特許第6223210号(P6223210)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223210
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/302 20060101AFI20171023BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20171023BHJP
   G02F 1/1343 20060101ALI20171023BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20171023BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20171023BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G09F9/302 C
   G02F1/1335 505
   G02F1/1343
   H05B33/12 B
   H05B33/14 A
   G09F9/30 341
【請求項の数】8
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-15941(P2014-15941)
(22)【出願日】2014年1月30日
(65)【公開番号】特開2015-141402(P2015-141402A)
(43)【公開日】2015年8月3日
【審査請求日】2016年6月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】古家 政光
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−218300(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/089838(WO,A1)
【文献】 特開2008−233803(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/024705(WO,A1)
【文献】 特開2013−058323(JP,A)
【文献】 特開2004−335467(JP,A)
【文献】 特開2004−145156(JP,A)
【文献】 特開平06−082617(JP,A)
【文献】 特開平10−039339(JP,A)
【文献】 特表2009−533810(JP,A)
【文献】 特開2002−229046(JP,A)
【文献】 特開2004−240192(JP,A)
【文献】 特開2008−233588(JP,A)
【文献】 特開2007−102140(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1335、 1/13363、
1/1343− 1/1345、 1/135
G09F 9/30 − 9/46 、
H01L27/32 、51/50 、
H05B33/00 −33/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤色画素、緑色画素、青色画素及び白色画素を一組とする主画素が複数配列してなる表示領域を有し、
複数の前記主画素のうち1つの前記主画素の前記白色画素は、複数の前記主画素の前記青色画素のいずれとも隣接せず、
複数の前記主画素のうち1つの前記主画素の前記緑色画素は、複数の前記主画素の前記青色画素のいずれとも隣接せず、
前記表示領域は、前記主画素のそれぞれにおける前記白色画素が、相互に隣接するように配置されていること、
を特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記主画素において、前記白色画素は、前記緑色画素と隣接していることを特徴とする、請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記主画素において、前記青色画素は、前記赤色画素と隣接していることを特徴とする、請求項2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記表示領域は、前記主画素のそれぞれにおける前記青色画素が、相互に隣接するように配置されていること、
を特徴とする請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記主画素は矩形状であり、
前記主画素の対角線と、前記対角線と概ね平行な二本の線によって、前記赤色画素、前記緑色画素、前記青色画素及び前記白色画素が画されること、
を特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記主画素は矩形状であり、
前記主画素の一つの角と前記角の隣り合う二辺の一部とを共有する矩形状の前記白色画素と、
