(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
自転車や自動二輪車等の二輪車には一般に、そのハンドルや前ホーク、またはバスケット下方などの場所に前照灯が取り付けられている。
【0003】
二輪車本体に前照灯を取り付ける取り付け構造として、前照灯を収容する筒状のホルダを二輪車本体のたとえば前ホークに固定しておき、このホルダに前照灯を収容して固定する取り付け構造が実用化されており、また特許文献1にもこの固定構造が開示されている。
【0004】
特許文献1で記載される照明灯は、ホルダから照明灯を取り外し、携帯用の懐中電灯等としても使用することができる。
【0005】
特許文献1で記載されるホルダと照明灯の固定構造は、ホルダの内壁面に設けられた係止部と、照明灯の外周面の被係止部とを相互に係止させるものであり、これらの係止構造と照明灯の側面全体がホルダに覆われる構成を採用することにより、照明灯がその軸方向や周方向に移動するのが効果的に規制される。
【0006】
しかしながら、このようにホルダに照明灯を収容固定する固定構造では、ホルダが照明灯を完全に収容する必要があることからホルダの体格が自ずと大きなものとならざるを得ない。そして、携帯用の電灯として使用するべく、照明灯をホルダから取り外した際に、比較的大きな筒状のホルダが二輪車本体の前方位置に残存していることから、二輪車本体の外観性(見栄え)に少なからず影響を与えてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、二輪車本体に固定されたブラケットに対する前照灯の取付けが容易であり、かつ、ブラケットと前照灯の取り付け部における構造安定性も高く、さらには、前照灯が取り外された際にブラケットが二輪車全体の外観性に与える影響が少ない、二輪車本体に固定されるブラケットと、このブラケットに対して着脱自在な前照灯から構成される前照灯ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成すべく、本発明による前照灯ユニットは、二輪車本体に固定されるブラケットと、該ブラケットに対して着脱自在な前照灯と、から構成される前照灯ユニットであって、前記前照灯と前記ブラケットは、一方が凹部を、他方が凸部をそれぞれ備え、前記前照灯は、その前面に照明が透過される透光窓を備え、その背面に前記凹部もしくは前記凸部を備えており、前記前照灯の背面の前記凹部もしくは前記凸部と前記ブラケットの前記凸部もしくは前記凹部が係合して形成されるものである。
【0010】
ここで、「二輪車」とは、自転車や自動二輪車等を意味している。また、「二輪車本体」とは、フレーム、前ホーク、ハンドル、キャリア、バスケットなど、二輪車を構成する各部品を意味している。さらに、「ブラケットに対して着脱自在な前照灯」とは、本発明のユニットを構成する前照灯が二輪車本体に固定されているブラケットに対して取り外し自在であることを意味しており、取り外した際には、携帯用のランプ(懐中電灯、ランタン等)として使用できるものである。
【0011】
本発明の前照灯ユニットでは、二輪車本体に固定されるブラケットに対して前照灯の背面が取り付けられる構成を適用しており、この点でホルダに照明灯が完全に収容される従来の照明灯とはその取り付け構成が大きく相違している。たとえば金属片からなるブラケットの前面に前照灯の背面が取り付けられる。
【0012】
取り付け構造の具体的な構成としては、前照灯とブラケットの一方が凹部を、他方が凸部をそれぞれ備え、前照灯の背面の凹部もしくは凸部とブラケットの凸部もしくは凹部が係合するものである。たとえば、前照灯の背面に凹部があり、ブラケットの前面に凸部がある形態を挙げることができる。
【0013】
本発明の前照灯ユニットによれば、ブラケットに対して前照灯の背面が取り付けられる構成ゆえに、ブラケットに対する前照灯の取り付けが容易となる。また、一方の凹部と他方の凸部を係合させる構成ゆえにブラケットと前照灯の取り付け部における構造安定性も高い。さらに、従来の照明灯のようにホルダに前照灯の全体を収容するといった構成でなく、比較的小型のブラケットの一部に前照灯の背面を取り付ける構成ゆえに、仮にブラケットから前照灯が取り外された場合でもブラケットが二輪車全体の外観性に与える影響は極めて少ない。
【0014】
