(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記一対のガイドの間に溝を有する中柱が立設され、前記一対のガイドの一方のガイド及び前記中柱の前記溝に両端が保持される前記防水板を備え、及び/又は、前記一対のガイドの他方のガイド及び前記中柱の前記溝に両端が保持される前記防水板が備えられる請求項1に記載の防水板装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。なお、ここに示す各図では、説明及び見易さのため、一部の部材を省略、透視して表したり、誇張して表したりしている。
【0016】
図1は第一の形態を説明する図で、防水板装置1が通路入口に設置された場面を表した斜視図である。このように防水板装置1は必要なときに通路の少なくとも下部を閉鎖して水の浸入を防ぐ装置である。図示は省略しているが本例では防水板装置1の紙面左下側の部位で水の滞留が発生しており、防水板装置1により紙面右上側の通路内への水の浸入が防止されている。
以下、説明のしやすさのため、防水板装置を挟んで水が滞留する側を「外部側」と記載することがあり、防水板装置により水の浸入が阻止される側を「内部側」と記載することがある。また、防水板装置を挟んで外部側と内部側とを結ぶ方向を「内外方向」と記載することがある。
なお、本形態では通路に防水板装置が設置された例を説明するが、この他必要に応じて適切な場所に防水板装置を設置することができる。これには出入り口に設置する例があり、例えば建物のドアに併設して建物外部で溢れ出した水を建物内部に侵入させないように防水板装置を設置することもできる。
【0017】
図2(a)には
図1に矢印IIaで示した方向、すなわち外部側からみた防水板装置1の正面図を表した。また
図2(b)には
図1に矢印IIbで示した方向、すなわち内部側からみた防水板装置1の正面図を表した。また、
図3には
図2(a)にIIIーIIIで示した線による内外鉛直方向断面図、
図4には
図2(a)にIVーIVで示した線による内外水平方向断面図をそれぞれ表した。
【0018】
防水板装置1は、ガイド2、防水板10、最下部防水板20、及び押圧手段40を有して構成されている。
【0019】
ガイド2は、防水板10及び最下部防水板20の左右両端部をそれぞれ案内し、該端部を保持することにより、防水板10及び最下部防水板20を通路を塞ぐ姿勢に維持するための部材である。
図5には
図4にVで示した範囲の拡大図を表した。ここにはガイド2の断面形状が大きく表れている。
図1、
図2(a)、
図2(b)からわかるように、ガイド2は通路の対向する壁部のそれぞれに沿って対向して立設される長尺の部材である。従ってガイド2は少なくとも2つのガイド2が一対となって配置されている。また、ガイド2はここに配置される防水板の厚み以上の開口を有するものであればよく、既設、新設を問わない。
【0020】
図4、
図5にはガイド2の長手方向(立設する方向)に直交する方向(すなわち水平方向)における断面形状がよく表れている。本形態ではガイド2は当該断面において内外方向に延びる片3を有し、該片3の端部のそれぞれから反対側のガイド2の方向に向けて延びる片4、片5が配置されている。これにより片4と片5とは内外方向に所定の間隔を有して並列され、その間には溝が形成される。そしてこの溝のうち、片3が配置される側とは反対側には該溝内に通じる開口が形成される。従って、ガイド2は断面が略コ字状、又は略C字状とされている。
本形態では、片4、片5の先端には互いに近づく方向に延びる先端片4a、5aが設けられ、その先端は湾曲するように曲げられており、先端片4aの湾曲の凸部と先端片5aの湾曲の凸部とが対向するように配置されている。これにより、後述するガイド止水材13、押圧手段40との接触面積を増やして止水性を向上させている。
【0021】
なお、このような断面形状を有する部材としていわゆるシャッター装置のガイドレールがある。従って、その断面形状によってはシャッター装置のガイドレールを防水板装置のガイドに転用することができる。これによれば部材の汎用性を高めることができるので、部材の入手性やコストの観点から有利である。
【0022】
一対となるガイド2は、片4と片5との溝内に通じる開口が互いに向き合うように配置される。このとき、ガイド2と壁部との間から内外方向に水が流通しないようにガイド2は止水材を介して壁部に固定されている。本形態ではガイド2は壁部にその一部を埋設されている。これによれば防水板10等を設置しないときに壁部からガイド2が突出しないので、通路を広く用いることができるとともに外観の観点からも好ましい。ただし、これに限らず次に示すように壁面に埋設することなくガイドを壁面に設置してもよい。これによれば設置を簡易に行うことができる。
