特許第6223078号(P6223078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6223078-発火台 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223078
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】発火台
(51)【国際特許分類】
   F23B 60/02 20060101AFI20171023BHJP
   F23Q 13/00 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   F23B60/02
   F23Q13/00 A
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-184225(P2013-184225)
(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公開番号】特開2015-52407(P2015-52407A)
(43)【公開日】2015年3月19日
【審査請求日】2016年6月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100128901
【弁理士】
【氏名又は名称】東 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 満智子
(72)【発明者】
【氏名】松原 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】小林 雅史
【審査官】 柳本 幸雄
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−060456(JP,U)
【文献】 実開昭48−008568(JP,U)
【文献】 登録実用新案第351076(JP,Z2)
【文献】 実公昭13−015402(JP,Y1)
【文献】 実公昭09−010629(JP,Y1)
【文献】 英国特許出願公開第02233083(GB,A)
【文献】 特開平06−007094(JP,A)
【文献】 実開昭57−131418(JP,U)
【文献】 実開昭55−170999(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23Q 13/00
F23Q 13/04
F23B 60/02
F24B 15/00
A47J 47/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部が開放されるとともに下方側部に空気取入口を有する有底筒状の筐体と、
上下方向で前記空気取入口と前記筐体の上端との間に、火種からの熱により発火する炎形成材を、上側に保持する保持部材を備え、
前記保持部材が、前記保持部材の上下間で空気を通流可能に構成され、
前記火種及び前記炎形成材を前記保持部材上に保持した状態で炎を形成し、
前記筐体として、竹を用い、
当該竹の節部分を前記筐体の底部とする発火台。
【請求項2】
前記空気取入口が、貫通孔であり
前記筐体の上端部が、前記保持部材より上部において、前記空気取入口の設けられた側面部位とは反対側の上方側面部位に、切込み部を有する請求項1に記載の発火台。
【請求項3】
前記保持部材が、金網である請求項1又は2に記載の発火台。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火種からの熱により発火する炎形成材を用い、炎を形成するための発火台に関する。
【背景技術】
【0002】
古来の発火方法の1つとして、木と木を擦り合せて火種を得る、いわゆる、きりもみ式の火起こし器がある(例えば特許文献1を参照)。火起こし器を用いて得た火種は、麻綿などに包み込み、その麻綿を振り回して空気を送ることで発火させることができる。このような火起こし器は、現在においても、火について子供たちが学ぶための教育現場などにおいて利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録3131032号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、火種を作った後、火種を用いて手に持った麻綿を発火させる過程に関しては、手の上で発火することから、安全面などを考慮すると誰にでもできるとは言い難い。このため、教育現場などにおいて、使い勝手の良い簡易な用具を用いて、火種から炎を形成するまでの過程を、参加者に実際に体験させることが難しかった。よって、教育現場などにおいて、火種から炎を形成するまでの過程を、参加者に実際に体験させることができる使い勝手の良い簡易な用具の提供が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本願発明に係る発火台の特徴構成は、上部が開放されるとともに下方側部に空気取入口を有する有底筒状の筐体と、
