特許第6223303号(P6223303)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6223303-貯湯タンクユニット 図000002
  • 特許6223303-貯湯タンクユニット 図000003
  • 特許6223303-貯湯タンクユニット 図000004
  • 特許6223303-貯湯タンクユニット 図000005
  • 特許6223303-貯湯タンクユニット 図000006
  • 特許6223303-貯湯タンクユニット 図000007
  • 特許6223303-貯湯タンクユニット 図000008
  • 特許6223303-貯湯タンクユニット 図000009
  • 特許6223303-貯湯タンクユニット 図000010
  • 特許6223303-貯湯タンクユニット 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223303
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】貯湯タンクユニット
(51)【国際特許分類】
   F24H 9/02 20060101AFI20171023BHJP
【FI】
   F24H9/02 301A
【請求項の数】5
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2014-175529(P2014-175529)
(22)【出願日】2014年8月29日
(65)【公開番号】特開2016-50701(P2016-50701A)
(43)【公開日】2016年4月11日
【審査請求日】2016年9月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】伏木 隆之
(72)【発明者】
【氏名】有田 博
(72)【発明者】
【氏名】島崎 幸治
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 宏太朗
(72)【発明者】
【氏名】四至本 知秀
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−156509(JP,A)
【文献】 特開2009−204207(JP,A)
【文献】 実開昭53−107371(JP,U)
【文献】 特開2008−267706(JP,A)
【文献】 実開昭52−082254(JP,U)
【文献】 特開2004−033235(JP,A)
【文献】 特開2009−022927(JP,A)
【文献】 特開2000−097501(JP,A)
【文献】 特開2013−053833(JP,A)
【文献】 特開2015−124973(JP,A)
【文献】 米国特許第05146911(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンクと、
前記貯湯タンクを収容する外形柱状の外箱と、を備え、
前記外箱は、
配管を収容するための配管カバーが設置される第1壁部と、
前記第1壁部に対向する第2壁部と、
前記第1壁部及び前記第2壁部と共に前記貯湯タンクを囲む一対の第3壁部と、
前記第1壁部、前記第2壁部、及び一対の前記第3壁部を含む筒体の一方側を塞ぐ天板と、
前記筒体の他方側を塞ぐ底板と、を備え、
前記筒体は、横断面視において凹多角形状を呈し、
前記第2壁部は、横断面視における両端付近に、前記貯湯タンク側に凹む一対の凹部を有し、
一対の前記凹部は、それぞれ、
横断面視において、その一端側が前記第3壁部に連なる接続板と、
横断面視において、前記接続板の他端側に連なり、当該接続板とのなす角が鈍角である傾斜板と、を含み、
一対の前記凹部の前記接続板はそれぞれ、前記天板付近に設けられる取手部を有すること
を特徴とする貯湯タンクユニット。
【請求項2】
前記取手部は、一つ又は複数の凹みであること
を特徴とする請求項1に記載の貯湯タンクユニット。
【請求項3】
前記取手部は、一つ又は複数の突起であること
を特徴とする請求項1に記載の貯湯タンクユニット。
【請求項4】
貯湯タンクと、
前記貯湯タンクを収容する外形柱状の外箱と、を備え、
前記外箱は、
配管を収容するための配管カバーが設置される第1壁部と、
前記第1壁部に対向する第2壁部と、
前記第1壁部及び前記第2壁部と共に前記貯湯タンクを囲む一対の第3壁部と、
前記第1壁部、前記第2壁部、及び一対の前記第3壁部を含む筒体の一方側を塞ぐ天板と、
前記筒体の他方側を塞ぐ底板と、を備え、
前記筒体は、横断面視において凹多角形状を呈し、
前記第2壁部は、横断面視における両端付近に、前記貯湯タンク側に凹む一対の凹部を有し、
