特許第6223050号(P6223050)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223050
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】撮影用光学装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 5/00 20060101AFI20171023BHJP
   G02B 7/04 20060101ALI20171023BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20171023BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G03B5/00 J
   G02B7/04 E
   H04N5/225 900
   H04N5/232 480
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-164745(P2013-164745)
(22)【出願日】2013年8月8日
(65)【公開番号】特開2015-34856(P2015-34856A)
(43)【公開日】2015年2月19日
【審査請求日】2016年7月7日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002233
【氏名又は名称】日本電産サンキョー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125690
【弁理士】
【氏名又は名称】小平 晋
(74)【代理人】
【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142619
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100153316
【弁理士】
【氏名又は名称】河口 伸子
(72)【発明者】
【氏名】須江 猛
(72)【発明者】
【氏名】濱田 吉博
【審査官】 川俣 洋史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−203476(JP,A)
【文献】 特開平05−049229(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/044223(WO,A1)
【文献】 特開2013−120248(JP,A)
【文献】 特表2012−502323(JP,A)
【文献】 特開2012−037593(JP,A)
【文献】 特開2013−072892(JP,A)
【文献】 特開2012−255904(JP,A)
【文献】 特開2013−127492(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0314307(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0314308(US,A1)
【文献】 特開2013−142848(JP,A)
【文献】 特表2012−505433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 5/00 − 5/08
G02B 7/02 − 7/16
G02B 7/28 − 7/40
H04N 5/222− 5/257
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズを保持し前記レンズの光軸方向へ移動可能な可動体および前記可動体を前記光軸方向へ移動可能に保持する保持体を有する可動モジュールと、前記可動モジュールを揺動可能に保持する支持体と、前記可動体に取り付けられるレンズ駆動用コイルと、前記支持体に取り付けられる振れ補正用コイルと、前記保持体に取り付けられる駆動用磁石とを備え、
前記保持体は、筒状に形成され前記可動モジュールの外周面を構成するとともに前記可動体の外周側を覆うように配置される筒部を備え、
前記筒部は、非磁性材料で形成され、
前記駆動用磁石は、前記筒部の内周面に固定され、
前記レンズ駆動用コイルは、内周側から前記駆動用磁石に対向し、
前記振れ補正用コイルは、前記筒部を介して外周側から前記駆動用磁石に対向していることを特徴とする撮影用光学装置。
【請求項2】
前記支持体は、筒状に形成され前記可動モジュールの外周側を覆うように配置される外周側筒部を備え、
前記筒部および前記外周側筒部は、前記光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状または略長方形の枠状となる略四角筒状に形成され、
前記レンズ駆動用コイルは、前記可動体の外周面に巻回されて固定され、
前記筒部を構成する4個の側面部のそれぞれの内側面には、略長方形の平板状に形成される前記駆動用磁石が固定され、
前記外周側筒部を構成する4個の外周側面部のそれぞれの内側面には、前記振れ補正用コイルが固定されていることを特徴とする請求項1記載の撮影用光学装置。
【請求項3】
前記可動モジュールと前記支持体とを繋ぐバネ部材を備え、
前記バネ部材は、前記可動モジュールに固定される可動側固定部と、前記支持体に固定される固定側固定部と、前記可動側固定部と前記固定側固定部とを繋ぐ腕部とを備え、
前記光軸方向の一方側を被写体側とし、前記光軸方向の他方側を反被写体側とすると、
前記バネ部材は、前記可動モジュールの被写体側で前記可動モジュールと前記支持体とを繋ぐとともに、前記支持体に対して前記光軸方向および前記光軸方向に直交する方向へ前記可動モジュールを付勢していることを特徴とする請求項2記載の撮影用光学装置。
【請求項4】
4個の前記バネ部材を備え、
前記バネ部材は、線状の部材が略L形状に折り曲げられることで形成された線バネであり、前記筒部よりも外周側かつ前記外周側筒部よりも内周側に配置され、
略L形状に形成される前記バネ部材の折り曲げ部分は、前記筒部および前記外周側筒部の四隅のそれぞれに配置されていることを特徴とする請求項3記載の撮影用光学装置。
【請求項5】
前記保持体は、前記筒部の外周面に固定される略四角枠状のバネ固定部材を備え、
前記バネ固定部材には、前記可動側固定部が固定される固定孔が形成され、
前記外周側筒部の被写体側端には、前記固定側固定部が固定されるスリット状の切欠き部が形成されていることを特徴とする請求項4記載の撮影用光学装置。
