(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。なお、各実施の形態の説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」、「表」、「裏」といった方向は、説明の便宜上、そのように記しているだけであって、装置、器具、部品等の配置や向き等を限定するものではない。
【0010】
実施の形態1.
図1〜
図19を参照して実施の形態1のアース口金300E−1及び照明ランプ900を説明する。実施の形態1のアース口金300E−1の特徴は以下の様である。アース口金300E−1は、後述の
図4の口金筐体100、アース端子150及び後述の
図7のホルダー200を備える。アース口金300E−1は照明ランプ900組立て完成状態で、後述の
図11に示すように、突出筒部130の突出先端部131とホルダー側変位抑制部230との間に1mm程度の隙間が有る。照明ランプ900において、アース端子150あるいは口金筐体100のベース部110に力が加わると、ベース部110が弾性変形して突出先端部131が突出筒部130の突起方向(後述の壁部起立方向12方向)へ変位する。そのとき突出先端部131はホルダー側変位抑制部230に当たることで変位が抑制され、突出筒部130(突出先端部131)の矢印12(後述の壁部起立方向12方向)方向へのアース端子150の変位が規制される。この変位規制によってアース口金300E−1のベース部110におけるピン部151の根元周辺の応力集中が緩和され、アース口金300E−1の強度及び耐衝撃性が高まる。 以下に、本実施の形態1のアース口金300E−1の詳細を説明する。
【0011】
(照明器具の構成)
図1は、本実施の形態1に係る照明器具1000の斜視図である。
図2は、照明器具1000の
図1におけるX方向矢視である。
図1、
図2に示すように、照明器具1000は、器具本体1010と、アース側ソケット1020E、給電側ソケット1020Fとを備える。照明器具1000は、直管形の照明ランプ900が取り付けられる。照明器具1000は、器具本体1010の長手方向の一端側に、給電機能を持たず、照明ランプ900の端部の保持及びアース機能を有するアース側ソケット1020Eを備え、長手方向の他端側に給電側の給電側ソケット1020Fを備え、照明ランプ900を装着することができる。
【0012】
(照明ランプの外観)
図3は、照明ランプ900の外観の例を示す図であり、照明ランプ900の平面図及び斜視図である。
図3の斜視図は、アース口金300E−1の部分と、給電口金300F−3の部分とを示したものである。給電口金300F−3は実施の形態3で詳しく説明する。
【0013】
実施の形態1において、照明ランプ900として直管形のLED(発光ダイオード)ランプを例に説明を進めるが、照明ランプ900の形状は直管形に限定されるものではなく、照明ランプ900の種類もLEDに限定されるものではない。
【0014】
照明ランプ900は、
図3の平面図のように、円筒状のアース口金300E−1と、円筒の筒管600と、円筒状の給電口金300F−3とを備える。実施の形態1、2では照明ランプ900は給電口金300F−3を備えてもよいが、従来の給電口金でもよい。実施の形態1、2では照明ランプ900は、アース口金300E−1(実施の形態1)、アース口金300E−2(実施の形態2)を備えればよい。
【0015】
図3の斜視図のように、給電口金300F−3は、口金筐体100と、1対の給電端子(給電ピン)である給電端子310Fと給電端子320Fとを備える。
【0016】
また
図3の斜視図のように、アース口金300E−1はアース端子150(GND端子、グランド端子)を備える。アース端子150は、ピン部151と先端板部152とを備える。後述する口金筐体100は例えば樹脂であり、給電端子310Fと給電端子320Fとアース端子150とは例えば金属である。
【0017】
(アース口金)
以下にアース口金300E−1を説明する。アース口金300E−1は、口金筐体100(後述の
図4)と、アース端子150と、ホルダー200(後述の
図6)とを備える。まず口金筐体100から説明する。
【0018】
(口金筐体)
図4〜
図6を参照して口金筐体100を説明する。