【0023】
図6には変形例のガイド2’及びガイド2”の断面形状が表れた図を示した。
図6(a)にはガイド2’の断面が表れ、
図6(b)にはガイド2”の断面が表れている。
図6(a)、
図6(b)はいずれも
図5に相当する図である。
【0024】
図6(a)に示したガイド2’は、当該断面において内外方向に延びる片3’を有し、該片3’の一方の端部(本形態では外部側の端部)から反対側のガイドに向けて延びる片4’を有している。そして片3’の他方の端部(本形態では内部側の端部)には矩形中空である中空部5’が設けられている。これにより片4’と、中空部5’のうち片4’に対向する片5’aと、は内外方向に所定の間隔を有して並列され、その間には溝が形成される。そしてこの溝のうち、片3’が配置される側とは反対側には該溝内に通じる開口が形成される。従って、ガイド2’は片3’、片4’及び片5’aにより断面が略コ字状、又は略C字状とされている。
ガイド2’によれば片4’と片5’aとの間隙によりガイド2と同様に作用する。さらにガイド2’には中空部5’が設けられているので、長尺であるガイドの曲げやねじれに対する強度を高めることができる。これにより、
図6(a)にも表れているようにガイド2’を壁部に埋めることなく壁面に直接取り付けても強度の問題が発生することを防止することが可能である。
【0025】
図6(b)に示したガイド2”は、ガイド2’の片4’の先端に楔部4”aが配置されているガイドである。より詳しくは、片4’の先端のうち、片5’aに対向する側の面に、テーパ面を有する楔部4”aが設けられている。楔部4”aはそのテーパ面が片3’に近付くにつれて片5’aとの間隔が狭くなるような形態である。これにより、ガイド2’で説明した効果に加え、後述する押圧手段40をより強固に保持するとともに押圧面積を大きくすることで、止水性を向上させることができる。
【0026】
図7にはガイド2’の下端部に注目した図を示した。
図7(a)は
図6(a)の矢印Aで示した方向からガイド2’の下端部をみた図、
図7(b)は
図6(a)の矢印Bで示した方向からガイド2’の下端部をみた図である。
図8には
図7(b)に矢印Cで示した方向、すなわち路面側から当該下端部をみた図を表した。
図8では見易さのため、ガイド2’を破線で表している。ガイド2’の下端部は
図7(a)、
図7(b)、
図8で表したように止水ゴム6を介して路面に接している。止水ゴム6を介することによりここで止水性が確保される。この形態では路面を掘り下げてここにガイドを差し込む必要がないので路面を傷めることなく防水板装置1を設置することができる。ただし、
図7(b)、
図8からわかるように、中空部5’の下端にのみ止水ゴム6が設けられ、その外部側には間隙が形成されている。ここには後で説明するように(
図17参照)、止水ゴム6の外部側端面に下端止水材25の内部側面まで伸びるガイド止水材23が接触する。止水ゴム6の厚さは必ずしも一定である必要はなく、路面の凹凸の程度等により適宜厚さを調整することができる。
ただし、これに限らず路面を掘り下げてここにガイドの下端部を埋めて設置することを妨げるものではない。
【0027】
また、
図7(b)に表れているようにガイド2’の片4’の最下部のうち中空部5’に対向する面には下部押圧部材7が配置されている。下部押圧部材7は、最下部防水板20の最下部を内部方向に押圧し、中空部5’、止水ゴム6に強く密着させることにより止水性を向上する部材である。下部押圧部材7は楔型の部材であり、上部が細くて中空部5’との距離が広く、下部に向かうにつれて太くなり中空部5’との距離が狭くなっている。
下部押圧部材7はゴム等の弾性部材により形成されることが好ましい。これにより最下部防水板20との密着性を向上させることができる。
【0028】
図1乃至
図6に戻り、防水板10について説明する。防水板10は、全体として板状の部材であり、面材11、連結部止水材12、ガイド止水材13、及び滑り止め材14を有している。
面材11は、防水板10の本体として水を塞き止める機能を有する板状の面材である。従って想定される水からの力を受けても変形及び破断することのない強度を有して構成される必要があり、かかる観点から金属により形成されていることが好ましい。
【0029】
