(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記特定部分が前記排気還流弁より下流の前記排気還流通路であり、前記残留ガス除去通路の前記他端が前記排気還流弁より下流の前記排気還流通路に接続されることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの低圧ループ式排気還流装置。
前記残留ガス除去通路に逆止弁が設けられ、前記逆止弁が、前記特定部分から前記残留ガス除去通路へ向かう気体の流れを許容すると共に前記残留ガス除去通路から前記特定部分へ向かう気体の流れを阻止することを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のエンジンの低圧ループ式排気還流装置。
【背景技術】
【0002】
従来、過給機を備えたエンジンにも、排気還流装置(Exhaust Gas Recirculation(EGR)装置)が設けられることは周知である。下記の特許文献1には、この種の過給機を備えたエンジンと、それに設けられる低圧ループ式のEGR装置が記載されている。この過給機は、排気通路に設けられたタービンと、吸気通路に設けられ、タービンにより駆動されるコンプレッサとを備える。また、このEGR装置は、タービンより下流の排気通路とコンプレッサより上流の吸気通路との間にEGR通路が設けられ、そのEGR通路にEGR弁が設けられる。このEGR装置では、厳しいNOx低減要求に応えながら、EGR通路の内部で発生する凝縮水による腐食を防止するために、EGR弁を必要に応じて閉弁することによりEGRガスの還流量を制限するようになっている。
【0003】
ここで、コンプレッサの入口と出口との間で圧力差が大きくなり過ぎると、コンプレッサの翼面で空気流が不安定となり、空気流に自励振動が発生するようなサージングが起きるおそれがある。そこで、このサージングを防止するために、コンプレッサより上流の吸気通路とコンプレッサより下流の吸気通路との間をバイパスする吸気バイパス通路を設けると共に、その吸気バイパス通路に吸気バイパス弁を設けて、この吸気バイパス弁を必要に応じて開弁する。これにより、コンプレッサの入口と出口との間の圧力差を低減し、サージングを防止することができる。この種の吸気バイパス通路と吸気バイパス弁を備えた過給機付きエンジンにおいても、低圧ループ式のEGR装置を設けることが考えられる。
【0004】
この種の吸気バイパス弁の一例が、下記の特許文献2に記載されている。この吸気バイパス弁は、吸気バイパス通路の流入路と流出路との間に設けられた弁座を流出路側において開閉する弁部材を有する可動体と、可動体を閉方向へ付勢する弾性部材と、弾性部材の付勢力に抗して可動体を電磁力により開方向へ移動させる電磁装置と、電磁装置の固定側部材と可動体との間に設けられ、流出路に対して区画された圧力平衡室を形成する圧力応動部材と、可動体に形成され、流入路と圧力平衡室とを連通する圧力導入路とを備える。この吸気バイパス弁では、弁座に弁部材が着座した閉弁状態において、弁部材の流入路側と圧力平衡室側とに加わるエアの圧力が平衡化されるようになっている。そして、圧力導入通路には、圧力平衡室へ作用するエアの動圧を低減する動圧低減部材が設けられている。この構成により、圧力導入通路に設けられた動圧低減部材により、開弁開始時において圧力平衡室に作用するエアの動圧を低減し、開弁時間を短縮し、開弁応答性を向上させることができる。
【0005】
一方、過給機を備えたエンジンに設けられる技術として、エンジンで発生するブローバイガスを吸気通路を通じてエンジンへ還元するブローバイガス還元装置がある。この種の技術が、例えば、下記の特許文献3及び4に記載されている。
図20に、特許文献4に記載されるブローバイガス還元装置を含むエンジンシステムを概略構成図により示す。このエンジンシステムは、エンジン1の吸気ポート2に吸気通路3が接続され、排気ポート4に排気通路5が接続される。吸気通路3の入口には、エアクリーナ6が設けられ、エアクリーナ6より下流の吸気通路3には、排気通路5との間に過給機7が設けられる。
【0006】
過給機7は、排気通路5を流れる排気によりタービン9を回転させ、回転軸10を介してコンプレッサ8を一体回転させることにより、吸気通路3における吸気を昇圧させるようになっている。タービン9を迂回するように排気通路5に設けられる排気バイパス通路11には、アクチュエータ19により開度調節されるウェイストゲートバルブ12が設けられる。このバルブ12により排気バイパス通路11を流れる排気が調節されることで、タービン9と共にコンプレッサ8の回転速度が調節され、過給機7による過給圧が調節される。吸気通路3にはインタークーラ13が設けられ、インタークーラ13より下流の吸気通路3にはサージタンク3aが設けられ、サージタンク3aより上流の吸気通路3にはスロットル弁21が設けられる。
【0007】
吸気通路3には、コンプレッサ8より上流の部位とコンプレッサ8より下流の部位との間をバイパスする吸気バイパス通路41が設けられる。この吸気バイパス通路41には、同通路41を流れる空気により負圧を発生させるエゼクタ37が設けられる。
図21に、エゼクタ37の概略構成を断面図により示す。エゼクタ37は、空気入口側に設けられたノズル37aから噴出される空気により、空気出口側に設けられたディフューザ37bとノズル37aとの間に位置する減圧室37cに負圧を発生させるようになっている。すなわち、コンプレッサ8により吸気が昇圧されることにより、コンプレッサ8より上流の吸気通路3とコンプレッサ8より下流の吸気通路3との間に吸気の圧力差が生じ、ノズル37aとディフューザ37bとの間に圧力差が生じる。この圧力差により、ノズル37aからディフューザ37bへ向けて空気が噴出され、これによって減圧室37cに負圧が発生するようになっている。
【0008】
図20に示すように、エゼクタ37の減圧室37c(
図21参照)には、過給機7の動作時(過給時)に使用される第1ブローバイガス還元通路38の出口が接続される。この還元通路38の入口は、エンジン1のヘッドカバー1bに接続される。第1ブローバイガス還元通路38は、エンジン1の燃焼室16からクランクケース1cの中へ漏れ出たブローバイガスを、ヘッドカバー1bから再び吸気通路3を介して燃焼室16へ還元させる通路である。ヘッドカバー1bとクランクケース1cには、それぞれブローバイガスが蓄積される。従って、過給時において、エゼクタ37に負圧が発生することで、その負圧が第1ブローバイガス還元通路38を通じてヘッドカバー1bの中に作用する。これにより、ヘッドカバー1bから第1ブローバイガス還元通路38へブローバイガスが導出され、そのブローバイガスがエゼクタ37から吸気バイパス通路41を介して吸気通路3へ流れ、コンプレッサ8及び吸気通路3等を経由して燃焼室16へと還元される。
【0009】
一方、燃焼室16から漏れ出たブローバイガスを再び燃焼室16へ還元するために設けられた別の第2ブローバイガス還元通路39は、その入口がヘッドカバー1bに接続され、その出口がサージタンク3aに接続される。ヘッドカバー1bにおいて、第2ブローバイガス還元通路39の入口には、PCV弁40が設けられる。従って、非過給時において、サージタンク3aに負圧が発生するときは、その負圧が第2ブローバイガス還元通路39を介してヘッドカバー1bに作用する。これにより、ヘッドカバー1bから第2ブローバイガス還元通路39へブローバイガスが導出され、そのブローバイガスがサージタンク3aへ流れて燃焼室16へと還元される。PCV弁40は、ヘッドカバー1bから第2ブローバイガス還元通路39へ導出されるブローバイガスの流量を調整する。
【0010】
また、ヘッドカバー1b及びクランクケース1cの中に新気を導入するために、ヘッドカバー1bと吸気通路3との間には、新気導入通路46が設けられる。また、第1ブローバイガス還元通路38には、ブローバイガスを流す方向とは逆向きの気体の流れを阻止する逆止弁47が設けられる。
【0011】
ここで、
図20に示す過給機7とブローバイガス還元装置を備えたエンジンシステムにおいても、低圧ループ式のEGR装置を設けることが考えられる。低圧ループ式のEGR装置は、
図20に2点鎖線で示すように、タービン9より下流の排気通路5とコンプレッサ8より上流の吸気通路3との間に設けられるEGR通路17と、そのEGR通路17に設けられるEGR弁18とを備える。
【発明を実施するための形態】
【0048】
<第1実施形態>
以下、本発明におけるエンジンの低圧ループ式排気還流装置を具体化した第1実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0049】
