特許第6222914号(P6222914)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6222914
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】エンジン発電機
(51)【国際特許分類】
   F02M 37/00 20060101AFI20171023BHJP
   F02D 45/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   F02M37/00 J
   F02D45/00 345K
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-233495(P2012-233495)
(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公開番号】特開2014-84774(P2014-84774A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】本間 拓
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 俊和
【審査官】 中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】 特開平06−074872(JP,A)
【文献】 特開平08−297075(JP,A)
【文献】 特開平09−177586(JP,A)
【文献】 特開平09−287656(JP,A)
【文献】 特開2001−164981(JP,A)
【文献】 特開2002−071220(JP,A)
【文献】 特開2002−089349(JP,A)
【文献】 特開2002−310024(JP,A)
【文献】 特開2004−060548(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0092302(US,A1)
【文献】 特開2005−307911(JP,A)
【文献】 特開2007−071130(JP,A)
【文献】 特開2007−262946(JP,A)
【文献】 特開2009−167991(JP,A)
【文献】 特開2009−299633(JP,A)
【文献】 特開2012−078029(JP,A)
【文献】 特開2012−017706(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02D 43/00−45/00
F02M 37/00−37/22
F02M 39/00−71/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの内部に、エンジンと、該エンジンにより駆動される発電機と、前記エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクと、該燃料タンク内から燃料フィードポンプで吸引した燃料を前記エンジンに供給する燃料送出管と、前記エンジンで消費されなかった燃料をエンジンから前記燃料タンクに返送する燃料返送管とを備えた可搬式エンジン発電機において、
前記燃料送出管を通って燃料タンクからエンジンに送出される燃料の流量を計測する送出流量計と、前記燃料返送管を通ってエンジンから燃料タンクに返送される燃料の流量を計測する返送流量計と、
前記発電機の発電電力量を計測する電力量計測手段と、
前記送出流量計の計測値から前記返送流量計の計測値を差し引いたエンジンへの燃料供給量と、前記電力量計測手段で計測した発電電力量から算出した負荷率に基づいて、あらかじめ設定された燃料消費量算出式により算出したエンジンの燃料消費量とを比較し、前記エンジンへの燃料供給量が前記エンジンの燃料消費量に対してあらかじめ設定された量以上になったときに燃料漏れが発生したと判定する判定手段と、
前記負荷率及び前記燃料供給量を、経年負荷率及び経年燃料供給量として記録する記録手段と、
あらかじめ設定された使用期間が経過した場合に、前記記録手段に記録されている経年負荷率及び経年燃料供給量に基づいて燃料消費量補正式を算出し、前記燃料消費量補正式により前記あらかじめ設定された燃料消費量算出式を補正する燃料消費量算出式補正手段と、
を備えていることを特徴とする可搬式エンジン発電機。
【請求項2】
前記エンジンの使用期間は、エンジンを使用開始してからの経過日数あるいは前記燃料消費量算出式を補正してからの経過日数であり、該経過日数があらかじめ設定された設定日数を超えたときに、前記燃料消費量算出式補正手段が前記燃料消費量算出式を補正することを特徴とする請求項1記載の可搬式エンジン発電機。
