特許第6223148号(P6223148)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223148
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】アスファルト舗装機械
(51)【国際特許分類】
   E01C 19/48 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   E01C19/48 A
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-244102(P2013-244102)
(22)【出願日】2013年11月26日
(65)【公開番号】特開2015-101898(P2015-101898A)
(43)【公開日】2015年6月4日
【審査請求日】2016年5月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000232508
【氏名又は名称】日本道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(74)【代理人】
【識別番号】100060575
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉
(72)【発明者】
【氏名】中村 啓介
(72)【発明者】
【氏名】上田 剛
【審査官】 竹村 真一郎
(56)【参考文献】
【文献】 特表2001−526751(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3154152(JP,U)
【文献】 特開平08−081912(JP,A)
【文献】 特開平08−041814(JP,A)
【文献】 米国特許第05938371(US,A)
【文献】 米国特許第05443325(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01C 19/00−19/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、
吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側を前記合材ホッパの上部近傍に設けるとともに、上端側の前記排気口を上方に配した煙霧吸い込みダクトと、
前記煙霧吸い込みダクトの内部にファンを配設して取り付けられた送風機と、
を設けたベンチレーションを備え
前記送風機は、前記合材ホッパの上方に位置することを特徴とするアスファルト舗装機械。
【請求項2】
後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に一体移動可能に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、
吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側で少なくとも前記合材ホッパの上面開口の一部を覆うとともに、上端側の前記排気口を上方に配して、前記合材ホッパに取り付けられた煙霧吸い込みダクトと、
吸い込み口と排気口を設けて内部にファンを配設してなるとともに、一端側の前記吸い込み口を前記煙霧吸い込みダクトの排気口に連結し、かつ他端側の前記排気口を大気中に向けて、前記煙霧吸い込みダクトに取り付けられた送風機と、
を設けたベンチレーションを備え
前記送風機は、前記合材ホッパの上方に位置することを特徴とするアスファルト舗装機械。
【請求項3】
後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に一体移動可能に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、
吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側で少なくとも前記合材ホッパの上面開口の一部を覆うとともに、上端側の前記排気口を上方に配して、前記合材ホッパに取り付けられた煙霧吸い込みダクトと、
吸い込み口と排気口を設けて内部にファンを配設してなるとともに、一端側の前記吸い込み口を前記煙霧吸い込みダクトの排気口に連結し、かつ他端側の前記排気口を大気中に向けて、前記煙霧吸い込みダクトに取り付けられた送風機と、