一方、防水板10はその設置をできるだけ容易に行うことができる方がよく、重量及び大きさが適切であることが好ましい。そこで、本形態では面材11を中空材により形成し、重量を小さく抑えている。さらに本形態の防水板装置1では、防水板を3つに分割し(そのうちの2つが防水板10、1つが最下部防水板20)、必要な時にこれらを連結するように構成されている。これにより1つあたりの防水板の重量及び大きさを小さく抑え、設置がしやすいようにしている。
そこで、面材11は、このように分割された防水板10の上下端を連結する構造を備えている。
図9(a)には
図3にIXaで示した領域を拡大した図を示し、
図9(b)にはその分解図が表れている。すなわち、
図9(a)、
図9(b)からは、防水板10の下端部の断面形状及び上端の断面形状がわかる。
【0030】
防水板10の上端部には凹凸が形成されている。具体的には
図9(b)からわかるように、外部側から内部側に向けて、切り欠き11a、凸部11b、凹部11c、凸部11d、切り欠き11eが順に形成されている。後述するように凸部11bと凸部11dとの間の凹部11cに連結部止水材12が配置されている。
一方、防水板10の下端部は、上端部に形成された凹凸に対応するように凹凸が形成されている。具体的には
図9(b)からわかるように外部側から内部側に向けて、凸部11f、凹部11g、凹部11h、凸部11iが順に形成されている。ここで、凸部11fは切り欠き11a、凹部11gは凸部11b、凹部11hは連結部止水材12及び凸部11d、並びに凸部11iは切り欠き11eにそれぞれ対応している。
【0031】
連結部止水材12は、上記面材11の上端部のうち凸部11bと凸部11dとの間に形成される凹部11cに配置される止水材である。従って連結部止水材12は
図3、
図9(a)、
図9(b)に表れる断面を有して、面材11の上端の長手方向に沿って延びる棒状の止水材である。止水材の材料は公知のものを用いることができる。
連結部止水材12及び面材11の上下端部の凹凸の構造により、
図3、
図9(a)のように防水板10の下端部と防水板10の上端部が連結されたとき、止水性が確保される。
【0032】
ガイド止水材13は、ガイド2と面材11との止水性を確保するための部材である。具体的には、
図2(b)、
図4、
図5等からわかるように、面材11の内部側となる面のうちガイド2に挿入される端部(左右方向端部)に配置される板状の止水材である。ガイド止水材13は、該端部に沿って上下に延びるように配置されている。ガイド止水材13は
図5によく表れているようにガイド2の内面に接して止水性を高めるので少なくとも当該ガイド2の内面に接する部位に配置されていればよいが、接する位置が必ずしも一点に決まるとは限らないのである程度の範囲に亘って配置されていることが好ましい。止水材の材料は公知のものを用いることができる。
【0033】
滑り止め材14は、面材11の表裏のそれぞれに配置され、使用者が防水板10を持つときに滑り止めとして機能する。従って滑り止め材14は使用者が防水板10を持つときに使用者の手が触れると想定される位置に配置することが好ましい。本形態では
図2(a)、
図2(b)からわかるように、滑り止め材14は面材11の両面のうち上部側に寄せられて取り付けられている。
滑り止め材14としては、滑り止めとして機能すれば特に限定されていることはないが、例えば防震ゴムを用いることができる。
【0034】
最下部防水板20は、防水板の1つであり全体として板状の部材で、その基本的な機能は防水板10と同様である。ただし、最下部防水板20は複数の防水板の中でも最下部に配置される点で、上記防水板10と異なる構造を備えている。すなわち、
図1、
図2(a)、
図2(b)、
図3に表れているように、最下部防水板20は、面材21、連結部止水材22、ガイド止水材23、滑り止め材24、及び下端止水材25を具備している。
【0035】
面材21は、最下部防水板20の本体として水を塞き止める機能を有する板状の面材である。従って想定される水からの力を受けても変形及び破断することのない強度を有して構成される必要があり、かかる観点から金属により形成されていることが好ましい。
【0036】
一方、最下部防水板20はその設置をできるだけ容易に行うことができる方がよく、重量及び大きさが適切であることが好ましい。そこで、本形態では
図3からわかるように面材21を中空材により形成し、重量を小さく抑えている。本形態では上記したように防水板を3つに分割し、これらの連結時には、最下部に配置される防水板として最下部防水板20が設置される。
