(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
パイン載置台上に果皮付きパイナップルを載置して、その上から刃先を下に向けて共通の中心垂直線方向に直立させた円筒状の外筒刃及びその内部の内筒刃を同時に下降させて前記パイナップルを円筒形にカットするパインホールカット装置において、
前記外筒刃及び内筒刃の刃先を前記パイン載置台上に載置した前記パイナップルの上端部よりも上方位置から前記パイン載置台まで前記中心垂直線方向に昇降可能とした昇降部と、
前記外筒刃及び内筒刃を前記昇降部による昇降と同時に前記中心垂直線を中心に回転可能とした回転部と、
前記外筒刃と内筒刃との間に配設したホール上部押え体と前記内筒刃内に配設した芯上部押え体とを常に前記パイン載置台上の前記パイナップルの上端部よりも高い定位置に拘束可能としたパイン上部押え機構と
を備え、前記外筒刃と内筒刃の昇降と回転とを同時に行って果皮付きパイナップルをパインホールにカット可能としたことを特徴とするパインホールカット装置。
各支持ボルトの外筒刃から外側への突出部分に、該突出部分を回転軸として上下のスライド面間に挟持されたガイドローラーを設けたことを特徴とする請求項2に記載の記載のパインホールカット装置。
回転部が、外部がパイン載置台に直立させたパイナップルの上端よりも上方でスライダーに固定され、内部に該パイン載置台の中心垂直線を回転中心とした軸承部を備えた筒刃支持台と、
該軸承部に上部を軸承すると共に、下部に前記中心垂直線を共有するように外筒刃及び内筒刃を固着した回転基盤と、
該回転基盤の上部に回転軸を介して該回転基盤を回転可能に接続したモータと
から成ることを特徴とする請求項1から5のうちいずれかに記載のパインホールカット装置。
パイン載置台の上面に、該上面より下側へ下降させた外筒刃と内筒刃の刃先が当たらないように凹ませた同心円形の二つの刃逃げ溝と、該両刃逃げ溝に接続して流れ落ちた果汁をパイン載置台の外側へ導く果汁排出溝とを形成したことを特徴とする請求項1から8のうちいずれかに記載のパインホールカット装置。
カットすべき果皮の厚さ以上の長さを有する刃渡りの刃先を下向きに配して外筒刃の外側から該外筒刃の刃先へ近接させた果皮カッターをカッター支持アームの下端部に着脱可能に取着し、該カッター支持アームの上端部を昇降部の一部に固着したことを特徴とする請求項1から8のうちいずれかに記載のパインホールカット装置。
【背景技術】
【0002】
パイナップルの果皮を削り落とし芯部を刳り抜いて円筒形の果肉(パインホールと呼ばれる)に加工することが行われている。
この加工においては、パイナップルの両端部を上下水平にカットすることは容易であっても芯部を刳り抜いて果肉をパインホールに加工するのは難しいが、下記特許文献1にあるような二重円筒形の「パイナップルカッター」を用いればパイナップルを縦に押し切ることで芯部を刳り抜く加工が容易となる。
【0003】
しかし、二重円筒形のカッターで押し切る場合、パイナップルは硬い繊維を多量に含み、このため押し切ると硬い繊維が刃先に引っ掛かり易く、繊維が刃先に引っ掛かかるとパイナップルの果肉の細胞組織が破壊され綺麗なカット面が得られない。そして、細胞組織が破壊されると細胞内に含まれた甘い果汁がカット面から大量に湧出し、みずみずしさが失われてしまうという問題がある。
同時に、繊維が刃先に引っ掛かることによって切断抵抗が大きくなり、カットに大きな労力が必要となってしまう。
更に、二重円筒体の使用においては、カットしたパインホールが円筒体内に嵌ってそのまま残ってしまい、パインホールが二重円筒体から抜き取れないという問題が生じる。
【0004】
このような二重円筒形のカッターに関して、例えば、下記特許文献2には「パイナップルカッター」の提案がなされている。
この装置では下端にカッター刃を備えた二重円筒体の下にパイナップルを置き、ハンドルレバーで円筒体を押し下げることで果皮付きのパイナップルをパインホールに加工することが可能となり、カット後に二重円筒体からパインホールを抜き取ることについてパインホール部分及び芯部分を押出部材で押し出すという手法でその抜き取り問題の解決が可能となる。
しかしながら、この手法では、カットした後に二重円筒体内からパインホール部分及び芯部分を押し出すものなので、カット作業とは別に二重円筒体内からの抜取り作業業が加わり、作業効率を上げることができない。
