(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記蒸気放出部の先端と前記加湿目標位置との間の距離が0.5m〜1mのときに前記風向ガイド部材と前記板状部材の角度差が10°〜30°である請求項3または4に記載の加湿器。
前記蒸気放出部の外周を覆い、前記蒸気放出部よりも前記噴射蒸気を放出すべき方向に突出し、前記蒸気生成部で生成した蒸気および前記送風部より流入した風を搬送する噴射蒸気ダクトを備え、
前記送風ダクトおよび前記風向ガイド部材が前記噴射蒸気ダクトの上方に設けられる請求項1〜9のいずれか1項に記載の加湿器。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付の図面を参照して、本発明を詳細に説明する。各図では、同一又は相当する部分に同一の符号を付している。重複する説明は、適宜簡略化あるいは省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における加湿器100の断面図である。
図2は、本実施の形態における加湿器100の斜視図である。以下、
図1及び
図2を参照して、加湿器100の構成を説明する。なお、特に断りがない限り、
図1の紙面右側を加湿器100の前方とし、
図1の紙面左側を加湿器100の後方として方向を指定する。
【0011】
図1に示すように、加湿器100は、本体の外郭をなす本体ケース1を備えている。
図2に示すように、本体ケース1の上面の後部には、ふた2が着脱自在に取り付けられている。また、本体ケース1の後面には、本体ケース1の外部から内部に空気を取り込むための開口部が形成されている。
【0012】
また、本体ケース1の前面の下部には、操作部3が設けられている。操作部3は、加湿器100の電源SW(図示せず)を備えている。また、操作部3は、加湿器100の周囲の湿度を検出する湿度検出部4を備えている。
【0013】
図2に示すように、本体ケース1の内部の後側には、給水部6が設けられている。給水部6は、その上部が下向きに凹んでいる。また、給水部6には、水位検知部(図示せず)が設けられている。水位検知部は、後述する給水タンク7内の水位を検知する。
【0014】
また、本体ケース1の内部の後側には、給水部6の上方に、給水タンク7が着脱自在に取り付けられている。給水タンク7の下部には、給水弁7aが設けられている。給水弁7aは、給水タンク7が本体ケース1に取り付けられる際に、給水部6の上部の凹みに嵌るように形成されている。
【0015】
また、本体ケース1の内部の下側には、流体を貯蔵する貯水部8が設けられている。さらに、本体ケース1の内部には、給水部6と貯水部8を繋ぐ給水路9が設けられている。給水路9の一端は、給水部6の底面に接続されている。給水路9の他端は、貯水部8の底面に接続されている。このため、給水タンク7は、給水弁7a、給水部6及び給水路9を介して貯水部8と通じている。
【0016】
貯水部8の外周面の下部には、蒸気生成部として、ヒータ10が取り付けられている。ヒータ10は、貯水部8内の水を加熱し、蒸気を生成する。また、貯水部8の外周面の下部には、温度検出のためのサーミスタ11が取り付けられている。
【0017】
貯水部8の上方には、貯水部8から通じる蒸気ダクト12が設けられている。蒸気ダクト12は、貯水部8の上面から上方へ延び、本体ケース1の上面よりも上方へ突出し、前方へ屈曲するように形成されている。蒸気ダクト12の上端には、ノズル13が設けられている。ノズル13により、蒸気を絞って圧縮放出することができる。ノズル13から噴射した蒸気は、勢いが付き、指向性が与えられている。以下、ノズル13により噴射したこのような蒸気を、「噴射蒸気」とも称する。
【0018】
また、本体ケース1の内部の下側には、貯水部8の後方に、吹出用送風ファン15が設けられている。吹出用送風ファン15は、駆動することで、後方から空気を吸い込み、上方に向かって空気を吹き出す。
【0019】
吹出用送風ファン15の上方には、吹出用送風ファン15から吹き出された空気が流入する接続ダクト21と、接続ダクト21を介して吹出用送風ファン15と連通じる送風ダクト16と噴射蒸気ダクト18が設けられている。
【0020】
噴射蒸気ダクト18は、ノズル13の外周を覆い、ノズル13より噴射蒸気の放出方向に突出して設けられる。噴射蒸気ダクト18の先端には、外部と通じる吹出口19が設けられている。吹出口19は、ノズル13から噴射蒸気が噴射される方向と略同一方向を向いて外部に開口している。噴射蒸気ダクト18は、ノズル13の後方より吹出用送風ファン15から搬送されてきた風を流入させ、噴射蒸気の放出方向に風を搬送する。このため、噴射蒸気ダクト18は、吹出用送風ファン15から本体ケース1の外部に空気を送る経路となっている。吹出口19は、メッシュカバー20で覆われている。