【0037】
そこで、面材21は、その上端は防水板10の下端に連結し、その下端は通路の路面に接地するための止水材(下端止水材25)が配置できる構造を備えている。
面材21の上端部の構造は防水板10の下端に連結する構造であり、上記した防水板10の上端部の構造と同じである。従って
図3からわかるように、面材21の上端部には連結部止水材22が配置されており、これは上記した連結部止水材12と同じである。
【0038】
一方、面材21の下端部の構造は次の通りである。
図10には
図3のうち最下部防水板20の下端部に注目し、拡大した図を示した。
図3及び
図10からわかるように、最下部防水板20の下端部は、外部側及び内部側の端部のそれぞれから下方に向けて、片21a及び片21bが垂下され、その間に凹部21cが形成されている。後述するように当該凹部21cに下端止水材25が配置されている。
【0039】
また、面材21には、
図3、
図10に表れる断面において該面材の外部側面及び内部側面のうち下部のそれぞれから片21dが突設されている。また片21dの先端からは下方に向けて片21eが延び、さらにその先端には面材21に近づくように延びる片21fが設けられている。
【0040】
ガイド止水材23、及び滑り止め材24は、防水板10で説明したガイド止水材13及び滑り止め材14と同様なのでここでは説明を省略する。
【0041】
下端止水材25は、面材21と通路の路面との止水性を確保する部材である。
図3及び
図10にその断面形状が表れている。下端止水材25は、止水材本体26及び複数の止水突起27を有している。
【0042】
止水材本体26は、下端止水材25の本体として機能し、所定の断面を有して面材21の下端の長手方向に沿って延びる棒状の止水材である。止水材本体26は、面材21の下端の凹部21cにその上端が挿入されて固定されるとともに、その下端は面材21の下端よりも下方に突出するように配置されている。止水材本体26の上記所定の断面(長手方向に直交する断面)は、
図3、
図10に表れており、本形態では矩形中実である。ただし、これに限らず中空の断面を有していてもよい。
止水材本体26は、防水板が設置される路面の状況に応じて柔軟に対応することができる観点から軟質の材料により構成されていることが好ましい。ここでいう軟質は、クッション材のように弾力性に富む材質である。例えばこれらの軟質止水材料として考えられるものは、スポンジゴムまたは硬度の低いゴム(一例として硬度10°〜40°程度)の中空または中実断面形状が好ましい。より具体的には材質としてはEPDM、クロロプレンゴム、シリコンゴム等が主として挙げられる。
【0043】
止水突起27は、止水材本体26のうち路面に対向する側(面材21側とは反対側)の面に間隔を有して防水板の板面に沿った方向に突出して配置された複数の止水材である。止水突起27も突起状である所定の断面を有して止水材本体26の長手方向に沿って延びている。本形態では2つの止水突起27が設けられ、内外方向両端のそれぞれに配置されている。
止水突起27の形態、配置については特に限定されることはないが、それぞれの止水突起27の断面は矩形であることが好ましく、面材21の面に沿った方向に延びる方向、又は先端に向けて互いに距離が広がるように若干末広がりなっていることが好ましい。また、止水突起27の止水材本体26からの突出量は5mm程度が好ましい。
複数の突起27間の関係は、等間隔で互いが最も離隔するように配置されていることが好ましい。従って本形態のように2つの止水突起27が設けられた場合には内外方向のそれぞれに止水突起27が配置されていることが好ましい。
【0044】
止水突起27は後述するように防水板10、及び最下部防水板20の重さにより変形して止水性を高めるので軟質の材料により構成されていることが好ましい。かかる観点から止水突起27は止水材本体26と同じ材料により形成できる。従って止水材本体26と止水突起27とは一体に作製してもよい。ただし、両者を別体で作製して接着剤等により接合することを妨げるものではない。
【0045】
図11には下端部止水材の変形例の断面形状を示した。
図11(a)は一方の止水突起27’の突出量が大きい下端止水材25’、
図11(b)は内外方向中央にさらに1つの止水突起27”が設けられている下端止水材25”である。
図11(a)の例である下端止水材25’では例えば路面に段差や溝があり、長い方の止水突起27’を段差や溝の深い方に差し込むことで、止水性を高めることができる。
一方、
