(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
所定の取付対象物に形成された貫通孔に挿通され、自身の一端部が前記取付対象物の表面側に表出するとともに、自身の他端部が前記取付対象物の内部に配置され、かつ、前記貫通孔の延びる方向に沿って往復移動可能な操作部材と、
前記操作部材の変位を槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する往復移動可能な伝達部材とを備えた操作装置であって、
前記操作部材の往復移動方向と、前記伝達部材のうち少なくとも前記栓蓋側の端部とは反対側に位置する一端部の往復移動方向とが異なり、
前記操作部材の他端部と前記伝達部材の一端部との間に設けられ、前記操作部材の往復移動を、前記伝達部材の一端部の往復移動方向に沿った方向に変換し、前記伝達部材の一端部に伝達する方向変換機構を有し、
前記方向変換機構の少なくとも一部は、前記操作部材の他端部がその移動可能範囲の最も他端側に配置されたときにおける前記操作部材の他端の位置よりも、前記操作部材の一端部側に配置され、
前記操作部材の他端部には、前記操作部材の移動方向に沿って形成された複数の歯を有する第1ラック部が設けられるとともに、
前記伝達部材の一端部には、前記伝達部材の一端部の移動方向に沿って形成された複数の歯を有する第2ラック部が設けられ、
前記方向変換機構は、前記第1ラック部に噛合される第1歯車と、前記第2ラック部に噛合される第2歯車とを有し、前記第1歯車の回転動作が前記第2歯車に伝達される歯車機構により構成されることを特徴とする操作装置。
自身の少なくとも一部が前記圧力伝達媒体に接触可能であり、自身の配置位置の調節により、前記圧力伝達媒体が充填される空間の容積を増減可能な容積調節部を有することを特徴とする請求項3又は4に記載の操作装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献に記載の手法では、操作部材の移動範囲を考慮して、方向変換機構は、操作部材の移動方向に沿って、操作部材の他端部(取付対象物の内部側に配置された端部)がその移動可能範囲の最も他端側(奥側)に配置されたときにおける操作部材の他端の位置よりも、さらに奥側に配置される。換言すれば、方向変換機構は、操作部材の移動方向に沿って、操作部材の他端部が存在し得る範囲から奥側へとずれた位置に配置される。そのため、操作装置(方向変換機構)が取付対象物の背面から大きく突出することとなり、操作装置を配設可能な位置が、取付対象物のうち内部に十分なスペースが存在する位置に限られてしまうおそれがある。すなわち、上記手法では、操作装置の取付自由度が低下してしまうおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、その目的は、取付対象物の背面に対する操作装置の突出量を効果的に低減させることができ、良好な取付自由度を得ることができる操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
【0008】
手段1.所定の取付対象物に形成された貫通孔に挿通され、自身の一端部が前記取付対象物の表面側に表出するとともに、自身の他端部が前記取付対象物の内部に配置され、かつ、前記貫通孔の延びる方向に沿って往復移動可能な操作部材と、
前記操作部材の変位を槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する往復移動可能な伝達部材とを備えた操作装置であって、
前記操作部材の往復移動方向と、前記伝達部材のうち少なくとも前記栓蓋側の端部とは反対側に位置する一端部の往復移動方向とが異なり、
前記操作部材の他端部と前記伝達部材の一端部との間に設けられ、前記操作部材の往復移動を、前記伝達部材の一端部の往復移動方向に沿った方向に変換し、前記伝達部材の一端部に伝達する方向変換機構を有し、
前記方向変換機構の少なくとも一部は、前記操作部材の他端部がその移動可能範囲の最も他端側に配置されたときにおける前記操作部材の他端の位置よりも、前記操作部材の一端部側に配置され
、
前記操作部材の他端部には、前記操作部材の移動方向に沿って形成された複数の歯を有する第1ラック部が設けられるとともに、
前記伝達部材の一端部には、前記伝達部材の一端部の移動方向に沿って形成された複数の歯を有する第2ラック部が設けられ、
前記方向変換機構は、前記第1ラック部に噛合される第1歯車と、前記第2ラック部に噛合される第2歯車とを有し、前記第1歯車の回転動作が前記第2歯車に伝達される歯車機構により構成されることを特徴とする操作装置。
【0009】
尚、「取付対象物」とあるのは、例えば、槽体(浴槽や洗面台等)や、この近傍の構造物をいう。
【0010】
上記手段1によれば、方向変換機構の少なくとも一部は、操作部材の他端部がその移動可能範囲の最も他端側に配置されたときにおける操作部材の他端の位置よりも、操作部材の一端部側(取付対象物の表側)に配置されるように構成されている。すなわち、方向変換機構の少なくとも一部は、操作部材の移動方向に沿って、操作部材の移動範囲とオーバーラップする領域(従来手法では方向変換機構が設けられない領域)に配置されるように構成されており、移動方向の変換が、前記オーバーラップする領域を有効的に活用して行われる。従って、取付対象物の背面に対する方向変換機構の突出量を効果的に低減させることができ、ひいては取付対象物の背面に対する操作装置の突出量を顕著に小さくすることができる。その結果、操作装置において良好な取付自由度を得ることができる。
さらに、上記手段1によれば、比較的簡易な手法により、方向変換機構を実現することができる。また、操作部材の変位を伝達部材の一端部に対してより確実に伝達することができる。
【0014】
手段
2.前記第1ラック部に設けられた歯は、下方を向くように構成されていることを特徴とする手段
1に記載の操作装置。
【0015】
上記手段
2によれば、槽体の使用に伴い、第1ラック部側へと水が浸入した場合において、第1ラック部の歯に水が溜りにくくなる。従って、第1ラック部の歯に汚れが付着しにくくなり、第1ラック部から第1歯車へとより確実に、かつ、よりスムーズに動力を伝達することができる。その結果、長期間に亘って良好な操作性を確保することができる。
【0016】
手段
3.