一対の前記凹部は、それぞれ、
横断面視において、その一端側が前記第3壁部に連なる接続板と、
横断面視において、前記接続板の他端側に連なり、当該接続板とのなす角が鈍角である傾斜板と、を含み、
前記天板は、一対の前記凹部よりも外側に延在してなる取手部を有すること
を特徴とする貯湯タンクユニット。
【請求項5】
貯湯タンクと、
前記貯湯タンクを収容する外形柱状の外箱と、を備え、
前記外箱は、
配管を収容するための配管カバーが設置される第1壁部と、
前記第1壁部に対向する第2壁部と、
前記第1壁部及び前記第2壁部と共に前記貯湯タンクを囲む一対の第3壁部と、
前記第1壁部、前記第2壁部、及び一対の前記第3壁部を含む筒体の一方側を塞ぐ天板と、
前記筒体の他方側を塞ぐ底板と、
前記第2壁部において前記天板付近に設置される一対の取手部材と、を備え、
前記筒体は、横断面視において凹多角形状を呈し、
前記第2壁部は、横断面視における両端付近に、前記貯湯タンク側に凹む一対の凹部を有し、
一対の前記凹部は、それぞれ、
横断面視において、その一端側が前記第3壁部に連なる接続板と、
横断面視において、前記接続板の他端側に連なり、当該接続板とのなす角が鈍角である傾斜板と、を含み、
前記取手部材はそれぞれ、
前記第2壁部の前記凹部に当接した状態で固定される当接部と、
前記当接部に両端が固定される取手部と、を有し、
前記当接部及び前記取手部によって、手指を差込み可能な孔部が形成されること
を特徴とする貯湯タンクユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯タンクを備える貯湯タンクユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
湯水を貯留するための貯湯タンクを備える貯湯タンクユニットが知られている。
貯湯タンクユニットは、貯湯タンクと、貯湯タンクを収容する外箱と、外箱を支持する複数の脚と、を備え、その運搬時(例えば、設置時や廃棄時)には、横倒しにした貯湯タンクユニットを2人の作業者で持ち運ぶのが一般的である。なお、一方の作業者は貯湯タンクユニットの脚を支え持ち、他方の作業者は外箱の天板付近(脚の反対側)を支え持つ。
【0003】
ところで、貯湯タンクユニットはそれほど軽量ではなく(例えば、60〜80kg)、また、外箱の外表面は滑りやすい。したがって、仮に、外箱の天板付近に取手がない場合、前記した他方の作業者は、天板付近をしっかりと支え持つことが困難になる。このようなことを考慮して、例えば、以下に示す構成の貯湯タンクユニットが開示されている。
【0004】
すなわち、特許文献1には、貯湯タンクと、貯湯タンクを囲むように配置される周囲壁板と、周囲壁板の上端部に設けられる天板と、を備える貯湯タンクユニットについて記載されている。
前記した天板は、少なくとも一辺が、周囲壁板の鉛直方向投射形状よりも大きな鉛直方向投射形状となるように張り出して形成された張出し部を有している。貯湯タンクユニットの運搬時には、一方の作業者が貯湯タンクユニットの脚を支え持ち、他方の作業者が天板の張出し部を支え持つ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4988416号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1には、周囲壁板の鉛直方向投射形状(つまり、外箱の横断面)が矩形状である場合について記載されているものの、周囲壁板が他の形状である場合については記載されていない。仮に、周囲壁板を他の形状にした場合、天板の一端付近を複数回折り曲げてなる張出し部の製造に手間がかかる可能性がある。また、周囲壁板の形状によっては、貯湯タンクユニットを容易に運搬できない可能性もある。
【0007】
そこで、本発明は、運搬が容易な貯湯タンクユニットを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係る貯湯タンクユニットは、貯湯タンクと、前記貯湯タンクを収容する外形柱状の外箱と、を備え、前記外箱は、配管を収容するための配管カバーが設置される第1壁部と、前記第1壁部に対向する第2壁部と、前記第1壁部及び前記第2壁部と共に前記貯湯タンクを囲む一対の第3壁部と、前記第1壁部、前記第2壁部、及び一対の前記第3壁部を含む筒体の一方側を塞ぐ天板と、前記筒体の他方側を塞ぐ底板と、を備え、前記筒体は、横断面視において凹多角形状を呈し、前記第2壁部は、横断面視における両端付近に、前記貯湯タンク側に凹む一対の凹部を有し、一対の前記凹部は、それぞれ、横断面視において、その一端側が前