図11(b)の例である下端止水材25”では、止水突起27”を追加することにより止水性を高める。このときには内外方向両端の止水突起27の突出量が大きく、内外方向中央に配置される止水突起27”がこれより突出量が小さいことが好ましい。これにより複数の止水突起27、27”がバランスよく路面に接して防水効果を高めることができる。
【0046】
次に押圧手段40について説明する。本形態の押圧手段40は
図1、
図2(a)、
図4、
図5等に表れている。
押圧手段40は、防水板10及び最下部防水板20を内外方向に押圧し、ガイド2の内面に強く密着させることにより止水性を向上する部材である。本形態では、押圧手段40は楔型の部材であり、
図5に示したように防水板10の面に重なるべき基面41及び該基面41に対して傾斜している傾斜面42を有して構成されている。
本形態の押圧手段40はゴム等の弾性部材により形成されることが好ましい。これにより基面41及び傾斜面42の防水板10、20、及びガイド2との密着性を向上させることができる。
【0047】
図12には押圧手段の他の形態例である押圧手段40’の形状を表した。押圧手段40’も基面41’及び傾斜面42’を備えている。基面41’は上記した基面41と同様であるが、傾斜面42’は傾斜部42’aと平行部42’bとが交互に連続して構成されている。傾斜部42’aは基面41’に対して傾斜する面を備える部位であり、平行部42’bは基面41’に平行な面を備える部位である。このような押圧手段40’によれば、平行部42’bごとに段階的に楔状の押圧手段40’の挿入量を調整することができ、場所や作業者による押圧手段の挿入に関するばらつきを解消することが可能である。
すなわち、段差を有することなく一定の傾斜面を有する楔状の押圧手段を用いた場合、重ねて設置する防水板の外部側の左右ガイドにそれぞれ一箇所打ち込むこととなるが、例えば最下部の防水板を押圧手段で固定したとしても、二段目の防水板の押圧手段が最下部の防水板の押圧手段の打ち込み量より多く打ち込んでしまった場合は、最下部の防水板の押圧手段が緩くなってしまうことが考えられ、打ち込み量の管理が必要になる。これに対して押圧手段40’によれば、平行部を基準として打ち込み量を合わせることで、同じ打ち込み量となり、打ち込み量と押圧状態の管理がし易い。
本形態では3つの傾斜部42’a及び3つの平行部42’bを有する例であるがこれに限らずその数は特に限定されるものではない。
【0048】
また、本形態では
図2(a)に表したように、上下方向には短い複数の押圧手段40、40’を、複数の防水板のそれぞれに配置する態様であるがこれに限らず、押圧手段を防水板の高さ方向に長いものとして構成することも可能である。このとき、押圧手段が複数の防水板に亘って配置されてもよい。
【0049】
以上説明した防水板装置1は例えば次のように配置される。
図13に示したように、2つのガイド2を該ガイド2に形成された溝の開口部が向かい合うように通路の対向する壁部のそれぞれ立設させておく。このとき、
図5のようにガイド2を壁部に埋めるようにしてもよく、
図6のように壁面に接触させるようにしてもよい。また、ガイドを壁部に設置するに際しては壁部とガイドとの間から内外方向に水が漏れないように止水手段により止水が行われていることが好ましい。
【0050】
一方、防水板10、最下部防水板20、及び押圧手段40は、平常時には別途保管する等しておき、通路には設置しない。これにより通路の往来が確保される。
このとき、本形態によれば例えば
図14に示したように防水板10、及び最下部防水板20を1つにまとめておくことができる。すなわち、最下部防水板20の面材21に具備された片21dの上面に防水板10を立てるように載置する。これにより防水板10、及び最下部防水板20が平行に重なるように取りまとめられる。このとき、防水板10の滑り止め材14及び最下部防水板20の滑り止め材24が接触することにより防水板10と最下部防水板20との滑りが防止され、さらに安定させることができる。
【0051】
例えば集中豪雨等により外部側に滞留水が発生しそうなときには、防水板10及び最下部防水板20を設置して通路内への水の流入を防止する。
図15(a)、
図15(b)に最下部防水板20を設置する手順を説明する図を示した。最下部防水板20は、
図4、
図5に示した例のように、この場合、通路幅より防水板の幅方向(
図15(b)の左右方向)の全長の方が長く、その左右方向両端部をガイド2の内側に挿入するので、水平としたまま正面から設置することはできない。そこで、
