(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の水耕栽培装置は、養液を収容する箱状の苗床ケースと、この苗床ケース内の養液上に浮上するように設けられて育成すべき野菜の位置を定める複数の定植孔を有する苗床パネルとを備え、
前記苗床パネルと前記苗床ケースとの少なくともいずれか一方が、それらの間に形成される隙間の周辺一帯に、前記隙間から前記養液の液面への垂直方向および斜め方向の光の入射を阻止する光入射阻止手段が設けられて
おり、
前記苗床ケースは、底壁と周囲壁と上方開口部とを有すると共に、前記底壁から前記上方開口部へ向かって拡大するように前記周囲壁の所定高さ位置に段部を有し、
前記苗床パネルは、その外周上部に外側方へ突出して設けられた環状フランジ部を有し、
前記光入射阻止手段が、前記段部および前記環状フランジ部を含んで構成されており、
前記苗床ケースは、前記段部より低い位置でかつ前記苗床パネルが前記苗床ケースの周囲壁の上端を越えない位置に養液の最高水位を設定されている。
【0010】
この構成は、後述の実施形態1に対応する。
【0011】
このようにすれば、例えば、養液の液面の初期位置を段部よりも下に設定することで、苗床ケースの周囲壁と苗床パネルの環状フランジ部との間の隙間を光が通過したとしても、その光を段部に当て、液面に直接当たらないようにすることができる。
また、この構成によれば、苗床ケースの周囲壁または/および苗床パネルの製造において、前記隙間をほとんど無くすような高精度な寸法制御が要求されなくなるため、製造が容易となる。
【0012】
さらに、この構成によれば、液面への光の入射阻止をより確実に行うことができる。
【0017】
また、本発明の水耕栽培装置は、養液を収容する箱状の苗床ケースと、この苗床ケース内の養液上に浮上するように設けられて育成すべき野菜の位置を定める複数の定植孔を有する苗床パネルとを備え、
前記苗床パネルと前記苗床ケースとの少なくともいずれか一方が、それらの間に形成される隙間の周辺一帯に、前記隙間から前記養液の液面への垂直方向および斜め方向の光の入射を阻止する光入射阻止手段が設けられており、
前記苗床ケースは、底壁と周囲壁とを有すると共に、前記周囲壁の内面の所定高さ位置に内側方へ突出する環状遮光シート部を有し、
前記光入射阻止手段が、前記環状遮光シート部を含んで構成されて
いる。
この構成は、後述の実施形態6に対応する。
【0018】
このようにしても、
前記と同様に、液面への光の入射阻止をより確実に行うことができる。なお、この場合、液面が常に遮光シート部よりも下方に位置するよう、育苗ケースに収容する養液の上限量を予め設定することが好ましい。
【0019】
(7)前記苗床パネルは、定植孔を有するパネル本体と、このパネル本体の下面に垂設されて閉形状の空気溜まりを形成するリブとを有してもよい。
この構成は、実施形態1〜6に対応する。
【0020】
このようにすれば、リブによってパネル本体部の下面と養液との間に閉形状の空気溜まりを形成することができる。この結果、浮力の大きな苗床パネルを少ない材料で低コストで製造することができる。なお、この場合、空気溜まりの領域は定植孔を避けた閉形状に形成すればよい。
【0021】
以下、図面を参照しながら本発明の水耕栽培装置の実施形態を詳説する。
【0022】
(実施形態1)
図1は本発明の水耕栽培装置(実施形態1)を備えた水耕栽培システムを示す斜視図であり、
図2は実施形態1の水耕栽培システムの分解斜視図であり、
図3は実施形態1の水耕栽培システムの右側断面図である。
【0023】
この水耕栽培システムは、直方体形の栽培ケース10と、栽培ケース10内に設置される実施形態1の水耕栽培装置20とを備え、主として苗Sの水耕栽培に使用され、鉢植えの花の観賞にも使用可能である。
まず、栽培ケース10および水耕栽培システムの機能について説明する。
【0024】
<栽培ケース>
栽培ケース10は、左右側板部11a、11b、天板部11c、底板部11dおよび背板部11eを有しこれらによって前方開口部を構成するケース本体11と、ケース本体11の前方開口部に開閉可能に設けられた扉12とを有し、扉12の下部の左右両端に枢軸が設けられている。
一方、ケース本体11の左右側壁の内面下部には、前後方向に延びる左右一対の凹溝が設けられている。
【0025】
扉12の左右一対の枢軸が、ケース本体11の前方開口部の左右一対の凹溝に嵌り込むことにより、上端を前方へ引き下ろすようにして扉12を開けることができると共に、開いた扉12をケース本体11の底板部11dの下に押し込んで収納することができる。