図4は、アース端子150を装着状態の口金筐体100の斜視図である。
図5(a)(b)は、
図4の上面図及び底面図である。
図6(a)(b)はそれぞれ、
図5のA−A断面図、B−B断面図である。
図4〜
図6では口金筐体100がアース端子150を有する状態で示している。口金筐体100(
図1)は、おおよそ、
図6(a)において中心線11を軸にA−A断面を回転した回転体形状である。
【0019】
(口金筐体)
口金筐体100は、ベース部110、壁部120、突出筒部130(突部)、ホルダー係止用フック140(係合部)を備える。
【0020】
(ベース部)
ベース部110は円盤状(板状)である。
【0021】
(壁部)
壁部120は、ベース部110の周縁からベース部110の厚さB(
図6(a))の一方の厚さ方向に起立する環状である。壁部120の起立する方向を壁部起立方向12と呼ぶ。
【0022】
(突出筒部)
突出筒部130は、壁部120の内側でベース部110から壁部起立方向12に起立する。突出筒部130は、
図5のように円盤状のベース部110の略中央部分から起立している。
図6に示すように突出筒部130は中空円筒形状であり、途中に、壁部起立方向12の側と、その反対側とを仕切る、板状(丸板状)の仕切部132が形成されている。なお突出筒部130の仕切部132の壁部起立方向12側は中空となっているが、中実状でも構わない。なお、仕切部132の上側はアース端子150があるので中空である。
図6等に示すように、突出筒部130は1本であるが複数本でも構わない。
なお、
図6(b)に「突出筒部130の外径φD1及び壁部起立方向12方向長さH1」と、「口金筐体100の外径φD2及び壁部起立方向12方向長さH2」の例を記載した。
図6(b)のように、φD1=φ7、H1=9、φD2=φ30、H2=18である。単位はmmである。比率で言えば、D1/D2=0.23、H1/H2=0.5である。
【0023】
(ホルダー係止用フック)
ホルダー係止用フック140(
図5、
図6)は、壁部120の内周側に形成される。ホルダー係止用フック140は、
図5(b)のように、120°おきに3箇所に配置される。ホルダー係止用フック140の個数、及び120°という配置角度は一例である。3個のホルダー係止用フック140をホルダー係止用フック140a,140b,140cとする。なお区別の必要がないときはホルダー係止用フック140と記す。
図6(a)のように、ホルダー係止用フック140aは壁部起立方向12方向で、突出先端部131のやや壁部起立方向12よりに配置される。ホルダー係止用フック140a〜140cはそれぞれ、後述するホルダー200のホルダー側係合部220a〜220c(
図7、
図8)と係合する。ホルダー係止用フック140(係合部)とホルダー側係合部220(被収納体側係合部)との係合関係は、後述する
図18、
図19の説明で後述する。
【0024】
(アース端子150)
アース端子150(柱状部)は、
図6(a)のように、壁部起立方向12と反対方向にベース部110から起立する。樹脂で成形されるときには、口金筐体100は、口金筐体用の金型にアース端子150がインサートされた状態で成形(インサート成形)される。
図5、
図6に示すように、アース端子150は、突出筒部130が起立するベース部110の反対側において、突出筒部130と略同じ位置(ベース部110の略中央部分)から壁部起立方向12と反対方向に起立する。
【0025】
(ホルダー200)
次に
図7〜
図10を参照してホルダー200(被収納体)を説明する。
図7は、ホルダー200の斜視図である。
図8は、ホルダー200の
図7とは別の方向の斜視図である。
図9は、ホルダー200の六面図である。
図9(a)(b)(c)(d)(e)(f)それぞれ、正面図、右側面図底面図、左側面図、上面図、背面図である。
図10は、
図9(a)のA−A断面図である。
ホルダー200は後述する
図17(4−3)のように、照明ランプ900組立て後において、口金筐体100のベース部110と壁部120とで形成される筐体空間101に収納される被収納体である。ホルダー200は、口金筐体100と同様に樹脂で成形される。 ホルダー200は、
図7のようにホルダー側ベース部210、ホルダー側係合部220、ホルダー側変位抑制部230を備えている。ホルダー側変位抑制部230は、
