(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の蓋部材の各々は、前記開口部の面積よりも小さい面積の表面を有し、前記複数の蓋部材の表面の面積の合計は、前記開口部の面積以上であることを特徴とする請求項1から請求項6のうち何れか一項に記載の表示装置。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る実施形態の表示装置の未使用状態の蓋が閉まった状態を斜め上前方から見た斜視図である。
図2は、表示装置の蓋が開放され、コンバイナを倒した未使用状態の表示装置を斜め上前方から見た斜視図である。
図3は、表示装置の使用状態を示す上側方から表示装置を見た斜視図である。
【0035】
実施形態の表示装置1は、例えば、車両のダッシュボード内に設置され、運転に必要な情報等をコンバイナ(表示部)6上に投影する表示装置として用いられる(
図3参照)。
コンバイナ6は、何層かの反射膜を有するポリカーボネイトなどの樹脂部材であり、コンバイナ6上に上面板2aの下方に配置された光源から像を写し、ユーザが虚像を目視する。
【0036】
表示装置1は、その外郭を構成する扁平な直方体形状の筐体(格納部材)kの上ケース(格納部材)2と下ケース(格納部材)3とにより覆われている。
上ケース2と下ケース3とは、上ケース2の挿通孔を挿通した十字穴付きなべ小ねじn1を、下ケース3に形成された雌ねじに挿入することによって、互いに固定されている。
下ケース3は、上ケース2に対向する上面が開口した扁平な直方体の形状を有している。
【0037】
一方、上ケース2は、下ケース3に対向する下面が開口するとともに、コンバイナ6が起立し、倒れるために開口した矩形の開口部2a1が、上面板2aに形成されている。上面板2aの開口部2a1は、コンバイナ6が起立できるようにコンバイナ6の延在面の投影面積を少なくともを有している。
【0038】
表示装置1の未使用時には、開口部2a1は、その奥行き寸法s1より短い奥行き寸法s2をもつ第1のドア(蓋部材、ドア、移動距離の長い蓋部材)4(
図4参照)と、開口部2a1の奥行き寸法s1より短い奥行き寸法s3をもつ第2のドア(蓋部材、ドア、移動距離の短い蓋部材)5(
図5参照)とで、閉塞されている。
【0039】
表示装置1が使用状態に移行すると、
図2に示すように、第1のドア4と第2のドア5がそれぞれ下方に移動した後に上面板2aの下方に平行移動して格納される。この際、第1のドア4は第2のドア5より下方に移動する。その後、第2のドア5と、第2のドア5より下方の第1のドア4とは、それぞれ後方に移動し、上面板2aの後部2a2の下方に格納される。
【0040】
これにより、上面板2aの開口部2a1に、倒した状態のコンバイナ6が現出する。そして、コンバイナ6は、
図3の矢印α1のように、表示装置1の前部の軸周りに回動して起立し、
図3に示す使用状態となる。
表示装置1では、モータを2個使用し、一方の第1モータ(移動制御手段、開閉駆動機構、モータ、第1の駆動源)7(
図7参照)で、第1のドア4と第2のドア5の開閉動作を行い、他方の第2モータ17(
図8参照)でコンバイナ6の起動を行っている。
【0041】
<第1のドア4>
図4(a)は、第1のドアを斜め前上方から見た斜視図であり、
図4(b)は、
図4(a)のA方向矢視図であり、
図4(c)は、
図4(a)のB方向矢視図である。
第1のドア4は、前方視で、横向きの扁平な略コの字状の形状を有しており、水平な天板4aと、天板4aの両側端からそれぞれ下方に延在する側板4bおよび側板4cとを有している。天板4aは、開口部2a1の面積よりも小さい面積の表面を有し、第1のドア4の天板4aと第2のドア5の天板5a(後記の
図5(a)参照)の各表面の面積の合計は、開口部2a1の面積以上に設定されている。
【0042】
図4(a)、(b)に示すように、側板4bには、外側方に突出する第1の前ボス(第1の突起)4p1と第1の後ボス(第1の突起)4p2とが形成されている。
図4(a)、(c)に示すように、側板4cには、外側方に突出する第1の前ボス(第1の突起)4p1と第1の後ボス(第1の突起)4p2とが形成されている。
【0043】
<第2のドア5>
図5(a)は、第2のドアを斜め前上方から見た斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)のC方向矢視図であり、
図5(c)は、
図5(a)のD方向矢視図である。
第2のドア5は、前方視で、横向きの扁平な略コの字状の形状を有しており、水平な天板5aと、天板5aの両側端からそれぞれ下方に延在する側板5bおよび側板5cとを有している。天板5aは、開口部2a1の面積よりも小さい面積の表面を有している。そして、前記したように、第1のドア4の天板4aと第2のドア5の天板5aの各表面の面積の合計は、開口部2a1の面積以上に設定されている。
【0044】
図5(a)、(b)に示すように、側板5bには、外側方に突出する第2の前ボス(第2の突起)5p1と第2の後ボス(第2の突起)5p2とが形成されている。
図5(a)、(c)に示すように、側板5cには、外側方に突出する第2の前ボス(第2の突起)5p1と第2の後ボス(第2の突起)5p2とが形成されている。
【0045】
<第1モータ7およびその歯車列>
図6は、第1のドア、第2のドアを格納してコンバイナが起立した表示装置を斜め上後方から見た矢視図である。
図7は、第1のドア、第2のドアを格納した表示装置の内部を斜め上前方から見た拡大図である。
図7に示すように、第1のドア4が第2のドア5の下に格納されている。
【0046】
表示装置1の前部には、第1のドア4および第2のドア5による開口部2a1の開閉動作を駆動する第1モータ7が、下ケース3上のベース3b上に固定されている。
第1モータ7の軸には、ウォームギア(第1の歯車列)7wが固定されており、ウォームギア7wには、ウォームホイール(第1の歯車列)7h1が噛み合って、構成されている。
【0047】
ウォームホイール7h1には、その下方に第1の平歯車(第1の歯車列)7h2が一体に形成されている。ウォームホイール7h1と第1の平歯車7h2は、ベース3bに回転自在に支持されている。
第1の平歯車7h2には、第2の平歯車7a1が噛み合って、構成されている。
【0048】
第2の平歯車7a1には、その上方に第3の平歯車7a2が一体に形成され、平歯車(第1の歯車列)7aを構成している。平歯車7aは、ベース3bに回転自在に支持されている。
【0049】
図7に示すように、第3の平歯車7a2に噛み合って、ラック(移動制御手段、開閉駆動機構)12が表示装置1の前後方向に配設されている。ラック12の下部にはガイド溝12mが形成されており、下ケース3に固定されたベース3bに前後方向に沿って形成されたガイドレール3b1が、ガイド溝12mに嵌入し、ラック12が前後方向に案内されている。
【0050】
本構成により、ラック12は、第1モータ7の駆動力が、ウォームギア7w、ウォームホイール7h1、平歯車7aを介して伝達され、前後方向(