【請求項6】
前記バネ部材は、環状に形成される前記固定側固定部と、前記固定側固定部よりも外周側に配置されるとともに4個の前記側面部のそれぞれの外側面に固定される4個の前記可動側固定部と、前記固定側固定部から外周側に向かって伸びる4個の前記腕部とを備える板バネであることを特徴とする請求項3記載の撮影用光学装置。
【請求項7】
前記保持体は、前記可動モジュールの被写体側の端面を構成する端面部を備え、
前記端面部には、前記光軸方向へ貫通する貫通孔が形成され、
前記バネ部材は、環状に形成される前記固定側固定部と、前記固定側固定部よりも内周側に配置されるとともに前記貫通孔に固定される4個の前記可動側固定部と、前記固定側固定部から内周側に向かって伸びる4個の前記腕部とを備える板バネであることを特徴とする請求項3記載の撮影用光学装置。
【請求項8】
前記筒部よりも外周側かつ前記外周側筒部よりも内周側に配置されるとともに、前記筒部および前記外周側筒部の四隅のうちの対角線上に配置される2個の角部のそれぞれに配置される2個の前記バネ部材を備え、
前記保持体は、前記可動モジュールの被写体側の端面を構成する端面部を備え、
前記バネ部材は、略L形状に形成され前記外周側筒部の四隅のうちの対角線上に配置される2個の前記角部の内側面に固定される前記固定側固定部と、前記端面部の被写体側の面に固定される2個の前記可動側固定部と、2個の前記腕部とを備える板バネであることを特徴とする請求項3記載の撮影用光学装置。
【請求項9】
前記光軸方向の一方側を被写体側とし、前記光軸方向の他方側を反被写体側とすると、
一端が前記可動モジュールの被写体側に取り付けられるとともに、他端が前記支持体の反被写体側に取り付けられて、前記可動モジュールを反被写体側へ付勢する4個の引張りコイルバネを備え、
4個の前記引張りコイルバネのそれぞれは、前記筒部および前記外周側筒部の四隅のそれぞれに配置されていることを特徴とする請求項2記載の撮影用光学装置。
【請求項10】
前記光軸方向の一方側を被写体側とし、前記光軸方向の他方側を反被写体側とすると、
前記撮影用光学装置の反被写体側に配置され、前記可動モジュールを被写体側へ付勢する4個の圧縮コイルバネを備え、
4個の前記圧縮コイルバネのそれぞれは、前記光軸方向から見たときの前記筒部の四辺のそれぞれの略中心位置に配置されていることを特徴とする請求項2記載の撮影用光学装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズおよび撮像素子が搭載される可動モジュールを揺動させて振れを補正する振れ補正機能を有する撮影用光学装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レンズおよび撮像素子が搭載される可動モジュールを揺動させて振れを補正する振れ補正機能を有する撮影用光学装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の撮影用光学装置は、レンズおよび撮像素子が搭載される可動モジュールと、可動モジュールを揺動可能に支持する支持体とを備えている。この撮影用光学装置では、可動モジュールは、レンズを保持しレンズの光軸方向へ移動可能な可動体と、可動体を光軸方向へ移動可能に保持する保持体とを備えている。
【0003】
また、特許文献1に記載の撮影用光学装置は、可動体に取り付けられるレンズ駆動用コイルと、支持体に取り付けられる振れ補正用コイルと、4個の駆動用磁石とを備えている。光軸方向に直交する方向における駆動用磁石の内側面は、レンズ駆動用コイルと対向し、光軸方向に直交する方向における駆動用磁石の外側面は、振れ補正用コイルと対向している。また、保持体は、可動モジュールの外周面の一部を構成するカバー部材を備えている。カバー部材は、非磁性材料で形成されるとともに、底部と筒部とを有する略有底四角筒状に形成されている。筒部を構成する4つの側面には、側面を貫通する固定孔が形成されており、この固定孔に、駆動用磁石が固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−203476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に記載の撮影用光学装置では、駆動用磁石は、カバー部材の固定孔に固定されているが、固定孔が形成される筒部の厚さは、駆動用磁石の厚さよりも大幅に薄くなっている。そのため、この撮影用光学装置では、カバー部材に対する駆動用磁石の固定強度を確保することが困難になるおそれがある。すなわち、この撮影用光学装置では、可動モジュールに対する駆動用磁石の固定強度を確保することが困難になるおそれがある。可動モジュールに対する駆動用磁石の固定強度を確保することができないと、撮影用光学装置が落下等の衝撃を受けたときに、駆動用磁石が可動モジュールから外れてしまうおそれがある。
【0006】
そこで、本発明の課題は、可動体の光軸方向への移動と、可動体および保持体を有する可動モジュールの揺動とを共通の駆動用磁石を用いて行うことが可能であっても、可動モジュールへの駆動用磁石の固定強度を確保することが可能な撮影用光学装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の撮影用光学装置は、レンズを保持しレンズの光軸方向へ移動可能な可動体および可動体を光軸方向へ移動可能に保持する保持体を有する可動モジュールと、可動モジュールを揺動可能に保持する支持体と、可動体に取り付けられるレンズ駆動用コイルと、支持体に取り付けられる振れ補正用コイルと、保持体に取り付けられる駆動用磁石とを備え、保持体は、筒状に形成され可動モジュールの外周面を構成するとともに可動体の外周側を覆うように配置される筒部を備え、筒部は、非磁性材料で形成され、駆動用磁石は、筒部の内周面に固定され、レンズ駆動用コイルは、内周側から駆動用磁石に対向し、振れ補正用コイルは、筒部を介して外周側から駆動用磁石に対向していることを特徴とする。
【0008】
本発明の撮影用光学装置では、レンズ駆動用コイルが、内周側から駆動用磁石に対向しているため、レンズ駆動用コイルと駆動用磁石とを用いて、可動体を光軸方向へ移動させることが可能になる。また、本発明では、筒部の内周面に駆動用磁石が固定されているが、筒部が非磁性材料で形成されているため、駆動用磁石が発生させる磁力線は、筒部を介して外周側から駆動用磁石に対向する振れ補正用コイルを通過する。したがって、本発明では、振れ補正用コイルと駆動用磁石とを用いて、可動モジュールを揺動させることが可能になる。