そしてこの装置でも、依然として、繊維が刃先に引っ掛かるという問題については解決されない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明者は、パイナップルを円筒形のパインホールに加工するに際し、カット中に円筒形のカッター刃を回転させること、即ち、「押し切り」ではなく、刺身などの筋が多いものを切るときに行われる「引き切り」をすることで刃先に繊維が引っ掛かることなく綺麗にカットできるのではないかと着想した。
そして、カットに大きな労力を要せずに作業効率を上げるためには、モータ等の動力の使用と、カット後に円筒形のカッターの中からパインホール部分及び芯部分を抜き取るための作業の自動化が必要となるが、それを実現させようとすると、二重円筒体の回転運動が障害となってパインホールを抜き取るための押出部材の装置への組み込みができなくなってしまうという問題に突き当たった。
【0007】
本発明は上記の如きパイナップルの繊維の綺麗なカットの問題やカット後のパインホールの抜き取り等の問題を解決すべく、果皮付きのパイナップルを円筒形のパインホールにカットする際に円筒形のカッターを回転させることで刃がパイナップルの繊維に引っ掛かることなく綺麗に切断でき、その切断面からの甘い果汁の湧出を抑えて高品質なパインホールが得られ、同時に円筒形のカッター内のパインホールを自動的に抜き取り可能とすることで作業能率の向上が可能となるパインホールカット装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明のパインホールカット装置は、請求項1の発明にあっては、パイン載置台上に果皮付きパイナップルを載置して、その上から刃先を下に向けて共通の中心垂直線方向に直立させた円筒状の外筒刃及びその内部の内筒刃を同時に下降させて前記パイナップルを円筒形にカットするパインホールカット装置において、前記外筒刃及び内筒刃の刃先を前記パイン載置台上に載置した前記パイナップルの上端部よりも上方位置から前記パイン載置台まで前記中心垂直線方向に昇降可能とした昇降部と、前記外筒刃及び内筒刃を前記昇降部による昇降と同時に前記中心垂直線を中心に回転可能とした回転部と、前記外筒刃と内筒刃との間に配設したホール上部押え体と前記内筒刃内に配設した芯上部押え体とを常に前記パイン載置台上の前記パイナップルの上端部よりも高い定位置に拘束可能としたパイン上部押え機構とを備え、前記外筒刃と内筒刃の昇降と回転とを同時に行って果皮付きパイナップルをパインホールにカット可能としたことを特徴とする。
【0009】
請求項2の発明にあっては、上記発明において、前記パイン上部押え機構が、前記外筒刃及び内筒刃の周面に縦に長く形成した複数の縦長スライド孔と、前記各縦長スライド孔を貫通させて前記外筒刃の外側からホール上部押え体及び芯上部押え体に対して先端部を水平に差し込んで前記ホール上部押え体及び芯上部押え体を固定すると共に後端部を外筒刃から外側へ突出させた複数の支持ボルトと、前記各支持ボルトの後端部を前記外筒刃の外周面に近接して環状に取り巻く上下のスライド面で挟持し、前記パイン載置台上に載置した前記パイナップルの上端部よりも高い定位置に各支持ボルトを拘束する環状拘束体とから成ることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明にあっては、上記発明において、前記各支持ボルトの外筒刃から外側への突出部分に、該突出部分を回転軸として上下のスライド面間に挟持されたガイドローラーを設けたことを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明にあっては、上記発明において、前記昇降部が、前記パイン載置台を固定する作業台の後部に直立させたメイン支柱及び該メイン支柱に設けた垂直なガイドレールと、該ガイドレールに案内されて垂直方向への移動を可能とし、前記外筒刃及び内筒刃を取り付けたスライダーと、該スライダーの近傍に設けられ、エアー圧の制御で出没するシャフトで該シャフトの先端部に固定した前記スライダーを昇降可能とし、エアー圧送管を介してコンプレッサーへエアー圧制御可能に接続されたエアーシリンダとから成ることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明にあっては、上記発明において、前記エアー圧送管に2つの弁開閉ボタンを直列に接続して装着したことを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明にあっては、