記第3壁部に連なる接続板と、横断面視において、前記接続板の他端側に連なり、当該接続板とのなす角が鈍角である傾斜板と、を含み、一対の前記凹部の前記接続板はそれぞれ、前記天板付近に設けられる取手部を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る貯湯タンクユニットは、貯湯タンクと、前記貯湯タンクを収容する外形柱状の外箱と、を備え、前記外箱は、配管を収容するための配管カバーが設置される第1壁部と、前記第1壁部に対向する第2壁部と、前記第1壁部及び前記第2壁部と共に前記貯湯タンクを囲む一対の第3壁部と、前記第1壁部、前記第2壁部、及び一対の前記第3壁部を含む筒体の一方側を塞ぐ天板と、前記筒体の他方側を塞ぐ底板と、を備え、前記筒体は、横断面視において凹多角形状を呈し、前記第2壁部は、横断面視における両端付近に、前記貯湯タンク側に凹む一対の凹部を有し、一対の前記凹部は、それぞれ、横断面視において、その一端側が前記第3壁部に連なる接続板と、横断面視において、前記接続板の他端側に連なり、当該接続板とのなす角が鈍角である傾斜板と、を含み、前記天板は、一対の前記凹部よりも外側に延在してなる取手部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る貯湯タンクユニットは、貯湯タンクと、前記貯湯タンクを収容する外形柱状の外箱と、を備え、前記外箱は、配管を収容するための配管カバーが設置される第1壁部と、前記第1壁部に対向する第2壁部と、前記第1壁部及び前記第2壁部と共に前記貯湯タンクを囲む一対の第3壁部と、前記第1壁部、前記第2壁部、及び一対の前記第3壁部を含む筒体の一方側を塞ぐ天板と、前記筒体の他方側を塞ぐ底板と、前記第2壁部において前記天板付近に設置される一対の取手部材と、を備え、前記筒体は、横断面視において凹多角形状を呈し、前記第2壁部は、横断面視における両端付近に、前記貯湯タンク側に凹む一対の凹部を有し、一対の前記凹部は、それぞれ、横断面視において、その一端側が前記第3壁部に連なる接続板と、横断面視において、前記接続板の他端側に連なり、当該接続板とのなす角が鈍角である傾斜板と、を含み、前記取手部材はそれぞれ、前記第2壁部の前記凹部に当接した状態で固定される当接部と、前記当接部に両端が固定される取手部と、を有し、前記当接部及び前記取手部によって、手指を差込み可能な孔部が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、運搬が容易な貯湯タンクユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態に係る貯湯タンクユニットを備える給湯機の全体構成図である。
図2】貯湯タンクユニットを左後方から見下ろした斜視図である。
図3図2に示すII−II線の矢視断面図である。
図4図2に示す領域Xの部分拡大図である。
図5】貯湯タンクユニットを横倒しにして運搬する様子を示す説明図である。
図6】本発明の第2実施形態に係る貯湯タンクユニットにおいて、図2に示す領域Xに対応する箇所の部分拡大図である。
図7】(a)は本発明の第3実施形態に係る貯湯タンクユニットを底側から見た底面図であり、(b)は天板の右後側の角部付近を斜め下から見上げた斜視図である。
図8】本発明の第4実施形態に係る貯湯タンクユニットにおいて、天板の右後側の角部付近を斜め下から見上げた斜視図である。
図9】本発明の第5実施形態に係る貯湯タンクユニットにおいて、天板の右後側の角部付近を斜め下から見上げた斜視図である。
図10】本発明の変形例に係る貯湯タンクユニットの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
≪第1実施形態≫
<給湯機の構成>
図1は、第1実施形態に係る貯湯タンクユニット20を備える給湯機Aの全体構成図である。
給湯機Aは、貯湯タンク1内に貯留された湯水をヒートポンプユニット10を用いて加熱するとともに、貯湯タンク1に貯留された高温水と給水源からの水とを混合して給湯端末19に供給する装置である。給湯機Aは、ヒートポンプユニット10と、貯湯タンクユニット20と、を備えている。
【0014】
(ヒートポンプユニット)
ヒートポンプユニット10は、貯湯タンク1から入水管12を介して流入する低温水を加熱して高温水とし、この高温水を出湯管14を介して貯湯タンク1に戻す装置である。ヒートポンプユニット10は、図示はしないが、圧縮機と、凝縮器と、減圧弁と、蒸発器と、を備え、これらが配管を介して環状に順次接続されている。そして、前記した配管を介して周知のヒートポンプサイクルで熱媒体を循環させ、入水管12を介して貯湯タンク1から流入する低温水を、前記した凝縮器で加熱するようになっている。