たとえば、ブラケットの実施の形態として、前記二輪車本体に固定される固定片と、該固定片に設けられた取り付け片と、から構成され、前記取り付け片の前面に前記凹部もしくは前記凸部が設けられている形態を挙げることができる。このようなシンプルでかつ小型のブラケットは、前ホークやハンドル、バスケットの下面などに容易に固定することができる。
【0015】
また、本発明による前照灯ユニットの好ましい実施の形態として、前記凸部はその一部に側方に広がる第一フランジを備え、前記凹部はその一部に該第一フランジが通過する歯抜け部を備えた第二フランジを備えており、前記凸部の前記第一フランジが前記歯抜け部を介して前記凹部内に挿入され、前照灯もしくはブラケットの一方が他方に対して回動され、第一フランジと第二フランジが係合して形成される形態を挙げることができる。
【0016】
この係合形態は、たとえばブラケットに設けられた凸部を前照灯の背面に設けられた凹部に挿入し、次に、前照灯を回動させることでブラケットと前照灯の係合が図られるものである。このように、凹部に対して凸部を挿入し、ブラケットに対して前照灯を回動させて双方が係合することにより、二輪車走行時の振動や横揺れに対してもブラケットと前照灯の係合姿勢が解除され難くなる。また、たとえばブラケットに対して前照灯の背面を螺合させながら固定する方法と異なり、前照灯の背面のたとえば凹部をブラケットのたとえば凸部に押込み(凸部を凹部に挿入)、ブラケットに対して前照灯を回動させる取り付け方法ゆえに取り付けが容易となる。したがって、乗員が急いでいる際に、ブラケットに対する前照灯の取り付けのみならず、ブラケットから前照灯を取り外す際にも速やかに前照灯の取り付けや取り外しが可能になる。
【0017】
また、本発明による前照灯ユニットの他の実施の形態において、前記前照灯はその側面に、照明の点灯と消灯の切替え、もしくは点灯と点滅と消灯の切替えを実行するメイン操作部と、照明の色を変更するサブ操作部を備えており、前記ブラケットに対して前記前照灯が固定された際に、少なくともメイン操作部が予め調整されている位置に位置決めされるものである。
【0018】
前照灯ユニットを構成する前照灯は、前照灯モードとランプモードに切替えが可能である。「前照灯モード」とは、前照灯が自転車等に取り付けられ、文字通り前照灯として機能するモードである。一方、「ランプモード」とは、前照灯が自転車等から取り外され、携帯用の懐中電灯として、あるいはランタンとして、さらには子供の遊具として機能するモードである。メイン操作部により、前照灯モードにおいては点灯と消灯の切替えが実行され、ランプモードにおいては点灯と点滅と消灯の切替えが実行される。また、たとえば二輪車本体に固定されたブラケットから前照灯を取り外して携帯用懐中電灯やランタン等のランプとして、あるいは子供がランプを光らせながら遊ぶ遊具として使用するランプモードにおいては、サブ操作部を操作することにより、点灯モードや点滅モードにおける光色変更、すなわち、白光色や淡黄色光から赤色や青色、虹色等に光色を変更することができる。
【0019】
これらメイン操作部およびサブ操作部は前照灯のたとえば側面に設けられているが、本実施の形態では、ブラケットに対して前照灯を押込み、次いで回動させて取り付けた際に、少なくともメイン操作部が操作し易い位置等、予め決められた位置に位置決めされるように設定されている。
【0020】
メイン操作部の位置決め位置としては、ブラケットに対して取り付けられた前照灯の側面の頂上や左右横、左右斜め上方が挙げられる。たとえば前ホークに前照灯ユニットが取り付けられる場合であってその上にバスケットがある場合、メイン操作部が前照灯の頂上にあるとバスケットがメイン操作部の操作の邪魔になるため、このような場合は前照灯の側面の左右横や、左右斜め上方など、操作の際にバスケットが邪魔にならず、かつ指が届いて操作し易い位置がメイン操作部の位置決め位置として設定される。
【0021】
また、本発明による前照灯ユニットの好ましい実施の形態として、前記前照灯は、照明機器および電池を収容する前照灯本体と、該前照灯本体に着脱可能な電池蓋とから構成され、前記前照灯本体と前記電池蓋は、一方が第三フランジを備え、他方が第三フランジが通過する歯抜け部を備えた第四フランジを備えており、第三フランジが該歯抜け部を介して第四フランジの背面に挿入され、前記前照灯本体もしくは前記電池蓋の一方が他方に対して回動され、第三フランジが第四フランジに係合することで双方の固定が図られるものであり、前記電池蓋と前記前照灯本体との係合部の径が前記前照灯もしくは前記ブラケットに設けられた前記凹部の内径よりも大きいものである。