を設けたベンチレーションを備え、
前記送風機は、前記煙霧吸い込みダクトに対して回動可能に取り付けられ、該回動により前記排気口の向きを調整可能にしてなることを特徴とするアスファルト舗装機械。
【請求項4】
後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、
吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側を前記合材ホッパの上部近傍に設けるとともに、上端側の前記排気口を上方に配した煙霧吸い込みダクトと、
前記煙霧吸い込みダクトの内部にファンを配設して取り付けられた送風機と、
を設けたベンチレーションを備え、
前記煙霧吸い込みダクトは、前壁に、前記合材ホッパからの煙霧を捕捉する開閉カバーと、該開閉カバーにより開閉され、該開閉カバーで捕捉された煙霧を該煙霧吸い込みダクト内に取り込み可能な補助吸い込み口を設けてなることを特徴とするアスファルト舗装機械。
【請求項5】
後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、
吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側を前記合材ホッパの上部近傍に設けるとともに、上端側の前記排気口を上方に配した煙霧吸い込みダクトと、
前記煙霧吸い込みダクトの内部にファンを配設して取り付けられた送風機と、
を設けたベンチレーションを備え、
煙霧吸い込みダクトの上端側の排気口を高く上方に配置し、煙霧の上昇気流によるドラフト効果でファンの吸い込みと煙霧排出を助けることができるようにしたことを特徴とするアスファルト舗装機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はアスファルト舗装機械に関するものであり、特に、アスファルト合材から発散する有害な煙霧(ヒューム)の、舗装機械を操作するオペレータ等に対する影響を低減させる対策を施してなるアスファルト舗装機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、アスファルト合材を施工基面上に敷設して硬い道路表面を形成するのに、アスファルトフィニッシャ等のアスファルト舗装機械が使用されている。
【0003】
一般に、この種のアスファルト舗装機械は、後側上部に運転席を設けたオペレータステーションを有する舗装機本体と、該舗装機本体の前側に配設された合材を収容する合材ホッパと、該舗装機本体内に設けられて前記合材ホッパ内のアスファルト合材を該舗装機本体の後側へ搬送するフィーダ装置と、該フィーダ装置により送られて来たアスファルト合材を前記舗装機本体の後側で施工基面(舗装面)上に撒き拡げるスクリューと、該スクリューで撒き拡げられたアスファルト合材を所定の厚さに引き均すスクリード装置等を備え、前記合材ホッパ内のアスファルト合材を前記フィーダ装置で前記スクリュー上へ搬送し、そのアスファルト合材を該スクリューにて施工基面上に所定の舗装幅で均一に敷き並べた後、前記スクリード装置により所定の厚さに敷き均すようになっている。
【0004】
このようなアスファルト合材を使用するアスファルト舗装機械での欠点は、アスファルト合材が加熱されたときに、アスファルト合材中に含まれる石油蒸留生成物が悪臭等を有する煙霧を発生することにある。特に、グースアスファルト混合物を使用したグースアスファルト舗装では、通常の道路等に使用されるアスファルト合材より高温で敷き均すために、通常のアスファルト合材のときに比べて煙霧が多く発生する。また、この煙霧には、窒素、硫黄、ベンゼン、及び他の炭化水素物質を含んでいる。これら物質の多くは、アスファルト舗装機械の極近くで長時間過ごす、アスファルト舗装機械を運転しているオペレータの身体に害を及ぼす虞がある。さらに、その発生した煙霧により、アスファルト舗装機械周辺の作業者の視認性や、対向車の視認性が悪化し、事故を誘発する危険性がある。
【0005】