図7の矢印α2、α3方向)に平行移動されている。つまり、ウォームギア7w、ウォームホイール7h1、および平歯車7aは、第1モータ7の歯車列を構成している。
【0051】
ラック12は、
図1、
図2に示す開口部2a1を、第1のドア4と第2のドア5とで開閉動作させるための部材である。
開口部2a1を開閉するために、第1モータ7が回転すると、歯車列によって第1モータ7の動力がラック12に伝達される。
【0052】
図1に示すように、開口部2a1を、第1のドア4および第2のドア5を前方に移動させて閉塞する場合には、ラック12が、表示装置1の前方(
図7の矢印α2方向)に移動される。一方、
図2に示すように、第1のドア4および第2のドア5を後方に移動させて開口部2a1を開ける場合には、ラック12が、表示装置1の後方(
図7の矢印α3方向)に移動される。
【0053】
また、ラック12には、その移動方向(
図7の矢印α2、α3方向)とは直角に駆動軸13を取付けるための穴12aが設けられており、駆動軸13が穴12aに回転可能に取り付けられている。駆動軸13の両端は、
図8、
図9に示すように、ピニオン13pがそれぞれ固定されている。
【0054】
図8は、
図3の表示装置1を上方から見た表示装置の内部構成を示す平面図であり、
図9は、
図3の表示装置を斜め上後方から見た表示装置の内部構成を示す斜視図である。
図8、
図9では、表示装置1の内部構成を分り易くするため、後記する第1のカム8、第2のカム9、ドアレール10の一部を省略して示している。
【0055】
<第1のカム8、第2のカム9、ドアレール10>
図7に示すように、表示装置1の両側の側部には、内側から第2のドア5を移動させる第2のカム(移動制御手段、移動手段、開閉駆動機構)9、第1のドア4(
図1参照)を移動させる第1のカム(移動制御手段、開閉駆動機構)8、第1のドア4と第2のドア5との開閉の軌跡を案内する一対のドアレール10がそれぞれ配設されている。
【0056】
つまり、第2のカム9、第1のカム8、およびドアレール10は、それぞれ表示装置1を前から見て水平方向に左右対称に一対側部に配置されている。そこで、一方側の第2のカム9、第1のカム8、およびドアレール10についての説明を行い、他方側の第2のカム9、第1のカム8、およびドアレール10についての説明は省略する。
【0057】
<第2のカム>
図10(a)は、第2のカムを内側から見た図であり、
図10(b)は、第2のカムを下方から見た図であり、
図10(c)は、第2のカムを外側から見た図であり、
図10(d)は、第2のカムの外側を下後方から見た斜視図である。
【0058】
第2のカム9は、第2のドア5(
図1参照)を開閉動作させる部材であり、前後方向に延在する長形の平板状の形状を有している。
第2のカム9には、
図7に示すラック12に支持される駆動軸13が挿通される軸挿通孔(貫通孔)9sが穿孔されている。第2のカム9は、
図7に示すラック12の前後方向(
図7の矢印α2、α3)の直線運動により、駆動軸13をもって前後方向に移動させられる。
【0059】
第2のカム9には、第2のドア5の前ボス5p1(
図5参照)を案内する第2前案内溝(第2のカム溝)9aと、第2のドア5の第2の後ボス5p2を案内する第2後案内溝(第2のカム溝)9bとが形成されている。
第2前案内溝9aは、水平に形成される平行部9a1と、平行部9a1の端部に連続して下方に傾斜して形成される傾斜降下部9a2とを有している。平行部9a1と傾斜降下部9a2との成す角は、45度など任意に選択できる。
【0060】
第2後案内溝9bは、平行部9b1と、平行部9b1の端部に連続して下方に傾斜して形成される傾斜降下部9b2とを有している。平行部9b1と傾斜降下部9b2との成す角は、45度など任意に選択できる。
なお、平行部9a1と傾斜降下部9a2との成す角と、平行部9b1と傾斜降下部9b2との成す角とを、
図10(a)、(c)に示すように、同じにすると、第2のドア5を傾くことなく移動できるので、より好ましい。
第2前案内溝9aの平行部9a1と、第2後案内溝9bの平行部9b1とは、
図1に示す第2のドア5を閉塞させる際に、第2のドア5を前方に案内して開口部2a1を閉塞状態にする。
【0061】
第2前案内溝9aの傾斜降下部9a2と第2後案内溝9bの傾斜降下部9b2とは、
図2に示す第2のドア5を開ける際に、第2のドア5を後方に案内して開口部2a1を開放状態にする。
【0062】
また、第2のカム9には、第1のドア4の第1の前ボス4p1(
図4参照)の逃げとなる逃げ溝9m(
図10参照)が、凹形状を有して形成されている。
図7に示すように、第2のカム9の逃げ溝9mの存在により、第1のドア4の第1の前ボス4p1の動作が妨げられることなく遂行される。
【0063】
そして、第2のカム9には、ドアレール10の第2案内溝10b(
図12参照)に嵌入し、前後方向の直線運動が案内される前案内凸部9c1と後案内凸部9c2とが外方に突出して形成されている。
【0064】
<第1のカム8>
図11(a)は第1のカムを内側から見た図であり、
図11(b)は第1のカムを外側から見た図であり、
図11(c)は
図11(b)のE−E断面図であり、
図11(d)は第1のカムの外側を下後方から見た斜視図である。
第1のカム8は、第1のドア4(
図1参照)を開閉動作させる部材であり、前後方向に延在する長形の平板状の形状を有している。
【0065】
第1のカム8には、
図8、
図9に示す駆動軸13の両端に固定されるピニオン13pに上方から噛み合うラック(カムラック)8rが下端縁に形成されている。第1のカム8は、
図8、
図9に示すラック12の前後方向(
図7の矢印α2、α3)の直線運動に伴うピニオン13pの回転運動により、前後方向に移動させられる。
第1のカム8には、第1のドア4の前ボス4p1(
図4参照)を案内する第1前案内溝(第1のカム溝)8aと、第1のドア4の第1の後ボス4p2を案内する第1後案内溝(第1のカム溝)8bとが形成されている。
【0066】
第1前案内溝8aは、水平に形成される平行部8a1と、平行部8a1の端部に連続して下方に傾斜して形成される傾斜降下部8a2とを有している。平行部8a1と傾斜降下部8a2との成す角は、45度など任意に選択できる。
第1後案内溝8bは、水平に形成される平行部8b1と、平行部8b1の端部に連続して下方に傾斜して形成される傾斜降下部8b2とを有している。平行部8b1と傾斜降下部8b2との成す角は、45度など任意に選択できる。
【0067】
なお、平行部8a1と傾斜降下部8a2との成す角と、平行部8b1と傾斜降下部8b2との成す角とを、
図11(a)、(b)に示すように、同じにすると、第1のドア4を傾くことなく移動できるので、より好ましい。
第1前案内溝8aの平行部8a1と、第1後案内溝8bの平行部8b1とは、
図1に示す第1のドア4を閉塞させる際に、第1のドア4を前方に案内して開口部2a1を閉塞状態にする。
【0068】
第1前案内溝8aの傾斜降下部8a2と後案内溝8bの傾斜降下部8b2とは、
図2に示す第1のドア4を開ける際に、第1のドア4を後方に案内して開口部2a1を開放状態にする。