所定の取付対象物に形成された貫通孔に挿通され、自身の一端部が前記取付対象物の表面側に表出するとともに、自身の他端部が前記取付対象物の内部に配置され、かつ、前記貫通孔の延びる方向に沿って往復移動可能な操作部材と、
前記操作部材の変位を槽体の排水口に設けられた栓蓋側へと伝達する往復移動可能な伝達部材とを備えた操作装置であって、
前記操作部材の往復移動方向と、前記伝達部材のうち少なくとも前記栓蓋側の端部とは反対側に位置する一端部の往復移動方向とが異なり、
前記操作部材の他端部と前記伝達部材の一端部との間に設けられ、前記操作部材の往復移動を、前記伝達部材の一端部の往復移動方向に沿った方向に変換し、前記伝達部材の一端部に伝達する方向変換機構を有し、
前記方向変換機構の少なくとも一部は、前記操作部材の他端部がその移動可能範囲の最も他端側に配置されたときにおける前記操作部材の他端の位置よりも、前記操作部材の一端部側に配置され、
前記方向変換機構は、前記操作部材の他端部が配置される空間に充填され、前記操作部材の往復移動を前記伝達部材の一端部に伝達する気体又は液体からなる圧力伝達媒体により構成されることを特徴とす
る操作装置。
【0017】
上記手段3によれば、方向変換機構の少なくとも一部は、操作部材の他端部がその移動可能範囲の最も他端側に配置されたときにおける操作部材の他端の位置よりも、操作部材の一端部側(取付対象物の表側)に配置されるように構成されている。すなわち、方向変換機構の少なくとも一部は、操作部材の移動方向に沿って、操作部材の移動範囲とオーバーラップする領域(従来手法では方向変換機構が設けられない領域)に配置されるように構成されており、移動方向の変換が、前記オーバーラップする領域を有効的に活用して行われる。従って、取付対象物の背面に対する方向変換機構の突出量を効果的に低減させることができ、ひいては取付対象物の背面に対する操作装置の突出量を顕著に小さくすることができる。その結果、操作装置において良好な取付自由度を得ることができる。
さらに、上記手段
3によれば、比較的簡易な手法により、方向変換機構を実現することができる。また、操作部材の変位を伝達部材の一端部に対してより確実に伝達することができる。
【0018】
手段
4.前記操作部材の他端部が内部に収容される第1収容部と、
前記伝達部材の一端部が内部に収容される第2収容部と、
前記第1収容部及び前記操作部材の他端部に取付けられ、前記圧力伝達媒体が充填された空間を密閉する第1ダイヤフラム部と、
前記第2収容部及び前記伝達部材の一端部に取付けられ、前記圧力伝達媒体が充填された空間を密閉する第2ダイヤフラム部とを備えることを特徴とする手段
3に記載の操作装置。
【0019】
上記手段
4によれば、第1、第2ダイヤフラムにより、圧力伝達媒体の充填される空間をより確実に密閉状態とすることができる。従って、操作部材の移動時に、圧力伝達媒体が外部へと漏出してしまうといった事態を非常に効果的に防止することができ、操作部材の往復移動を伝達部材の一端部に対してより一層確実に伝達することができる。
【0020】
手段
5.自身の少なくとも一部が前記圧力伝達媒体に接触可能であり、自身の配置位置の調節により、前記圧力伝達媒体が充填される空間の容積を増減可能な容積調節部を有することを特徴とする手段
3又は
4に記載の操作装置。
【0021】
上記手段
5によれば、容積調節部の配置位置を調節することで、圧力伝達媒体が充填される空間の容量(容積)を増減することができる。前記空間の容量を増減させることで、操作部材の取付後であっても操作部材の移動方向に沿った操作部材の配置位置を調節することができ、操作部材の取付位置の微調整等が可能となる。また、伝達部材においても、その取付後にその配置位置の調整が可能となる。例えば、伝達部材の取付後に、操作装置及び排水口間における伝達部材の長さが狙いの長さよりも大きいことが判明した場合には、前記空間の容量を低減させることで、操作装置及び排水口間における伝達部材の長さを狙いの長さとしたり、狙いの長さにより近づけたりすることができる。一方で、例えば、伝達部材の取付後に、操作装置及び排水口間における伝達部材の長さが狙いの長さよりも小さいことが判明した場合には、前記空間の容量を増大させることで、操作装置及び排水口間における伝達部材の長さを狙いの長さとしたり、狙いの長さにより近づけたりすることができる。すなわち、通常、伝達部材が取付けられたままの状態で、操作装置及び排水口間における伝達部材の長さを調節することは困難であるが、上記手段
5によれば、これが容易に可能となる。
【0022】
手段
