(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
動力源により駆動されて走行可能な走行部と、機体前方に設けられ前進走行により雪を押して除雪するためのブレード部と、機体後方に設けられた機体を操作するための操作ハンドルを備えた歩行型ブレード除雪機において、
前記操作ハンドルとブレード部は、本体フレームに進行方向と直交する水平方向に設けた回動軸により保持され本体フレームに対し上下方向に回動する回動フレームを介して連結されていて、前記ブレード部は回動フレームに対し前後方向に回動自在に設けられているとともに、ブレード部の回動を固定及び解除が可能なブレード回動固定手段が設けられていて、該ブレード回動固定手段は、操作ハンドルを下降させブレード部を上昇させて、該ブレード部及び該ブレード部の下端部に位置するスクレーパが一定の高さに到達すると、ブレード部の回動固定が自動的に解除されブレード部が前方に回動した状態となることを特徴とした歩行型ブレード除雪機。
ブレード部の回動固定が解除されブレード部が前方に回動状態となった後、ブレード部を下降させると、ブレード部が地上面によって押されて後方に回動されブレード回動固定手段により自動的に回動が固定されることを特徴とした請求項1に記載の歩行型ブレード除雪機。
ブレード回動固定手段は、回動フレームに設けた前後方向に回動するフック部材と、ブレード部側に設けたフック部材が係合するロックピンと、フック部材をロックピン側に付勢する弾性部材と、フック部材と本体フレーム側とを連結した連結部材で構成されていて、
ブレード部を上昇させると連結部材によりフック部材が弾性部材の付勢力に抗して引かれて回動してロックピンとの係合が外れ回動固定が解除されることを特徴とした請求項1乃至2記載の歩行型ブレード除雪機。
【背景技術】
【0002】
従来、除雪用のブレードを備えた歩行型の除雪機は、例えば、ハンドルの押し下げ操作により除雪用ブレードが上昇するように設けた特開平05−179624号公報の「ドーザ付作業機」(特許文献1)や除雪用ブレードを上昇可能であるとともに除雪用ブレードの角度を固定又は必要に応じて変え得るブレード回動装置を備えた特開2011−231454号公報の「歩行型除雪機」(特許文献2)が公知である。
【0003】
特許文献1に示すような除雪機において除雪作業を行うとき、除雪機を前進させて雪をブレード部で押して除雪作業が行われる。この場合ブレード部前方に溜まった雪の量が多くなり押すことができなくなると、その場に盛り上げた状態となる。また、押して行った終端部に盛り上げた状態で置く作業のみとなり、雪の置き場所が限定され除雪作業が制約される。
【0004】
特許文献2に示す歩行型除雪機は、特許文献1の除雪機のような除雪作業が制約されることを改善したもので、ブレード回動装置によりブレードを回動させることを可能としたことにより、雪を押すことに加えブレード部に雪を乗せて運搬が可能となり、雪の置き場所の制約が改善されている。しかしながら、歩行型のブレード型の除雪機は誰でも容易に使用できて、安価に構成されたものが望まれていて、本例の場合構造が複雑であり、レバー21の操作等が必要であり、取り扱いも容易であるとは言えない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は、上記背景より、手軽に除雪作業が行え、女性や高齢者等比較的機械の取扱いに不慣れなユーザーでも簡単に使用できる除雪機であり、雪を押して作業が可能であるとともに雪の投雪が可能で且つ構造がシンプルな除雪機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1記載の除雪機は、動力源により駆動されて走行可能な走行部と、機体前方に設けられ前進走行により雪を押して除雪するためのブレード部と、機体後方に設けられた機体を操作するための操作ハンドルを備えた歩行型ブレード除雪機において、前記操作ハンドルとブレード部は、本体フレームに進行方向と
直交する水平方向に設けた回動軸により保持され本体フレームに対し上下方向に回動する回動フレームを介して連結されていて、前記ブレード部は回動フレームに対し前後方向に回動自在に設けられているとともに、ブレード部の回動を固定及び解除が可能なブレード回動固定手段が設けられていて、該ブレード回動固定手段は、操作ハンドルを下降させブレード部を上昇させて