そして、第1のカム8には、ドアレール10の第1案内溝10a(
図12参照)に嵌入し、前後方向の直線運動が案内される前案内凸部8c1と後案内凸部8c2とが外方に突出して形成されている。
【0069】
<ドアレール10>
図12(a)は、ドアレールを内側斜め前上方から見た斜視図であり、
図12(b)は、ドアレールを内側から見た
図12(a)のF方向矢視図であり、
図12(c)は、ドアレールを外側から見た図である。
ドアレール10は、上ケース2と下ケース3の各側板2t、3tの直ぐ内側に配設されており、第1のカム8、第2のカム9を前後方向に案内している。
【0070】
また、ドアレール10は、第1のカム8および第2のカム9と第1のドア4および第2のドア5とを前後方向に案内することで、
図1、
図2に示すように、第1のドア4と第2のドア5による開口部2a1の開閉動作が遂行される。
ドアレール10には、
図4に示す第1のドア4の前ボス4p1と第1の後ボス4p2とが嵌入され案内されるとともに、
図11に示す第1のカム8の前案内凸部8c1と後案内凸部8c2とが嵌入され案内される第1案内溝(第1のドアレール溝)10aが、リブを内方に突出することで形成されている。
【0071】
第1案内溝10aは、
図1の第1のドア4の閉塞時に、第1のカム8と第1のドア4を上方に案内する第1鉛直案内溝10a1と、
図2の第1のドア4を開放状態にする際に後方に、第1のカム8と第1のドア4を案内する第1平行案内溝10a2とを有している。
【0072】
また、ドアレール10には、
図5に示す第2のドア5の前ボス5p1と第2の後ボス5p2とが嵌入され案内されるとともに、
図10に示す第2のカム9の前案内凸部9c1と後案内凸部9c2とが嵌入され案内される第2案内溝(第2のドアレール溝)10bが、リブを内方に突出することで形成されている。
【0073】
第2案内溝10bは、
図1の第2のドア5の閉塞時に、第2のカム9と第2のドア5を上方に案内する第2鉛直案内溝10b1と、
図2の第2のドア5を開放状態にする際に、第2のカム9と第2のドア5を後方に案内する第2平行案内溝10b2とを有している。
【0074】
ドアレール10の下部には、駆動軸13の両端に固定されるピニオン13pが下方で噛み合うラック(ドアレールラック)10rが形成されている。ラック10rの直上には、ピニオン13pが固定される駆動軸13の軸端部13a(
図8、
図9参照)が嵌入されて前後方向に案内される直線状の駆動軸案内溝10cが、リブを内方に突出することで形成されている。
【0075】
<駆動軸13のピニオン13pと第2のカム9と第1のカム8の動作>
駆動軸13の軸端部13aが、左右のドアレール10に設けられた駆動軸案内溝10cに回転、摺動可能に嵌合している。また、駆動軸13に固定されるピニオン13pは、ドアレール10のラック10rと噛合っているので、ラック12が前後方向(
図8、
図9の矢印α1、α2方向)に動くと、ピニオン13pはドアレール10のラック10r上を回転する。
【0076】
左右の第2のカム9(
図10参照)は、駆動軸13が回転可能に嵌合する貫通する軸挿通孔9sが形成されるので、ラック12と同じ速度で前後に移動する。
第2のドア5は、第2の前ボス5p1と第2の後ボス5p2が、それぞれ第2のカム9の第2前案内溝9aと第2後案内溝9bとに嵌入されて前後方向に当接することで、前後方向に移動する。
【0077】
一方、左右の第1のカム8(
図11参照)は、第1のカム8のラック8rがピニオン13pと上方で噛合っているので、ピニオン13pの円周速度と同じ速度で前後方向に移動する。
第1のドア4は、第1の前ボス4p1と第1の後ボス4p2が、それぞれ第1のカム8の第1前案内溝8aと第1後案内溝8bとに嵌入されて前後方向に当接することで、前後方向に移動する。
【0078】
ピニオン13pの中心(駆動軸13、ラック12)の前後方向の移動距離と、ピニオン13pの円周の移動距離との比は、ピニオン13pの半径の長さと直径の長さとの比であるので、ピニオン13pの円周の移動距離は、ピニオン13pの中心(ラック12)の前後方向の移動距離の2倍である。
【0079】
そのため、左右の第1のカム8が左右の第2のカム9の2倍の速度で前後方向に移動するので、第1のドア4は、第2のドア5の2倍の速度で前後方向に移動する。
図1の第1のドア4と第2のドア5とが開口部2a1を閉塞する位置から、
図2の第1のドア4と第2のドア5とが開口部2a1を開放する位置までに、第1のドア4は、第2のドア5の約2倍の距離を移動するが、第1のドア4の速度は第2のドア5の速度の2倍なので、
図2の格納位置に到達する時間はほぼ同時となる。
【0080】
なお、第1のカム8と第2のカム9とは、それぞれドアレール10に設けられた第1案内溝10aと第2案内溝10bとで上下方向を規制されているので、ピニオン13pと第1のカム8との噛合いが保たれている。
【0081】
<開口部2a1の開閉の検出>
次に、
図1、
図2に示す開口部2a1の開閉の検出について説明する。
開口部2a1の開閉は、前記したように、第1のドア4と第2のドア5とで遂行される。
図1に示す開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5とで閉塞される場合には、ラック12は、
図13(a)に示す位置にある。
図13(a)は、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5とで閉塞された場合のラック12の位置を示すラック12近傍を上方から見た平面図であり、
図13(b)は、
図13(a)のG−G断面拡大図である。
【0082】
ラック12の前下部には、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5により閉塞または開放された場合のラック12の位置を示す位置検出リブ12i(
図13(b)参照)が下方に突出して形成されている。一方、ベース3b上には、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5により閉塞されたことを検出する前位置検出センサsw1が設けられている。
位置検出リブ12iがベース3bに設けられる前位置検出センサsw1に当接することで、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5とで閉塞されたことが検出される。
【0083】
この場合、ラック12は、第1のドア4と第2のドア5とが、開口部2a1を閉塞した後も若干前方に移動(
図13の矢印α2)して位置検出リブ12iが前位置検出センサsw1に当接するように構成されている。これにより、第1のドア4、第1のカム8、第2のドア5、第2のカム9などの各部材の寸法誤差、組み立て誤差を吸収し、確実に開口部2a1を閉塞できる。
【0084】
図14は、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5とで開放または閉塞する途中の状態のラック12近傍を上方から見た平面図である。