【請求項3】
前記エンジンの使用期間は、エンジンを使用開始してからの積算運転時間あるいは前記燃料消費量算出式を補正してからの積算運転時間であり、該積算運転時間があらかじめ設定された設定時間を超えたときに、前記燃料消費量算出式補正手段が前記燃料消費量算出式を補正することを特徴とする請求項1記載の可搬式エンジン発電機。
【請求項4】
前記判定手段が燃料漏れの発生を判定したときに、警報を発生する警報発生手段又は前記エンジンを停止させるエンジン制御手段の少なくともいずれか一方を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の可搬式エンジン発電機。
【請求項5】
前記燃料消費量算出式補正手段は、
前記あらかじめ設定された燃料消費量算出式と、該あらかじめ設定された燃料消費量算出式に基づいてあらかじめ設定された燃料消費補正式で算出した新たな燃料消費量算出式との誤差があらかじめ設定された量未満の場合は、前記あらかじめ設定された燃料消費量算出式を前記算出した新たな燃料消費量算出式に補正し、
前記誤差が前記あらかじめ設定された量以上の場合は、前記あらかじめ設定された燃料消費量算出式を補正せずに該あらかじめ設定された燃料消費量算出式を保持する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の可搬式エンジン発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン発電機に関し、詳しくは、エンジンで発電機を駆動する可搬式のエンジン発電機における燃料漏れを検出する検出手段を備えたエンジン発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンによって発電機を駆動する可搬式エンジン発電機では、エンジンなどから漏れた燃料が周囲に流出することを防止するための防油堤(オイルガード)を設けている(例えば、特許文献1参照。)。また、燃料タンクからエンジンに燃料を供給する燃料供給経路の途中に燃料小出し槽を設け、該燃料小出し槽内の燃料の状態から燃料漏れを検出するようにしたエンジン発電機が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−299633号公報
【特許文献2】特開2002−310024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載された燃料漏れの検出方法では、主燃料槽(燃料タンク)とは別に燃料小出し槽を設けなければならず、構成が複雑でコスト増になるだけでなく、主燃料槽と燃料小出し槽との間からの燃料漏れは検出することができなかった。また、燃料漏れの検出条件が初期設定のままでは、経年変化によってエンジンの燃費性能が低下して燃料を多く消費するようになったときに燃料漏れが発生したと判定し、警報を発したり、エンジンを強制的に停止させたりして負荷への電力供給が断たれてしまうおそれがあった。
【0005】
そこで本発明は、エンジンの経年変化を考慮しながら燃料漏れの発生を確実に検出することができる検出手段を備えたエンジン発電機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明のエンジン発電機は、ケーシングの内部に、エンジンと、該エンジンにより駆動される発電機と、前記エンジンに供給する燃料を貯留する燃料タンクと、該燃料タンク内から燃料フィードポンプで吸引した燃料を前記エンジンに供給する燃料送出管と、前記エンジンで消費されなかった燃料をエンジンから前記燃料タンクに返送する燃料返送管とを備えた可搬式エンジン発電機において、前記燃料送出管を通って燃料タンクからエンジンに送出される燃料の流量を計測する送出流量計と、前記燃料返送管を通ってエンジンから燃料タンクに返送される燃料の流量を計測する返送流量計と、前記発電機の発電電力量を計測する電力量計測手段と、前記送出流量計の計測値から前記返送流量計の計測値を差し引いたエンジンへの燃料供給量と、前記電力量計測手段で計測した発電電力量から算出した負荷率に基づいて、あらかじめ設定された燃料消費量算出式により算出したエンジンの燃料消費量とを比較し、前記エンジンへの燃料供給量が前記エンジンの燃料消費量に対してあらかじめ設定された量以上になったときに燃料漏れが発生したと判定する判定手段と、前記負荷率及び前記燃料供給量を、経年負荷率及び経年燃料供給量として記録する記録手段と、あらかじめ設定された使用期間が経過した場合に、前記記録手段に記録されている経年負荷率及び経年燃料供給量に基づいて燃料消費量補正式を算出し、前記燃料消費量補正式により前記あらかじめ設定された燃料消費量算出式を補正する燃料消費量算出式補正手段と、を備えていることを特徴としている。