そこで、従来、舗装機本体の前面と合材ホッパとの間に、合材ホッパ内で発生した煙霧を送風機による風圧で吸い込むダクトを設け、その煙霧吸い込みダクトで吸い込んだ煙霧を排気ダクトで排気を通して排気する排煙装置を設けたアスファルト舗装機械が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2001−526751号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1記載の発明の構造のように、舗装機本体の前面と合材ホッパとの間に、合材ホッパ内で発生した煙霧を送風機による風圧でダクト内に吸い込む構造では、合材ホッパ内におけるアスファルト合材と煙霧吸い込みダクトの煙霧吸い込み口との距離が大きく離れた状態にあるので、風の影響を受けやすく、煙霧を十分に捕捉することができないという問題点があった。
【0008】
また、吸い込み効率が悪いので大容量の高価なファンを必要とし、構造も複雑になる。このため、コストが高くなるという問題もあった。
【0009】
そこで、合材ホッパ内で発生する煙霧を効率良く排して、オペレータに対する煙霧の影響等を低減することが可能なアスファルト舗装機械を提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側を前記合材ホッパの上部近傍に設けるとともに、上端側の前記排気口を上方に配した煙霧吸い込みダクトと、前記煙霧吸い込みダクトの内部にファンを配設して取り付けられた送風機と、を設けたベンチレーションを備え、前記送風機は、前記合材ホッパの上方に位置するアスファルト舗装機械を提供する。
【0011】
この構成によれば、送風機を駆動すると、煙霧吸い込みダクトの吸い込み口からベンチレーション内に、外気が合材ホッパの上部近傍における煙霧を引き連れて吸い込まれる。そして、これが煙霧吸い込みダクトと送風機を通って、さらに送風機の排気口から大気中に排出される空気流ができる。したがって、その空気流により、合材ホッパ内のアスファルト合材で発生した煙霧を、オペレータ等の身体及び機械操作に影響の少ない方向に向けて排出し、大気中で消失させることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に一体移動可能に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側で少なくとも前記合材ホッパの上面開口の一部を覆うとともに、上端側の前記排気口を上方に配して、前記合材ホッパに取り付けられた煙霧吸い込みダクトと、吸い込み口と排気口を設けて内部にファンを配設してなるとともに、一端側の前記吸い込み口を前記煙霧吸い込みダクトの排気口に連結し、かつ他端側の前記排気口を大気中に向けて、前記煙霧吸い込みダクトに取り付けられた送風機と、を設けたベンチレーションを備え、前記送風機は、前記合材ホッパの上方に位置するアスファルト舗装機械を提供する。
【0013】
この構成によれば、送風機を駆動すると、合材ホッパ内を通り、かつ、煙霧吸い込みダクトの吸い込み口からベンチレーション内に、外気がその合材ホッパ内の煙霧を引き連れて吸い込まれる。そして、これが煙霧吸い込みダクトと送風機を通って、さらに送風機の排気口から大気中に排出される空気流ができる。したがって、その空気流により、合材ホッパ内のアスファルト合材で発生した煙霧を、オペレータ等の身体及び機械操作に影響の少ない方向に向けて排出し、大気中で消失させることができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に一体移動可能に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側で少なくとも前記合材ホッパの上面開口の一部を覆うとともに、上端側の前記排気口を上方に配して、前記合材ホッパに取り付けられた煙霧吸い込みダクトと、吸い込み口と排気口を設けて内部にファンを配設してなるとともに、一端側の前記吸い込み口を前記煙霧吸い込みダクトの排気口に連結し、かつ他端側の前記排気口を大気中に向けて、前記煙霧吸い込みダクトに取り付けられた送風機と、を設けたベンチレーションを備え、前記送風機は、前記煙霧吸い込みダクトに対して回動可能に取り付けられ、回動により前記排気口の向きを調整可能にしてなる、アスファルト舗装機械を提供する。
【0015】
この構成によれば、風の向き等に応じて送風機を回動させ、送風機の排出口の向きを調整すると、さらにオペレータ等の身体及び機械操作に影響の少ない方向に向けて煙霧を排出することができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側を前記合材ホッパの上部近傍に設けるとともに、上端側の前記排気口を上方に配した煙霧吸い込みダクトと、前記煙霧吸い込みダクトの内部にファンを配設して取り付けられた送風機と、を設けたベンチレーションを備え、前記煙霧吸い込みダクトは、前壁に、前記合材ホッパからの煙霧を捕捉する開閉カバーと、該開閉カバーにより開閉され、該開閉カバーで捕捉された煙霧を該煙霧吸い込みダクト内に取り込み可能な補助吸い込み口を設けてなる、アスファルト舗装機械を提供する。
