(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1結合金具は、前記主部材を長手方向と直角に断面視した時の輪郭と一致する形状に成形された第1バンド体を有し、前記第1バンド体は前記主部材の周方向に沿い複数に分割された複数のバンド片からなり、前記各バンド片の両端には、互いに隣接する前記バンド片同士を連結する連結片が前記各バンド片の外周から離間する方向に延在して形成され、かつ前記各バンド片が前記主部材の外形輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する前記連結片同士をボルト・ナットにより締め付けることで前記第1バンド体を前記主部材に固定されるように構成され、さらに、前記第1バンド体には該第1バンド体の外周から離間する方向に延在する補強部材結合用の第1結合片が複数形成されていることを特徴とする請求項1記載の鉄塔の補強装置。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る鉄骨構造物の補強装置について説明する。
まず、本発明に係る鉄骨構造物の補強装置をトラス構造体からなる既存の鉄塔に適用した場合の第1の実施の形態について、
図1〜
図7を参照して詳細に説明する。
図1において、送電や通信などに使用される鉄塔10は、地上に設置された土台11上に一定の角度傾斜して立設された、鋼管からなる主部材12(特許請求の範囲に記載した単体部材に相当する)と、主部材12の土台11からの所定の高さ位置と、図示省略した他の主部材との間に水平に配置され、かつ両端が主部材12と前記他の主部材にそれぞれ結合された、主部材12より小径の鋼管からなる複数の水平副部材13A、13B(特許請求の範囲に記載した単体部材に相当する)と、主部材12の下端から水平副部材13A、13Bの長手方向の中間部に向けて斜めに配置され、かつ両端が主部材12の下端と水平副部材13の中間部にそれぞれ結合された、主部材12より小径の鋼管からなる複数の斜め副部材14A、14B(特許請求の範囲に記載した単体部材に相当する)とを備える。そして、これら主部材12、水平副部材13A、13B及び斜め副部材14A、14Bは、互いに結合されて三角形を構成するとともに該三角形を繋ぎ合わせることで鉄塔用のトラス構造体を構成している。
【0012】
主部材12の水平副部材13A、13Bとの結合部近傍箇所と、主部材12の下端から水平副部材13A、13Bまでの間の中間部箇所には第1結合金具15A、15Bがそれぞれ着脱可能、すなわち取り付け及び取り外し可能に取り付けられている。
また、複数の斜め副部材14A、14Bのうち、これら斜め副部材14A、14Bに安全座屈強度を超える圧縮応力が作用した時に座屈が生じる斜め副部材14A、14Bを弱副部材とする。そして、この弱副部材となる各斜め副部材14A、14Bの長さ方向の少なくとの中間箇所には、各第1結合金具15A、15Bと個別に対向する第2結合金具16A、16Bがそれぞれ着脱可能、すなわち取り付け及び取り外し可能に取り付けられされている。
【0013】
上部側の第1結合金具15Aと、これに対向する各第2結合金具16A、16Bとの間には、各斜め副部材14A、14Bの座屈耐力を増強するための、山形鋼からなる斜め補強部材17A、17Bがそれぞれ差し渡し状態に配置されている。そして、これら各斜め補強部材17A、17Bの両端を第1結合金具15Aと第2結合金具16A、16Bに固定することで、弱副部材となる各斜め副部材14A、14Bの座屈耐力を増強するように構成されている。
【0014】
さらに、下部側の第1結合金具15Bと、これに対向する各第2結合金具16A、16Bとの間には、各斜め副部材14A、14Bの座屈耐力を増強するための、山形鋼からなる水平補強部材18A、18Bがそれぞれ差し渡し状態に配置されている。そして、これら各水平補強部材18A、18Bの両端を第1結合金具15Aと第2結合金具16A、16Bに固定することで、弱副部材となる各斜め副部材14A、14Bの座屈耐力を増強するように構成されている。また、第2結合金具16Aと第2結合金具16Bとの間は、山形鋼からなる水平補強部材18Cにより結合されている。
【0015】
上部側の第1結合金具15Aは、
図2及び
図3に示すように、主部材12を長手方向と直角な面で断面視した時の輪郭、すなわち円形の輪郭と一致する形状に成形された第1バンド体151を有する。この第1バンド体151は主部材12の外周方向に沿い2分割された2つのバンド片151a、151bからなっている。また、各バンド片151a及び151bの両端には、互いに隣接するバンド片151a、151b同士を連結するための連結片151a1、151a2及び151b1、151b2がそれぞれ各バンド片151a及び151bの外周から離間する方向に延在して形成されている。
【0016】
各バンド片151a及び151bが主部材12の外形輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する連結片151a1と151a2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット152により締め付け、さらに互いに隣接する連結片151b1と151b2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット153により締め付けることにより、第1バンド体151は主部材12に固定され、上部側の第1結合金具15Aが構成される。
また、各バンド片151a及び151bには、各バンド片151a及び151bの外周から離間する方向に延在する補強部材結合用の第1結合片154a、154bがそれぞれ形成されている。そして、この各第1結合片154a及び154bには、高力ボルト・ナット155a及び155bにより斜め補強部材17A、17Bの一端がそれぞれ結合されている。また、第1バンド体151は、各バンド片151a、151b及び第1結合片154a、154bを補強する半割状の鍔部からなる補強リブ156を備えている。