上記発明において、前記回転部が、外部が前記パイン載置台に直立させた前記パイナップルの上端よりも上方で前記スライダーに固定され、内部に前記パイン載置台の中心垂直線を回転中心とした軸承部を備えた筒刃支持台と、該軸承部に上部を軸承すると共に、下部に前記中心垂直線を共有するように前記外筒刃及び内筒刃を固着した回転基盤と、該回転基盤の上部に回転軸を介して該回転基盤を回転可能に接続したモータとから成ることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明にあっては、上記発明において、前記回転基盤とモータとを連結する回転軸にオルダム継手を設けたことを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明にあっては、上記発明において、前記パイン載置台の上面に前記パイナップルの底面の滑り回転を防止する防滑面を設けたことを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明にあっては、上記発明において、前記パイン載置台の上面に、該上面より下側へ下降させた前記外筒刃と内筒刃の刃先が当たらないように凹ませた同心円形の二つの刃逃げ溝と、該両刃逃げ溝に接続して流れ落ちた果汁をパイン載置台の外側へ導く果汁排出溝とを形成したことを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明にあっては、上記発明において、カットすべき果皮の厚さ以上の長さを有する刃渡りの刃先を下向きに配して前記外筒刃の外側から該外筒刃の刃先へ近接させた果皮カッターをカッター支持アームの下端部に着脱可能に取着し、該カッター支持アームの上端部を前記昇降部の一部に固着したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上記の如き構成であり、回転部で外筒刃と内筒刃を回転させつつ昇降部により上から下へと垂直に移動させることで、パイン載置台上に載置した果皮付きのパイナップルを、切断面を綺麗な切り口の状態でパイナップルの細胞組織を大きく潰すことなく正確にパインホールにカットすることが可能となる。
又その際に人の労力を使用せず、効率良くパインホールにカットすることができる。
カット後は、外筒刃及び内筒刃を上昇させ上へ戻されるが、その際、前記外筒刃及び内筒刃内に嵌ったパイナップルのパインホール部分及び芯部分はパイン上部押え機構によって上昇が止められ、前記外筒刃及び内筒刃内からに抜けるように分離されるので後で抜くための人手はいらない。
そして、パインホール部分内に芯部分が入っている状態でパインホールが得られるので、ホール内部の切断面に含まれた甘い果汁の湧出が芯部分で蓋をされたようにして防止され、この結果パインホールの品質低下が防止され、糖度の高い高品質のパインホールを得こと可能となる。
又、パイン載置台の載せる際、パイン載置台が基準となり果皮付きのパイナップルを容易に中央への位置決めでき、パイナップル芯中央の位置ずれのない高品質のパインホールを得ることが可能となる。
【0019】
請求項2の発明においては、外筒刃及び内筒刃の周面に形成した各縦長スライド孔を貫通させて前記外筒刃の外側から前記外筒刃内部のホール上部押え体及び芯上部押え体に複数の支持ボルトを差し込むことで前記ホール上部押え体と芯上部押え体とを固定することが可能となる。
そして、その際、外筒刃から外側へ突出させた各支持ボルトの後端部を前記外筒刃の外周面に近接して環状に取り巻く環状拘束体の上下のスライド面で挟持することで、前記パイン載置台上に載置した前記パイナップルの上端部よりも高い定位置に上下移動ができなように各支持ボルトを拘束することが可能となる。
このため、パイナップルのカット終了後、前記外筒刃及び内筒刃が上昇中に前記外筒刃及び内筒刃内に嵌っているパイナップルが前記ホール上部押え体と芯上部押え体に当たってパイナップルの上端部が確実に押えられ、前記外筒刃及び内筒刃からパインホール及び芯部分を同時に分離させることが可能となる
【0020】
請求項3の発明においては、前記環状拘束体内の上下のスライド面間に挟持されたガイドローラーが前記外筒刃の外周面に沿って円滑に回転し、該ガイドローラーに支持された支持ボルトの回転に伴う上下のスライド面との摩擦抵抗を軽減させ、前記外筒刃及び内筒刃の昇降と同時進行となる回転が円滑に行えるようになる。そしてこの結果、モータへの回転負荷が軽減されてモータの寿命が長くなり、同時にモータの電力消費を軽減させることが可能となる。