図1に、この実施形態における低圧ループ式排気還流装置(低圧ループ式EGR装置)を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。このエンジンシステムは、レシプロタイプのエンジン1を備える。エンジン1の吸気ポート2には、吸気通路3が接続され、排気ポート4には、排気通路5が接続される。吸気通路3の入口には、エアクリーナ6が設けられる。エアクリーナ6より下流の吸気通路3には、排気通路5との間に、吸気通路3における吸気を昇圧させるための過給機7が設けられる。
【0050】
過給機7は、吸気通路3に配置されたコンプレッサ8と、排気通路5に配置されたタービン9と、コンプレッサ8とタービン9を一体回転可能に連結する回転軸10とを含む。過給機7は、排気通路5を流れる排気によりタービン9を回転させて回転軸10を介してコンプレッサ8を一体的に回転させることにより、吸気通路3における吸気を昇圧させる、すなわち過給を行うようになっている。
【0051】
過給機7に隣接して排気通路5には、タービン9を迂回する排気バイパス通路11が設けられる。この排気バイパス通路11には、ウェイストゲートバルブ12が設けられる。ウェイストゲートバルブ12により排気バイパス通路11を流れる排気が調節されることにより、タービン9に供給される排気流量が調節され、タービン9及びコンプレッサ8の回転速度が調節され、過給機7による過給圧が調節されるようになっている。
【0052】
過給機7に隣接して吸気通路3には、コンプレッサ8より上流の部位とコンプレッサ8より下流の部位との間をバイパスする吸気バイパス通路41が設けられる。この吸気バイパス通路41には、同通路41を開閉するための吸気バイパス弁(以下「ABV」という。)42が設けられる。このABV42により吸気バイパス通路41を流れる吸気量が調節されることにより、コンプレッサ8の入口と出口との間の圧力差が低減され、サージングを防止するようになっている。ABV42には、ABV42の内部に残留するEGRガスを排出(除去)するためにABV42の内部に連通する残留ガス除去通路43の
他端が接続される。この残留ガス除去通路43の
一端は、コンプレッサ8より上流
であって、EGR通路17の出口17aより上流の吸気通路3に接続される。
【0053】
吸気通路3において、コンプレッサ8とエンジン1との間には、インタークーラ13が設けられる。このインタークーラ13は、コンプレッサ8により昇圧されて高温となった吸気を適温に冷却するようになっている。インタークーラ13とエンジン1との間の吸気通路3には、サージタンク3aが設けられる。インタークーラ13より下流であってサージタンク3aより上流の吸気通路3には、電動式のスロットル弁である電子スロットル装置14が設けられる。電子スロットル装置14は、吸気通路3に配置されるバタフライ形のスロットル弁21と、そのスロットル弁21を開閉駆動するためのDCモータ22と、スロットル弁21の開度(スロットル開度)TAを検出するためのスロットルセンサ23とを備える。電子スロットル装置14は、運転者によるアクセルペダル26の操作に応じてスロットル弁21がDCモータ22により開閉駆動されることにより、スロットル弁21の開度が調節されるように構成される。この実施形態で、電子スロットル装置14は、本発明の吸気量調節弁の一例に相当する。また、タービン9より下流の排気通路5には、排気を浄化するための排気触媒としての触媒コンバータ15が設けられる。
【0054】
エンジン1には、燃焼室16に燃料を噴射供給するための、インジェクタ25が設けられる。インジェクタ25には、燃料タンク(図示略)から燃料が供給されるようになっている。また、エンジン1には、各気筒に対応して点火プラグ29が設けられる。各点火プラグ29は、イグナイタ30から出力される高電圧を受けて点火動作する。各点火プラグ29の点火時期は、イグナイタ30による高電圧の出力タイミングにより決定される。点火プラグ29とイグナイタ30により点火装置が構成される。
【0055】
この実施形態において、エンジン1には低圧ループ式のEGR装置が設けられる。このEGR装置は、エンジン1の燃焼室16から排気通路5へ排出される排気の一部をEGRガスとして吸気通路3へ流して燃焼室16へ還流させる排気還流通路(EGR通路)17と、EGR通路17におけるEGRガスの流れを調節するための排気還流弁(EGR弁)18とを備える。この実施形態で、EGR通路17は、触媒コンバータ15より下流の排気通路5と、コンプレッサ8より上流の吸気通路3との間に設けられる。すなわち、EGR通路17は、その入口17bがタービン9及び触媒コンバータ15より下流の排気通路5に接続され、その出口17aがコンプレッサ8より上流の吸気通路3に接続される。EGR通路17には、同通路17を流れるEGRガスを冷却するためのEGRクーラ20が設けられる。この実施形態で、EGR弁18は、EGRクーラ20より下流のEGR通路17に配置される。
【0056】
図1に示すように、EGR弁18は、ポペット弁として、かつ、電動弁として構成される。すなわち、EGR弁18は、モータ31により駆動される弁体32を備える。弁体32は、略円錐形状をなし、EGR通路17に設けられた弁座33に着座可能に設けられる。モータ31は直進的に往復運動(ストローク運動)可能に構成された出力軸34を備え、その出力軸34の先端に弁体32が固定される。出力軸34は軸受35を介してEGR通路17を構成するハウジングに支持される。そして、モータ31の出力軸34をストローク運動させることにより、弁座33に対する弁体32の開度が調節されるようになっている。EGR弁18の出力軸34は、弁体32が弁座33に着座する全閉状態から、弁体32が軸受35に当接する全開状態までの間で所定のストロークだけストローク運動可能に設けられる。この実施形態では、大量EGRを実現するために、従前の技術に比べて弁座33の開口面積が拡大されている。それに合わせて、弁体32が大型化されている。
【0057】
上記した低圧ループ式EGR装置によれば、エンジン1の運転時であって過給機7が動作する過給時には、コンプレッサ8より上流の吸気通路3に負圧が生じる。このとき、EGR弁18が開弁することにより、燃焼室16から排気通路5へ排出される排気の一部がEGRガスとしてEGR通路17を介してコンプレッサ8より上流の吸気通路3へ流れ、コンプレッサ8及び吸気通路3を更に流れて燃焼室16へ還流される。
【0058】
この実施形態では、エンジン1の運転状態に応じて燃料噴射制御、点火時期制御、吸気量制御、EGR制御及び過給制御等をそれぞれ実行するために、インジェクタ25、イグナイタ30、電子スロットル装置14のDCモータ22、EGR弁18のモータ31及びABV42がそれぞれエンジン1の運転状態に応じて電子制御装置(ECU)50により制御されるようになっている。ECU50は、中央処理装置(CPU)と、所定の制御プログラム等を予め記憶したり、CPUの演算結果等を一時的に記憶したりする各種メモリと、これら各部と接続される外部入力回路及び外部出力回路とを備える。外部出力回路には、イグナイタ30、インジェクタ25、DCモータ22、モータ31及びABV42が接続される。外部入力回路には、スロットルセンサ23をはじめエンジン1の運転状態を検出するための運転状態検出手段の一例に相当する各種センサ等27,51〜55が接続され、各種エンジン信号が入力されるようになっている。
【0059】
ここで、各種センサとして、スロットルセンサ23の他に、アクセルセンサ27、吸気圧センサ51、回転速度センサ52、水温センサ53、エアフローメータ54、空燃比センサ55が設けられる。アクセルセンサ27は、アクセルペダル26の操作量であるアクセル開度ACCを検出する。吸気圧センサ51は、スロットル弁21より下流のサージタンク3aにおける吸気圧PMを検出するようになっている。回転速度センサ52は、エンジン1のクランクシャフト1aの回転角(クランク角)を検出するとともに、そのクランク角の変化をエンジン1の回転速度(エンジン回転速度)NEとして検出する。水温センサ53は、エンジン1の冷却水温THWを検出する。エアフローメータ54は、エアクリーナ6の直下流の吸気通路3に設けられ、そこを流れる吸気量Gaを検出する。空燃比センサ55は、触媒コンバータ15の直上流の排気通路5に設けられ、そこを流れる排気中の空燃比A/Fを検出する。
【0060】
この実施形態で、ECU50は、エンジン1の全運転領域において、エンジン1の運転状態に応じてEGR制御を実行するためにEGR弁18を制御するようになっている。また、ECU50は、通常は、エンジン1の加速運転時又は定常運転時に検出される運転状態に基づきEGR弁18を開弁制御し、エンジン1の停止時、アイドル運転時又は減速運転時にEGR弁18を全閉に閉弁制御するようになっている。
【0061】