なお、栽培ケース10内に水耕栽培装置20を収納した状態のときに苗Sまたは花を観察できるように、ケース本体11の左右側板部、背板部および扉12の上下高さ中間部から上部に亘る部分はガラスまたは樹脂製の透光性パネルにて構成されている。
【0026】
また、水耕栽培システムは、栽培ケース10における左右板部および天板部の前後方向中間部を構成する門形ユニットUと、栽培ケース10の後方下部に配置されたエアーポンプ部30とを備えている。
門形ユニットUは、左右支柱部u1、u2と、左右支柱部u1、u2の上端を連結する梁部u3とを有してなる。
【0027】
門形ユニットUにおいて、左支柱部u1は栽培ケース10内の空気を排気する排気口41および図示しない排気ファンを有し、右支柱部u2は栽培ケース10内に外気を取り入れる吸気口42を有している。
また、門形ユニットUの梁部u3を含む天板部11cの内部には下方に向けて光を照射する複数個のライト51(例えば、LEDライト)を配置してなる照明部50が設けられると共に、後述する各種設定を記憶しかつ各種設定に応じて排気ファン、ライト51およびエアーポンプ部30をON/OFF制御する制御部が設けられている。
【0028】
また、天板部の前面には、電源スイッチ61および操作部62が設けられている。
操作部62は、例えば、タイマー設定、発芽モード設定、花モード設定が可能であり、時刻を表示する表示部と、時刻を設定する時刻設定ボタンと、タイマーボタンと、モード切り替えボタン等を有している。
【0029】
タイマー設定は、苗Sが発芽した後の通常モードで行われる設定であって、ユーザーの生活リズムに合わせて苗Sの育成に必要な光の照射時刻(例えば、6時〜22時)の設定である。なお、通常モードでは、定期的にエアーポンプ30および排気ファンが所定時間作動する。なお、エアーポンプ30は、水耕栽培装置20内の養液内に空気を送るポンプである。
発芽モード設定は、種子の発芽前の光照射を停止する設定であり、発芽モード設定すると所定期間(例えば、約3日間)ライト51が消灯して省電力を行い、その後は自動的に通常モードに切り替わる。
花モード設定は、後述の養液を収容しない空の水耕栽培装置20に設定した鉢植えの花を観賞する際に設定する。この場合、エアーポンプ30を停止し、定期的にライト51および排気ファンが所定時間作動する。
【0030】
<水耕栽培装置>
図4は実施形態1の水耕栽培装置を示す斜視図であり、
図5は実施形態1の水耕栽培装置における苗床ケースを示す斜視図であり、
図6は実施形態1の水耕栽培装置における苗床パネルを示す斜視図であり、
図7は実施形態1の水耕栽培装置の使用状態を説明する部分的な拡大断面図であって、(A)は栽培初期の状態を示し、(B)は栽培後期の状態を示している。
【0031】
この水耕栽培装置20は、養液Wを収容する苗床ケース21と、この苗床ケース21内の養液W上に浮上する苗床パネル22とを備え、苗床パネル22と苗床ケース21との少なくともいずれか一方が、それらの間に形成される隙間Gの周辺一帯に、隙間Gから養液Wの液面Wfへの光の入射を阻止する光入射阻止手段が設けられている。なお、苗床ケース21および苗床パネル22は、光を透過させない材料にて形成されており、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン・テレフタレート等の非透光性樹脂材料にて一体成形される。
【0032】
具体的に説明すると、
図2〜
図5に示すように、苗床ケース21は、略長方形の底壁21aと周囲壁21bと上方開口部とを有すると共に、底壁21aから上方開口部へ向かって拡大するように周囲壁21bの所定高さ位置に段部21cを有している。なお、周囲壁21bにおける後方部内面の段部21より少し低い位置には、水耕栽培の初期状態における適切な養液Wの液面Wfの位置(養液Wの最高水位)を示すように「―水位ここまで―」と表示されている。
また、周囲壁21bの後方部の左右中間位置には、前方に隆起した上下方向の筒状部21b
1が形成されており、この筒状部21b
1にエアーポンプ30が接続されている。
【0033】
また、筒状部21b
1の下部には、エアーポンプ30からのエアーを苗床ケース21内の養液W中に噴出するためのエアーチューブ接続口21b
2が設けられている。このエアーチューブ接続口21b
2には、先端にエアーノズルを有するエアーチューブ(不図示)が接続される。なお、養液Wがエアー噴出ノズル21b
2からエアーポンプ30内へ進入しないように、筒状部21b
1内には仕切り壁が設けられている。
【0034】
また、苗床ケース21の周囲壁21b
