特許第6223190号(P6223190)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223190
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】保存容器セット
(51)【国際特許分類】
   B65D 43/06 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   B65D43/06
【請求項の数】5
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-550903(P2013-550903)
(86)(22)【出願日】2012年1月30日
(65)【公表番号】特表2014-507343(P2014-507343A)
(43)【公表日】2014年3月27日
(86)【国際出願番号】EP2012051476
(87)【国際公開番号】WO2012101288
(87)【国際公開日】20120802
【審査請求日】2014年9月24日
(31)【優先権主張番号】102011000392.4
(32)【優先日】2011年1月28日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】301050670
【氏名又は名称】エムザ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Emsa GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100099483
【弁理士】
【氏名又は名称】久野 琢也
(72)【発明者】
【氏名】フランツ−イェアク ヴルフ
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 独国実用新案第20320088(DE,U1)
【文献】 英国特許出願公開第02320009(GB,A)
【文献】 特開平07−061457(JP,A)
【文献】 特開平05−330566(JP,A)
【文献】 特開2003−137345(JP,A)
【文献】 特開2006−076602(JP,A)
【文献】 国際公開第2001/044058(WO,A2)
【文献】 特開平06−156518(JP,A)
【文献】 特開平11−171224(JP,A)
【文献】 特開2002−114254(JP,A)
【文献】 特開平09−058715(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第01475313(EP,A2)
【文献】 国際公開第2001/051374(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0051549(US,A1)
【文献】 独国実用新案第202010007217(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/00−43/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラスチック材料から成る、第1の蓋エレメント(30)および第2の蓋エレメント(20)と、上部開口部を有する1つの容器エレメント(10)とを備えた保存容器セット(100;100′)であって、前記容器エレメント(10)は、該容器エレメント(10)の側壁(11)に、外側に向かって突出した少なくとも1つのロック突出部(12)を有しており、該ロック突出部(12)は、該側壁(11)の外側に垂直に取り付けられており、前記ロック突出部(12)の外端部に、下側に向けられた係止プロファイル区分(14)を有しており、
前記第1の蓋エレメント(30)および前記第2の蓋エレメント(20)は、共に、前記容器エレメント(10)の前記上部開口部を外側から覆うように装着される形状であり、
前記第1の蓋エレメント(30)が、前記容器エレメント(10)の前記少なくとも1つのロック突出部(12)に結合するための少なくとも2つの係止クリップ(31)を有しており、該係止クリップ(31)が、それぞれフィルムヒンジを介して前記第1の蓋エレメント(30)の外縁部に結合されている保存容器セットにおいて、
前記第2の蓋エレメント(20)は、前記第1の蓋エレメント(30)と択一的に前記容器エレメント(10)に装着されるものであり、
前記少なくとも1つのロック突出部(12)の前記係止プロファイル区分(14)は、容器鉛直軸線に対してα=15゜〜30゜の角度を成すように角度調整されており、
前記容器エレメント(10)は、55〜75のショアD硬度を有するポリプロピレンコポリマから成っており、前記第2の蓋エレメント(20)は、40〜55のショアD硬度を有するフレキシブルなポリエチレンから成っており、
前記第2の蓋エレメント(20)が、全周に沿って延びる一貫した縁部プロファイル(21)を有していて、該縁部プロファイル(21)は、鉛直方向のプロファイル区分(22)によって前記容器エレメント(10)の前記ロック突出部(12)を外側から取り囲んでおり、前記容器エレメント(10)に前記第2の蓋エレメント(20)が装着されると、前記縁部プロファイル(21)の前記鉛直方向のプロファイル区分(22)の端部に配置されているプロファイル舌片(23)が、前記少なくとも1つのロック突出部(12)の前記係止プロファイル区分(14)に下方からばね弾性的に係合するようになっており、前記プロファイル舌片(23)を備えた前記第2の蓋エレメント(20)の前記鉛直方向のプロファイル区分(22)は、前記少なくとも1つのロック突出部(12)を乗り越える際に、周方向でテンションをかけられることを特徴とする保存容器セット(100;100′)。