前記白色画素に隣接するL字形の前記緑色画素と、
前記緑色画素に隣接するL字形の前記赤色画素と、
前記赤色画素に隣接するL字形の前記青色画素と、
を有することを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項7】
前記赤色画素、前記緑色画素、前記青色画素及び前記白色画素は、前記主画素の同一の角付近を中心とする三本の円弧によって画される、
ことを特徴とする請求項4に記載の表示装置。
【請求項8】
赤色画素、緑色画素、青色画素及び白色画素を一組とする主画素が複数配列してなる表示領域を有し、
前記主画素は、前記白色画素が、前記青色画素以外の画素と隣接する配列を有し、
前記表示領域は、前記主画素のそれぞれにおける前記白色画素が、相互に隣接するように配置され、
前記表示領域は、前記主画素のそれぞれにおける前記青色画素が、相互に隣接するように配置され、
前記主画素は矩形状であり、
前記主画素の一つの角と前記角の隣り合う二辺の一部とを共有する矩形状の前記白色画素と、
前記白色画素に隣接するL字形の前記緑色画素と、
前記緑色画素に隣接するL字形の前記赤色画素と、
前記赤色画素に隣接するL字形の前記青色画素と、
を有することを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関し、特にサブピクセルの構造及び配置における技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル用途の発光表示装置において、高精細化や低消費電力化に対する要求が強くなってきている。モバイル用途の表示装置としては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display Device:LCD)や、有機EL表示装置等の自発光素子(OLED:Organic Light−Emitting Diode)を利用した表示装置や、電子ペーパー等が採用されている。
【0003】
その中でも、ディスプレイパネルの薄型化や高輝度化や高速化を目的として、有機EL表示装置の開発が進められている。有機EL表示装置は、有機発光ダイオード(organic light-emitting diode)から構成された画素を備えた表示装置であり、機械的な動作がない為に反応速度が速く、各画素自体が発光するために高輝度表示が可能になるとともに、バックライトが不要となるために薄型化が可能になるので、次世代の表示装置として期待されている。
【0004】
白色発光する有機発光ダイオードにカラーフィルタを組み合わせたOLED表示パネル等においては、一つのピクセル(主画素)は、複数の色を有するサブピクセル(副画素)によって構成され、ピクセルが配列されて表示領域を構成している。OLED表示パネルの高精細化が進むに従い、表示パネルを斜め方向から見たときに、サブピクセルの正規の色に隣接するサブピクセルの異なる色が混ざる現象(いわゆる混色)が問題となってきている。混色を防ぐためには、画素間に遮光膜であるブラックマトリクスの幅を大きくすると効果がある。しかし、ブラックマトリクスの幅を広げると、開口率の低下を招き、表示品質の低下や、消費電力の悪化も招くことから、ブラックマトリクスによって混色を対策することには限界がある。
【0005】
一方、各種表示装置においては、表示画面を構成する画素のサブピクセルに関し、中間色表示品質や製造の容易性の観点などから、種々のサブピクセルの形状や構成が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−227274号公報
【特許文献2】特開2009−533810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、混色の影響を低減した表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態によると、赤色画素、緑色画素、青色画素及び白色画素を一組とする主画素が複数配列してなる表示領域を有し、主画素は、白色画素が、青色画素以外の画素と隣接する配列を有し、表示領域は、主画素のそれぞれにおける白色画素が、相互に隣接するように配置されていることを特徴とする表示装置が提供される。
【0009】
さらに、他の好ましい態様として、主画素において、白色画素は、緑色画素と隣接していることを特徴とする表示装置が提供される。
【0010】
さらに、他の好ましい態様として、主画素において、青色画素は、赤色画素と隣接していることを特徴とする表示装置が提供される。
【0011】
さらに、他の好ましい態様として、表示領域は、主画素のそれぞれにおける青色画素が、相互に隣接するように配置されていることを特徴とする表示装置が提供される。
【0012】
さらに、他の好ましい態様として、主画素は矩形状であり、主画素の対角線と、対角線と概ね平行な二本の線によって、赤色画素、緑色画素、青色画素及び白色画素が画されることを特徴とする表示装置が提供される。