【0007】
さらに、本発明の可搬式エンジン発電機は、前記エンジンの使用期間がエンジンを使用開始してからの経過日数あるいは前記燃料消費量算出式を補正してからの経過日数であり、該経過日数があらかじめ設定された設定日数を超えたときに、前記燃料消費量算出式補正手段が前記燃料消費量算出式を補正すること、あるいは、前記エンジンの使用期間がエンジンを使用開始してからの積算運転時間あるいは前記燃料消費量算出式を補正してからの積算運転時間であり、該積算運転時間があらかじめ設定された設定時間を超えたときに、前記燃料消費量算出式補正手段が前記燃料消費量算出式を補正することを特徴としている。
【0008】
また、前記判定手段が燃料漏れの発生を判定したときに、警報を発生する警報発生手段又は前記エンジンを停止させるエンジン制御手段の少なくともいずれか一方を備えていることを特徴としている。さらに、前記燃料消費量算出式補正手段は、前記あらかじめ設定された燃料消費量算出式と、該あらかじめ設定された燃料消費量算出式に基づいてあらかじめ設定された燃料消費補正式で算出した新たな燃料消費量算出式との誤差があらかじめ設定された量未満の場合は、前記あらかじめ設定された燃料消費量算出式を前記算出した新たな燃料消費量算出式に補正し、前記誤差が前記あらかじめ設定された量以上の場合は、前記あらかじめ設定された燃料消費量算出式を補正せずに該あらかじめ設定された燃料消費量算出式を保持することを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明のエンジン発電機によれば、発電電力量に基づいて燃料消費量を算出するための燃料消費量算出式を、エンジンの使用期間に応じて補正するので、長期間の使用による経年変化でエンジンの燃費性能が低下し、発電電力量に対して燃料を多く消費するようになった場合でも、燃料漏れが発生したと判定することがなくなり、負荷への電力供給を継続することができる。一方、経年変化を見込んだ以上に燃料供給量が増加した場合は、燃料漏れが発生したと判定するので、燃料が外部に流出したりすることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明のエンジン発電機における燃料漏れ検出部の一形態例を示すブロック図である。
図2】発電電力量と燃料消費量との関係、及び、比較する燃料供給量の関係を示す図である。
図3】燃料消費量算出式を補正して燃料漏れを検出する手順の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明のエンジン発電機の一形態例を示す断面正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
まず、図4に示すように、本形態例に示す可搬式エンジン発電機は、エンジン(ディーゼルエンジン)11で発電機12を駆動して負荷に電力を供給するものであって、防音構造を有するケーシング13の下部に設けられた架台14上に前記エンジン11及び発電機12を水平方向に配列するとともに、架台14の下方に燃料タンク15を配置している。
【0012】
また、架台14上におけるエンジン11側には、エンジン11の運転に必要なバッテリ16やラジエータ17、エアクリーナ18,排気管19などが配置され、発電機12側には、エンジン11や発電機12などを制御したりするための制御盤20が設けられている。また、エンジン11と燃料タンク15との間には、燃料フィードポンプ21及び燃料送出管22、燃料返送管23を含む燃料系統が設けられている。
【0013】
架台14の下部には、底板24及び側壁25により底部及び四周を密閉した防油堤(オイルガード)26が、前記燃料タンク15の下半部を囲むようにして設けられている。発電機12側の側壁25の下部には、防油堤26内の液を排出するためのドレン27が設けられ、防油堤26の内部には、防油堤26内の液位があらかじめ設定された高液位に達したときに高液位信号を出力する高液位センサ28と、防油堤26内の液位が前記高液位より低いあらかじめ設定された低液位に達したときに低液位信号を出力する低液位センサ29とが設けられている。
【0014】
このような可搬式エンジン発電機に設けた燃料漏れ検出部30は、図1に示すように、前記燃料タンク15内から燃料フィードポンプ21で吸引されて燃料送出管22を通り、エンジン11に供給される燃料の流量を計測する流量計として送出流量センサ31と、エンジン11から燃料返送管23を通って燃料タンク15に戻される燃料の流量を計測する流量計として返送流量センサ32と、負荷に供給している電力量、周波数、力率などから発電機12の発電電力量を計測する電力量センサ33と、これらのセンサから得られる流量や電力量に基づいて燃料漏れの判定を行う判定部34とを備えている。
