特許第6223330号(P6223330)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6223330
(24)【登録日】2017年10月13日
(45)【発行日】2017年11月1日
(54)【発明の名称】加熱クロマトグラフィー分離方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 30/88 20060101AFI20171023BHJP
   G01N 30/46 20060101ALI20171023BHJP
   G01N 30/30 20060101ALI20171023BHJP
   G01N 30/26 20060101ALI20171023BHJP
【FI】
   G01N30/88 C
   G01N30/46 A
   G01N30/30
   G01N30/26 A
【請求項の数】19
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2014-517954(P2014-517954)
(86)(22)【出願日】2012年7月6日
(65)【公表番号】特表2014-518388(P2014-518388A)
(43)【公表日】2014年7月28日
(86)【国際出願番号】GB2012051592
(87)【国際公開番号】WO2013005047
(87)【国際公開日】20130110
【審査請求日】2014年3月6日
(31)【優先権主張番号】1111594.6
(32)【優先日】2011年7月6日
(33)【優先権主張国】GB
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512171881
【氏名又は名称】ビーエイエスエフ ファーマ(コーラニッシュ)リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100187964
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ケリハー,アダム
(72)【発明者】
【氏名】モリソン,アンガス
(72)【発明者】
【氏名】オロスカー,アニル
(72)【発明者】
【氏名】ナイル レマ,ラケシュ ヴィクラマン
(72)【発明者】
【氏名】アガーワル,アブヒレシュ
【審査官】 赤坂 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−197596(JP,A)
【文献】 特開平04−235701(JP,A)
【文献】 特開平10−310556(JP,A)
【文献】 特開昭58−109444(JP,A)
【文献】 特開昭60−208940(JP,A)
【文献】 特開平10−310555(JP,A)
【文献】 米国特許第05719302(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 30/00−30/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給混合液から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離方法であって、(a)グリセリドのエステル転移反応またはグリセリドの加水分解処理で前記供給混合液を処理するステップと、(b)溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する1つまたは複数の擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置にステップ(a)の生成物を導入するステップを含み、
前記ステップ(a)の生成物が通過する前記複数のクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が室温を超えるものであり、
記複数のクロマトグラフィーカラムは、吸着剤としてポリマービーズまたはシリカゲルを含み、
前記供給混合液が魚油供給原料または魚油に由来する供給原料であり、PUFA生成物がEPAまたはEPAエチルエステルであり、PUFA生成物が純度90%を超える純度で生成され、
前記溶離剤は、前記水性有機溶媒と水の総重量に基づき、2重量%以上の水を含有する、方法。
【請求項2】
前記溶離剤が超臨界状態でない、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数のクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の室温を超える温度が、前記水性有機溶媒の溶離剤および/または前記ステップ(a)の生成物を、室温を超える温度に加熱することによって達成される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数のクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が30℃を超える、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記複数のクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が40℃を超える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記複数のクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が100℃までである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が70℃までである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1つの温度が40から70℃である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数のクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1つの温度が57から63℃である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
(i)第一分離ステップにおいて、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置で前記ステップ(a)の生成物を精製して、中間生成物を得るステップと、
(ii)第二分離ステップにおいて、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置を使用して(i)で得られた前記中間生成物を精製して、前記PUFA生成物を得るステップとを含み、
前記第一分離ステップの複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの1個もしくは複数の温度および/または前記第二分離ステップの複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの1個もしくは複数の温度が室温を超え、
(a)前記第一および第二分離ステップが同じクロマトグラフィー装置で順次行われ、前記中間生成物が第一と第二の分離ステップの間で回収され、前記クロマトグラフィー装置のプロセス条件が、各分離ステップで前記ステップ(a)の生成物の異なる成分から前記PUFA生成物が分離されるように、前記第一と第二の分離ステップの間で調整される、または
(b)前記第一および第二分離ステップが、別々の第一および第二クロマトグラフィー装置でそれぞれ行われ、前記第一分離ステップから得られた前記中間生成物が第二クロマトグラフィー装置に導入され、各分離ステップで前記ステップ(a)の生成物の異なる成分から前記PUFA生成物が分離される、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
全てのクロマトグラフィーカラムの温度が室温を超える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
各装置が、前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽出液流および抽残液流を有する、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記溶離剤が、前記水性有機溶媒と水の総重量に基づいて、5重量%を超える水を含む、請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記溶離剤が、水と、アルコール、エーテル、エステル、ケトンまたはニトリルとの混合液である、請求項1〜1のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記溶離剤が水とメタノールの混合液である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
溶離剤として水性アルコールを含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置に前記ステップ(a)の生成物を導入することを含み、前記装置が、少なくとも第一ゾーンおよび第二ゾーンを含む複数のゾーンを有し、各ゾーンが、前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽出液流および抽残液流を有し、(a)より極性が高い成分とともにPUFA生成物を含む抽残液流が、第一ゾーンのカラムから収集され、第二ゾーンの隣接していないカラムに導入され、かつ/または(b)より極性が低い成分とともに前記PUFA生成物を含む抽出液流が、第二ゾーンのカラムから収集され、第一ゾーンの隣接していないカラムに導入され、前記PUFA生成物が、各ゾーンで前記ステップ(a)の生成物の異なる成分から分離され、前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が55℃を超える、請求項1に記載のクロマトグラフィー分離方法。
【請求項17】
前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が56℃以上である、請求項16に記載のクロマトグラフィー分離方法。
【請求項18】
前記PUFA生成物が純度95%を超える純度で生成される、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記PUFA生成物が純度97%を超える純度で生成される、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多価不飽和脂肪酸(PUFA)およびその誘導体を精製するための改善されたクロマトグラフィー分離方法に関する。特に、本発明は、使用される溶離剤量の低減を可能にする、改善されたクロマトグラフィー分離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
脂肪酸、特にPUFAおよびその誘導体は生物学的に重要な分子の前駆物質であり、それらは、血小板凝集、炎症および免疫応答などの生物機能の調節において重要な役割を果たす。したがって、PUFAおよびその誘導体は、CNS状態;糖尿病性神経症を含めた神経障害;心血管疾患;炎症性皮膚疾患を含めた全身免疫系および炎症状態が含まれる幅広い病態を治療する上で、治療的に有用であり得る。
【0003】
PUFAは、植物油および海産油などの天然原料に見出される。しかし、そうしたPUFAは、飽和脂肪酸および多くの他の不純物との混合状態でそうした油中に存在することが多い。したがって、PUFAは、栄養学的または医薬的に使用する前に、望ましくは精製されるべきである。
【0004】
残念ながらPUFAは極めて脆弱である。したがって、酸素の存在下で加熱すると、それらは、異性化、過酸化およびオリゴマー化しやすい。したがって、純粋な脂肪酸を調製するためのPUFA生成物の分画および精製は困難である。真空下でさえ、許容できない生成物分解が蒸留によって起こり得る。
【0005】
クロマトグラフィー分離手法は当業者に周知である。固定床式システムおよび擬似または実移動床式システムを含むクロマトグラフィー分離手法は、両方とも当業者に熟知されている。
【0006】
従来の固定床式クロマトグラフィーシステムでは、成分が分離される混合液が容器に浸透する。この容器は、通常円筒形であり、典型的にはカラムと称される。カラムは、高い流体透過性を示す、(通常、固定相と呼ばれる)多孔性材料の充填物を含む。混合液の各成分の浸透速度はその成分の物理的性質に依存し、その結果連続的におよび選択的にカラムから成分が出る。したがって、固定相に強く固定する傾向があるために緩徐に浸透する成分もあれば、弱く固定する傾向があり、カラムからより急速に出る成分もある。多くの異なる固定床式クロマトグラフィーシステムが提案されており、分析および工業生産の両方の目的に使用されている。
【0007】
擬似および実移動床式クロマトグラフィーは既知の手法であり、当業者に熟知されている。動作の原理は、液体溶離剤相および固体吸着剤相の向流移動を含む。この動作は、この方法が、最小限の溶媒の使用によって採算がとれるようになることを可能にする。そうした分離技術は、炭化水素、工業化学物質、油、糖およびAPIを含めた多様な分野において、いくつかの適用を見出してきた。
【0008】
したがって、擬似移動床式クロマトグラフィー装置は、互いに連続してつながれた、吸着剤を含むいくつかの個々のカラムからなる。溶離剤は、第一の方向でカラムを通過させられる。このシステムの供給原料および溶離剤の注入ポイントならびに分離した成分の収集ポイントは、一連の弁によって周期的にシフトされる。全体的な効果は、固形吸着剤の移動床を含む単一カラムの動作を擬似することであり、固形吸着剤は溶離剤の流れに対して向流方向に移動する。したがって、擬似移動床システムは、従来の固定床式システムのように、溶離剤が通過させられる固形吸着剤の固定床を含むカラムからなるが、擬似移動床システムでは、動作は、連続向流移動床を擬似するようなものである。
【0009】
典型的な擬似移動床式クロマトグラフィー装置を、図1を参照して例示する。擬似または実移動床式クロマトグラフィー分離方法のコンセプトは、複数のセクションに、より正確には、カラムの底部から頂部に至る、重ねられた4つのサブゾーンI、II、IIIおよびIVに分けられた固定相Sを含む垂直のクロマトグラフィーカラムを考えることによって説明される。溶離剤は、ポンプPによってIEにおいて底部で導入される。分離すべき成分AおよびBの混合液は、サブゾーンIIとサブゾーンIIIの間のIA+Bで導入される。主にBを含む抽出液は、サブゾーンIとサブゾーンIIの間のSBで収集され、主にAを含む抽残液はサブゾーンIIIとサブゾーンIVの間のSAで収集される。
【0010】
擬似移動床システムの場合は、固定相Sの擬似下方移動は、導入および収集ポイントが固相に対して移動することによって引き起こされる。実移動床式システムの場合は、固定相Sの擬似下方移動は、様々なクロマトグラフィーカラムが導入および収集ポイントに対して移動することによって引き起こされる。図1では、溶離剤は上方に流れ、混合液A+BはサブゾーンIIとサブゾーンIIIの間に注入される。成分は、クロマトグラフィーの固定相とのその相互作用、例えば多孔性媒体への吸着に従って移動することになる。固定相に対してより強い親和性を示す成分B(より緩徐な移動成分)はより緩徐に溶離剤によって引きずられ、遅れてその後に続くことになる。固定相に対してより弱い親和性を示す成分A(より速い移動成分)は、溶離剤によって容易に引きずられることになる。適切なパラメーターセット、特に各サブゾーンの流速が正確に推定および制御される場合は、固定相に対してより弱い親和性を示す成分Aは、サブゾーンIIIとサブゾーンIVの間に抽残液として収集されることになり、固定相に対してより強い親和性を示す成分Bは、サブゾーンIとサブゾーンIIの間に抽出液として収集されることになる。