6.前記方向変換機構は、前記伝達部材の移動量を前記操作部材の移動量よりも増大させるストローク量増大機能を有することを特徴とする手段1乃至
5のいずれ
かに記載の操作装置。
【0023】
尚、「ストローク量増大機能」は、例えば、上記手段
1のように、方向変換機構が歯車機構により構成される場合には、操作部材を移動させた際に、第1ラック部に噛合される第1歯車の外周の移動量よりも第2ラック部に噛合される第2歯車の外周の移動量が大きくなるように、各歯車の外径や歯数等を調整することで実現できる。
【0024】
また、例えば、上記手段
3のように、方向変換機構が圧力伝達媒体により構成される場合、「ストローク量増大機能」は、例えば、次のようにして実現することができる。すなわち、操作部材の他端部が配置される第1空間と、伝達部材の一端部が配置され、第1空間と連通する第2空間とにより、圧力伝達媒体が充填される空間を形成する。そして、例えば、操作部材の移動方向と直交する方向に沿った操作部材の他端部の断面積を、伝達部材の一端部の移動方向と直交する方向に沿った伝達部材の一端部の断面積よりも大きくし、操作部材の単位移動量当たりに第1空間において増減する圧力伝達媒体の体積が、伝達部材の一端部の単位移動量当たりに第2空間において増減する圧力伝達媒体の体積よりも大きくなるようにすることで、「ストローク量増大機能」を実現することができる。
【0025】
上記手段
6によれば、操作部材の往復移動可能範囲が小さくても、伝達部材を十分に移動させることができ、栓蓋を開閉することができる。従って、取付対象物の背面に対する操作装置の突出量を一層小さくすることができ、操作装置の取付自由度を一層高めることができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下に、実施形態について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1に示すように、操作装置1は、取付対象物かつ槽体としての洗面器100に取り付けられている。尚、洗面器100は、底壁部101と当該底壁部101の外周に立設された側壁部102とを備えており、操作装置1は、側壁部102に取付けられている。また、側壁部102とその背面側に位置する壁等の構造物STとの間が比較的狭く、洗面器100のうち操作装置1が取付けられる部位の内部スペースが比較的小さなものとされている。
【0028】
操作装置1は、
図2に示すように、ガイド部材2と、取付部材3と、操作部材としての操作ボタン4と、伝達部材5とを備えている。
【0029】
ガイド部材2は、所定の樹脂等により形成されており、円筒状の本体部21と、当該本体部21の一端部から外周側に突出するフランジ部22とを備えている。
【0030】
本体部21は、側壁部102に形成された貫通孔103に挿通されており、その外周に雄ねじ部21Aを備えている。フランジ部22は、環状をなしており、その背面部分が側壁部102の表面に接触している。
【0031】
取付部材3は、所定の樹脂等により形成されており、内部が中空に形成された直方体状の収容部31と、当該収容部31の一側面に設けられ、当該一側面から突出する筒状の第1筒部32と、前記収容部31の一側面に隣接する下面に設けられ、当該下面から突出する筒状の第2筒部33とを具備している。
【0032】
収容部31は、その内面に、第1筒部32の内周面に連続する上方側面31Aを備えており、当該上方側面31Aは平坦面を有している。さらに、収容部31の内面のうち第2筒部32の内周面に連続する側方側面31Bも、前記上方側面31Aと同様に平坦面を有している。
【0033】
第1筒部32は、前記貫通孔103に挿入されており、自身の内周に前記雄ねじ部21Aを螺合可能な雌ねじ部32Aを備えている。そして、第1筒部32を貫通孔103に挿通した上で、前記雌ねじ部32Aに対して前記雄ねじ部21Aを螺合し、取付部材3と前記フランジ部22との間で側壁部102を挟み込むことにより、ガイド部材2及び取付部材3が側壁部102(洗面器100)に取付けられている。
【0034】
第2筒部33は、第1筒部32の延びる方向と異なる方向(下方)に向けて延び、その内周に伝達部材5が挿通されている。また、第2筒部33には、樹脂等により形成された筒状の接続部材56が直列的に接続されている。
【0035】
操作ボタン4は、その一端部に位置する円板状の被操作部41と、当該被操作部41の背面中央から延びる円柱状の被ガイド部42とを備えている。
【0036】