【0015】
(貯湯タンクユニット)
貯湯タンクユニット20は、湯水を貯留するものである。貯湯タンクユニット20は、貯湯タンク1と、貯湯タンク1を収容する外箱2と、貯湯タンク1と外箱2との間に充填される発泡断熱材3(ドット表示の部分)と、を備えている。
【0016】
図2は、貯湯タンクユニット20を左後方から見下ろした斜視図である。なお、図2では、発泡断熱材3(図1参照)及び各配管の図示を省略した。
貯湯タンク1は、湯水を貯留する殻状部材であり、その外形は円柱状を呈している。より詳しく説明すると、貯湯タンク1は、円筒状の胴板1aと、この胴板1aの上部開口を覆う半球状の上部鏡板1bと、胴板1aの下部開口を覆う半球状の下部鏡板1cと、を備えている。上部鏡板1b及び下部鏡板1cは、胴板1aに溶接されている。
【0017】
なお、貯湯タンク1の構成材料として、例えば、ステンレス鋼板を用いることができる。このような構成を備える貯湯タンク1は、その中心軸線が鉛直方向と平行になるように設置されている。
貯湯タンク1の外周面(前側)には、鉛直方向において所定間隔を空けて複数の温度センサ(図示せず)が設置されている。また、貯湯タンク1の下部には3本の脚Gが設置され、各脚Gがボルトによって外箱2に固定されている。ちなみに、脚Gを、後記する外箱2に設置された脚Hと相互に固定するようにしてもよい。
【0018】
図1に示すように、貯湯タンク1の下部には、給水源から貯湯タンク1に水を供給するための給水管11と、貯湯タンク1の下部に貯留された水(低温水)をヒートポンプユニット10に導入するための入水管12と、が接続されている。
なお、入水管12にはポンプ13が設置されている。このポンプ13が駆動することで、貯湯タンク1の下部に貯留された低温水が入水管12を介してヒートポンプユニット10に圧送される。
【0019】
また、貯湯タンク1の上部には、ヒートポンプユニット10で加熱された高温水を貯湯タンク1に戻すための出湯管14と、貯湯タンク1の上部に貯留された高温水を取り出すための給湯管15と、が接続されている。ちなみに、給湯機Aの使用時において貯湯タンク1は常時、満水になっている。
その他、給水管11に接続された分岐給水管16を介して供給される水と、貯湯タンク1の上部から給湯管15を介して取り出される高温水と、を混合する混合弁17が設置されている。混合弁17で混合された湯水は、給湯管18を介して給湯端末19に供給される。
【0020】
なお、給湯機Aの構成は、図1に示すものに限定されない。例えば、給水源から供給される水を、貯湯タンク1から取り出した高温水との熱交換によって温める水道直圧式の構成にしてもよい。
【0021】
図2に示す外箱2は、貯湯タンク1を収容する鋼板製の筐体であり、その外形は縦長の柱状を呈している。外箱2は、貯湯タンク1を囲む「筒体」と、この「筒体」の上側(一方側)を塞ぐ天板24と、「筒体」の下側(他方側)を塞ぐ底板25と、を備えている。
【0022】
図3は、図2に示すII−II線の矢視断面図である。
前記した「筒体」は、貯湯タンク1の前側に配置される「第1壁部」と、貯湯タンク1の後側に配置される「第2壁部」と、貯湯タンク1の左右両側に配置される一対の「第3壁部」と、を備えている。
【0023】
「第1壁部」は、前板21aと、前傾斜板21b,21cと、接続板21d,21eと、を有し、例えば、一枚の鋼板をプレス加工することで形成される。前傾斜板21bは前板21aの左端に連なり、接続板21dは前傾斜板21bの左端に連なるとともに前板21aと平行に延びている(前傾斜板21c、接続板21eも同様)。
【0024】
前板21a及び接続板21d,21eには、図示はしないが、貯湯タンク1に接続される各配管(給水管11等:図1参照)の貫通孔が複数設けられている。この貫通孔を介して各配管を貫通させ、さらに弁類等を設置した後、「第1壁部」の前側に配管カバーKが設置される。この配管カバーKは、配管等を収容して外部から遮蔽するための部材であり、後側が開口した箱状(凹状)を呈している。
【0025】
貯湯タンク1の後側に配置される「第2壁部」は、後板22aと、後傾斜板22b,22cと、接続板22d,22eと、を有し、例えば、一枚の鋼板をプレス加工することで形成される。「第2壁部」は、前後方向において、前記した「第1壁部」に対向している。
図3に示すように、後傾斜板22bは後板22aの左端に連なり、接続板22dは後傾斜板22bの左端に連なるとともに後板22aと平行に延びている(後傾斜板22c、接続板22eも同様)。
【0026】