【0011】
したがって、図1に概略的に図示する従来の擬似移動床システムは二成分分画に限定されることが認識されるであろう。
【0012】
擬似移動床式クロマトグラフィーのための方法および設備は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、US2,985,589、US3,696,107、US3,706,812、US3,761,533、FR−A−2103302、FR−A−2651148およびFR−A−2651149を含めたいくつかの特許に記載されている。このトピックは、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、「Preparative and Production Scale Chromatography」、GanetsosおよびBarker編、Marcel Dekker Inc、New York、1993においても詳細に論じられている。
【0013】
実移動床式システムは、擬似移動床システムに動作が類似している。しかし、供給混合液および溶離剤の注入ポイントならびに分離した成分の収集ポイントを弁のシステムによってシフトするのではなく、その代わりに、一連の吸着ユニット(すなわちカラム)を供給および排出ポイントに対して物理的に移動する。重ねて、動作は連続向流移動床を擬似するようなものである。
【0014】
実移動床式クロマトグラフィーのための方法および設備は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、US6,979,402、US5,069,883およびUS4,764,276を含めたいくつかの特許に記載されている。
【0015】
PUFA生成物の精製は特に難易度が高い。したがって、PUFA生成物を調製するための多くの適切な供給原料は、クロマトグラフィー装置において非常に類似した保持時間を有する多くの異なる成分を含む、極めて複雑な混合液である。したがって、そうした供給原料から治療的に有用なPUFAを分離することは非常に困難である。しかし、高純度のPUFA生成物が、特に医薬品および栄養補助食品適用のために必要とされる。したがって歴史的に、高純度のPUFA生成物が必要とされる場合は、蒸留が使用されてきた。しかし、上記で論じたデリケートなPUFAのための分離手法として蒸留を使用することには重大な欠点がある。
【0016】
一般に、PUFAを分離するためのクロマトグラフィー分離手法は全て、溶離剤として大量の有機溶媒を利用する。クロマトグラフィー分離工程が完了した後、PUFAを溶離剤中の溶液から回収しなければならない。典型的には、溶離剤中の溶液からPUFAを回収するのには、時間およびエネルギーの大きな消費が必要となる。さらに、クロマトグラフィー分離方法で溶離剤として使用する有機溶媒は、環境またはそれを取り扱っている作業者にしばしば有害である。したがって、使用する必要がある有機溶媒の量を低減するクロマトグラフィー分離方法が必要とされる。
【0017】
上記で論じたように、PUFAを含む適切な市販の供給原料、例えば魚油は、クロマトグラフィー装置において非常に類似した保持時間を有する多くの異なる成分を典型的には含む。したがって、類似した保持時間を有する供給混合液の成分間の分解能を改善するクロマトグラフィー分離方法に対する要求もある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記の室温を超える温度で行われるクロマトグラフィー分離方法は有機溶媒の溶離剤が少なくて済むということが、好都合なことに見出されている。したがって、高温では、商業的に関心のある多くのPUFAの保持時間が実質的に減少し、ひいては、このことは、種々の異なるPUFAを含む混合液、例えば魚油供給原料または魚油に由来する供給原料を分離するのに、より少ない有機溶媒の溶離剤を使用しなければならいことを意味する。
【0019】
水性有機溶媒を利用するクロマトグラフィー分離方法において使用する水の量を増大させると、供給混合液に存在する、類似した保持時間を有する成分の分解能が改善することも好都合なことに見出されている。このことは、より高い水分含有量を有する溶離剤によって、供給混合液からPUFA生成物をより純粋に分離することが可能になることを意味する。
【0020】
したがって、本発明は、供給混合液から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離方法であって、供給混合液を、溶離剤として水性有機溶媒を含む1個または複数のクロマトグラフィーカラムを通過させることを含み、供給混合液が通過するクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が室温を超える方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】二成分混合液を分離するための擬似または実移動床式方法の基本原理を図示する図である。
図2】より急速なおよびより緩徐な移動成分(すなわち、より極性が高いおよびより極性が低い不純物)からEPAを分離するのに適した本発明の特定の一実施形態を図示する図である。
図3】より急速なおよびより緩徐な移動成分(すなわち、より極性が高いおよびより極性が低い不純物)からDHAを分離するのに適した本発明の特定の一実施形態を図示する図である。
図4】より急速なおよびより緩徐な移動成分(すなわち、より極性が高いおよびより極性が低い不純物)からEPAを分離するのに適した本発明の特定の一実施形態をより詳細に図示する図である。
図5】より急速なおよびより緩徐な移動成分(すなわち、より極性が高いおよびより極性が低い不純物)からDHAを分離するのに適した本発明の特定の一実施形態をより詳細に図示する図である。
図6】より急速なおよびより緩徐な移動成分(すなわち、より極性が高いおよびより極性が低い不純物)からEPAを分離するのに適した本発明の第一の好ましい実施形態の代替方法をより詳細に図示する図である。
図7】より急速なおよびより緩徐な移動成分(すなわち、より極性が高いおよびより極性が低い不純物)からDHAを分離するのに適した本発明の第二の好ましい実施形態の代替方法をより詳細に図示する図である。
図8】より急速なおよびより緩徐な移動成分(すなわち、より極性が高いおよびより極性が低い不純物)からEPAを精製するための本発明の特定の一実施形態を図示する図である。
図9】より急速なおよびより緩徐な移動成分(すなわち、より極性が高いおよびより極性が低い不純物)からEPAを精製するための本発明の特定の一実施形態の代替方法を図示する図である。
図10】本発明のクロマトグラフィー分離方法の特定の一実施形態を行うことができる3つのやり方を図示する図である。
図11】より急速なおよびより緩徐な移動成分(すなわち、より極性が高いおよびより極性が低い不純物)からEPAを精製するためのさらなる実施形態を示す図である。
図12】本発明に従って生成されたEPA PUFA生成物のGC FAMESトレースを示す図である。
図13】本発明に従って生成されたEPA PUFA生成物のGC FAMESトレースを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本明細書で使用する場合、用語「PUFA生成物」は、典型的には栄養学的または医薬的に有効な、1種もしくは複数の多価不飽和脂肪酸(PUFA)および/またはそれらの誘導体を含む生成物を指す。典型的には、PUFA生成物は、単一のPUFAまたはその誘導体である。あるいは、PUFA生成物は、2つ以上、例えば2種のPUFAまたはそれらの誘導体の混合液である。
【0023】
用語「多価不飽和脂肪酸」(PUFA)は、1つより多い二重結合を含む脂肪酸を指す。そうしたPUFAは当業者に周知である。本明細書で使用する場合、PUFA誘導体は、モノ、ジもしくはトリグリセリド、エステル、リン脂質、アミド、ラクトンまたは塩の形のPUFAである。トリグリセリドおよびエステルが好ましい。エステルがより好ましい。エステルは、典型的にはアルキルエステル、好ましくはC〜Cアルキルエステル、より好ましくはC〜Cアルキルエステルである。エステルの例としては、メチルおよびエチルエステルが挙げられる。エチルエステルが最も好ましい。
【0024】
典型的には、PUFA生成物は、少なくとも1種のω−3またはω−6PUFA、好ましくは少なくとも1種のω−3PUFAを含む。ω−3PUFAの例としては、αリノレン酸(ALA)、ステアリドン酸(SDA)、エイコサトリエン酸(ETE)、エイコサテトラエン酸(ETA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサペンタエン酸(DPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)が挙げられる。SDA、EPA、DPAおよびDHAが好ましい。EPAおよびDHAがより好ましい。ω−6PUFAの例としては、リノール酸(LA)、γリノレン酸(GLA)、エイコサジエン酸、ジホモγリノレン酸(DGLA)、アラキドン酸(ARA)、ドコサジエン酸、アドレン酸およびドコサペンタエン(ω−6)酸が挙げられる。LA、ARA、GLAおよびDGLAが好ましい。
【0025】
一実施形態では、PUFA生成物は、EPAおよび/またはEPAエチルエステル(EE)である。
【0026】
別の実施形態では、PUFA生成物は、DHAおよび/またはDHAエチルエステル(EE)である。
【0027】
さらに別の実施態様では、PUFA生成物は、EPAとDHAおよび/またはEPA EEとDHA EEとの混合液である。
【0028】
最も好ましい実施形態では、PUFA生成物は、90%を超える純度、好ましくは95%を超える純度、より好ましくは97%を超える純度で生成される、EPAまたはEPAエチルエステルである。
【0029】
典型的には、本発明のクロマトグラフィー分離方法では、前記PUFA生成物に加えて、さらなる二次的なPUFA生成物が収集される。好ましくは、PUFA生成物はEPAであり、さらなる二次的なPUFA生成物はDHAである。
【0030】
本発明のさらなる実施形態では、EPAとDHAとの濃縮混合液であるPUFA生成物を収集するように装置が構成される。したがって、EPA、DHA、EPAとDHAより極性が高い成分、ならびにEPAとDHAより極性が低い成分を含む供給混合液が使用される。第一分離ステップで、EPAとDHAより極性が低い材料が典型的には除去される。第二分離ステップでは、EPAとDHAより極性が高い材料が典型的には除去され、EPAとDHAとの濃縮混合液がPUFA生成物として収集される。
【0031】
本発明の方法によって分画するための適切な供給混合液は、植物および動物の油および脂肪を含めた天然供給源から、ならびに遺伝子改変された植物、動物、および酵母を含めた微生物から得られる油を含めた合成供給源から得ることができる。例としては、魚油、藻類および微細藻類の油ならびに植物油、例えばルリチシャ油、エキウム(Echium)油および月見草油が挙げられる。一実施形態では、供給混合液は魚油である。別の実施形態では、供給混合液は藻類油である。所望のPUFA生成物がEPAおよび/またはDHAの場合は、藻類油が特に適切である。所望のPUFA生成物がGLAである場合は、遺伝子改変されたベニバナ油が特に適切である。所望のPUFA生成物がEPAの場合は、遺伝子改変された酵母が特に適切である。
【0032】
特に好ましい実施形態では、供給混合液は魚油または魚油由来の供給原料である。魚油または魚油由来の供給原料が使用される場合は、EPAまたはEPAエチルエステルのPUFA生成物を、90%を超える純度、好ましくは95%を超える純度、より好ましくは97%を超える純度で本発明の方法によって生成できることが、好都合なことに見出されている。
【0033】
供給混合液は、本発明の方法によって分画する前に化学的な処理を受けてもよい。例えばそれは、グリセリドのエステル転移反応またはグリセリドの加水分解を受けてもよく、続いてある場合には、結晶化、分子蒸留、尿素分画、硝酸銀または他の金属塩溶液を用いる抽出、ヨードラクトン化または超臨界流体分画などの選択的方法を受けてもよい。あるいは、最初の処理ステップなしで供給混合液を直接使用してもよい。
【0034】
供給混合液は、PUFA生成物ならびに少なくとも1種のより極性が高い成分および少なくとも1種のより極性が低い成分を典型的には含む。より極性が低い成分は、本発明の方法で使用する吸着剤への固着性がPUFA生成物よりも強い。動作中に、そうしたより極性が低い成分は、液体溶離剤相に優先して、固体吸着剤相とともに典型的には移動する。より極性が高い成分は、本発明の方法で使用する吸着剤への固着性がPUFA生成物よりも弱い。動作中に、そうしたより極性が高い成分は、固体吸着剤相に優先して、液体溶離剤相とともに典型的には移動する。一般に、より極性が高い成分は抽残液流中に分離されることになり、より極性が低い成分は抽出液流中に分離されることになる。
【0035】
より極性が高い成分およびより極性が低い成分の例としては、(1)天然油(例えば海産油または植物油)に存在する他の化合物、(2)貯蔵、精製および前の濃縮ステップの間に形成される副産物ならびに(3)前の濃縮または精製ステップの間に利用される溶媒または試薬からの混入物が挙げられる。
【0036】
(1)の例としては、他の望ましくないPUFA;飽和脂肪酸;ステロール、例えばコレステロール;ビタミン;ならびにポリ塩化ビフェニル(PCB)、ポリ芳香族炭化水素(PAH)殺虫剤、塩素系殺虫剤、ダイオキシンおよび重金属などの環境汚染物質が挙げられる。PCB、PAH、ダイオキシンおよび塩素系殺虫剤は、全て極めて非極性の成分である。
【0037】
(2)の例としては、PUFA生成物からの異性体、および酸化または分解生成物、例えば脂肪酸の自己酸化ポリマー生成物またはその誘導体が挙げられる。
【0038】
(3)の例としては、供給混合液から飽和または一不飽和脂肪酸を除去するために添加され得る尿素が挙げられる。
【0039】
好ましくは、供給混合液はPUFA含有海産油(例えば魚油)、より好ましくはEPAおよび/またはDHAを含む海産油(例えば魚油)である。
【0040】
本発明の方法によって濃縮EPA(EE)を調製するための典型的な供給混合液は、50〜75%のEPA(EE)、0から10%のDHA(EE)ならびに他の必須ω−3およびω−6脂肪酸を含めた他の成分を含む。
【0041】
本発明の方法によって濃縮EPA(EE)を調製するための好ましい供給混合液は、55%のEPA(EE)、5%のDHA(EE)ならびに他の必須ω−3およびω−6脂肪酸を含めた他の成分を含む。DHA(EE)はEPA(EE)よりも極性が低い。
【0042】
本発明の方法によって濃縮DHA(EE)を調製するための典型的な供給混合液は、50〜75%のDHA(EE)、0から10%のEPA(EE)ならびに他の必須ω−3およびω−6脂肪酸を含めた他の成分を含む。
【0043】
本発明の方法によって濃縮DHA(EE)を調製するための好ましい供給混合液は、75%のDHA(EE)、7%のEPA(EE)ならびに他の必須ω−3およびω−6脂肪酸を含めた他の成分を含む。EPA(EE)は、DHA(EE)より極性が高い。
【0044】
本発明の方法によってEPA(EE)とDHA(EE)との濃縮混合液を調製するための典型的な供給混合液は、33%を超えるEPA(EE)および22%を超えるDHA(EE)を含む。
【0045】
典型的には、本発明の方法で使用する全てのクロマトグラフィーカラムの温度は室温を超える。
【0046】
認識されるように、室温を超える温度の少なくとも1個のクロマトグラフィーカラムにおいては、分離方法にとって重要なのはカラムの内側である。したがって、室温を超える温度は、典型的には、クロマトグラフィーカラム内側の水性有機溶媒の溶離剤および吸着剤である。当然ながら、内部手段によって(例えば、溶離剤および/または供給混合液を加熱することによって)および/または外部手段によって(例えば、任意の既知の従来の手段によってクロマトグラフィーカラムの外側を加熱することによって)、少なくとも1個のクロマトグラフィーカラムの内側に必要とされる温度を達成することが可能である。