1の前方部の右隅には、養液Wの水面Wfの高さを検出する棒状の浮き子Fを上下スライド可能に保持する浮き子ホルダHが取り付けられる。そのため、周囲壁21b
1の前記右隅には、浮き子ホルダHを取り付けるための取付片21dが設けられている。なお、浮き子Fには目印が付されており、その目印が降下して見えなくなった時点が、苗Sの水耕栽培が終了した時期の目安あるいは養液Wの交換時期の目安となる。
【0035】
苗床パネル22は、定植孔22a
1を有するパネル本体22aと、このパネル本体22aの下面に垂設されて閉形状の空気溜まり22dを形成する外側リブ22b
1および内側リブ21b
2と、パネル本体22aの外周部に外側方へ突出して一体状に設けられた環状フランジ部22caとを有し、この環状フランジ部22caの外周部が、苗床パネル22の前記外周上部22cとなる。
実施形態1の水耕栽培装置20における前記光入射阻止手段は、この環状フランジ部22caと前記段部21cとを含んで構成されている。
【0036】
パネル本体22aは、その上面の左右両側でかつ前後方向にずれた位置に、一対の取っ手22eを有している。また、パネル本体22aの外周部には、苗床ケース21の前記筒状部21b
1および前記浮き子ホルダHに嵌り込む形状の凹部が形成されている。
【0037】
外側リブ22b
1は、パネル本体22aの下面の外周部に沿って形成された環状リブである。内側リブ22b
2は、パネル本体22aの下面における定植孔22a
1の外周部に沿って形成された円形リブであり、各定植孔22a
1に対応して設けられている。よって、と各との間が、閉形状の空気溜まり22dとなっている。
【0038】
このように構成された水耕栽培装置20では、苗床ケース21の段部21cより僅かに下方の「―水位ここまで―」と表示された位置まで養液Wが投入される。
一方、苗床パネル22の各定植孔22a1に苗床あるいは種床が詰められる。なお、苗床および種床としては、例えば、逆円錐台状に形成されたスポンジ、ロックウール、不織布、綿等の吸水性の充填材を用いることができ、苗床には苗Sが植えられ、種床には種が埋められる。
【0039】
そして、定植孔22a
1に苗床あるいは種床が嵌め込まれた苗床パネル22を養液W上に載置すると、空気溜まり22dによる浮力により苗床パネル22は養液W状に浮上する。このとき、
図7(A)に示すように、苗床パネル22の上面が、苗床ケース21の周囲壁21bの上端面の高さ付近に位置し、苗床パネル22が苗床ケース21の周囲壁21bの上端を越えないように養液Wの最高水位が設定されている。なお、
図1では、定植孔22a
1に苗床を嵌め込んだ場合を例示しており、苗床に染み込んだ養液Wは苗Sの根に吸収される。
【0040】
この状態において、苗床パネル22の環状フランジ部22caと、苗床ケース21の周囲壁21bとの間には隙間Gが形成されている。また、苗床パネル22の外側リブ22b
1は、苗床ケース21の周囲壁21bにおける段部21cよりも下部に近接している。なお、樹脂成型品としての苗床ケース21は、成形後の型抜きのために周囲壁21bにテーパを設けている。
【0041】
このように、苗床パネル22を養液W上に浮上させた状態の苗床ケース21を、栽培ケース11内に収納し、苗Sの水耕栽培を開始する。苗Sの水耕栽培では、前記のようにユーザーの生活リズムに同調してライト51が点灯し、それによって光が苗Sに照射される。このとき、光の一部は、苗床パネル22の環状フランジ部22caと苗床ケース21の周囲壁21bの上端との間の隙間Gに入射するが、隙間Gを通過した光は段部21cに当たるため、光の養液Wの液面Wfへの入射が阻止される。なお、斜め入射の光であっても液面Wfに当たらないよう、段部11cの内側方への突出寸法および環状フランジ部22caの外側方への突出寸法が設定されている。
【0042】
このように、本発明の水耕栽培装置20によれば、液面Wに光が当たらないため、水耕栽培中の液面Wfでのアオコ発生を効果的に抑制することができる。また、養液Wが苗Sに吸収されて水位が低下するに伴って苗床パネル22が降下していくと、隙間Gが徐々に狭くなるため、液面Wfに対する遮光性がより高められる。そのため、アオコによる水耕栽培環境の劣化を防止することができる。
【0043】
そして、
図7(B)に示すように、苗床パネル22の環状フランジ部22caが苗床ケース21の段部21cに当接する頃には、苗Sが収穫に適したサイズまで成長する。このとき、浮き子Fの目印が浮き子ホルダHに隠れて見えなくなるため、ユーザーは収穫時期を知ることができる。なお、収穫後は同様の作業を繰り返せばよい。
【0044】