【0021】
請求項4の発明においては、前記パイン載置台を固定する作業台の後部のメイン支柱にガイドレールが垂直に設けられ、該ガイドレールに案内されてスライダーを垂直方向へ移動可能となる。
そして、前記外筒刃及び内筒刃が取り付けられているスライダーはエアーシリンダのエアー圧制御により昇降され、前記外筒刃及び内筒刃の昇降が可能となる。
この昇降はエアーシリンダの圧縮空気によるものなので、前記外筒刃及び内筒刃の上下方向の作動をパイナップルの硬さに応じて柔軟且つ円滑に行うことが可能となる。
【0022】
請求項5の発明においては、前記外筒刃及び内筒刃を昇降させるエアーシリンダに圧縮空気を送るエアー圧送管に2つの弁開閉ボタンを直列に接続したことで、弁開閉ボタンをいちいずれか一方ではなく、両方同時に押さないと圧縮空気が送られないため、前記外筒刃及び内筒刃の上下の操作をする際には必ず両手を同時に使用しなければ前記スライダーが下降しないようになり、このことで前記外筒刃及び内筒刃の下降作動中の刃先下に手を入れる機会をなくすことができる。この結果、手指の切断などの事故発生を防止して安全性を高めることが可能となる。
【0023】
請求項6の発明においては、前記スライダーの昇降中において、前記パイン載置台の中心垂直線を回転中心として上部のモータで筒刃支持台の軸承部で支持されたに回転基盤を安定的に回転させることができる。
該回転基盤の安定した回転によって、該回転基盤の下部に固定した前記外筒刃及び内筒刃を軸振れなくパイナップルの芯中心を中心に安定的に回転させ、パインホールを正確にカットすることが可能なる。
又、該回転基盤の安定した回転によって、モータへの回転負荷が軽減されてモータの寿命が長くなり、同時にモータの電力消費を軽減させることが可能となる。
【0024】
請求項7の発明においては、前記回転基盤とモータとを連結する回転軸にオルダム継手を設けたことで、前記外筒刃及び内筒刃の回転中心が振れたとしても、その振れがオルダム継手で解消されてモータの回転軸には振れを起こすことなく回転が伝達され、この結果モータの寿命が長くなる。
【0025】
請求項8の発明においては、前記パイン載置台の上面の防滑面によって、前記外筒刃及び内筒刃の回転で誘発される前記パイナップルの回転が防止でき、回転しない前記パイナップルに対して前記外筒刃及び内筒刃のみを回転させることで、切断部が引き切り切断状態となり、この結果、切断面を綺麗にカットすることができる。
【0026】
請求項9の発明においては、前記パイン載置台の上面より下側へ前記外筒刃と内筒刃の刃先を下降させると凹ませた同心円形の二つの刃逃げ溝に刃先が入り込むが、前記パイン載置台の上面には前記外筒刃と内筒刃の刃先が当たらない。
このため、最終カット部分に外筒刃と内筒刃の刃先が入ってパイナップルの最下部まで完全にカットすることが可能となる。
その際、刃先が前記パイン載置台には接触することがないので刃先の損傷が起こらず長期間パイナップルをカットし続けることが可能となる。
又、前記刃逃げ溝には果汁排出溝が接続され、カットによりパイナップルから湧き出て刃逃げ溝に流れ込んだ果汁は、更に果汁排出溝を通過してパイン載置台の外側へ流出させて排除することができるので衛生的である。
なお、果汁排出溝によりパイン載置台の上面に凹部が形成されるので、該凹部に前記パイナップルの底部が引っ掛かることで防滑機能も発揮できる。
【0027】
請求項10の発明においては、前記昇降部の一部にカッター支持アームを介して果皮カッターが固定されているので、該昇降部により前記外筒刃及び内筒刃が下降すると果皮カッターも同時に下降し、その際、パイン載置台の上面に載置されたパイナップルの外筒刃より外側の果皮部分は果皮カッターで縦に切り裂かれる。
そして、縦に切り裂かれた果皮部分は前記外筒刃の回転による遠心力の影響でパインホールの外周面から外側に分離され、最終的にはパイナップルの下端部まで果皮カッターでカットされると剥がれ落ち、効率良く剥ぎ取ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明のパインホールカット装置を以下図の実施例を参照に説明する。
本発明は、上下水平にカットした果皮付きパイナップルから果皮を除去し円筒形の果肉部分と円柱状の芯部分とに加工するための装置であり、