【0021】
送風ダクト16は、噴射蒸気ダクト18の上方に設けられ、送風ダクト16の先端には外部と通じる吹出口17が形成される。送風ダクト16の後方より吹出用送風ファン15から搬送されてきた空気を流入させ、吹出口17よりを外部に放出する。さらに、吹出口17より前方に突出したひさし状の風向ガイド部材14が設けられ、ノズル13および吹出口19から噴射蒸気が放出される方向より下方に傾斜している。このため、吹出口17より外部に放出される風は、風向ガイド部材14に沿って案内され、吹出口19が噴射蒸気を噴射する方向よりも下方に送風される。
図1では、風向ガイド部材14に案内された風の方向を破線矢印D2で示している。
【0022】
風向ガイド部材14の上方には、風向ガイド部材14と連動して動作する位置指定手段25が備えられている。
図1に示す矢印θの向きに、風向ガイド部材14および位置指定手段25は吹出口17に対し手動で角度を変えられるように支持され、
図1に示す矢印θのように上下に角度が変化することで、風向が調整される。位置指定手段25は、より具体的には、風向ガイド部材14と同様の板状の部材であり、水平面に対して傾斜している。位置指定手段25は、その平面を仮想的に延長した先(すなわち
図1の破線矢印D1の方向)に、加湿目標位置が存在する。位置指定手段25は、風向ガイド部材14よりも噴射蒸気の吹出し側に突出して構成される。
【0023】
ノズル13からの噴射蒸気が搬送されて湿度が上昇する位置を、以下、「加湿目標位置」とも称す。
図4に、模式的に加湿目標位置を示している。加湿目標位置は、水分の搬送先であり、通常は使用者がいる位置と一致させられている。風向ガイド部材14が加湿目標位置より下方を向いているので、吹出口17から吹き出す風は風向ガイド部材14に沿って加湿目標位置より下方に送風される。つまり、
図1に示すように、送風方向である破線矢印D2が、加湿目標位置を指し示す方向である破線矢印D1よりも下方となる。
【0024】
メッシュカバー20には、吹出口19に使用者が接近したことを検知するための近接センサ23を備える。近接センサ23としては、具体的には、メッシュカバー20に設置した感応センサ、風向ガイド部材14の下面に設置する赤外線センサ等を設ければよい。また、噴射蒸気ダクト18の内側に、温度検出部22を設ける。
【0025】
また、本体ケース1の内部には、加湿器の運転を制御する制御部24が設けられている。制御部24は、時間を計測するタイマー機能を備えている。また、制御部24には、ヒータ10の入力端、吹出用送風ファン15の入力端および近接センサ23の入力端が接続されている。制御部24は、これらの入力端から各部を制御するための信号を送信する。さらに、制御部24には、操作部3の出力端、湿度検出部4の出力端、給水部6の水位検知部の出力端及びサーミスタ11の出力端が接続されている。制御部24は、これらの出力端から信号を受信する。制御部24は、予め設定されて制御部24のメモリ内に記憶された傾斜角度と送風量との関係に従って、風向ガイド部材14の傾斜角度に応じて吹出用送風ファン15の入力信号を制御し、吹出用送風ファン15の送風量を調整する。
【0026】
以上のように構成された加湿器100が運転されると、本体ケース1の外部に噴射蒸気が搬送される。
【0027】
図3は、本実施の形態における加湿器100の動作を示すフローチャートである。以下、主に
図3を参照して、加湿器100の動作を説明する。
【0028】
加湿器100の運転が開始される前に、給水タンク7には、外部から水が供給される。給水タンク7は、給水弁7aが給水部6の上部の凹みに嵌るように本体ケース1の内部に取り付けられる。給水タンク7内の水は、給水弁7a、給水部6及び給水路9を経て貯水部8に流れ込む。この際に流れ込む水量は、給水弁7aによって調節される。
【0029】
(ステップS1)
図3のフローチャートでは、先ず、操作部3の電源SWが押されると、加湿器100の電源がONとなり、加湿器100の運転が開始する。
【0030】
(ステップS2)ステップS1に続いて、制御部24は、ヒータ10をON状態にする。これにより、ヒータ10が発熱し、貯水部8内の水を加熱する。貯水部8内の水が加熱され、水温が上昇する。その後、貯水部8内の水は蒸気となり、蒸気ダクト12の内部に進入する。蒸気ダクト12に進入した蒸気は、ノズル13で圧縮されることで勢いが付きかつ指向性を持たされて噴射蒸気となり、噴射蒸気ダクト18内に噴射される。