被操作部41は、側壁部102の表面側に表出しており、被操作部41を押し引き移動させることで、操作ボタン4は、貫通孔103の延びる方向に沿って往復移動可能とされている。被ガイド部42は、ガイド部材2に挿通されており(つまり、操作ボタン4は貫通孔103に挿通されており)、被ガイド部42の外周面とガイド部材2の内周面との間の隙間が十分に小さくなるように構成されている。これにより、操作ボタン4は、その移動時に、被ガイド部42の外周面がガイド部材2の内周面に沿って移動し、ガイド部材2によってその移動がガイドされるようになっている
また、操作ボタン4の他端部には、操作ボタン4の移動方向に沿って延びる第1ラック部43が設けられている。第1ラック部43は、前記収容部31の内部に収容されており、洗面器100の内部(側壁部102と構造物STとの間の空間)に配置されている。さらに、第1ラック部43は、操作ボタン4の移動方向に沿って形成された複数の歯を備えており、当該歯が下方を向くように構成されている。加えて、第1ラック部43のうち前記歯の裏側に位置する背面部43Aは平坦状に形成されており、当該背面部43Aは、前記上方側面31Aの平坦面に接触している。
【0037】
伝達部材5は、排水口104に設けられた栓蓋106を支持する支持軸107(
図1参照)へと操作ボタン4の変位を伝達するものであり、往復移動可能に構成されている。また、伝達部材5は、主に金属製のワイヤーにより形成されているが、その一端部に、第2ラック部51と、当該第2ラック部51及び前記ワイヤー間に位置する軸部52とを備えている。
【0038】
第2ラック部51は、収容部31の内部に配置されており、伝達部材5の一端部の移動方向に沿って形成された複数の歯を有している。また、第2ラック部51のうち前記歯の裏側に位置する背面部51Aは平坦状をなしており、当該背面部51Aは前記側方側面31Bの平坦面に接触している。
【0039】
軸部52は、円柱状をなすとともに、前記接続部材56の内周に挿通されており、接続部材56の内周面に沿って移動可能な状態で接続部材56により支持されている。また、軸部52は、第2ラック部51と直列的に接続されており、第2ラック部51の移動に伴い第2ラック部51の移動方向と同一方向に移動するようになっている。そして、軸部52を介して、第2ラック部51の変位が伝達部材5のワイヤー部分へと伝達されるようになっている。
【0040】
さらに、伝達部材5の他端部(操作装置1とは反対側の端部)は、前記支持軸107に接触可能に構成されている。加えて、伝達部材5のワイヤー部分は、その外周に設けられた円筒状の外皮57(
図1参照)に対して相対移動可能に構成されており、操作ボタン4の変位に伴い、外皮57内を往復移動するようになっている。そして、伝達部材5によって操作ボタン4の変位が支持軸107へと伝達されることで、支持軸107ひいては栓蓋106が上下動(すなわち、排水口104が開閉)するようになっている。
【0041】
加えて、本実施形態では、操作ボタン4の往復移動方向と、伝達部材5の一端部の移動方向とが異なるもの(本実施形態では、両移動方向が直交するもの)とされている。そこで、本実施形態の操作装置1は、操作ボタン4の往復移動を、伝達部材5の一端部の往復移動方向に沿った方向に変換し、操作ボタン4の変位を伝達部材5の一端部に伝達する方向変換機構6を備えている。
【0042】
方向変換機構6は、収容部31の内部において、操作ボタン4の他端部(第1ラック部43)と伝達部材5の一端部(第2ラック部51)との間に設けられており、第1歯車構造体61及び第2歯車構造体62を備えている。
【0043】
第1歯車構造体61は、第1歯車61Aと、第1連結歯車61Bとを備えており、両歯車61A,61Bは一体に形成されている。また、第1歯車構造体61は、収容部31により回転可能な状態で支持されており、両歯車61A,61Bは、同一の回転軸にて回転可能とされている。さらに、第1歯車61Aは、前記第1ラック部43に噛合されており、操作ボタン4の移動に伴い第1歯車構造体61が回転するように構成されている。加えて、本実施形態では、第1連結歯車61Bの外径が、第1歯車61Aの外径よりも大きなものとされている。
【0044】
また、前記第1ラック部43は、第1歯車61Aと取付部材3の上方側面31Aとに挟まれた状態となっている。そして、操作ボタン4を移動させた際には、第1ラック部43の背面部43Aが前記上方側面31Aの平坦面を摺動するようになっている。これにより、操作ボタン4を操作した際には、ガイド部材2によるガイドと相俟って、操作ボタン4を非常にスムーズに移動させることができ、さらに、第1歯車61Aに対して第1ラック部43からの動力をより確実に伝達できるようになっている。