図1に示すように、パイン載置台3上に前記果皮付きのパイナップルpを直立させて載置し、その上から刃先を下に向けて共通の中心垂直線x方向に直立させた円筒状の外筒刃7及びその内部の内筒刃8を同時に下降させて前記パイナップルpをカットするものである。
【0030】
そして、該装置には、前記外筒刃7及び内筒刃8を前記中心垂直線x方向に昇降可能とした昇降部12と、前記外筒刃7及び内筒刃8を前記中心垂直線xを中心に回転可能とした回転部10と、前記外筒刃7と内筒刃8との間に配設したホール上部押え体と前記内筒刃内に配設した芯上部押え体とを常に前記パイン載置台3上の前記パイナップルpの上端部よりも高い定位置に拘束可能としたパイン上部押え機構9とを備える。
次に上記昇降部12、回転部10、パイン上部押え機構9等の本発明の構成について詳述する。
【0031】
先ずパイン載置台3について説明する。
前記パイン載置台3は、
図1に示すように、作業員の腰程の高さとした4本の金属製脚部フレーム1の上にステンレス製の作業台2を水平に固定し、該作業台2の中央部に矩形の開口部を設け、該開口部内に円盤状のアクリル製のパイン載置台3を設置する。
該パイン載置台3はパイナップルの径より大径に形成し、前記作業台2の前記開口部内の下部に固設した支持板19の上に上面が水平となるように固定する。
【0032】
前記パイン載置台3の上面には、該上面より下側まで前記外筒刃7と内筒刃8の刃先を下降させたときに各刃先が当たるのを避けることができるように、同心円状に凹ませた刃逃げ溝20a、20bを形成する。
その溝幅は前記外筒刃7及び内筒刃8の回転による振れを想定して、前記外筒刃7と内筒刃8の刃先の到達位置を中心としてその両側に若干の幅を持たせる。
前記外筒刃7と内筒刃8の刃先が刃逃げ溝20a、20b内に入ったとき、前記パイナップルpの最下部より下に刃先が下降した状態となるので前記パイナップルpは切り残しなくカットすることが可能となる。
又、外側の刃逃げ溝20aと内側の刃逃げ溝20bとの間を繋ぎ、更に外側の刃逃げ溝20aの外側の外周部まで開口するように放射方向に前記パイン載置台3の上面を掘り下げた果汁排出溝21を形成する。該果汁排出溝21によりカット面から湧き出て溜まった果汁が該パイン載置台3の外部に排出可能となる。
【0033】
又、前記パイン載置台3の上面には前記パイナップルpの底面の滑り回転を防止するための防滑面3aを設ける。
該防滑面3aによって前記外筒刃7及び内筒刃8の回転で誘発される前記パイナップルpの回転を防止して前記外筒刃7及び内筒刃8が回転できるようにすることで、前記パイナップルpに対して繊維を引き切るように綺麗に切断することが可能となる。
例えば、該防滑面3aは、前記パイン載置台3の上面に凹部や凸部を設けた態様が可能であるが、前記果汁排出溝は前記パイナップルpの底部が引っ掛かるので防滑機能が得られ、防滑面3aとして兼用させることも可能である。
【0034】
次に前記外筒刃7及びその内部の内筒刃8について説明する。
前記パイナップルpには中央縦に硬い芯があり、その芯を的確に刳り抜くためセンターを合わせるためパイン載置台3の中央と外筒刃7及び内筒刃8の中心を前記中心垂直線xに合わせる。
そして、
図2及び
図3に示すように、前記外筒刃7は前記パイナップルpの果皮が全部除去できる径に形成し、内部の内筒刃8は中央の硬い芯部分を避けてカットすべき肉厚だけ前記外筒刃7よりも小径に形成する。
その材質は鋭利な刃先7a、8aが形成でき且つ水に濡れても錆びない金属である鋼材を用い、その長さは、上部の取り付け部分を除いた切断有効部分が、上下端部を水平に切除した果皮付きのパイナップルpの上下両端部間の幅よりも長く形成し、縦に完全に切断できるようにする。
【0035】
次に、前記昇降部12について説明する。
前記昇降部12は、
図1に示すように、前記外筒刃7及び内筒刃8を垂直に昇降可能とするものであり、前記外筒刃7及び内筒刃8の刃先7a、8aを前記パイン載置台3上に載置した前記パイナップルpの上端部よりも上方位置から前記パイン載置台3まで前記中心垂直線x方向に昇降可能とするものである。
更に具体的に説明すると、前記作業台2の後部に、左右2本のメイン支柱4を平行に立設し、該メイン支柱4、4に対して下部にはレール下部支持体13bを、上部にはレール上部支持体13aをそれぞれ水平に固定する。そして、該レール下部支持体13bとレール上部支持体13aとの間に平行に間隔を設けて垂直にガイドレール5、5を装着する。
【0036】
前記ガイドレール5、5には、各ガイドレール5、5を把持する把持部14、14を備えたスライダー6を、前記把持部14、14で前記ガイドレール5、5を挟持して、上下移動可能に装着する。