【0031】
(ステップS3)続いて、ステップS2から予め設定された時間が経過し、噴射蒸気の生成が開始されると、制御部24は、吹出用送風ファン15をON状態にする。これにより、吹出用送風ファン15は、本体ケース1の後面の開口部から外部の空気を吸い込み、接続ダクト21を介して、送風ダクト16と噴射蒸気ダクト18に空気を送る。噴射蒸気ダクト18に流入した空気は、噴射蒸気ダクト18内でノズル13から噴出した噴射蒸気と混合され吹出口19から外部に放出される。このとき、噴射蒸気は、ノズル13から噴射される勢いと噴射蒸気ダクト18内でノズル13後方より送られる空気の流れにより、前方に指向性を持って搬送される。また、送風ダクト16に流入した空気は、吹出口17より風向ガイド部材14に沿って、吹出口19から噴射蒸気が放出される方向よりも下方に放出される。これにより、吹出口19より放出された噴射蒸気が前方に搬送されつつ徐々に上昇するのを、送風ダクト16より放出される下向きの風により抑えることができる。その結果、噴射蒸気に指向性を持たせて使用者がいる位置に搬送できる。
【0032】
(ステップS4)ステップS3に続いて、制御部24の処理はステップS4に進む。ステップS4において、湿度検出部4は、加湿器100の周囲の湿度を検出する。また、ステップS5において、人体検出部5は、加湿器100から使用者がいる位置までの距離を検出する。制御部24は、これらの検出結果と、予め記憶している加湿器100からの距離と加湿器100の周囲湿度との間の関係に基づいて、使用者がいる位置の湿度を推定する。そして、制御部24は、推定した使用者がいる位置の湿度に応じて、ヒータ10を間欠運転する等して運転状態を調整する。制御部24は、
図4に示すように、推定した湿度が適湿下限以下である場合はヒータ10をON状態とする。また、制御部24は、推定した湿度が適湿上限以上である場合はヒータ10をOFF状態とする。
【0033】
(ステップS5)ステップS4に続いて、ステップS5に進む。ステップS5において、制御部24は、下記の(1)〜(5)の判定処理をそれぞれ行う。これらの判定処理において、いずれの条件も成立しない場合は、ステップS4に戻る。
(1)電源SWがOFF状態であるか否かの判定処理
(2)加湿器100の運転開始から予め設定された時間が経過したか否かの判定処理
(3)水位検知部の検知結果に基づいて給水タンク7内の水量が0であるか否かの判定処理
(4)近接センサ23の検知結果に基づいて使用者が吹出口19に接触しているか否かの判定処理
(5)温度検出部22の検知結果に基づいて噴射蒸気ダクト18内の温度が所定温度以上になっているか否かの判定処理
【0034】
(ステップS6)ステップS5の判定において、少なくとも1つの条件が成立した場合、制御部24は、加湿器100の電源をOFF状態にする。なお、本発明はこれに限られず、上記(1)〜(5)の判定処理のうち一部のみをステップS5で実行してもよい。
【0035】
上述したように、噴射蒸気は徐々に上昇する。このため、
図4に示すように使用者がいる位置よりも下方に送風して噴射蒸気を下方に抑えつけた後、上昇力を利用して人の位置まで上昇させることで、使用者に直接送風することなく使用者のいる位置に噴射蒸気を搬送することができる。そのため、風速が低くなり、吹かれ感や寒さによる不快感を使用者に与えにくく、快適性を高めることができる。
【0036】
さらに、位置指定手段25により見た目の加湿目標位置と実際に噴射蒸気が届く位置とが一致し、使用者が加湿目標位置を指定する際に分かりやすくかつ正確に調整できる。このため、確実に狙いの場所に噴射蒸気を搬送でき、水分搬送性能を高めることができる。
【0037】
また、位置指定手段25を風向ガイド部材14より送風方向に突出させることで、風向ガイド部材14が使用者から見えにくくなり、より感覚的に使用者が加湿目標位置の指定(言い換えれば風向調整)を行いやすくなり使い勝手を向上できる。
【0038】
また、風向ガイド部材14の傾斜角度に応じて吹出用送風ファン15の入力を制御することで、より正確に加湿目標位置に噴射蒸気を搬送できる。
【0039】
ここで、風向ガイド部材14による送風方向と位置指定手段25の指示方向の角度差は、睡眠時の使用を想定し、加湿目標位置がノズルから0.5m〜1m先を狙う場合には10°〜30°となることが望ましい。
【0040】
ここで、蒸気を噴射蒸気化して勢いを持たせて噴射しつつ、ノズル13での結露による詰まりを抑制するためには、ノズル13の内径はφ5mm程度、蒸気ダクト12の内径は10〜20mm程度、ヒータ10の入力は200〜300W程度が望ましい。
【0041】
実施の形態2.