また、「第2壁部」は、横断面視における左右両端付近に、一対の凹部22p,22qを有している。左側の凹部22pは、後傾斜板22b及び接続板22dを含む部位であり、貯湯タンク1側に凹んでいる。右側の凹部22qは、後傾斜板22c及び接続板22eを含む部位であり、貯湯タンク1側に凹んでいる。
【0027】
一方の凹部22pは、天板24(図2参照)付近に設けられる取手部221p(図2参照)を有している。他方の凹部22qも、天板24付近に設けられる取手部221q(図2参照)を有している。取手部221p,221qは、貯湯タンクユニット20を横倒しにして運搬する際(図5参照)、作業者Nの手指が掛けられる部位である。
【0028】
図4は、図2に示す領域Xの部分拡大図である。取手部221pは、例えば、プレス加工によって接続板22dの一部(天板24付近)を貯湯タンク1側に凹ませることで形成される。すなわち、取手部221pは、運搬時に作業者Nの手指が掛けられるように(図5参照)、上下方向に細長く形成された凹みになっている。同様に、図2に示す右側の取手部221qは、接続板22eの一部(天板24付近)を貯湯タンク1側に凹ませることで形成される。
【0029】
取手部221p,221qをこのような形状とすることで、横幅が比較的狭い接続板22d,22eに、取手部221p,221qを設けることができる。
ちなみに、配管カバーKを上側にして貯湯タンクユニット20を横倒しにすると(図5参照)、左右両側付近の接続板22d,22eは地面と略平行になるとともに、接続板22d,22eが地面側に臨む状態になる。したがって、作業者Nが左右両脇から貯湯タンクユニット20を支え持つことを考慮すると、左右両側の接続板22d,22eに取手部221p,221qを設けるのが最適であるといえる。
【0030】
また、一対の取手部221p,221qは、貯湯タンクユニット20の左右両端に寄せて配置することが好ましい。詳細については後記するが、これによって、横倒しにした貯湯タンクユニット20(図5参照)を作業者Nが左右両側から支え持つ際、両手の指を取手部221p,221qに掛けやすくなるからである。
【0031】
再び、図3に戻って説明を続ける。
貯湯タンク1の左右両側に配置される一対の「第3壁部」は、側板23L,23Rを有している。この「第3壁部」は、貯湯タンク1の前側に配置される「第1壁部」と、貯湯タンク1の後側に配置される「第2壁部」と共に、貯湯タンク1を囲んでいる。
【0032】
図2に示す天板24は、前記した「筒体」の上側を塞ぐ板状部材であり、外箱2の横断面(図3参照)に対応した形状になっている。
底板25は、前記した筒体の下側を塞ぐ板状部材であり、外箱2の横断面(図3参照)に対応した形状になっている。
【0033】
なお、外箱2を構成する各板は、プレス加工や溶接等によって略一体になっている。
また、底板25には、外箱2を支持する3本の脚H(図2参照)が設置され、各脚Hがボルトによって外箱2に固定されている。
【0034】
発泡断熱材3(図3に示すドット表示の部分)は、貯湯タンク1に貯留された湯水の熱漏洩を抑制するためのものであり、貯湯タンク1と外箱2との間に充填されている。発泡断熱材3として、例えば、硬質ポリウレタンフォームを用いることができる。
【0035】
<貯湯タンクの運搬について>
図5は、貯湯タンクユニット20を横倒しにして運搬する様子を示す説明図である。
貯湯タンクユニット20の運搬時(例えば、設置時や廃棄時)には、貯湯タンクユニット20を横倒しにして2人で持ち運ぶ。すなわち、図5に示すように、貯湯タンク1の中心軸線が水平方向と平行になり、かつ、配管カバーKが上側になるように貯湯タンクユニット20を横倒しの状態にする。この状態において接続板22d,22e(図3参照)は地面と略平行になっており、取手部221p,221qは地面と反対側に凹んでいる。
【0036】
図5に示すように、一方の作業者Mは、貯湯タンクユニット20の底板25に設置された3本の脚Hのうち2本を両手で支え持つ。他方の作業者Nは、天板24付近に設けられた一対の取手部221p,221qに両手の指を掛け、貯湯タンクユニット20を左右両脇から抱え込むようにして持つ。
前記したように、一対の取手部221p,221qは、上下方向(作業者Nから見て前後方向)に細長い凹みになっている。したがって、作業者Nは、左手の指を取手部221pに掛け、右手の指を取手部221qに掛けることで、貯湯タンクユニット20を容易に支え持つことができる。
【0037】
また、左右方向において取手部221pは側板23L付近に設けられ、取手部221qは側板23R付近に設けられている(図3参照)。したがって、作業者Nは、自身の両脇を締めつつ手のひらを側板23L,23Rにあてがいながら、貯湯タンクユニット20を運搬できる。これによって、貯湯タンクユニット20を支え持つ際に力を入れやすくなり、貯湯タンクユニット20を容易に運搬できる。