この実施形態で、ECU50は、運転者の要求に応じてエンジン1を運転するために、アクセル開度ACCに基づいて電子スロットル装置14を制御するようになっている。また、ECU50は、エンジン1の加速運転時又は定常運転時にアクセル開度ACCに基づき電子スロットル装置14を開弁制御し、エンジン1の停止時又は減速運転時に電子スロットル装置14を閉弁制御するようになっている。これにより、スロットル弁21は、エンジン1の加速運転時又は定常運転時には開弁され、エンジン1の停止時又は減速運転時には全閉に閉弁されるようになっている。
【0062】
次に、ABV42の構成を詳細に説明する。
図2に、この実施形態におけるABV42の構成を断面図により示す。
図2に示すように、ABV42は、過給機7のケーシング61に設置される。ABV42は、後述する弁部材62の開閉方向が縦方向(上下方向)となるように縦置きに配置される。ケーシング61には、吸気バイパス通路41が形成される。吸気バイパス通路41は流入路63と流出路64を有する。流入路63と流出路64との間には、弁座65が形成される。ケーシング61には、弁座65の上方にて、同心状の位置に取付孔66が形成される。取付孔66の内径は、弁座65の内径よりも大きい。
【0063】
ABV42は、本発明の駆動手段の一例に相当する電磁装置67を備える。電磁装置67は、ハウジング68、コイル69、固定コア70及び端板71等により構成される。ハウジング68は、有天円筒状に形成される。コイル69は、ボビン72に巻回された状態でハウジング68の中に収容される。固定コア70は、円柱状に形成され、ボビン72の中空部内に配置される。端板71は、円環板状に形成され、ボビン72の下端面に同心円状に設けられる。固定子としてのハウジング68、固定コア70及び端板71は、それぞれ鉄等の磁性材により形成され、固定の磁気回路を形成する。ハウジング68の下端部には、径方向外方へ突出する取付フランジ68aが形成される。取付フランジ68aの内側には内フランジ68bが形成される。内フランジ68bとボビン72との間に、端板71の外周部が挟持される。
【0064】
固定コア70の下端部には、下方へ突出する案内軸73が同心状に取り付けられる。案内軸73には、円柱状の可動コア74が、樹脂製の案内スリーブ75を介して上下方向に往復移動可能に嵌合される。可動コア74は、端板71の中空部内に遊嵌される。可動コア74は、鉄等の磁性材により形成される。案内スリーブ75は、可動コア74に対して圧入等により固定される。案内スリーブ75と固定コア70との間には、案内軸73に嵌合されたコイルばね76が介装される。弾性部材の一例に相当するコイルばね76は、可動コア74を固定コア70から離す方向、すなわち下方へ付勢する。
【0065】
電磁装置67のコイル69が励磁されていないときは、コイルばね76の付勢力によって可動コア74が固定コア70から離れる方向、すなわち下方へ付勢される。電磁装置67のコイル69が励磁されるときは、その電磁力により可動コア74がコイルばね76の付勢力に抗して固定コア70の側、すなわち上方へ吸引される。
【0066】
可動コア74の下端には、外径を小さくした取付筒部74aが形成される。取付筒部74aには、丸皿状のストッパプレート77、円環状のダイアフラム78、逆カップ状の筒状部材79及び止めリング80が同心状に順次嵌合され、かつ、その取付筒部74aの下端部の全周にわたりかしめにより固定される。ストッパプレート77の外周部は、可動コア74が上動するときに端板71に当接し、可動コア74のそれ以上の上動を制限するようになっている。ダイアフラム78は、樹脂製のゴム状弾性材から形成される。ダイアフラム78の内周部は、ストッパプレート77と筒状部材79との間に挟着される。
【0067】
ハウジング68の内フランジ68bの下面側には、樹脂製で円環状のダイアフラムガイド81が同心状に結合される。内フランジ68bとダイアフラムガイド81との間に、ダイアフラム78の外周部が挟着される。これにより、電磁装置67の各種固定側部材と可動コア74との間に設けられて密閉状に区画された圧力平衡室82が形成される。
【0068】
可動コア74には、ストッパプレート77の上方に隣接し、かつ径方向に貫通する複数個の横孔74bが、周方向に等間隔に形成される。横孔74bは、可動コア74の中空部74cと圧力平衡室82とを連通する。複数の横孔74bの合計の開口面積は、可動コア74の中空部74cの開口面積とほぼ同じに設定される。筒状部材79の内部空間79a、可動コア74の中空部74c及び横孔74bにより、一連をなす圧力導入通路83が形成される。
【0069】
筒状部材79の下端部には、樹脂製の遮蔽板84が設けられる。遮蔽板84は、円板状に形成される。遮蔽板84の下面には、環状突起からなる弁部84aが同心状に形成される。遮蔽板84には、板厚方向に貫通する複数の通気孔84bが周方向に等間隔に形成される。各通気孔84bは、円形状をなし、弁部84aの内周側に配置される。複数の通気孔84bの合計の開口面積は、可動コア74の中空部74cの開口面積とほぼ同じに設定される。遮蔽板84の弁部84aよりも内周側で通気孔84bを除いた板状部分によりエアの圧力を受ける受圧壁部が形成される。
【0070】
遮蔽板84は、筒状部材79の下端開口部にその開口部を閉鎖するように嵌合される。筒状部材79に対して遮蔽板84が同心状に、かつ上下方向に位置決めされた状態で固定される。筒状部材79のかしめ部分をかしめ部という。遮蔽板84の受圧壁部は、可動コア74の軸方向から見た投影視で可動コア74の中空部74cに重なる位置関係をもって配置される。遮蔽板84の通気孔84bは、可動コア74の軸方向から見た投影視で可動コア74の中空部74cに重ならない位置関係をもって配置される。弁部84aを有する遮蔽板84と筒状部材79とにより、弁部材62が構成される。可動コア74、ストッパプレート77、ダイアフラム78の内周部、止めリング80及び弁部材62等により、上下方向に往復移動可能な可動体85が構成される。ハウジング68、コイル69、固定コア70、端板71、案内軸73及びダイアフラム78の外周部により、固定側部材86が構成される。
【0071】
ABV42は、ケーシング61の上に設置される。詳しくは、ハウジング68は、取付孔66に対して同心状に、かつ取付孔66を塞ぐようにケーシング61の上に配置される。ハウジング68の取付フランジ68aは、ケーシング61に対して締結などにより固定される。筒状部材79は、ケーシング61の取付孔66から流出路64の中に配置される。遮蔽板84の弁部84aは、弁座65上に対応する。ケーシング61と取付フランジ68aとの間には、シール用のOリング87が設けられる。
【0072】
固定コア70の内側には、可動コア74の上端との間に、可動コア74の上下動を許容する逃し室88が形成される。また、固定コア70とハウジング68には、この逃し室88を外部へ連通させる連通路89が形成される。この連通路89は、逃し室88及び可動コア74と端板71との間の隙間を介して圧力平衡室82に連通するようになっている。この実施形態で、圧力平衡室82は、本発明における特定部分の一例に相当する。この圧力平衡室82には、吸気バイパス通路41を流れる吸気と共にEGRガスが流れ又は流入する。ここで、エンジン1と共に過給機7が停止すると、その圧力平衡室82にEGRガスが残留することがある。連通路89は、圧力平衡室82の中に残留するEGRガスをハウジング68の外部へ排出するために形成される。また、ハウジング68の上部には、連通路89の出口に対応してパイプ継手90が固定される。このパイプ継手90に、前述した残留ガス除去通路43の
他端が接続される。また、パイプ継手90の内部には、リード弁より構成される逆止弁44が設けられる。逆止弁44は、連通路89から残留ガス除去通路43へ向かうエアの流れを止め、その逆向きのエアの流れを許容するようになっている。
【0073】
次に、ABV42の動作について説明する。電磁装置67の非通電時(非励磁時)には、可動コア74を含む可動体85がコイルばね76の付勢力により、固定コア70から離れる方向へ付勢される。これにより、弁部材62の遮蔽板84の弁部84aが弁座65上に着座し、閉弁状態となる。一方、電磁装置67の通電時(励磁時)には、その電磁力により可動体85がコイルばね76の付勢力に抗して開方向へ移動する。これにより、弁部84aが弁座65から離間し、開弁状態となる。
【0074】
ABV42の閉弁状態において、ダイアフラム78は、流出路64に対応して圧力平衡室82を区画する。流入路6
3は、遮蔽板84の通気孔84b及び圧力導入通路83を介して圧力平衡室82に作用する。このため、弁部材62の前後すなわち流入路63側と圧力平衡室82側とに加わるエアの圧力が平衡化される。これによって、コイルばね76の付勢力及び電磁装置67の電磁力が軽減される。
【0075】