【0045】
第2歯車構造体62は、第2歯車62Aと、第2連結歯車62Bとを備えており、両歯車62A,62Bは一体に形成されている。また、第2歯車構造体62は、収容部31により回転可能な状態で支持されており、両歯車62A,62Bは、同一の回転軸にて回転可能とされている。さらに、本実施形態では、第2連結歯車62Bの外径が、第2歯車62Aの外径よりも小さなものとされている。
【0046】
また、第2連結歯車62Bは、前記第1連結歯車61Bに噛合されており、第2歯車62Aは、第2ラック部51に噛合されている。そのため、操作ボタン4の移動により第1歯車構造体61が回転することで、第2歯車構造体62が回転し、ひいては第2ラック部51を移動させることができるようになっている。つまり、本実施形態における方向変換機構6は、第1ラック部43に噛合される第1歯車61Aの回転動作を、第2ラック部51に噛合される第2歯車62Aに伝達する歯車機構により構成されている。
【0047】
加えて、前記第2ラック部51は、第2歯車62Aと取付部材3の側方側面31Bとに挟まれた状態になっている。そのため、第2ラック部51は、その移動時に、自身の背面部51Aが前記側方側面31Bの平坦状面を摺動する。これにより、操作ボタン4を操作した際に、第2ラック部51ひいては伝達部材5をスムーズに移動させることができるようになっている。
【0048】
さらに、本実施形態では、上述の通り、第1連結歯車61Bの外径が第1歯車61Aの外径よりも大きく、かつ、第2連結歯車62Bの外径が第2歯車62Aの外径よりも小さいため、操作ボタン4を移動させて第1歯車61Aを回転させた際には、第1歯車61Aの外周の移動量よりも第2歯車62Aの外周の移動量が大きくなる。従って、
図3に示すように、操作ボタン4を移動させた際に、伝達部材5(第2ラック部51)の移動量L1が、操作ボタン4(第1ラック部43)の移動量L2よりも増大するようになっている。すなわち、本実施形態における方向変換機構6は、伝達部材5の移動量を操作ボタン4の移動量よりも増大させるストローク量増大機能を有している。
【0049】
加えて、本実施形態では、方向変換機構6の少なくとも一部は、操作ボタン4の他端部がその移動可能範囲の最も他端側に配置されたときにおける前記操作ボタン4の他端の位置P1よりも、操作ボタン4の一端部(洗面器100の表面)側に配置されている。
【0050】
以上詳述したように、本実施形態によれば、方向変換機構6の少なくとも一部は、操作ボタン4の移動方向に沿って、操作ボタン4の移動範囲とオーバーラップする領域に配置されている。すなわち、移動方向の変換が、前記オーバーラップする領域を有効的に活用して行われるように構成されている。従って、洗面器100の背面に対する方向変換機構6の突出量を効果的に低減させることができ、ひいては洗面器100の背面に対する操作装置1の突出量を顕著に小さくすることができる。その結果、操作装置1において良好な取付自由度を得ることができる。
【0051】
また、本実施形態では、第1歯車61Aや第2歯車62A等により、方向変換機構6が構成されている。従って、比較的簡易な手法により、方向変換機構6を実現することができる。また、操作ボタン4の変位を伝達部材5の一端部(第2ラック部51)に対してより確実に伝達することができる。
【0052】
さらに、第1ラック部43の歯が下方を向くため、洗面器100の使用に伴い、第1ラック部43側へと水が浸入した場合において、第1ラック部43の歯に水が溜りにくくなる。従って、第1ラック部43の歯に汚れが付着しにくくなり、第1ラック部43から第1歯車61Aへとより確実に、かつ、よりスムーズに動力を伝達することができる。その結果、長期間に亘って良好な操作性を確保することができる。
【0053】
加えて、ストローク量増大機能によって、操作ボタン4の往復移動可能範囲が小さくても、伝達部材5を十分に移動させることができ、栓蓋106を開閉することができる。従って、洗面器100の背面に対する操作装置1の突出量を一層小さくすることができ、操作装置1の取付自由度を一層高めることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態における操作装置1Aについて、上記第1実施形態の操作装置1との相違点を中心に説明する。
【0054】
上記第1実施形態において、操作ボタン4の他端部には第1ラック部43が設けられているが、本第2実施形態において、操作ボタン4の他端部には、円柱状をなす比較的大径の大径部44が設けられている。
【0055】