【0022】
照明機器には、基板とその上に搭載される発光素子等の光源が含まれ、発光素子としては、第一発光素子として白色光や淡黄色光を発するLEDが適用でき、第二発光素子として赤色、青色、虹色等の光を発するLEDが適用できる。
【0023】
電源である電池と照明機器が隣接するようにこれらが前照灯本体に収容され、電池交換の際に取り外される電池蓋が前照灯の背面を構成する。すなわち、電池蓋の背面にブラケットの凸部もしくは凹部と係合する凹部もしくは凸部が設けられている。
【0024】
電池蓋と前照灯本体も、ブラケットと前照灯の背面との係合構造の実施の形態のように、双方がフランジを有し、一方のフランジの歯抜け部を介して他方のフランジが一方のフランジの背面に挿入され、回動されることでフランジ同士の係合が図られる。
【0025】
ブラケットと前照灯、前照灯本体と電池蓋、はいずれも、一方に対して他方を回動させて着脱する構成となっている。ここで、電池蓋の径は、たとえば電池蓋背面の凹部の径よりも大きいことより、前照灯を回動させた際には、小径の凹部の方が回動に要するトルクが大径の電池蓋と前照灯本体との回動に要するトルクより小さいため、前照灯本体に対して電池蓋が回動されることなく、ブラケットに対して前照灯が回動されることになる。したがって、ブラケットから前照灯を取り外すためにブラケットに対して前照灯を相対的に回動させた際に、電池蓋が回動して前照灯本体から外れることはない。電池交換の際には、ブラケットから前照灯が取り外され、次いで電池蓋を回動させて前照灯本体から電池蓋が取り外されることになる。
【発明の効果】
【0026】
以上の説明から理解できるように、本発明による前照灯ユニットによれば、ブラケットに対して前照灯の背面が取り付けられる構成を有し、具体的には、前照灯の背面とブラケットの一方が凹部を、他方が凸部をそれぞれ備え、前照灯の背面の凹部もしくは凸部とブラケットの凸部もしくは凹部が係合することにより、ブラケットに対する前照灯の取り付けが容易となり、ブラケットと前照灯の取り付け部における構造安定性も高く、さらには、比較的小型のブラケットの一部に前照灯の背面を取り付ける構成ゆえに、仮にブラケットから前照灯が取り外された場合でもブラケットが二輪車全体の外観性に与える影響は極めて少ない。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の前照灯ユニットの実施の形態を説明する。なお、図示例は前照灯ユニットの固定される二輪車として自転車が示されているが、自動二輪車に前照灯ユニットが固定されてもよいことは勿論のことである。また、図示例は自転車の前ホークに前照灯ユニットが固定されている形態であるが、ハンドルやバスケット下面等に前照灯ユニットが固定される形態であってもよいことは勿論のことである。さらに、図示例は、側方照射部が第一本体に固定され、脚を備えた第二本体が側方照射部に対して相対的にスライドする形態であるが、側方照射部が第二本体に固定され、第一本体が側方照射部に対して相対的にスライドする形態であってもよいことは勿論のことである。
【0029】
(前照灯ユニットが自転車に取り付けられている態様)
まず、
図1を参照して本発明の前照灯ユニットが自転車に取り付けられている状態を説明する。
【0030】
前照灯ユニット100は、自転車のヘッドパイプ2に回転自在に支持されて不図示のハンドルと一体に回転する前ホーク1に取り付けられるブラケット20と、ブラケット20に対してその背面15aが取り付けられる前照灯10とから構成される。
【0031】
なお、前ホーク1において前照灯ユニット100の上方には不図示のバスケットが取り付けられてもよい。
【0032】
自転車の前ホーク1に前照灯ユニット100が取り付けられた状態において、前照灯10の透光窓12bを介して照明が透過され(X1方向)、前照灯として供される。
【0033】
(前照灯の詳細な説明)
図2〜
図5を参照して、前照灯10の詳細な構成と、前照灯10の閉じ姿勢と開き姿勢について説明する。ここで、
図2aは前照灯10の閉じ姿勢を示した図であり、
図3aはその縦断面図である。また、