【0009】
また、本発明では、駆動用磁石が筒部の内周面に固定されているため、筒部と駆動用磁石との接触面積を大きくして、保持体を構成する筒部への駆動用磁石の固定強度を確保することが可能になる。すなわち、本発明では、可動モジュールへの駆動用磁石の固定強度を確保することが可能になる。したがって、本発明では、可動体の光軸方向への移動と、可動体および保持体を有する可動モジュールの揺動とを共通の駆動用磁石を用いて行うことが可能であっても、可動モジュールへの駆動用磁石の固定強度を確保することが可能になる。
【0010】
本発明において、たとえば、支持体は、筒状に形成され可動モジュールの外周側を覆うように配置される外周側筒部を備え、筒部および外周側筒部は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状または略長方形の枠状となる略四角筒状に形成され、レンズ駆動用コイルは、可動体の外周面に巻回されて固定され、筒部を構成する4個の側面部のそれぞれの内側面には、略長方形の平板状に形成される駆動用磁石が固定され、外周側筒部を構成する4個の外周側面部のそれぞれの内側面には、振れ補正用コイルが固定されている。
【0011】
本発明において、撮影用光学装置は、可動モジュールと支持体とを繋ぐバネ部材を備え、バネ部材は、可動モジュールに固定される可動側固定部と、支持体に固定される固定側固定部と、可動側固定部と固定側固定部とを繋ぐ腕部とを備え、光軸方向の一方側を被写体側とし、光軸方向の他方側を反被写体側とすると、バネ部材は、可動モジュールの被写体側で可動モジュールと支持体とを繋ぐとともに、支持体に対して光軸方向および光軸方向に直交する方向へ可動モジュールを付勢していることが好ましい。このように構成すると、たとえば、光軸方向が水平方向と一致する状態で(すなわち、光軸方向が重力の方向(重力方向)に直交する状態で)、撮影用光学装置が使用される場合であっても、支持体に対する可動モジュールの被写体側の傾き量を小さくすることが可能になる。したがって、光軸方向が重力方向に直交する状態で撮影用光学装置が使用される場合であっても、撮影用光学装置で撮影される画像の品質を高めることが可能になる。
【0012】
本発明において、撮影用光学装置は、4個のバネ部材を備え、バネ部材は、線状の部材が略L形状に折り曲げられることで形成された線バネであり、筒部よりも外周側かつ外周側筒部よりも内周側に配置され、略L形状に形成されるバネ部材の折り曲げ部分は、筒部および外周側筒部の四隅のそれぞれに配置されていることが好ましい。このように構成すると、筒部および外側筒部とバネ部材とが光軸方向において重ならないため、撮影用光学装置を光軸方向で小型化することが可能になる。また、このように構成すると、バネ部材が略L形状に折り曲げられて形成された線バネであるため、筒部の外周面と外周側筒部の内周面との間の隙間を小さくしても、バネ部材を配置することが可能になる。したがって、光軸方向に直交する方向においても撮影用光学装置を小型化することが可能になる。
【0013】
本発明において、保持体は、筒部の外周面に固定される略四角枠状のバネ固定部材を備え、バネ固定部材には、可動側固定部が固定される固定孔が形成され、外周側筒部の被写体側端には、固定側固定部が固定されるスリット状の切欠き部が形成されていることが好ましい。このように構成すると、固定孔および切欠き部を利用してバネ部材を精度良く、かつ、容易に配置することが可能になる。また、このように構成すると、筒部と別体で構成されるバネ固定部材の筒部に対する固定位置を調整することが可能になるため、バネ部材の付勢力を調整することが可能になる。
【0014】
本発明において、たとえば、バネ部材は、環状に形成される固定側固定部と、固定側固定部よりも外周側に配置されるとともに4個の側面部のそれぞれの外側面に固定される4個の可動側固定部と、固定側固定部から外周側に向かって伸びる4個の腕部とを備える板バネであっても良い。
【0015】
また、本発明において、たとえば、保持体は、可動モジュールの被写体側の端面を構成する端面部を備え、端面部には、光軸方向へ貫通する貫通孔が形成され、バネ部材は、環状に形成される固定側固定部と、固定側固定部よりも内周側に配置されるとともに貫通孔に固定される4個の可動側固定部と、固定側固定部から内周側に向かって伸びる4個の腕部とを備える板バネであっても良い。
【0016】
さらに、本発明において、撮影用光学装置は、筒部よりも外周側かつ外周側筒部よりも内周側に配置されるとともに、筒部および外周側筒部の四隅のうちの対角線上に配置される2個の角部のそれぞれに配置される2個のバネ部材を備え、保持体は、可動モジュールの被写体側の端面を構成する端面部を備え、バネ部材は、略L形状に形成され外周側筒部の四隅のうちの対角線上に配置される2個の角部の内側面に固定される固定側固定部と、端面部の被写体側の面に固定される2個の可動側固定部と、2個の腕部とを備える板バネであっても良い。
【0017】
また、本発明において、光軸方向の一方側を被写体側とし、光軸方向の他方側を反被写体側とすると、撮影用光学装置は、たとえば、一端が可動モジュールの被写体側に取り付けられるとともに、他端が支持体の反被写体側に取り付けられて、可動モジュールを反被写体側へ付勢する4個の引張りコイルバネを備え、4個の引張りコイルバネのそれぞれは、筒部および外周側筒部の四隅のそれぞれに配置されている。
【0018】
また、本発明において、光軸方向の一方側を被写体側とし、光軸方向の他方側を反被写体側とすると、撮影用光学装置は、撮影用光学装置の反被写体側に配置され、可動モジュールを被写体側へ付勢する4個の圧縮コイルバネを備え、4個の圧縮コイルバネのそれぞれは、光軸方向から見たときの筒部の四辺のそれぞれの略中心位置に配置されていても良い。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明の撮影用光学装置では、可動体の光軸方向への移動と、可動体および保持体を有する可動モジュールの揺動とを共通の駆動用磁石を用いて行うことが可能であっても、可動モジュールへの駆動用磁石の固定強度を確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置の斜視図である。
図2図1のE−E断面の断面図である。
図3図1に示す撮影用光学装置の分解斜視図である。
図4図3に示す可動モジュールの分解斜視図である。