大径部44は、被操作部41の押し引き動作により、往復移動するように構成されており、被ガイド部42に固定された円柱状の基部44Aと、当該基部44Aの他端部にねじ止め固定された円板部44Bとを備えている。また、基部44Aと円板部44Bとの間には、弾性変形可能な材料(例えば、ゴム等)からなる薄膜の第1ダイヤフラム部91の中央部分が挟み込まれている。つまり、第1ダイヤフラム部91は、操作ボタン4の他端部に取付けられている。
【0056】
また、上記第1実施形態において、伝達部材5の一端部には第2ラック部51が設けられているが、本第2実施形態において、伝達部材5の一端部には、円柱状をなす比較的小径の小径部53が設けられている。
【0057】
小径部53は、往復移動可能に構成されており、円柱状の基部53Aと、当該基部53Aの他端部にねじ止め固定された円板部53Bとを備えている。また、小径部53は、軸部52と直列的に接続されており、自身の変位に伴い、軸部52を介して伝達部材5のワイヤー部分を移動させることができるようになっている。さらに、基部53Aと円板部53Bとの間には、弾性変形可能な材料(例えば、ゴム等)からなる薄膜の第2ダイヤフラム部92の中央部分が挟み込まれている。つまり、第2ダイヤフラム部92は、伝達部材5の一端部に取付けられている。
【0058】
さらに、本第2実施形態において、操作ボタン4の他端部(大径部44)、及び、伝達部材5の一端部(小径部53)は、取付部材7の内部に収容されている。
【0059】
取付部材7は、本体部71と、第1筒部72と、第2筒部73とを備えている。
【0060】
本体部71は、操作ボタン4の移動方向に沿って延びる筒状部分71Aと、伝達部材5の移動方向に沿って延びる筒状部分71Bとを有しており、両筒状部分71A,71Bの内部空間が連通路71Cを介して連通された形状となっている。
【0061】
第1筒部72は、その一端部が小径に形成される一方で、当該一端部以外の部位が比較的大径に形成されている。そして、第1筒部72は、その大径部分が前記本体部71の筒状部分71Aに挿通されており、本体部71と固定された状態となっている。
【0062】
さらに、第1筒部72は、その一端部(小径部分)が前記貫通孔103に挿入されており、当該一端部の内周に前記ガイド部材2の雄ねじ部21Aを螺合可能な雌ねじ部72Aを備えている。そして、第1筒部72の一端部を貫通孔103に挿通した上で、前記雌ねじ部72Aに対して前記雄ねじ部21Aを螺合し、第1筒部72と前記フランジ部22との間で側壁部102を挟み込むことにより、ガイド部材2及び取付部材7が側壁部102(洗面器100)に取付けられている。
【0063】
第2筒部73は、その一端部が大径に形成される一方で、その他端部が比較的小径に形成されている。また、第2筒部73は、その大径部分が本体部71の筒状部分71Bに挿通されており、本体部71と固定されている。加えて、第2筒部73の小径部分には、自身の内周において軸部52を移動可能な状態で支持する接続部材56が接続されている。
【0064】
加えて、本体部71の内周面と第1筒部72の内周面とによって、操作ボタン4の他端部(大径部44)が配置される第1空間SP1が形成されている。すなわち、本実施形態では、本体部71と第1筒部72とによって、第1空間SP1を内部に有する第1収容部74が形成されている。尚、第1空間SP1は、少なくとも操作ボタン4の他端部(大径部44)の移動範囲に対応する長さを備えている。
【0065】
また、本体部71と第1筒部72との間に、前記第1ダイヤフラム部91の外周縁部が挟み込まれている。つまり、第1ダイヤフラム部91は、第1収容部74に取付けられている。
【0066】
さらに、本体部71の内周面と第2筒部73の内周面とによって、伝達部材5の一端部(小径部53)が配置される第2空間SP2が形成されている。すなわち、本実施形態では、本体部71と第2筒部73とによって、第2空間SP2を内部に有する第2収容部75が形成されている。尚、第2空間SP2は、前記連通路71Cを介して第1空間SP1に連通されており、少なくとも伝達部材5の一端部(小径部53)の移動範囲に対応する長さを備えている。
【0067】
また、本体部71と第2筒部73との間に、前記第2ダイヤフラム部92の外周縁部が挟み込まれている。つまり、第2ダイヤフラム部92は、第2収容部75に取付けられている。
【0068】
加えて、本第2実施形態においても、上記第1実施形態と同様に、操作ボタン4の往復移動方向と、伝達部材5の一端部の移動方向とが異なるもの(本実施形態では、両移動方向が直交するもの)とされている。そのため、操作ボタン4の往復移動を、伝達部材5の一端部の往復移動方向に沿った方向に変換し、操作ボタン4の変位を伝達部材5の一端部に伝達する方向変換機構8が設けられているが、本第2実施形態における方向変換機構8は、圧力伝達媒体81により構成されている。