換言すると、本発明の水耕栽培装置20は、養液W上に苗床パネル22が浮上した状態において、苗床パネル22の外周上部22cが液面Wfよりも上方に位置し、かつ苗床パネル22の外周上部22cと苗床ケース21との間の隙間から液面Wfへの光の入射を阻止するように構成されている。その具体構成として、水耕栽培装置20は、前記段部および前記環状フランジ部を含んで構成された光入射阻止手段を備えている。
【0045】
次の実施形態2以降で、苗床パネルと苗床ケースとの間の隙間に対するその他の光入射阻止手段について説明する。
【0046】
(実施形態2
:参考例1)
図8は実施形態2の水耕栽培装置の使用状態を説明する部分的な拡大断面図である。なお、
図8において、
図7(B)中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態2が実施形態1と異なる点は、水耕栽培装置120の構成のみである。
【0047】
実施形態1の水耕栽培装置120の場合、苗床パネル22の環状フランジ部22caとパネル本体22aとは一体成形されているが、実施形態2の場合、環状フランジ部122caは苗床ケース121の周囲壁121bに接触可能な遮光シートにて形成されている。前記環状フランジ部が、前記周囲壁に接触可能な遮光シートにて形成されているこの遮光シートとしては、光を透過しない黒い樹脂フィルム、金属フィルム、樹脂フィルムに金属を蒸着した蒸着フィルム、ゴムシート等が挙げられる。
【0048】
さらに、実施形態2における苗床ケース121では、実施形態1の苗床ケース21で設けられていた段部21c(
図7(A)参照)が省略されている。
実施形態2の水耕栽培装置120は、環状フランジ部122caとしての可撓性遮光フィルムがパネル本体122aの外周部上面に接着または融着され、水耕栽培の初期状態において、環状フランジ部122caが苗床ケース121の内周壁121bの上端に乗っているため、苗床パネル122と苗床ケース121との間の隙間Gが環状フランジ部122caにて覆われている。そして、養液Wの水位が下がると、環状フランジ部122caが周囲壁121の内面に密着する。
【0049】
そのため、周囲壁121bに段部21cが無く、かつ苗床ケース121の周囲壁121bと、苗床パネル122のパネル本体122aおよび外側リブ22b1との間の隙間Gが比較的広い場合であっても、水耕栽培期間中は隙間Gへの光の入射およびアオコ発生を防止することができる。
【0050】
(実施形態3
:参考例2)
図9は実施形態3の水耕栽培装置の使用状態を説明する部分的な拡大断面図である。なお、
図3において、
図7(B)および
図8中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態3の水耕栽培装置220の場合、苗床パネル222は、実施形態1で用いた苗床パネル22の環状フランジ部22caの外周部に、実施形態2で用いた遮光シートを接着または融着することにより構成されている。
【0051】
すなわち、苗床パネル222は、パネル本体22aと一体成形された環状フランジ部22caの外周部から外側方へ突出した環状遮光シート部122caをさらに有しており、この環状遮光シート部caが実施形態2で用いた苗床ケース121の周囲壁121bの内面に接触する。
このようにしても、水耕栽培期間中は隙間Gへの光の入射およびアオコ発生を防止することができる。
【0052】
(実施形態4
:参考例3)
図10は実施形態4の水耕栽培装置の使用状態を説明する部分的な拡大断面図である。なお、
図10において、
図7(B)、
図8および
図9中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態4の水耕栽培装置320の場合、実施形態2で用いた苗床パネル122から環状フランジ部122caを取り除いた苗床パネル322を用いる。
【0053】
一方、実施形態4の苗床ケース321は、実施形態2および3の苗床ケース121が用いられ、その苗床ケース121の周囲壁121bの上端面から内側方へ突出するように環状遮光シート部321cが接着または融着されることにより構成されている。すなわち、実施形態4における光入射阻止手段は、遮光シート部321cを含んで構成されている。
【0054】
この水耕栽培装置320の場合、養液W上に苗床パネル322が浮上した水耕栽培の初期状態において、環状遮光シート部321cが苗床パネル322の外周部に乗ることができるため、苗床パネル322と苗床ケース321との間の隙間Gが環状遮光シート部321cにて覆われる。