ところで、ABV42の開弁時、特に開弁開始時において、流入路63から弁座65の中空部を通って流出路64へ流出する高圧のエアの大半が遮蔽板84の受圧壁部に衝突する。これとともに、エアの大半は流出路64へ流れるが、エアの一部は遮蔽板84の通気孔84bから圧力導入通路83を通って圧力平衡室82に流入する。このとき、遮蔽板84の通気孔84bを通じて圧力平衡室82に作用するエアの動圧は、遮蔽板84を省略した場合の可動コア74の中空部74cを通じて圧力平衡室82に作用するエアの動圧に比べて低くなる。従って、開弁開始時において圧力平衡室82に作用するエアの動圧が低減される。これにより、従来例と比べて、圧力平衡室82内のエアの圧力が低下し易くなり、開弁開始から終了までに要する開弁時間が短縮される。また、筒状部
材79と遮蔽板84とによる弁部材62の内部空間は、可動コア74の中空部74c及び遮蔽板84の通気孔84bの開口面積(通路面積)に比べて大きい通路断面積を有するため、圧力平衡室82に作用するエアの動圧の緩衝室(筒状部材79の内部空間79aと同一。)として機能する。また、緩衝室は、圧力導入通路83の入口側通路に相当する。
【0076】
ここで、この実施形態のABV42では、その圧力平衡室82に流入したEGRガスが圧力平衡室82に残留することがある。このようにABV42の中に残留したEGRガスが、エンジンの停止後等において冷やされると、EGRガス中の水分により凝縮水が発生し、その凝縮水によりABV42の正常な動作が阻害されるおそれがある。そこで、この実施形態では、ABV42の内部、特に圧力平衡室82にて残留EGRガスにより凝縮水が発生することを防止するために、ECU50が以下のような掃気制御(残留ガス除去制御)を実行するようになっている。
【0077】
図3に、この掃気制御(残留ガス除去制御)の処理内容の一例をフローチャートにより示す。処理がこのルーチンへ移行すると、ステップ100で、ECU50は、EGRがオンからオフへ切り替えか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ100へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ110へ移行する。
【0078】
ステップ110では、ECU50は、エンジン1の運転状態が非過給域か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ230へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ120へ移行する。
【0079】
ステップ230では、ECU50は、掃気完了判定フラグXABVOCを「0」にリセットする。このフラグXABVOCは、ABV42の圧力平衡室82から残留EGRガスを除去することによって圧力平衡室82の掃気を完了した場合に「1」にセットされ、その掃気が完了していない場合に「0」にリセットされるようになっている。
【0080】
次に、ステップ240では、ECU50は、ABV開弁制御フラグXABVOを「0」にリセットする。このフラグXABVOは、ABV42が開弁した場合に「1」にセットされ、閉弁した場合に「0」にリセットされるようになっている。
【0081】
次に、ステップ250で、ECU50は、後述するABV掃気回数ABVOCを「0」にリセットする。そして、ステップ260で、ECU50は、ABV42を閉弁制御した後、処理をステップ100へ戻す。
【0082】
一方、ステップ120では、ECU50は、掃気完了判定フラグXABVOCが「0」か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合は、ECU50は処理をステップ240へ移行し、引き続き、ステップ250及びステップ260の処理を実行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ130へ移行する。
【0083】
ステップ130では、ECU50は、ABV開弁制御フラグXABVOが「0」か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合は、ECU50は処理をステップ170へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ140へ移行する。
【0084】
ステップ140では、ECU50は、ABV42を開弁制御する。次に、ステップ150で、ECU50は、開弁後に所定時間が経過するのを待ってステップ160へ移行する。そして、ステップ160では、ECU50は、ABV開弁制御フラグXABVOを「1」にセットし、処理をステップ100へ戻す。
【0085】
一方、ステップ170では、ECU50は、ABV42を閉弁制御する。次に、ステップ180で、ECU50は、閉弁後に所定時間が経過するのを待ってステップ190へ移行する。そして、ステップ190では、ECU50は、前回までのABV掃気回数ABVOC(i-1)に「1」を加算することにより、今回のABV掃気回数ABVOC(i)を算出する。
【0086】
次に、ステップ200で、ECU50は、ABV掃気回数ABVOCが所定値C1よりも大きいか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ210へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ220へ移行する。
【0087】
ステップ210では、ECU50は、掃気が完了したものとして、掃気完了判定フラグXABVOCを「1」にセットし、処理をステップ100へ戻す。
【0088】
ステップ220では、ECU50は、ABV42が閉弁していることから、ABV開弁制御フラグXABVOを「0」にリセットし、処理をステップ100へ戻す。
【0089】
この実施形態では、
連通路89、パイプ継手90及び残留ガス除去通路43が本発明の残留ガス除去手段の一例に相当する。上記制御によれば、ECU50は、EGRがオンからオフへ切り替わり、かつ、エンジン1の運転状態が非過給域である場合に、ABV42の開弁と閉弁を交互に所定の回数だけ繰り返すようになっている。
【0090】
以上説明したこの実施形態におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置によれば、EGRガスが流れ又は流入する特定部分としてABV42に圧力平衡室82を有し、その圧力平衡室82に残留するEGRガスを除去するための残留ガス除去手段として、連通路89、パイプ継手90及び残留ガス除去通路43を備えている。これにより、ABV42の圧力平衡室82に残留するEGRガスを確実に除去することができる。このため、エンジン1の停止後等において圧力平衡室8
2にEGRガスが残留することを防止することができ、ABV42が冷やされても、EGRガス中の水分により凝縮水が発生することを防止することがきる。すなわち、EGRガスが流れ又は流入する圧力平衡室82にて残留EGRガスにより凝縮水が発生することを防止することができる。この結果、凝縮水がABV42の内部の駆動部(電磁装置67等)を腐食させたり、凝縮水が凍結することで駆動部を固着させたりして、ABV42の正常な動作を阻害するおそれがない。
【0091】
また、この実施形態では、ABV42を開状態から閉状態とするときに、逆止弁44が開いて圧力平衡室82に残留ガス除去通路43から外部の空気が吸入
される。この空気により圧力平衡室82に残留するEGRガスの濃度が低下する。その後、ABV42が閉状態から開状態と
なるときに、逆止弁44が閉じ、圧力平衡室82で濃度が低下したEGRガスが流入路63へ排出される。これを繰り返すことにより、圧力平衡室82に残留するEGRガスの濃度を所定値以下とすることができる。ここで、圧力平衡室82から残留EGRガスを完全に排除(除去)できなくても、残留EGRガスが所定値以下の濃度となれば、エンジン1が停止してABV42が冷却されても、凝縮水が発生せず、問題はない。
【0092】
<第2実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第2実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0093】
なお、以下に説明する各実施形態において、第1実施形態と同等の構成については説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
【0094】
第2実施形態では、掃気制御(残留ガス除去制御)の処理内容の点で第1実施形態と異なる。
図4に、掃気制御(残留ガス除去制御)の処理内容の一例をフローチャートにより示す。このフローチャートにおいて
図3のフローチャートと異なるのは、ステップ100がステップ101に変更されている点と、ステップ110とステップ230がない点である。
【0095】
第1実施形態では、掃気を行う条件(残留EGRガスを除去する条件)をEGRカット、かつ非過給域としていたが、第2実施形態では、エンジン停止を掃気を行う条件(残留EGRガスを除去する条件)としている。すなわち、ステップ101で、イグニッションキー(IG)がオンからオフへ切り替えられたときに、掃気を行う(残留EGRガスを除去する)ようにしている。