【0017】
下部側の第1結合金具15Bは、上記上部側の第1結合金具15Aと同様に構成されるもので、
図4及び
図5に示すように、主部材12を長手方向と直角に断面視した時の輪郭、すなわち円形の輪郭と一致する形状に成形された第1バンド体151を有する。この第1バンド体151は主部材12の外周方向に沿い2分割された2つのバンド片151a、151bからなっている。また、各バンド片151a及び151bの両端には、互いに隣接するバンド片151a、151b同士を連結するための連結片151a1、151a2及び151b1、151b2がそれぞれ各バンド片151a及び151bの外周から離間する方向に延在して形成されている。
【0018】
各バンド片151a及び151bが主部材12の外形輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する連結片151a1と151a2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット152により締め付け、さらに互いに隣接する連結片151b1と151b2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット153により締め付けることにより、第1バンド体151は主部材12に固定され、下部側の第1結合金具15Bが構成される。
また、各バンド片151a及び151bには、各バンド片151a及び151bの外周から離間する方向に延在する、半割状の鍔部からなる補強部材結合用の第1結合片157a、157bがそれぞれ形成されている。そして、この各第1結合片157a及び157bには、高力ボルト・ナット158a及び158bにより斜め補強部材18A、18Bの一端がそれぞれ結合されている。また、第1バンド体151は、各バンド片151a、151bを補強する半割状の鍔部からなる補強リブ156を備えている。
【0019】
なお、高力ボルト・ナット152、153及び155a及び155bに緩み防止用のロックナットを設けることができる。これにより、これら高力ボルト・ナットの緩みを防止することができ、かつ第1結合金具15Aの主部材12への取り付け状態を安定に維持できる。また、第1バンド体151を構成するバンド片151a、151bの内壁面またはこれと接する主部材12の外周面の一方または両方に接着剤を塗布することができる。これにより、接着剤を利用してバンド片151a、151bを主部材12の希望する位置に仮止めでき、第1結合金具の主部材への取り付け作業が容易になるほか、主部材に対する第1結合金具のずれを防止できる。
【0020】
第2結合金具16Aは、
図6及び
図7に示すように、斜め補強部材17Aを長手方向と直角な面で断面視した時の輪郭、すなわち円形の輪郭と一致する形状に成形された第2バンド体161を有する。この第2バンド体161は斜め副部材14Aの外周方向に沿い2分割された2つのバンド片161a、161bからなっている。また、各バンド片161a及び161bの両端には、互いに隣接するバンド片161a、161b同士を連結するための連結片161a1、161a2及び161b1、161b2がそれぞれ各バンド片161a及び161bの外周から離間する方向に延在して形成されている。
【0021】
各バンド片161a及び161bが斜め副部材14Aの外形輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する連結片161a1と161a2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット162により締め付け、さらに互いに隣接する連結片161b1と161b2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット163により締め付けることにより、第1バンド体161は斜め副部材14Aに固定され、第2結合金具16Aが構成される。
また、バンド片161bには、バンド片161bの外周から離間する方向に延在する補強部材結合用の第2結合片164a、164bがそれぞれ形成されている。そして、この各第2結合片164a及び164bには、高力ボルト・ナット165a及び165bにより斜め補強部材17A、17Bの他端がそれぞれ結合されている。また、第2バンド体16は、各バンド片161a、161b及び第2結合片164a、164bを補強する半割状の鍔部からなる補強リブ166を備えている。
【0022】
なお、第2結合金具16Bについては、図示省略したが、この第2結合金具16Bは、上記第2結合金具16Aと同様に構成されているので、その構成説明は省略する。
また、高力ボルト・ナット162、163及び165a及び165bに緩み防止用のロックナットを設けることができる。これにより、これら高力ボルト・ナットの緩みを防止することができ、かつ第2結合金具16Aの斜め副部材14Aへの取り付け状態を安定に維持できる。また、第2バンド体161を構成するバンド片161a、161bの内壁面またはこれと接する斜め副部材14Aの外周面の一方または両方に接着剤を塗布することができる。これにより、接着剤を利用してバンド片161a、161bを斜め副部材14Aの希望する位置に仮止めでき、第2結合金具の斜め副部材への取り付け作業が容易になるほか、斜め副部材に対する第2結合金具のずれを防止できる。
【0023】
上記のように構成されたトラス構造体からなる鉄骨構造物の補強装置においては、主部材12の水平副部材13A、13Bとの結合部近傍箇所と、主部材12の下端から水平副部材13A、13Bまでの間の中間部箇所に第1結合金具15A、15Bをそれぞれ着脱可能に固定し、そして、斜め副部材14A、14Bに安全座屈強度を超える圧縮応力が作用した時に座屈が生じる斜め副部材14A、14Bを弱副部材とし、この斜め副部材14A、14Bの長さ方向の少なくとの中間箇所には、各第1結合金具15A、15Bと個別に対向する第2結合金具16A、16Bをそれぞれ着脱可能に固定し、さらに、上部側の第1結合金具15Aと第2結合金具16A、16Bとの間には、各斜め副部材14A、14Bの座屈耐力を増強する斜め補強部材17A、17Bがそれぞれ差し渡し状態に配置し、この斜め補強部材17A、17Bの両端を第1結合金具15Aと第2結合金具16A、16Bに固定することにより、弱副部材となる斜め副部材14A、14Bの座屈耐力を増強するように構成したので、次のような結果がえられる。