、該ブレード部及び該ブレード部の下端部に位置するスクレーパが一定の高さに到達すると、ブレード部の回動固定が
自動的に解除されブレード部が前方に回動
した状態となることを特徴とした歩行型ブレード除雪機である。
【0008】
また、請求項2記載の除雪機は、ブレード部の回動固定が解除されブレード部が前方に回動状態となった後、ブレード部を下降させると、ブレード部が地上面によって押されて後方に回動されブレード回動固定手段により自動的に回動が固定されることを特徴とした請求項1に記載の歩行型ブレード除雪機である。
【0009】
さらに、請求項3記載の除雪機は、ブレード回動固定手段は、回動フレームに設けた前後方向に回動するフック部材と、ブレード部側に設けたフック部材が係合するロックピンと、フック部材をロックピン側に付勢する弾性部材と、フック部材と本体フレーム側とを連結した連結部材で構成されていて、ブレード部を上昇させると連結部材によりフック部材が弾性部材の付勢力に抗して引かれて回動してロックピンとの係合が外れ回動固定が解除されることを特徴とした請求項1乃至2記載の歩行型ブレード除雪機である。
【発明の効果】
【0010】
操作ハンドルを下降させブレード部を上昇させて一定の高さに到達すると、ブレード部の回動固定が自動的に解除され、ブレード部を前方に回動させることができるため、雪の投雪が容易に行え、取り扱い性が良く、構造がシンプルな除雪機を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の一形態を、
図1乃至
図7に基づいて説明する。
【0013】
本発明の歩行型ブレード除雪機1は、走行用として左右にクローラベルト20を設け、前方部に駆動輪23と後方に従動輪25を位置させて巻着させたクローラベルト20を駆動する。クローラベルト20前方部には、左右のクローラベルト20の幅と同等若しくはこれより広い幅の除雪用ブレード部5が設けられ、後方部には作業者が左右握って操作するグリップ61を左右後端に設けた操作ハンドル60が設けられている。操作ハンドル60後端側には、走行方向を前後に切替える走行切換レバー63とグリップ61近傍に走行をON・OFFさせる走行レバー62が設けられている。本例においては、進行方向右側のグリップ61近傍に走行切換レバー63が設けられ、左側のグリップ61部に走行レバー62が設けられている。走行切換レバー63は右側の操作ハンドル60に設けた操作パネル64の中にある左右方向の軸芯周りに回動し、後述の電動モータ21を前進駆動させる前進位置と、後進駆動させる後進位置と、前進位置と後進位置との間に中立位置を設けて、この間で回動可能に構成されている。
【0014】
操作ハンドル60は、前方に位置する除雪用ブレード部5と回動フレーム4を介して連結されていて、回動フレーム4は、前記左右クローラベルト20の内側左右を通り後方に延設され、側面視クローラベルト20の前後に配置された駆動輪23と従動輪25の回転軸間に位置する進行方向と直交する水平軸の回動支点軸41を中心に上下に回動可能に設けられている。操作ハンドル60のグリップ61部を握り、下方に押し下げると、回動フレーム4が回動支点軸41を中心に回動して前方部に連結されたブレード部5を上方に回動させることができる。
【0015】
図5は、本発明の歩行型ブレード除雪機1の一部断面した平面図である。中央に位置する本体フレーム3の左右には、クローラベルト20が設けられ、左右クローラベルト20の中間部には走行用の電動モータ21を駆動するバッテリ75と、電動モータ21を制御するための制御部8が設けられている。本体フレーム3からは左右方向にクローラベルト20を駆動する駆動輪23と従動輪25のそれぞれの回転軸が突設して設けられている。走行用のクローラベルト20は、前方に設けた駆動輪23と後部の従動輪25とに巻き掛けられていて、駆動輪23部に設けられた電動モータ21を正逆回転させて駆動される。本例の電動モータ21は、ホイールインモータタイプのモータを使用して駆動輪23と一体の構造となっている。左右のクローラベルト20の作動部分は、左右対称な構造となっている。