【0038】
<効果>
本実施形態によれば、横断面視において貯湯タンク1側に凹む凹部22p,22q(図3参照)を設ける構成にした。これによって、外箱2の横断面の形状を円形に近づけ、周方向における発泡断熱材3の充填量を均一化できる。その結果、貯湯タンク1に作用する発泡圧力が均一化され、貯湯タンク1の変形を抑制できる。
また、貯湯タンクユニット20の運搬時には、天板24付近に設けられた取手部221p,221qに作業者Nが手指を掛けることで(図5参照)、手指が滑りにくくなり、貯湯タンクユニット20を持ち運びやすくなる。
【0039】
ちなみに、接続板22d,22e(図3参照)に代えて、後板22a又は後傾斜板22b,22cに取手部(凹み)を設ける構成も考えられる。しかしながら、後板22aに取手部を設けた場合、この取手部に手指を掛けたときに両手の左右方向の間隔が非常に狭くなり、運搬中に貯湯タンクユニット20が左側又は右側に転げ落ちやすくなる。また、後傾斜板22b,22cに取手部(凹み)を設けた場合、後傾斜板22b,22cに垂直な力のうち水平方向の分力が相殺され、また、貯湯タンクユニット20に作用する鉛直上向きの分力が小さくなってしまう。
【0040】
これに対して本実施形態では、前記したように、接続板22d,22eに取手部221p,221qを設ける構成であるため、作業者N(図5参照)は両脇を締めて左右両側から貯湯タンクユニット20を支え持つことができる。取手部221p,221qは左右方向で比較的離れているため、運搬中に貯湯タンクユニット20が左側又は右側に転げ落ちにくくなり、また、取手部221p,221qに鉛直上向きの力を作用させることで貯湯タンクユニット20をしっかりと持つことができる。
【0041】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、取手部221r(図6参照)が凹みではなく突起である点が第1実施形態と異なるが、その他については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と異なる取手部221rの構成について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0042】
<取手部の構成>
貯湯タンク1が備える一対の凹部22p,22q(図3参照)は、天板24付近に設けられた取手部221r,221r(図6参照)を有している。
【0043】
図6は、第2実施形態に係る貯湯タンクユニット20において、図2に示す領域Xに対応する箇所の部分拡大図である。
図6に示す取手部221rは、上下方向に延びる3条の突起r1を有し、運搬時に作業者N(図5参照)の手指が掛けられたときの滑り止めとして機能する。取手部221rは、例えば、プレス加工によって接続板22dの一部(天板24付近)を外側に突出させることで形成される。右側の接続板22e(図3参照)に設けられた取手部221r(図示せず)も、左側と同様の構成を有している。
【0044】
ちなみに、図6では取手部221rが上下方向に延びる3条の突起r1である場合について説明したが、上下方向に延びる1条、2条、又は4条以上の突起を「取手部」としてもよい。また、接続板22d,22eにおいて作業者N(図5参照)が手指を掛けやすい位置に設けた複数の点状の突起を「取手部」としてもよい。
【0045】
<効果>
本実施形態では、貯湯タンクユニット20は、3条の突起r1を有する取手部221r,221rを備えている。したがって、貯湯タンクユニット20を運搬する際、作業者N(図5参照)が取手部221r,221rに手指を掛けることで、この手指が滑りにくくなり、貯湯タンクユニット20を持ち運びやすくなる。
また、第1実施形態で説明した取手部221p,221q(凹み:図4参照)と比較して、突起r1の方が、作業者Nにとって取手部221r,221rを位置を手探りで特定しやすい。したがって、貯湯タンクユニット20の運搬を容易に行うことができる。
【0046】
≪第3実施形態≫
第3実施形態は、接続板22d,22eに設けられた取手部221p,221q(図2参照)を省略し、天板24の一部を取手部24s(図7(b)参照)とした点が第1実施形態と異なるが、その他については第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態と異なる取手部24sの構成について説明し、重複する部分については説明を省略する。
【0047】
<取手部の構成>