【0013】
さらに、他の好ましい態様として、主画素は矩形状であり、主画素の一つの角と角の隣り合う二辺の一部とを共有する矩形状の白色画素と、白色画素に隣接するL字形の緑色画素と、緑色画素に隣接するL字形の赤色画素と、赤色画素に隣接するL字形の青色画素とを有することを特徴とする表示装置が提供される。
【0014】
さらに、他の好ましい態様として、赤色画素、緑色画素、青色画素及び白色画素は、主画素の同一の角付近を中心とする三本の円弧によって画されることを特徴とする表示装置が提供される。
【0015】
また、本発明の一実施形態によると、画素トランジスタとコンタクト部において電気的に接続する画素電極と、格子状の配線によって区画される副画素が四つ正方された主画素とを有し、画素電極のそれぞれは、主画素の中で線対象に配置され、副画素の少なくとも一つは、一つの副画素とのみ隣接するように配置されていることを特徴とする表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1A】本発明の第1実施形態における表示装置のサブピクセルの配置を示した概略図である。
図1B】本発明の第1実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。
図1C】本発明の第1実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。
図2A】本発明の第1実施形態における表示装置のサブピクセルの配置を示した概略図である。
図2B】本発明の第1実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。
図3A】本発明の第1実施形態における表示装置のサブピクセルの配置を示した概略図である。
図3B】本発明の第1実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。
図4A】本発明の第2実施形態における表示装置のサブピクセルの配置を示した概略図である。
図4B】本発明の第2実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。
図5A】本発明の第2実施形態における表示装置のサブピクセルの配置を示した概略図である。
図5B】本発明の第2実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。
図6A】本発明の第3実施形態における表示装置のサブピクセルの配置を示した概略図である。
図6B】本発明の第3実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。
図7A】本発明の第1実施形態における表示装置のピクセル部分の回路構成を示した図である。
図7B】本発明の第1実施形態における表示装置のピクセル部分の平面透視図である。
図7C】本発明の第1実施形態における表示装置のピクセル部分の平面透視図である。
図7D】本発明の第1実施形態における表示装置のピクセルの配置の一例を示した概略図である。
図8A】従来の表示装置におけるサブピクセルの配置を示した概略図である。
図8B】従来の表示装置におけるピクセルの配置を示した概略図である。
図9】OLEDパネルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の趣旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の長さ、幅、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0018】
[本発明に至った経緯]
図8Aは、従来技術のピクセル構造を示した図である。1つのピクセルは、R,G,B,Wの4つのサブピクセルで構成される。サブピクセルR,サブピクセルG,サブピクセルB,サブピクセルWは、それぞれ矩形状であり、同一の形状をなしている。図8Aのように、左上にサブピクセルR,右上にサブピクセルG、右下にサブピクセルB,左下にサブピクセルWが田の字形に配置され、1つのピクセルを構成している。
【0019】
図8Bは、従来技術のピクセル構造を示した図であり、ピクセルを表示装置に配置したときの状態を示したものである。表示装置は、画像を表示する表示装置とその外側の額縁部とを有する。ピクセルが格子状に配置され、表示領域を形成している。ここで、表示領域を形成するピクセルは、図8Aに示したピクセル、すなわち、左上がサブピクセルR、右上がサブピクセルG,右下がサブピクセルB,左下がサブピクセルWであり、全て同じ方向に並べて配置されている。したがって、表示領域内のサブピクセルの配置をみると、例えば一番上の横のラインは、左からR、G、R、G、…とRとGが交互に配置されており、上から二番目の横のラインは、左からW、B、W、B、…とWとBが交互に配置されている。縦のラインについては、一番左側の縦のラインは、上からR、W、R、W、…とRとWが交互に配置され、左から二番目の縦のラインは、上からG、B、G、B、…とGとBが交互に配置される。