図5は本実施の形態2における加湿器102の断面図、
図6は本実施の形態2における加湿器102の斜視図である。本実施の形態2は、位置指定手段125を備える点において実施の形態1と相違する。
【0042】
位置指定手段125は、加湿目標位置を指し示す突起部を備え、手動で可動できるつまみを備える。風向ガイド部材14はつまみの動作に連動して傾斜角度が変わり、つまみの目盛部または突起部が指し示す方向よりも下方に向くように傾斜する。なお、突起部に代えて目盛部を設けても良い。
【0043】
位置指定手段125は、ひさし状の位置指定手段25よりも小型であり、またつまみ形状であるため操作性が向上し使い勝手を向上できる。
【0044】
実施の形態3.
本実施の形態3における加湿器においては、風向ガイド部材14の傾斜角度を自動調整する風向調整制御部を備える点で実施の形態1、2と相違する。
【0045】
実施の形態3においては、操作部3が、使用者が加湿目標位置を入力する入力部と、風向ガイド部材14を自動制御する風向調整制御部を備えている。入力部を介して入力された加湿目標位置に基づいて、風向調整制御部が風向ガイド部材14の傾斜角度を調整する。
【0046】
本構成により、より正確に使用者のいる位置を狙うことができ、効率よく水分を搬送できる。
【0047】
なお、
図7に示すように、本体ケース1から周囲にいる人の位置までの距離を検出する人体検出部5を備え、人体検出部5の出力信号に基づいて風向ガイド部材14を調整する加湿器104を提供してもよい。本体ケース1から周囲にいる人の位置までの距離を検出し、その距離だけ離れた位置に加湿目標位置を指定する。
図4に示したように風向ガイド部材14の角度と加湿目標位置との関係は予め決定しておくことができるので、この関係を予め制御部24のメモリに記憶しておくことで、制御部24は風向ガイド部材14の角度を自動調整することができる。
【0048】
本構成により、使用者の手を煩わせることなく自動的に風向を調整でき、使い勝手を向上できる。
【0049】
実施の形態1〜3では、風向ガイド部材14を送風ダクトの先端に対して角度可変に取り付けたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、
図8に示すように、送風ダクトを湾曲させた風向ガイド部材114を設けた加湿器106を提供してもよい。風向ガイド部材114は、本体ケース1に対して矢印115のように前後に位置調節できるようになっている。風向ガイド部材114が前方に変位すれば送風方向(すなわち破線矢印D2)がより下方を向き、逆に風向ガイド部材114が後方に変位すれば送風方向(すなわち破線矢印D2)がより上方を向く。このようにすることで、風向を調整してもよい。風向ガイド部材114も、風向きガイド部材14と同様に位置指定手段25と連動させてもよい。
【0050】
また、吹出口17の形状は、長方形に限定されない。例えば、
図9に示す送風ダクト16の底面を除いたような断面がコの字となる形状の吹出口117を備える加湿器108を提供してもよい。或いは、
図10に示すように、下面にRをつけ噴射蒸気ダクト18の上面に沿わせる形状の吹出口217を備える加湿器110を提供してもよい。本構成により、吹出口から放出される風が噴射蒸気ダクト18より放出される噴射蒸気および風に沿ってスムーズに合流するため、効率的に噴射蒸気の方向を制御できる。
【0051】
また、実施の形態1〜3では、噴射蒸気ダクト18の断面を円状に構成したが、この限りではない。噴射蒸気ダクト18の断面は、三角形状、四角形状その他の多角形状としても良い。
【0052】
また、実施の形態1〜3では、メッシュカバー20を格子状のメッシュとして構成したが、他の構成としてもよい。例えば、複数の穴を設けたカバーとしてもよい。