【0016】
クローラベルト20と本体フレーム3との間には丸パイプで構成された前記回動フレーム4が前後方向に延設されていて、本体フレーム3に駆動輪23と従動輪25の前後方向間に左右方向に突設されて設けた回動支点軸41が備えられ、これに回動フレーム4の回動ボス40が挿入され、前方部にブレード部5、後方部に操作ハンドル60が連結されている。
【0017】
走行部2は、左右それぞれの駆動輪23と従動輪25と両輪間に架け渡されたクローラベルト20と駆動輪23に設けた電動モータ21からなる。駆動輪23部は左右対称の構造となっていて片側のみ説明する。電動モータ21は、ホイールインタイプのモータで駆動輪23部に一体で設けられていて、電動モータ21の外周を覆うモータケースは駆動輪23と一体に固着され、モータケース内に電動モータ21のステータとロータおよび減速部が内蔵されていて、本体フレーム3から水平に突設された回転軸を中心に電動モータ21が回転すると駆動輪23も同軸上で回転する構造となっている。
【0018】
電動モータ21部はほぼクローラベルト20の幅内に位置しているため、重心はクローラベルト20の幅内に位置して、構成部品の中でも比較的重量がある電動モータ21の重量は直接クローラベルト20の接地圧に作用して駆動力を向上させる。また、駆動輪23部に他の構成部品に比べ比較的重量の有る電動モータ21が位置することにより、歩行型ブレード除雪機1全体の重心を低く抑えることができるため、左右に傾斜した場合でも左右のクローラベルト20の駆動力の変化が少なく、転倒の危険性も少なく取り扱い性が良好な構造とすることができる。さらに、電動モータ21がクローラベルト20内に位置するため、全体の構成をコンパクトに構成できる。
【0019】
走行用クローラベルト20は、駆動輪23が前方に、後方には従動輪25が配置されて、これに巻き掛けられていて、駆動輪23部に設けた電動モータ21を正逆回転させて駆動輪23を回転させ駆動される。除雪用ブレード部5により雪を押す場合、駆動輪23は前方に向け正回転する。正回転することによりクローラベルト20の被接地面である上面側が前方に引っ張られた状態となる。後方の従動輪25は遊動状態であるためクローラベルト20の接地面側も張られた状態となり、クローラベルト20の接地面全体が均等に地面を押し付けて駆動力を有効に発揮する。一方駆動輪23が後方に位置する場合、クローラベルト20の上方部に弛みができやすく、比較的接地面部が緊張状態となりにくく駆動力を有効に伝達し難いため駆動輪23は前方側に配置するのが牽引性能上有利である。
【0020】
ブレード部5を上下回動させるための回動フレーム4の回動支点軸41は、本体フレーム3の下方部に左右方向水平に設けられ、本体フレーム3から左右方向の両端部を突設して設けられていて、突設部に回動フレーム4の回動ボス40が回動自在に嵌合されている。本体フレーム3中央部にはバッテリケース70内に収納されたバッテリ75が位置している。バッテリ75は、側面視においてバッテリ75の重心が、走行用クローラベルト20の前後に配置された駆動輪23と従動輪25の回転軸間に位置するように位置づけられている。このことによりバッテリ75の重量がクローラベルト20の接地面に有効に作用して駆動力を向上させる。
【0021】
バッテリ部7と制御部8は、本体フレーム3に設けられている。バッテリ部7は、バッテリ75と該バッテリ75を内蔵したバッテリケース70とからなり、本体フレーム3の走行方向前方に位置して本体フレーム3から取外し自在に設けられている。バッテリケース70には、バッテリケース70の後方に位置する制御部8との連結のための連結カプラ(図示せず)が設けられ、下部には制御部8側から突設された水平方向のガイドピン31が嵌合されるピン孔71が設けられている。また、上面には取手72が設けられ、バッテリ部7を持ち運び可能としている。バッテリ部7の前方下部には本体フレーム3に固定するための孔が設けられていて、固定ノブ73により本体フレーム3にネジ止めする。さらに、バッテリケース70の上方の前方部には夜間作業用のライト74及び該ライト74をON/OFFするライトスイッチ76が設けられている。