図5図2に示すカバー部材、レンズ駆動用コイル、振れ補正用コイルおよび駆動用磁石を反被写体側から示す図である。
図6図3に示す線バネおよびバネ固定部材の拡大図である。
図7図2に示す線バネ、カバー部材、バネ固定部材およびケース体を被写体側から示す斜視図である。
図8】本発明の他の実施の形態にかかるバネ部材を説明するための斜視図である。
図9】本発明の他の実施の形態にかかるバネ部材を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
【0022】
(撮影用光学装置の全体構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかる撮影用光学装置1の斜視図である。図2は、図1のE−E断面の断面図である。図3は、図1に示す撮影用光学装置1の分解斜視図である。図4は、図3に示す可動モジュール4の分解斜視図である。なお、以下の説明では、図1等に示すように、互いに直交する3方向のそれぞれをX方向、Y方向およびZ方向とし、X方向を左右方向、Y方向を前後方向、Z方向を上下方向とする。また、図1等のZ1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0023】
本形態の撮影用光学装置1は、携帯電話等の携帯機器、ドライブレコーダあるいは監視カメラシステム等に搭載される小型かつ薄型のカメラであり、オートフォーカス機能と振れ補正機能とを備えている。この撮影用光学装置1は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態では、撮影用光学装置1は、撮影用のレンズの光軸Lの方向(光軸方向)から見たときの形状が略正方形状となるように形成されており、撮影用光学装置1の4つの側面は、左右方向と上下方向とから構成される平面(すなわち、Z方向とX方向とから構成されるZX平面)または前後方向と上下方向とから構成される平面(すなわち、Y方向とZ方向とから構成されるYZ平面)と略平行になっている。
【0024】
撮影用光学装置1は、撮影用のレンズおよび撮像素子が搭載される可動モジュール4と、可動モジュール4を揺動可能に保持する支持体5とを備えている。可動モジュール4は、バネ部材としての4本の線バネ6によって支持体5と繋がれている。本形態では、上下方向は、可動モジュール4が揺動していないときの可動モジュール4の光軸方向とほぼ一致する。また、本形態では、可動モジュール4の下端に撮像素子が搭載されており、上側に配置される被写体が撮影される。すなわち、本形態では、上側(Z1方向側)は、光軸方向の一方側である被写体側(物体側)であり、下側(Z2方向側)は、光軸方向の他方側である反被写体側(撮像素子側、像側)である。
【0025】
可動モジュール4は、全体として略四角柱状に形成されている。本形態では、可動モジュール4は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されている。この可動モジュール4は、レンズを保持し光軸方向へ移動可能な可動体8と、可動体8を光軸方向へ移動可能に保持する保持体9とを備えている。可動体8は、可動体8の上端側で可動体8と保持体9とを繋ぐ板バネ10と、可動体8の下端側で可動体8と保持体9とを繋ぐ板バネ11とを介して、保持体9に移動可能に保持されている。
【0026】
可動体8は、複数のレンズが固定されたレンズホルダ12と、レンズホルダ12を保持するスリーブ13とを備えている。保持体9は、可動モジュール4の前後左右の4つの側面を構成するカバー部材14と、可動モジュール4の下端側部分(反被写体側部分)を構成するベース部材16と、板バネ10の一部が固定されるスペーサ17と、線バネ6の一部が固定されるバネ固定部材18とを備えている。なお、図3図4では、レンズホルダ12の図示を省略している。
【0027】
レンズホルダ12は、略円筒状に形成されている。このレンズホルダ12の内周側には、複数のレンズが固定されている。スリーブ13は、略筒状に形成されている。具体的には、スリーブ13は、光軸方向から見たときのスリーブ13の内周が円形状となり、かつ、光軸方向から見たときのスリーブ13の外周が略四角形状となる略筒状に形成されている。スリーブ13は、その内周側でレンズホルダ12を保持している。すなわち、スリーブ13の内周面にレンズホルダ12の外周面が固定されている。
【0028】
カバー部材14は、非磁性材料で形成されている。たとえば、カバー部材14は、非磁性の金属材料または樹脂材料で形成されている。また、カバー部材14は、底部14aと筒部14bとを有する略有底四角筒状に形成されている。底部14aは、上側に配置されており、可動モジュール4の上端面(被写体側の端面)を構成している。底部14aの中心には、上下方向に貫通する貫通孔14cが形成されている。底部14aは、可動体8の上端側の一部を覆っている。本形態の底部14aは、可動モジュール4の被写体側の端面を構成する端面部である。
【0029】
筒部14bは、筒状に形成されている。具体的には、筒部14bは、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となる略四角筒状に形成されており、前後方向に直交する2個の側面部14dと左右方向に直交する2個の側面部14dとの4つの側面部14dによって構成されている。筒部14bは、可動体8の外周側を覆っている。また、筒部14bは、可動モジュール4の前後左右の4つの側面(外周面)を構成している。
【0030】
ベース部材16は、扁平な略直方体状に形成されており、光軸方向から見たときのベース部材16の外形は、略正方形状となっている。本形態では、ベース部材16の中心に貫通孔16aが形成されており、ベース部材16は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されている。ベース部材16は、カバー部材14の下端側に取り付けられている。
【0031】
スペーサ17は、略正方形の扁平なブロック状に形成されている。また、スペーサ17は、枠状に形成されており、その中心には、貫通孔が形成されている。このスペーサ17は、カバー部材14の底部14aの下面に固定されている。バネ固定部材18は、略四角枠状に形成されている。バネ固定部材18の詳細な構成については後述する。
【0032】