【0096】
この実施形態によれば、第1実施形態の作用効果に加え、エンジン1が停止した後、車両の運行と関係なく、ABV42の圧力平衡室82に残留したEGRガスを圧力平衡室82から除去できるため、エンジン1の運転に影響を与えることがない。
【0097】
<第3実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第3実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0098】
図5に、この実施形態における低圧ループ式EGR装置を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。このガソリンエンジンシステムにおいて、
図1のガソリンエンジンシステムと異なるのは、残留ガス除去通路43の代わりに残留ガス除去通路91が設けられる点である。すなわち、ABV42に設けられるパイプ継手90には、残留ガス除去通路91の
他端91bが接続されて連通する。残留ガス除去通路91の
一端91aは、電子スロットル装置14より下流の吸気通路3に接続されて連通する。
【0099】
図6に、この実施形態のABV42の構成を断面図により示す。
図6のABV42では、
図2のABV42における逆止弁44の代わりに逆止弁92が設けられる点で異なる。この逆止弁92は、ハウジング68における連通路89の出口面に取り付けられ、連通路89から残留ガス除去通路91へ向かう気体の流れを許容し、残留ガス除去通路91から連通路89へ向かう気体の流れを阻止するようになっている。この実施形態では、
連通路89、パイプ継手90及び残留ガス除去通路91が、本発明の残留ガス除去手段の一例に相当する。
【0100】
この実施形態によれば、エンジン1の運転時にスロットル弁21より下流の吸気通路3で発生する負圧が残留ガス除去通路91等を介してABV42の圧力平衡室82に作用することにより、その圧力平衡82に残留するEGRガスが残留ガス除去通路91等を介してスロットル弁21より下流の吸気通路3へ吸引されて除去される。このため、EGRガスが流れ又は流入する圧力平衡室82にて残留EGRガスにより凝縮水が発生することを防止することができる。また、スロットル弁21より下流の吸気通路3で発生する負圧を利用してABV42の圧力平衡室82に残留するEGRガスを除去し、スロットル弁21より下流の吸気通路3へ排出することができる。
【0101】
この実施形態によれば、エンジン軽負荷(アイドル、減速)域は、EGRカットされているので、流入路63及び流出路64が新気になっている。この新気が通気孔84bを介して圧力平衡室82に流入することにより、圧力平衡室82が掃気される。すなわち、圧力平衡室82に残留するEGRガスが、連通路89、逆止弁92、パイプ継手90及び残留ガス除去通路91を介してサージタンク3aへ(排出)除去される。このとき、サージタンク3aは、エンジン1が軽負荷で運転されスロットル弁21が閉弁されているため負圧状態となっており、その負圧の作用により圧力平衡室82に残留するEGRガスを吸引されて排出(除去)できる。一方、サージタンク3aが正圧状態のときには、逆止弁92が閉じているため、サージタンク3aへ排出されたEGRガスが残留ガス除去通路91から連通路89へ戻ることがない。そして、これが繰り返されることにより、圧力平衡室82に残留するEGRガスの濃度を所定値以下とすることができる。圧力平衡室82から残留EGRガスを完全に除去できなくても、その濃度が所定値以下となれば、エンジン1が停止して吸気バイパス弁42が冷却されても、残留EGRガスから凝縮水が発生することはなく、問題はない。
【0102】
また、この実施形態では、エンジン1の減速時に、吸気通路3の負圧を残留ガス除去通路91等を介してABV42の逃し室88に導くことができるので、ABV42を閉状態から開状態にするときの応答性を向上させることができる。
【0103】
この実施形態では、圧力平衡室82から残留ガス除去通路91へ向かう気体の流れが逆止弁92により許容され、エンジン1の過給時等に残留ガス除去通路91から圧力平衡室82へ向かう気体の逆流が逆止弁92により阻止される。このため、エンジン1の過給時等に圧力平衡室82を気体の逆流から保護することができる。
【0104】
<第4実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第4実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0105】
図7に、この実施形態における低圧ループ式EGR装置を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。このガソリンエンジンシステムにおいて、
図5のガソリンエンジンシステムと異なるのは、残留ガス除去通路91に、絞り93と開閉弁としてのVSV94が設けられる点である。VSV94は、電磁弁であり、ECU50により開閉制御されるようになっている。この実施形態で、ECU50は、本発明の開閉弁制御手段の一例に相当する。
図8に、この実施形態のABV42の構成を断面図により示す。
図8のABV42では、
図2及び
図6のABV42における逆止弁44,92が設けられていない点で異なる。
【0106】
図9に、VSV94の制御内容の一例をフローチャートにより示す。ECU50は、ステップ300で、EGRオフ(EGRカット)であるか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ310へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ350へ移行する。
【0107】
ステップ350では、ECU50は、VSVオンフラグXVSVONを「0」にリセットする。その後、ステップ360で、ECU50は、VSV94をオフ制御した後、処理をステップ300へ戻す。
【0108】
一方、ステップ310では、ECU50は、VSVオンフラグXVSVONが「0」か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ360へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ320へ移行する。
【0109】
ステップ320では、ECU50は、VSV94をオン制御する。その後、ECU50は、ステップ330で所定時間が経過するのを待って、ステップ340で、VSVオンフラグXVSVONを「1」にセットした後、処理をステップ300へ戻す。
【0110】
上記制御によれば、ECU50は、EGRカット(EGRオフ)条件のときのみVSV94をオン制御することで開弁するようになっている。従って、この実施形態では、第3実施形態の作用効果に加え、ABV42の圧力平衡室82から残留EGRガスを除去して同室82を掃気することについては、EGR弁18を閉弁するEGRカット条件に限定することができる。このため、サージタンク3aへ流れる残留EGRガスの量を抑制することができる。EGRガスは、排気の微粒子を含んでいるため、サージタンク3aへの流入をできるだけ抑制するためである。
【0111】
この実施形態では、残留ガス除去通路91を流れるガスが絞り93により少量に制限される。このため、EGRガスを含む吸気がABV42の圧力平衡室82から排出先である吸気通路3へ過剰に排出されることを防止することができる。
【0112】
この実施形態では、EGR弁18が閉弁されるときにECU50によりVSV94が開弁制御されることにより、圧力平衡室82から残留ガス除去通路91へ向かう気体の流れが許容される。一方、EGR弁18が開弁されるときにECU50によりVSV94が閉弁制御されることにより、残留ガス除去通路91から圧力平衡室82へ向かう気体の逆流が阻止される。このため、エンジン1の過給時等に圧力平衡室82を気体の逆流から保護することができる。
【0113】
<第5実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第5実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0114】
図10に、この実施形態における低圧ループ式EGR装置を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。このガソリンエンジンシステムにおいて、
図7のガソリンエンジンシステムと異なるのは、残留ガス除去通路91に絞り93のみを設け、VSV94を省略した点である。
【0115】