【0022】
制御部8は、制御部ケースに内蔵されて本体フレーム3に固着されていて、バッテリ部7側の前記連結カプラと着脱可能なカプラが設けられ、電源の導通が行われる。下方部にはバッテリケース70の前記ピン孔71に嵌合されるガイドピン31が前後方向に突設されている。
【0023】
本体フレーム3のバッテリ部7が載せられる上面には、バッテリケース70をガイドする左右一対のガイド板30が左右に突設されていて、バッテリ部7を連結又は分離する時にバッテリ部7の横ズレを防止して迅速且つ確実に行なうことができる。
【0024】
前方部に位置するブレード部5は、雪を押し出すメインのブレード本体50と、その下端部に位置するスクレーパ51と、左右側部に位置してブレード本体50で押出す雪を側方に逃がさないためのサイドプレート52で構成されている。ブレード本体50は、前方に開口部を向けた弓形で左右のクローラベルト20の外端と同等又はこれより幅が広く設けられている。ブレード本体50の下方端部にはブレード本体50のほぼ全幅にわたってスクレーパ51が取付けられている。スクレーパ51は前端部から後方に向け鋭角に傾斜していてブレード部5を雪面に押し付けて食込ませるためのもので、前進することにより雪をブレード本体50の前面の凹部面に沿って誘導して上昇させ前方に湾曲した上方部から前方に順次落とし込んで集めていく。
【0025】
図2乃至
図6によりブレード回動固定手段9について説明する。ブレード部5は、回動フレーム4の前方端部に前後方向回動自在に連結されている。
図6は、ブレード部5の回動支点部の断面した平面図で、回動フレーム4の左右前端部にはブレード回動ボス42が左右水平方向の貫通孔を有して設けられ、ブレード本体50に固着された回動軸ブラケット500には、左右水平方向に開けられた貫通孔が設けられ、これらの孔にブレード回動軸53が嵌合され、ブレード部5は、回動フレーム4に回動自在に連結されている。ブレード回動軸53の端部には、抜け止めピン54が差し込まれ保持されている。
【0026】
ブレード部5の回動支点部であるブレード回動軸53の上方部には、ブレード部5の前後の回動の固定又は解除を行うブレード回動固定手段9が設けられている。
図2乃至
図4はブレード回動固定手段9の作用を説明するためのブレード部5の一部を断面した左側面図である。ブレード回動固定手段9は、回動フレーム4に設けた前後方向に回動するフック部材90と、ブレード本体50に設けたフック部材90が係合するロックピン91と、フック部材90をロックピン91側に付勢する弾性部材92と、フック部材90と本体フレーム3側とを連結する連結部材93で構成されている。ロックピン91はブレード本体50後面部に左右水平方向に向けてブレード本体50に固着された丸棒状となっている。
【0027】
フック部材90は、回動フレーム4に左右水平方向に突設させたフック回動軸900に挿通され前後方向に回動自在に取付けられている。フック部材90は、板状のL字状で前後中央部にフック回動軸900に挿通する孔が設けられ、ブレード部5側にロックピン91と係合するU字状凹部が下方を向いて設けられ、後方の操作ハンドル60側の回動端部には本体フレーム3側と後述する連結部材93で連結するためのフック連結ピン930が設けられている。フック回動軸900部には、フック部材90と回動フレーム4との間に弾性部材92であるコイルスプリングが挟持され設けてあり、フック部材90のフック部をロックピン91側に付勢している。ブレード部5が下方に位置している状態では、フック部材90のU字状凹部がロックピン91と係合していて、ブレード部5は回動が固定された状態となっている。
【0028】
フック部材90のフック連結ピン930には、連結部材93の一端が連結され、連結部材93の他端には本体フレーム3の前端部に設けたフレーム連結ピン931が連結されている。連結部材93は、本例においては柔軟性のあるワイヤーロープで構成されていて、長さ方向は一定の長さ以上に伸長しない。ブレード部5が地上面位置の下方に位置するときは、連結部材93であるワイヤーロープは
図2に示すように弛んだ状態である。回動フレーム4の前方部を回動させブレード部5を上昇させると、本体フレーム3と回動フレーム4のフック部材90との距離が離れていき連結部材93が