板バネ10は、スリーブ13の上端側に固定される可動体固定部と、スペーサ17に固定される4個の固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ4本の腕部とを備えている。板バネ10は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ13およびスペーサ17に固定されている。板バネ11は、図4に示すように、2個のバネ片20によって構成されている。バネ片20は、スリーブ13の下端側に固定される可動体固定部と、ベース部材16に固定される2個の固定体固定部と、可動体固定部と固定体固定部とを繋ぐ2個の腕部とを備えている。板バネ11は、その厚さ方向と上下方向とが略一致するように、スリーブ13およびベース部材16に固定されている。
【0033】
撮像素子は、基板21に実装されている。基板21は、ベース部材16の下面に固定されている。基板21の下面には、FPC(フレキシブルプリント基板)22が接続されている。FPC22の下面には、略平板状の支点部材23が固定されている。支点部材23の中心には、可動モジュール4の揺動の支点となる支点部23aが下側に突出するように形成されている。支点部23aは、支持体5を構成する後述のベース板26の上面に当接している。
【0034】
支持体5は、支持体5の前後左右の4つの側面を構成するケース体25と、支持体5の下端面を構成するベース板26とを備えている。本形態では、ケース体25は、撮影用光学装置1の前後左右の4つの側面を構成し、ベース板26は、撮影用光学装置1の下端面を構成している。また、支持体5は、ケース体25の上端に固定されるバネカバー27を備えている。
【0035】
ケース体25は、たとえば、非磁性の金属材料で形成されている。また、ケース体25は、略四角筒状に形成されている。具体的には、ケース体25は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となる略四角筒状に形成されており、前後方向に直交する2個の側面部25aと左右方向に直交する2個の側面部25aとの4つの側面部25aによって構成されている。このケース体25は、可動モジュール4の外周側、および、後述のレンズ駆動機構30および振れ補正機構31の外周側を覆うように配置されている。本形態のケース体25は、筒状に形成され可動モジュール4の外周側を覆うように配置される外周側筒部である。また、本形態の側面部25aは、外周側面部である。
【0036】
側面部25aには、スリット状の切欠き部25bが形成されている。切欠き部25bは、側面部25aの上端から下側に向かって切り欠かれるように形成されている。また、前後方向に直交する2個の側面部25aでは、左右方向における中間位置に切欠き部25bが形成され、左右方向に直交する2個の側面部25aでは、前後方向における中間位置に切欠き部25bが形成されている。切欠き部25bには、線バネ6を構成する後述の固定側固定部6bが固定されている。
【0037】
ベース板26は、略正方形状の平板状に形成されている。ベース板26の中心には、支点部23aの前後左右方向へのずれを防止するためのガイド部26aが形成されている。ガイド部26aは、上側に突出する円環状に形成されている。支点部23aは、ガイド部26aの内周側に配置されている。また、支点部23aは、ベース板26の上面に当接している。
【0038】
バネカバー27は、略正方形の枠状に形成されている。このバネカバー27は、上述のように、ケース体25の上端に固定されている。バネカバー27は、後述のように、前後左右方向においてカバー部材14の筒部14bとケース体25との間に配置されるとともに可動モジュール4の上端側に配置される線バネ6を上側から覆っている。
【0039】
また、撮影用光学装置1は、保持体9に対して可動体8を光軸方向へ駆動するためのレンズ駆動機構30と、支持体5に対して可動モジュール4を揺動させて手振れ等の振れを補正するための振れ補正機構31とを備えている。以下、レンズ駆動機構30および振れ補正機構31の構成を説明する。
【0040】
(レンズ駆動機構および振れ補正機構の構成)
図5は、図2に示すカバー部材14、レンズ駆動用コイル32、振れ補正用コイル33および駆動用磁石38を反被写体側から示す図である。
【0041】
スリーブ13の外周面には、レンズ駆動機構30を構成する2個のレンズ駆動用コイル32が取り付けられている。レンズ駆動用コイル32は、スリーブ13の外周面に沿って巻回されている。すなわち、レンズ駆動用コイル32は、可動体8の外周面に巻回されて固定されている。2個のレンズ駆動用コイル32は、その巻回方向が互いに異なるように巻回されている。また、2個のレンズ駆動用コイル32は、上下方向に所定の間隔をあけた状態でスリーブ13の外周面に固定されている。
【0042】
ケース体25を構成する4つの側面部25aのそれぞれの内側面には、振れ補正機構31を構成する振れ補正用コイル33が固定されている。振れ補正用コイル33は、空芯コイルであり、略長円形の平板状に形成されている。なお、振れ補正用コイル33は、微細な銅配線からなるコイル部がプリント基板上に形成されることによって構成されたFPコイルであっても良い。
【0043】
略長円形の平板状に形成される振れ補正用コイル33は、その長辺部分が上下方向で重なるように、接着等によって、側面部25aの内側面に固定されている。また、前後方向に直交する側面部25aの内側面に固定される振れ補正用コイル33は、その厚さ方向と前後方向とが略一致するように固定され、左右方向に直交する側面部25aの内側面に固定される振れ補正用コイル33は、その厚さ方向と左右方向とが略一致するように固定されている。
【0044】
カバー部材14の筒部14bを構成する4つの側面部14dのそれぞれの内側面には、略長方形の平板状に形成される駆動用磁石38が固定されている。すなわち、4個の駆動用磁石38が筒部14bの内周面に固定されている。前後方向に直交する側面部14dの内側面に固定される駆動用磁石38は、その厚さ方向と前後方向とが略一致するように固定され、左右方向に直交する側面部14dの内側面に固定される駆動用磁石38は、その厚さ方向と左右方向とが略一致するように固定されている。また、略長方形の平板状に形成される駆動用磁石38は、その短手方向が上下方向と一致するように、接着等によって、側面部14dの内側面に固定されている。
【0045】
駆動用磁石38は、ネオジム、鉄およびボロンを主成分とするネオジム磁石である。この駆動用磁石38は、略長方形の平板状に形成された第1磁石片38aと第2磁石片38bとの2個の磁石片によって構成されている。具体的には、第1磁石片38aの下面と第2磁石片38bの上面とが当接した状態で、第1磁石片38aと第2磁石片38bとが互いに接着固定されることで駆動用磁石38が形成されている。