第3実施形態では、エンジン1の減速運転及びアイドル運転のときに、ABV42から残留ガス除去通路91等を介して吸気通路3へ流れるガスの量は、主にABV42の内部の摺動部のクリアランスの大きさに影響される。この摺動部のクリアランスが、ABV42の製品毎の公差によるバラツキや経年摩耗により大きくなった場合には、エンジン1の減速性の悪化、アイドル回転上昇等の不具合が発生するおそれがある。この実施形態によれば、残留ガス除去通路91に絞り93が設けられるので、残留ガス除去通路91を通じてサージタンク3aへ過剰のガスが流入することを防止することができる。その他、この実施形態では、第3実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0116】
<第6実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第6実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0117】
図11に、この実施形態における低圧ループ式EGR装置を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。このガソリンエンジンシステムにおいて、
図1のガソリンエンジンシステムと異なるのは、残留ガス除去通路
43の代わりに残留ガス除去通路95が設けられ、その残留ガス除去通路95に加圧ポンプ96が設けられる点である。すなわち、ABV42に設けられるパイプ継手90には、残留ガス除去通路95の
他端95bが接続される。残留ガス除去通路95の
一端95aは、加圧ポンプ96の吐出口に接続される。加圧ポンプ96は、電動ポンプであり、ECU50により駆動制御されるようになっている。この実施形態で、ECU50は、加圧ポンプ96を制御するための加圧ポンプ制御手段の一例に相当する。この実施形態で、残留ガス除去通路95、加圧ポンプ96及びECU50が、本発明の残留ガス除去手段を構成する一例に相当する。
【0118】
図12に、加圧ポンプ96の制御内容の一例をフローチャートにより示す。ECU50は、ステップ400で、EGRオフ(EGRカット)であるか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ410へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ450へ移行する。
【0119】
ステップ450では、ECU50は、ポンプオンフラグXPUMPONを「0」にリセットする。その後、ステップ460で、ECU50は、加圧ポンプ96をオフ制御した後、処理をステップ400へ戻す。
【0120】
一方、ステップ410では、ECU50は、ポンプオンフラグXPUMPONが「0」か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ460へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ420へ移行する。
【0121】
ステップ420では、ECU50は、加圧ポンプ96をオン制御する。その後、ECU50は、ステップ430で所定時間が経過するのを待って、ステップ440で、ポンプオンフラグXPUMPONを「1」にセットした後、処理をステップ400へ戻す。
【0122】
上記制御によれば、ECU50は、EGR弁18が閉弁されるとき、すなわちEGRカット(EGRオフ)条件のときにのみ加圧ポンプ96をオン制御することで駆動し、残留ガス除去通路95へ圧縮空気を供給するようになっている。従って、この実施形態によれば、EGRガスが流れ又は流入する圧力平衡室82にて残留EGRガスにより凝縮水が発生することを防止することができる。また、残留ガス除去通路95等を介して圧縮空気をABV42の圧力平衡室82へ直接供給することができるので、圧力平衡室82に残留するEGRガスが加圧により可動コア74の横孔74b、及び中空部74c、筒状部材79の内部空間79a、遮蔽板84の通気孔84bを介して流入路63等へ押し出されて圧力平衡室82から確実に除去することができ、圧力平衡室82を確実に掃気することができる。このため、加圧ポンプ96を任意のタイミングで動作させることにより、圧力平衡室82に残留するEGRガスを任意のタイミングで除去することができ
る。
【0123】
<第7実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第7実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0124】
この実施形態で、
図11に示すガソリンエンジンシステムにおいて、第6実施形態と異なるのは、残留ガス除去通路95に、加圧ポンプ96の代わりに負圧ポンプ97が設けられる点である。また、負圧ポンプ97の制御内容は、
図12のフローチャートに準ずる。この実施形態で、ECU50は、負圧ポンプ97を制御するための負圧ポンプ制御手段の一例に相当する。この実施形態で、残留ガス除去通路95、負圧ポンプ97及びECU50が、本発明の残留ガス除去手段を構成する一例に相当する。
【0125】
この実施形態によれば、ECU50は、EGR弁18が閉弁されるとき、すなわちEGRカット(EGRオフ)条件のときにのみ負圧ポンプ97をオン制御することで駆動し、残留ガス除去通路95へ負圧を供給するようになっている。従って、この実施形態によれば、EGRガスが流れ又は流入する圧力平衡室82にて残留EGRガスにより凝縮水が発生することを防止することができる。また、残留ガス除去通路95等を介して圧力平衡室82に負圧が作用し、この負圧により圧力平衡室82に残留するEGRガスを吸引されて圧力平衡室82から残留ガス除去通路95等を介して確実に除去することができ、圧力平衡室82を確実に掃気することができる。このため、負圧ポンプ97を任意のタイミングで動作させることにより、圧力平衡室82に残留するEGRガスを任意のタイミングで除去することができ
る。
【0126】
<第8実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第8実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0127】
図13に、この実施形態における低圧ループ式EGR装置を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。このガソリンエンジンシステムにおいて、
図1のガソリンエンジンシステムと異なるのは、ABV42に残留ガス除去通路43が設けられていない点である。
図14に、この実施形態のABV42の構成を断面図により示す。このABV42において、
図2のABV42と異なるのは、連通路89
、パイプ継手90及び逆止弁44が設けられていない点である。
【0128】
この実施形態は、ABV42の制御内容に特徴がある。すなわち、ABV42が閉弁状態から開弁状態へ移行するときには、可動体85が上向きに移動し、逃し室88の空気が可動体85の外周の隙間を介して圧力平衡室82に移動する。これにより、圧力平衡室82に残留していたEGRガスは、遮蔽板84の通気孔84bから吸気バイパス流路41へ排出される。
【0129】
その後、ABV42が開弁状態から閉弁状態へ移行するときには、可動体85が下向きに移動し、吸気バイパス流路41の新たな空気が圧力平衡室82に流れ込む。さらに、圧力平衡室82に流れ込んだ空気が、可動体85の外周の隙間を介して逃し室88に移動する。これにより、逃し室88及び圧力平衡室82に新たな空気が流入する。この結果、逃し室88及び圧力平衡室82に残留したEGRガスの濃度が低下する。
【0130】
このようにABV42の開閉を繰り返すことにより、圧力平衡室82に残留するEGRガスの濃度を低下させることができる。EGRガスは完全に排除できなくても、その濃度が所定値以下となれば、エンジン1が停止してABV42が冷却されても、EGRガスから凝縮水が発生することがなく、問題はない。
【0131】
このようにABV42の開閉を繰り返し行えば、ABV42の圧力平衡室82に残留するEGRガスの濃度を低減できるのであるが、常に同じ回数の開閉を行っていてはABV42の寿命が短くなるおそれがある。そこで、この実施形態では、ABV42の圧力平衡室82に残留するEGRガスの濃度を推定し、その濃度が高いと推定される場合は、ABV42の開閉の繰り返し数を多くし、その濃度が低いと推定される場合は、ABV42の開閉の繰り返し数を少なくしている。
【0132】
図15に、ABV42の制御内容の一例をフローチャートにより示す。ECU50は、ステップ500で、EGRオフ(EGRカット)であるか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ510へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ580へ移行する。
【0133】