【0015】
前記送出流量センサ31で計測した送出量計測値及び前記返送流量センサ32で計測した返送量計測値と、前記電力量センサ33で計測した発電電力量計測値は、燃料漏れの有無を判定するための演算用データとして判定手段34に取り込まれる。さらに、判定手段34には、該判定手段34が燃料漏れが発生したと判定したときに、判定手段34からの信号によって作動するエンジン制御手段35と警報発生手段36とが接続されている。また、判定手段34には、両液位センサ28,29からの液位検出信号も入力されており、液位があらかじめ設定された設定液位より上昇したときに、エンジン制御手段35や警報発生手段36を作動させるように形成されている。
【0016】
一般に、エンジン11で発電機12を駆動して発電する場合、エンジン11が消費する燃料の量は、発電機12が発電している電力量の二乗に比例することがわかっているため、前記判定手段34には、エンジン11と発電機12との組み合わせに応じて、発電電力量計測値からエンジン11の燃料消費量を算出するための燃料消費量算出式があらかじめ設定されている。電力量センサ33で計測した発電電力量計測値に基づいて燃料消費量算出式で算出した値から、図2(a)に示すような燃料消費基準線Aを描くことができる。
【0017】
判定手段34による燃料漏れの判定は、基本的には、前記送出流量センサ31の送出量計測値から前記返送流量センサ32の返送量計測値を差し引いた燃料供給量算出値と、前記電力量センサ33で計測した発電電力量計測値から算出した負荷率に基づいて燃料消費量算出式により算出した燃料消費量との比較で行われ、燃料消費量に対して燃料供給量算出値があらかじめ設定された量以上になったとき、例えば、燃料消費量算出式で算出した燃料消費量に対して燃料供給量算出値が1%以上多くなったときに、燃料漏れが発生したと判定する。判定手段34は、燃料漏れを検出するとエンジン制御手段35でエンジン11を自動的に停止させたり、警報発生手段36で警報や警告灯を作動させたりする。また、判定手段34には、各流量センサ31,32や電力量センサ33の異常発生を検出する機能も備えており、例えば、各センサからの信号が途絶えたときには、センサに異常が発生したと判定し、エンジン制御手段35でエンジン11を停止させたり、警報発生手段36で警報や警告灯を作動させたりする。
【0018】
長期間の使用による経年変化でエンジン11の燃費性能が低下した場合、図2(a)に示すように、流量センサ31,32の計測値から算出した燃料供給量算出値Bの燃料量が、前記燃料消費基準線Aの燃料量よりも多くなる。例えば、初期設定された燃料消費量算出式では、燃料消費基準線Aに対して燃料供給量算出値Bが大きくなるため、判定手段34が燃料漏れが発生していると判定してしまう。
【0019】
このため、前記判定手段34には、エンジン11の使用期間に応じて前記燃料消費量算出式を補正する燃料消費量算出式補正手段37が設けられている。この燃料消費量算出式補正手段37は、このエンジン発電機の使用開始からの経過日数、あるいは、燃料消費量算出式補正手段37で燃料消費量算出式を補正してからの経過日数があらかじめ設定された経過日数を超えたときに、前回の運転で記録した経年負荷率と経年燃料供給量との記録に基づいて、前記燃料消費量算出式をあらかじめ設定された条件で補正するための燃料消費量補正式を算出し、算出した燃料消費量補正式により、算出される燃料消費量が増加するように燃料消費量算出式を補正する。
【0020】
例えば、半年以上経過し、前記燃料消費基準線Aに対して燃料供給量算出値Bが常に0.2%以上上回る値になるようになった場合には、燃料消費基準線Aを作成する燃料消費量算出式を、燃料消費量補正式によって燃料消費量算出式で算出する燃料消費量が0.2%大きな値となるように補正する。これにより、図2(b)に示すように、燃料消費量算出式で算出した燃料消費量により描かれる燃料消費基準線が、実線で示す前記燃料消費基準線Aから破線で示す新たな燃料消費基準線Cになる。
【0021】
このように、以前の燃料消費基準線Aの値に比べて燃料量が多くなる新たな燃料消費基準線Cを描くように燃料消費量算出式を補正することにより、エンジン11の燃費性能が経年変化により低下して、前述のように、燃料消費基準線Aに対して燃料供給量算出値Bが1%多くなった場合でも、新たな燃料消費基準線Cと燃料供給量算出値Bとを比較するので、判定手段34が燃料漏れ発生と判定することはなく、そのまま電力供給を継続することができる。この場合も、新たな燃料消費基準線Cの値に対して燃料供給量算出値Bがあらかじめ設定された値以上に大きくなった場合には燃料漏れと判定するので、燃料漏れの発生を見逃すことはない。