【0017】
この構成によれば、作業中に煙霧吸込ダクトの前壁に設けられた開閉カバーを開けておくと、煙霧吸込ダクトの前壁に沿って逃げた煙霧の一部は、開閉カバーで捕捉され、更に、捕捉された煙霧を補助吸い込み口から煙霧吸い込みダクト内に取り込むことができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側を前記合材ホッパの上部近傍に設けるとともに、上端側の前記排気口を上方に配した煙霧吸い込みダクトと、前記煙霧吸い込みダクトの内部にファンを配設して取り付けられた送風機と、を設けたベンチレーションを備え、煙霧吸い込みダクトの上端側の排気口を高く上方に配置し、煙霧の上昇気流によるドラフト効果でファンの吸い込みと煙霧排出を助けることができるようにした、アスファルト舗装機械を提供する。
【0019】
この構成によれば、煙霧吸い込みダクトの上端側の排気口を高く上方の位置に配置させて設けているので、煙霧の上昇気流によるドラフト効果でファンの吸い込みと煙霧排出を助けることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、送風機を駆動すると、合材ホッパ内に外気を取り入れ、合材ホッパ内に発生する煙霧を、外気と共に、煙霧吸い込みダクトと送風機を通って外部に効率良く、かつオペレータ等の身体及び機械操作に影響の少ない方向へ排出することができるので、作業環境の改善に寄与できる。
【0021】
また、送風機の排出口の向きを調整することができるので、さらにオペレータ等の身体及び機械操作に影響の少ない方向に向けて煙霧を排出することができる。
【0022】
さらに、煙霧吸い込みダクトの前壁に沿って逃げた煙霧の一部を、開閉カバーと補助吸い込み口で捕捉し、これを煙霧吸い込みダクト内に取り込んで処理をすることができるので、煙霧を効率良く処理することができる。
【0023】
また、さらに煙霧吸い込みダクトの上端側の排気口を高く上方の位置に設けて、煙霧の上昇気流によるドラフト効果でファンの吸い込みと煙霧排出を助けることができるようにしているので、合材ホッパ内に発生する煙霧を外気と共に、煙霧吸い込みダクトと送風機を通って外部に効率良く排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態に係るアスファルト舗装機械の正面図。
図2】同上アスファルト舗装機械の前部構造を説明する側面図。
図3】同上アスファルト舗装機械の前部構造を説明する平面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は合材ホッパ内で発生する煙霧を効率良く排して、オペレータに対する煙霧の影響等を低減することが可能なアスファルト舗装機械を提供するという目的を達成するために、後側上部にオペレータステーションを設けた舗装機本体と、該舗装機本体の前側に配設された合材ホッパを備えるアスファルト舗装機械において、吸い込み口と排気口を有し、前記吸い込み口を有する下端側を前記合材ホッパの上部近傍に設けるとともに、上端側の前記排気口を上方に配した煙霧吸い込みダクトと、前記煙霧吸い込みダクトの内部にファンを配設して取り付けられた送風機と、を設けたベンチレーションを備え、前記送風機は、前記合材ホッパの上方に位置する、ことにより実現した。
【0026】
以下、本発明の実施形態によるアスファルト舗装機械の実施例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0027】
図1図3は本発明に係るアスファルト舗装機械の実施例を示すもので、図1はそのアスファルト舗装機械の正面図、図2は同上アスファルト舗装機械の前部構造を示す側面図、図3は同上アスファルト舗装機械の前部構造を示す平面図である。以下の説明において、図2の左右方向左側を装置の前後方向前方、右側を後方とし、また上下方向を上下、紙面に垂直な方向を左右として説明する。
【0028】