【0020】
図9は、OLEDパネルの断面図であり、サブピクセルWとサブピクセルBが隣接した部分の断面を示した図である。第1ガラス基板801の上に第1層間絶縁膜802、第2層間絶縁膜803が積層され、TFTや容量等で構成される画素回路804が形成される。第2層間絶縁膜803及び画素回路804の上に平坦化膜805、反射板806、陽極807が形成される。陽極807間にはバンク808が形成され、陽極807及びバンク808の上に、EL層809、陰極810が積層される。ガラス基板801から陰極812で構成されるLTPS基板811は、封止膜812が形成され、CF基板819と一定間隔を保って貼り合され、LTPS基板811とCF基板819との間には、透明の樹脂等からなるFILL材813が充填されている。CF基板819は、第2ガラス基板818にカラーフィルタとブラックマトリックス817が形成され、さらにOC814が形成される。従来の構造では、第1カラーフィルタ815として青色カラーフィルタを用い、第2カラーフィルタ816として白色カラーフィルタを用いた。なお、以上のOLEDパネルの構成は、サブピクセルの形状や配置に関連する要素を除き、本発明においても同様である。即ち、本発明においては、隣り合う第1カラーフィルタ815と第2カラーフィルタ816との内、一方に色度変化が認識されやすい青色が配置された場合、他方には輝度の高い白色または緑色を配置しない構造となっている。
【0021】
画素回路804は陽極807と陰極810間に挟まれたEL層809に流れる電流量を制御し、その電流に応じてEL層809が発光する。図9のようにカラーフィルタを用いるタイプの有機EL表示装置では、EL層809は通常白色光を発光する。820及び821は、EL層809の発光をイメージしたものである。垂直方向に発行した光820は、陽極807の上に配置された青色カラーフィルタに入光する。青色カラーフィルタを通過した光820は、青色の光822として表示される。このように、青色カラーフィルタの下に配置された陽極電極807は、青色の発光を意図して制御される。
【0022】
EL層809は、真上に配置されたカラーフィルタに向かって発光するだけでなく、全方向に向かって発光する。光821のように、隣の白色カラーフィルタに向かって斜め上方向に発光するものがある。このとき、光821は白色カラーフィルタを通過して、白色の光823として表示される。混色は、このように、発光素子(画素)から発光した光が、直上の正規のフィルタ(発色を意図したフィルタ)だけではなく、隣接した異なる色のフィルタからも透過する現象によって発生する。図9では、正規の色であるBに対し、隣のWが混色しているといえる。
【0023】
ところで、色度とは色相と色の純度をあわせた色の属性であり、色度図上の距離と、実際に人間が色度変化を知覚できる度合いとは、色によって異なっている。R、G、B、Wで比較すると、Bが最も色度変化が認識されやすく、Gが最も認識され難い(特定の中心色に対する識別変動をXY色度図に表した「マクアダムの楕円」を参照)。再び図8A及び8Bを参照すると、左上にサブピクセルR、右上にサブピクセルB、右下にサブピクセルG、左下にサブピクセルWを配置されており、サブピクセルBとサブピクセルWが辺で接しないのでサブピクセルBに対するサブピクセルWの混色は抑えられているが、サブピクセルBはサブピクセルWと同様に輝度の高いサブピクセルGに接しているのでサブピクセルGの混色を抑えることはできない。各サブピクセルの配置を変更しても、サブピクセルBは、サブピクセルW及びサブピクセルGのいずれか一方又は双方に接することになる。
【0024】
本願の発明者は、混色による表示品質低下の問題に対し、混色の影響を受けやすいBに対する混色は避けたいところであり、とりわけ輝度(視感度)の高いWやGがBに混色することは避けたいところである、との問題意識を有するに至った。さらに、本願の発明者は、色度変化が認識され難いGに対する混色は、比較的許容されやすく、また、混色の影響をなるべく避けるには、混色する色が輝度の低いRであれば、比較的混色の影響が少なくなると考察するに至った。本願の発明者は、上述の問題意識や考察のもと、以下に述べる実施形態において混色の影響を抑えた表示装置を発明するに至った。以下、具体的な実施形態について詳述する。
【0025】
<第1実施形態>
図1Aは、本発明の第1実施形態における表示装置のサブピクセルの形状及び構成を示した概略図である。ピクセル10は、頂点をa、b、c、dとする矩形状を有している。ピクセル10は、対角線bd、辺ad上の点eと辺ab上の点fを結ぶ線ef、辺dc上の点hと辺bc上の点gを結ぶ線hgの、三本の線で4つに区画されている。青のサブピクセルBは点afeで囲まれる領域に、赤のサブピクセルRは点edbfで囲まれる領域に、緑のサブピクセルGは点dbghで囲まれる領域に、白のサブピクセルWは点hgcで囲まれる領域に、それぞれ形成され、サブピクセルR、サブピクセルG、サブピクセルB及びサブピクセルWでピクセル10を構成している。