ステップ580では、ECU50は、エンジン1の運転状態が非過給域か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ710へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ590へ移行する。
【0134】
ステップ710では、ECU50は、掃気完了判定フラグXABVOCを「0」にリセットする。このフラグXABVOCは、ABV42の圧力平衡室82から残留EGRガスを除去することによって圧力平衡室82の掃気を完了した場合に「1」にセットされ、その掃気が完了していない場合に「0」にリセットされるようになっている。
【0135】
次に、ステップ720では、ECU50は、ABV開弁制御フラグXABVOを「0」にリセットする。このフラグXABVOは、ABV42が開弁した場合に「1」にセットされ、閉弁した場合に「0」にリセットされるようになっている。
【0136】
次に、ステップ730で、ECU50は、後述するABV掃気回数ABVOCを「0」にリセットする。そして、ステップ740で、ECU50は、ABV42を閉弁制御した後、処理をステップ500へ戻す。
【0137】
一方、ステップ590では、ECU50は、掃気完了判定フラグXABVOCが「0」か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合は、ECU50は処理をステップ700へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ600へ移行する。
【0138】
ステップ700では、ECU50は、過給判定フラグXPMPを「0」にリセットし、その後処理をステップ720へ移行する。このフラグXPMPは、過給が行われているときに「1」にセットされ、過給が行われていないときに「0」にリセットされるようになっている。
【0139】
ステップ600では、ECU50は、ABV開弁制御フラグXABVOが「0」か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合は、ECU50は処理をステップ640へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ610へ移行する。
【0140】
ステップ610では、ECU50は、ABV42を開弁制御する。次に、ステップ620で、ECU50は、開弁後に所定時間Asが経過するのを待ってステップ630へ移行する。そして、ステップ630では、ECU50は、ABV開弁制御フラグXABVOを「1」にセットし、処理をステップ500へ戻す。
【0141】
一方、ステップ640では、ECU50は、ABV42を閉弁制御する。次に、ステップ650で、ECU50は、閉弁後に所定時間Bsが経過するのを待ってステップ660へ移行する。そして、ステップ660では、ECU50は、前回までのABV掃気回数ABVOC(i-1)から所定値βを減算することにより、今回のABV掃気回数ABVOC(i)を算出する。
【0142】
次に、ステップ670で、ECU50は、ABV掃気回数ABVOCが0回以下であるか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ690へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ680へ移行する。
【0143】
ステップ690では、ECU50は、掃気が完了したものとして、掃気完了判定フラグXABVOCを「1」にセットし、処理をステップ500へ戻す。
【0144】
ステップ680では、ECU50は、
ABV42が閉弁していることから、ABV閉弁制御フラグXABVOを「0」にリセットし、処理をステップ500へ戻す。
【0145】
一方、ステップ510では、ECU50は、エンジン1の運転状態が過給域であるか否か、すなわち過給が行われているか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ511へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理を
ステップ520へ移行する。
【0146】
ステップ511では、ECU50は、エンジン1の運転状態が過給域でないことから過給判定フラグXPMPを「0」にリセットした後、処理をステップ500へ戻す。
【0147】
ステップ520では、ECU50は、掃気完了判定フラグXABVOCを「0」にリセットする。
【0148】
次に、ステップ530で、ECU50は、過給判定フラグXPMPが「0」か否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50はそのまま処理をステップ500へ戻す。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理を
ステップ540へ移行する。
【0149】
ステップ540では、ECU50は、前回までのABV掃気回数ABVOC(i-1)に所定値αを加算することにより、今回のABV掃気回数ABVOC(i)を算出する。
【0150】
次に、ステップ550で、ECU50は、ABV掃気回数ABVOC(i)が所定値Eより少ないか否かを判断する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ560へ移行する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ570へ移行する。
【0151】
ステップ560では、ECU50は、ABV掃気回数ABVOC(i)から所定値Eを減算した後、処理をステップ570へ移行する。
【0152】
ステップ550又はステップ560から移行してステップ570では、ECU50は、エンジン1の運転状態が過給域であることから、過給判定フラグXPMPを「1」にセットし、処理をステップ500へ戻す。
【0153】
上記の制御によれば、非過給域から過給域へ変わる工程条件の回数に応じて、圧力平衡室82を掃気するためのABV42の開閉回数を増加させている。従って、圧力平衡室82に残留するEGRガスの濃度が高いと推定されるときには、ABV掃気回数ABVOCを増加させているため、圧力平衡室82に残留するEGRガスの濃度を効率よく低下させることができる。同時にABV42に無駄な開閉動作を行わせないので、ABV42の耐久性を向上させることができる。
【0154】
この実施形態では、ABV42を閉弁状態から開弁状態にして、可動体85を上向きに移動させるときに、可動体85をできる限りゆっくりと移動させる必要がある。可動体85の移動スピードが速いと、逃し室88内の空気が圧縮されるのみで、可動体85の外周の隙間から圧力平衡室82に流れないからである。
【0155】
そこで、コイル69に与える電力を、可動体85が動き出せる最小に近い電力量としてコイル69の吸引力を低くする必要がある。そのためには、電圧制御又は電流制御により電力量を制御すれば良い。
【0156】
<第9実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第9実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0157】
この実施形態では、ABV42の制御内容の点で第8実施形態と構成が異なる。
図16に、この実施形態におけるABV42の制御内容の一例をフローチャートにより示す。このフローチャートにおいて
図15のフローチャートと異なるのは、ステップ650とステップ660とステップ670との間にステップ800とステップ810が設けられる点である。
【0158】
すなわち、
図16のフローチャートにおいて、ステップ650から移行してステップ800では、エンジン1が運転されているか否かを判断する。この判断結果が肯定となる場合、ECU50は処理をステップ660へ移行する。この判断結果が否定となる場合、ECU50は処理をステップ810へ移行する。
【0159】
ステップ810では、ECU50は、前回までのABV掃気回数ABVOC(i-1)から所定値γを減算することにより、今回のABV掃気回数ABVOC(i)を算出する。その後、ECU50は処理をステップ670へ移行する。ここで、所定値γは、EGRカットとエンジン停止が同時に行われているときにABV42が開閉されると、ABV42の圧力平衡室82に残留するEGRガスの濃度が低下するため、ABV掃気回数ABVOCを必要な回数だけ減少させるための値である。ここで、所定値βと所定値γは、「β>γ」の関係を有する。これは、エンジン1が停止している場合には、ABV42における流入路63側に新気の流れがないため、EGRカットとエンジン運転が同時に行われているときのABV42の開閉動作と比較して、ABV42の圧力平衡室82から除去できる残留EGRガスの量が少ないためである。そのため、エンジン停止時には、ABV掃気回数ABVOCを増加させる必要がある。