そして、前記レール下部支持体13bの後下部にはエアーシリンダ55を直立させて固定し、エアーシリンダ55から上下に出没するシャフト56の上端部を前記スライダー6の背面に設けたスライダー固定部57に固定する。
【0037】
該エアーシリンダ55にはエアー圧送管59を介してコンプレッサー58を接続する。
該エアー圧送管59は、前記エアーシリンダ55へコンプレッサー58から圧縮空気を送る管であり、途中に作業台2の左右にそれぞれ固着した弁開閉ボタン22、23に対して直列に配管する。
図1では、コンプレッサー58に繋いだエアー圧送管59を途中の中継器60に接続し、更にエアー圧送管61a、弁開閉ボタン23、エアー圧送管61b、弁開閉ボタン22、エアー圧送管61cと順に接続し、更に前記中継器60を介してエアー圧送管62a、62bを前記エアーシリンダ55へと繋いだ態様を示している。
これにより、コンプレッサー58の圧縮空気がエアーの圧力を制御することによりエアーシリンダ55に送られて前記シャフト56が出没し、前記スライダー6を昇降させて前記外筒刃7及び内筒刃8の昇降が可能となる。
【0038】
前記弁開閉ボタン22、23を直列に繋いだのは、いずれか一方の弁を開けてもシャフト56は作動せず、両方の弁開閉ボタン22、23が開いてエアー圧送管62から圧縮エアーが送られてエアーシリンダ55が作動しシャフト56が下降作動可能となるようにするためである。
この形態では、両手を使わないと弁開閉ボタン22、23を同時に押すことができず、前記外筒刃7及び内筒刃8の下降作動中にその下に手を入れる機会がなくなり、手指の切断等の事故発生を防止することができる。
【0039】
次に前記回転部10について説明する。
図2に示すように、前記スライダー6の前側で前記パイン載置台3の上方に、前記パイン載置台3の中心垂直線xを回転中心とする軸承部52を備えた筒刃支持台16を前記スライダー6に固定する。
前記軸承部52には、上部が回転基盤枢支部54で回転自在とした回転基盤40を枢支する。
その際、円滑な回転とするため前記軸承部52と回転基盤枢支部54との間にベアリング45を装着する。
この結果、前記回転基盤40は前記軸承部52に上部が軸承されて前記パイン載置台3の中心垂直線xを中心に自由に回転可能となる。
【0040】
そして、前記回転基盤40の下部に、下端部に刃先7a、8aを形成した円筒形の外筒刃7及びその内部の内筒刃8の上端部を前記中心垂直線xが中心となるように固定する。
その際、該外筒刃7及び内筒刃8の刃先7a、8aが前記パイン載置台3に直立させた前記果皮付きパイナップルpの上端部よりも上方になるように前記スライダー6に配設する。
【0041】
前記外筒刃7及び内筒刃8の前記回転基盤40の下部への固定方法は、
図2に示すように、回転基盤40の下面を前記外筒刃7の内径で一段と下へ突出させた円形の外部基台41と、その中央を更に前記内筒刃8の内径で一段と下へ突出させた円形の内部基台42を形成し、該外部基台41には前記外筒刃7の上部を嵌合させた後その嵌合部分を強固に固定ボルト43で固定し、又前記内部基台42には前記内筒刃8の上部を嵌合させた後その嵌合部分を強固に固定ボルト44で固定する。
【0042】
そして、前記外筒刃7及び内筒刃8の上部には前記回転基盤40の上部に設けた回転軸36を介して前記中心垂直線xを回転中心に回転させるモータ10aを取り付ける。
該モータ10aの取付構造は、前記回転基盤40の上部には前記中心垂直線xを共有したモータ回転軸36を介して筒刃支持台16から上に間隔を置いて水平に固定したモータ支持枠50にモータ10aと一体のモータ支持台15を載せてモータ取付ボルト51で固定する。
該モータ10aはモータ電源スイッチ63を介して電源コード64で電源(図省略)に接続する。
【0043】
前記モータ回転軸36の下端部には軸ズレ回転伝達構造であるオルダム継手11の上側部分を固定し、該オルダム継手11の下側部分を回転基盤枢支部54に固定した筒刃回転軸37を更にその下部に設けたフランジ38で固定ネジ39により前記回転基盤40に固着する。
このように前記モータ回転軸36と筒刃回転軸37との間に上下噛み合わせタイプのオルダム継手11を設けることで、前記外筒刃7及び内筒刃8の回転中心が多少振れてもその振れが上の回転軸36へは伝わらなくなり、この結果、モータ10aへの回転負荷が軽減され、モータ10aの寿命を長くし、該モータ10aの電力消費を少なくすることが可能となる。