図7のホルダー側ベース部210の裏側の部位(
図9(f)、
図10)である。
【0026】
(ホルダー側ベース部210)
ホルダー側ベース部210(被収納側ベース部)は、口金筐体100のベース部110と同様に円盤状である。照明ランプ900の組立て後において、ホルダー側ベース部210は、口金筐体100のベース部110に対向して配置される(後述の
図11、
図17(4−3))。
図7のように、ホルダー側ベース部210は、ヒートシンク取付部211と、筒管ガイド部212とを備える。照明ランプ900組立て状態においてホルダー側ベース部210は、ベース部110に対向するが、組立て状態で、ヒートシンク取付部211は、ベース部110に対向する側の反対側のホルダー側ベース部210の周縁の一部(
図7の矢印13の範囲)に沿って、配置(
図7の矢印13の範囲)される。
(1)ヒートシンク取付部211は、長手形状をなすヒートシンク400(後述する
図12、
図14等)の一端が取り付けられる。ヒートシンク取付部211は、
図7のように、ホルダー側ベース部210から矢印18の方向に起立する中空形状であり、その水平断面(矢印18方向を法線とする断面)は偏平した中空楕円形状である。照明ランプ900組立て後はベース部110とホルダー側ベース部210とは対向するので、矢印18方向は照明ランプ900において、
図6の壁部起立方向12と一致する。つまりヒートシンク取付部211は照明ランプ900装に着状態で、壁部起立方向12に起立する。開口である挿入口211aは、ヒートシンク400(例えばアルミ製)の一方の端部が挿入される。ヒートシンク取付部211にはスリット211bが形成されている。
(2)筒管ガイド部212は、照明ランプ900の組立て時において、筒管ガイド部212の外周側の外周部212c(
図7、
図8)が、ヒートシンク取付部211の外周側の外周部211c(
図7)と共に、筒管600(筒管600の端部の内周面)をガイド(
図17(4−3))する。
図9のように、ホルダー側ベース部210には
図8の破線矢印14の方向を長手方向とする、細長い略楕円状の貫通穴210bが形成されている。貫通穴210bは、必要な場合には、アース端子150へ接続するリード線を通過させる。貫通穴210bをあけることでホルダー側ベース部210の剛性及び強度が低下するが、筒管ガイド部212は、この剛性及び強度の低下分を一部補う効果をもつ。
【0027】
(ホルダー側係合部220)
ホルダー側係合部220(被収納側係合部)は口金筐体100のホルダー係止用フック140と係合することで、照明ランプ900組立て後において、口金筐体100に対する壁部起立方向12へのホルダー200の移動を拘束する。
図7〜
図9に示すように、ホルダー側係合部220は、上記の様にホルダー係止用フック140a〜140cに対応してホルダー側ベース部210の外周部210aに形成される。3個のホルダー側係合部220をそれぞれ、ホルダー側係合部220a、220b、220cとする。なお区別の必要がないときは単にホルダー側係合部220と記載する。ホルダー側係合部220a〜220cはそれぞれホルダー係止用フック140a〜140cに対応する。ホルダー側係合部220はホルダー側ベース部210の略円形状の外周に、3箇所、120°おきに配置したが,ホルダー係止用フック140の説明でも述べたように一例である。ホルダー側係合部220の個数、配置角度等は限定されないのは、ホルダー係止用フック140と同様である。
図7に示すように、ホルダー側係合部220の形状は、突起であるホルダー係止用フック140が適合して嵌る形状に形成された、凹形状である。ホルダー側係合部220とホルダー係止用フック140との係合関係は
図18、
図19等の組立て工程の説明で後述する。
【0028】
(ホルダー側変位抑制部)
ホルダー側ベース部210は、略円盤状のホルダー側ベース部210の中心部分領域に、ホルダー側変位抑制部230(被収納側変位抑制部)を有する。背面図の
図9(f)、及び
図9(a)のA−A断面である
図10に示す破線領域が、ホルダー側変位抑制部230である。ホルダー側変位抑制部230は、ホルダー側ベース部210のヒートシンク取付部211が起立する側の裏面の平面領域である。ホルダー側変位抑制部230は、照明ランプ900において、ベース部110に加わる力(