【0046】
駆動用磁石38は、一方の側面に形成される磁極と他方の側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。すなわち、その厚さ方向が前後方向と略一致するように配置される駆動用磁石38は、駆動用磁石38の前側面に形成される磁極と後側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。また、その厚さ方向が左右方向と略一致するように配置される駆動用磁石38は、駆動用磁石38の右側面に形成される磁極と左側面に形成される磁極とが異なるように着磁されている。
【0047】
また、駆動用磁石38は、その側面において異なる2つの磁極が上下方向で重なるように着磁されている。具体的には、その厚さ方向が前後方向と略一致するように配置される駆動用磁石38は、前後方向における第1磁石片38aの外側面に形成される磁極と第2磁石片38bの外側面に形成される磁極とが異なるように(すなわち、前後方向における第1磁石片38aの内側面に形成される磁極と第2磁石片38bの内側面に形成される磁極とが異なるように)着磁され、その厚さ方向が左右方向と略一致するように配置される駆動用磁石38は、左右方向における第1磁石片38aの外側面に形成される磁極と第2磁石片38bの外側面に形成される磁極とが異なるように(すなわち、左右方向における第1磁石片38aの内側面に形成される磁極と第2磁石片38bの内側面に形成される磁極とが異なるように)着磁されている。
【0048】
本形態では、4つの第1磁石片38aの内側面の磁極が全て同じ磁極になるように(すなわち、4つの第2磁石片38bの内側面の磁極が全て同じ磁極になるように)、4個の駆動用磁石38が配置されている。すなわち、本形態では、4つの第1磁石片38aの外側面の磁極が全て同じ磁極になるように(すなわち、4つの第2磁石片38bの外側面の磁極が全て同じ磁極になるように)、4個の駆動用磁石38が配置されている。
【0049】
前後方向または左右方向における第1磁石片38aの内側面は、2個のレンズ駆動用コイル32のうちの一方のレンズ駆動用コイル32の外周面と所定の隙間を介して対向し、前後方向または左右方向における第2磁石片38bの内側面は、他方のレンズ駆動用コイル32の外周面と所定の隙間を介して対向している。すなわち、レンズ駆動用コイル32は、図5に示すように、内周側から駆動用磁石38に対向している。
【0050】
前後方向または左右方向における第1磁石片38aの外側面は、振れ補正用コイル33の2個の長辺部分のうちの一方の長辺部分と、側面部14dおよび所定の隙間を介して対向し、前後方向または左右方向における第2磁石片38bの外側面は、振れ補正用コイル33の2個の長辺部分のうちの他方の長辺部分と、側面部14dおよび所定の隙間を介して対向している。すなわち、振れ補正用コイル33は、筒部14bを介して外周側から駆動用磁石38に対向している。
【0051】
本形態では、レンズ駆動用コイル32と駆動用磁石38とによって、レンズ駆動機構30が構成されており、レンズ駆動用コイル32に電流が供給されると、可動体8とともにレンズが光軸方向へ移動する。また、上述のように、カバー部材14が非磁性材料で形成されているため、駆動用磁石38が発生させる磁力線は、筒部14bを通過するとともに、筒部14bを介して外周側から駆動用磁石38に対向する振れ補正用コイル33を通過する。本形態では、振れ補正用コイル33と駆動用磁石38とによって、振れ補正機構31が構成されている。撮影用光学装置1の外部に配置されるジャイロスコープによって撮影用光学装置1の傾きの変化が検出されると、ジャイロスコープでの検出結果に基づいて、振れ補正用コイル33に電流が供給される。また、振れ補正用コイル33に電流が供給されると、可動モジュール4が支点部23aを中心にして光軸Lを傾けるように揺動して、振れが補正される。
【0052】
(線バネおよびバネ固定部材の構成)
図6は、図3に示す線バネ6およびバネ固定部材18の拡大図である。図7は、図2に示す線バネ6、カバー部材14、バネ固定部材18およびケース体25を被写体側から示す斜視図である。
【0053】
線バネ6は、線状の部材が略L形状に折り曲げられることで形成されている。たとえば、線バネ6は、金属製の線材が略L形状に折り曲げられることで形成されている。線バネ6の一端側は、そのまま直線状に伸びている。この線バネ6の一端側は、可動モジュール4に固定される可動側固定部6aとなっている。線バネ6の他端側には、略1/4円弧状に折れ曲がった折り曲げ部分が形成されている。この折り曲げ部分は、支持体5に固定される固定側固定部6bとなっている。また、線バネ6の、可動側固定部6aと固定側固定部6bの間の部分は、可動側固定部6aと固定側固定部6bとを繋ぐ腕部6cとなっており、腕部6cは、略L形状に形成されている。なお、本形態の線バネ6の断面形状は、長方形状となっているが、線バネ6の断面形状は、正方形状であっても良いし、円形状であっても良い。また、線バネ6の断面形状は、四角形状以外の多角形状であっても良いし、楕円形状であっても良い。
【0054】
バネ固定部材18は、上述のように、略四角枠状に形成されている。本形態のバネ固定部材18は、光軸方向から見たときの形状が略正方形の枠状となるように形成されており、直線状に形成される4個の辺部分18aによって構成されている。バネ固定部材18は、カバー部材14の筒部14bの上端側の外周面に固定されている。バネ固定部材18の内周端の大きさは、筒部14bの外周面の大きさとほぼ等しくなっており、バネ固定部材18の内周端は、筒部14bの外周面に当接している。辺部分18aの中心には、線バネ6の可動側固定部6aが固定されるバネ固定部18bが形成されている。バネ固定部18bの上面は、上下方向に直交する平面状に形成されている。
【0055】
図7に示すように、線バネ6の可動側固定部6aは、バネ固定部18bの上面に載置された状態で、接着等によってバネ固定部18bの上面に固定されている。線バネ6の固定側固定部6bは、ケース体25の切欠き部25bに差し込まれた状態で、接着等によって切欠き部25bに固定されている。このように、線バネ6は、可動モジュール4の上端側(被写体側)で、可動モジュール4と支持体5とを繋いでおり、可動モジュール4の上端側に配置されている。また、線バネ6は、筒部14bよりも外周側、かつ、ケース体25よりも内周側に配置されている。すなわち、線バネ6は、前後左右方向において、筒部14bとケース体25との間に配置されている。また、略L形状に形成される線バネ6の折り曲げ部分(すなわち、腕部6cの折り曲げ部分)は、筒部14bおよびケース体25の四隅のそれぞれに配置されている。
