを傾斜させて傾斜部16とすると、互いに隣り合う内周端壁部12,外周端壁部13における対向面15A,15B同士の間の隙間Sが、静翼列7の径方向に対し、燃焼ガスGの旋回方向D2の下流側に傾斜する。即ち、隙間Sは、主流路Rと合流する端壁面17F付近では、端壁面17Fから旋回方向D2の下流側に向かって開口するように形成されている。そのため、主流路Rを流れる燃焼ガスGが隙間Sに流れ込むためには、主流路Rの流れに逆らって流れる必要がある。したがって、内周端壁部12と外周端壁部13との間の主流路Rを流れる燃焼ガスGは、その旋回方向D2の下流側に傾斜した隙間Sに流れ込みにくくなる。
【0042】
この隙間Sから主流路Rにシール空気Aを供給する場合、隙間Sが燃焼ガスGの旋回方向D2の下流側に傾斜している。そのため、シール空気Aは、燃焼ガスGが流れる主流路Rに対し、斜めに送り込まれる。さらに、燃焼ガスGが隙間Sに入り込んだ場合、燃焼ガスGの回転軸4の軸方向への主流路R内の流れの方向である主流方向D3の上流側から下流側に向かうにしたがって、主流路R内の圧力が下がる。そのため、主流方向D3の上流側から入り込んだ燃焼ガスGは、主流方向D3の下流側において隙間Sから主流路R内に流れ出てくる。この流れ出てくる燃焼ガスGも、主流路Rに対し、斜めに送り込まれる。したがって、シール空気Aや隙間Sから流れ出てくる燃焼ガスGが、主流路Rを流れる燃焼ガスGに合流するときの交差角度が小さくなり、主流路Rを流れる燃焼ガスGの流れに与える損失を抑えることができる。
【0043】
上述したように、内周端壁部12及び外周端壁部13の対向面15A,15Bを傾斜させて傾斜部16を設けることで、隣り合う内周端壁部12及び外周端壁部13同士の間の隙間Sに燃焼ガスGが流れ込むのを抑えることができる。その結果、燃焼ガスGの流れにおける損失を抑え、ガスタービン1の効率を高めることができる。
【0044】
隙間Sから主流路Rにシール空気Aを供給する場合、シール空気Aによって燃焼ガスGの流れに与える損失を抑えることができるので、ガスタービン1の効率を高めることができる。
隙間Sからシール空気Aが効率良く流れ出ることになるので、シール空気Aによって内周端壁部12,外周端壁部13を冷却する効果も高まる。
【0045】
(第一実施形態の変形例)
上記実施形態では、対向面15A,15Bを平面状として、傾斜部16を形成したが、これに限らない。以下、その変形例として、内周端壁部12を例に挙げて示す。なお、外周端壁部13においても同様の変形例が適用可能である。
(第一変形例)
図5は、上記
端壁部に形成した対向面の第一変形例の構成を示す断面図である。
この
図5に示すように、周方向で隣り合う内周端壁部12の対向面15A,15Bの傾斜部16は、主流路Rに面する端壁面17Fに近づくにしたがって、主流路Rを流通する燃焼ガスGの旋回方向D2の下流側に向かって徐々に傾斜するよう、湾曲して形成してもよい。
【0046】
このように構成することで、内周端壁部12の対向面15A,15B同士の間の隙間Sは、主流路Rに面する端壁面17Fに近いほど、傾斜が大きくなる。その結果、端壁面17Fにおいて隙間Sは、旋回方向D2の上流側に向かってより急な角度で開口するように形成される。そのため、燃焼ガスGはより一層隙間Sに流れ込みにくくなる。また、隙間Sからシール空気Aを供給する場合であっても、シール空気Aの流れ出す方向と燃焼ガスGの流れ方向との交差角度がより小さくなる。その結果、燃焼ガスGの流れに与える損失を、より一層抑えることができる。
【0047】
(第二変形例)
図6は、上記
端壁部に形成した対向面の第二変形例の構成を示す断面図である。
この
