【実施例】
【0027】
図1〜
図3は本発明に係るアスファルト舗装機械の実施例を示すもので、
図1はそのアスファルト舗装機械の正面図、
図2は同上アスファルト舗装機械の前部構造を示す側面図、
図3は同上アスファルト舗装機械の前部構造を示す平面図である。以下の説明において、
図2の左右方向左側を装置の前後方向前方、右側を後方とし、また上下方向を上下、紙面に垂直な方向を左右として説明する。
【0028】
同図において、アスファルト舗装機械としてのグースアスファルトフィニッシャ10は、舗装用材料であるグースアスファルト合材を収容するための合材ホッパ11を前側に配設した舗装機本体としての走行車体12(以下、「舗装機本体12」という)と、この舗装機本体12に左右のレベリングアーム13で牽引され、グースアスファルト合材を敷き均して施工基面(舗装面)を平滑に仕上げる左右で一対のスクリード装置(図示せず)等により構成される。
【0029】
また、前記舗装機本体12には、合材ホッパ11内のグースアスファルト合材を該舗装機本体12の後側へ搬送するコンベア(図示せず)が、該舗装機本体12のほぼ全長に亘って設けられている。
【0030】
図1に示すように、前記舗装機本体12の後側上部には、オペレータステーション14が設けられており、そのオペレータステーション14の床面14a上には、グースアスファルトフィニッシャ11のハンドル15の操作を行うオペレータが座る運転席(図示せず)が取り付けられている。
【0031】
図3に示すように、前記合材ホッパ11は平面視四角形をなし、半液体で流動性のあるグースアスファルト合材を内部に溜めることができるように概略箱形をした深いホッパとして形成されている。また、前側上面の合材投入口部18を形成している部分には開閉可能な1対の蓋16、16が設けられ、合材投入部18を除いた後側上面にはベンチレーション17が取り付けられている。
【0032】
前記1対の蓋16は、作業時に開放されて、合材投入口部18を通して合材ホッパ11内にグースアスファルト合材の供給を可能にしている。
【0033】
図1〜
図3に示すように、前記ベンチレーション17は、煙霧吸い込みダクト19と送風機20とを備えている。
【0034】
その送風機20は、シロッコファンであり、吸気口22a及び排気口22bを有するスクロール状のケーシング22の中央部分に、モータ25(
図2参照)で回転されるファンとしての羽根車23を有し、そのモータ25の駆動により羽根車23が回転されると、ケーシング22内に吸気口22aから空気を吸い込み、その吸い込んだ空気を排気口22bから吐き出す空気流を生成する。
【0035】
前記煙霧吸い込みダクト19は、下端側に吸い込み口19aを設け、上端側に排気口19bを設けてなる筒状材であり、合材ホッパ11上に立設された状態にして取り付けられる。また、この煙霧吸い込みダクト19は、好ましくは、その上端側の排気口19bの位置が、オペレータステーション14に取り付けられた運転席に座るオペレータよりも高い上方の位置に配置されて、煙霧の上昇気流によるドラフト効果で送風機20におけるファンの吸い込みと煙霧排出を助けることができる構成にする。
【0036】
更に詳述すると、前記煙霧吸い込みダクト19は、概略四角錐形をなし、吸い込み口19aを設けた下端側の左右の幅が、合材ホッパ11の左右の幅と略等しく形成されている。したがって、煙霧吸い込みダクト19は、合材ホッパ11上に、合材投入口部18を除いた他の上面部の略全体を覆い、また合材ホッパ11の開口周縁に密着した状態で、該合材ホッパ11に固定して取り付けられている。一方、排気口19bを設けた上端側における前後・左右の幅は、吸い込み口19aを設けた下端側よりも小さく形成されている。そして、その排気口19bの周縁部分に、送風機20におけるケーシング22の吸気口22aを連結させて、煙霧吸い込みダクト19に前記送風機20が取り付けられている。なお、煙霧吸い込みダクト19の下端側は、必ずしも、合材ホッパ11の合材投入口部18を除いた他の上面部の略全体を覆って取り付けられていなくても、合材ホッパ11内から立ち上る煙霧を吸い込める状態であれば、合材ホッパ11の上部近傍に取り付けられていてもよい。
【0037】
また、
図1に示すように、煙霧吸い込みダクト19の前壁には、断面扇形のフード状をした開閉カバー26と、この開閉カバー26で開閉される補助吸い込み口19cが設けられている。その開閉カバー26は、