【0024】
すなわち、斜め副部材14Aの長手方向の中間部は、第1結合金具15Aと第2結合金具16Aとの間を結合する斜め補強部材17Aと、第1結合金具15Bと第2結合金具16Aとの間を結合する水平補強部材18Aと、第2結合金具16Aと第2結合金具16Bとの間を結合する水平補強部材18Cとにより三方向から支持される、トラス構造を構成することになる。これに伴い、斜め補強部材18Aの座屈長さが短く(1/2)なるとともに水平補強部材18Aの座屈耐力が2乃至3倍に増強されることになる。
同様にして、斜め副部材14Bの長手方向の中間部は、第1結合金具15Aと第2結合金具16Bとの間を結合する斜め補強部材17Bと、第1結合金具15Bと第2結合金具16Bとの間を結合する水平補強部材18Bと、第2結合金具16Bと第2結合金具16Aとの間を結合する水平補強部材18Cとにより三方向から支持される、トラス構造を構成することになる。これに伴い、水平補強部材18Bの座屈長さが短く(1/2)なるとともに水平補強部材18Bの座屈耐力が2乃至3倍に増強されることになる。
【0025】
したがって、上記のよな本実施の形態に示すトラス構造体からなる鉄骨構造物の補強装置によれば、トラス構造体を構成する主部材や斜め副部材に溶接や穴あけなどの加工を何ら施すことなく、斜め副部材の座屈耐力を大幅に向上できるとともに、トラス構造体を構成する斜め副部材の座屈長さを短くなり、斜め副部材の細長比を小さくできる。また、斜め副部材の座屈耐力を大幅に向上できることに伴い、トラス構造体に作用する圧縮応力が安全座屈強度を上回る場合であっても、これに十分に耐え得る座屈耐力を既存の斜め副部材に付与することができるほか、既存の斜め副部材に対する補強作業時間の短縮及び補強工事の低コスト化が可能になる。
【0026】
また、下部側の第1結合金具15Bが取り付けられた主部材12の中間部は、第1結合金具15B及び水平補強部材18A及び18Bを介して斜め補強部材17Aの第2結合金具16Aと斜め補強部材17Bの第2結合金具16Aにそれぞれ連結され、トラス構造を構成しているため、主部材12自体の座屈耐力をも増強することができる。
【0027】
次に、本発明の第2の実施の形態について、
図8及び
図9を用いて説明する。
図8及び
図9は、主部材12に固定される第1結合金具20の他の例を示すもので、この第1結合金具20は、主部材12を長手方向と直角な面で断面視した時の輪郭、すなわち円形の輪郭と一致する形状に成形された第1バンド体201を有し、この第1バンド体201は主部材12の外周方向に沿い4分割された4つのバンド片201a、201b、201c、201dからなっている。
【0028】
バンド片201aの両端には、互いに隣接するバンド片同士を連結する連結片201a1、201a2がそれぞれバンド片201aの外周から離間する方向に延在して形成されている。また、バンド片201bの両端には、互いに隣接するバンド片同士を連結するための連結片201b1、201b2がそれぞれバンド片201bの外周から離間する方向に延在して形成されている。また、バンド片201cの両端には、互いに隣接するバンド片同士を連結するための連結片201c1、201c2がそれぞれバンド片201cの外周から離間する方向に延在して形成されている。また、バンド片201dの両端には、互いに隣接するバンド片同士を連結するための連結片201c2、201d2がそれぞれバンド片201dの外周から離間する方向に延在して形成されている。
【0029】
バンド片201a、201b、201c、201dが主部材12の外形輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する連結片201a1と201d2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット202により締め付け、さらに、互いに隣接する連結片201a2と201b1同士をボルト・ナット203により締め付け、さらに、互いに隣接する連結片201b2と201c1同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット204により締め付け、さらに、互いに隣接する連結片201c2と201c2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット205により締め付けることにより、第1バンド体201は主部材12に固定される。また、各バンド片201a、201b、201c、201dの両端に形成されたそれぞれの連結片は、ドーナツ状の鋼材を4分割することで形成される扇状の補強板材205a、205b、205c、205dにより補強されている。また、第1バンド体201には、図示省略されているが、
図3に示す場合と同様な補強部材結合用の結合片が形成されている。
【0030】
このように構成された第2の実施の形態に示す第1結合金具20は、斜め副部材14A、14Bに使用される第2結合金具として適用することができる。また、この第2の実施の形態に示す第1結合金具20においても、上記第1の実施の形態に示す場合と同様に、高力ボルト・ナットに緩み防止用のロックナットを設けることができるほか、第1バンド体を構成するバンド片の内壁面またはこれと接する主部材の外周面の一方または両方に接着剤を塗布することができる。
【0031】
次に、本発明の第3の実施の形態について、
図10を用いて説明する。