図6に示すように、周方向で隣り合う内周端壁部12のうち、燃焼ガスGの旋回方向D2の下流側に配される内周端壁部12における燃焼ガスGの旋回方向D2の上流側の対向面15Bの傾斜部16を変更する。具体的には、対向面15Bの傾斜部16は、端壁面17Fに近づくほど、対向面15Aの傾斜部16よりも旋回方向D2の下流側に向かって延びるように形成してもよい。ここで、この第2変形例では、対向面15Bの傾斜部16には、対向面15Aの傾斜部16に平行な第一傾斜部16aと、第一傾斜部16aよりも傾斜角度が大きい第二傾斜部16bとが形成されている。したがって、内周端壁部12や外周端壁部13では、第一傾斜部16aと端壁面17Fとによって形成される角が第一実施形態と同様に角度βの場合、第二傾斜部16bと端壁面17Fとによって形成される角の角度γは、角度βよりも大きく形成されている。
【0048】
このように構成することでも、内周端壁部12の対向面15A,15B同士の間の隙間Sは、端壁面17Fに近いほど、傾斜が大きくなる。その結果、隙間Sからシール空気Aを供給する場合であっても、燃焼ガスGの流れに与える損失を、より一層抑えることができる。
【0049】
(第三変形例)
図7は、上記
端壁部に形成した対向面の第三変形例の構成を示す断面図である。
この
図7に示すように、周方向で隣り合う内周端壁部12において主流路Rに面する端壁面17Fは、旋回方向D2の上流側に配される内周端壁部12の端壁面17Faに対し、旋回方向D2の下流側に配される内周端壁部12の端壁面17Fbが、主流路R側から離間した側に配されるようにしてもよい。つまり、旋回方向D2の上流側の端壁面17Faに対して旋回方向D2の下流側の端壁面17Fbを、動翼列8の径方向の内側に向かって低くなるよう段違いに形成する。
【0050】
このように構成すると、燃焼ガスGは、より一層隙間Sに流れ込みにくくなる。隙間Sからシール空気Aを供給する場合であっても、隙間Sから流れ出たシール空気Aは、上流側の端壁面17Faに対して低くなるよう段違いに形成された端壁面17Fbに沿う。その結果、主流路Rを流れる燃焼ガスGに対して隙間Sから流れ出てすぐに合流することが抑えられ、燃焼ガスGの主流路Rの流れに与える損失を抑えることができる。
【0051】
(第四変形例)
図8は、上記
端壁部に形成した対向面の第四変形例の構成を示す断面図である。
この
図8に示す第四変形例は、上記第2変形例と第3変形例とを組み合わせたものである。すなわち、周方向で対向する対向面15A,15Bのうち、燃焼ガスGの旋回方向D2の下流側に配される対向面15Bの傾斜部16は、端壁面17F側ほど、旋回方向D2の下流側に向かって延びるように形成されている。また、旋回方向D2の上流側に配される端壁面17Faに対し、旋回方向D2の下流側に配される端壁面17Fbが、翼体11側から離間した側に配されている。
【0052】
このように構成することで、燃焼ガスGは、さらに隙間Sに流れ込みにくくなる。隙間Sからシール空気Aを供給する場合であっても、隙間Sから流れ出たシール空気Aが燃焼ガスGの流れに与える損失を、より一層抑えることができる。
【0053】
(その他の変形例)
上記第一実施形態およびその変形例では、傾斜部16を対向面15A,15Bの全て領域に対して形成したが、これに限らない。傾斜部16は、対向面15A,15Bにおいて、燃焼ガスGの主流路Rに臨む端壁面17Fに近い側の領域に少なくとも形成されていればよい。
【0054】
(第二実施形態)
次に、本発明にかかる翼列、ガスタービンの第二実施形態について説明する。なお、以下に説明する第二実施形態においては、上記第一実施形態と共通する構成については図中に同符号を付してその説明を省略する。
【0055】
図9は、第二実施形態のガスタービンにおいて、静翼分割体の
端壁部同士が隣り合う部分を示す断面図である。
この
図9に示すように、内周端壁部12と,外周端壁部13とは、周方向で隣り合う他の静翼分割体10の内周端壁部12と,外周端壁部13とにそれぞれ対向する対向面(端面)15C,15Dを有している。即ち、燃焼ガスGの旋回方向D2の上流側に配される内周端壁部12における燃焼ガスGの旋回方向D2の下流側の対向面15Cと、燃焼ガスGの旋回方向D2の下流側に配される内周端壁部12における燃焼ガスGの旋回方向D2の上流側の対向面15Dとの間が、隙間Sとされている。