【0069】
圧力伝達媒体81(
図4及び
図5において、散点模様を付した部位)は、気体又は液体(例えば、鉱物油等)により構成されており、前記第1空間SP1、第2空間SP2、及び、連通路71Cに充填されている。これにより、操作ボタン4を移動させる(操作する)ことで、圧力伝達媒体81を介して、操作ボタン4の移動方向と異なる方向に移動する伝達部材5の一端部(小径部53)へと操作ボタン4の変位が伝達されることとなる。尚、圧力伝達媒体81が充填される空間は、取付部材7(本体部71、第1筒部72、及び、第2筒部73)と、第1、第2ダイヤフラム部91,92とによって密閉された状態となっている。
【0070】
さらに、本第2実施形態では、本体部71に螺合され、本体部71に対する螺合量を調節することで、本体部71に対する自身の配置位置を調節可能な容積調節部93が設けられている。容積調節部93は、その内面が圧力伝達媒体81の充填空間の一部を形成しており、容積調節部93の配置位置を調節することで、圧力伝達媒体81が充填される空間の容積を増減可能となっている。例えば、本体部71に対する容積調節部93の螺合量を増大させ、容積調節部93の配置位置を本体部71の中心側へと接近させた場合には、圧力伝達媒体81が充填される空間の容積を比較的小さくすることができる。一方で、例えば、本体部71に対する容積調節部93の螺合量を減少させ、容積調節部93の配置位置を本体部71の中心から離間させた場合には、圧力伝達媒体81が充填される空間の容積を比較的大きくすることができる。
【0071】
また、容量調節部93の外周には、本体部71と接触する弾性変形可能な環状のシール部93Aが設けられている。当該シール部93Aによって、容量調節部93と本体部71との間が水密に封止されており、圧力伝達媒体81の漏洩防止が図られている。
【0072】
加えて、本第2実施形態では、操作ボタン4の一端部(大径部44)が、伝達部材5の一端部(小径部53)よりも大径であり、かつ、第1空間SP1の内径は、第2空間SP2の内径よりも大きくなるように構成されている。そのため、操作ボタン4の単位移動量当たりに第1空間SP1において増減する圧力伝達媒体81の体積は、伝達部材5の一端部の単位移動量当たりに第2空間SP2において増減する圧力伝達媒体81の体積よりも大きくなっている。この構成により、
図5に示すように、操作ボタン4を移動させた際には、伝達部材5の一端部の移動量L1が、操作ボタン4の移動量L2よりも増大する。つまり、方向変換機構8は、伝達部材5の移動量を操作ボタン4の移動量よりも増大させるストローク量増大機能を有している。
【0073】
尚、大径部44や小径部53の外径、第1空間SP1や第2空間SP2の内径を調節することで、ストローク量の増大倍率〔操作ボタン4の移動量(入力)L2に対する伝達部材5の一端部の移動量(出力)L1の割合〕を調節することができる。
【0074】
さらに、本第2実施形態においても、方向変換機構8(圧力伝達媒体8)の少なくとも一部は、操作ボタン4の他端部がその移動可能範囲の最も他端側に配置されたときにおける操作ボタン4の他端の位置P2よりも、操作ボタン4の一端部(洗面器100の表面)側に配置されるように構成されている。
【0075】
以上、本第2実施形態によれば、操作ボタン4の移動範囲とオーバーラップする領域を有効的に活用して方向変換を行うことができ、洗面器100の背面に対する操作装置1Aの突出量を顕著に小さくすることができる。その結果、操作装置1Aにおいて良好な取付自由度を得ることができる。
【0076】
また、本第2実施形態によれば、比較的簡易な手法により、方向変換機構8を実現することができる。さらに、操作ボタン4の変位を伝達部材5の一端部に対してより確実に伝達することができる。
【0077】
加えて、第1、第2ダイヤフラム91,92により、圧力伝達媒体81の充填される空間をより確実に密閉状態とすることができる。従って、操作ボタン4の移動時に、圧力伝達媒体81が外部へと漏出してしまうといった事態を非常に効果的に防止することができ、操作ボタン4の往復移動を伝達部材5の一端部に対してより一層確実に伝達することができる。
【0078】