開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5とで開放される途中の状態では、
図14の矢印α3に示すように、ラック12が、第1モータ7により後方に移動される。なお、開口部2a1が開放状態から第1のドア4と第2のドア5とで閉塞される途中の状態では、
図14の矢印α2に示すように、ラック12が、第1モータ7の回転駆動により前方に移動される。
【0085】
図15(a)は、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5とで開放または閉塞する途中の状態のラック12近傍を斜め前上方から見た斜視図であり、
図15(b)は、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5とで開放または閉塞する途中の状態のラック12近傍を斜め後上方から見た斜視図である。
【0086】
図16(a)は、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5により開放された場合のラック12の位置を示すラック12近傍を上方から見た平面図であり、
図16(b)は、
図16(a)のH−H断面拡大図である。
ベース3b上には、第1のドア4と第2のドア5とが開放したことを検出するための後位置検出センサsw2が設けられている。
【0087】
ラック12が後方に移動し、
図1に示すように、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5から開放され、第1のドア4と第2のドア5とが、上ケース2の上面板2aの後部2a2内に格納された場合には、
図16に示すように、位置検出リブ12iがベース3bに設けられる後位置検出センサsw2に当接することで、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5により開放されたことが検出される。
【0088】
この場合、ラック12は、第1のドア4と第2のドア5とが、開口部2a1を開放した後も若干後方に移動(
図13の矢印α3)して位置検出リブ12iが後位置検出センサsw2に当接するように構成されている。これにより、第1のドア4、第1のカム8、第2のドア5、第2のカム9などの各部材の寸法誤差、組み立て誤差を吸収し、確実に開口部2a1を開放できる。
【0089】
<コンバイナ6の開閉構成>
次に、
図2、
図3に示すコンバイナ6の開閉構成について説明する。
図17は、コンバイナ6を倒した未使用状態を斜め上前方から見た表示装置1の内部構成を示す斜視図である。
【0090】
表示装置1のベース3bの前部には、コンバイナ6の起立動作、倒れ動作を駆動する第2モータ(第2の駆動源)17が固着されている。第2モータ17の軸には第2モータギア17gが固定されている。
【0091】
一方、コンバイナ6が支持されるコンバイナサポート6sには、ハスバ歯車6gが取り付けられており、コンバイナサポート6sのハスバ歯車6gは、第2モータ17の第2モータギア17gに噛み合っている。これにより、第2モータ17を駆動することで、駆動力が、第2モータギア17g、ハスバ歯車6gを介して、コンバイナ6に伝達され、コンバイナ6が開閉される。
【0092】
ここで、コンバイナ6はコンバイナサポート6sに固定されており、コンバイナサポート6sは下ケース3に固定されたベース3bに取り付けられたコンバイナブラケット6bに回転可能に取り付けられている。
【0093】
図18は、コンバイナ6の支持部を斜め前上方から見た斜視図である。
コンバイナ6の支持部には、コンバイナ6の起立状態を検出するための角度センサ18が設けられている。角度センサ18に対向して、角度検出ギア14gを有する回転円板14がコンバイナブラケット6bに回転自在に支持されている。角度センサ18は、回転円板14の回転角度を検出してコンバイナ6の起立状態を検出する。
【0094】
図18に示すコンバイナ6がなべ小ねじn3で固定されるコンバイナサポート6sには、部分ギア6k1が形成された角度検出用ギア部材6kが固定されている。
角度検出用ギア部材6kの部分ギア6k1は、回転円板14の角度検出ギア14gと常時噛み合っている。そして、回転円板14の軸は、角度センサ18の回転検出穴に嵌入しており、回転円板14の軸と角度センサ18の回転検出機構は、ガタなく、一緒に回転する。
【0095】
コンバイ6が未使用(格納)状態では、角度センサ18は初期角度を示すように設定しなければならない。組み立て時の初期位置を確認するために、板ばね15の凸部15aが、回転円板14に形成した凹部14oに嵌入している。このために角度検出の原点を担保することができる。
【0096】
この構成により、第2モータ17の駆動により、コンバイナ6が、
図18の倒れた状態から次第に起立すると、回転円板14の角度検出ギア14gは、コンバイナサポート6sの角度検出用ギア部材6kの部分ギア6k1によって回転し、回転円板14の回転角度が角度センサ18により検出され、コンバイナ6の起立状態が検出される。
【0097】
逆に、コンバイナ6の起立状態から横倒し状態にする場合には、コンバイナサポート6sの角度検出用ギア部材6kの部分ギア6k1と回転円板14の角度検出ギア14gとの噛み合いにより、回転円板が回転し、板ばね15の凸部15aが、回転円板14に形成した凹部14oに嵌入する。この時角度センサ18は初期位置になり第2モータ17は停止しコンバイナ6は未使用(横倒し)状態になる。
【0098】
図19(a)は、コンバイナ6の支持構造を前斜め上方から見た斜視図であり、コンバイナ6が倒れ格納された場合を示す。
図19(b)は、
図19(a)のI部拡大図であり、
図19(c)は、コンバイナ6を倒した場合の右側のねじりコイルばね16rを示す斜視図であり、
図19(d)は、コンバイナ6が起立した場合の右側のねじりコイルばね16rを示す斜視図である。
図19(e)は、
図19(a)のJ部拡大図であり、
図19(f)は、コンバイナ6を倒した場合の左側のねじりコイルばね16lを示す斜視図であり、
図19(g)は、コンバイナ6が起立した場合の左側のねじりコイルばね16lを示す斜視図である。
【0099】
ねじりコイルばね(付勢手段)16r、16lは、右左両側に対称に設けられている。
ベース3bに固定される右側のコンバイナブラケット6bには、ねじりコイルばね16rの一方端16r1(
図19(c)参照)が係合されるとともに、ねじりコイルばね16rの他方端16r2(
図19(c)参照)が、コンバイナ6が固定されるコンバイナサポート6sに、係合されている。
【0100】
コンバイナ6が起立した場合には、ねじりコイルばね16rの他方端16r2が、
図19(d)に示すように、コンバイナサポート6sにより回転させられるのでねじりコイルばね16rに弾性力が発生し、コンバイナ6に倒れる向きの弾性力が働く。
【0101】
ベース3bに固定される左側のコンバイナブラケット6bには、ねじりコイルばね16lの一方端16l1(
図19(f)参照)が係合されるとともに、ねじりコイルばね16lの他方端16l2(