図10は、主部材12に固定される第1結合金具30の他の例を示すもので、この第1結合金具30は、主部材12を長手方向と直角な面で断面視した時の輪郭、すなわち円形の輪郭と一致する形状に成形された第1バンド体301を有し、この第1バンド体301は主部材12の外周方向に3分割された3つのバンド片301a、301b、301cからなっている。
【0032】
バンド片301aの両端には、互いに隣接するバンド片同士を連結する連結片301a1、301a2がそれぞれバンド片201aの外周から離間する方向に延在して形成されている。また、バンド片301bの両端には、互いに隣接するバンド片同士を連結するための連結片301b1、301b2がそれぞれバンド片301bの外周から離間する方向に延在して形成されている。また、バンド片301cの両端には、互いに隣接するバンド片同士を連結するための連結片301c1、301c2がそれぞれバンド片301cの外周から離間する方向に延在して形成されている。
【0033】
バンド片301a、301b、301cが主部材12の外形輪郭に合わせて
図10に示すようにセットされた状態で、互いに隣接する連結片301a1と301c2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット302により締め付け、さらに、互いに隣接する連結片301a2と301b1同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット203により締め付け、さらに、互いに隣接する連結片301b2と301c1同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット204により締め付けることにより、第1バンド体301は主部材12に固定される。また、各バンド片301a、301b、301cの両端に形成されたそれぞれの連結片は、ドーナツ状の鋼材を3分割することで形成される扇状の補強板材305a、305b、305cにより補強されている。また、第1バンド体301には、図示省略されているが、
図3に示す場合と同様な補強部材結合用の結合片が形成されている。
【0034】
このように構成された第3の実施の実施の形態にかかる第1結合金具30は、上記
図2及び
図3に示す第1結合金具15Aと同様な機能を発揮することができるほか、この第1結合金具30は、斜め副部材14A、14Bの座屈耐力増強用の第2結合金具として利用することができる。
また、この第3の実施の形態に示す第1結合金具30においても、上記第1の実施の形態に示す場合と同様に、高力ボルト・ナットに緩み防止用のロックナットを設けることができるほか、第1バンド体を構成するバンド片の内壁面またはこれと接する主部材の外周面の一方または両方に接着剤を塗布することができる。
【0035】
次に、本発明の第4の実施の形態について、
図11及び
図12を用いて説明する。
図11及び
図12に示す主部材40は、一対の等辺山形鋼材401と402の一方の辺同士を、補強板材403を介して互いに接合することで構成されている。
このような主部材40に固定される第1結合金具50は、
図11及び
図12に示すように、主部材40をその長手方向と直角な面で断面視した時の輪郭と一致する形状に折り曲げ加工された第1バンド体501を有し、この第1バンド体501は主部材40の外周囲に沿い3分割された3つのバンド片501a、501b、501cからなっている。
【0036】
バンド片501aは、等辺山形鋼材401と402の一方の辺を背中合わせに接合した辺の形状に合わせて山形状に折り曲げ加工され、その両端にはバンド片同士を連結する連結片501a1、501a2が形成されている。また、バンド片501bの両端には、互いに隣接するバンド片同士を連結する連結片501b1、501b2が形成されている。また、バンド片501cの両端には、互いに隣接するバンド片同士を連結する連結片501c1、501c2が形成されている。
【0037】
バンド片501a、501b、501cが、
図11に示すように、主部材40の外周輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する連結片501a1と501b1との間に等辺山形鋼材401の補強板材502を介在し、この補強板材502を含む連結片501a1と501b1同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット503により締め付けて一体化する。さらに、互いに隣接する連結片501a2と501c2との間に等辺山形鋼材402の補強板材503を介在し、この補強板材503を含む501a2と501c2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット504により締め付けて一体化する。さらに、互いに隣接する連結片501b2と501c1同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット205により締め付けて一体化する。これにより、第1バンド体501は主部材40に固定される。また、連結片501b2及び501c1には、斜め副部材の座屈耐力を増強する補強部材506の一端が高力ボルト・ナット507により結合されている。
【0038】
また、バンド片501aには、その連結片501a1及び501a2を補強する補強リブ508a、508bが形成されている。また、バンド片501bには、その連結片501b1及び501bを補強する補強リブ509a、509bが形成されている。さらに、バンド片501cには、その連結片501c1及び501c2を補強する補強リブ510a、510bが形成されている。
【0039】
このように構成された第4の実施の形態にかかる第1結合金具50においても、上記
図2及び
図3に示す第1結合金具15Aと同様な機能を発揮することができる。