【請求項2】
前記第2の蓋エレメント(20)の装着時に、前記少なくとも1つのロック突出部(12)の前記係止プロファイル区分(14)は、前記第2の蓋エレメント(20)に設けられた前記プロファイル舌片(23)によって容器壁(11)の方向に押圧されかつ予荷重をかけられるようになっている、請求項1記載の保存容器セット(100;100′)。
【請求項3】
前記容器エレメント(10)は、60〜70のショアD硬度を有するポリプロピレンコポリマから成っており、前記第2の蓋エレメント(20)は、48ショアD硬度を有するフレキシブルなポリエチレンから成っている、請求項1または2記載の保存容器セット(100;100′)。
【請求項4】
容器壁(11)の外側に沿って、一貫したロック突出部(12)が延びている、請求項1から3までのいずれか1項記載の保存容器セット(100;100′)。
【請求項5】
容器壁の外側に、それぞれ互いに反対の側に位置する少なくとも2対のロック突出部が配置されている、請求項1から3までのいずれか1項記載の保存容器セット(100;100′)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックから成る少なくとも2種の蓋エレメントと、1つの共通の容器エレメントとを備えた保存容器セットであって、前記容器エレメントが、外側に向かって突出した少なくとも1つのロック突出部を有しており、該ロック突出部の外端部が、下側に向けられた係止プロファイル区分(係止異形成形区分)を有しており、第1の蓋エレメントが、前記容器エレメントの前記ロック突出部に結合するための少なくとも2つの係止クリップを有しており、該係止クリップが、それぞれフィルムヒンジ(膜ヒンジ)を介して前記第1の蓋エレメントの外縁部に結合されている保存容器セットに関する。
【0002】
容器と、係止クリップを備えた蓋エレメントとのこのような組合せは、ドイツ連邦共和国実用新案第20320088号明細書に開示されている。これによって、特に確実でかつ密な閉鎖部を得ることができ、このような閉鎖部は、たとえば液状の食品の運搬をも可能にする。係止クリップが閉じられる際には、はっきりと聞き取れる閉鎖音が発生し、この閉鎖音は、確実なロックが行われたことを使用者に報知する。
【0003】
上で挙げた客観的な利点にもかかわらず、係止クリップを閉鎖するために加えられなければならない力は、子供やお年寄りのような特定の消費者層にとっては大き過ぎる。
【0004】
本発明の課題は、冒頭で述べた保存容器セットのために、公知の容器エレメントと組合せ可能であるが、ただし閉鎖時にあまり大きな力を必要とせず、しかも保存容器セット内での容器と蓋とのこのような第2の配置構成においても、使用者のための音響的なフィードバックが生ぜしめられるような第2の蓋エレメントを提供することである。
【0005】
この課題は、本発明によれば、容器エレメントのための第2の蓋エレメントが設けられていて、該第2の蓋エレメントが、全周に沿って延びる一貫した縁部プロファイル(縁部異形成形部)を有していて、該縁部プロファイルは、鉛直方向のプロファイル区分によって、自体公知の前記容器エレメントの前記ロック突出部を外側から取り囲んでいることにより解決される。容器エレメントへの第2の蓋エレメントの装着時では、プロファイル舌片を備えた第2の蓋エレメントのプロファイル区分が、前記ロック突出部を乗り越える際に、周方向でテンションをかけられる。最後に、前記プロファイル舌片が、容器エレメントに設けられた係止突出部の下にばね弾性的に係合する。
【0006】
プリテンション(Vorspannung)は、第2の蓋エレメントの縁部プロファイルの、最も大きく内側に突出した部分が、容器エレメントに設けられたロック突出部の、最も大きく外側に突出したプロファイル区分を乗り越える瞬間に生ぜしめられる。次いで、第2の蓋エレメントのプロファイル舌片がこの地点を乗り越えたときに、プロファイル舌片は、ロック突出部の下方に衝撃的にばね弾性的に係合することができる。隣接した、蓋と容器とに設けられた面範囲は、このときに衝撃的に互いに衝突し合うので、これにより閉鎖音が得られる。
【0007】
この効果は、容器エレメントに蓋エレメントが装着される瞬間に蓋エレメントだけが弾性的にプリテンションをかけられるのではなく、蓋エレメントに設けられたプロファイル舌片によってロック突出部の係止プロファイル区分も側壁の方向に押圧され、ひいては予荷重をかけられることによりさらに増幅され得る。
【0008】
しかし、蓋エレメントの弾性率は、プロファイル舌片の絶対伸びが極めて小さくなるように調節されていると有利である。こうして、使用者は、方形の容器の場合には、常に1つの角隅にしか蓋を被せることができず、全ての角隅に同時に被せることはできなくなる。これにより、使用者は音響的なフィードバックを複数回も聞き取る。
【0009】
容器エレメントにおいて、ロック突出部に設けられた係止プロファイル区分の弾性的な変形を可能にするためには、係止プロファイル区分が、ロック突出部に斜めに結合されていて、この場合に特に容器鉛直軸線に対してα=15〜30゜、特に25゜の角度を成すように斜めに角度調整されて外側下方に向かって延びている。
【0010】
容器エレメントには、側壁の外面に沿って、一貫した1つのロック突出部が延びていてよい。
【0011】
択一的には、側壁の外面に、それぞれ互いに反対の側に位置する少なくとも2対のロック突出部が配置されていてよい。
【0012】