さらに、容積調節部93の配置位置を調節し、圧力伝達媒体81が充填される空間の容量(容積)を増減させることで、操作ボタン4の取付後であっても操作ボタン4の移動方向に沿った操作ボタン4の配置位置を調節することができ、操作ボタン4の取付位置の微調整等が可能となる。また、伝達部材5においても、その取付後にその配置位置の調整が可能となる。
【0079】
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
【0080】
(a)上記実施形態において、操作装置1,1Aは、底壁部101に立設された側壁部102に取付けられており、操作ボタン4が略水平方向に移動するように構成されているが、操作装置1,1Aの取付位置や操作ボタン4の移動方向は特に限定されるものではない。従って、例えば、操作装置1,1Aを側壁部102の上端から外周側に延びる部位など、略水平方向に延びる部位に設けることとしてもよく、操作ボタン4が略鉛直方向に移動するように構成してもよい。
【0081】
(b)上記実施形態において、操作装置1,1Aは、取付対象物としての洗面器100に取付けられているが、操作装置1,1Aの取付対象はこれに限定されるものではない。従って、例えば、操作装置1,1Aを、洗面器以外の槽体(例えば、浴槽や流し台等)に取付けてもよいし、槽体の近傍に設けられた構造物(例えば、流し台のカウンタ等)に取付けてもよい。
【0082】
(c)上記実施形態において、操作装置1,1Aはストローク量増大機能を備えているが、ストローク量増大機能を備えないこととしてもよい。
【0083】
(d)上記第1実施形態では、4つの歯車61A,61B,62A,62Bにより方向変換機構6が構成されているが、方向変換機構を構成する歯車の数は特に限定されるものではない。従って、例えば、第1ラック部43及び第2ラック部51に噛合される1つの歯車により方向変換機構を構成してもよい。
【0084】
(e)上記第2実施形態において、伝達部材5の一端部(小径部53)は操作ボタン4側に配置されているが、例えば、取付部材7を長尺とするとともに、操作ボタン4の変位を支持軸107(栓蓋106)側へと伝達する伝達経路の大部分が圧力伝達媒体81からなるように構成することで、伝達部材5の一端部が栓蓋106(排水口104)側に配置されるように構成してもよい。尚、この場合、伝達部材5の一端部(小径部53)、及び、これが配置される第2空間SP2は、栓蓋106(排水口104)側に配置されることとなり、伝達部材5の一端部と操作ボタン4との間に位置し取付部材7の内部に充填された圧力伝達媒体81によって、操作ボタン4の変位が伝達部材5の一端部側へと伝達される。また、この場合における長尺化された取付部材は、例えば、別部材(例えば、パイプ等であり、この内部には、操作ボタン4の変位を伝達部材5の一端部側へと伝達するための圧力伝達媒体等が充填される)が取付けられてなるものであってもよいし、一部材で形成されたものであってもよい。
【0085】
(f)上記実施形態において、操作ボタン4の被操作部41は洗面器100の表面から常に突出するように構成されているが、ガイド部材2の内周に被操作部41が配置され得る構成とし、被操作部41が洗面器100の表面から非突出となり得るように構成してもよい。
【0086】
(g)上記実施形態では、操作ボタン4を押引き動作させることで、排水口104が開閉するように構成されているが、操作ボタン4の変位を支持軸107(栓蓋106)側へと伝達する伝達経路に、スラストロック機構等を有するメカボックスを介在させ、操作ボタン4の押動により、排水口104の開放・閉鎖が交互に行われるように構成してもよい。尚、メカボックスは、操作ボタン4を押動する度に、排水口104を開放する際の位置へと伝達部材5を移動させた状態で伝達部材5をロックすること、及び、ロック解除に伴い排水口104を閉鎖する際の位置へと伝達部材5を移動させることを交互に行う機能を有する。また、メカボックスは、例えば、前記接続部材56の内部や栓蓋106の直下(支持軸107が設けられる部位)などに設けることができる。
【0087】
(h)上記第2実施形態では、圧力伝達媒体81が充填される空間をより確実に密閉状態とするために、ダイヤフラム部91,92が設けられているが、例えば、大径部44や小径部53の外周に弾性変形可能なシール部材を設けるとともに、当該シール部材を取付部材7の内周面に接触させることで、圧力伝達媒体81の充填される空間が密閉状態となるように構成してもよい。但し、大径部44及び小径部53の円滑な移動を図り、良好な操作性を得るという面では、上記第2実施形態のように、大径部44及び小径部53と取付部材7との間に隙間を設け、ダイヤフラム部91,92によって圧力伝達媒体81が充填される空間を密閉状態とする方が好ましい。