また、この第4の実施の形態に示す第1結合金具50においても、上記第1の実施の形態に示す場合と同様に、高力ボルト・ナットに緩み防止用のロックナットを設けることができるほか、第1バンド体を構成するバンド片の内壁面またはこれと接する主部材の外周面の一方または両方に接着剤を塗布することができる。
【0040】
次に、本発明の第5の実施の形態について、
図13を用いて説明する。
図13に示す斜め副部材60は、等辺山形鋼材601から構成されている。
このような主部材60に固定される第1結合金具70は、
図13に示すように、主部材60をその長手方向と直角な面で断面視した時の輪郭と一致する形状に折り曲げ加工された第1バンド体701を有し、この第1バンド体701は斜め副部材60の外周囲に沿って面対称に2分割された2つのバンド片701a、701bからなっている。
【0041】
バンド片701aは、等辺山形鋼材601の一方の辺に合わせて鋭角状に折り曲げ加工され、その両端にはバンド片同士を連結する連結片701a1、701a2が形成されている。また、バンド片701bは、等辺山形鋼材601の他方の辺に合わせて鋭角状に折り曲げ加工され、その両端にはバンド片同士を連結する連結片701b1、701b2が形成されている。
【0042】
バンド片701a、701bが、
図13に示すように、斜め副部材60の外周輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する連結片701a1と701b1との間に等辺山形鋼材601の補強板材702を介在し、この補強板材702を含む連結片701a1と701b1同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット703により締め付けて一体化する。さらに、互いに隣接する連結片701b1、701b2同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット704により締め付けて一体化する。これにより、第1バンド体701は斜め副部材60に固定される。また、連結片701a1及び701b1には、斜め副部材の座屈耐力を増強する補強部材80の一端が高力ボルト・ナット707により結合されている。
【0043】
また、バンド片701aには、その連結片701a1及び701a2を補強する補強リブ708a、708bが形成されている。また、バンド片701bには、その連結片701b1及び701b2を補強する補強リブ709a、709bが形成されている。
【0044】
このように構成された第5の実施の実施の形態にかかる第1結合金具70においても、上記
図6及び
図7に示す第1結合金具16Aと同様な機能を発揮することができる。
また、この第5の実施の形態に示す第1結合金具70においても、上記第1の実施の形態に示す場合と同様に、高力ボルト・ナットに緩み防止用のロックナットを設けることができるほか、第1バンド体を構成するバンド片の内壁面またはこれと接する主部材の外周面の一方または両方に接着剤を塗布することができる。
【0045】
なお、本発明の補強装置を利用し得るトラス構造体は、上記実施の形態に示した鉄塔に限らず、屋根トラス、プラットトラス、トラス柱、トラス梁等を構成するトラス部材にも適用することができる。
また、トラス構造体を構成する鋼材には、鋼管、等辺山形鋼材に限らず、チャネル鋼材、I型鋼材、H型鋼材、角型鋼管、不等辺山型鋼材、平鋼、CT鋼、アイビーム鋼、リップ溝型鋼、丸鋼あるいはこれらを組み合わせてなる鉄骨構造物にも適用することができる。
また、上記第1の実施の形態では、斜め副部材14A、14Bに対する結合金具の取り付け箇所が一箇所の場合について説明したが、本発明はこれに限らず、必要に応じて結合金具を斜め副部材の長手方向の複数箇所に取り付けることができる。
【0046】
次に、本発明の第6の実施の形態について、
図14〜
図18を用いて説明する。
図14は、ラーメン構造からなる既存の鉄骨構造物の水平荷重に対する耐震性能を増強できるようにした場合を示すもので、ラーメン構造の鉄骨構造物90は、例えば、矩形の四隅に位置して地上に設置されたそれぞれの土台91上に鉛直に立設された、H型鋼材からなる柱部材901a〜901d(特許請求の範囲に記載した単体部材に相当する)と、矩形の四隅に位置する各柱部材901a〜901dの上端間に、矩形の縦及び横方向に延在して差し渡し状態に配置された複数の梁部材902a〜902d(特許請求の範囲に記載した単体部材に相当する)とを有し、この各梁部材902a〜902dの両端を対応する柱部材901a〜901dの上端に剛接合することでラーメン構造の鉄骨構造物90が構成される。
【0047】
ラーメン構造からなる鉄骨構造物90の耐震性能を増強するに際しては、
図14に示すように、各柱部材901のうち、互いに平行に対峙する一方の柱部材901aの上端寄りに第1結合金具903が着脱可能、すなわち取り付け及び取り外し可能に取り付けられている。また、互いに平行に対峙する他方の柱部材901bの下端寄りに第2結合金具904が着脱可能、すなわち取り付け及び取り外し可能に取り付けられている。そして、互いに平行に対峙する柱部材901aの上端と柱部材901bの下端とは、上記第1結合金具903及び第2結合金具904を介して山形鋼材からなる耐震用の補強部材905により連結されされている。
【0048】
さらに、互いに平行に対峙する他方の柱部材901bの上端寄りに第1結合金具903が着脱可能、すなわち取り付け及び取り外し可能に取り付けられている。また、互いに平行に対峙する一方の柱部材901aの下端寄りに第1結合金具904が着脱可能、すなわち取り付け及び取り外し可能に取り付けられている。そして、互いに平行に対峙する柱部材901aの下端と柱部材901bの上端とは、上記第1結合金具903及び第2結合金具904を介して山形鋼材からなる耐震用の補強部材906により連結されされている。
【0049】