【0047】
典型的には、加熱クロマトグラフィーカラムの必要とされる高温は、水性有機溶媒の溶離剤および/または供給混合液を加熱することによって達成される。これは、カラムを内部で加熱する効果がある。
【0048】
したがって、供給混合液が通過するクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度は、水性有機溶媒の溶離剤の温度として測定することもできる。
【0049】
したがって、本発明はまた、供給混合液から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離方法であって、供給混合液を、溶離剤として水性有機溶媒を含む1個または複数のクロマトグラフィーカラムを通過させることを含み、本明細書で定義したように、溶離剤の温度が室温を超える方法を提供する。
【0050】
あるいは、クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の必要とされる温度は、カラムを加熱することによって達成される。加熱は、例えば、電気加熱マントル、加熱水ジャケットもしくはコイルを使用して、または放射加熱ランプによって行うことができる。1個または複数のクロマトグラフィーカラムの内部および/または外部が、典型的には加熱される。
【0051】
クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の必要とされる温度は、カラムおよび/または水性有機溶媒の溶離剤および/または供給混合液を加熱することによって達成することができる。
【0052】
典型的には、クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度は、30℃を超え、好ましくは35℃を超え、より好ましくは40℃を超え、さらにより好ましくは45℃を超え、さらにより好ましくは50℃を超え、さらにより好ましくは55℃を超え、さらにより好ましくは57℃を超える。ある種の実施形態では、56℃の温度が有用である。
【0053】
典型的には、クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度は、100℃まで、好ましくは95℃まで、より好ましくは90℃まで、さらにより好ましくは85℃まで、さらにより好ましくは80℃まで、さらにより好ましくは75℃まで、さらにより好ましくは70℃までである。
【0054】
したがって、クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個についての典型的な温度範囲は、30から100℃、35から95℃、40から90℃、45から85℃、50から80℃、55から75℃または57から70℃である。
【0055】
クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個についての好ましい温度範囲は、40から70℃、好ましくは50から67℃、より好ましくは56から65℃、さらにより好ましくは57から63℃である。
【0056】
本発明の方法は、供給混合液を、1個または複数のクロマトグラフィーカラムを通過させることを含む。任意の既知のクロマトグラフィーカラムを、特許請求した方法で使用することができる。
【0057】
1個または複数のクロマトグラフィーカラムは、吸着剤を典型的には含む。クロマトグラフィー分離手法用の当技術分野で既知の従来の吸着剤を、本発明の方法で使用することができる。1個より多くのクロマトグラフィーカラムが使用される場合は、各クロマトグラフィーカラムは、同一または異なる吸着剤を含んでいてもよい。典型的には、1個より多くのクロマトグラフィーカラムが使用される場合は、各カラムは同じ吸着剤を含む。一般に使用されるそうした材料の例としては、ポリマービーズ、好ましくはDVB(ジビニルベンゼン)と網状化したポリスチレン;およびシリカゲル、好ましくはC8またはC18アルカン、特にC18と結合した逆相シリカゲルがある。C18結合逆相シリカゲルが好ましい。本発明の方法で使用する吸着剤は、好ましくは非極性である。
【0058】
吸着剤固定相材料の形状は、例えば、球状のまたは非球状のビーズ、好ましくは実質的に球状のビーズであってもよい。そうしたビーズは、5から500ミクロン、好ましくは10から500ミクロン、より好ましくは15から500ミクロン、より好ましくは40から500ミクロン、より好ましくは100から500ミクロン、より好ましくは250から500ミクロン、さらにより好ましくは250から400ミクロン、最も好ましくは250から350ミクロンの直径を典型的には有する。いくつかの実施形態では、5から35ミクロン、典型的には10から30ミクロン、好ましくは15から25ミクロンの直径を有するビーズを使用することができる。いくつかの好ましい粒径は、擬似および実移動床式方法で過去に使用されたビーズの粒径よりも幾分大きい。より大きな粒子を使用することによって、システムで使用される溶離剤の圧力をより低くすることができる。ひいては、これは、費用節約、効率および装置の寿命の点から利点を有する。より大きな粒径の吸着剤ビーズが、(その付随する利点を伴って)分解能を少しも低下させることなしに、本発明の方法で使用できることが驚いたことに見出された。
【0059】
使用されるカラムの寸法は特に制限されておらず、精製される供給混合液の容積にある程度依存することになる。当業者なら、使用するのに適したサイズのカラムを容易に決定することができるであろう。各カラムの直径は、典型的には10から1000mmの間、好ましくは10から500mmの間、より好ましくは25から250mmの間、さらにより好ましくは50から100mmの間、最も好ましくは70から80mmの間である。各カラムの長さは、典型的には10から300cmの間、好ましくは10から200cmの間、より好ましくは25から150cmの間、さらにより好ましくは70から110cmの間、最も好ましくは80から100cmの間である。
【0060】
本発明の方法で使用する溶離剤は、水性有機溶媒である。
【0061】
水性有機溶媒は、水および1種もしくは複数のアルコール、エーテル、エステル、ケトンもしくはニトリルまたはそれらの混合液を典型的には含む。
【0062】
アルコール溶媒は当業者に周知である。アルコールは、典型的には短鎖アルコールである。アルコールは典型的には式ROHのものであり、式中、Rは直鎖または分枝状のC〜Cアルキル基である。C〜Cアルキル基は、好ましくは無置換である。アルコールの例としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、s−ブタノールおよびt−ブタノールが挙げられる。メタノールおよびエタノールが好ましい。メタノールがより好ましい。
【0063】
エーテル溶媒は当業者に周知である。エーテルは、典型的には短鎖エーテルである。エーテルは典型的には式R−O−R’のものであり、式中、RおよびR’は同一または異なっており、直鎖または分枝状のC〜Cアルキル基を表す。C〜Cアルキル基は、好ましくは無置換である。好ましいエーテルとしては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルおよびメチルt−ブチルエーテル(MTBE)が挙げられる。
【0064】
エステル溶媒は当業者に周知である。エステルは、典型的には短鎖エステルである。エステルは典型的には式R−(C=O)O−R’のものであり、式中、RおよびR’は同一または異なっており、直鎖または分枝状のC〜Cアルキル基を表す。好ましいエステルとしては、酢酸メチルおよび酢酸エチルが挙げられる。
【0065】
ケトン溶媒は当業者に周知である。ケトンは典型的には短鎖ケトンである。ケトンは典型的には式R−(C=O)−R’のものであり、式中、RおよびR’は同一または異なっており、直鎖または分枝状のC〜Cアルキル基を表す。C〜Cアルキル基は、好ましくは無置換である。好ましいケトンとしては、アセトン、メチルエチルケトンおよびメチルイソブチルケトン(MIBK)が挙げられる。
【0066】
ニトリル溶媒は当業者に周知である。ニトリルは典型的には短鎖ニトリルである。ニトリルは典型的には式R−CNのものであり、式中、Rは直鎖または分枝状のC〜Cアルキル基を表す。C〜Cアルキル基は、好ましくは無置換である。好ましいニトリルとしては、アセトニトリルが挙げられる。
【0067】
典型的には、水性有機溶媒は水性アルコールまたは水性アセトニトリルである。
【0068】
水性有機溶媒は、好ましくは水性メタノールまたは水性アセトニトリルである。水性メタノールがより好ましい。
【0069】
典型的には、溶離剤は超臨界状態でない。典型的には、溶離剤は液体である。
【0070】
典型的には、装置全体の溶離剤の水:有機溶媒の平均比率、例えば水:メタノールの比率は、0.1:99.9から12:88容積部、好ましくは0.25:99.75から10:90容積部、より好ましくは0.5:99.5から9:91容積部である。いくつかの実施形態では、装置全体の溶離剤の水:有機溶媒の平均比率、例えば水:メタノールの比率は、好ましくは0.1:99.9から9:91容積部、より好ましくは0.25:99.75から7:93容積部、さらにより好ましくは0.5:99.5から6:94容積部である。他の実施形態では、装置全体の溶離剤の水:有機溶媒の平均比率、例えば水:メタノールの比率は、好ましくは4:96から12:88容積部、好ましくは6:94から10:90容積部、より好ましくは7:93から9:91容積部、さらにより好ましくは7.5:92.5から8.5:91.5容積部である。
【0071】
水性有機溶媒が水性アセトニトリルである場合は、溶離剤は、30重量%までの水、残りのアセトニトリルを典型的には含む。好ましくは、溶離剤は、5から25重量%の水、残りのアセトニトリルを含む。より好ましくは、溶離剤は、10から20重量%の水、残りのアセトニトリルを含む。さらにより好ましくは、溶離剤は、15から25重量%の水、残りのアセトニトリルを含む。
【0072】
典型的には、水と有機溶媒の総重量に基づいて、溶離剤は5重量%以上の水を含む。好ましくは、溶離剤は、6重量%以上の水、より好ましくは7重量%以上の水、さらにより好ましくは約8重量%の水を含む。したがって、溶離剤は、5から15重量%の水、好ましくは6から13重量%の水、より好ましくは7から11重量%の水、さらにより好ましくは7.5から9.5重量%の水、さらにより好ましくは7.5から8.5重量%の水を典型的には含む。好都合なことに、この増大した水分含有量によって、供給混合液に存在する、密接に関わる成分の分解能が改善される。溶離剤の増大した水分含有量によって、ある種の状況下では、より大きい容量の溶離剤の使用が必要とされ得る。実際には、これは、供給混合液が通過するクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個を、室温を超える温度に加熱することによって、好ましくは溶離剤を、室温を超える温度に加熱することによって相殺される。このようにしてカラムおよび/または溶離剤を加熱することによって、使用する必要がある溶媒の量が低減される。
【0073】
クロマトグラフィー装置が、供給混合液を、溶離剤として水性有機溶媒を含む1個または複数のクロマトグラフィーカラムを通過させること(ここでは、供給混合液が通過するクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が室温を超える)を含む限り、任意の既知のクロマトグラフィー装置を本発明の方法を目的として使用することができる。
【0074】
本発明の方法の各分離ステップは、擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置で行われる。
【0075】
本発明の方法で使用するクロマトグラフィーカラムの数は特に制限されない。ある種の実施形態では、単一のクロマトグラフィーカラムを使用することができる。したがって、そうした実施形態では、単一の固定カラムを典型的には含む。
【0076】
他の実施形態では、1個より多くのクロマトグラフィーカラムが使用される。これは、供給混合液を、同じでもよいし異なっていてもよい、連続してまたは平行に配置される2つ以上のクロマトグラフィーカラムを通過させることを含んでもよい。本実施形態で使用するカラム数は特に制限されないが、典型的には30個のカラムを超えない。
【0077】
多数のクロマトグラフィーカラムが使用される特定の一実施形態は、擬似または実移動床式クロマトグラフィーである。
【0078】
したがって、本発明の方法は、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する1つまたは複数の擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置に供給混合液を導入すること(ここでは、複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が室温を超える)を典型的には含む。
【0079】
典型的には、実質的に全ての連結したクロマトグラフィーカラムの温度は室温を超える。好ましくは、全ての連結したクロマトグラフィーカラムの温度は室温を超える。
【0080】
装置が本発明の方法に従って使用される限り、本発明の方法を目的として、任意の既知の擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置を利用することができる。US2,985,589、US3,696,107、US3,706,812、US3,761,533、FR−A−2103302、FR−A−2651148、FR−A−2651149、US6,979,402、US5,069,883およびUS4,764,276に記載されているそうした装置は、本発明の方法に従って構成されれば、全て使用することができる。
【0081】
一実施形態では、方法は、
(i)第一分離ステップにおいて、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置で供給混合液を精製して、中間生成物を得るステップと、
(ii)第二分離ステップにおいて、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置を使用して、(i)で得られた中間生成物を精製して、PUFA生成物を得るステップとを含み、
第一分離ステップの複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの1個もしくは複数の温度および/または第二分離ステップの複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの1個もしくは複数の温度が室温を超え、
(a)第一および第二分離ステップが同じクロマトグラフィー装置で順次行われ、中間生成物が第一と第二の分離ステップの間で回収され、クロマトグラフィー装置のプロセス条件が、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離されるように、第一と第二の分離ステップの間で調整される、または
(b)第一および第二分離ステップが、別々の第一および第二クロマトグラフィー装置でそれぞれ行われ、第一分離ステップから得られた中間生成物が第二クロマトグラフィー装置に導入され、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離される。
【0082】