【0026】
なお、図1Aその他本明細書中における図において、各サブピクセルは隙間なく接しているように描かれているが、各サブピクセル間にブラックマトリックスが設置されるため等の隙間を適宜形成してもよい。また、本明細書中で「サブピクセルが隣接する」あるいは「サブピクセルが接する」とは、特に説明の無い限り、一方のサブピクセルがブラックマトリックス等を挟んで他方のサブピクセルの隣に配置されている状態をいう。
【0027】
図1Bは、本発明の第1実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。図1Bには、ピクセル11、ピクセル12、ピクセル13、ピクセル14の4つのピクセルが配置されている。それぞれのピクセルは、図1Aで示されたピクセル10と同様に、サブピクセルR、G、B及びWが構成及び配置されている。図1A図1Bをあわせて参照すると、ピクセル11は、ピクセル10と同じ向きで配置されている。ピクセル12は、ピクセル10を、ピクセル10の頂点cを中心にして右回りに90度回転した状態で配置されている。ピクセル13は、ピクセル10を、ピクセル10の頂点cを中心にして180度回転した状態で配置されている。ピクセル14は、ピクセル10を、ピクセル10の頂点cを中心にして270度回転した状態で配置されている。
【0028】
図1Cは、本発明の第1実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。表示装置300は、画像を表示する表示領域100と、表示領域100の外側から表示装置300の外縁までの額縁領域200を有している。表示領域100には、図1Bで示したピクセルの配置の規則性を保ちつつ、順次ピクセルが配置されている。
【0029】
サブピクセルBは、サブピクセルRか、あるいは他のピクセルを構成するサブピクセルBに隣接していることがわかる。上述のように、BはR、G、B及びWの中で最も色度変化が認識されやすいので、混色の観点からは、サブピクセルBが最も混色の影響を受けやすい。また、RはR、G、B及びWの中で最も輝度が低いので、混色の観点からは、サブピクセルRが他への悪影響が小さい。したがって、第1実施形態では、混色の観点から最も影響を受けやすいサブピクセルBを、最も他への悪影響が少ないサブピクセルRで囲んだ構成となっているので、サブピクセルBに対する混色をより抑制することが可能となっている。
【0030】
また、サブピクセルWに隣接するサブピクセルは、サブピクセルGか、あるいは他のピクセルを構成するサブピクセルWであることがわかる。上述のように、WはR、G、B及びWの中で最も輝度が高いので、混色の観点からはサブピクセルWが最も悪影響を与えやすい。また、GはR、G、B及びWの中で最も色度変化が認識され難いので、混色の観点からはサブピクセルGが最も影響を受けにくい。したがって、第1実施形態では、混色の観点から最も悪影響を与えやすいサブピクセルWを、最も悪影響を受けにくいサブピクセルGで囲んだ構成となっているので、サブピクセルWによる混色をより抑制することが可能となっている。
【0031】
<第1実施形態の変形例1>
図1Aでは、ピクセル10を頂点abcdとする正方形で図示したが、本発明の実施形態においては、ピクセルの形状は正方形に限られるものではない。また、線bdは対角線と一致し、線ef及び線hgは、線bdと平行に配置しているが、本発明の実施形態において、これらのサブピクセルの境界を画する線は互いが完全に平行なものに限られない。さらに、各サブピクセルの境界を画する線は、必ずしも直線である必要はない。
【0032】
図2Aは、第1実施形態におけるサブピクセルの配置の変形例1を示したものである。サブピクセル15は、図1Aのサブピクセル10と異なり、サブピクセルRとサブピクセルGの境界線が、対角線bdではなく、辺ad上でdに近傍の点d1と、辺bc上で点bに近傍の点b1とを結ぶ線b1d1となっている。また、サブピクセルBとサブピクセルRの境界線e1f1と、サブピクセルGとサブピクセルWの境界線h1g1は、いずれも線b1d1と完全に平行ではない。
【0033】
図2Bは、第1実施形態におけるピクセル構成の変形例1を示したものである。図2Bにおいても、図1B及び図1Cと同様に、図1Aで示されるピクセルを、同一の頂点を中心に、同一方向に90度、180度、270度回転して、規則的に配置されている。図2Bにおいても、サブピクセルBはサブピクセルRに囲まれ、サブピクセルWはサブピクセルGに囲まれているので、第1実施形態と同様に混色による影響を抑えることが可能となっている。
【0034】
<第1実施形態の変形例2>