同様にして、鉄骨構造物90を構成する、互いに平行に対峙する柱部材901bの上端と柱部材901cの下端、及び柱部材901bの下端と柱部材901cの上端は、それぞれ第1結合金具903及び第2結合金具904を介して山形鋼材からなる耐震用の補強部材907及び908によりたすき掛け状態に連結されている。さらに、互いに平行に対峙する柱部材901aの上端と柱部材901dの下端、及び柱部材901aの下端と柱部材901dの上端は、それぞれ第1結合金具903及び第2結合金具904を介して山形鋼材からなる耐震用の補強部材907及び908によりたすき掛け状態に連結されている。これにより、地震や風などの横からの水平荷重に対する耐震性能を大幅に向上できる。
【0050】
また、ラーメン構造からなる鉄骨構造物90において、矩形状に配列して柱部材901a〜901dの上端に剛接合された梁部材902a〜902dの水平荷重に対する耐震性能を増強するために、
図14に示すように、各梁部材902a〜902dのうち互いに平行に対峙する一方の梁部材902aの一端寄りに梁部材用の第1結合金具910が取り付けられ、かつ互いに平行に対峙する他方の梁部材902cの他端寄りに梁部材用の第2結合金具911が取り付けられており、この互いに平行に対峙する両梁部材902aと902c間が第1結合金具910及び第2結合金具911を介して耐震用の補強部材912により連結されている。さらに、互いに平行に対峙する一方の梁部材902aの他端寄りに梁部材用の第2結合金具911が取り付けられ、かつ互いに平行に対峙する他方の梁部材902cの一端寄りに梁部材用の第1結合金具910が取り付けられており、この互いに平行に対峙する両梁部材902aと902c間が第1結合金具910及び第2結合金具911を介して耐震用の補強部材912により連結されている。
【0051】
各柱部材901a〜901dに取り付け及び取り外し可能に取り付けられる第1結合金具903は、
図15及び
図16に示すように、柱部材901を長手方向と直角に断面視した時の輪郭、すなわちH型鋼材の横断面と一致する形状に成形された第1バンド体903Aを有する。この第1バンド体903Aは柱部材901の周方向に沿い複数分割、例えば柱部材901のウェブ901−1の両端に連接された2つのフランジ901−2が覆われるように、フランジ901−2の幅に沿いコの字状に折り曲げ加工されてなる2つのバンド片903A1、903A2からなっている。また、各バンド片903A1、903A2の両端には、互いに隣接するバンド片903A1と903A2同士を連結する連結片903A1a、903A1bおよび903A2a、903A2bがそれぞれ各バンド片903A1及び903A2の外周から離間する方向に延在して形成されている。さらに、ウェブ901−1と、2つのフランジ901−2と、バンド片903A1、903A2のそれぞれで囲まれた2つの空間部S1、S2内には、第1バンド体903Aに締め付けに伴うH型鋼材の変形を防止する補強リブ903B1、903B2が柱部材901と一体に設けられている。
【0052】
各バンド片903A1及び903A2が柱部材901の外形輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する連結片903A1aと903A2a同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット903C1により締め付け、さらに互いに隣接する連結片903A1bと903A2b同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット903C2により締め付けることことにより、第1バンド体903Aを柱部材901に固定され、第1結合金具903が構成される。また、各バンド片903A1及び903A2には、それぞれのバンド片903A1及び903A2の外周から離間する方向に延在する補強部材結合用の第1結合片903A1c及び903A2cがそれぞれ形成されている。そして、この各第1結合片903A1c及び903A2cには、高力ボルト・ナット914及び915により斜め補強部材906、907の一端がそれぞれ結合されている。また、第1バンド体903Aは、各連結片903A1aと903A2aを補強する補強リブ918と、第1結合片903A1c及び903A2cを補強する補強リブ919を備えている。
【0053】
各柱部材901a〜901dに取り付け及び取り外し可能に取り付けられる第2結合金具904は、
図17及び
図18に示すように、柱部材901を長手方向と直角に断面視した時の輪郭、すなわちH型鋼材の横断面と一致する形状に成形された第2バンド体904Aを有する。この第2バンド体904Aは柱部材901の周方向に沿い複数分割、例えば柱部材901のウェブ901−1の両端に連接された2つのフランジ901−2が覆われるように、フランジ901−2の幅に沿いコの字状に折り曲げ加工されてなる2つのバンド片904A1、904A2からなっている。また、各バンド片904A1、904A2の両端には、互いに隣接するバンド片904A1と904A2同士を連結する連結片904A1a、904A1b及び904A2a、904A2bがそれぞれ各バンド片904A1及び904A2の外周から離間する方向に延在して形成されている。さらに、ウェブ901−1と、2つのフランジ901−2と、バンド片904A1、904A2のそれぞれで囲まれた2つの空間部S3、S4内には、第2バンド体904Aに締め付けに伴うH型鋼材の変形を防止する補強リブ904B1、904B2が柱部材901と一体に設けられている。
【0054】