この実施形態では、用語「擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置」は、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムであって、供給混合液流に対する1つまたは複数の注入ポイント、水および/または有機溶媒に対する1つまたは複数の注入ポイント、前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽残液分岐流ならびに前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽出液分岐流を有する、クロマトグラフィーカラムを典型的には指す。
【0083】
この実施形態で使用するクロマトグラフィー装置は、溶離剤として水性有機溶媒を含む、連続して連結した単一配列のクロマトグラフィーカラムを有する。典型的には、各クロマトグラフィーカラムは、そのカラムに隣接した、装置中の2個のカラムに連結している。したがって、その配列の所与のカラムからのアウトプットは、その配列の隣接したカラムのインプットにつながり、隣接したカラムは、その配列の溶離剤の流れに対して下流にある。したがって、溶離剤は、連結したクロマトグラフィーカラムの配列を回って流動することができる。典型的には、どのクロマトグラフィーカラムも装置の隣接していないカラムに連結していない。
【0084】
本明細書で使用する場合、用語「隣接していない」は、例えば同じ装置の、1個または複数のカラム、好ましくは3個以上のカラム、より好ましくは5個以上のカラム、最も好ましくは約5個のカラムによって隔てられたカラムを指す。
【0085】
この実施形態では、典型的には、各装置は供給混合液に対する注入ポイントを1つだけ有する。一実施形態では、各装置は水性有機溶媒の溶離剤に対する注入ポイントを1つだけ有する。別の実施形態では、各装置は水および/または有機溶媒に対する注入ポイントを2つ以上有する。
【0086】
用語「抽残液」は当業者に周知である。実および擬似移動床式クロマトグラフィーとの関係においては、それは、固体吸着剤相と比較して、液体溶離剤相とともにより急速に移動する成分の流れを指す。したがって抽残液流は、供給流と比較して、典型的には、より極性が高い成分が豊富であり、より極性が低い成分が欠乏している。
【0087】
用語「抽出液」は当業者に周知である。実および擬似移動床式クロマトグラフィーとの関係においては、それは、液体溶離剤相と比較して、固体吸着剤相ともにより急速に移動する成分の流れを指す。したがって、抽出液流は、供給流と比較して、典型的には、より極性が低い成分が豊富であり、より極性が高い成分が欠乏している。
【0088】
この実施形態では、各装置で使用するカラム数は特に制限されない。当業者なら、使用するのに適したカラム数を容易に決定することができるであろう。カラム数は、典型的には4個以上、好ましくは6個以上、より好ましくは8個以上、例えば4、5、6、7、8、9または10個のカラムである。好ましい実施形態では、5または6個のカラム、より好ましくは6個のカラムが使用される。別の好ましい実施形態では、7または8個のカラム、より好ましくは8個のカラムが使用される。典型的には、25個以下、好ましくは20個以下、より好ましくは15個以下のカラムが存在する。
【0089】
この実施形態では、第一および第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置は、典型的には同じカラム数を含む。ある種の適用に関しては、それらは異なる数のカラムを有してもよい。
【0090】
この実施形態では、第一および第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置中のカラムは、典型的には同じ寸法を有するが、ある種の適用に関しては、異なる寸法を有してもよい。
【0091】
カラムの流速は、一連のカラムにわたる最大圧力によって制限され、カラムの寸法および固相の粒径に依存することになる。当業者なら、効率的な脱着を確実にするために各カラム寸法について必要とされる流速を容易に確立することができるであろう。一般に、より大きな直径のカラムは、カラムを通る直線的な流動を維持するのにより大きな流速を必要とする。
【0092】
この実施形態では、上記で概要を述べた典型的なカラムサイズに関しては、典型的には、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置中への溶離剤の流速は、1から4.5L/分、好ましくは1.5から2.5L/分である。典型的には、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置からの抽出液の流速は、0.1から2.5L/分、好ましくは0.5から2.25L/分である。第一分離ステップからの抽出液の一部を第一分離ステップで使用した装置中に再循環させる実施形態では、再循環の流速は、典型的には0.7から1.4L/分、好ましくは約1L/分である。典型的には、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置からの抽残液の流速は、0.2から2.5L/分、好ましくは0.3から2.0L/分である。第一分離ステップからの抽残液の一部を第一分離ステップで使用した装置中に再循環する実施形態では、再循環の流速は、典型的には0.3から1.0L/分、好ましくは約0.5L/分である。典型的には、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置中への供給混合液の導入の流速は、5から150mL/分、好ましくは10から100mL/分、より好ましくは20から60mL/分である。
【0093】
この実施形態では、上記で概要を述べた典型的なカラムサイズに関しては、典型的には、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置中への溶離剤の流速は、1から4L/分、好ましくは1.5から3.5L/分である。典型的には、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置からの抽出液の流速は、0.5から2L/分、好ましくは0.7から1.9L/分である。第二分離ステップからの抽出液の一部を第二分離ステップで使用した装置中に再循環する実施形態では、再循環の流速は、典型的には0.6から1.4L/分、好ましくは0.7から1.1L/分、より好ましくは約0.9L/分である。典型的には、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置からの抽残液の流速は、0.5から2.5L/分、好ましくは0.7から1.8L/分、より好ましくは約1.4L/分である。第二分離ステップからの抽残液の一部を第二分離ステップで使用した装置中に再循環する実施形態では、再循環の流速は、典型的には0.3から1.0L/分、好ましくは約0.5L/分である。
【0094】
当業者なら認識するように、様々な抽出液および抽残液流を介して液体が収集されるまたは除去される速度への言及は、ある時間内に除去される液体の容積、典型的にはL/分を指す。同様に、液体が装置中に、典型的には装置の隣接したカラムに再循環される速度への言及は、ある時間内に再循環される液体の容積、典型的にはL/分を指す。
【0095】
この実施形態では、実移動床式クロマトグラフィーが好ましい。
【0096】
ステップ時間、すなわち、供給混合液および溶離剤の注入ポイントと収集画分の様々な分岐ポイントとをシフトする間の時間は、特に制限されず、使用するカラムの数および寸法ならびに装置を通る流速に依存することになる。当業者なら、本発明の方法で使用するのに適したステップ時間を容易に決定することができるであろう。ステップ時間は、典型的には100から1000秒、好ましくは200から800秒、より好ましくは約250から約750秒である。いくつかの実施形態では、100から400秒、好ましくは200から300秒、より好ましくは約250秒のステップ時間が適する。他の実施形態では、600から900秒、好ましくは700から800秒、より好ましくは約750秒のステップ時間が適する。
【0097】
この実施形態では、本発明の方法は、第一および第二分離ステップを含む。
【0098】
これら2つのステップは、単一のクロマトグラフィー装置で容易に行うことができる。したがって、一実施形態では、(a)第一および第二分離ステップは同じクロマトグラフィー装置で順次行われ、中間生成物は第一と第二の分離ステップの間で回収され、クロマトグラフィー装置のプロセス条件は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離されるように、第一と第二の分離ステップの間で調整される。この分離方法の好ましい実施形態を図10aとして示す。したがって、第一分離ステップ(左側)が、8個のカラムを有するSMB装置で行われる。第一と第二の分離ステップの間で中間生成物が例えば容器に回収され、クロマトグラフィー装置のプロセス条件が、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離されるように調整される。次いで、第二分離ステップ(右側)が、8個のカラムを有する同じSMB装置で行われる。
【0099】
実施形態(a)では、プロセス条件を調整することは、装置のプロセス条件を全体として調整すること、すなわち、条件が異なるように物理的に装置を改変することを典型的には指す。これは、プロセス条件が偶然異なる可能性がある、同じ装置の異なる部分に、単純に中間生成物を再導入することを指さない。
【0100】
あるいは、第一および第二の別々のクロマトグラフィー装置を、第一および第二分離ステップで使用することができる。したがって、別の実施形態では、(b)第一および第二分離ステップは、別々の第一および第二クロマトグラフィー装置でそれぞれ行われ、第一分離ステップから得られた中間生成物は、第二クロマトグラフィー装置に導入され、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離される。
【0101】
実施形態(b)では、2つの分離ステップは順次行われても同時に行われてもよい。
【0102】
したがって、2つの分離ステップが順次行われる場合の実施形態(b)では、第一および第二分離ステップは、それぞれ別々の第一および第二クロマトグラフィー装置で順次行われ、中間生成物は第一と第二の分離ステップの間で回収され、第一および第二のクロマトグラフィー装置のプロセス条件は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離されるように調整される。この分離方法の好ましい実施形態を図10bとして示す。したがって、第一分離ステップ(左側)が、8個のカラム、1から8を有するSMB装置で行われる。第一と第二の分離ステップの間で中間生成物が例えば容器に回収され、次いで、第二の別のSMB装置に導入される。第二分離ステップ(右側)が、8個のカラム、9から16を有する第二の別のSMB装置で行われる。2つのクロマトグラフィー装置のプロセス条件は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離されるように調整される。
【0103】
2つの分離ステップが同時に行われる場合の実施形態(b)では、第一および第二分離ステップは、別々の第一および第二クロマトグラフィー装置でそれぞれ行われ、中間生成物は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入され、第一および第二のクロマトグラフィー装置のプロセス条件は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離されるように調整される。この分離方法の好ましい実施形態を図10cとして示す。したがって、第一分離ステップ(左側)が、8個のカラム、1から8を有するSMB装置で行われる。第一分離ステップで得られた中間生成物が、次いで、第二分離ステップで使用する第二の別のクロマトグラフィー装置に導入される。中間生成物は、第一分離ステップから第二分離ステップへ直接的にまたは間接的に、例えば容器を介して送ることができる。第二分離ステップ(右側)が、8個のカラム、9から16を有する第二の別のSMB装置で行われる。2つのクロマトグラフィー装置のプロセス条件は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離されるように調整される。
【0104】
2つの分離ステップが同時に行われる場合の実施形態(b)では、溶離剤は、2つの別々のクロマトグラフィー装置中を別々に循環する。したがって、第二分離ステップで精製され、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される中間生成物中に溶離剤が溶媒として存在し得るもの以外は、溶離剤は、2つの別々のクロマトグラフィー装置間で共有されない。クロマトグラフィーカラムは、第一および第二分離ステップで使用する2つの別々のクロマトグラフィー装置間で共有されない。
【0105】
この実施形態では、第一分離ステップで中間生成物を得た後で、中間生成物が第二分離ステップで精製される前に、水性有機溶媒の溶離剤を部分的にまたは完全に除去することができる。あるいは、存在する任意の溶媒を除去することなしに、中間生成物を第二分離ステップで精製することができる。
【0106】
前述のように、この実施形態では、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離される。実施形態(a)では、両方の分離ステップで使用する単一のSMB装置のプロセス条件は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離されるように、第一と第二の分離ステップの間で調整される。実施形態(b)では、第一および第二分離ステップで使用する2つの別々のクロマトグラフィー装置のプロセス条件は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離されるように設定される。
【0107】
したがって、本実施形態では、第一および第二分離ステップのプロセス条件は変化する。変化させるプロセス条件としては、例えば、使用するカラムのサイズ、使用するカラム数、カラムで使用する充填物、SMB装置のステップ時間、装置の温度、分離ステップで使用する溶離剤、または装置で使用する流速、特に抽出液または抽残液流を介して収集された液体の再循環速度を挙げることができる。
【0108】
好ましくは、本実施形態では、変化可能なプロセス条件は、分離ステップで使用する溶離剤の水:有機溶媒比率および/または分離ステップにおける抽出液もしくは抽残液流を介して収集された液体の再循環速度である。これらのオプションの両方を、以下により詳細に記載する。
【0109】
この実施形態では、第一分離ステップで得られた中間生成物は、供給混合液と比較して、典型的にはPUFA生成物が豊富である。
【0110】
この実施形態では、第一分離ステップで得られた中間生成物は、次いで、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される。
【0111】
この実施形態では、中間生成物は、第一分離方法で使用するクロマトグラフィー装置から抽残液または抽出液流として典型的には収集される。
【0112】
この実施形態では、典型的には、中間生成物は第一分離ステップで抽残液流として収集され、PUFA生成物は第二分離ステップで抽出液流として収集される。したがって、第一分離ステップで収集された抽残液流は、第二分離ステップで供給混合液として使用される。第一分離ステップで収集された抽残液流は、より極性が高い成分とともにPUFA生成物を典型的には含む。
【0113】
あるいはこの実施形態では、中間生成物は第一分離ステップで抽出液流として収集され、PUFA生成物は第二分離ステップで抽残液流として収集される。したがって、第一分離ステップで収集された抽出液流は、第二分離ステップで供給混合液として使用される。第一分離ステップで収集された抽出液流は、より極性が低い成分とともにPUFA生成物を典型的には含む。