上下方向で前記空気取入口と前記筐体の上端との間に、火種からの熱により発火する炎形成材を、上側に保持する保持部材を備え、
前記保持部材が、前記保持部材の上下間で空気を通流可能に構成され、
前記火種及び前記炎形成材を前記保持部材上に保持した状態で炎を形成し、
前記筐体として、竹を用い、
当該竹の節部分を前記筐体の底部とする点にある。
【0006】
上記特徴構成により、本願発明に係る発火台を用いれば、保持部材上に炎形成材及び火種を載せることができる。また、空気取入口から、保持部材上の炎形成材及び火種に空気を送ることができる。よって、空気を送り込んで炎を形成する際に、火種や炎形成材に直接手を触れる必要がなくなる。すなわち、安全に炎形成材を発火させることが可能となる。よって、教育現場などにおいて、火種から炎を形成するまでの過程を、参加者に実際に体験させることができる使い勝手の良い簡易な用具を提供することができる。
又、上記特徴構成によれば、発火台として必要十分な強度の筐体を安価に確保できる。また、加工も容易なため、発火台をより安価かつ容易に作成できる。さらに、竹は金属に比べて熱伝導しにくいため、発火後も表面が熱くならず、火傷等の危険も回避できる。
【0007】
本願発明に係る発火台においては、上記特徴構成に加えて、前記空気取入口が、貫通孔であり、
前記筐体の上端部が、前記保持部材より上部において、前記空気取入口の設けられた側面部位とは反対側の上方側面部位に、切込み部を有する構成とすると好適である。
【0008】
上記特徴構成によれば、切込み部を利用することで、例えば、紙などの上に置いた火種を保持部材上に入れやすく、また、保持部材を筐体により深く挿入することができる。よって、火種及び炎形成材をより筐体内部に置くことができるため、空気取り入れ口からうちわ等で空気を送り込むとき、炎形成材が風で飛ばされたりすることを抑えることができる。すなわち、より安定して炎形成材を発火させることが可能となる。
【0009】
加えて、前記保持部材が、金網である構成とすると好適である。
【0010】
上記特徴構成によれば、金網は入手性が良く、加工が容易なため、発火台を安価かつ容易に作成できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本願発明に係る発火台の概略図
図2】本願発明に係る発火台に用いる火種の作成方法を示す図
図3】本願発明に係る発火台の使用方法を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔発火台の構成〕
図1を用いて、本願発明に係る発火台1について説明する。図1には、発火台1の実施形態として(a)と(b)の2つの例を図示している。以下ではまず図1(a)の構成について説明した後、図1(b)の構成について説明する。
【0015】
図1(a)に示すように、発火台1は、上部が開放された有底筒状の筐体3からなる。本実施形態においては、筐体3として円筒状のものを用いている。ここで、筐体3には、下方側部に空気取入口2を有する。本実施形態においては、空気取入口2は、矩形の貫通孔として形成されている。
【0016】
本実施形態においては、筐体3として竹を用いる。ここで、竹で筐体3を作成する際には、竹の節32部分を筐体3の底部となるように加工する。
【0017】
さらに、発火台1は、上下方向で空気取入口2の上端と筐体3の上端との間に、火種5からの熱により発火する炎形成材6を保持する保持部材4を備えている。本実施形態においては、炎形成材6として、例えば麻綿を用いる。ここで、炎形成材6は、いわゆる火口を意味する。
【0018】
ここで、保持部材4は、保持部材4の上側に炎形成材6を保持可能に構成される。本実施形態においては、保持部材4は、筐体3の水平方向全面にわたって延在するように構成される。また、保持部材4は、保持部材4の上下間で空気を通流可能に構成されている。このような保持部材4として、本実施形態においては金網を用いる。本実施形態においては、図3に示すように、保持部材4としての金網は、筐体3の内径よりも大きな径のものを用い、金網が筐体3内に押し込める程度に金網の淵を折り曲げた後、上方から筐体3内に押し込むとともに、筐体3内の内側において木ねじ(図示省略)で固定している。なお、木ねじによる固定に代え、筐体3の側面に貫通孔を設け、ビスやナットを用いて金網を固定しても構わない。
【0019】
続いて、図1(a)の構成に変形を加えた、図1(b)の構成について説明する。なお、図1(a)と同一部分については説明を省略する。図1(b)の構成においては、筐体3の上端部が、保持部材4より上部において、空気取入口2の設けられた側面部位とは反対側の上方側面部位に、切込み部31を有する。ここで、切込み部31は、V字型に形成されると好適である。