図2bは前照灯10の開き姿勢を示した図であり、
図3bはその縦断面図である。さらに、
図4a、b、
図5は順に、前照灯本体から電池蓋を取り外す状況を示した図である。
【0034】
前照灯10は、照明機器16と電池17を収容し、端部に第一開口11aを有する筒状の第一本体11と、第一本体11に対して相対的にスライド自在であり(Y1方向)、第一本体11の第一開口11aに対して当接自在な第二開口12aを備え、第二開口12aの反対側に透光窓12bを備えた筒状の第二本体12と、第一本体11と第二本体12の内部に収容され、透明で筒状の側方照射部13と、電池蓋15とから大略構成されている。なお、本明細書では、第一本体11と第二本体12と側方照射部13をまとめて前照灯本体14と称し、電池蓋15と区別するものとする。
【0035】
第一本体11は、側面にメイン操作部11cとサブ操作部11dが備えてある。メイン操作部11cでは、自転車に取り付けられた状態の前照灯モードにおいて点灯と消灯の切替えが実行され、自転車から取り外された状態のランプモードにおいて点灯と点滅と消灯の切替えが実行される。一方、サブ操作部11dでは、ランプモードにおいて色変更が実行される。なお、各操作部11c、11dは、図示例の操作ボタンのほか、操作レバー等であってもよい。
【0036】
照明機器16は、基板16aと、基板16aに搭載された白色光や淡黄色光を発する第一発光素子16b、不図示の赤色光、青色光、虹色光等を発する第二発光素子とから構成されており、基板16aの背面にある電池17を電源とする。発光素子16bとしては、たとえば1WのLEDを使用することができる。なお、自転車の前照灯(前照灯モード)として機能する場合は、メイン操作部11cを押圧することによって白光色が点灯され、照射される。一方、自転車から取り外して、懐中電灯またはランタン等のランプ、あるいは子供の遊びの一環(ランプモード)として使用する場合は、メイン操作部11cを押圧することによって点灯モードから点滅モードに切替えが実行され、サブ操作部11dを押圧することによって白光色や淡黄色光から赤色や青色、虹色への光色変更が実行される。また、メイン操作部11cを押圧することにより、点灯と消灯の間で調光をおこなうこともできる。たとえばメイン操作部11cが操作ボタンからなる場合、操作ボタンを押すことで点灯と消灯の切替えや、点灯と点滅と消灯の切替えが実行され、操作ボタンを長押しすることで調光制御を実行することができる。
【0037】
第二本体12は、筒状の本体側方から四本の脚12cが張り出し、脚の先端12c’は、
図3a、bで示すように透光窓12bよりも長さtだけ突出している。
【0038】
また、第二本体12の第二開口12aには第三係合突起12a’が内側に張り出している。
【0039】
側方照射部13はたとえば透明の筒体であり、その一端が第一開口11aを介して第一本体11の内部に嵌まり込んでおり、さらに、側方照射部13のうち、第一本体11に対して第二本体12がスライドする方向(Y1方向)の二箇所には、第一係合突起13aと第二係合突起13bが設けられている。
【0040】
図2a、
図3aで示すように、第一本体11の第一開口11aと第二本体12の第二開口12aが当接した閉じ姿勢では、側方照射部13は外部から視認できず、透光窓12bを介して照明が前方(X1方向)に発せられる自転車の前照灯(前照灯モード)や前方のみ照射する懐中電灯(ランプモード)としての機能を果たす。
【0041】
一方、
図2b、
図3bで示すように、第一開口11aと第二開口12aが離れた開き姿勢では、側方照射部13が外部に臨み、照明が前方(X1方向)と側方(X2方向)に発せられる。開き姿勢は主に、
図1で示す前照灯ユニット100の状態から前照灯10がブラケット20から取り外され、携帯用として使用される場合(ランプモード)に機能を果たす。その具体的態様は、携帯用の懐中電灯やランタンである。
【0042】
前照灯10がランタンとして使用される場合は、たとえば不図示のテーブルに脚の先端12c’が載置され、使用される。この際、
図3a、bで示すように、透光窓12bと脚の先端12c’の間に離間tが存在することから、側方照射部13から360度側方に照明が照射されることに加えて、透光窓12bを介した間接照明を照射することができる。
【0043】