【0114】
この実施形態では、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離される。典型的には、本発明の方法の各分離ステップで分離された成分は、異なる極性を有する。
【0115】
この実施形態では、好ましくは、第一分離ステップでは、より極性が低い供給混合液成分からPUFA生成物が分離され、第二分離ステップでは、より極性が高い供給混合液成分からPUFA生成物が分離される。
【0116】
この実施形態では、典型的には、(a)第一分離ステップで使用した装置からの抽出液流の一部は、第一分離ステップで使用した装置に再循環され、かつ/または
(b)第一分離ステップで使用した装置からの抽残液流の一部は、第一分離ステップで使用した装置に再循環され、かつ/または
(c)第二分離ステップで使用した装置からの抽出液流の一部は、第二分離ステップで使用した装置に再循環され、かつ/または
(d)第二分離ステップで使用した装置からの抽残液流の一部は、第二分離ステップで使用した装置に再循環される。
【0117】
この実施形態では、好ましくは、(a)第一分離ステップで使用した装置からの抽出液流の一部は、第一分離ステップで使用した装置に再循環され、
(b)第一分離ステップで使用した装置からの抽残液流の一部は、第一分離ステップで使用した装置に再循環され、
(c)第二分離ステップで使用した装置からの抽出液流の一部は、第二分離ステップで使用した装置に再循環され、
(d)第二分離ステップで使用した装置からの抽残液流の一部は、第二分離ステップで使用した装置に再循環される。
【0118】
この実施形態では、この再循環は、抽出液または抽残液流の一部を、第一または第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置からそのステップで使用した装置、典型的には隣接したカラムに再供給することを含む。この隣接したカラムは、システムにおける溶離剤の流れに対して下流にある隣接したカラムである。
【0119】
この実施形態では、第一または第二分離ステップで抽出液または抽残液流を介して収集された液体がそのステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、その流れを介して収集された液体がそのステップで使用した装置に、典型的には隣接したカラム、すなわち、システムにおける溶離剤の流れに対して下流のカラムに再供給される速度である。
【0120】
このことは、図9の好ましい実施形態を参照することで理解することができる。第一分離ステップにおける抽出液の再循環の速度は、第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から収集された抽出液が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部に供給される速度、すなわち、第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部への液体の流速である。
【0121】
この実施形態では、第二分離ステップにおける抽出液の再循環の速度は、第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置のカラム2の底部で収集された抽出液が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部に供給される速度、すなわち、第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部への液体の流速である。
【0122】
この実施形態では、第一および/または第二分離ステップにおける抽出液および/または抽残液流の再循環は、その分離ステップでその流れを介して収集された液体を容器に供給し、次いで、ある量のその液体を、その分離ステップで使用した装置、典型的には隣接したカラムにその容器からポンプで戻すことによって典型的にはもたらされる。この場合、第一および/または第二分離ステップで特定の抽出液または抽残液流を介して収集された液体の、典型的には隣接したカラムに戻される再循環の速度は、液体が、クロマトグラフィー装置、典型的には隣接したカラムに容器からポンプで戻される速度である。
【0123】
当業者なら認識するように、この実施形態では、溶離剤および供給原料流を介してクロマトグラフィー装置に導入される液体の量は、装置から除去され、その装置に再循環される液体の量と釣り合っている。
【0124】
したがって、この実施形態では、図9を参照すると、抽出液流については、第一および第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置(複数可)への溶離剤(脱着剤)の流速(D)は、その分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が容器に蓄積する速度(E1およびE2)を、その特定の分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される抽出液の速度(D−E1およびD−E2)に加えたものに等しい。
【0125】
この実施形態では、ある分離ステップからの抽残液流については、その特定の分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に抽出液が再循環される速度(D−E1およびD−E2)を、供給原料がその特定の分離ステップで使用されるクロマトグラフィー装置に導入される速度(FおよびR1)に加えた速度は、その特定の分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が容器に蓄積する速度(R1およびR2)を、その特定の分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に抽残液が再循環される速度(D+F−E1−R1およびD+R1−E2−R2)に加えたものに等しい。
【0126】
この実施形態では、クロマトグラフィー装置からの特定の抽出液または抽残液流から収集された液体が容器に蓄積する速度は、そのクロマトグラフィー装置からその抽出液または抽残液流が除去される正味の速度と考えることもできる。
【0127】
この実施形態では、典型的には、第一分離ステップで抽出液および抽残液流を介して収集された液体がその分離ステップで使用した装置に再循環される速度は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物を分離できるように調整される。
【0128】
この実施形態では、典型的には、第二分離ステップで抽出液および抽残液流を介して収集された液体がその分離ステップで使用した装置に再循環される速度は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物を分離できるように調整される。
【0129】
この実施形態では、好ましくは、各分離ステップで抽出液および抽残液流を介して収集された液体がその分離ステップで使用した装置に再循環される速度は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物を分離できるように調整される。
【0130】
この実施形態では、典型的には、第一分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、第二分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度とは異なり、かつ/または第一分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、第二分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度とは異なる。
【0131】
第一または第二分離ステップで抽出液および/または抽残液流を介して収集された液体がその特定の分離ステップで使用した装置に再循環される速度を変化させることは、抽出液および抽残液流に存在するより極性が高いおよびより極性が低い成分の量を変化させる効果がある。したがって、例えば、抽出液の再循環速度が低下すると、抽残液流まで運ばれる、その分離ステップのより極性が低い成分が少なくなる。抽出液の再循環速度が高くなると、抽残液流まで運ばれる、その分離ステップのより極性が低い成分が多くなる。
【0132】
このことは、例えば本発明の図6に示す特定の実施形態で理解することができる。第一分離ステップで抽出液流を介して収集された液体がその分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度(D−E1)は、任意の成分Aが第一分離ステップで抽残液流まで運ばれる程度(R1)に影響を及ぼす。
【0133】
この実施形態では、典型的には、第一分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、第二分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度より速い。好ましくは、より極性が高い成分とともにPUFA生成物を含む抽残液流は、第一分離ステップから収集されて第二分離ステップで精製され、第一分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、第二分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度より速い。
【0134】
あるいはこの実施形態では、第一分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、第二分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度より遅い。
【0135】
この実施形態では、典型的には、第一分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、第二分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度より速い。好ましくは、より極性が低い成分とともにPUFA生成物を含む抽出液流は、第一分離ステップから収集されて第二分離ステップで精製され、第一分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、第二分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度より速い。
【0136】
あるいはこの実施形態では、第一分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、第二分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度より遅い。
【0137】
この実施形態では、再循環速度が、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物を分離できるように調整される実施形態では、各分離ステップで使用する溶離剤の水:有機溶媒比率は、同じでもよいし、異なっていてもよい。典型的には、各分離ステップの溶離剤の水:有機溶媒比率は、0.5:99.5から5.5:94.5容積部である。
【0138】
典型的には、本実施形態では、各分離ステップで使用する水性有機溶媒の溶離剤は、異なる水:有機溶媒比率を有する。各分離ステップで使用する水:有機溶媒比率は、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物を分離できるように好ましくは調整される。
【0139】
本実施形態では、各分離ステップで使用する溶離剤の溶離力は、典型的には異なる。好ましくは、第一分離ステップで使用する溶離剤の溶離力は、第二分離ステップで使用する溶離剤の溶離力より大きい。実際には、これは、各分離ステップで使用する水および有機溶媒の相対量を変化させることによって達成される。
【0140】
有機溶媒の選択によっては、それらは水よりも強力な脱着試薬であり得る。あるいは、それらは、水よりも強力でない脱着試薬であり得る。例えば、アセトニトリルおよびアルコールは、水よりも強力な脱着試薬である。したがって、水性有機溶媒が水性アルコールまたはアセトニトリルである場合は、第一分離ステップで使用する溶離剤中のアルコールまたはアセトニトリルの量は、第二分離ステップで使用する溶離剤のアルコールまたはアセトニトリルの量より典型的には多い。
【0141】
典型的には、本実施形態では、第一分離ステップの溶離剤の水:有機溶媒比率は、第二分離ステップの溶離剤の水:有機溶媒比率より低い。したがって、第一分離ステップの溶離剤は、第二分離ステップの溶離剤よりも多くの有機溶媒、好ましくはアルコール、より好ましくはメタノールを典型的には含む。
【0142】
本実施形態では、各分離ステップで使用する水性有機溶媒が異なる水:有機溶媒比率を有する場合は、第一分離ステップの溶離剤の水:有機溶媒比率は、典型的には0:100から5:95容積部、好ましくは0.1:99.9から2.5:97.5容積部、より好ましくは0.25:99.75から2:98容積部、最も好ましくは0.5:99.5から1.5:98.5容積部である。これらの実施形態では、第二分離ステップの溶離剤の水:有機溶媒比率は、典型的には2:98から8:92容積部、好ましくは3:97から7:93容積部、より好ましくは4:96から6:94容積部、さらにより好ましくは4.5:95.5から5.5:94.5容積部である。
【0143】
本実施形態では、各分離ステップで使用する水性有機溶媒が異なる水有機溶媒含有量を有する場合は、第一分離ステップの溶離剤の水:有機溶媒比率は、好ましくは0.5:99.5から1.5:98.5容積部、および第二分離ステップの溶離剤の水:有機溶媒比率は、好ましくは4.5:95:5から5.5:94.5容積部である。
【0144】
上記で言及した各分離ステップの水と有機溶媒の比率は、クロマトグラフィー装置全体の平均比率であることが認識されるであろう。
【0145】
典型的には、本実施形態では、各分離ステップの溶離剤の水:有機溶媒比率は、分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置の1個または複数のカラムに、水および/または有機溶媒を導入することによって制御される。したがって、例えば、第二分離ステップよりも低い、第一分離ステップの水:有機溶媒比率を達成するためには、典型的には、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に、第二分離ステップよりもゆっくりと水が導入される。
【0146】
典型的には、本実施形態では、実質的に純粋な有機溶媒および実質的に純粋な水は、各分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置の異なるポイントで導入することができる。これら2つの流れの相対的な流速は、クロマトグラフィー装置の全体的な溶媒プロファイルを決定する。あるいは、本実施形態では、異なる有機溶媒/水混合液を、各分離ステップで使用する各クロマトグラフィー装置の異なるポイントで導入することができる。それは、異なる有機溶媒:水比率を有する2つ以上の異なる有機溶媒/水混合液を、特定の分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入することを含む。本実施形態の有機溶媒/水混合液の相対的な流速および相対的な濃度は、その分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置の全体的な溶媒プロファイルを決定する。
【0147】
この実施形態では、好ましくは、(1)より極性が高い成分とともにPUFA生成物を含む中間生成物は、第一分離ステップで抽残液流として収集され、PUFA生成物は、第二分離ステップで抽出液流として収集される、または