【0056】
線バネ6は、略L形状に形成された腕部6cによって、支持体5に対して上下方向(光軸方向)および前後左右方向(光軸方向に直交する方向)へ可動モジュール4を付勢している。本形態では、線バネ6は、支点部23aとベース板26の上面とを確実に当接させるための与圧が発生するように(すなわち、可動モジュール4を下方向へ付勢する付勢力が発生するように)、撓んだ状態で固定されている。
【0057】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、レンズ駆動用コイル32と駆動用磁石38とから構成されるレンズ駆動機構30によって、可動体8を光軸方向へ移動させることができる。また、本形態では、カバー部材14が非磁性材料で形成されており、駆動用磁石38が発生させる磁力線が筒部14bを介して外周側から駆動用磁石38に対向する振れ補正用コイル33を通過するため、振れ補正用コイル33と駆動用磁石38とから構成される振れ補正機構31によって、可動モジュール4を揺動させることができる。また、本形態では、駆動用磁石38が筒部14bの内周面に固定されているため、筒部14bと駆動用磁石38との接触面積を大きくして、カバー部材14への駆動用磁石38の固定強度を確保することが可能になる。すなわち、本形態では、可動モジュール4への駆動用磁石38の固定強度を確保することが可能になる。したがって、本形態では、可動体8の光軸方向への移動と可動モジュール4の揺動とを共通の駆動用磁石38を用いて行うことが可能であっても、可動モジュール4への駆動用磁石38の固定強度を確保することが可能になる。
【0058】
本形態では、線バネ6は、可動モジュール4の被写体側で、可動モジュール4と支持体5とを繋いでおり、支持体5に対して上下方向および前後左右方向へ可動モジュール4を付勢している。そのため、本形態では、光軸方向が水平方向と一致した状態で(すなわち、光軸方向が重力方向に直交した状態で)、撮影用光学装置1が使用される場合であっても、支持体5に対する可動モジュール4の被写体側の傾き量を小さくすることが可能になる。したがって、本形態では、光軸方向が重力方向に直交する状態で撮影用光学装置1が使用される場合であっても、撮影用光学装置1で撮影される画像の品質を高めることが可能になる。
【0059】
本形態では、線バネ6は、カバー部材14の筒部14bよりも外周側、かつ、ケース体25よりも内周側に配置されており、筒部14bおよびケース体25と光軸方向で重なっていない。そのため、本形態では、撮影用光学装置1を光軸方向で小型化することが可能になる。また、本形態では、線バネ6は、略L形状に折り曲げられて形成されているため、筒部14bの外周面とケース体25の内周面との間の隙間を小さくしても、線バネ6を配置することが可能になる。したがって、本形態では、前後左右方向においても撮影用光学装置1を小型化することが可能になる。
【0060】
本形態では、カバー部材14と別体で形成されるバネ固定部材18が筒部14bの上端側の外周面に固定されており、バネ固定部材18に、線バネ6の可動側固定部6aが固定されている。そのため、本形態では、筒部14bに対するバネ固定部材18の固定位置を調整することで、線バネ6の光軸方向の付勢力を調整することが可能になる。また、本形態では、ケース体25に、線バネ6の固定側固定部6bが固定される切欠き部25bが形成されているため、固定側固定部6bを精度良く、かつ、容易にケース体25に固定することが可能になる。
【0061】
(線バネおよびバネ固定部材の変形例)
上述した形態では、線バネ6の可動側固定部6aは、バネ固定部18bの上面に載置された状態でバネ固定部18bの上面に固定されている。この他にもたとえば、バネ固定部材18bに、線バネ6の可動側固定部が挿入されて固定される固定孔が形成されても良い。この場合には、固定孔は、バネ固定部18bを上下方向で貫通するように形成される。また、この場合には、線バネ6の一端側に、略90°に折れ曲がった折り曲げ部分が形成され、この折り曲げ部分が線バネ6の可動側固定部となっている。この場合には、線バネ6の可動側固定部を精度良く、かつ、容易にバネ固定部材18に固定することが可能になる。
【0062】
(バネ部材の変形例)
図8図9は、本発明の他の実施の形態にかかるバネ部材を説明するための斜視図である。
【0063】
上述した形態では、撮影用光学装置1は、可動モジュール4と支持体5とを繋ぐバネ部材として、4個の線バネ6を備えている。この他にもたとえば、撮影用光学装置1は、4個の線バネ6に代えて、図8(A)に示す板バネ46を備えていても良い。この板バネ46は、環状に形成される固定側固定部46bと、固定側固定部46bよりも外周側に配置される4個の可動側固定部46aと、可動側固定部46aと固定側固定部46bとを繋ぐ4個の腕部46cとを備えている。撮影用光学装置1が板バネ46を備えている場合には、撮影用光学装置1は、撮影用光学装置1の上端面を構成する端面部材(図示省略)を備えており、この端面部材は、ケース体25の上端に固定されている。
【0064】
固定側固定部46bは、円環状に形成されており、端面部材の下面に固定されている。4個の可動側固定部46aは、筒部14bの4個の側面部14dのそれぞれの外側面に固定されている。また、可動側固定部46aは、側面部14dの上端側に固定されるとともに、前後左右方向における側面部14dの略中心位置に固定されている。腕部46cは、固定側固定部46bから外周側に向かって真っすぐ伸びように形成されている。板バネ46は、支持体5に対して上下方向および前後左右方向へ可動モジュール4を付勢している。
【0065】
また、撮影用光学装置1は、4個の線バネ6に代えて、図8(B)に示す板バネ56を備えていても良い。この板バネ56は、環状に形成される固定側固定部56bと、固定側固定部56bよりも内周側に配置される4個の可動側固定部56aと、可動側固定部56aと固定側固定部56bとを繋ぐ4個の腕部56cとを備えている。撮影用光学装置1が板バネ56を備えている場合には、撮影用光学装置1は、撮影用光学装置1の上端面を構成する端面部材を備えており、この端面部材は、ケース体25の上端に固定されている。
