特許第6223197号(P6223197)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223197
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】空気浄化装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 47/06 20060101AFI20171023BHJP
   B01D 47/14 20060101ALI20171023BHJP
   F24F 3/16 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   B01D47/06 A
   B01D47/14
   F24F3/16
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-7647(P2014-7647)
(22)【出願日】2014年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-136630(P2015-136630A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2016年3月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123434
【弁理士】
【氏名又は名称】田澤 英昭
(74)【代理人】
【識別番号】100101133
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 初音
(74)【代理人】
【識別番号】100173934
【弁理士】
【氏名又は名称】久米 輝代
(74)【代理人】
【識別番号】100156351
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 秀央
(72)【発明者】
【氏名】井口 俊丸
【審査官】 宮部 裕一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−062205(JP,A)
【文献】 米国特許第03983190(US,A)
【文献】 特開昭55−039272(JP,A)
【文献】 特表2006−510477(JP,A)
【文献】 実開昭47−025281(JP,U)
【文献】 特開平9−294930(JP,A)
【文献】 特開平10−118484(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 47/06
B01D 47/14
F24F 3/16
B01J 19/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部と連通した空気流入口及び空気流出口を具備する有底状の気液接触室と、
前記気液接触室の底部に設けた貯水槽と、
前記貯水槽から供給された液体を前記気液接触室の内部に散布する散水装置と、
前記散水装置と前記貯水槽の間に介在され、かつ前記空気流入口と前記空気流出口の間に設けられるとともに、前記貯水槽と対向した一面が重力方向に対して傾斜してなる海綿状の充填材と、
前記一面の重力方向に対して最も低い部位から前記貯水槽まで延設された誘導部材と、を具備し、
前記誘導部材は、前記気液接触室とは別部材により構成されており、かつ、前記気液接触室の内部に配置されており、かつ、前記最も低い部位の直下に棒状に垂設された騒音低減用の前記誘導部材である
ことを特徴とする空気浄化装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気浄化装置に関するものであり、特に散水式の空気浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通過空気に散水して、その空気の温度や湿度を調整したり粉塵等を除去する散水式の空気浄化装置(いわゆる「エアワッシャー」)が用いられている。
【0003】
特許文献1の全熱交換器は、排気管路と水溜の間に、傾斜を付けた断熱板を設けている。これにより、排気とエアワッシャ水との熱授受を抑制するとともに、エアワッシャ水の衝突時の微細化を促進している。
【0004】
特許文献2のエアワッシャ式ユニットクーラーは、本体の内部に充填材を設けるとともに、この充填材の風下側面及び風上側面にマット状のフィルターを設けている。これにより、本体からの水飛びを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−204226号公報
【特許文献2】特開平8−75184号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のエアワッシャーは、内部に設けた充填材や断熱板から落ちる水滴が貯水槽に溜まった水に断続的に衝突して、雨音のような騒音が発生する。そのため、静かな環境での使用に適さない課題があった。
【0007】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、充填材から貯水槽への落水による騒音を低減することができる空気浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の空気浄化装置は、外部と連通した空気流入口及び空気流出口を具備する有底状の気液接触室と、気液接触室の底部に設けた貯水槽と、貯水槽から供給された液体を気液接触室の内部に散布する散水装置と、散水装置と貯水槽の間に介在され、かつ空気流入口と空気流出口の間に設けられるとともに、貯水槽と対向した一面が重力方向に対して傾斜してなる海綿状の充填材と、一面の重力方向に対して最も低い部位から貯水槽まで延設された誘導部材と、を具備し、誘導部材は、気液接触室とは別部材により構成されており、かつ、気液接触室の内部に配置されており、かつ、最も低い部位の直下に棒状の垂設された騒音低減用の誘導部材であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
この発明の空気浄化装置によれば、充填材から貯水槽への落水による騒音を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の実施の形態1の空気浄化装置を側面から見た説明図である。
図2】この発明の実施の形態1の他の空気浄化装置を側面から見た説明図である。
図3】この発明の実施の形態1の他の空気浄化装置を側面から見た説明図である。
図4】この発明の実施の形態2の空気浄化装置を側面から見た説明図である。
図5】この発明の実施の形態2の他の空気浄化装置を側面から見た説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1を参照して、この発明の実施の形態1の空気浄化装置について説明する。
図中、1は有底状の気液接触室である。気液接触室1の側壁の一部に、外部と連通した空気流入口2が設けられている。また、気液接触室1の上端部に、外部と連通した空気流出口3が設けられている。
【0012】
空気流出口3には、図示しない送風機が取り付けられている。この送風機は、気液接触室1の内部の空気を空気流出口3から外部に送り出すものである。