図15(a)に示したように、最下部防水板20を傾斜させて左右方向の大きさが短くなる姿勢として2つのガイド2間に配置する。次に
図15(b)のように最下部防水板20を水平に戻し、この際に最下部防水板20の端部をガイド2の溝内に差し込む。防水板10についても同様である。最下部防水板20、及び防水板10の連結は
図9(b)のような分解した姿勢から
図9(a)に示したように連結すればよい。
【0052】
また、これにより最下部防水板20では、下部止水材25が
図16のように変形する。すなわち、防水板10及び最下部防水板20の重量が下端止水材25の特に止水突起27にかかり、止水突起27が変形して路面に密着する。
このように防水板装置1では、防水板装置1の下端部に備えられた2つの止水突起27に重量がかかるので、強い圧力で路面と接して高い止水性を得ることができる。また、このような止水突起27が少なくとも2つ配置されることで、二重に防水し、防水性の向上が図られている。
止水突起27の変形後の形態は特に限定されることはないが、
図16のように、外部側の止水突起27はその先端が外部側に、内部側の止水突起27はその先端が内部側に向くことが好ましい。
【0053】
次に、
図4、
図5に表れる例のように、ガイド止水材13が配置されていない側(本例では外部側)の防水板10とガイド2との間、及びガイド止水材23が配置されていない側の最下部防水板20とガイド2との間に、押圧手段40を差し込む。このとき、押圧手段40のうち基面41と傾斜面42との間隔が狭い方からガイド2の内側に挿入する。これにより押圧手段40を深く差し込むにつれて楔の効果により防水板10及び最下部防水板20が押圧手段40とは反対側(本例では内部側)に押され、ガイド止水材13、23がガイド2に強く接触して止水性が確保される。本形態では、
図1、
図2(a)に表れているように、防水板10及び最下部防水板20のそれぞれ左右に1つずつ、合計6つの押圧手段40が用いられているが、上記したように防水板の全高さに渡った長尺部材とする押圧手段も可能である。
【0054】
このような防水板装置1によれば、ガイド2の内側に防水板10及び最下部防水板20の端部が挿入され、押圧手段40により防水板10及び最下部防水板20が押されてガイド2にガイド止水材13、23を介して強く密着している。これにより通路の壁部と防水板装置1との止水性が確保される。
一方、最下部防水板20の下端については下端止水材25により上記したように高い止水性が保たれる。これによれば防水板10及び最下部防水板20を下方に押圧して止水性を高める他の手段を用いなくてもよい場合が増え、装置の簡素化も可能となる。ただし、当該他の手段を適用することを妨げるものではない。
【0055】
図17には、ガイド2’が用いられた場合における、ガイド2’の下端部の各部材の配置を示した。
図17は
図6(a)の矢印Bの方向から見た図である。また
図18には、
図17を矢印Dの方向、すなわち路面側から見た図を示した。
図17、
図18からわかるように、ガイド2’が用いられた場合には、その下端部でガイド2’の下端に設けられた止水ゴム6の外部側端面に下端止水材25の内部側面まで伸びるガイド止水材23が接触して当該部位における止水性が確保される。このとき、本形態では下部押圧部材7により最下部防水板20の下端部が内部側に押圧され、止水ゴム6とガイド止水材23との密着性を高めている。
【0056】
図19には、押圧手段として押圧手段40’を用いた例を示した。
図19(a)は押圧手段40’を用いた1つの例、
図19(b)は押圧手段40’を用いた他の例である。
図19(a)の例では、傾斜面42’のうち、最も先端側に配置された平行部42’bでガイド2と接触するように押圧手段40’を用いている。一方、
図19(b)の例では、傾斜面42’のうち、先端から2つ目に配置された平行部42’bでガイド2と接触するように押圧手段40’を用いている。このように押圧手段40’では段階的に差し込む量が分かりやすい形状とされており、均一で安定した押圧状態を確保し易い。
【0057】
また、
図6(b)に示したように、ガイド2”の片4’の先端に楔部4”aを備えていれば押圧手段40の傾斜面との接触面を増やすとともに、接触面における面圧も均一化されるので、これによっても安定な押圧状態を維持することができる。
【0058】
図20には、路面が必ずしも平たんであるとは限らないことを考慮し、ガイド、及び最下部防水板20と路面との間に防水板設置装置50を配置した例である。