図2に示すように、上端側が煙霧吸い込みダクト19に枢軸27を介して回動可能に取り付けられ、下端側が補助吸い込み口19cから煙霧吸い込みダクト19内に出し入れ可能になっている。さらに、その開閉カバー26は、休止中、
図2中に2点鎖線で示すように補助吸い込み口19cから煙霧吸い込みダクト19内に押し込み収容されて補助吸い込み口19cを閉じた状態にされている。また、作業時には、
図2中に実線で示すように煙霧吸い込みダクト19内から引き出され、補助吸い込み口19cの上側に張り出した状態で使用される。そして、作業時、吸い込み口19aから煙霧吸し込みダクト19内に吸い込まれずに、該煙霧吸し込みダクト19の前壁に沿って逃げる煙霧の一部を開閉カバー26で捕捉し、この捕捉した煙霧を補助吸い込み口19cを通して該煙霧吸い込みダクト19内に取り込めるようにしたものである。
【0038】
したがって、煙霧吸い込みダクト19は、送風機20が駆動されて羽根車23が回転されると、その送風機20で生起される空気流により吸い込み口19a及び補助吸い込み口19cから煙霧を吸い込み、これを排気口19bから排気できる。また、排気口19bから排気された煙霧は、排気口22aからケーシング22内に入り、更に排気口22bから大気中に向けて放出されるようになっている。
【0039】
なお、前記送風機20は、煙霧吸い込みダクト19を軸にして水平方向に旋回可能、すなわち煙霧吸い込みダクト19に対して回動可能に取り付けられており、この回動により、送風機20におけるケーシング22の排気口の向きを、風向きや作業環境等に応じて略360度調整できるようになっている。
【0040】
次に、そのベンチレーション17を備えたグースアスファルトフィニッシャ11において、合材ホッパ11内でグースアスファルト合材から発生する煙霧を排出処理する作用を説明する。
【0041】
まず、グースアスファルトフィニッシャ11は、作業時には蓋16を開けて合材投入口18を開放した状態とし、ダンプカー等によって運ばれたグースアスファルト合材が合材ホッパ11内に投入される。また、送風機20が駆動されて羽根車23を回転させる。送風機20の羽根車23が回転を開始すると、煙霧吸い込みダクト19の吸い込み口19a側から送風機20側に流れる空気流が生成される。これにより、外気が合材ホッパ内11内を通って煙霧吸い込みダクト19内に、煙霧の誘引を伴って強制的に吸い込まれる。また、吸い込み口19aから煙霧吸し込みダクト19内に吸い込まれずに、該煙霧吸し込みダクト19の前壁に沿って逃げる煙霧の一部は、開閉カバー26が開けられている補助吸い込み口19cで捕捉されて該煙霧吸い込みダクト19内に取り込まれる。そして、これら煙霧吸い込みダクト19内に吸い込まれた外気と煙霧は、送風機20のケーシング22内を通って排気口22bから大気中に排出されて消失する。
【0042】
したがって、本実施例におけるベンチレーション17を備えたグースアスファルトフィニッシャ10によれば、合材ホッパ11内に発生する煙霧を、合材ホッパ11内に取り入れる外気と共に、煙霧吸い込みダクト19と送風機20を通って外部に効率良く、かつオペレータ等の身体及び機械操作に影響の少ない方向へ排出することができるので、作業環境の改善に寄与できる。
【0043】
また、前記送風機20は、煙霧吸い込みダクト19を軸にして水平方向に旋回可能で、煙霧吸い込みダクト19に対して回動可能に取り付けられているので、この回動により送風機20におけるケーシング22の排気口22bの向きを、風向きや作業環境等に応じて略360度調整できる。これにより、更に作業環境の改善に寄与できる。
【0044】
さらに、煙霧吸い込みダクト19の前壁に開閉カバー26と補助吸い込み口19cを設けているので、煙霧吸い込みダクト19の前壁に沿って逃げる煙霧の一部を、開閉カバー26と補助吸い込み口19cで捕捉し、これを煙霧吸い込みダクト19内に取り込むことができるので、煙霧を効率良く処理することができる。
【0045】
また、さらに煙霧吸い込みダクト19の上端側の排出口を高く上方の位置に設けて、煙霧の上昇気流によるドラフト効果でファンの吸い込みと煙霧排出を助けることができるようにしているので、合材ホッパ内に発生する煙霧を外気と共に、煙霧吸い込みダクトと送風機を通って外部に効率良く排出することができる。
【0046】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。