図11のF2)、あるいはアース端子150を介してベース部110に加わる力(
図11のF1)による突出筒部130の壁部起立方向12への変位を、突出先端部131と当たることで抑制する。ホルダー側変位抑制部230の裏にはヒートシンク取付部211の上面部211e(
図8、
図9(a))が横切っているので、ホルダー側変位抑制部230の強度を高めている。また、上面部211eにはネジ貫通穴21dが開けられた厚板部211f(
図8)によってさらに補強されている。さらにホルダー側変位抑制部230の裏にはヒートシンク400が取り付けられるので、この点からも変形せず、強度が保たれる。上面部211eは正面図である
図9(a)において、位置直線形状ではなく、横長の富士山形なので、さらに、強度が高くなっている。さらに、ヒートシンク取付部211は、ヒートシンク400に隙間なくネジ500で固定されるので変形しない。なおネジ500の位置はホルダー側変位抑制部230の裏側直近である。
【0029】
次に
図11〜
図19を参照して、アース口金300E−1を有する照明ランプ900の組立て手順を説明する。
図11は、照明ランプ900組立て後の口金筐体100とホルダー200との位置関係を示す図である。
図11は
図17(4−3)に対応する。
図12は、口金筐体100と、ホルダー200と、光源ユニット700との関係を示す図である。
図13は、
図12の光源ユニット700のH−H断面図である。
図14〜
図17は、照明ランプ900の組立て手順1〜4に対応する図である。
図18は、ホルダー係止用フック140を示す図である。
図18(a)は、ホルダー係止用フック140aの斜視図である。
図18(b)は、
図18(a)のZ方向矢視である。
図18(c)は、
図18(b)のD−D断面図である。
図14〜
図17は
図3のY方向矢視に相当する。なお
図17では口金筐体100は簡略化した「
図3のB−B断面」として表した。
【0030】
(照明ランプの組立て手順)
(組立て手順1)
まずホルダー200を光源ユニット700に挿入(圧入)する。ここで光源ユニット700は、LED711が実装されたLED基板710(ライトバー)と、ヒートシンク400とを備える。組立て手順を具体的に説明する。
図14(1−1)、(1−2)に示すように、ホルダー200のヒートシンク取付部211の挿入口211aを、ヒートシンク400の端部に挿入する。
【0031】
(組立て手順2)
次に、ホルダー200と光源ユニット700とをネジ500でネジ止めする。
図15(2)は、ネジ500でネジ止めした状態を示す。ネジ500は、
図7、
図8で説明すれば、破線矢印14の方向に挿入されることとなり、ヒートシンク取付部211の上部(破線矢印14の方向を下部、反対方向を上部と呼ぶ)に形成されたネジ貫通穴211dを貫通し、
図12に示す、ヒートシンク400の上面に形成された上面ネジ穴401にネジ込まれて、ホルダー200とヒートシンク400とを締結する。
図12のH−H断面を示す
図13に、ヒートシンク400の上面に形成された上面ネジ穴401を示した。
【0032】
(組立て手順3)
次に、筒管600に、ネジ500でホルダー200が締結された光源ユニット700を挿入する。
図16(3−1)(3−2)は、筒管600への挿入工程を示す。筒管600の端部は、ヒートシンク取付部211の外周部211cと、筒管ガイド部212の外周部212cとで受ける(
図7)。
【0033】
(組立て手順4)
次に、アース端子150を有する口金筐体100を、ホルダー200に覆合(フックによる係止)する。
図17(4−1)(4−2)(4−3)は、口金筐体100をホルダー200に取り付ける工程を示す。口金筐体100のホルダー200への装着は、口金筐体100の内周側に形成されたホルダー係止用フック140a〜140c(
図5(b))と、ホルダー200のホルダー側ベース部210の外周部210aに形成されたホルダー側係合部220a〜220c(
図7、
図8)との係合による。
図17(4−1)のように、ホルダー200を右方向15(以下、係合方向15という)へ移動させて、ホルダー係止用フック140とホルダー側係合部220とを係合させる。
図17(4−1)(4−2)(4−3)はそれぞれ、係合前、係合直前、係合後を示す。