同図において、アスファルト舗装機械としてのグースアスファルトフィニッシャ10は、舗装用材料であるグースアスファルト合材を収容するための合材ホッパ11を前側に配設した舗装機本体としての走行車体12(以下、「舗装機本体12」という)と、この舗装機本体12に左右のレベリングアーム13で牽引され、グースアスファルト合材を敷き均して施工基面(舗装面)を平滑に仕上げる左右で一対のスクリード装置(図示せず)等により構成される。
【0029】
また、前記舗装機本体12には、合材ホッパ11内のグースアスファルト合材を該舗装機本体12の後側へ搬送するコンベア(図示せず)が、該舗装機本体12のほぼ全長に亘って設けられている。
【0030】
図1に示すように、前記舗装機本体12の後側上部には、オペレータステーション14が設けられており、そのオペレータステーション14の床面14a上には、グースアスファルトフィニッシャ11のハンドル15の操作を行うオペレータが座る運転席(図示せず)が取り付けられている。
【0031】
図3に示すように、前記合材ホッパ11は平面視四角形をなし、半液体で流動性のあるグースアスファルト合材を内部に溜めることができるように概略箱形をした深いホッパとして形成されている。また、前側上面の合材投入口部18を形成している部分には開閉可能な1対の蓋16、16が設けられ、合材投入部18を除いた後側上面にはベンチレーション17が取り付けられている。
【0032】
前記1対の蓋16は、作業時に開放されて、合材投入口部18を通して合材ホッパ11内にグースアスファルト合材の供給を可能にしている。
【0033】
図1図3に示すように、前記ベンチレーション17は、煙霧吸い込みダクト19と送風機20とを備えている。
【0034】
その送風機20は、シロッコファンであり、吸気口22a及び排気口22bを有するスクロール状のケーシング22の中央部分に、モータ25(図2参照)で回転されるファンとしての羽根車23を有し、そのモータ25の駆動により羽根車23が回転されると、ケーシング22内に吸気口22aから空気を吸い込み、その吸い込んだ空気を排気口22bから吐き出す空気流を生成する。
【0035】
前記煙霧吸い込みダクト19は、下端側に吸い込み口19aを設け、上端側に排気口19bを設けてなる筒状材であり、合材ホッパ11上に立設された状態にして取り付けられる。また、この煙霧吸い込みダクト19は、好ましくは、その上端側の排気口19bの位置が、オペレータステーション14に取り付けられた運転席に座るオペレータよりも高い上方の位置に配置されて、煙霧の上昇気流によるドラフト効果で送風機20におけるファンの吸い込みと煙霧排出を助けることができる構成にする。
【0036】
更に詳述すると、前記煙霧吸い込みダクト19は、概略四角錐形をなし、吸い込み口19aを設けた下端側の左右の幅が、合材ホッパ11の左右の幅と略等しく形成されている。したがって、煙霧吸い込みダクト19は、合材ホッパ11上に、合材投入口部18を除いた他の上面部の略全体を覆い、また合材ホッパ11の開口周縁に密着した状態で、該合材ホッパ11に固定して取り付けられている。一方、排気口19bを設けた上端側における前後・左右の幅は、吸い込み口19aを設けた下端側よりも小さく形成されている。そして、その排気口19bの周縁部分に、送風機20におけるケーシング22の吸気口22aを連結させて、煙霧吸い込みダクト19に前記送風機20が取り付けられている。なお、煙霧吸い込みダクト19の下端側は、必ずしも、合材ホッパ11の合材投入口部18を除いた他の上面部の略全体を覆って取り付けられていなくても、合材ホッパ11内から立ち上る煙霧を吸い込める状態であれば、合材ホッパ11の上部近傍に取り付けられていてもよい。
【0037】
また、図1に示すように、煙霧吸い込みダクト19の前壁には、断面扇形のフード状をした開閉カバー26と、この開閉カバー26で開閉される補助吸い込み口19cが設けられている。その開閉カバー26は、図2に示すように、上端側が煙霧吸い込みダクト19に枢軸27を介して回動可能に取り付けられ、下端側が補助吸い込み口19cから煙霧吸い込みダクト19内に出し入れ可能になっている。さらに、その開閉カバー26は、休止中、図2中に2点鎖線で示すように補助吸い込み口19cから煙霧吸い込みダクト19内に押し込み収容されて補助吸い込み口19cを閉じた状態にされている。また、作業時には、図2中に実線で示すように煙霧吸い込みダクト19内から引き出され、補助吸い込み口19cの上側に張り出した状態で使用される。そして、作業時、吸い込み口19aから煙霧吸し込みダクト19内に吸い込まれずに、該煙霧吸し込みダクト19の前壁に沿って逃げる煙霧の一部を開閉カバー26で捕捉し、この捕捉した煙霧を補助吸い込み口19cを通して該煙霧吸い込みダクト19内に取り込めるようにしたものである。