【0056】
この隙間Sに、シール部材20を挟み込めるよう、一方の対向面15Cには、溝21が形成されている。シール部材20は、溝21に収容して対向面15C,15Dの間に介在させることで、燃焼ガスGが主流路Rから外部に漏出するのを抑えるようになっている。具体的には、本実施形態のシール部材20は、円柱状をなすシールピンである。
なお、シール部材20は、本実施形態のようにシールピンであることに限定されるものではなく、燃焼ガスGの流出を押させることができればよい。例えば、シール部材20としては、平板状をなすシールプレートを用いてもよい。
【0057】
対向面15C,15Dには、シール部材20に対して主流路R側に傾斜部16が形成されている。即ち、対向面15C,15Dには、端壁面17Fに対して垂直に径方向に延びる面が形成されており、傾斜部16は、この面から主流路R側で旋回方向D2の下流側に傾斜している。
【0058】
このようにして、主流路R側で隙間Sが傾斜していることで、燃焼ガスGが隙間Sに流れ込みにくくできる。加えて、隙間Sから供給するシール空気Aが主流の流れに与える損失を抑えることができる。
【0059】
したがって、上述したように、内周端壁部12及び外周端壁部13の対向面15C,15Dに、シール部材20に対して端壁面17F側に傾斜部16を設けることで、燃焼ガスGの流れにおける損失を抑え、ガスタービン1の効率を高めることができる。
【0060】
(その他の実施形態)
なお、本発明の翼列、ガスタービンは、図面を参照して説明した上述の各実施形態に限定されるものではなく、その技術的範囲において様々な変形例が考えられる。
【0061】
上記実施形態では、内周端壁部12及び外周端壁部13の双方に、傾斜部16を設けるようにしたが、内周端壁部12および外周端壁部13の一方のみに傾斜部16を設けても良い。
上記実施形態では、隙間Sから主流路Rにシール空気Aを供給する場合について言及したが、シール空気Aを供給しない場合にも、上記構成を適用可能である。
【0062】
上記実施形態では、対向面15Bは、対向面15Aと並行となるように、角度βがβ=180°−αを満たすように形成されている構造としたが、このような角度に限定されるものではない。例えば、角度βは、対向面15Bと対向面15Aとが並行とならないような値であってもよい。
【0063】
上記各実施形態およびその変形例では、静翼列7に傾斜部16を設ける構成としたが、動翼列8に対しても同様の構成を適用することが可能である。動翼列8の場合、翼体と翼根とが延びるプラットフォームが、本発明における端壁部に相当する。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更したりすることが可能である。
【0064】
別の変形例として、例えば、この発明に係る第十の態様の静翼分割体は、作動流体を流通する流路に面して周方向に延びる内側シュラウドと、前記内側シュラウドの径方向外側に配置されて、前記流路に面して周方向に延びる外側シュラウドと、前記内側シュラウドから前記外側シュラウドに向かって径方向に延びる翼体と、備え、前記内側シュラウド及び前記外側シュラウドの前記周方向の端面が、前記流路側、かつ、前記流路を流通する前記作動流体の旋回方向の下流側に向かって傾斜する傾斜部を有していてもよい。
【0065】
このように、内側シュラウド及び外側シュラウドの端面に傾斜部を設けると、互いに隣り合う内側シュラウド及び外側シュラウドの端面同士の隙間が、作動流体の旋回方向の下流側に傾斜する。その結果、作動流体は、その旋回方向の下流側に傾斜した隙間に流れ込みにくくなる。この隙間から作動流体の流路側にシール空気を供給する場合であっても、隙間が作動流体の旋回方向の下流側に傾斜している。そのため、シール空気が主流の流れに与える損失を抑えることができる。