図20(a)は路面が傾斜した例、
図20(b)は路面に凹凸がある例である。
防水板設置装置50は、本体51、スペーサー52、及びコーキング53を具備している。
【0059】
本体51は、その長手方向両端にガイドの下端面、その間に最下部防水板20の下部止水材25の止水突起27が接触するように配置される長尺の部材で、その上面が平坦に形成されている。これにより止水性を確保する。止水性を確保するとともにある程度の強度が必要である観点から本体51は金属からなることが好ましい。
スペーサー52は本体51と路面との間に配置されている。スペーサー52は本体51の下面の内外方向端部のそれぞれに配置され、その突出量が両者で異なることにより本体を内外方向に水平となるように調整する。
図20(a)は傾斜する路面に合わせて突出量が調整されている。
図20(b)は一方のスペーサー52が凹部の底にまで達するように配置されている。これにより本体51を内外方向で水平に保つとともに本体51と路面との防水を図る。従ってスペーサー52はある程度弾性を有する材料により構成されることが好ましく、これには例えば硬質ゴムを挙げることができる。
コーキング53は本体51とスペーサー52とのシーリングをするもので、本体51とスペーサー52との外部側、及び内部側のそれぞれに配置される。
【0060】
防水板設置装置50を用いることにより、路面の状況が好ましくなくても防水性を確保することができる。
【0061】
ここで説明した例は路面に防水板設置装置50を埋め込むことが不可能な場合に、路面上に防水板設置装置50を設置した例である。これに対して路面に防水板設置装置50を埋め込むことが可能である場合は、路面を凹状に掘り込んで、ここに防水板設置装置50を埋めて、路面を埋め戻して仕上げることもできる。
【0062】
図21は第二の形態にかかる防水板装置101を説明する図で、
図2(b)に相当する図である。防水板装置101は、通路の幅が広い場合等に、防水板10を左右方向にも並べて配置する態様の防水板装置である。従って左右方向に隣り合う防水板10、及び最下部防水板20の間にこれらを連結するための部材を設置する必要がある。そこで、本形態では当該部材として中柱110を設けた。これ以外の各構成要素の構造は上記した防水板装置1と同様なのでここでは説明を省略する。
【0063】
図22には、
図21にXXII−XXIIで示した線に沿った内外方向断面図を表した。
中柱110は、
図22に示した所定の断面を有して
図21に表れているように路面のうち2つのガイド2間に立設されている。これにより、ガイド2と中柱110とに挟まれた2つの空間が形成されている。当該2つの空間のそれぞれに防水板10及び最下部防水板20が配置される。
【0064】
本形態の中柱110は、
図22からわかるようにガイド111及び止水柱120を備えて構成されている。そしてガイド111は第一ガイド112及び第二ガイド116を有しておりこれらが組み合わされている。
第一ガイド112は、当該断面において内外方向に延びる片113を有し、該片113の端部のそれぞれから一方のガイド2に向けて延びる片114、片115が配置されている。これにより片114と片115とは内外方向に所定の間隔を有して並列され、その間には溝が形成される。そしてこの溝のうち、片113が配置される側とは反対側には該溝内に通じる開口が形成される。従って、第一ガイド112は断面が略コ字状、略C字状とされている。また、片114、片115の先端には互いに近づく方向に延びる先端片114a、115aが設けられ、その先端は湾曲するように曲げられ、先端片114aの湾曲の凸部と先端片115aの湾曲の凸部とが対向するように配置されている。これにより、ガイド止水材13、押圧手段40との接触面積を増やして止水性を向上させている。
第二ガイド116は、当該断面において内外方向に延びる片117を有し、該片117の端部のそれぞれから他方のガイド2に向けて延びる片118、片119が配置されている。これにより片118と片119とは内外方向に所定の間隔を有して並列され、その間には溝が形成される。そしてこの溝のうち、片117が配置される側とは反対側には該溝内に通じる開口が形成される。従って、第二ガイド116も断面が略コ字状、略C字状とされている。また、片118、片119の先端には互いに近づく方向に延びる先端片118a、119aが設けられ、その先端は湾曲するように曲げられ、先端片118aの湾曲の凸部と先端片119aの湾曲の凸部とが対向するように配置されている。これにより、ガイド止水材13、押圧手段40との接触面積を増やして止水性を向上させている。