【0020】
図1(a)及び(b)を用いて上述した発火台1は、図3に示すように、火種5及び炎形成材6を保持部材4上に保持した状態で炎を形成するように構成されている。以下では、発火台1を用いて、炎を形成する方法について説明する。
【0021】
〔発火台の使用方法〕
本願発明に係る発火台1の使用方法を説明をするにあたり、まず、図2を用いて、発火台1に用いる火種5の作り方を説明する。火種5の作り方としては、まいぎり式、ゆみぎり式、ひもぎり式など種々の方法があるが、ここでは、一例として、ひもぎり式での方法について説明する。
【0022】
図2に示すように、火種5を作るにあたっては、火きり棒11、引き紐12、及び火きり板13を用いる。
まず、火きり棒11を火きり板13の上に配置し、火きり棒11に引き紐12を絡める。そして、図示する状態で、引き紐12を押し引きすることで火きり棒11を回転させると、火きり棒11と火きり板13との摩擦で、火きり棒11及び火きり板13が削れ、木粉が発生する。この木粉は、火きり棒11と火きり板13との摩擦熱により焦げて高温で燻っている状態となる。この燻っている状態の木粉が、火種5である。ここで火種5を作る際に、図示するように、火きり板13の下に紙14を敷いておくと、火種5を作った後、紙14を用いて火種5を運搬することができるため好適である。また、紙14に予め折り目をつけておいても良い。
【0023】
次に、図3を用いて、本願発明に係る発火台1の使い方を説明する。ここで、火種5には、先に説明した火種5を用いる。
【0024】
まず、保持部材4の上に、炎形成材6を載せる。
次に、載せた炎形成材6の上に火種5を置く。このとき、紙14の上におかれた火種5を、紙14から滑らせて炎形成材6上に置くと良い。このとき、紙14の端部と炎形成材6の間が離れていると火種5が落ちるときにばらけて温度が下がったり、炎形成材6の中央に置けない事がある。紙14を谷折りにたわめて火種5を滑らせると紙14の先端が炎形成材6に近くなり、目的の場所にばらけずに置くことができる。このとき、図1(b)に示す発火台1を使用する場合は、切込み部31に、谷折りにたわめた紙14又は予め折り目を付けておいた紙14の折り目を沿わせることで、送風の影響を避けるために保持部材4を深めに作った発火台1の場合でもスムーズに火種5を炎形成材6上に置くことができる。
さらに、火種5を覆い隠すように、炎形成材6を載せる。
【0025】
以上のようにして、火種5を炎形成材6で覆う。すなわち、保持部材4上に載せる炎形成材6は、少なくとも火種5を覆えるだけの量が必要である。
なお、火種5の熱は空気取入口2から流入する空気によって上方を加熱し、上部の炎形成材6が発火するので、火種5を載せる炎形成材6よりも火種5を覆う上部の炎形成材6を多めにすると良い。
【0026】
最後に、空気取入口2から筐体3内に空気を送り込む。これにより、火種5に空気が送り込まれ火種5の熱が上方の炎形成材6を加熱し、ついに炎形成材6が発火する。なお、筐体3内に空気を送り込むにあたっては、例えば、図示するように一定距離離れた位置から、うちわで仰ぐ等の方法を用いると良い。
【0027】
このようにして、作成した火炎は、例えば、バーベキュー台や七輪などにくべて、実用になる程度に大きな炎を形成するにあたり用いることができる。
【0028】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態においては、筐体3の上端部に切込み部31を有する構成の一例を示した。しかし、本願発明はこのような構成に限定されない。すなわち、図1(a)に示すように、筐体3が切込み部31を有さない構成としても構わない。
【0029】
(2)上記実施形態においては、保持部材4として金網を用いる構成の一例を示した。しかし、本願発明はこのような構成に限定されない。すなわち、保持部材4としては、空気を流通可能であればよく、例えば、格子状の針金、パンチングメタルを用いても構わない。
【0031】
)上記実施形態においては、炎形成材6として麻綿を用いる場合の一例を示した。しかし、本願発明はこのような構成に限定されない。すなわち、炎形成材6としては、繊維状のもので着火しやすい物であれば良く、例えば、ガマの穂をほぐしたものを用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0032】
火種からの熱により発火する炎形成材を用い、炎を形成するための発火台として利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
1 :発火台
2 :空気取入口
3 :筐体
4 :保持部材
5 :火種
6 :炎形成材
31 :切込み部
図1
図2
図3