図3に示すように張られる。さらに上昇させると連結部材93によりフック部材90が弾性部材92の付勢力に抗して引かれて回動し、ロックピン91との係合が外れブレード部5の回動固定が解除され、
図4のようにブレード部5が前方に回動する。連結部材93は、中折れする連結棒等で構成してもよい。
【0029】
制御部8には、バッテリ75とハンドル部6の電源スイッチ640と走行切替レバー63のスイッチと走行レバー62のスイッチとバッテリ残量計641及び走行部2の左右の電動モータ21が配線されていて、各スイッチの操作により制御部8が電動モータ21を作動させる。操作ハンドル60の近傍の操作パネル64には、電源スイッチ640と前後進を切替える走行切換レバー63が設けられ、操作ハンドル60の左側のグリップ61部には走行レバー62が設けられ、グリップ61とともに握ると走行レバー62の基部に設けた走行レバースイッチがONされ制御部8が電動モータ21を回転させて走行が行われる。電源スイッチ640は、バッテリ75からの電源をON・OFFさせるためのもので、ONさせると制御部8及び電動モータ21の作動が可能になる。走行切換レバー63は、中間部に中立位置が設けられ、前方に傾倒させると前進、後方に傾倒させると後進方向に電動モータ21が回転するようになっていて、走行切換レバー63の基部に設けられ連動して作動する切換レバースイッチによって制御部8を切替える。バッテリ残量計641は、バッテリ75の電気容量の残量状態を示すメータである。
【0030】
制御部8は、バッテリ75にカプラによって接続することにより通電される。バッテリ75は別に設けた充電器により充電が可能で、充電カプラを備える。家庭用電源コンセントに接続し、充電カプラをバッテリ部7の連結カプラに接続することにより行なう。バッテリ部7は簡単に着脱できるため、室内において比較的暖かいところで充電が可能であることから、充電効率もよく容易に充電作業が行なえる。
【0031】
電源スイッチ640をOFF状態から、ON状態にすると、走行用電動モータ21の始動を保留する無視状態が設定されていて、この状態において走行レバー62及び走行切換レバー63がON状態になっていても電動モータ21の始動が保留される。この状態は、走行切換レバー63と走行レバー62からのOFF状態信号によって解除される。
【0032】
走行切換レバー63を操作して前進に切替え、走行レバー62を握り走行レバー62をONさせると、電動モータ21が回転を開始する。ただし、増速制御モードにより回転は徐々に増加して、設定された前進回転数まで達するとその回転数が維持されるように制御される。本例においては電動モータ21の最大出力状態で維持されるように設定されている。
【0033】
本例において増速制御モードは、電動モータ21をPWM制御方式で徐々に回転を増加させる方式を採用している。PWM制御方式は、電圧を変化させるかわりに加える電圧を一定にし、電流をONにする時間を変化させることで、電動モータ21の回転数を制御するもので、パルス幅変調方式とも呼ばれる。
【0034】
走行レバーがOFFになると、モータ減速制御モードとなり、電動モータ21が徐々に回転を下げてから停止する。徐々に回転を下げるにあたり、前記PWM制御方式により制御され減速される。
【0035】
一方切換レバーを後進に切替え、走行レバー62をONさせると、電動モータ21が後進方向に回転を開始する。ただし、増速制御モードにより回転は徐々に増加して、設定された後進回転数まで達するとその回転数が維持されるように制御される。本例においては電動モータ21の最大出力状態の70パーセントで回転が維持されるように設定されている。走行レバー62がOFFになると、モータ減速制御モードとなり、電動モータ21が徐々に回転を下げてから停止する。徐々に回転を下げるにあたり、前記PWM制御方式により制御され減速される。
【0036】
本例においては、走行レバー62を操作した後に走行切換レバー63を操作しても増速制御モードにて電動モータ21が回転を開始するように制御されている。このように、各スイッチが不用意に操作されても急発進や急停止が阻止されるため、取扱いが容易で安全な作業が可能となる。