【0038】
したがって、煙霧吸い込みダクト19は、送風機20が駆動されて羽根車23が回転されると、その送風機20で生起される空気流により吸い込み口19a及び補助吸い込み口19cから煙霧を吸い込み、これを排気口19bから排気できる。また、排気口19bから排気された煙霧は、排気口22aからケーシング22内に入り、更に排気口22bから大気中に向けて放出されるようになっている。
【0039】
なお、前記送風機20は、煙霧吸い込みダクト19を軸にして水平方向に旋回可能、すなわち煙霧吸い込みダクト19に対して回動可能に取り付けられており、この回動により、送風機20におけるケーシング22の排気口の向きを、風向きや作業環境等に応じて略360度調整できるようになっている。
【0040】
次に、そのベンチレーション17を備えたグースアスファルトフィニッシャ11において、合材ホッパ11内でグースアスファルト合材から発生する煙霧を排出処理する作用を説明する。
【0041】
まず、グースアスファルトフィニッシャ11は、作業時には蓋16を開けて合材投入口18を開放した状態とし、ダンプカー等によって運ばれたグースアスファルト合材が合材ホッパ11内に投入される。また、送風機20が駆動されて羽根車23を回転させる。送風機20の羽根車23が回転を開始すると、煙霧吸い込みダクト19の吸い込み口19a側から送風機20側に流れる空気流が生成される。これにより、外気が合材ホッパ内11内を通って煙霧吸い込みダクト19内に、煙霧の誘引を伴って強制的に吸い込まれる。また、吸い込み口19aから煙霧吸し込みダクト19内に吸い込まれずに、該煙霧吸し込みダクト19の前壁に沿って逃げる煙霧の一部は、開閉カバー26が開けられている補助吸い込み口19cで捕捉されて該煙霧吸い込みダクト19内に取り込まれる。そして、これら煙霧吸い込みダクト19内に吸い込まれた外気と煙霧は、送風機20のケーシング22内を通って排気口22bから大気中に排出されて消失する。
【0042】
したがって、本実施例におけるベンチレーション17を備えたグースアスファルトフィニッシャ10によれば、合材ホッパ11内に発生する煙霧を、合材ホッパ11内に取り入れる外気と共に、煙霧吸い込みダクト19と送風機20を通って外部に効率良く、かつオペレータ等の身体及び機械操作に影響の少ない方向へ排出することができるので、作業環境の改善に寄与できる。
【0043】
また、前記送風機20は、煙霧吸い込みダクト19を軸にして水平方向に旋回可能で、煙霧吸い込みダクト19に対して回動可能に取り付けられているので、この回動により送風機20におけるケーシング22の排気口22bの向きを、風向きや作業環境等に応じて略360度調整できる。これにより、更に作業環境の改善に寄与できる。
【0044】
さらに、煙霧吸い込みダクト19の前壁に開閉カバー26と補助吸い込み口19cを設けているので、煙霧吸い込みダクト19の前壁に沿って逃げる煙霧の一部を、開閉カバー26と補助吸い込み口19cで捕捉し、これを煙霧吸い込みダクト19内に取り込むことができるので、煙霧を効率良く処理することができる。
【0045】
また、さらに煙霧吸い込みダクト19の上端側の排出口を高く上方の位置に設けて、煙霧の上昇気流によるドラフト効果でファンの吸い込みと煙霧排出を助けることができるようにしているので、合材ホッパ内に発生する煙霧を外気と共に、煙霧吸い込みダクトと送風機を通って外部に効率良く排出することができる。
【0046】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明はグースアスファルトフィニッシャに適用して説明したが、広く一般のアスファルト舗装機械にも応用できる。
【符号の説明】
【0048】
10 グースアスファルトフィニッシャ(アスファルト舗装機械)
11 合材ホッパ
12 舗装機本体
13 レベリングアーム
14 オペレータステーション
14a 床面
15 ハンドル
16 蓋
17 ベンチレーション
18 合材投入口部
19 煙霧吸い込みダクト
19a 吸い込み口
19b 排気口
19c 補助吸い込み口
20 送風機
21 排気ダクト
21a 下側面
22 ケーシング
22b 排気口
23 羽根車(ファン)
25 モータ
26 開閉カバー
27 枢軸
図1
図2
図3