図19(f)参照)が、コンバイナ6が固定されるコンバイナサポート6sに係合されている。
【0102】
コンバイナ6が起立した場合には、ねじりコイルばね16lの他方端16l2が、
図19(g)に示すように、コンバイナサポート6sにより回転させられるので、ねじりコイルばね16lに弾性力が発生し、コンバイナ6に倒れる向きの弾性力が働く。
【0103】
図20は、コンバイナ6が倒れる方向へのトルクの大きさをコンバイナ6の回転角度に対して表した図である。横軸に回転角度(deg)を示し、縦軸にコンバイナ6が倒れる方向へのトルクの大きさ(N・mm)を示す。
【0104】
コンバイナ6の重量によるコンバイナ6が倒れる方向へのトルクの大きさ(
図20の細実線)は、コンバイナ6の回転角度が大きくなるに従って、コンバイナ6の回転中心とコンバイナ6の重心との水平方向距離が短くなるので、減少する。
【0105】
ねじりコイルばね16r、16lの弾性力によるコンバイナ6が倒れる方向へのトルクの大きさ(
図20の破線)は、コンバイナ6の回転角度が大きくなるに従って、ねじりコイルばね16r、16lのねじり変位が増加し弾性力が増加するに伴い、増加する。ねじりコイルばね16r、16lは、コンバイナ6が起立した状態で倒れる方向に所定の弾性力が印加される。
【0106】
コンバイナ6の重量によるコンバイナ6が倒れる方向へのトルクの大きさと、ねじりコイルばね16r、16lの弾性力によるコンバイナ6が倒れる方向へのトルクの大きさとの合計(太実線)は、回転角度が大きくなるに従って増加する。
【0107】
そのため、コンバイナ6が起立した状態(
図20の回転角度90deg付近)で、倒れる方向へのトルクがかかる。
これにより、コンバイナサポート6sのハスバ歯車6gと第2モータ17の第2ギア17gの接触を確実に行え、コンバイナ6が起立した状態で外乱による振動を抑えることが可能である。
【0108】
そして、コンバイナ6が倒れることで、弾性力が弱まり、コンバイナ6が完全に倒れた状態で、ねじりコイルばね16r、16lの弾性力が“0”になるように設定されている。
なお、コンバイナ6が起立した状態で所定のトルクがコンバイナ6に印加されれば、
図20とは異なり、コンバイナ6が完全に倒れた状態で弾性力が“0”以外の大きさになるように構成してもよい。
【0109】
<第1・第2のドア4、5による開口部2a1の開閉動作とコンバイナ6の起立動作>
次に、第1のドア4と第2のドア5による開口部2a1の開閉動作およびコンバイナ6の起立動作について説明する。
【0110】
<第1のドア4と第2のドア5による開口部2a1の開閉動作>
図21(a)〜
図25(a)は、第1のドア4と第2のドア5の閉塞状態から開放状態に至る第1のカム8、第2のカム9とピニオン13pの動作を示す概念的側面図であり、
図21(b)〜
図25(b)は、
図21(a)〜
図25(a)それぞれの状態の第1のドア4と第2のドア5の位置を示す概念的側面図である。
【0111】
前記したように、第1のドア4と第2のドア5による開口部2a1の開閉動作は、
図7に示すラック12の前後方向(
図7の矢印α2、α3参照)の移動により遂行される。
つまり、
図1に示すように、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5によって閉塞される場合には、ラック12は前方向(
図7の矢印α2方向)に移動し、
図2に示すように、開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5が移動し開放される場合には、ラック12は後方向(
図7の矢印α3方向)に移動する。
【0112】
第1のドア4の第1の前ボス4p1と第1の後ボス4p2とは、第1のカム8の第1前案内溝8aと第1後案内溝8bとに嵌合されているとともに、ドアレール10の第1案内溝10aに嵌合されている。
【0113】
一方、第2のドア5の第2の前ボス5p1と第2の後ボス5p2とは、第2のカム9の第2前案内溝9aと第2後案内溝9bとに嵌合されているとともに、ドアレール10の第2案内溝10bに嵌合されている。
【0114】
図1の開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5によって閉塞している場合には、
図21(a)、(b)の状態にある。移動開始時は、第1のドア4の第1の前ボス4p1と第1の後ボス4p2とは、ドアレール10の第1案内溝10aのほぼ垂直な第1鉛直案内溝10a1に嵌合されている。また、第2のドア5の第2の前ボス5p1と第2の後ボス5p2とは、ドアレール10の第2案内溝10bのほぼ垂直な第2鉛直案内溝10b1に嵌合されている。
【0115】
ここで、第1のドア4と第2のドア5との水平移動時に互いに干渉することのないように、第1のドア4の垂直移動距離、つまり第1鉛直案内溝10a1が第2鉛直案内溝10b1より長く形成されている。
【0116】
開口部2a1を開けるべく、第1モータ7が駆動されると、ラック12の後方(
図7の矢印α3方向)への移動に伴い、ピニオン3pが後方(
図21(a)の矢印α3方向)に移動する。これに伴い、
図21(a)に示すように、第1のカム8と第2のカム9とが後方に移動する。
【0117】
図22(a)に示すように、第1のドア4の第1の前ボス4p1と第1の後ボス4p2とは、第1のカム8の傾斜降下部8a2と傾斜降下部8b2とに嵌合して下向きの力を受け、かつ、ドアレール10の第1案内溝10aのほぼ垂直な第1鉛直案内溝10a1に嵌合されるので、第1のドア4は水平を保ちながらほぼ垂直に下降する。
【0118】
同様に、第2のドア5の第2の前ボス5p1と第2の後ボス5p2とは、第2のカム9の傾斜降下部9a2と傾斜降下部9b2とに嵌合して下向きの力を受け、かつ、ドアレール10の第2案内溝10bのほぼ垂直な第2鉛直案内溝10b1に嵌合されるので、第2のドア5は水平を保ちながらほぼ垂直に下降する。
【0119】
その後、
図23(a)に示すように、第1のドア4の第1の前ボス4p1と第1の後ボス4p2とは、第1のカム8の第1前案内溝8aの傾斜降下部8a2と第1後案内溝8の傾斜降下部8b2とにそれぞれ嵌合されて第1のカム8の移動方向の後方への力を受け、かつ、ドアレール10の第1案内溝10aのほぼ水平な第1平行案内溝10a2に嵌合される。そのため、第1のドア4は後方へ移動する。
【0120】
また、第2のドア5の第2の前ボス5p1と第2の後ボス5p2とは、第2のカム9の第2前案内溝9aの傾斜降下部9a2と第2後案内溝9b傾斜降下部9b2とにそれぞれ嵌合されて第2のカム9の移動方向の後方への力を受け、かつ、ドアレール10の第2案内溝10bのほぼ水平な第2平行案内溝10b2に嵌合される。そのため、第2のドア5は後方へ移動する。
【0121】
そして、第1のカム8と第2のカム9とが、
図24に示すように、さらに後方に移動し、第1のドア4、第2のドア5が後方に移動し、
図25に示す第1のドア4と第2のドア5の格納位置に至ると、ラック12の位置検出リブ12iが後位置検出センサsw2に当接し(
図16参照)、第1のドア4と第2のドア5の格納が検出され、第1のドア4と第2のドア5の開動作は終了する。