各バンド片904A1及び904A2が柱部材901の外形輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する連結片904A1aと904A2a同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット904C1により締め付け、さらに互いに隣接する連結片904A1bと904A2b同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット904C2で締め付けることにより、第2バンド体904Aを柱部材901に固定され、第2結合金具904が構成される。また、各バンド片904A1及び904A2には、それぞれのバンド片904A1及び904A2の外周から離間する方向に延在する補強部材結合用の第2結合片904A1c及び904A2cがそれぞれ形成されている。そして、この各第2結合片904A1c及び904A2cには、高力ボルト・ナット920及び921により斜め補強部材916、917の一端がそれぞれ結合されている。また、第2バンド体904Aは、各連結片904A1aと904A2aを補強する補強リブ922と、第2結合片904A1c及び904A2cを補強する補強リブ923を備えている。
【0055】
矩形状に配列して柱部材901a〜901dの上端に剛接合された梁部材902a〜902dの水平荷重に対する耐震性能を増強するために用いられる第1結合金具910及び第2結合金具911には、上記柱部材901a〜901dの耐震性能を増強するために用いられた第1結合金具903及び第2結合金具904を用いることができる。このため、梁部材902a〜902dに用いられる第1結合金具910及び第2結合金具911の構成については、その説明を省略する。
【0056】
上記のような第6の実施の形態に示すラーメン構造体からなる鉄骨構造物の補強装置によれば、既存の鉄骨構造物を構成する柱部材や梁部材に溶接や穴あけなどの加工を何ら施すことなく、柱部材や梁部材の水平荷重に対する耐震性能を大幅に向上できるとともに、本実施の形態6に示す補強装置を付加することにより、ラーメン構造体に作用する水平荷重が既存の耐震強度を上回る場合であっても、これに十分に耐え得る耐震強度を既存の柱部材や梁部材に付与することができるほか、既存の鉄骨構造物に対する補強作業時間の短縮及び補強工事の低コスト化が可能になる。
【0057】
なお、上記第6の実施の形態に示す第1結合金具910及び第2結合金具911においても、上記第1の実施の形態に示す場合と同様に、高力ボルト・ナットに緩み防止用のロックナットを設けることができるほか、第1、第2バンド体を構成するバンド片の内壁面またはこれと接する主部材や梁部材の外周面の一方または両方に接着剤を塗布することができる。
【0058】
次に、本発明の第7の実施の形態について、
図19〜
図18を用いて説明する。
図19は、ラーメン構造からなる既存の鉄骨構造物の座屈耐力を増強できるようにした場合を示すもので、ラーメン構造の鉄骨構造物200は、例えば、矩形の四隅に位置して地上に設置されたそれぞれの土台201上に鉛直に立設された、H型鋼材からなる柱部材201a〜201d(特許請求の範囲に記載した単体部材に相当する)と、矩形の四隅に位置する各柱部材201a〜201dの上端間に、矩形の縦及び横方向に延在して差し渡し状態に配置された複数の梁部材202a〜202d(特許請求の範囲に記載した単体部材に相当する)とを有し、この各梁部材202a〜202dの両端を対応する柱部材201a〜201dの上端に剛接合することでラーメン構造の鉄骨構造物200が構成される。
【0059】
ラーメン構造からなる鉄骨構造物200の座屈耐力を増強するに際しては、
図19に示すように、各柱部材201a〜201dの長さ方向の中間箇所に第1結合金具203が着脱可能、すなわち取り付け及び取り外し可能に取り付けられている。また、各梁部材202a〜202dの長さ方向の中間箇所に第2結合金具204が着脱可能、すなわち取り付け及び取り外し可能に取り付けられている。そして、同一の垂直平面内で互いに平行に対峙する柱部材201a及び201aのそれぞれに取り付けられた両第1結合金具203と、柱部材201aと201aの上端に剛接合された梁部材202aの第2結合金具204との間は、山形鋼材からなる一対の座屈増強用の補強部材205と206により連結されている。
【0060】
同様にして、同一の垂直平面内で互いに平行に対峙する柱部材201b及び201cのそれぞれに取り付けられた両第1結合金具203と、柱部材201bと201cの上端に剛接合された梁部材202bの第2結合金具204との間は、山形鋼材からなる一対の座屈増強用の補強部材205と206により連結されている。また、同一の垂直平面内で互いに平行に対峙する柱部材201c及び201dのそれぞれに取り付けられた両第1結合金具203と、柱部材201cと201dの上端に剛接合された梁部材202cの第2結合金具204との間は、山形鋼材からなる一対の座屈増強用の補強部材205と206により連結されている。さらに、同一の垂直平面内で互いに平行に対峙する柱部材201d及び201aのそれぞれに取り付けられた両第1結合金具203と、柱部材201dと201aの上端に剛接合された梁部材202dの第2結合金具204との間は、山形鋼材からなる一対の座屈増強用の補強部材205と206により連結されている。これにより、柱部材201a〜201d及び梁部材202a〜202dの座屈長さが短く(1/2)なるとともに柱部材201a〜201d及び梁部材202a〜202dの座屈耐力を2乃至3倍に増強させることができる。
【0061】
各柱部材201a〜201dに取り付け及び取り外し可能に取り付けられる第1結合金具203は、
図20及び
図21に示すように、柱部材201を長手方向と直角に断面視した時の輪郭、すなわちH型鋼材の横断面と一致する形状に成形された第1バンド体203Aを有する。この第1バンド体203Aは柱部材201の周方向に沿い複数分割、例えば柱部材201のウェブ201−1の両端に連接された2つのフランジ201−2が覆われるように、フランジ201−2の幅に沿いコの字状に折り曲げ加工されてなる2つのバンド片203A1、203A2からなっている。また、各バンド片203A1、203A2の両端には、互いに隣接するバンド片203A1と203A2同士を連結する連結片203A1a、203A1bおよび203A2a、203A2bがそれぞれ各バンド片203A1及び203A2の外周から離間する方向に延在して形成されている。さらに、ウェブ202−1と、2つのフランジ202−2と、バンド片203A1、203A2のそれぞれで囲まれた2つの空間部S5、S6内には、第1バンド体203Aに締め付けに伴うH型鋼材の変形を防止する補強リブ203B1、203B2が柱部材201と一体に設けられている。