【0066】
この発明に係る第十一の態様の静翼分割体では、上記第十の態様において、前記傾斜部は、前記流路に近づくにしたがって、前記流路を流通する前記旋回方向の下流側に向かって傾斜するようにしてもよい。
このように構成することで、作動流体は、より一層隙間に流れ込みにくくなり、シール空気が主流の流れに与える損失もさらに抑えることができる。
【0067】
この発明に係る第十二の態様の静翼分割体では、上記第十または第十一の態様において、前記端面のうち、前記旋回方向の上流側に配される前記端面側の前記傾斜部が、前記旋回方向の下流側に配置される前記端面側の傾斜部よりも、前記流路に近づくにしたがって、前記流路を流通する前記旋回方向の下流側に向かって傾斜するようにしてもよい。
このように構成することで、内側シュラウド及び外側シュラウドの端面同士の間の隙間は、作動流体が流れる流路に近いほど傾斜が大きくなる。その結果、作動流体は、より一層隙間に流れ込みにくくなる。また、隙間からシール空気を供給する場合であっても、主流の流れに与える損失を、より一層抑えることができる。
【0068】
この発明に係る第十三の態様の静翼分割体では、上記第十から第十二の態様のいずれか一つにおいて、前記旋回方向の下流側に配される前記内側シュラウド及び前記外側シュラウドの前記流路に面する面に対し、前記旋回方向の上流側に配される前記内側シュラウド及び前記外側シュラウドの前記流路に面する面が、前記流路側から離間した側に配されるようにしてもよい。
このように構成することで、作動流体は、より一層隙間に流れ込みにくくなる。また、隙間からシール空気を供給する場合であっても、主流の流れに与える損失を、より一層抑えることができる。
【0069】
この発明に係る第十四の態様静翼分割体では、上記第十から第十三の態様のいずれか一つにおいて、前記端面のうちいずれか一方にのみ、シール部材を挟み込める溝が形成され、前記傾斜部は、前記溝に対して前記流路側に形成されているようにしてもよい。
このように構成することで、シール部材が配されている場合であっても、隙間の流路側で隙間が傾斜していることで、作動流体が隙間に流れ込みにくくできる。また、隙間から供給するシール空気が主流の流れに与える損失を抑えることができる。
【0070】
この発明に係る第十五の態様の静翼分割体では、上記第十から第十四の態様のいずれか一つにおいて、前記端面は、径方向に延びる面が形成され、前記傾斜部は、前記径方向に延びる面から前記流路側で前記旋回方向の下流側に傾斜するようにしてもよい。
【0071】
この発明に係る第十六の態様の静翼列は、前記流路を画成し、上記第十から第十五の態様のいずれか一つの静翼分割体を前記周方向に複数備えることによって環状にとされる。
【0072】
この発明に係る第十七の態様のガスタービンは、上記第十六の態様の静翼列を備える。
このように構成することで、隣り合う内側シュラウド及び外側シュラウド同士の間の隙間に作動流体が流れ込みにくくできる。隙間から供給するシール空気が主流の流れに与える損失を抑えることができる。
【0073】
別の変形例として、例えば、この発明に係る第十
八の態様の静翼分割体は、作動流体を流通する流路に面して周方向に延びる内側シュラウドと、前記内側シュラウドの径方向外側に配置されて、前記流路に面して周方向に延びる外側シュラウドと、前記内側シュラウドから前記外側シュラウドに向かって径方向に延びる翼体と、備え、前記内側シュラウド及び前記外側シュラウドの前記周方向の端面が、軸方向の上流側から下流側に向かうにしたがって、前記作動流体の旋回方向の上流側から下流側に向かうように傾斜し、前記流路側、かつ、前記流路を流通する前記旋回方向の下流側に向かって傾斜する傾斜部を有していてもよい。
【0074】