【0122】
<コンバイナ6の起立動作>
上述の動作により、上ケース2の開口部2aが開いたので、次にコンバイナ6の起立動作が遂行される。
後位置検出センサsw2の開動作の検出により、第2モータ17が回転を開始すると、第2モータギア17gを介して、
図17に示す状態のコンバイナサポート6sに取り付けられたハスバ歯車6gに動力が伝わる。
【0123】
第2モータ17の動力がハスバ歯車6gに伝わると、コンバイナ6はコンバイナブラケット6bの支点を中心に回転し起立動作を行う。
図8、
図9に示すように、規定された角度(標準位置)まで回転動作をすると、角度センサ18(
図18参照)により回転角度(標準位置)が検出され、起立動作を終了する。
【0124】
上・下ケース2、3内の光源によりコンバイナ6に投影された映像は、ユーザ、例えば、運転者の視点により投影される位置が異なるので、ユーザによってコンバイナ6の起立位置を調整しなければならない。そのため、ユーザはコンバイナ6が起立した位置で、第2モータ17を不図示の操作釦で正転又は逆転させて、コンバイナ6の起立位置を調整することができる構成としている。
【0125】
コンバイナ6の格納時は、上述と逆の動作が行われる。
第2モータ17の逆回転によりコンバイナ6を上・下ケース2、3内に格納し、角度センサ18によって位置検出をして第2モータ17の動作を終了する。
その後、第1モータ7の回転駆動により、ラック12を、
図7の状態から、矢印α2の方向に移動させる。
【0126】
これにより、第1のドア4および第2のドア5を、
図25から
図21に遷移させて、前方に移動させ、ラック12の位置検出リブ12iの前位置検出センサsw1(
図13参照)への当接により、動作終了を検知して第1モータ7の動作を停止させ、上ケース2の開口部2a1を第1のドア4と第2のドア5とで塞ぐ。
【0127】
図1の第1のドア4および第2のドア5が開口部2a1を塞いでいる時は、不図示の板バネによって第1のドア4と第2のドア5とは下方に向けて付勢される。例えば、閉じた第1のドア4と第2のドア5の各上方の位置に、下向きに真ん中が突出した形状の略くの字状の板バネをそれぞれ設ける。そして、該略くの字状の板バネでそれぞれ閉じた第1のドア4と第2のドア5を下方に押圧する。
【0128】
これにより、第1のドア4と第2のドア5の振動による共振等の異音の発生を抑制し、ユーザ、例えば運転者に不快感を与えないようにしている。
また、
図3に示す第1のドア4および第2のドア5が、格納位置にある時も板バネ2b(
図7参照)によって前方に付勢され(
図7の矢印γ1方向)、振動による異音が発生しないように固定されている。
【0129】
前記したように、コンバイナ6の起立位置でも同様、振動衝撃によってコンバイナ6が振れて、画像が乱れないように、コンバイナサポート6sをねじりコイルばね16r、16l(
図19参照)で付勢し、ハスバ歯車6gと第2モータ17の第2モータギア17gとを確実に接触させ、コンバイナ6が振動しないように固定されている。
【0130】
上記構成によれば、下記の効果を奏する。
1.開口部を覆うドアを第1のドア4と第2のドア5の2枚に分割することで、ドアを駆動するラック12を短くすることができる。
2.ドアを第1のドア4と第2のドア5とに2分割して重ねて格納するので、表示装置1全体の奥行きを短くでき、装置の小型化が可能である。
【0131】
3.ドアを分割し、スライドさせて開閉動作を行うことによりドア可動域を必要とせず、表示装置1全体のコンパクト化が行える。
4.第1のドア4を第2のドア5の移動速度の2倍で動作させるので、第1のドア4、第2のドア5の動作時間を短くできる。また、第1のドア4と第2のドア5との開閉動作がスムーズにできる。
【0132】
5.第1のドア4を第2のドア5の移動速度の2倍で動作させるので、第1のドア4、第2のドア5の動作時間を同等にできる。
6.第1のドア4を第2のドア5の移動速度の2倍で動作させるので、格納時間が同等になり動作時の見栄え向上し視認性が良くなり、商品価値が向上する。
【0133】
7.第1のドア4と第2のドア5をそれぞれ異なる部品で同時に駆動するので負荷が分散し減少でき、スムーズな動作にできる。
8.第1のドア4と第2のドア5で開口部2a1を覆っている時、上ケース2と第1のドア4と第2のドア5の上面を同一平面にできるので、デザイン性が良好である。
【0134】
<<変形例1>>
変形例1は、ドアを3分割した場合である。
図26は、変形例1の未使用状態の表示装置を斜め上前方から見た斜視図である。
図27は、変形例1の表示装置でコンバイナを起立させた使用状態を斜め上前方から見た斜視図である。
【0135】
変形例1の表示装置21は、開口部2a1を覆うドアを、第1のドア4と第2のドア5と第3のドア(回転蓋部材)22で覆う構成である。
第1のドア4と第2のドア5は、開口部2a1の一部を第3のドア22で覆うため、外形寸法を小さくした以外は、実施形態と同様な構成である。そのため、実施形態と同様な構成要素には、同一の符号を付して示し、詳細な説明は省略する。
【0136】
コンバイナ6の未使用時には、
図26に示すように、表示装置21の開口部2a1は、第1のドア4と第2のドア5と第3のドア22で閉塞される。
コンバイナ6の使用時には、
図27に示すように、第1のドア4と第2のドア5とは、上ケース2の上面板2aの後部2a2の下方に、実施形態と同様にして、格納される。
第3のドア22は、回転して、上ケース2の前部2bに格納される。
【0137】
図28(a)は、変形例1の表示装置21において、開口部2a1が開けられた状態を示す内部の側面図であり、
図28(b)は、開口部2a1が開けられた状態を示す表示装置21の内部を斜め前下方から見た斜視図である。
図29(a)は、変形例1の表示装置21において、開口部2a1を閉塞する過程を示す内部の側面図であり、
図29(b)は、開口部2a1を閉塞する過程を示す表示装置21の内部を斜め前下方から見た斜視図である。
図30(a)は、変形例1の表示装置21において、開口部2a1を閉塞した状態を示す内部の側面図であり、
図30(b)は、開口部2a1を閉塞した状態を示す表示装置21の内部を斜め前下方から見た斜視図である。
【0138】
第3のドア22が固定される支持部材22sは、ベース3bに固定されるコンバイナブラケット6bに回転自在に支持されている。
支持部材22sは、外方に向かって凸状の駆動突起(回転開閉手段)22s1が形成されている。そして、支持部材22sは、ベース3bに一方端が係合される引張りコイルばね(弾性体)3sの他方端が係合され、第3のドア22が開放される方向に付勢されている。
【0139】
本構成により、
図27に示すコンバイナ6の使用時には、
図28に示すように、支持部材22sが引張りコイルばね3sに付勢され、第3のドア22が開放状態にある。
そして、コンバイナ6が未使用状態に移行する際には、