(2)より極性が低い成分とともにPUFA生成物を含む中間生成物は、第一分離ステップで抽出液流として収集され、PUFA生成物は、第二分離ステップで抽残液流として収集される。
【0148】
オプション(1)は、供給混合液からEPAを精製するのに適する。
【0149】
オプション(1)を図2に図示する。PUFA生成物(B)ならびにより極性が高い(C)およびより極性が低い(A)成分を含む供給混合液Fが、第一分離ステップで精製される。第一分離ステップでは、最も極性が低い成分(A)が、抽出液流E1として除去される。PUFA生成物(B)およびより極性が高い成分(C)が、抽残液流R1として収集される。抽残液流R1は、次いで第二分離ステップで精製される中間生成物である。第二分離ステップでは、より極性が高い成分(C)が抽残液流R2として除去される。PUFA生成物(B)が、抽出液流E2として収集される。
【0150】
オプション(1)を、図4でより詳細に図示する。図4は、各クロマトグラフィー装置への有機溶媒の脱着剤(D)および水(W)の導入ポイントが示されていることを除いて、図2と同じである。有機溶媒の脱着剤(D)および水(W)は、共に溶離剤を構成する。(D)相は典型的には実質的に純粋な有機溶媒であるが、ある種の実施形態では、主に有機溶媒を含む有機溶媒/水の混合液でもよい。(W)相は典型的には実質的に純粋な水であるが、ある種の実施形態では、主に水を含む有機溶媒/水の混合液、例えば98%水/2%メタノールの混合液でもよい。
【0151】
オプション(1)のさらなる例示を図6に示す。ここでは、別個の水注入ポイントは存在せず、代わりに水性有機溶媒の脱着剤が(D)で注入される。
【0152】
この実施形態では、抽残液および抽出液流への分離は、各クロマトグラフィー装置内の溶離剤の脱着力を変化させることによって促進され得る。これは、溶離剤の有機溶媒(または有機溶媒が豊富な)成分および水(または水が豊富な)成分を各クロマトグラフィー装置の異なるポイントで導入することによって実現することができる。したがって、典型的には、システムにおける溶離剤の流れに対して、有機溶媒は、抽出液分岐ポイントの上流で導入され、水は、抽出液分岐ポイントとクロマトグラフィー装置への供給物の導入ポイントとの間で導入される。このことを図4に示す。
【0153】
典型的には、本実施形態では、第一分離ステップで使用する水性有機溶媒の溶離剤は、第二分離ステップで使用する溶離剤より多くの有機溶媒を含む。すなわち、第一ステップの水:有機溶媒比率は、第二ステップの水:有機溶媒比率より低い。
【0154】
この実施形態では、分離は、第一および第二分離ステップで抽出液および抽残液流を介して収集された液体がその分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度を変化させることによって促進され得る。
【0155】
典型的には、この実施形態では、第一分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、第二分離ステップで抽出液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度より速い。
【0156】
この実施形態では、第一分離ステップの第一抽残液流は、溶離剤の流れに対して、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に供給混合液を導入するポイントの下流で典型的には除去される。
【0157】
この実施形態では、第一分離ステップの第一抽出液流は、溶離剤の流れに対して、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に供給混合液を導入するポイントの上流で典型的には除去される。
【0158】
この実施形態では、第二分離ステップの第二抽残液流は、溶離剤の流れに対して、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に中間生成物を導入するポイントの下流で典型的には除去される。
【0159】
この実施形態では、第二分離ステップの第二抽出液流は、溶離剤の流れに対して、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に中間生成物を導入するポイントの上流で典型的には収集される。
【0160】
典型的には、この実施形態では、有機溶媒または水性有機溶媒は、溶離剤の流れに対して、第一抽出液流を除去するポイントの上流で、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される。
【0161】
典型的には、この実施形態では、水が、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される場合は、水は、溶離剤の流れに対して、供給混合液の導入ポイントの上流ではあるが第一抽出液流を除去するポイントの下流で、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される。
【0162】
典型的には、この実施形態では、有機溶媒または水性有機溶媒は、溶離剤の流れに対して、第二抽出液流を除去するポイントの上流で、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される。
【0163】
典型的には、この実施形態では、水が、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される場合は、水は、溶離剤の流れに対して、中間生成物を導入するポイントの上流ではあるが第二抽出液流を除去するポイントの下流で、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される。
【0164】
オプション(2)は、供給混合液からDHAを精製するのに適する。
【0165】
オプション(2)を図3に図示する。PUFA生成物(B)ならびにより極性が高い(C)およびより極性が低い(A)成分を含む供給混合液Fが、第一分離ステップで精製される。第一分離ステップでは、より極性が高い成分(C)が抽残液流R1として除去される。PUFA生成物(B)およびより極性が低い成分(A)が、抽出液流E1として収集される。抽出液流E1は、次いで第二分離ステップで精製される中間生成物である。第二分離ステップでは、より極性が低い成分(A)が、抽出液流E2として除去される。PUFA生成物(B)は、抽残液流R2として収集される。
【0166】
オプション(2)をより詳細に図5に図示する。有機溶媒の脱着剤(D)および水(W)の各クロマトグラフィー装置への導入ポイントが示されていることを除いて、図5は、図3と同じである。上記のように、(D)相は典型的には実質的に純粋な有機溶媒であるが、ある種の実施形態では、主に有機溶媒を含む有機溶媒/水混合液でもよい。(W)相は典型的には実質的に純粋な水であるが、ある種の実施形態では、主に水を含む有機溶媒/水の混合液、例えば98%水/2%メタノール混合液でもよい。
【0167】
オプション(2)のさらなる例示を図7に示す。ここでは、別個の水注入ポイントは存在せず、代わりに水性有機溶媒の脱着剤が(D)で注入される。
【0168】
典型的には、本実施形態では、第一分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再導入される速度は、第二分離ステップで抽残液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再導入される速度より速い。
【0169】
典型的には、本実施形態では、第一分離ステップで使用する水性有機溶媒の溶離剤は、第二分離ステップで使用する溶離剤より少ない有機溶媒を含む。すなわち、第一分離ステップの水:有機溶媒比率は、第二分離ステップよりも高い。
【0170】
本実施形態では、第一分離ステップの第一抽残液流は、溶離剤の流れに対して、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置へ供給混合液を導入するポイントの下流で典型的には除去される。
【0171】
本実施形態では、第一分離ステップの第一抽出液流は、溶離剤の流れに対して、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置へ供給混合液を導入するポイントの上流で典型的には除去される。
【0172】
本実施形態では、第二分離ステップの第二抽残液流は、溶離剤の流れに対して、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置へ中間生成物を導入するポイントの下流で典型的には除去される。
【0173】
本実施形態では、第二分離ステップの第二抽出液流は、溶離剤の流れに対して、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置へ中間生成物を導入するポイントの上流で典型的には収集される。
【0174】
典型的には、本実施形態では、有機溶媒または水性有機溶媒は、溶離剤の流れに対して、第一抽出液流を除去するポイントの上流で、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される。
【0175】
典型的には、本実施形態では、水が、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される場合は、水は、溶離剤の流れに対して、供給混合液の導入ポイントの上流ではあるが第一抽出液流を除去するポイントの下流で、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される。
【0176】
典型的には、本実施形態では、有機溶媒または水性有機溶媒は、溶離剤の流れに対して、第二抽出液流を除去するポイントの上流で、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される。
【0177】
典型的には、本実施形態では、水が、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される場合は、水は、溶離剤の流れに対して、中間生成物を導入するポイントの上流ではあるが第二抽出液流を除去するポイントの下流で、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に導入される。
【0178】
この実施形態では、第一および第二分離ステップで使用する各擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置は、好ましくは8個のクロマトグラフィーカラムからなる。これらは、カラム1から8と称される。各装置では、8個のカラムは、カラム1の底部がカラム2の頂部に連結し、カラム2の底部がカラム3の頂部に連結し、...など...、カラム8の底部がカラム1の頂部に連結するように、連続して配置される。こうした連結は、場合によっては保持容器を介して、再循環流を次のカラムに入れてもよい。このシステムを通じての溶離剤の流れは、カラム1からカラム2、カラム2からカラム3などである。このシステムを通じての吸着剤の有効な流れは、カラム8からカラム7、カラム7からカラム6などである。
【0179】
このことを図8に図示する。PUFA生成物(B)ならびにより極性が高い(C)およびより極性が低い(A)成分を含む供給混合液Fは、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム5の頂部に導入される。有機溶媒の脱着剤は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に導入される。水は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム4の頂部に導入される。第一分離ステップでは、より極性が低い成分(A)は、抽出液流E1としてカラム2の底部から除去される。PUFA生成物(B)およびより極性が高い成分(C)は、抽残液流R1としてカラム7の底部から除去される。抽残液流R1は、次いで第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置にカラム5の頂部で導入されることによって第二分離ステップで精製される、中間生成物である。有機溶媒の脱着剤は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に導入される。水は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム4の頂部に導入される。第二分離ステップでは、より極性が高い成分(C)は、抽残液流R2としてカラム7の底部で除去される。PUFA生成物(B)は、抽出液流E2としてカラム2の底部で収集される。
【0180】
この実施形態では、有機溶媒は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に典型的には導入される。
【0181】
この実施形態では、水は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム4の頂部に導入される。
【0182】
この実施形態では、有機溶媒は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に典型的には導入される。
【0183】
この実施形態では、有機溶媒は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム4の頂部に典型的には導入される。
【0184】
この実施形態では、供給流は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム5の頂部に典型的には導入される。
【0185】
この実施形態では、第一抽残液流は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から、中間生成物として典型的には収集される。この中間生成物は、次いで第二分離ステップで精製され、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム5の頂部に典型的には導入される。第一抽残液流は、第二分離ステップで精製される前に、場合によっては容器に収集されてもよい。
【0186】
この実施形態では、第一抽出液流は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から、典型的には除去される。第一抽出液流は、場合によっては容器に収集され、第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部に再導入されてもよい。
【0187】
この実施形態では、第二抽出液流は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から、典型的には除去される。
【0188】
この実施形態では、第二抽出液流は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から典型的には収集される。この第二抽出液流は、精製されたPUFA生成物を典型的には含む。第二抽出液流は、場合によっては容器に収集され、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部に再導入されてもよい。
【0189】
この実施形態では、使用する溶離剤は、典型的には水性アルコール、好ましくは水性メタノールである。水:アルコール比率は、典型的には0.5:99.5から6:94容積部である。
【0190】
典型的には、本実施形態では、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置の水:有機溶媒比率は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置の水:有機溶媒比率より低い。したがって、第一分離ステップの溶離剤は、第二分離ステップで使用する溶離剤より多くの有機溶媒を典型的には含む。