なお、脚12cは、図示例のように四脚でなく、前照灯10が安定的に載置されるように120度間隔で三脚の形態などであってもよい。
【0044】
また、自転車に前照灯10が取り付けられて文字通り前照灯(前照灯モード)として使用される場合において、
図2b、
図3bで示すように前照灯10を開き姿勢として使用することもできる。この使用形態では、側方照射部13からの照射も実行されることから、夜間や暗がりにおいて自転車の側方からの被視認性を向上させることができる。
【0045】
また、
図2a、
図3aで示す前照灯として機能する閉じ姿勢においては、側方照射部13の第一係合突起13aと第二本体12の第三係合突起12a’が係合し、閉じ姿勢を保持することができる。
【0046】
一方、
図2b、
図3bで示すランタン等のランプとして機能する開き姿勢においては、側方照射部13の第二係合突起13bと第二本体12の第三係合突起12a’が係合し、開き姿勢を保持することができる。なお、図示を省略するが、係合突起同士の係合によって姿勢保持を図る形態のほかにも、たとえば側方照射部13の側面と第二本体12の内壁面の間の摩擦係合により、姿勢保持を図る形態などであってもよい。
【0047】
第一本体11の後方には電池蓋15が着脱自在に取り付けられている。電池蓋15は、
図4aで示すように、その表面中央に凹部15bを有し、凹部15bの開口エッジには、歯抜け部15c’を有する第二フランジ15cが備えてある。また、凹部15bの中央位置には、二輪車に固定されているブラケット20に対して前照灯10が取り付けられているか否かを検出する検出ボタン15dが設けられている。さらに、電池蓋15の表面の直径線状の2箇所に不図示の紐を引っ掛ける爪15eが備えてあり、前照灯10をたとえば携帯用の懐中電灯として使用する場合に、爪15eに紐を引っ掛け、紐を首や腕にぶら下げる等して使用することができるようになっている。
【0048】
図4bで示すように、前照灯本体14に対して電池蓋15を回動することにより(Z1方向)、
図5で示すように前照灯本体14から電池蓋15を取り外すことができ、第一本体11内に収容されている電池17の交換をおこなうことができる。
【0049】
図5で示すように、電池蓋15はその端部に第三フランジ15fを備えている。一方、第一本体11はその端部に第三フランジ15fが通過する歯抜け部11b’を備えた第四フランジ11bを備えている。
【0050】
第一本体11に対して電池蓋15を取り付ける際は、第三フランジ15fを歯抜け部11b’を介して第四フランジ11bの背面に挿入し、前照灯本体14に対して電池蓋15を回動し、第三フランジ15fを第四フランジ11bに係合させることで双方の固定を図ることができる。そして、前照灯本体14から電池蓋15を取り外す際は、この逆の操作により、電池蓋15を回動させて第四フランジ11bから第三フランジ15fを係合解除し、第三フランジ15fを歯抜け部11b’を介して引き抜くことで電池蓋15の取り外しが実行できる。
【0051】
また、
図5で示すように、電池蓋15の前照灯本体14との係合部の径r2は、電池蓋15に設けられた凹部15bの内径r1よりも大きくなっている。このことにより、後述するように、ブラケット20から前照灯10を取り外すためにブラケット20に対して前照灯10を相対的に回動させた際に、電池蓋15が回動して前照灯本体14から外れることを解消できる。
【0052】
(ブラケットの構成とブラケットに対して前照灯を取り付ける方法の説明)
図6〜9を参照して、ブラケットの構成と、ブラケットに対して前照灯を取り付ける方法を説明する。
【0053】
図6で示すように、ブラケット20は、自転車の前ホーク1に固定される固定片21と、固定片21の前ホーク1とは反対側の端部に設けられた取り付け片23と、取り付け片23の前面に設けられた筒状の凸部24と、凸部24の内側に設けられた押圧突起25とから大略構成されている。このように、前照灯10の背面15aが取り付けられるブラケット20は、従来の照明灯を包囲するホルダに比して格段に小型であり、したがって、ブラケット20から前照灯10が取り外された状態においてブラケット20が自転車全体の外観性に与える影響は極めて少ない。
【0054】
筒状の凸部24は、その一部に側方に広がる第一フランジ24’を備えている。
【0055】