【0037】
バッテリ部7の上方の前方部に設けた夜間作業用のライト74は、該ライト74近傍に設けたライトスイッチ76をON/OFFすることにより使用することができる。また、バッテリ部7を本体フレーム3から取出した状態でも内蔵するバッテリ75からの電源が連結されているため、ライト74の使用が可能となっている。バッテリ部7は取手72が備えてあり希望の場所に容易に移動可能であるため、多目的に使用することができる。このため、冬季間の除雪作業の使用のみならず季節を問わず活用が可能となる。
【0038】
また、本機はエンジンを使用しない電動除雪機であるため、エンジン音が発生せず、市街地等において騒音による近隣への迷惑をかけずに作業が可能であり、作業時間帯等の制約がなく効率よく作業ができる。
【0039】
ここで、バッテリ部7の脱着について説明する。バッテリ部7の取外しは、まず固定ノブ73による固定を解除後、取手72を持ってガイド板30に沿って前方に本体フレーム3上をスライドさせる。これによりガイドピン31とピン孔71との連結を解除する。また、制御部8との連結カプラの連結を解除する。次いで垂直方向に持上げて取り外す。バッテリ部7の連結は前記とは反対の動作であり、ガイド板30に合わせて挿入して本体フレーム3上に載せ、次いで後方にスライドさせ制御部8側に当接させる。これにより、ガイドピン31とピン孔71とを嵌合させる。その後固定ノブ73によりバッテリ部7を本体フレーム3に固定する。
【0040】
本発明の歩行型ブレード除雪機1で除雪作業を行なうには、操作ハンドル60の操作パネル64に設けた電源スイッチ640をONにし、走行切換レバー63を前進又は後進に切替えて、操作ハンドル60の左右のグリップ61を握り、左側のグリップ61部に設けた走行レバー27をさらに握ると、制御部8は左右のクローラベルト20部の駆動輪23を駆動する電動モータ21を回転させ、クローラベルト20を駆動して移動させる。走行レバー62を握ると電動モータ21が瞬時に最大回転数に達しないように、所要時間電圧を変化させ徐々に回転数を上昇させるように制御部8が作用するため、ゆっくり前進を開始後に徐々に設定速度に達する。移動の際は、連結部材93が張られない程度にグリップ61部を少し押し下げて前方の除雪用ブレード部5を少し地面から上昇させ移動を行なう。操作パネル64には、バッテリ残量計641が設けられていて、バッテリ75の残量を知ることができる。
【0041】
目的の除雪場所に移動させ、走行切換レバー63を前進方向に切換え、前方の除雪用ブレード部5を雪面に接地させ、左右のグリップ61を握るとともに走行レバー62を握り前進させる。このとき、電動モータ21が瞬時に最大回転数に達しないように、所要時間電圧を変化させ徐々に回転数を上昇させるように制御部8が作用するため、ゆっくり前進を開始後に徐々に設定速度に達する。前進すると、ブレード本体50下端部のスクレーパ51が前方の雪に食込み順次雪を除雪用ブレード部5のブレード本体50前面に沿って上昇させ前方に湾曲した上方部から前方に順次落とし込んで集雪していく。次第に除雪用ブレード部5に雪が堆積してきたら、操作ハンドル60を押し下げて除雪用ブレード部5を上昇させ前方に雪を盛り上げる。又は放擲する。この際、走行レバー62を開放すると電動モータ21の回転が停止して走行が停止する。この動作を繰り返して除雪作業を行なう。ブレード部5に雪が堆積され、操作ハンドル60を押し下げると、ブレード部5にかかる雪の重量と操作ハンドル60にかかる押し下げ力が駆動輪23と従動輪25の回転軸間に位置する回動支点軸41部に作用し、クローラベルト20の接地面を押圧しスリップ等を軽減し前進力を向上させる。また、集雪した雪を移動させる場合は、前進走行して雪をブレード本体50前方に位置させた
図7の(a)の状態から、操作ハンドル60を押し下げると、ブレード部5には雪が保持され
図7の(b)の状態となり運搬が可能となり、所定の放出場所でさらにブレード部5を上昇させると、連結部材93がフック部材90を引いてロックピン91との係合を解除してブレード本体50を前方に回動させ雪を放出する(
図7の(C))。
図7の(b)の状態から運搬せずにその場に放擲することにより、雪を高く積み上げることも可能である。