【0191】
本実施形態では、第一分離ステップの水:有機溶媒比率は、典型的には0.5:99.5から1.5:98.5容積部である。第二分離ステップの水:有機溶媒比率は、典型的には2:98から6:94容積部である。
【0192】
この実施形態では、図8の実施形態は図10aに示すように構成されるが、図10bおよび10cに示す構成を、本実施形態で使用することもできる。
【0193】
この実施形態も図9に図示する。PUFA生成物(B)ならびにより極性が高い(C)およびより極性が低い(A)成分を含む供給混合液Fが、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム5の頂部に導入される。水性有機溶媒の脱着剤が、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に導入される。第一分離ステップでは、より極性が低い成分(A)が、抽出液流E1としてカラム2の底部から除去される。PUFA生成物(B)およびより極性が高い成分(C)が、抽残液流R1としてカラム7の底部から除去される。抽残液流R1は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム4の頂部に導入されることによって第二分離ステップで精製される、中間生成物である。水性有機溶媒の脱着剤が、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に導入される。第二分離ステップでは、より極性が高い成分(C)が、抽残液流R2としてカラム7の底部で除去される。PUFA生成物(B)は、抽出液流E2としてカラム2の底部で収集される。
【0194】
この実施形態では、水性有機溶媒は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム1の頂部に典型的には導入される。
【0195】
この実施形態では、水性有機溶媒は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム9の頂部に典型的には導入される。
【0196】
この実施形態では、供給流は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム5の頂部に典型的には導入される。
【0197】
この実施形態では、第一抽残液流は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から中間生成物として典型的には収集される。この中間生成物は、次いで第二分離ステップで精製され、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム5の頂部に典型的には導入される。第一抽残液流は、第二分離ステップで精製される前に、場合によっては容器に収集されてもよい。
【0198】
この実施形態では、第一抽出液流は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から典型的には除去される。第一抽出液流は、場合によっては容器に収集され、一部が、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部に再導入されてもよい。第一分離ステップで抽出液流を介して収集された液体の、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置へ戻される再循環の速度は、液体が、この容器からカラム3の頂部にポンプで注入される速度である。
【0199】
この実施形態では、第二抽残液流は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム7の底部から、典型的には除去される。
【0200】
この実施形態では、第二抽出液流は、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム2の底部から典型的には収集される。この第二抽出液流は、精製されたPUFA生成物を典型的には含む。第二抽出液流は、場合によっては容器に収集され、一部が、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置のカラム3の頂部に再導入されてもよい。第二分離ステップから抽出液流を介して収集された液体の、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置に戻される再循環の速度は、液体が、この容器からカラム3の頂部にポンプで注入される速度である。
【0201】
この実施形態では、使用する溶離剤は、典型的には水性アルコール、好ましくは水性メタノールである。水:アルコール比率は、典型的には0.5:99.5から6:94容積部である。
【0202】
典型的には、本実施形態では、第一分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置の水:有機溶媒比率は、第二分離ステップで使用するクロマトグラフィー装置の水:有機溶媒比率より低い。したがって、第一分離ステップで使用する溶離剤は、第二分離ステップで使用する溶離剤より多くの有機溶媒を典型的には含む。
【0203】
本実施形態では、第一分離ステップの水:有機溶媒比率は、典型的には0.5:99.5から1.5:98.5容積部である。第二分離ステップの水:有機溶媒比率は、典型的には2:98から6:94容積部である。
【0204】
この実施形態では、第一分離ステップから抽出液流を介して収集された液体が第一分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度は、第二分離ステップから抽出液流を介して収集された液体が第二分離ステップで使用したクロマトグラフィー装置に再循環される速度より典型的には速い。この場合、水性有機溶媒の溶離剤は典型的には、各分離ステップで実質的に同じである。
【0205】
この実施形態では、図9の実施形態は図10aに示すように構成されるが、図10bおよび10cに示す構成を、本実施形態で使用することもできる。
【0206】
さらなる実施形態では、本発明の方法は、溶離剤として水性アルコールを含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置に供給混合液を導入することを含み、装置が、少なくとも第一ゾーンおよび第二ゾーンを含む複数のゾーンを有し、各ゾーンが、前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽出液流および抽残液流を有し、(a)より極性が高い成分とともにPUFA生成物を含む抽残液流が第一ゾーンのカラムから収集され、第二ゾーンの隣接していないカラムに導入され、かつ/または(b)より極性が低い成分とともにPUFA生成物を含む抽出液流が第二ゾーンのカラムから収集され、第一ゾーンの隣接していないカラムに導入され、前記PUFA生成物は各ゾーンで供給混合液の異なる成分から分離され、複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度は55℃を超える、方法である。
【0207】
このさらなる実施形態では、用語「ゾーン」は、溶離剤として水性アルコールを含み、供給混合液流に対する1つまたは複数の注入ポイント、水および/またはアルコールに対する1つまたは複数の注入ポイント、前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽残液分岐流ならびに前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽出液分岐流を有する、複数の連結したクロマトグラフィーカラムを指す。典型的には、各ゾーンは、供給混合液に対する注入ポイントを1つだけ有する。一実施形態では、各ゾーンは、水性アルコール溶離剤に対する注入ポイントを1つだけ有する。別の実施形態では、各ゾーンは、水および/またはアルコールに対する注入ポイントを2つ以上有する。
【0208】
このさらなる実施形態では、実質的に全ての複数の連結したクロマトグラフィーカラムの温度は、典型的には55℃を超える。このさらなる実施形態では、全ての複数の連結したクロマトグラフィーカラムの温度は、好ましくは55℃を超える。
【0209】
このさらなる実施形態では、複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度は、典型的には56℃以上、好ましくは57℃以上である。
【0210】
典型的には、このさらなる実施形態では、複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度は、100℃まで、好ましくは95℃まで、より好ましくは90℃まで、さらにより好ましくは85℃まで、さらにより好ましくは80℃まで、さらにより好ましくは75℃まで、さらにより好ましくは70℃までである。
【0211】
典型的には、このさらなる実施形態では、複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度は、56から70℃、好ましくは56から67℃、より好ましくは56から65℃、さらにより好ましくは57から63℃である。
【0212】
このさらなる実施形態は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるPCT/GB10/002339に記載されている方法に関する。PCT/GB10/002339に明記される好ましいプロセス条件は、このさらなる実施形態のための好ましいプロセス条件であり、PCT/GB10/002339から組み込むことができる。
【0213】
このさらなる実施形態を図11で図示する。PUFA生成物(B)ならびにより極性が高い(C)およびより極性が低い(A)成分を含む供給混合液Fが、第一ゾーンのカラム5の頂部に導入される。水性アルコール脱着剤が、第一ゾーンのカラム1の頂部に導入される。第一ゾーンでは、より極性が低い成分(A)が、抽出液流E1としてカラム2の底部から除去される。PUFA生成物(B)およびより極性が高い成分(C)が、抽残液流R1としてカラム7の底部から除去される。次いで、抽残液流R1が、カラム12の頂部で第二ゾーンに導入される。水性アルコール脱着剤が、第二ゾーンのカラム9の頂部に導入される。第二ゾーンでは、より極性が高い成分(C)が、抽残液流R2としてカラム14の底部で除去される。PUFA生成物(B)が、抽出液流E2としてカラム10の底部で収集される。
【0214】
このさらなる実施形態では、水性アルコールは、第一ゾーンのカラム1の頂部に典型的には導入される。
【0215】
このさらなる実施形態では、水性アルコールは、第二ゾーンのカラム9の頂部に典型的には導入される。
【0216】
このさらなる実施形態では、供給流は、第一ゾーンのカラム5の頂部に典型的には導入される。
【0217】
このさらなる実施形態では、第一抽残液流は、典型的には、第一ゾーンのカラム7の底部から収集され、第二ゾーンのカラム12の頂部に導入される。第一抽残液流は、カラム12に導入される前に、場合によっては容器に収集されてもよい。
【0218】
このさらなる実施形態では、第一抽出液流は、第一ゾーンのカラム2の底部から典型的には除去される。第一抽出液流は、場合によっては容器に収集され、一部が、第一ゾーンのカラム3の頂部に再導入されてもよい。第一ゾーンから抽出液流を介して収集された液体の、第一ゾーンへの再循環の速度は、液体が、この容器からカラム3の頂部にポンプで注入される速度である。
【0219】
このさらなる実施形態では、第二抽残液流は、第二ゾーンのカラム14の底部から典型的には除去される。
【0220】
このさらなる実施形態では、第二抽出液流は、第二ゾーンのカラム10の底部から典型的には収集される。この第二抽出液流は、精製されたPUFA生成物を典型的には含む。第二抽出液流は、場合によっては容器に収集され、一部が、第二ゾーンのカラム11の頂部に再導入されてもよい。第二ゾーンから抽出液流を介して収集された液体の、第二ゾーンへの再循環の速度は、液体が、この容器からカラム11の頂部にポンプで注入される速度である。
【0221】
このさらなる実施形態では、第一ゾーンから抽出液流を介して収集された液体が第一ゾーンに再循環される速度は、第二ゾーンから抽出液流を介して収集された液体が第二ゾーンに再循環される速度より典型的には速い。
【0222】
このさらなる実施形態では、水性アルコール溶離剤は、典型的には、各ゾーンで実質的に同じものである。
【0223】
さらに他の実施形態では、本発明の方法は、供給混合液から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離方法以外であって、溶離剤として水性アルコールを含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置に供給混合液を導入することを含み、装置が、少なくとも第一ゾーンおよび第二ゾーンを含む複数のゾーンを有し、各ゾーンが、前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽出液流および抽残液流を有し、(a)より極性が高い成分とともにPUFA生成物を含む抽残液流が、第一ゾーンのカラムから収集され、第二ゾーンの隣接していないカラムに導入され、かつ/または(b)より極性が低い成分とともにPUFA生成物を含む抽出液流が、第二ゾーンのカラムから収集され、第一ゾーンの隣接していないカラムに導入され、前記PUFA生成物が、各ゾーンで供給混合液の異なる成分から分離され、全ての複数の連結したクロマトグラフィーカラムの温度が、40℃または55℃である、方法である。
【0224】
このさらに他の実施形態では、用語「ゾーン」は、上記で定義された通りである。
【0225】
典型的には、このさらに他の実施形態では、複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度は、40℃または55℃である。好ましくは、このさらに他の実施形態では、この方法は、15から55℃、より好ましくは20から40℃、さらにより好ましくは約30℃、すなわち、典型的には室温で行われる。
【0226】
典型的には、このさらに他の実施形態では、本発明の方法は、供給混合液から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離方法以外であって、溶離剤として水性アルコールを含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置に供給混合液を導入することを含み、装置が少なくとも第一ゾーンおよび第二ゾーンを含む複数のゾーンを有し、各ゾーンが、前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽出液流および抽残液流を有し、(a)より極性が高い成分とともにPUFA生成物を含む抽残液流が、第一ゾーンのカラムから収集され、第二ゾーンの隣接していないカラムに導入され、かつ/または(b)より極性が低い成分とともにPUFA生成物を含む抽出液流が、第二ゾーンのカラムから収集され、第一ゾーンの隣接していないカラムに導入され、前記PUFA生成物が、各ゾーンで供給混合液の異なる成分から分離される方法である。
【0227】
したがって、好ましくはこのさらに他の実施形態では、本発明の方法は、PCT/GB10/002339に記載されている以外のものである。
【0228】
さらに別の実施態様では、供給混合液が通過するクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度は、40℃または55℃以外である。
【0229】