図29の矢印α2方向に示すように、第1のカム8と、第2のカム9とが前方に移動する。この際、第2のカム9の前コーナに形成された傾斜部(回転開閉手段、閉塞動作部)9nが支持部材22sの凸状の駆動突起22s1を上に押し上げる。これに伴い、支持部材22sが後方向きに回転し、第3のドア22が後方向き(
図29(a)の矢印β1方向)に回転する。
【0140】
そして、上ケース2の開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5と第3のドア22とで塞がれると、ラック12の位置検出リブ12iが前位置検出センサsw1(
図13参照)に当接し、動作終了を検知されるので、第1モータ7が動作を停止し、第1のカム8と、第2のカム9との前方への移動が停止する。そして、第2のカム9による支持部材22sの凸状の駆動突起22s1への押圧が停止し、
図30に示す状態となる。これにより、
図26に示すように、表示装置21の開口部2a1が、第1のドア4と第2のドア5と第3のドア22で閉塞される。
表示装置21の開口部2a1の開放は、
図30〜
図28の逆の遷移で遂行される。
【0141】
変形例1によれば、ドアが3枚で形成されるので、実施形態のドアが2枚の時よりも、第1のドア4と第2のドア5の奥行き寸法が小さくなり、表示装置21全体の奥行き寸法が短くできる。そのため、表示装置21の更なる小型化が可能である。
【0142】
また、第3のドア22の開閉は、回転運動で行うので、稼動が平行運動に比べ安定である。また、稼動スペースが狭小であり、表示装置21の小型化に貢献できる。
さらに、表示装置21の開口部2a1が第1のドア4と第2のドア5と第3のドア22とで塞がれるので、寸法関係など設計の自由度が向上する。
【0143】
<<変形例2>>
変形例2の表示装置31は、第1のドア4を上ケース2の上面板2aの直ぐ下方に格納するとともに、第2のドア5を第1のドア4の下方に格納する構成としたものである。これ以外の構成は、実施形態と同様である。
【0144】
図31は、変形例2の表示装置31において、開口部2a1を第1のドアと第2のドアとで閉塞した状態を側方から見た模式図である。
図32は、変形例2の表示装置31において、開口部2a1を開放し、第1のドアと第2のドアとを上ケース内に格納した状態を側方から見た模式図である。
図33は、第1のカムと第2のカムの移動速度の関係を示す模式図であり、
図33(a)は、第1のドアと第2のドアによる開口部2a1の閉塞時を示し、
図33(b)は、第1のドアと第2のドアとの開放時を示す。
【0145】
変形例2の表示装置31において、コンバイナ6の未使用時には、
図31に示すように、開口部2a1は、第1のドア4と第2のドア5とで閉塞されている。一方、コンバイナ6の使用時には、
図32に示すように、開口部2a1は開放され、第1のドア4と第2のドア5とが上面板2aの下方に格納されている。格納時、第1のドア4が上に第2のドア5が下に格納される。
【0146】
図33(a)、(b)に示すように、第2のドア5を移動させる第2のカム9は、駆動軸13が挿通され、駆動軸13と同速度で前後方向に移動する。一方、第1のドア4を移動させる第1のカム8は、駆動軸13に固定されるピニオン13pの噛み合いで移動するので、駆動軸13の2倍の速度、つまり第2のカム9の2倍の速度で移動する。
表示装置31が使用状態に移行すると、
図31に示すように、第1のドア4は、まず、寸法h下方に鉛直方向に移動すると仮定すると、第2のドア5は、第1のドア4の下方に格納されるから、寸法2h下方に鉛直方向に移動すると仮定する。
【0147】
そして、第1のドア4と第2のドア5とは、後方に移動して、上ケース2の上面板2aの下方に第1のドア4が上に、第2のドア5が下に重なって格納され、開口部2a1が開けられる。
【0148】
この際、第1のドア4の水平方向の移動距離を2L、鉛直方向の移動距離hとする。また、第1のドア4の鉛直方向の移動距離と第1のカム8の水平方向の移動距離は同じとすると、第1のドア4を駆動する第1のカム8の移動距離は、2L+hである。すると、第2のカム9の移動距離は、
図33に示すように、第1のカム8の移動距離の1/2であるから、h/2+Lである。
【0149】
一方、第2のドア5は、距離2h+L移動するので、第2のドア5の鉛直方向の移動距離と第2のカム9の水平方向の移動距離は同じとすると、第2のドア5を移動させる第2のカム9の移動距離は、2h+Lである。
【0150】
変形例2によれば、実施形態と異なり、開口部2a1の開放時、第1のドア4を上に、第2のドア5を下に格納できる。これにより、表示装置31の設計の自由度が向上する。
【0151】
<実施形態の第1のカム8と第2のカム9の移動軌跡>
変形例2との比較のため、実施形態の第1のカム8と第2のカム9の移動軌跡について説明する。
図34は、実施形態の表示装置1において、開口部2a1を第1のドアと第2のドアとで閉塞した状態を側方から見た模式図である。
図35は、実施形態の表示装置1において、開口部2a1を開放し、第1のドアと第2のドアとを上ケース内に格納した状態を側方から見た模式図である。
【0152】
実施形態の表示装置1において、コンバイナ6の未使用時、
図34に示すように、開口部2a1は、第1のドア4と第2のドア5とで閉塞されている。一方、コンバイナ6の使用時には、
図35に示すように、開口部2a1は、開放され、第1のドア4と第2のドア5とが上面板2aの下方に格納されている。変形例2と異なり、第1のドア4が下に第2のドア5が上に格納される。
【0153】
表示装置1が使用状態に移行すると、第1のドア4は、まず、
図34に示すように、寸法2h下方に鉛直方向に移動すると仮定すると、第2のドア5は、第1のドア4の上方に格納されるから、寸法h下方に鉛直方向に移動すると仮定する。
そして、
図35に示すように、第1のドア4と第2のドア5とは、後方に移動して、上ケース2の上面板2aの下方に、変形例2と異なり、第1のドア4が下に、第2のドア5が上に重畳して格納され、開口部2a1が開けられる。
【0154】
この際、第1のドア4の水平方向の移動距離を2L、鉛直方向の移動距離2hと仮定すると、案内溝の傾斜角度を45度とすると、第1のカム8の移動距離は、2L+2hである。第2のカム9の移動距離は、第1のカム8の移動距離の1/2であるから、h+Lである。
【0155】
一方、第2のドア5は、距離h+L移動するので、案内溝の傾斜角度を45度とすると、第2のドア5を移動させる第2のカム9の移動距離は、h+Lである。
変形例2と比較すると、変形例2の第2のカム9の移動距離は、2h+Lであり、実施形態の第2のカム9の移動距離は、h+Lである。実施形態の第2のカム9の移動距離が、変形例2の第2のカム9の移動距と比べ、距離h短い。表示装置1の奥行き寸法dは、第2のカム9の移動距離に依存する。
【0156】
そのため、実施形態の第1のドア4を下に第2のドア5を上に格納する構造が、変形例2の第1のドア4を上に第2のドア5を下に格納する構造より奥行き寸法dが短くでき、有利である。
【0157】
また、変形例2では、
図31、
図32から分るように、第1のドア4と第2のドア5の移動軌跡が交差する。一方、実施形態では、
図34、