図7(a)は、第3実施形態に係る貯湯タンクユニット20を底側から見た底面図である。第1実施形態と同様に、外箱2は柱状を呈しており、貯湯タンク1(図1参照)の後側に配置される「第2壁部」は、その左右両側に凹部22p,22qを有している。なお、図7(a)においてドット表示で示した三角形状の部分は、次に説明する天板24の取手部24sである。
【0048】
図7(b)は、天板24の右後側の角部付近を斜め下から見上げた斜視図である。天板24は、一対の凹部22p,22qよりも外側に延在してなる取手部24s,24sを有している。すなわち、天板24の後部は、その左右両側が凹部22p,22qよりも外側に張り出している。この取手部24s,24sは、底面視で三角形状を呈している(図7(a)のドット表示の部分)。
【0049】
運搬時には、第1、第2実施形態と同様に、貯湯タンクユニット20を横倒しにして2人で持ち運ぶ。すなわち、図5に示すように、貯湯タンク1の中心軸線が水平方向と平行になり、かつ、配管カバーKが上側になるように貯湯タンクユニット20を横倒しの状態にする。そして、一方の作業者Mは脚Hを両手で支え持ち、他方の作業者Nは天板24が有する左右の取手部24s,24sを両手で支え持つ。
【0050】
ここで、取手部24s,24sは、凹部22p,22qの壁面よりも外側に延びている(つまり、凹部22p,22qは、取手部24s,24sよりも内側に凹んでいる)。したがって、作業者Nは、両手の指を折り曲げて天板24の左右両側をしっかりと把持することができるとともに、手のひらを天板24にあてがいながら貯湯タンクユニット20を運搬できる。
【0051】
<効果>
本実施形態によれば、天板24が取手部24s,24sを有する構成にすることで(図7参照)、前記したように、貯湯タンクユニット20を容易に運搬できる。また、第1、第2実施形態(図4図6参照)のように、接続板22d,22eをプレス加工する必要がないため、貯湯タンクユニット20の製造工数を削減できる。また、天板24の一部を取手部24s,24sにするため、取手部を別部材で設ける場合と比較して貯湯タンクユニット20の製造コストを削減できる。
【0052】
≪第4実施形態≫
第4実施形態は、凹部22p,22qよりも天板24が外側に張り出している箇所(図7(a)のドット表示の部分)に、取手部材5(図8参照)を設置する点が第3実施形態と異なるが、その他については第3実施形態と同様である。したがって、取手部材5について説明し、第3実施形態と重複する部分については説明を省略する。
【0053】
図8は、第4実施形態に係る貯湯タンクユニット20において、天板24の右後側の角部付近を斜め下から見上げた斜視図である。
取手部材5は、当接部5aと、取手部5bと、を有する樹脂製の部材であり、前記した第2壁部の凹部22q(図7(a)参照)において天板24付近に設置されている。なお、図8では右側の取手部材5を図示したが、左側の凹部22p(図7(a)参照)にも取手部材5が設置されている。
【0054】
当接部5aは、その外形が三角柱状を呈しており、後傾斜板22c及び接続板22eの壁面に当接した状態で外箱2に固定されている。
取手部5bは、当接部5aと一体形成され、当接部5aよりも左右方向の外側に延びている。取手部5bの横幅は、貯湯タンクユニット20を横倒しにした状態で、この取手部5bに手指を掛けることができるように設定されている。
なお、取手部材5には、複数箇所(図8では、2箇所)に肉盗みh1が設けられている。また、肉盗みh1の上方に、当接部5aと取手部5bの上端を連結する連結平面部51bを設けることで、取手部材5の強度を高めるようにした。
【0055】
<効果>
本実施形態によれば、作業者Nは一対の取手部材5に手指を掛けて貯湯タンクユニット20を支えることで、貯湯タンクユニット20を容易に運搬できる。また、連結平面部51bを設けることで、取手部材5の強度を高めることができる。
【0056】
≪第5実施形態≫
第5実施形態は、前記した取手部材5(図8参照)から連結平面部51bを省略し、作業者Nが手指を差し込むための孔部U(図9参照)を設けた点が第4実施形態と異なるが、その他については第4実施形態と同様である。したがって、取手部材6(図9参照)について説明し、その他については説明を省略する。
【0057】
図9は、第5実施形態に係る貯湯タンクユニット20において、天板24の右後側の角部付近を斜め下から見上げた斜視図である。
左右に設けられた一対の取手部材6は、当接部6aと、取手部6bと、を有する樹脂製の部材であり、前記した第2壁部において天板24付近に設置されている。当接部6aは、その形状が後傾斜板22c及び接続板22e(第2壁部)の壁面に対応しており、この壁面に当接した状態で固定されている。取手部6bは、横断面視でL字状を呈しており、その両端が当接部6aに固定されている。そして、当接部6a及び取手部6bによって、手指を差込み可能な孔部Uが形成されている。