【0013】
気液接触室1の底部に、循環タンク(貯水槽)4が設けられている。循環タンク4には、散水用の水(液体)5が溜まるようになっている。
【0014】
循環タンク4には、循環パイプ6の一端部が連通している。循環パイプ6には、循環ポンプ7が設けられている。循環ポンプ7は、循環タンク4に溜まった水5を循環パイプ6の他端部に汲み上げるものである。
【0015】
循環パイプ6の他端部は、気液接触室1の側壁を貫通して気液接触室1の内部に連通しており、この他端部に散水ノズル(散水装置)8が設けられている。散水ノズル8は、循環タンク4から供給された水5を気液接触室1の内部に散布するものである。
【0016】
散水ノズル8と循環タンク4の間に、スポンジ状(海綿状)の充填材9が介在されている。充填材9は、空気流入口2と空気流出口3の間に設けられている。また、充填材9は厚板状に形成されるとともに、散水ノズル8に対向した表面10及び循環タンク4に対向した裏面11が気液接触室1の底面12に対して傾斜して設けられている。これにより、充填材9の裏面11は重力方向に対して傾斜を有している。
【0017】
裏面11の重力方向に対して最も低い一端部(すなわち、底面12に最も近い一端部)から、棒状の誘導部材13が垂下している。誘導部材13は、循環タンク4まで延設されている。
【0018】
このようにして構成された空気浄化装置100の動作について説明する。
まず、図中白抜きの矢印で示す如く、送風機により、空気浄化装置100の外部の空気が空気流入口2から気液接触室1の内部に送り込まれる。送り込まれた空気は、スポンジ状の充填材9の内部を通過する。通過空気は、空気流出口3から空気浄化装置100の外部に送り出される。
【0019】
また、散水ノズル8は、循環タンク4から供給された水5を充填材9に向けて散布する。散布された水5は、充填材9の表面10から内部に浸透していき、最終的に裏面11に達する。このようにして、充填材9の内部で空気と水5が接触する。
【0020】
このとき、充填材9の裏面11が重力方向に対して傾斜していることから、図中点線の矢印で示す如く、裏面11に達した水5は裏面11の傾斜に沿って重力方向に対して最も低い一端部(底面12に最も近い一端部)まで流れる。次いで、裏面11の一端部に達した水5は、棒状の誘導部材13に沿って循環タンク4まで流れる。
【0021】
このように、充填材9の裏面11に達した水5を、裏面11の傾斜及び誘導部材13に沿って流すことで、水滴が裏面11から循環タンク4に落下するのを抑制することができる。
【0022】
以上のように、この実施の形態1の空気浄化装置100は、充填材9の裏面11を重力方向に対して傾斜させている。また、裏面11の重力方向に対して最も低い一端部から循環タンク4まで棒状の誘導部材13が延設されている。
これにより、充填材9の裏面11に達した水5を、裏面11の傾斜及び誘導部材13に沿って流すことで、水滴が裏面11から循環タンク4に落下するのを抑制することができる。その結果、充填材9から循環タンク4への落水による騒音を低減することができる。
【0023】
なお、充填材9の形状は、裏面11が重力方向に対して傾斜したものであれば良く、図1に示す形状に限定されるものではない。図2に示す如く、裏面11aの両端部から中央部に向かうにつれて底面12に近づく傾斜を有する充填材9aを設け、この中央部から循環タンク4まで誘導部材13を延設したものとしてもよい。また、図3に示す如く、裏面11bの中央部から両端部に向かうにつれて底面12に近づく傾斜を有する充填材9bを設け、この両端部から循環タンク4まで誘導部材13a,13bをそれぞれ延設したものとしてもよい。
【0024】
また、誘導部材13の形状は、裏面11から循環タンク4まで水5を誘導するものであればよく、棒状を用いることがよい
【0025】
また、送風機を空気流入口2に取り付けたものとしてもよい。
【0026】
また、空気流出口3に、除滴板を有する調湿装置(いわゆる「デシカントローター」)を取り付けたものとしてもよい。このデシカントローターは、気液接触室1から送り出された空気を連続的に除湿するものである。
【0027】
また、循環タンク4の内部に、電解用電極を設けたものとしてもよい。この電解用電極は、電気分解により次亜塩素酸を発生させて、循環タンク4に溜まった水5の有効塩素濃度の値を一定値に維持するものである。これにより、気液接触室1の内部における雑菌の繁殖を抑制することができる。
【0028】
実施の形態2.
図4を参照して、誘導部材に代えて緩衝材を設けた空気浄化装置について説明する。なお、実施の形態1と同様の構成部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0029】
散水ノズル8と循環タンク4の間に、スポンジ状の充填材9cが介在されている。充填材9cは、空気流入口2と空気流出口3の間に設けられている。
【0030】
充填材9cと循環タンク4の間に、スポンジ状の緩衝材14が介在されている。ここで、充填材9cの裏面11cから循環タンク4に溜まった水5の水面までの距離dに対して、緩衝材14から水面までの距離dが十分小さくなるように緩衝材15を設けるのが好適である。
【0031】
このようにして構成された空気浄化装置103は、実施の形態1の空気浄化装置100と同様に、充填材9cの内部で空気と水5が接触する。
【0032】
このとき、充填材9cの裏面11cから落下した水滴は、緩衝材14に吸収される。次いで、緩衝材14から落下した水滴は、距離dだけ落下して循環タンク4に溜まった水5の水面に衝突する。このようにして、水面に衝突する水滴の勢いを低減することができる。
【0033】
以上のように、この実施の形態2の空気浄化装置103は、充填材9cと循環タンク4の間にスポンジ状の緩衝材14が介在している。
これにより、循環タンク4に溜まった水5の水面に衝突する水滴の勢いを低減することができる。その結果、充填材9cから循環タンク4への落水による騒音を低減することができる。
【0034】
なお、緩衝材14の形状は、図4に示すものに限定されない。図5に示す如く、循環タンク4に対向した裏面11が重力方向に対して傾斜した充填材9を設け、裏面11の重力方向に対して最も低い一端部(循環タンク4に最も近い一端部)と循環タンク4との間にのみ緩衝材14aを介在させたものとしてもよい。
【0035】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、各実施の形態の自由な組み合わせ、あるいは各実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは各実施の形態において任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 気液接触室
2 空気流入口
3 空気流出口
4 循環タンク(貯水槽)
5 水(液体)
6 循環パイプ
7 循環ポンプ
8 散水ノズル(散水装置)
9,9a,9b,9c 充填材
10,10a,10b,10c 表面
11,11a,11b,11c 裏面
12 底面
13,13a,13b 誘導部材
14,14a 緩衝材
100,101,102,103,104 空気浄化装置
図1
図2
図3
図4
図5