【0160】
<第10実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第10実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0161】
前記各実施形態では、過給機7を備えたエンジン1に設けられる低圧ループ式のEGR装置において、吸気バイパス通路41に設けられるABV42の圧力平衡室82を特定部分として、その圧力平衡室82に残留するEGRガスを除去するための残留ガス除去手段について説明した。これに対し、この実施形態は、従来技術で説明した
図20及び
図21に示す過給機7とブローバイガス還元装置を備えたガソリンエンジンシステムに設けられる低圧ループ式のEGR装置に関する。この実施形態では、吸気バイパス通路41に設けられるエゼクタ37の内部を特定部分として、そのエゼクタ37の内部に残留するEGRガスを除去するための残留ガス除去手段について説明する。
【0162】
図17に、この実施形態における低圧ループ式EGR装置とブローバイガス還元装置を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。この実施形態では、
図20に示す構成要素と同一の部材については同一の符号を付して説明を省略し、異なった点を中心に説明する。
図17に示すエンジンシステムでは、残留ガス除去手段は、エゼクタ37の内部に残留するEGRガスを流すための残留ガス除去通路91を含む。残留ガス除去通路91の一端91
aがスロットル弁21より下流の吸気通路3に接続されると共に、その残留ガス除去通路91の他端91
bがエゼクタ37の近傍の吸気バイパス通路41に接続される。また、その残留ガス除去通路91には、同通路91を流れるガス流量を少量に制限するための絞り93が設けられる。そして、エゼクタ37の内部に残留するEGRガスを除去するために、スロットル弁21より下流の吸気通路3で発生する負圧を残留ガス除去通路91を介して吸気バイパス通路41へ作用させるようになっている。
【0163】
従って、この実施形態では、エンジン1の運転時であって過給時には、吸気バイパス通路41とエゼクタ37の内部に吸気と共にEGRガスが流れる。その後、エゼクタ37の内部にEGRガスが残留することがある。ここで、この実施形態によれば、過給機7が動作していないエンジン1の軽負荷運転時には、スロットル弁21より下流の吸気通路3にて負圧が発生する。この負圧が残留ガス除去通路91を介して吸気バイパス通路41に作用することにより、エゼクタ37の内部に残留するEGRガスが残留ガス除去通路91を介して吸気通路3へ吸引されて除去される。これと同時に、エゼクタ37の内部に新気が流入することにより、エゼクタ37の内部が掃気される。このため、吸気バイパス通路41に設けられたエゼクタ37の内部を特定部分として、そこに残留するEGRガスを除去することができる。また、EGRガスが流れるエゼクタ37の内部にて残留EGRガスにより凝縮水が発生することを防止することができる。
【0164】
この実施形態では、エゼクタ37の内部に残留するEGRガスはわずかであり、残留ガス除去通路91には絞り93が設けられるので、残留ガス除去通路91を流れるガス流量は少量に制限される。この結果、EGRガスを含む吸気(新気)がエゼクタ37の内部から排出先である吸気通路3へ過剰に排出されることを防止することができ、エンジン1の運転変動を抑えることができる。
【0165】
<第11実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第11実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0166】
図18に、この実施形態における低圧ループ式EGR装置とブローバイガス還元装置を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。低圧ループ式EGR装置では、エンジン1の停止後に、閉弁されたEGR弁18より下流のEGR通路17にもEGRガスが残留することがある。そこで、この実施形態では、第10実施形態の構成に加え、EGR弁18より下流のEGR通路17を特定部分として、そのEGR通路17に残留するEGRガスを除去するための残留ガス除去手段を更に備える。この実施形態では、絞り93より
上流の残留ガス除去通路91が二股に分岐し、その一方の分岐通路91Aの他端91
bが吸気バイパス通路41に連通し、その他方の分岐通路91Bの他端91cがEGR弁1
8より下流のEGR通路17に連通する。また、この実施形態では、絞り93より下流の残留ガス除去通路
91に逆止弁98が設けられる。この逆止弁98は、吸気通路3へ向かうガスの流れを許容し、その逆の流れを規制するようになっている。これらの点で、この実施形態は第10実施形態と構成が異なる。
【0167】
従って、この実施形態によれば、第10実施形態の作用効果に加えて次のような作用効果を有する。すなわち、吸気通路3で発生する負圧が残留ガス除去通路91及びその分岐通路91Bを介してEGR弁18より下流のEGR通路17に作用することにより、そのEGR通路17に残留するEGRガスが分岐通路91B及び残留ガス除去通路91を介して吸気通路3へ吸引されて除去される。これと同時に、その部分のEGR通路17に新気が流入することにより、そのEGR通路17の部分が掃気される。このため、EGR弁18より下流のEGR通路17を特定部分として、そこに残留するEGRガスを除去することができる。また、EGRガスが流れるEGR通路17(EGR弁18より下流の部分)にて残留EGRガスにより凝縮水が発生することを防止することができる。
【0168】
また、この実施形態では、残留ガス除去通路91に逆止弁98が設けられるので、過給機7が動作する過給時に、吸気通路3から残留ガス除去通路91へ向かうガスの逆流が阻止される。このため、エンジン1の過給時等に特定部分であるEGR通路17を気体の逆流から保護することができ、EGR通路17の適正な機能を確保することができる。
【0169】
<第12実施形態>
次に、本発明におけるエンジンの低圧ループ式EGR装置を具体化した第12実施形態につき図面を参照して詳細に説明する。
【0170】
図19に、この実施形態における低圧ループ式EGR装置とブローバイガス還元装置を含む過給機付きガソリンエンジンシステムを概略構成図により示す。この実施形態では、逆止弁98と絞り93との間にて残留ガス除去通路91が二股に分岐し、その一方の分岐通路91Aの他端91
bが吸気バイパス通路41に連通し、その他方の分岐通路91Bの他端91cがEGR弁1
8より下流のEGR通路17に連通する。そして、その分岐通路91Bに絞り99が設けられる。この実施形態では、これらの点で第11実施形態と構成が異なる。
【0171】
従って、この実施形態によれば、第11実施形態の作用効果に加えて次のような作用効果を有する。すなわち、この実施形態では、EGR弁18より下流のEGR通路1
7に残留するEGRガスはわずかであり、残留ガス除去通路91の分岐通路91Bには絞り99が設けられるので、分岐通路91Bを流れるガスが絞り99により少量に制限される。このため、残留EGRガスを含む吸気(新気)が特定部分であるEGR通路17から排出先である吸気通路3へ過剰に排出されることを防止することができ、エンジン1の運転変動を抑えることができる。
【0172】
なお、この発明は前記各実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱することのない範囲で構成の一部を適宜変更して実施することもできる。
【0173】
(1)前記各実施形態では、ABV42の圧力平衡室82、エゼクタ37の内部、EGR弁18より下流のEGR通路1
7をそれぞれ特定部分としてそこに残留するEGRガスを除去するように構成したが、特定部分はこれらに限られるものではなく、EGRガスが流れ又は流入する部分であればよい。例えば、吸気通路3に設けられるインタークーラ13の内部も特定部分として想定することができる。
【0174】
(2)前記第4実施形態では、残留ガス除去通路91に開閉弁としてのVSV94を設けて開閉制御するように構成したが、第10〜第12の実施形態において残留ガス除去通路91にVSVを設けて開閉制御してもよい。
【0175】
(3)前記第11実施形態及び前記第12実施形態では、ブローバイガス還元装置を含む過給機付きガソリンエンジンシステムにおいて、エゼクタ37の内部とEGR弁18より下流のEGR通路17とをそれぞれ特定部分として、そこに残留するEGRガスを除去するように構成したが、EGR弁より下流のEGR通路のみを特定部分としてそこに残留するEGRガスを除去するように構成することもできる。