【0034】
図18(a)は、ホルダー係止用フック140aの拡大斜視図である。
図18(a)の係合方向15は、
図17(4−1)の係合方向15であり、Z方向は
図5(b)のZ方向である。
図18(b)は
図14(a)のZ方向矢視である。
図18(c)は、
図14(b)のD−D断面である。
図18(c)に示すように、ホルダー係止用フック140aのD−D断面は、係合方向15の下部141が、係合方向15を法線とする面に対して角度θ傾斜した断面形状である。あるいは下部141は係合方向15に凸となるR形状でもよい。
図19(a)〜(c)は、
図17の(4−1)〜(4−3)におけるホルダー係止用フック140とホルダー側係合部220との係合状態を模式的に説明する図である。
図19(a)〜(c)はホルダー係止用フック140b(左側)、140c(右側)が現れている。これは
図19が、照明ランプ900の組立て後の
図5(a)のE−O−E断面に対応する模式図であるためである。
図7の破線16の部分が、
図19のホルダー係止用フック140c、ホルダー側係合部220cがある側に対応する。また
図19(a)〜(c)の破線17は、ホルダー側変位抑制部230の係合方向15における位置を示す。
図19(a)において、口金筐体100の挿入が開始される。
図19(b)において、ホルダー係止用フック140がホルダー側ベース部210の外周部210a(
図7)と干渉して、口金筐体100が弾性変形する。ホルダー係止用フック140はさらに挿入されると、
図19(c)において、ホルダー係止用フック140がホルダー側ベース部210の外周部210aを乗り越えてホルダー側係合部220と係合し、係合が終了する。このとき係合方向15における、突出先端部131とホルダー側変位抑制部230(破線17)との隙間(距離)は1mm程度である。
【0035】
(5)給電口金も同様の手順で取り付ける。
【0036】
なお、
図6(a)に示すように、ピン部151はその周囲にフランジ部153を有する。フランジ部153はアース端子150に加わる力(
図11のF1)の一部を受けることができる。また図示はしていないが、
図6(a)の破線領域154には、フランジ部153同様の第2フランジ部154−1を形成してもよい。第2フランジ部154−1は、例えば平歯車形状である。第2フランジ部154−1を平歯車と仮定すれば、中心線11が平歯車の回転軸である。第2フランジ部154−1を平歯車形状とすることで、アース端子150の中心線11まわりの口金筐体100に対する回転と、壁部起立方向12と反対方向へのアース端子150の抜けを防止できる。
【0037】
このように、
図11のように、突出先端部131とホルダー側変位抑制部230との間は1mm程度の隙間である。よって、照明ランプ900としての完成品状態においてアース端子150に加わる力、ベース部110も加わる力等によりベース部110が弾性変形して突部先端部/131が係合方向15へ変位すると、突出先端部131は1mm程度へだって位置するホルダー側変位抑制部230に当たることで変位が規制される。よって壁部起立方向12へのアース端子150の変位が規制され、ベース部110におけるピン部151の根元周辺の応力集中が緩和される。
また、1mm程度の隙間を設けているので、設計上の寸法公差を例えば0.8mm程度とすることで、ホルダー係止用フック140がホルダー側係合部220と係合終了前に突出先端部131がホルダー側変位抑制部230に当たってしまう不具合品の発生を低減できるので、歩留まりが向上する。
また、ホルダー200は、ヒートシンク取付部211を兼用するので、突出先端部131の変位を規制する専用部品を用意する必要がないので、部品点数の増加を抑えることができる。
【0038】
このように実施の形態1のアース口金300E−1によれば、口金筐体(樹脂筐体)とは別の衝撃緩和部材(ホルダー200)が、アース端子の変移を規制する。このため、ホルダー200を口金筐体に装着すれば、アース端子が直管形LEDランプ内部方向に変移した場合に、ホルダー200が、アース端子の所定以上の変位を規制する。ホルダー200により、口金筐体(樹脂キャップ)のアース端子の付根部分に対する応力集中を緩和し、口金筐体(樹脂キャップ)の破損を回避することができる。
【0039】
実施の形態2.