このように、内側シュラウド及び外側シュラウドの端面に傾斜部を設けると、互いに隣り合う内側シュラウド及び外側シュラウドの端面同士の隙間が、軸方向の上流側から下流側に向かうにしたがって作動流体の旋回方向の下流側に傾斜している。そのため、流路を流れる主流と隙間の角度の差が小さくなり、隙間を横断する作動流体の流れを減らすことができる、したがって、作動流体は、隙間に流れ込むことによる損失や、隙間に流れ込んだ作動流体と主流との混合を低減することができる。
また、この隙間から作動流体の流路側にシール空気を供給する場合であっても、隙間が軸方向に対して傾斜しているだけでなく、径方向に対して傾斜している。そのため、シール空気が流路を流れる作動流体に合流するときの交差角度をより小さくすることができ、流路を流れる作動流体の流れに与える損失を効果的に抑えることができる。
【0075】
この発明に係る第十
九の態様の静翼分割体では、上記第十
八の態様において、前記傾斜部は、前記流路に近づくにしたがって、前記流路を流通する前記旋回方向の下流側に向かって傾斜するようにしてもよい。
このように構成することで、作動流体は、より一層隙間に流れ込みにくくなり、シール空気が主流の流れに与える損失もさらに抑えることができる。
【0076】
この発明に係る第
二十の態様の静翼分割体では、上記第十
八または第十
九の態様において、前記端面のうち、前記旋回方向の上流側に配される前記端面側の前記傾斜部が、前記旋回方向の下流側に配置される前記端面側の傾斜部よりも、前記流路に近づくにしたがって、前記流路を流通する前記旋回方向の下流側に向かって傾斜するようにしてもよい。
このように構成することで、内側シュラウド及び外側シュラウドの端面同士の間の隙間は、作動流体が流れる流路に近いほど傾斜が大きくなる。その結果、作動流体は、より一層隙間に流れ込みにくくなる。また、隙間からシール空気を供給する場合であっても、主流の流れに与える損失を、より一層抑えることができる。
【0077】
この発明に係る第二十
一の態様の静翼分割体では、上記第十
八から第
二十の態様のいずれか一つにおいて、前記旋回方向の下流側に配される前記内側シュラウド及び前記外側シュラウドの前記流路に面する面に対し、前記旋回方向の上流側に配される前記内側シュラウド及び前記外側シュラウドの前記流路に面する面が、前記流路側から離間した側に配されるようにしてもよい。
このように構成することで、作動流体は、より一層隙間に流れ込みにくくなる。また、隙間からシール空気を供給する場合であっても、主流の流れに与える損失を、より一層抑えることができる。
【0078】
この発明に係る第二十
二の態様の静翼分割体では、上記第十
八から第二十
一の態様のいずれか一つにおいて、前記端面のうちいずれか一方にのみ、シール部材を挟み込める溝が形成され、前記傾斜部は、前記溝に対して前記流路側に形成されているようにしてもよい。
このように構成することで、シール部材が配されている場合であっても、隙間の流路側で隙間が傾斜していることで、作動流体が隙間に流れ込みにくくできる。また、隙間から供給するシール空気が主流の流れに与える損失を抑えることができる。
【0079】
この発明に係る第二十
三の態様の静翼分割体では、上記第十
八から第二十
二の態様のいずれか一つにおいて、前記端面は、径方向に延びる面が形成され、前記傾斜部は、前記径方向に延びる面から前記流路側で前記旋回方向の下流側に傾斜するようにしてもよい。
【0080】
この発明に係る第二十
四の態様の静翼列は、前記流路を画成し、上記第十
八から第二十
三の態様のいずれか一つの静翼分割体を前記周方向に複数備えることによって環状にとされる。
【0081】
この発明に係る第二十
五の態様のガスタービンは、上記第二十
四の態様の静翼列を備える。
このように構成することで、隣り合う内側シュラウド及び外側シュラウド同士の間の隙間に作動流体が流れ込みにくくできる。隙間から供給するシール空気が主流の流れに与える損失を抑えることができる。