図1Aのピクセル10では、サブピクセルR、サブピクセルG、サブピクセルB及びサブピクセルWの各面積がほぼ同一になるように配置されているが、本発明の実施形態はこれに限られるものではない。
【0035】
図3Aは、第1実施形態におけるサブピクセルの構成の変形例2を示したものである。図3Aでは、点bと点dを結ぶ線bdと、辺ad上の点h2と辺ab上の点g2とを結ぶ線h2g2と、辺ad上にあり点h2よりも頂点aにより近い点e2と、辺ab上にあり点g2よりも頂点aにより近い点f2とを結ぶ線e2f2とで、サブピクセルの範囲が画されている。各サブピクセルの面積は、W、G、R、Bの順に広くなっており、各サブピクセルの面積は異なっている。
【0036】
図3Bは、第1実施形態におけるピクセル構成の変形例2を示したものである。図3Bにおいても、図1B及び図1Cと同様にピクセルが向きを変えながら規則的に配置されている。図3Bにおいても、サブピクセルBはサブピクセルRに囲まれ、サブピクセルWはサブピクセルGに囲まれているので、第1実施形態と同様に混色による影響を抑えることが可能となっている。
【0037】
<第2実施形態>
図4Aは、本発明の第2実施形態における表示装置のサブピクセルの形状及び構成を示した概略図である。ピクセル10は、頂点をp、q、r、sとする矩形状を有している。ピクセル10の右上に、点p1、q、r1、s1を頂点とする矩形状のサブピクセルWが配置される。ここで、点p1はピクセル10の辺pq上の点であり、点r1は辺qr上の点である。また、点s1は、サブピクセル10の対角線qs上に位置する。
【0038】
サブピクセルWの左側と下側に接するように、L字形のサブピクセルGが配置される。サブピクセルWの左側と下側に接するように、L字形のサブピクセルGが配置される。p2は辺pq上の点であり、r2は辺qr上の点であり、s2は対角線qs上に位置する点である。サブピクセルGは、点p2、p1、s1、r1、r2、s2、p2を順に線で結んで形成される領域に配置される。
【0039】
L字形のサブピクセルGに接して、サブピクセルRが配置され、さらに、サブピクセルRに接してサブピクセルBが配置される。ここで、p3は辺pq上の点であり、r3は辺qr上の点であり、s3は対角線qs上に位置する点である。サブピクセルRは、点p3、p2、s2、r2、r3、s3、p3を順に線で結んで形成される領域に配置される。また、サブピクセルBは、点p、p3、s3、r3、r、s、pを順に線で結んで形成される領域に配置される。
【0040】
図4Bは、本発明の第2実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、同一方向に90度、180度、270度回転させたピクセルと併せて4つのピクセルが構成され、規則正しく表示領域100に配置される。
【0041】
図4Bを参照すると、サブピクセルBはサブピクセルR(及び他のピクセルを構成するサブピクセルB)とのみ接し、サブピクセルWはサブピクセルGに囲まれているので、第1実施形態と同様に混色による影響を抑えることが可能となっている。
【0042】
<第2実施形態の変形例>
図4Aでは、点p1、q、r1、s1を頂点とする矩形、点p2、q、r2、s2を頂点とする矩形、点p3、q、r3、s3を頂点とする矩形、及び点p、q、r、sを頂点とする矩形は、いずれも正方形で図示したが、本発明の実施形態はこれに限られない。
【0043】
図5Aは、第2実施形態におけるサブピクセルの構成の変形例を示したものである。ここでは、各サブピクセルがL字形の線で画されている。しかし、サブピクセルWは正方形ではなく、L字形のサブピクセルG、R、Bは、いずれもL字の一方の側と他方の側との幅が異なっている。しかし、図5Bのように、サブピクセルBはサブピクセルRとのみ接し、サブピクセルWはサブピクセルGに囲まれるよう、適切に各サブピクセルの形状を調整し、配置することは可能である。
【0044】
<第3実施形態>
図6Aは、本発明の第3実施形態における表示装置のサブピクセルの形状及び構成を示した概略図である。ピクセル10は頂点をt、u、v、wとする正方形であり、点vを中心とする3つの同心円でサブピクセルが画される。点vに近い順に、サブピクセルW、サブピクセルG、サブピクセルR、サブピクセルBが配置される。
【0045】
図6Bは、本発明の第3実施形態における表示装置のピクセルの配置を示した概略図である。第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、同一方向に90度、180度、270度回転させたピクセルと併せて4つのピクセルが構成され、規則正しく表示領域100に配置される。
【0046】
図6Bを参照すると、サブピクセルBはサブピクセルR(及び他のピクセルを構成するサブピクセルB)とのみ接し、サブピクセルWはサブピクセルGに囲まれているので、第1実施形態と同様に混色による影響を抑えることが可能となっている。
【0047】
<第3実施形態の変形例>