以下に、本発明を図面につき詳しく説明する。図面には、それぞれ保存容器セットの一部として第2の蓋エレメントを備えた容器が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】蓋エレメントを備えた保存容器の斜視図である。
図2】断面図である。
図3図2に示した縁部プロファイルの詳細図である。
図4】蓋を備えた保存容器を上から見た斜視図である。
図5】蓋を備えた保存容器の断面図である。
【0014】
図1には、特に家庭において鮮度保持容器として使用されるような、上方に向かって開いた深皿形の容器エレメント10が図示されている。保存容器セットの合計少なくとも2種の蓋エレメントのうちの1つの蓋エレメント、すなわち第2の蓋エレメント20が装着されている。
【0015】
保存容器の容器エレメント10の図示の実施形態は、外面に一体成形された積重ね補助手段15を有する。複数の容器エレメント10が互いに内外に嵌め合わされる場合、積重ね補助手段15はストッパを形成し、そして容器が互いに内外にひっかかって固着してしまうことを阻止する。さらに、空気循環が可能となる。なぜならば、互いに内外に積み重ねられた容器エレメント10は、もはや互いに対して空気密に閉じないからである。
【0016】
さらに、容器エレメント10は、図示の有利な実施形態では、スケール範囲16を有する。
【0017】
第2の蓋エレメント20は縁部プロファイル21を有する。この縁部プロファイル21は、特に図2に示した断面図ならびに図3に示した縁範囲の拡大図に見えているように、容器エレメント10の縁範囲を完全に取り囲んで把持している。
【0018】
容器エレメント10の側壁11は、終端に上縁13を有する。この上縁13は、特に第2の蓋エレメント20に設けられたシールリングまたはシール面のための当付け部として働く。
【0019】
側壁11の外面には、ロック突出部12が配置されている。このロック突出部12は第1のプロファイル区分によって側壁11に垂直に付設されている。第1のプロファイル区分には、係止プロファイル区分14が続いており、この係止プロファイル区分14は斜め外側に下方に向かって延びていて、容器垂直軸線に対して特に約15〜30゜、特に25゜の角度に調整されている。
【0020】
第2の蓋エレメント20の縁部プロファイル21は、容器エレメント10の上縁13よりも少しだけ低く位置する中央の範囲から、上方へ向かって上縁13よりも上にまで延び、次いで鉛直方向のプロファイル区分22でもって外側で側壁11に対して平行に再び降下して延びており、しかもこの場合、縁部プロファイル21が、容器エレメント10の、外側へ向かって突出した係止プロファイル区分14をも完全に取り囲んで把持するような間隔を持って延びている。
【0021】
プロファイル区分22の下端部は、内側に向けられたプロファイル舌片23を有する。プロファイル舌片23は、必ずしも長尺のプロファイル区分である必要はなく、本実施形態に図示されているような、プロファイル区分22の下端部に設けられた厚肉化された範囲で十分である。
【0022】
このようなプロファイル舌片23は、1本の紐のように1回で、蓋エレメント20の縁部プロファイルの下縁に沿って全周にわたって延びており、そしてプロファイル舌片23が、容器エレメント10に設けられた突出した係止プロファイル区分14もしくは係止舌片を擦過しながら乗り越えようとする際に周方向にテンションをかけられる。プロファイル舌片23がこの点を通過した後に、プロファイル舌片23は衝撃的にリバウンドする。このときに、プロファイル区分22の隣接した範囲が、係止プロファイル区分14もしくは係止舌片に衝突するので、衝突音が発生し、この衝突音は使用者に、容器が確実に閉鎖されたことを報知する。
【0023】
蓋エレメントは、比較的軟質でフレキシブルなプラスチック、たとえば特に40...50ショアD硬度、特に約48ショアD硬度を有するポリエチレンから成っていて、それに対して容器エレメントは、硬質のプラスチック、特に55...75ショアD硬度、特に60...70ショアD硬度を有するポリプロピレンコポリマから成っているので、容器エレメント10の上縁13が蓋エレメント20の軟らかいプラスチックに押圧されると、良好なシールが達成される。上縁13を越えて延びる範囲における蓋エレメントのプロファイル形状は、鉛直方向におけるプリテンションを促進する。すなわち、第2の蓋エレメント20の縁部プロファイルが係止プロファイル区分14の下にばね弾性的に係合すると、音響的なフィードバックを生ぜしめる周方向における短時間の収縮作用が達成されるだけでなく、係止結合が成立している限り、上縁13への蓋エレメント20の永続的な付勢力も達成される。
【0024】
図4には、保存容器セットからの自体公知の第1の蓋エレメント30と容器エレメント10との組合せが示されている。方形の第1の蓋エレメント30は複数の係止クリップ31を有している。
【0025】
図5には、図4に示した組合せが断面図で示されている。第1の蓋エレメント30が押し被される際に、第1の蓋エレメント30の係止縁36が、保存容器に設けられた係止プロファイル区分14の先端を通過するやいなや、係止縁36は係止突出部32もしくは係止プロファイル区分の下にひっかかり、これによって第1の蓋エレメント30を容器エレメント10にしっかりと保持する。この場合にも、蓋エレメントに設けられたフレキシブルな範囲34が容器上縁に押圧されることにより、シールが達成される。係止プロファイル区分14を越えて下方へ張り出した端部を引っ張ることによって、係止クリップ31を再び係止解除することができる。
図1
図2
図3
図4
図5