【0058】
なお、取手部6bの形状は図9に示すものに限定されず、例えば、湾曲した棒状の構成であってもよい。また、当接部6aと取手部6bは、一体成形であってもよいし、別体で相互に接着又は締結する構成でもよい。
また、図9では、第2壁部の凹部22p,22q(図7(a)参照)に取手部材6を設置する構成について説明したが、これに限らない。例えば、外箱の外形を直方体状(横断面視で矩形状)とし、平板状の第2壁部(つまり、後板)において天板付近に取手部材6を設置するようにしてもよい。また、凹部22p,22qにスペーサ部材(図示せず)を設置し、さらに第2壁部の天板付近に取手部材6を設置するようにしてもよい。
【0059】
<効果>
本実施形態によれば、作業者Nは、貯湯タンクユニット20の運搬時に取手部6bの上側から手指を掛けたり、孔部Uに手指を差し込んで取手部6bを握ったりすることができる。したがって、作業者Nが取手部5bを把持する際の自由度を高めることができ、また、貯湯タンクユニット20の運搬作業を効率的に行うことができる。
【0060】
≪変形例≫
以上、本発明に係る貯湯タンクユニット20について各実施形態により説明したが、本発明はこれらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、貯湯タンク1と外箱2との間に発泡断熱材3を充填する構成について説明したが、これに限らない。すなわち、図10の変形例に示すように、外箱2の内壁面(の一部)に複数の真空断熱材4を設置し、貯湯タンク1と真空断熱材4(真空断熱材4が重なっていない箇所では、貯湯タンク1と外箱2)との間に発泡断熱材3を充填する構成でもよい。
真空断熱材4は、貯湯タンク1に貯留された湯水の熱漏洩を抑制するものであり、例えば、ガラス繊維(グラスウール等)からなるコア材と、このコア材を包む外包材と、を有するシート状の断熱材である。なお、図10に示す取手部221p,221qは、第1実施形態と同様の構成になっている。
【0061】
また、図10に示すように、貯湯タンクユニット20の前側に一対の凹部(図3参照)を形成せず、配管カバーKが設置される「第1壁部」を前板21aのみにする構成でもよい。
また、外箱2の内壁面の略全面に真空断熱材4を設置し、この真空断熱材4と貯湯タンク1との間に発泡断熱材3を充填してもよい。また、貯湯タンクユニット20から発泡断熱材3を省略してもよいし、真空断熱材4に代えて成形断熱材を用いてもよい。
【0062】
また、第1実施形態では、天板24付近に設けられる取手部221p,221q(図4参照)が、一つの凹みである場合について説明したが、これに限らない。例えば、指先が嵌る程度の複数の凹みを天板24付近に点在させてもよい。
また、各実施形態では、外箱2が有する凹部22p,22q(図3参照)が横断面視で折線状である場合について説明したが、一対の凹部を横断面視で曲線状にしてもよい。
【0063】
また、各実施形態は、適宜組み合わせることができる。例えば、第1実施形態と第3実施形態とを組み合わせ、凹部22p,22qに取手部221p,221qを設けるとともに(図3参照)、天板24が取手部24s,24sを有する構成でもよい(図7参照)。この場合において貯湯タンクユニット20を運搬する際、天板24付近を持つ作業者N(図5参照)は、前記した各取手部のうち持ちやすいほうを持てばよい。
【0064】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成を追加・削除・置換することが可能である。
【符号の説明】
【0065】
A 給湯機
10 ヒートポンプユニット
20 貯湯タンクユニット
1 貯湯タンク
11 給水管(配管)
12 入水管(配管)
14 出湯管(配管)
15 給湯管(配管)
2 外箱
21a 前板(第1壁部)
21b,21c 前傾斜板(第1壁部)
21d,21e 接続板(第1壁部)
22a 後板(第2壁部)
22b,22c 後傾斜板(第2壁部)
22d,22e 接続板(第2壁部)
22p,22q 凹部
221p,221q,221r 取手部
23L,23R 側板(第3壁部)
24 天板
24s 取手部
25 底板
3 発泡断熱材
4 真空断熱材
5,6 取手部材
5a,6a 当接部
5b,6b 取手部
K 配管カバー
r1 突起
U 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10