【0044】
次に前記パイン上部押え機構9について説明する。
前記パイン上部押え機構9は、
図2及び
図3に示すように、前記内筒刃8内に配設した芯上部押え体29と、前記外筒刃7と内筒刃8との間に配設したホール上部押え体27と、前記パイン載置台3上に果皮付きパイナップルpを載置可能な高さの定位置に上下方向の移動を拘束する環状拘束体33とを備える。
【0045】
前記外筒刃7及び内筒刃8の周面に周方向120度に3等分した位置に3本の垂直方向に長い縦長スライド孔25、26を設ける。
そして、前記ホール上部押え体27及び前記芯上部押え体29を同じ高さに配して、前記縦長スライド孔25、26の位置を合わせ、該ホール上部押え体27を貫通し芯上部押え体29に連通するようにそれぞれ水平なボルト孔28、30を設ける。
そして、前記外筒刃7の外側から水平に前記外筒刃7及び内筒刃8の各縦長スライド孔25、26に先端部31aを貫挿させて前記ボルト孔28、30に各支持ボルト31を挿し込む。
この結果、該各支持ボルト31で前記芯上部押え体29とホール上部押え体29とが一体的に固定される。
その際、前記支持ボルト31の後端部31bは縦長スライド孔26から突出した状態に固定する。
【0046】
次に、前記環状拘束体33を説明する。
該環状拘束体33は、前記中心垂直線xを中心として前記外筒刃7の外周面に近接して環状に取り巻く水平な上下のスライド面34、35を備えた円環状の押え体支持枠33a内に前記外筒刃7の外周面に向いて開いた断面コ字型の環状ガイド空間53を形成し、前記上下のスライド面34、35で前記支持ボルト31の後端部3bを挟んで、前記パイナップルpの上端部よりも高い位置にホール上部押え体27と前記芯上部押え体29とを支持する。
定位置の高さに前記押え体支持枠33aを固定するため、前記メイン支柱4に水平に設けたレール下部支持体12にステイ24の基部を溶接し、そのステイ24の先端部に前記押え体支持枠33aを固着する。
この結果、前記各支持ボルト31の後端部31bは、前記押え体支持枠33の環状ガイド空間53に嵌り挟まれて上下のスライド面34、35で上下方向の移動が拘束され、且つ前記外筒刃7と内筒刃8の回転で環状ガイド空間53内を回転可能となる。
【0047】
前記各支持ボルト31の後端部31bの上下方向の移動を拘束するための前記環状拘束体9には、各種形態が可能である。
例えば、
図2及び
図3に示すように、前記環状ガイド空間53内に突出している支持ボルト31の後端部31bに前記環状ガイド空間53内に納まるガイドローラー32を設け、回転に伴う摩擦抵抗を少なくした形態が可能である。
【0048】
しかし、前記環状拘束体33は上記ガイドローラー32を用いた構造に限定されるものではなく、この他に、図示はしないが、支持ボルト31の後端部31bに前記外筒刃7の外周面を囲うように円盤状のリングを固定し、このリングを前記環状ガイド空間53内に周方向にスライド可能に納める形態も可能である。この形態では、リング面に前記環状ガイド空間53との回転抵抗を軽減させるためのベアリングを装着することもできる。
なお、単に環状ガイド空間53内に、支持ボルト31の後端部を突出させた態様も可能であるが、摩擦抵抗を可能な限り減少させ前記外筒刃7と内筒刃8の円滑に回転できるるようにすることが好ましい。
【0049】
上記パイン上部押え機構9は、モータ電源スイッチ63を入れると、前記モータ10aが回転し、前記回転基盤40を介して前記外筒刃7及び内筒刃8が回転し、前記上下のスライド面34、35でガイドされた前記支持ボルト31の後端部31bが前記環状ガイド空間53内を回転する。
更に、前記両弁開閉ボタン22、23を押してエアー弁を開くと、エアー圧送管61から高圧エアーがエアーシリンダ55に送られてシャフト56が下降するが、このとき、前記外筒刃7及び内筒刃8の縦長スライド孔25、26を前記支持ボルト31がスライドすることで、前記ホール上部押え体27及び前記芯上部押え体29の高さが定位置に拘束されて上下には移動できない。
即ち、前記ホール上部押え体27及び前記芯上部押え体29の前記パイン載置台3からの高さは変えずに、前記外筒刃7及び内筒刃8のみが回転しつつ昇降可能となる。
この結果、前記パイナップルpがカットされた後、前記外筒刃7及び内筒刃8は上昇しても前記ホール上部押え体27及び前記芯上部押え体29でカットされたパイナップルの上端部が押えられて、前記外筒刃7及び内筒刃8からパインホールが抜け落ちるように分離される。