図7で示すように、ブラケット20に対して前照灯10を取り付ける際は、ブラケット20の第一フランジ24’と電池蓋15の第二フランジ15cの歯抜け部15c’を位置決めし、凸部24に対して凹部15bを挿入していき(Y2方向)、
図8で示すように第二フランジ15cの歯抜け部15c’を介して第一フランジ24’を凹部15b内に挿入する。
【0056】
次に、
図9で示すようにブラケット20に対して前照灯10を回動させることにより(Z2方向)、第一フランジ24’と第二フランジ15cが係合し、ブラケット20に対する前照灯10の固定が図られ、前照灯ユニット100が形成される。
【0057】
図9で示す前照灯ユニット100では、少なくともメイン操作部11cが操作し易い位置等、予め決められた位置に位置決めされるように設定されている。メイン操作部11cの位置決め位置としては、ブラケット20に対して取り付けられた前照灯10の側面の頂上や左右横、左右斜め上方が挙げられる。たとえば前照灯ユニット100の上に不図示のバスケットがある場合、メイン操作部11cが前照灯10の頂上にあるとバスケットがメイン操作部11cの操作の邪魔になるため、このような場合は前照灯10の側面の左右横や、左右斜め上方など、操作の際にバスケットが邪魔にならず、かつ指が届いて操作し易い位置がメイン操作部11cの位置決め位置として設定される。
【0058】
また、ブラケット20と前照灯10、前照灯本体14と電池蓋15はいずれも、一方に対して他方を回動させて着脱する構成となっている。ここで、電池蓋15の前照灯本体14との係合部の径r2が電池蓋15の背面15aの凹部15bの内径r1よりも大きく設定されていることから、ブラケット20から前照灯10を回動させて取り外そうとした際に、相対的に小径の凹部15bと凸部24との回動に要するトルクは大径の電池蓋15と前照灯本体14との回動に要するトルクより小さいため、前照灯本体に対して電池蓋15が回動されることなく、ブラケット20に対して前照灯10が回動されることになる。したがって、ブラケット20から前照灯10を取り外すためにブラケット20に対して前照灯10を相対的に回動させた際に、電池蓋15が回動して前照灯本体14から外れることはない。なお、電池交換の際には、ブラケット20から前照灯10が取り外され、次いで電池蓋15を回動させて前照灯本体14から電池蓋15を取り外すことにより、電池交換をおこなうことができる。
【0059】
図8で示すように、第一フランジ24’が凹部15b内に挿入された際に、押圧突起25が凹部15b内にある検出ボタン15dを押圧する。
【0060】
図示を省略するが、前照灯10内には、前照灯モードとランプモードの2つのモードに切替える制御部が備えられており、検出ボタン15dが押圧されると、制御部にて前照灯モードに切替え制御が実行される。そして、この前照灯モードにおいては、点滅や色変更ができず、たとえば白色光による点灯のみが実行されることになる。すなわち、サブ操作部11dを押圧しても点滅モードへの変更や色変更は実行できない。なお、たとえばメイン操作部11cを操作することにより、点灯状態において強点灯と弱点灯の切替え等をおこなうことは可能である。
【0061】
一方、検出ボタン15dが押圧されていない際には、制御部にてランプモードに切替え制御が実行される。ランプモードでは、サブ操作部11dによる操作が実行可能となる。既述するように、メイン操作部11cを押圧することによって点灯モードから点滅モードに切替えが実行され、メイン操作部11cをたとえば長押しすることで調光制御が実行され、サブ操作部11dを押圧することによって白光色や淡黄色光から赤色や青色、虹色への光色変更が実行される。
【0062】
このように、図示する前照灯ユニット100によれば、ブラケット20に対して前照灯10の背面15aが取り付けられる構成を有していること、前照灯10の背面15aの凹部15bとブラケット20の凸部24が係合することにより、ブラケット20に対する前照灯10の取り付けが容易となり、また、ブラケット20と前照灯10の取り付け部における構造安定性も高くなる。さらに、比較的小型のブラケットの一部に前照灯の背面15aを取り付ける構成であることから、ブラケット20から前照灯10が取り外された際にブラケット20が自転車全体の外観性に与える影響は極めて少なくなる。
【0063】
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。