第3実施形態においても、第1実施形態の変形例や第2実施形態の変形例と同様に、サブピクセルを画する円の中心が多少ずれていたり、サブピクセルの面積に差異があったりしても、本発明における効果を発揮することが可能である。また、サブピクセルの色の配置順を変更しても、同様の効果を発揮することができる。例えば第3実施例においては、図6Aの点vに近い順に、サブピクセルB、サブピクセルR、サブピクセルG、サブピクセルWが配置されたとしても、サブピクセルBはサブピクセルRで囲まれ、サブピクセルWはサブピクセルGとしか接しないので、混色の影響を抑えることが可能である。
【0048】
<回路構成>
以下、図7A図7Dを参照しながら、具体的な回路構成について説明する。図7Aは、本発明の第1実施形態における表示装置のピクセル部分の回路構成を示した図である。図7Aでは、走査線103、第1制御線104、第2制御線105が、横方向に配線され、信号線101と電源線102が縦方向に配線されている。これらの各線は格子状に配線され、図7Aではこれら配線によって4つの領域が形成され、それぞれが各サブピクセルの画素回路110を構成している。画素回路110には、TFT112、113、114、容量115、有機発光ダイオード111が含まれる。図7Aで示す回路は基本的な画素回路の一例であり、本発明においてはサブピクセルの形状や配置に影響がなければ、任意の画素回路を構成してもよい。
【0049】
図7Bは、本発明の第1実施形態における表示装置のピクセル部分の平面透視図である。格子状に配線された走査線103、第1制御線104、信号線101及び電源線102によって、左上に画素回路形成領域120、右上に画素回路形成領域130、右下に画素回路形成領域140、そして左下に画素回路形成領域141が形成されている。それぞれの画素回路形成領域には、画素回路と画素電極とを電気的に接続するためのコンタクトホール121、131、141、151がそれぞれ形成される。ここで、コンタクトホール121は画素回路形成領域120の右上に、コンタクトホール131は画素回路形成領域130の左上に、コンタクトホール141は画素回路形成領域140の左下に、コンタクトホール151は画素回路形成領域150の右下に形成されている。
【0050】
図7Cは、本発明の第1実施形態における表示装置のピクセル部分の平面透視図であり、図7Bに画素電極を重ねた状態を図示したものである。コンタクトホール121を介して画素回路形成領域120の回路に電気的に接続される画素電極122は、画素回路形成領域120の左上付近から、コンタクトホール121の上側と右側をまわって、画素回路形成領域150の左上付近を通り、再び画素回路形成領域120の左上付近に戻る線で、画されている。コンタクトホール131を介して画素回路形成領域130の回路に電気的に接続される画素電極132は、画素回路形成領域130の右上から画素回路形成領域150の左下に行き、さらに画素回路形成領域150の左上付近を通って、コンタクトホール131の左下付近まで行き、近卓ホール131の左側及び上側を通って、再び画素回路形成領域130の右上に戻る線によって、画されている。画素電極142および画素電極152は、電源線102と第2制御線105との交点を中心として、画素電極122および画素電極132を点対称にした形状を有する。
【0051】
図7Dは、本発明の第1実施形態における表示装置のピクセルの配置の一例を示した概略図であり、図7Cにおいて、画素電極122がサブピクセルBに、画素電極132がサブピクセルRに、画素電極152がサブピクセルGに、画素電極142がサブピクセルWに、それぞれ対応した構成を示している。この場合においても、サブピクセルBはサブピクセルRに囲まれ、サブピクセルWはサブピクセルGに囲まれているので、混色による影響を抑えることが可能となっていることがわかる。
【0052】
以上、第1実施形態乃至第6実施形態においては、開示例として有機EL表示装置の場合を例示したが、その他の適用例として、発光素子とカラーフィルタを有するタイプの、液晶表示装置、その他の自発発光型表示装置、あるいは電気泳動素子等を有する電子ペーパー型表示装置等のフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、本実施形態は特に小型の表示装置において効果が顕著であるが、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能であることは言うまでもない。
【0053】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったものの、又は、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0054】
10、11、12、13、14…ピクセル、100…表示領域、200…額縁領域、300…表示装置
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9