【0022】
次に、図3に基づいて、判定手段34で前記燃料消費量算出式を補正しながら燃料漏れを検出する動作の一例を説明する。ステップ101で可搬式エンジン発電機の電源を投入し、エンジン11をスタートさせて発電機12が発電を開始すると、ステップ102で、前回の運転で保存した経年負荷率、経年燃料供給量、日付などの記録を読み出して燃料消費量補正式を算出する。なお、燃料消費量算出式、燃料消費量補正式は、あらかじめ設定された式が製造時に初期値としてそれぞれ記録されており、製造後に初めて運転する場合は、初期値を読み出すことになり、日付は当日の日付を使用開始日として読み出すことになる。
【0023】
次のステップ103では、可搬式エンジン発電機の使用開始日あるいは燃料消費量算出式を補正した前回の日付から経過した期間を算出し、あらかじめ設定された期間、例えば半年を経過したか否かを判断する。ステップ103で半年以上経過していると判断したときは、ステップ104に進み、あらかじめ設定されている経年負荷率及び経年燃料供給量の記録を読み出し、経年負荷率及び経年燃料供給量と読み出した燃料消費量算出式とに基づいて新たな燃料消費量算出式を算出する。次に、ステップ105では、算出した新たな燃料消費量算出式と読み出した以前の燃料消費量算出式とを比較し、両者の誤差があらかじめ設定された量未満、例えば誤差が1%未満のときには、ステップ106で以前の燃料消費量算出式を新たな燃料消費量算出式に補正してステップ107に進む。一方、ステップ105で両者の誤差が1%以上であると判断したときには、誤差が大きすぎて不適切なため、ステップ106に進まずに、以前の燃料消費量算出式を保持した状態でステップ107に進む。また、前記ステップ103で経過した期間があらかじめ設定された期間未満のときにもステップ107に進む。
【0024】
ステップ107では、送出流量センサ31と返送流量センサ32とで燃料流量をそれぞれ計測し、次のステップ108では、計測した各燃料流量から、判定の対象とするための燃料供給量(燃料供給量算出値)を算出する。また、ステップ109で電力量センサ33により発電電力量を計測し、ステップ110で発電電力量から負荷率を算出する。
【0025】
次のステップ111では、送出流量センサ31及び返送流量センサ32の異常の有無の判定、ステップ108で算出した燃料供給量算出値と、ステップ110で算出した負荷率に基づいて燃料消費量算出式で算出した燃料消費量との比較によって燃料漏れの有無の判定を行う。ステップ111で両流量センサ31,32の異常や燃料漏れがないと判断したときには、ステップ112に進んで電力量センサ33の異常の有無の判定を行い、電力量センサ33に異常がないと判断した場合は、ステップ113に進み、判定に用いた負荷率や燃料供給量を、経年負荷率及び経年燃料供給量として記録し、ステップ114に進む。
【0026】
前記ステップ111,112でセンサの異常や燃料漏れの発生を検知したときには、従来と同様に、エンジン制御手段35や警報発生手段36を作動させ、自動的あるいは手動でエンジン11を停止させてステップ114に進む。
【0027】
ステップ114では、電源が切られていなければ前記ステップ107に戻り、ステップ107〜ステップ114を繰り返し、ステップ114で電源が切断されたと判断したときには、ステップ115で運転中に記録した負荷率、燃料供給量などの各種データや各種式、日付などを保存して終了する。
【0028】
このように、可搬式エンジン発電機のエンジン11や発電機12の経年変化を考慮して燃料漏れの有無の判定を行うことにより、エンジン11の経年変化による燃料消費の増加を、燃料漏れと判定することがなくなり、長期にわたって安定した状態で電力供給を行えるとともに、燃料漏れの判定を確実に行うことができる。
【0029】
なお、使用期間は、エンジンの積算運転時間を利用することもでき、経過日数と積算運転時間とを併用することもできる。
【符号の説明】
【0030】
11…エンジン、12…発電機、13…ケーシング、14…架台、15…燃料タンク、16…バッテリ、17…ラジエータ、18…エアクリーナ、19…排気管、20…制御盤、21…燃料フィードポンプ、22…燃料送出管、23…燃料返送管、24…底板、25…側壁、26…防油堤、27…ドレン、28…高液位センサ、29…低液位センサ、30…燃料漏れ検出部、31…送出流量センサ、32…返送流量センサ、33…電力量センサ、34…判定部、35…エンジン制御手段、36…警報発生手段、37…燃料消費量算出式補正手段
図1
図2
図3
図4