【0065】
第一ガイド112と第二ガイド116とは、形成される溝の開口部が反対側に向くようにして片113と片117とが面を重ねるように固定される。これにより第一ガイド112には左右方向一方側の防水パネル10及び最下部防水パネル20の端部が挿入され、第二ガイド116には左右方向他方側の防水パネル10及び最下部防水パネル20の端部が挿入される。
【0066】
止水柱120は断面がコ字状の柱状部材であり、
図22に表れる断面において、第一ガイド112と第二ガイド116との配列方向に沿った方向に延びる片121を有している。そして片121のうち、一方側の端部からは第一ガイド112の方向に向けて片122が延びている。また、片121のうち他方側の端部からは第二ガイド116の方向に向けて片123が延びている。ここで片122と片123とは略平行とされている。
また、
図23には
図22の矢印Eで示したように、中柱110の下端部を内部側から見た図を表した。
図22からわかるように、中柱110の止水柱120の下端には、片121、片122、片123と路面との間に、片121、片122、片123と同形状である凹型形状である止水ゴム124が挟まれている。これにより、片121、片122、片123及び路面で囲まれるコ字状の空間Sが形成されている。
【0067】
このような中柱110は次のように防水板10、最下部防水板20と組み合わされている。
図22からわかるように、立設されたガイド111を内部側から覆うように止水柱120を配置する。このときガイド111のうち片115、片119が止水柱120のコ字状の内側に含まれるようにし、片122及び片123の外部側の先端が防水板10、最下部防水板20に接触するように位置づける。
【0068】
このような中柱110によれば、第一ガイド112の内側に左右方向一方側の防水板10、最下部防水板20の端部が挿入される。そして外部側において、防水板10、最下部防水板20と片114との間に押圧手段40が挿入されている。これにより防水板10、最下部防水板20が内部側に押圧される。すると、防水板10、最下部防水板20は内部側において片122の先端に接触する。このとき片122の先端はガイド止水材13に接触するので、ここで止水性が確保される。
片122の下端部では、
図23に示したように片122と路面との間に配置された上記止水ゴム124の外部側端面が最下部防水板20の下端止水材25の内部側面にまで延びるガイド止水材23に接触して止水性が確保されている。
図24は中柱110の下端部の周辺を路面側から見上げる方向に見た図である。
【0069】
一方、第二ガイド116側についても、左右方向他方側の防水板10、最下部防水板20に関して同様に作用して片123がガイド止水材13に強く接触して止水性が確保される。また、片123の下端部でも、
図24に示したように片123と路面との間に配置された上記止水ゴム124の外部側端面が最下部防水板20の下端止水材25の内部側面にまで延びるガイド止水材23に接触して止水性が確保されている。
【0070】
以上により、中柱110を挟んで内外方向の止水性が得られる。なお、外部側の水は、空間Sにまで侵入する可能性があるが、この空間は左右の片122、片123と路面により止水されているので内部側に漏れない。
【0071】
図25は中柱の変形例にかかる中柱150を説明する図であり、
図22に相当する図である。中柱150以外は上記した防水板装置101と同様である。
中柱150も中柱110と同様に2つのガイド2の間に立設されて(
図21参照)、左右に配置される防水板10、最下部防水板20を連結する部材である。従って、中柱150は
図24に表れる断面を有して上下方向に延びている。
【0072】
中柱150は
図24に表れる断面において、左右方向に延びる2つの片151、片152が内外方向に所定の間隔を有して配置されている。そして該2つの片151と片152とを連結するように内外方向に延びる2つの片153が備えられている。これにより、片151と片152との間に溝が形成されるとともに、片151及び片152の端部間には互いに反対に開口する2つの開口部が形成される。
【0073】
中柱150の上記構造により、片151と片152との間隙に形成される溝に防水板10、及び最下部防水板20の端部を差し込み、これまで説明したと同じようにガイド止水材13、23及び押圧手段40により止水することができる。
すなわち、中柱150のような構造によっても防水板装置を構成することが可能である。