そして、養液Wの水位が低下するに伴って苗床パネル322が降下していくと、隙間Gが徐々に開放していくため、光の一部は隙間Gに入射する。しかしながら、隙間Gに入射した光は苗床ケース321の周囲壁121bの内面に当たるため、光の養液Wの液面Wfへの入射が阻止される。
【0055】
また、苗床ケース321の周囲壁121bはテーパ状であるため、苗床パネル322の降下に伴って隙間Gが狭くなるため、液面Wfに対する遮光性がより高められる。そのため、アオコの発生を効果的に抑制することができる。なお、斜め入射の光であっても液面Wfに当たらないよう、液面Wfから苗床パネル322の外周上部322cの上面までの距離や隙間Gの幅等を考慮した上で、環状遮光シート部321cの内側方への突出寸法が設定されている。
【0056】
(実施形態5
:参考例4)
図11は実施形態5の水耕栽培装置の使用状態を説明する部分的な拡大断面図である。なお、
図11において、
図7(B)、
図8、
図9および
図10中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態5の水耕栽培装置420の場合、実施形態4の苗床パネル322と、実施形態2および3の苗床ケース121を用いる。
【0057】
さらに、実施形態5の水耕栽培装置420は、苗床ケース121の周囲壁121bの上端に着脱可能に設置されて内側方へ突出する環状遮光カバー23を備えている。すなわち、実施形態3における光入射阻止手段は、環状遮光カバー23を含んで構成されている。この環状遮光カバー23は、苗床パネル322および苗床ケース121と同じ非透光性樹脂材料にて成形することができる。
【0058】
実施形態5の場合、養液W上に苗床パネル322が浮上した水耕栽培の初期状態において、環状遮光カバー23が苗床パネル322の外周部に乗ることができるため、苗床パネル322と苗床ケース121との間の隙間Gが環状遮光シート部321cにて覆われる。
そして、養液Wの水位が低下するに伴って苗床パネル322が降下していくと、隙間Gが徐々に開放していくため、光の一部は隙間Gに入射する。しかしながら、隙間Gに入射した光は苗床ケース121の周囲壁121bの内面に当たるため、光の養液Wの液面Wfへの入射が阻止される。
【0059】
また、苗床ケース121の周囲壁121bはテーパ状であるため、苗床パネル322の降下に伴って隙間Gが狭くなるため、液面Wfに対する遮光性がより高められる。そのため、アオコの発生を効果的に抑制することができる。なお、斜め入射の光であっても液面Wfに当たらないよう、液面Wfから苗床パネル322の外周上部322cの上面までの距離や隙間Gの幅等を考慮した上で、環状遮光カバー23の内側方への突出寸法が設定されている。
【0060】
(実施形態6)
図12は実施形態6の水耕栽培装置の使用状態を説明する部分的な拡大断面図であって、(A)は栽培初期の状態を示し、(B)は栽培後期の状態を示している。なお、
図12において、
図7(B)、
図8、
図9、
図10および
図11中の要素と同様の要素には同一の符号を付している。
実施形態6の水耕栽培装置520の場合、実施形態1の苗床パネル22を用いる。
【0061】
一方、実施形態6の苗床ケース521は、実施形態2〜5の苗床ケース121が用いられ、その苗床ケース121の周囲壁121bの内面の所定高さ位置に内側方へ突出するように環状遮光シート部521cが接着または融着されることにより構成されている。すなわち、実施形態6における光入射阻止手段は、環状遮光シート部521cを含んで構成されている。
【0062】
実施形態6の場合、
図12(A)に示すように、養液W上に苗床パネル22が浮上した水耕栽培の初期状態において、苗床パネル22と苗床ケース521との間に隙間Gが形成され、その隙間Gに光が入射したとしても、隙間Gを通過した光は環状遮光シート部521cによって液面Wfへの入射が阻止される。なお、斜め入射の光であっても液面Wfに当たらないよう、液面Wfから苗床パネル22の外周上部22cの上面までの距離や隙間Gの幅等を考慮した上で、環状遮光シート部521cの内側方への突出寸法が設定されている。
【0063】
そして、
図12(B)に示すように、養液Wの水位が低下するに伴って苗床パネル22が降下していくと、隙間Gが徐々に狭くなるため、液面Wfへの光の入射がより効果的に阻止される。
このようにしても、アオコの発生を効果的に抑制することができる。
【0064】
なお、開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上述の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。