【0062】
各バンド片203A1及び203A2が柱部材201の外形輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する連結片203A1aと203A2a同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット203C1により締め付け、さらに互いに隣接する連結片203A1bと203A2b同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット203C2により締め付けることことにより、第1バンド体203Aを柱部材901に固定され、第1結合金具203が構成される。また、各バンド片203A1及び203A2には、それぞれのバンド片203A1及び203A2の外周から離間する方向に延在する補強部材結合用の第1結合片203A1c及び203A2cがそれぞれ形成されている。そして、この各第1結合片203A1c及び203A2cには、高力ボルト・ナット214及び215により斜め補強部材205、206の一端がそれぞれ結合されている。また、第1バンド体203Aは、各連結片203A1aと203A2aを補強する補強リブ218と、第1結合片203A1c及び203A2cを補強する補強リブ219を備えている。
【0063】
各梁部材202a〜202dに取り付け及び取り外し可能に取り付けられる第2結合金具204は、
図22及び
図23に示すように、梁部材202を長手方向と直角に断面視した時の輪郭、すなわちI型鋼材の横断面と一致する形状に成形された第2バンド体204Aを有する。この第2バンド体204Aは梁部材202の周方向に沿い複数分割、例えば梁部材202のウェブ202−1の両端に連接された2つのフランジ202−2が覆われるように、フランジ202−2の幅に沿いコの字状に折り曲げ加工されてなる2つのバンド片204A1、204A2からなっている。また、各バンド片204A1、204A2の両端には、互いに隣接するバンド片204A1と204A2同士を連結する連結片204A1a、204A1b及び204A2a、204A2bがそれぞれ各バンド片204A1及び204A2の外周から離間する方向に延在して形成されている。さらに、ウェブ202−1と、2つのフランジ202−2と、バンド片204A1、204A2のそれぞれで囲まれた2つの空間部S7、S8内には、第2バンド体204Aに締め付けに伴うI型鋼材の変形を防止する補強リブ204B1、204B2が梁部材202と一体に設けられている。
【0064】
各バンド片204A1及び204A2が梁部材202の外形輪郭に合わせてセットされた状態で、互いに隣接する連結片204A1aと204A2a同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット204C1により締め付け、さらに互いに隣接する連結片204A1bと204A2b同士の複数箇所を複数の高力ボルト・ナット204C2で締め付けることにより、第2バンド体204Aは梁部材202に固定され、第2結合金具904が構成される。また、各バンド片204A1及び204A2には、それぞれのバンド片204A1及び204A2の外周から離間する方向に延在する補強部材結合用の第2結合片204A1cが形成されている。そして、この第2結合片204A1cには、高力ボルト・ナット220及び221により斜め補強部材205、206の他端がそれぞれ結合されている。また、第2バンド体204Aは、各連結片204A1aと204A2aを補強する補強リブ222と、第2結合片204A1cを補強する補強リブ223を備えている。
【0065】
また、第7の実施の形態において、
図19に示すように、梁部材202aの第2結合金具204と梁部材202bの第2結合金具204との間、梁部材202bの第2結合金具204と梁部材202cの第2結合金具204との間、梁部材202cの第2結合金具204と梁部材202dの第2結合金具204との間、梁部材202dの第2結合金具204と梁部材202aの第2結合金具204との間は、仮想線で示す補強部材225によりそれぞれ連結されている。
このような構成にすることにより、矩形状に剛接合された梁部材202a〜202dの座屈耐力を更に増強させることができる。
【0066】
上記のような第7の実施の形態に示すラーメン構造体からなる鉄骨構造物の補強装置によれば、既存の鉄骨構造物を構成する柱部材や梁部材に溶接や穴あけなどの加工を何ら施すことなく、柱部材や梁部材に対する座屈耐力を大幅に向上できるとともに、ラーメン構造体に作用する垂直荷重が既存の座屈耐力を上回る場合であっても、本実施の形態7に示す補強装置を付加することにより、これに十分に耐え得る座屈耐力を既存の柱部材や梁部材に付与することができるほか、既存の鉄骨構造物に対する補強作業時間の短縮及び補強工事の低コスト化が可能になる。
【0067】
なお、本発明に係る補強装置は、上記第6及び第7の実施の形態に示した構造のラーメン構造体に限らず、他の鉄骨構造物にも適用することができる。
また、ラーメン構造体を構成する鋼材には、アイビーム鋼材やH型鋼材に限らず、鋼管、等辺山形鋼材、チャネル鋼材、角型鋼管、不等辺山型鋼材、平鋼、CT鋼、リップ溝型鋼、丸鋼あるいはこれらを組み合わせてなる鉄骨構造物にも適用することができる。
また、上記第7の実施の形態に示す第1結合金具203及び第2結合金具204においても、上記第1の実施の形態に示す場合と同様に、高力ボルト・ナットに緩み防止用のロックナットを設けることができるほか、第1、第2バンド体を構成するバンド片の内壁面またはこれと接する主部材や梁部材の外周面の一方または両方に接着剤を塗布することができる。また、高力ボルト・ナットに限らず、一般もボルト・ナットを用いてもよい。