【0050】
次に前記果皮カッター17について説明する。
前記果皮カッター17は、カットすべき果皮の厚さ以上の長さを有する刃渡りの刃先を下向きに配して前記昇降部の一部である前記筒刃支持台16の下方へカッター支持アーム18を吊下げると共にそのカッター支持アーム18の下部に前記外筒刃7の外周に刃先の先端部17aを近接させて設ける。
前記カッター支持アーム18を前記筒刃支持台16に吊下げるには、前記筒刃支持台16にはアーム取り付け孔46を設け、このアーム取付孔46に雌ネジを形成した前記カッター支持アーム18の上部を挿し込み下からは下部固定ナット48を螺着し、上からは上部固定ナット47を螺着して前記筒刃支持台16を上下で挟んで固定する。
この際、前記筒刃支持台16の側面からカッター支持アーム18に対して側面押圧ボルト49を押し当てれば前記カッター支持アーム18の回転方向の移動を止めて刃先の先端部17aの位置が使用中の圧力でその先端部17aの向きが変わらないように確実に固定させることがでる。
前記果皮カッター17はカッター支持アーム18の下部に設けた割り溝に挟んでネジ等で締め付ける態様とすれば、着脱可能とすることができ又、果皮カッター17の先端部17aを前記外筒刃7の外周に対してその距離を調節可能とすることも可能となる。
【0051】
以上本発明の具体的な構造を説明したが、次に、本発明の装置によるパイナップルpのカット工程を説明する。
先ず作業をするに当たって、モータ電源スイッチ63を入れ、前記外筒刃7及び内筒刃8をモータ10aで回転させておく。
そして、上下両端部を水平に切除した果皮付きのパイナップルpを両手で持って、小指をパイン載置台3に触れつつ位置合わせを行う。
【0052】
前記果皮付きのパイナップルpをパイン載置台3に直立させて載せたら、両手を該パイナップルpから離してその両手で作業台2の両側の弁開閉ボタン22、23を押すと、エアーシリンダ55が作動してシャフト56を下降させ、シャフト56に固定された前記スライダー6がガイドレール5、5に案内されて下降する。
この際、前記回転基盤40を介して前記スライダー6に固定された前記外筒刃7及び内筒刃8内は下降するが、前記外筒刃7及び内筒刃8内の前記ホール上部押え体27及び前記芯上部押え体29は定位置の高さに止まり下降はしない。
【0053】
前記外筒刃7及び内筒刃8が回転しつつ下降することでパイン載置台3上に載置した前記パイナップルpは前記外筒刃7及び内筒刃8の下端部の刃先7a、8aで引き切るように切り口が綺麗にカットされて行く。
その刃先7a、8aは、最下部に到って前記パイン載置台3の上面の刃逃げ溝20a、20bに到達し、さらに該刃逃げ溝20a、20b内に僅かに進入することで、前記パイナップルpが切り残しなく完全にカットされる。
このカットで発生した多量の果汁は前記果汁排出溝21を通って外部に排出される。
その排出された果汁は、前記果汁排出溝21の下にドレンを設けて、該ドレンで受けた果汁をパイプや溝によって廃液施設へ送ることが可能である。
【0054】
又、前記外筒刃7及び内筒刃8が下降する際に、該外筒刃7及び内筒刃8に繋がる前記筒刃支持台16に設けられた果皮カッター17も同時に下降する。
前記果皮カッター17の刃先の先端部17aが前記外筒刃7の外周面に近接しているのでパイナップルpの果皮が縦に切り残しなくカットされ、切り終ると前記外筒刃7の回転による遠心力から発生する果汁の外側への飛散、装置の振動等によって果皮が剥がれように分離されて自重で前記パイン載置台3周囲の作業台2の開口部から下に落下する。
その落下した果皮は、図示しないが、該作業台2下に設けたベルトコンベアーに載せられ、自動的に外部へ移送させることが可能である。
【0055】
そして、前記両弁開閉ボタン22、23から手を離すと、中継器60で圧縮エアーの流れが切り替わり、エアーシリンダ55のシャフト56を上方へ作動させ、前記スライダー6が前記外筒刃7及び内筒刃8を引上げる。
この際、カットされたパイナップルpのパインホール部分と芯部分とが共に前記外筒刃7及び内筒刃8内に嵌って少し上昇する。しかし、すぐに芯部分は前記芯上部押え体29に当たって上昇が停止し、パインホール部分は前記ホール上部押え体27に当たって上昇が停止する。
その後そのまま前記外筒刃7及び内筒刃8は上昇し続け、元の最上部の位置に到ると、パインホール部分に芯部分が入った状態で抜け落ちてパイン載置台3の上に落下する。
落下した芯部分入りのパインホールは、手に持って次の工程のラインに移動させる。