図35から分るように、第1のドア4と第2のドア5の移動軌跡が交差しない。そのため、実施形態は、第1のドア4と第2のドア5の移動軌跡が交差しないことから、第1のドア4と第2のドア5の移動機構が簡単であると考えられる。
【0158】
この点からも、実施形態の第1のドア4を下に第2のドア5を上に格納する構造が、変形例2の第1のドア4を上に第2のドア5を下に格納する構造より好ましい。
【0159】
<<変形例3>>
変形例3は、実施形態の構成と異なり、コンバイナ6の起立位置の検出を角度センサ18で行い、コンバイナ6の格納位置の検出を不図示のスイッチで行う構成としたものである。
以下、
図18を用いて、変形例3の構成を説明する。
【0160】
コンバイナ6がなべ小ねじn3で固定されるコンバイナサポート6sには、部分ギア6k1が形成された角度検出用ギア部材6kが固定されている。
コンバイナ6が倒れた未使用状態では、実施形態と異なり、コンバイナサポート6sの角度検出用ギア部材6kの部分ギア6k1は、回転円板14の角度検出ギア14gに噛み合わない。
【0161】
そこで、コンバイナサポート6sの角度検出用ギア部材6kの部分ギア6k1の噛み合いが外れた状態では、板ばね15の凸部15aが、回転円板14に形成した凹部14oに嵌入し、この状態を回転円板14の初期角度としている。
【0162】
この構成により、第2モータ17の駆動により、コンバイナ6が、
図18の倒れた状態から次第に起立すると、コンバイナ6の起立途中でコンバイナサポート6sの角度検出用ギア部材6kの部分ギア6k1が回転円板14の角度検出ギア14gに噛み合い、回転円板14の凹部14oは、板ばね15の凸部15aから外れる。そして、回転円板14の角度検出ギア14gは、コンバイナサポート6sの角度検出用ギア部材6kの部分ギア6k1とともに回転し、回転円板14の回転角度が角度センサ18により検出され、コンバイナ6の起立状態が検出される。
【0163】
逆に、コンバイナ6の起立状態から横倒し状態にする場合には、コンバイナ6が倒れる途中で、コンバイナサポート6sの角度検出用ギア部材6kの部分ギア6k1と回転円板14の角度検出ギア14gとの噛み合いが外れる。この際、板ばね15の凸部15aが、回転円板14に形成した凹部14oに嵌入し、回転円板14の移動を停止させる。これにより、回転円板14は、初期角度に静止される。
【0164】
そして、第2モータ17の逆回転によりコンバイナ6を上・下ケース2、3内に格納し、格納したことを不図示のスイッチによって検出して、第2モータ17の動作を終了する。
その後、第1モータ7の回転駆動により、ラック12を、
図7の状態から、矢印α2の方向に移動させる。
【0165】
変形例3の構成によれば、表示装置1の設計の自由度を高めることができる。
【0166】
<<その他の実施形態>>
1.前記実施形態では、表示部として、虚像を投影して表示するコンバイナ6を例示して説明したが、表示部は、液晶などのコンバイナ6以外のものでもよい。
2.前記実施形態では、第2のカム9の閉塞動作部として、第2のカム9の前コーナに形成された傾斜部9nを例示して説明したが、曲率をもった形状など傾斜部以外の形状を採用してもよい。
3.前記実施形態では、閉塞動作部を、第2のカム9に形成した場合を例示したが、第2のカム9に形成せずに、第1のカム8に形成する構成としてもよい。
【0167】
なお、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更が可能であり、本発明の範囲内で様々な修正と変更が可能である。すなわち、本発明の具体的形態は、発明の趣旨を変更しない範囲において適宜、任意に変更可能である。
【0168】
以下、実施形態及び変形例1〜3から把握できる技術思想を記載する。
(観点1)
情報を表示させる表示部と、前記表示部を格納する筐体であって、上部に前記表示部を出現させる開口部が設けられた前記筐体と、前記開口部を塞ぎ、前記開口部よりも小さい面積を持つ複数のカバーと、前記複数のカバーを各々開閉するカバー開閉手段とを設け、前記複数のカバーが重なる第1の状態と、前記複数のカバーが前記開口部を塞ぐ第2の状態とを有することを特徴とする情報表示装置。
【0169】
(観点2)
前記第1の状態から前記第2の状態へと変位する際、または前記第2の状態から前記第1の状態へと変位する際に、前記カバーを各々異なる速度で移動させる移動手段を設けたことを特徴とする観点1記載の情報表示装置。
【0170】
(観点3)
前記カバーは、第1の突起を有する第1のカバーと、第2の突起を有する第2のカバーとからなり、
前記筐体に配置された第1の駆動源をさらに備え、前記移動手段が、前記第1の駆動源の動力によって回転し、
かつ前記カバーの移動方向に移動する駆動軸と、前記筐体の側面に平行に配置され、前記駆動軸の回転動作及び前記移動方向への移動動作に応じて前記移動方向に移動する第1の移動体と、前記筐体の側面に平行に配置され、前記駆動軸の前記移動方向への移動動作に応じて前記移動方向に移動する第2の移動体とを備え、
前記第1のカバーは、前記第1の突起によって前記第1の移動体に係合され、前記第2のカバーは、前記第2の突起によって前記第2の移動体に係合されていることを特徴とする観点2記載の情報表示装置。
【0171】
(観点4)
前記筐体の側面上には、前記移動方向に延在する第1の水平部と、当該第1の水平部と連通し前記移動方向と交差する第1の方向に延在する垂直部とを有する第1のガイドレールが配置され、前記第1の移動体は、前記移動方向と交差する第2の方向に延在する第1の傾斜部を含む第1のガイド孔を備え、前記第1の移動体の前記第1の突起は、前記第1のガイドレール及び前記第1のガイド孔に係合され、
前記第1のカバーは、前記第1の移動体の前記移動方向への移動に応じて、前記第1の状態から前記第2の状態へと変位し、かつ、前記第2の状態から前記第1の状態へと変位することを特徴とする観点3記載の情報表示装置。
【0172】
(観点5)
前記筐体の側面上には、前記移動方向に延在する第2の水平部と、当該第2の水平部と連通し前記第1の方向に延在する第2の垂直部とを有する第2のガイドレールが配置され、前記第2の移動体は、前記第2の方向に延在する第2の傾斜部を含む第2のガイド孔を備え、前記第2の移動体の前記第2の突起は、前記第2のガイドレール及び前記第2のガイド孔に係合され、
前記第2のカバーは、前記第2の移動体の前記移動方向への移動に応じて、前記第1の状態から前記第2の状態へと変位し、かつ、前記前記第2の状態から前記第1の状態へと変位することを特徴とする観点4記載の情報表示装置。
【0173】
(観点6)
前記第1の方向と前記第2の方向とのなす角度は約45度であることを特徴とする観点4もしくは観点5のいずれかに記載の情報表示装置。
【0174】
(観点7)
前記第1の駆動源とは独立した第2の駆動源であって、前記表示部を駆動する前記第2の駆動源とをさらに備えることを特徴とする観点3に記載の情報表示装置。
【0175】
(観点8)
前記駆動軸はピニオンを有し、前記第1の移動体は前記ピニオンと噛合するラックを有することを特徴とする観点3記載の情報表示装置。