【0066】
固定側固定部56bは、四角環状に形成されており、端面部材の下面に固定されている。4個の可動側固定部56aは、カバー部材14の底部14aに形成される貫通孔14cに固定されている。具体的には、4個の可動側固定部56aは、貫通孔14cの縁の、前後左右方向の略中心位置に固定されている。腕部56cは、固定側固定部56bから内周側に向かって真っすぐ伸びるように形成されている。板バネ56は、支持体5に対して上下方向および前後左右方向へ可動モジュール4を付勢している。
【0067】
さらに、撮影用光学装置1は、4個の線バネ6に代えて、図8(C)に示す2個の板バネ66を備えていても良い。板バネ66は、全体として略L形状に形成されている。また、板バネ66は、カバー部材14の筒部14bよりも外周側かつケース体25よりも内周側に配置されるとともに、筒部14bおよびケース体25の四隅のうちの対角線上に配置される2個の角部のそれぞれに配置されている。
【0068】
この板バネ66は、略L形状に形成される固定側固定部66bと、2個の可動側固定部66aと、可動側固定部66aと固定側固定部66bとを繋ぐ2個の腕部66cとを備えている。固定側固定部66bは、ケース体25の四隅のうちの対角線上に配置される2個の角部の内側面に固定されている。可動側固定部66aは、カバー部材14の底部14aの上面に固定されている。具体的には、可動側固定部66aは、底部14aの上面の、前後左右方向の略中心位置に固定されている。腕部66cは、真っ直ぐな平板状に形成されている。板バネ66は、支持体5に対して上下方向および前後左右方向へ可動モジュール4を付勢している。
【0069】
なお、板バネ46、56では、板バネ46、56の4個の腕部46c、56cのうちの1個の腕部46c、56cが損傷した場合であっても、板バネ46、56の全体を交換する必要がある。また、板バネ66では、板バネ66の2個の腕部66cのうちの一方の腕部66cが損傷した場合であっても、板バネ66の全体を交換する必要がある。これに対して、線バネ6では、腕部6cが損傷した場合に、1個の線バネ6のみを交換すれば良い。そのため、上述した形態の撮影用光学装置1では、腕部6cが損傷したときの交換コストを低減することが可能になる。
【0070】
また、撮影用光学装置1は、4個の線バネ6に代えて、図9(A)に示す4個の引張りコイルバネ71を備えていても良い。4個の引張りコイルバネ71は、カバー部材14の筒部14bよりも外周側かつケース体25よりも内周側に配置されるとともに、筒部14bおよびケース体25の四隅のそれぞれに配置されている。引張りコイルバネ71の一端は、可動モジュール4の上端側(被写体側)に取り付けられ、引張りコイルバネ71の他端は、支持体5の下端側(反被写体側)に取り付けられている。具体的には、引張りコイルバネ71の一端は、カバー部材14の筒部14bの上端側に固定されるバネ固定部材72に取り付けられ、引張りコイルバネ71の他端は、ベース板26に取り付けられている。引張りコイルバネ71は、可動モジュール4を下側(反被写体側)へ付勢している。
【0071】
また、撮影用光学装置1は、4個の線バネ6に代えて、図9(B)に示す4個の圧縮コイルバネ75を備えていても良い。この場合には、ベース部材16の外周面の前後左右方向における略中心位置に、直方体状のバネ当接部材76が固定されており、4個の圧縮コイルバネ75は、バネ当接部材76の下面とベース板26の上面との間に配置されている。すなわち、4個の圧縮コイルバネ75のそれぞれは、光軸方向から見たときのカバー部材14の筒部14bの四辺のそれぞれの略中心位置に配置されている。圧縮コイルバネ75は、可動モジュール4を上側(被写体側)へ付勢している。なお、図8図9に示す変形例では、撮影用光学装置1は、バネ固定部材18を備えていない。
【0072】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0073】
上述した形態では、保持体9はバネ固定部材18を備えているが、保持体9はバネ固定部材18を備えていなくても良い。この場合には、線バネ6の可動側固定部6aは、カバー部材14に直接固定される。
【0074】
上述した形態では、駆動用磁石38の側面は、異なる2つの磁極が光軸方向で重なるように着磁されているが、駆動用磁石38の側面は、単極に着磁されても良い。この場合には、スリーブ13の外周側に1個のレンズ駆動用コイル32が固定される。また、上述した形態では、駆動用磁石38は、第1磁石片38aと第2磁石片38bとによって構成されているが、駆動用磁石38は、異なる2つの磁極が光軸方向で重なるように着磁された1個の磁石片によって構成されても良い。
【0075】
上述した形態では、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略正方形状となるように形成されているが、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状が略長方形状となるように形成されても良い。この場合には、カバー部材14の筒部14bおよびケース体25は、たとえば、光軸方向から見たときの形状が略長方形の枠状となる略四角筒状に形成される。また、撮影用光学装置1は、光軸方向から見たときの形状がその他の多角形状となるように形成されても良いし、光軸方向から見たときの形状が円形状や楕円形状となるように形成されても良い。この場合には、筒部14bおよびケース体25は、撮影用光学装置1の外形に応じた形状に形成される。
【符号の説明】
【0076】
1 撮影用光学装置
4 可動モジュール
5 支持体
6 線バネ(バネ部材)
6a 可動側固定部
6b 固定側固定部
6c 腕部
8 可動体
9 保持体
14 カバー部材
14a 底部(端面部)
14b 筒部
14c 貫通孔
14d 側面部
18 バネ固定部材
25 ケース体(外周側筒部)
25a 側面部(外周側面部)
25b 切欠き部
32 レンズ駆動用コイル
33 振れ補正用コイル
38 駆動用磁石
46、56、66 板バネ(バネ部材)
46a、56a、66a 可動側固定部
46b、56b、66b 固定側固定部
46c、56c、66c 腕部
71 引張りコイルバネ
75 圧縮コイルバネ
L 光軸
Z 光軸方向
Z1 被写体側
Z2 反被写体側
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9