図20〜
図25を参照して実施の形態2のアース口金300E−2及び照明ランプ900を説明する。以下では実施の形態1と異なる点を説明する。
【0040】
図20(a)(b)(c)はそれぞれ、アース口金300E−2の上面図、底面図、(b)のA−A断面を示す。
図21は、口金筐体100と、筒管600に挿入された光源ユニット700との関係を示す図である。
図21(a)は、照明ランプ900における、
図20(a)のB−B断面に相当する断面である。また
図21(b)は
図21(a)のX方向矢視であり、ヒートシンク400−2の端面を示す。
図22は、照明ランプ900の組立て後の状態を示す図である。
【0041】
(アース口金)
アース口金300E−2は、
図20に示すように、口金筐体100とアース端子150とを備える。アース口金300E−2は、実施の形態1のアース口金300E−1と以下の点が相違する。
(1)アース口金300E−2は、ホルダー200が装着されない。
(2)アース口金300E−2の口金筐体100は、ホルダー係止用フック140が形成されていない(ホルダー200が装着されないため)。
(3)アース口金300E−2の口金筐体100は、ヒートシンク400−2へ固定される際の位置決めに使用される位置決め部145−2を備える。
(4)アース口金300E−2の口金筐体100のベース部110には、ネジ510が貫通する貫通穴111が形成されている。
【0042】
(位置決め部)
位置決め部145−2は、
図20(b)に示しように、突出筒部130の下方(円盤状であるベース部110の径方向より)に形成されている。位置決め部145−2は、突出筒部130と同様に、ベース部110から壁部起立方向12(
図20(c))に起立する。位置決め部145−2は内部が中空であり、この中空の内部空間146−2はベース部110の貫通穴111と連通し、
図22に示すように、ネジ510を通過させるガイドの役割も兼ねる。なお位置決め部145−2がネジ510をガイドする内部空間146−2を有するのは一例であり、貫通穴111とは別の位置に設けて位置決めだけの機能をもたせても構わない。
図20(c)に示すように、壁部起立方向12における突出先端部131と、位置決め部145−2の先端部147−2との距離関係は、先端部147−2の方が、突出先端部131よりも壁部起立方向12へ△Lだけ長い。この長さ△Lは、1mm程度である。これは、
図22に示す照明ランプ900において、変位抑制部420(ヒートシンク400−2の端面)と先端部147−2との壁部起立方向12(後述の口金筐体100の係合方向15に同じ)の隙間を1mm程度に位置決めするためである。
【0043】
(ヒートシンク)
アース口金300E−2とアース口金300E−1との相違に伴い、実施の形態2のヒートシンク400−2は、
図22に示すように、長手形状の端部に、ネジ穴411が形成されたネジ穴部410を有する。また、実施の形態1ではホルダー側ベース部210のホルダー側変位抑制部230が突出先端部131の変位を規制したが、実施の形態2では、ヒートシンク400−2の端部が変位抑制部420として機能する。
図22に示すように、突出筒部130の下部133が変位抑制部420に当たるようになっている。
【0044】
次に
図23〜
図25を参照して、アース口金300E−2を有する照明ランプ900の組立て手順を説明する。
図23〜
図25は、照明ランプ900の組立て手順1〜3を示す図である。
図23〜
図25は
図5のB−B断面に相当する断面を示している。
【0045】
(照明ランプの組立て手順)
(組立て手順1)
まず、
図23(1)のように光源ユニット700を筒管600に挿入する。実施の形態2の光源ユニット700は
図21のように、LED711を実装したLED基板710と、ヒートシンク400−2とを備える。なお
図23〜
図25では、光源ユニット700からLED711を実装したLED基板710を省略している。
【0046】
(組立て手順2)
次に
図24(2−1)(2−2)に示すように、アース口金300E−2(アース端子150を備えた口金筐体100)を筒管600に覆合する。
【0047】
(組立て手順3)
次に、
図25に示すようにアース口金300E−1とヒートシンク400−2とをネジ510で締結する。つまり、ネジ510を、ベース部110の貫通穴111及び連通する位置決め部145−2の内部空間146−2を貫通させ、ヒートシンク400−2のネジ穴部410のネジ穴411にネジ込む。これにより、アース口金300E−2をヒートシンク400−2に取り付ける。このとき位置決め部145−2の先端部147−2がヒートシンク400−2の変位抑制部420に当たり、ヒートシンク400−2に対する口金筐体100の取り付け位置が位置決めされる。
【0048】
(組立て手順4)
給電口金も同様の手順で取り付ける。
【0049】