このさらに別の実施形態では、供給混合液が通過する全てのクロマトグラフィーカラムの温度は、典型的には40℃または55℃以外、好ましくは約40℃または55℃以外、より好ましくは39.5から40.5℃または54.5から55.5℃以外である。
【0230】
実際には、本発明の方法は、通常、コンピューターによって制御される。したがって、本発明は、本明細書で定義したようにクロマトグラフィー装置を制御するためのコンピュータープログラムであって、実行時に、装置に指示して本発明の方法を実施させるコード手段を含むコンピュータープログラムを提供する。
【0231】
本発明はまた、供給混合液から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離方法における、1個もしくは複数の加熱クロマトグラフィーカラムおよび/または加熱溶離剤および/または加熱供給混合液の使用を提供し、この方法は、溶離剤として水性有機溶媒を含む1個または複数のクロマトグラフィーカラムで供給混合液を精製して、(a)分離方法で使用する溶離剤の量を低減し、かつ/または(b)供給混合液に存在する様々な成分の分離方法における分解能を改善することを含む。
【0232】
典型的には、クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個および/または加熱溶離剤および/または加熱供給混合液は、本明細書で定義した温度に加熱される。
【0233】
典型的には、本発明はまた、供給混合液から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離方法における加熱溶離剤の使用を提供し、この方法は、溶離剤として水性有機溶媒を含む1個または複数のクロマトグラフィーカラムで供給混合液を精製し、(a)分離方法で使用する溶離剤の量を低減し、かつ/または(b)供給混合液に存在する様々な成分の分離方法における分解能を改善することを含む。
【0234】
本発明はまた、供給混合液から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離方法であって、供給混合液を、溶離剤として水性有機溶媒を含む1個または複数の加熱クロマトグラフィーカラムを通過させることを含み、供給混合液が通過するクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が室温を超え、および/または溶離剤の温度および/または供給混合液の温度が室温を超え、1個または複数の加熱クロマトグラフィーカラムによって、(a)分離方法で使用する溶離剤の量の低減、および/または(b)供給混合液に存在する様々な成分の分離方法における分解能の改善が可能になる方法を提供する。
【0235】
典型的には、クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個は、本明細書で定義された温度に加熱される。
【0236】
好ましくは、溶離剤は、本明細書で定義された温度に加熱される。
【0237】
典型的には、本方法は、本明細書に記載された方法である。
【0238】
典型的には、本発明の方法では、室温を超える温度の少なくとも1個のクロマトグラフィーカラムによって、(a)分離方法で使用する溶離剤の量の低減および/または(b)供給混合液に存在する様々な成分の分離方法における分解能の改善が可能になる。
【0239】
本発明はまた、本発明の方法によって得られるPUFA生成物を含む組成物を提供する。
【0240】
以下の実施例は、本発明を例示するものである。
実施例
【実施例1】
【0241】
図11に概略的に図示するシステムによって、固定相として結合C18シリカゲル(粒径300μm)および溶離剤として(90:10w/wメタノール:水)水性メタノールを用いる実移動床式クロマトグラフィーシステムを使用して、魚油に由来する供給原料(55重量%EPA EE、5重量%DHA EE)を分画する。15個のカラム(直径:22mm、長さ:300mm)は、図11に示すように連続してつながる。脱着剤を60℃の温度にあらかじめ加熱して、約60℃のカラム温度にした。
【0242】
動作パラメーターおよび流速は以下の通りである。以下の条件の場合には、EPA EEは、高水準の純度(GC FAMESによれば99%)で生成される。EPA生成物のGC FAMESトレースを図12として示す。
【0243】
ステップ時間:600秒
供給原料(F)の供給速度:0.5ml/分
第一ゾーンにおける脱着剤の供給速度(D1):33ml/分
第一ゾーンにおける抽出液の速度(E1):7ml/分
第一ゾーンにおける抽出液の再循環速度(D1−E1):26ml/分
第一ゾーンにおける抽残液の速度(R1):8ml/分
第二ゾーンにおける脱着剤の供給速度(D2):34ml/分
第二ゾーンにおける抽出液の速度(E2):10ml/分
第二ゾーンにおける抽出液の再循環速度(D2−E2):24ml/分
第二ゾーンにおける抽残液の速度(R2):8ml/分
【実施例2】
【0244】
魚油に由来する供給原料(55重量%EPA EE、5重量%DHA EE)を、図10に概略的に図示するシステムによって、固定相として結合C18シリカゲル(粒径300μm)および溶離剤として水性メタノール(98:2w/wメタノール:水)を用いる実移動床式クロマトグラフィーシステムを使用して分画する。分離1は、図10に示すように連続してつながった8個のカラム(直径:76.29mm、長さ:914.40mm)からなる。分離1からの中間抽残液を単離および分離し、上記と同じ配列のカラムを使用して、分離2を実施した。脱着剤を40℃の温度にあらかじめ加熱し、約40℃のカラム温度にした。
【0245】
動作パラメーターおよび流速は以下の通りである。以下の条件の場合には、EPA EEは、高水準の純度(GC FAMESによれば98%)で生成される。EPA生成物のGC FAMESトレースを図13として示す。
【0246】
ステップ時間:1200秒
供給原料(F)の供給速度:35ml/分
第一ステップにおける脱着剤の供給速度(D1):2270ml/分
第一ステップにおける抽出液の速度(E1):1320ml/分
第一ステップにおける抽出液の再循環速度(D1−E1):950ml/分
第一ステップにおける抽残液の速度(R1):950ml/分
第二ステップにおける脱着剤の供給速度(D2):1510ml/分
第二ステップにおける抽出液の速度(E2):850ml/分
第二ステップにおける抽出液の再循環速度(D2−E2):660ml/分
第二ステップにおける抽残液の速度(R2):670ml/分
【実施例3】
【0247】
いくつかの一般的な脂肪酸の保持時間を、水性メタノール溶離剤およびC18シリカ吸着剤を使用して、固定床式クロマトグラフィー装置で測定した。例えば、ステアリドン酸(SDA)、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびオレイン酸(OA)の保持時間を測定し、メタノールの温度および濃度を変化させた。以下の表は、様々な脂肪酸についての絶対保持時間および(EPAと比較した)相対保持時間を示す。
【0248】
表1、3および5の絶対保持時間から、全体的な実施時間は、上昇した温度ではるかに短いこと、すなわち、高温では、溶媒消費がより少なく、よりハイスループットであることを理解することができる。
【0249】
表2、4および6の相対保持時間から、温度上昇は、より密接に関わる成分(DHA)よりも、より極性が低い不純物(OA)の相対保持時間に対して、より大きな効果があることを理解することができる。例えば、5%の水では、(EPAに対する)OAの相対保持時間は、18℃の1.91から70℃の1.63に減少する一方、(EPAに対する)DHAの相対保持時間は18℃の1.19から70℃の1.15に減少する。同様の効果が、2%の水および10%の水をそれぞれ使用して試験を実施する場合に見られる。
【0250】
これは、密接に関わる成分の分解能の改善(例えばDHAからEPA)は水分含有量を増大させることによって達成することができるが、高温で行われる場合は、溶媒消費がより少なく、よりハイスループットであることを意味する。
【0251】
【表1】
【0252】
【表2】
【0253】
【表3】
【0254】
【表4】
【0255】
【表5】
【0256】
【表6】
なお、本発明には以下の態様も含まれる。
[1]
供給混合液から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離方法であって、供給混合液を、溶離剤として水性有機溶媒を含む1個または複数のクロマトグラフィーカラムを通過させることを含み、
供給混合液が通過するクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が室温を超える方法。
[2]
溶離剤が超臨界状態でない、[1]に記載の方法。
[3]
クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の室温を超える温度が、水性有機溶媒の溶離剤および/または供給混合液を、室温を超える温度に加熱することによって達成される、[1]または[2]に記載の方法。
[4]
クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が30℃を超える、好ましくは40℃を超える、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]
クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が100℃まで、好ましくは70℃までである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]
クロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1つの温度が40から70℃、好ましくは57から63℃である、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]
PUFA生成物が少なくとも1つのω−3PUFAを含む、前記のいずれか一項に記載の方法。
[8]
PUFA生成物がEPAもしくはEPA誘導体および/またはDHAもしくはDHA誘導体を含む、[7]に記載の方法。
[9]
PUFA生成物がEPAまたはEPAエチルエステル(EE)を含む、[7]に記載の方法。
[10]
溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する1つまたは複数の擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置に供給混合液を導入することを含み、複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が室温を超える、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の方法。
[11]
(i)第一分離ステップにおいて、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置で供給混合液を精製して、中間生成物を得るステップと、
(ii)第二分離ステップにおいて、溶離剤として水性有機溶媒を含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置を使用して(i)で得られた中間生成物を精製して、PUFA生成物を得るステップとを含み、
第一分離ステップの複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの1個もしくは複数の温度および/または第二分離ステップの複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの1個もしくは複数の温度が室温を超え、
(a)第一および第二分離ステップが同じクロマトグラフィー装置で順次行われ、中間生成物が第一と第二の分離ステップの間で回収され、クロマトグラフィー装置のプロセス条件が、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離されるように、第一と第二の分離ステップの間で調整される、または(b)第一および第二分離ステップが、別々の第一および第二クロマトグラフィー装置でそれぞれ行われ、第一分離ステップから得られた中間生成物が第二クロマトグラフィー装置に導入され、各分離ステップで供給混合液の異なる成分からPUFA生成物が分離される、[10]に記載の方法。
[12]
全てのクロマトグラフィーカラムの温度が室温を超える、[10]または[11]に記載の方法。
[13]
各装置が、前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽出液流および抽残液流を有する、[10]から[12]のいずれか一項に記載の方法。
[14]
溶離剤が、有機溶媒と水の総重量に基づいて、5重量%を超える水を含む、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の方法。
[15]
溶離剤が、水とアルコール、エーテル、エステル、ケトンまたはニトリルとの混合液である、[1]〜[14]のいずれか一項に記載の方法。
[16]
溶離剤が水とメタノールの混合液である、[15]に記載の方法。
[17]
溶離剤として水性アルコールを含む複数の連結したクロマトグラフィーカラムを有する擬似または実移動床式クロマトグラフィー装置に供給混合液を導入することを含み、装置が、少なくとも第一ゾーンおよび第二ゾーンを含む複数のゾーンを有し、各ゾーンが、前記複数の連結したクロマトグラフィーカラムから液体が収集され得る抽出液流および抽残液流を有し、(a)より極性が高い成分とともにPUFA生成物を含む抽残液流が、第一ゾーンのカラムから収集され、第二ゾーンの隣接していないカラムに導入され、かつ/または(b)より極性が低い成分とともにPUFA生成物を含む抽出液流が、第二ゾーンのカラムから収集され、第一ゾーンの隣接していないカラムに導入され、前記PUFA生成物が、各ゾーンで供給混合液の異なる成分から分離され、複数の連結したクロマトグラフィーカラムのうちの少なくとも1個の温度が55℃を超え、好ましくは56℃以上である、[1]に記載のクロマトグラフィー分離方法。
[18]
供給混合液が魚油供給原料または魚油に由来する供給原料であり、PUFA生成物がEPAまたはEPAエチルエステルであり、純度90%を超える、好ましくは純度95%を超える、より好ましくは純度97%を超える純度でPUFA生成物が生成される、[1]〜[17]のいずれか一項に記載の方法。
[19]
室温を超える温度の少なくとも1個のクロマトグラフィーカラムによって、(a)分離方法で使用する溶離剤の量の低減および/または(b)供給混合液に存在する様々な成分の分離方法における分解能の改善が可能になる、[1]〜[18]のいずれか一項に記載の方法。
[20]
供給混合液から多価不飽和脂肪酸(PUFA)生成物を回収するためのクロマトグラフィー分離方法における、1個もしくは複数の加熱クロマトグラフィーカラムおよび/または加熱溶離剤および/または加熱供給混合液の使用であって、この方法が、溶離剤として水性有機溶媒を含む1個または複数のクロマトグラフィーカラムで供給混合液を精製して、(a)分離方法で使用する溶離剤の量を低減し、かつ/または(b)供給混合液に存在する様々な成分の分離方法における分解能を改善することを含む使用。
[21]
1個もしくは複数の加熱カラムおよび/または加熱溶離剤および/または加熱供給混合液が[4]から[6]のいずれか一項に記載の温度に加熱される、[20]に記載の使用。
【符号の説明】
【0257】
A より極性が低い成分
B PUFA生成物
C より極性が高い成分
D 脱着剤、脱着剤の導入ポイント
E1 抽出液流
E2 抽出液流
R1 抽残液流
R2 抽残液流
F 供給混合液
W 水
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