照明ランプ900の完成状態では、
図22、
図25(a)に示すように、突出先端部131と変位抑制部420(ヒートシンク400の端面)との隙間は1mm程度である。
図25(b)は
図25(a)において挿入方向から見たときの突出先端部131と変位抑制部420(ヒートシンク400の端面)との位置関係を模式的に描いた図である。
図25(b)の二重丸が突出先端部131を示し、突出先端部131を受ける(当たる)ヒートシンク400−2の端部領域が変位抑制部420である。
【0050】
以上のように、実施の形態2の照明ランプ900は、アース口金300E−2と、変位抑制部420を有するヒートシンク400−2を備えたので、実施の形態1に対してホルダー200を用いることなく、少ない部品点数で実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0051】
なお、以上の実施の形態1,2では照明ランプ900において、突出先端部131とホルダー側変位抑制部230との隙間(実施の形態1)、突出先端部131と変位抑制部420との隙間(実施の形態2)は、1mm程度と述べた。この隙間については、隙間なく接すること(0mm)が理想的だが、実際は組立ての精度を勘案した設計上のクリアランスを設定する。この例が1mmである。つまり隙間は0mmでも構わない。
【0052】
実施の形態1,2のアース端子は電気を通す導体を想定するが、ソケットへの機械的な支持機能だけを持たせる場合は、導体でなくとも構わない。例えば、アース端子に相当するものは口金筐体100と一体成形の樹脂でもよい。
【0053】
また実施の形態1,2の口金筐体100は、円筒形状の中空体を説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば多角形形状の中空体でも構わない。
【0054】
実施の形態3.
図26、
図27を参照して実施の形態3の、給電口金300F−3を説明する。実施の形態3では実施の形態1,2と異なる点を説明する。
図26は、給電口金300F−3の正面図、左側面図、右側面図を示す。
図27は、
図26のA−A断面、B−B断面を示す。なお
図27において給電端子310Fは曲げ箇所301Fまで幅B2で形成され、それ以降は幅B1で形成される。
【0055】
実施の形態1、2ではアース口金を述べたが、実施の形態1、2のホルダー側変位抑制部230(ホルダー200)による突出先端部131の変位規制(実施の形態1)、変位抑制部420(ヒートシンク400−2)による突出先端部131の変位規制(実施の形態2)は、給電口金にも適用することができる。実施の形態3では、給電口金への適用を説明する。給電口金300F−3では、アース口金における突出筒部130(突部)に相当する部位は、導体である給電端子310F、320Fのうち給電口金の内部に収まる部分312F,322F(二本の給電端子の一端)であり、外力や衝撃が加わるアース端子(柱状部)に相当する部位は、給電口金の外側に突き出たそれぞれの給電端子の部分311F、321F(二本の給電端子の他端)である。
図27に示す破線28は給電側の口金に設けられる、ホルダー側変位抑制部230あるいは変位抑制部420の位置を示す。給電側の口金においても、
図27(a)のA−A断面図のように、破線28と、給電ピンの部分312F、322Fの端部との隙間は1mm程度である。
【0056】
実施の形態3のように、ホルダー側変位抑制部230による突出先端部131の変位規制(実施の形態1)、変位抑制部420による突出先端部131の変位規制(実施の形態2)を、給電口金へ適用した場合にも、実施の形態1,2と同様の効果を得ることができる。
【0057】
実施の形態3では給電口金の内部に収まる部分312F,322Fに突出筒部130の機能を持たせたが、一例である。給電口金の内部に収まる部分312F,322Fとは別に、実施の形態1の突出筒部130を、給電口金の内部に収まる部分312F,322Fと干渉しない位置に配置してもよい。例えば給電口金の内部に収まる部分312F,322Fの間でもよいし、給電口金の内部に収まる部分312F,322Fを内部に収納する中空形状でもよい。
【0058】
以上の実施の形態1〜3により、口金の突出筒部130(実施の形態1,2)、突出筒部130に相当する口金ピンの部分(実施の形態3)は、照明ランプ900の長手方向におけるランプ内部方向への変位が規制される。よって、口金筐体自体に大幅な変更をすることなく、強度及び耐衝撃性の高い口金を提供できる。
【0059】
以上、実施の形態を説明したが、これらの実施の形態のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。なお、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変形が可能である。